(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
屋根に設置されるレール部材の上に載せられる屋根上設置物を上から押さえ込むための押込部材と、この押込部材に、頭部から下向きに延出している雄ねじ軸が上から下に挿入されるとともに、回転操作される前記頭部が前記押込部材に下方への加圧荷重を作用させることにより、前記屋根上設置物を前記押込部材と前記レール部材とにより挟着固定させるためのボルトと、を備えている屋根上設置物の取付装置において、
前記ボルトの前記頭部の高さ位置が、このボルトの配置位置における前記屋根上設置物の上面の高さ位置と同じ高さ位置又はこれよりも高い高さ位置となっており、
少なくとも一部が前記レール部材の内部に挿入されてこのレール部材と係合されるレール係合部材を備えており、
このレール係合部材に前記ボルトの前記雄ねじ軸が螺入される雌ねじ孔が形成され、前記ボルトの前記頭部が回転操作されて前記雄ねじ軸が前記雌ねじ孔に対して螺進することにより、前記押込部材と前記レール部材とによって前記屋根上設置物が挟着固定され、
前記押込部材が前記レール係合部材に対して下降することを仮停止させ、前記ボルトの前記頭部が回転操作されて前記雄ねじ軸を前記雌ねじ孔に対して螺進させることで前記押込部材を前記レール係合部材に対して下降させることができる仮停止手段を備えており、
この仮停止手段によって仮停止しているときにおける前記押込部材の前記屋根上設置物の上面を押圧する押圧部についての前記レール部材からの仮停止高さ位置が、前記レール部材の上に載せられる前記屋根上設置物の上面よりも高い位置となっていることを特徴とする屋根上設置物の取付装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に示されている取付装置では、ボルトの回転操作される頭部は、このボルトの配置位置におけるソーラーパネルの上面の高さ位置よりも低い位置にある。したがって、ボルトの頭部をレンチ等の手動式又は電動式工具で回転させる作業を、この工具をソーラーパネルの側面に当接させないように注意をして行わなければならず、このため、工具でボルトの頭部を回転操作するための作業を迅速に行えず、作業性を向上させることは難しい。また、このような問題は、上記レール部材の上に間隔を開けて載せられたソーラーパネル同士の間にボルトが配置されている場合に、顕著に生ずる。
【0005】
本発明の目的は、ボルトの頭部を回転操作する作業を容易に行うことができ、作業性を向上させることができるようになる屋根上設置物の取付装置を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る屋根上設置物の取付装置は、屋根に設置されるレール部材の上に載せられる屋根上設置物を上から押さえ込むための押込部材と、この押込部材に、頭部から下向きに延出している雄ねじ軸が上から下に挿入されるとともに、回転操作される前記頭部が前記押込部材に下方への加圧荷重を作用させることにより、前記屋根上設置物を前記押込部材と前記レール部材とにより挟着固定させるためのボルトと、を備えている屋根上設置物の取付装置において、前記ボルトの前記頭部が、このボルトの配置位置における前記屋根上設置物の上面の高さ位置と同じ高さ位置又はこれよりも高い高さ位置となっていることを特徴とするものである。
【0007】
本発明に係る屋根上設置物の取付装置では、ボルトの頭部が、このボルトの配置位置における屋根上設置物の上面の高さ位置と同じ高さ位置又はこれよりも高い高さ位置となっているため、ボルトの頭部をレンチ等の手動式又は電動式工具で回転させる作業を行う際に、この工具が屋根上設置物の側面に当接することはなく、このため、工具でボルトの頭部を回転操作するための作業を迅速に行え、作業性を向上させることができる。
【0008】
そして、このような作用効果は、本発明に係る取付装置がレール部材の上に間隔を開けて載せられた屋根上設置物同士の間に配置され、この取付装置のボルトの頭部をレンチ等の手動式又は電動式工具で回転させる作業を行う際に、顕著なものとして得られる。
【0009】
また、本発明に係る屋根上設置物の取付装置が、少なくとも一部がレール部材の内部に挿入されてこのレール部材と係合されるレール係合部材を備えたものになっている場合には、このレール係合部材にボルトの雄ねじ軸が螺入される雌ねじ孔を形成し、ボルトの頭部が回転操作されて雄ねじ軸が雌ねじ孔に対して螺進することにより、押込部材とレール部材とによって屋根上設置物が挟着固定されるようにしてもよい。
【0010】
また、このように本発明に係る屋根上設置物の取付装置が、少なくとも一部がレール部材の内部に挿入されてこのレール部材と係合されるレール係合部材を備えたものとなっており、そして、このレール係合部材にボルトの雄ねじ軸が螺入される雌ねじ孔を形成する場合には、取付装置に、押込部材がレール係合部材に対して下降することを仮停止させ、ボルトの頭部が回転操作されて雄ねじ軸を雌ねじ孔に対して螺進させることにより、押込部材をレール係合部材に対して下降させることができる仮停止手段を設けるようにし、この仮停止手段によって仮停止しているときにおける押込部材の屋根上設置物の上面を押圧する押圧部についてのレール部材からの仮停止高さ位置を、レール部材の上に載せられる屋根上設置物の上面よりも高い位置としてもよい。
【0011】
これによると、ボルトの頭部が回転操作されて雄ねじ軸を雌ねじ孔に対して螺進させる前には、仮停止手段により、押込部材がレール係合部材に対して下降することを仮停止させておくことができ、この仮停止手段によって仮停止しているときにおける押込部材の屋根上設置物の上面を押圧する押圧部についてのレール部材からの仮停止高さ位置は、レール部材の上に載せられる屋根上設置物の上面よりも高い位置となっているため、仮停止手段によって仮停止しているときの押込部材の押圧部の下側に、レール部材の上に載せた屋根上設置物を配置することができる。そして、この後に、ボルトの頭部を回転操作してボルトの雄ねじ軸をレール係合部材の雌ねじ孔に対して螺進させることにより、押込部材をレール係合部材に対して下降させることができるため、押込部材とレール部材とによって屋根上設置物を挟着固定する作業を容易に行うことができる。
【0012】
言い換えると、取付装置に上述の仮停止手段が設けられていない場合には、押込部材はレール係合部材に対して最下位置まで下降してしまうことになり、このため、ボルトの頭部を回転操作してボルトの雄ねじ軸をレール係合部材の雌ねじ孔に対して螺進させることで押込部材とレール部材とによって屋根上設置物を挟着固定する作業を行う前に、押込部材を手作業によりレール係合部材に対して持ち上げ、次いで、押込部材の押圧部の下側に、レール部材の上に載せた屋根上設置物を配置しなければならず、これによると、押込部材を手作業によりレール係合部材に対して持ち上げる作業を行わなければならないため、作業が面倒になる。
【0013】
これに対して本発明に係る屋根上設置物の取付装置に上述の仮停止手段を設けることにより、押込部材を手作業によりレール係合部材に対して持ち上げる作業を行う必要がなくなるため、押込部材とレール部材とによって屋根上設置物を挟着固定する作業を容易に行うことができるようになる。
【0014】
上述の仮停止手段は、上述のように作用、機能するものであれば任意な構成のものでよい。
【0015】
その一例の仮停止手段は、押込部材とレール係合部材のうち、一方には、他方に設けられた外側嵌合部の内部に嵌合される内側嵌合部が設けられ、これらの外側嵌合部と内側嵌合部が上下方向にスライド自在となっており、外側嵌合部と内側嵌合部のうち、押込部材に設けられている嵌合部が、下方へ平行に延びる一対の延出部を有する下向きの二股形状になっているとともに、レール部材係合部材に設けられている嵌合部が、上方へ平行に延びる一対の延出部を有する上向きの二股形状になっている場合に、適用することができる。
【0016】
そして、この仮停止手段を、内側嵌合部の延出部に外側へ突出して設けられた第1突部と、外側嵌合部の延出部に内側へ突出して設けられ、第1突部との当接により前記仮停止高さ位置を規定するための第2突部と、前記外側嵌合部の前記延出部に前記第2突部から前記スライドの方向への開口幅をもって設けられ、外側に窪んでいる窪み部とを含んで構成されたものとすることができる。
【0017】
なお、内側嵌合部を押込部材に設けて、外側嵌合部をレール係合部材に設けてもよく、あるいは、内側嵌合部をレール係合部材に設けて、外側嵌合部を押込部材に設けてもよい。すなわち、第1突部を押込部材に設けて、第2突部と窪み部とをレール係合部材に設けてもよく、第1突部をレール係合部材に設けて、第2突部と窪み部とを押込部材に設けてもよい。
【0018】
また、本発明において、レール部材は任意な断面形状のものでよく、その一例は、このレール部材を、上向きに開口したチャンネル材とするとともに、このチャンネル材を、上端部に、互いに近づく方向に延出した一対のリップ部が設けられたリップ部付きチャンネル材とすることである。
【0019】
このようにレール部材をリップ部付きチャンネル材とした場合には、レール係合部材の最下部には、長さ方向の寸法が幅方向の寸法よりも長くなっているベース部を設け、このベース部からは、ベース部の長さ方向を長さ方向とし、ベース部の幅方向を厚さ方向とする立上部を立ち上げ、この立上部に、ベース部の長さ方向に互いに向かい合った一対の凹部を形成し、ベース部の幅方向の寸法及び一対の凹部の間隔を、レール部材の一対のリップ部の間隔よりも小さく、立上部の長さ方向の寸法を、レール部材の一対のリップ部の間隔よりも大きくする。
【0020】
これによると、ベース部の長さ方向をレール部材に長さ方向と一致させた後に、レール係合部材を降ろすことにより、ベース部をレール部材の内部に挿入することができ、そして、レール係合部材を90度回動させることにより、レール部材の一対のリップ部をレール係合部材の一対の凹部の内部に挿入係合することができて、これらのリップ部の上面にレール係合部材の立上部を載せることができる。
【0021】
これにより、レール係合部材の下部に設けられているベース部及びベース部の近辺だけをレール部材の内部に挿入させて、レール係合部材をレール部材に係合させることができることになり、レール係合部材がレール部材の内部の最下位まで達することはない。このため、前述したように、ボルトの頭部を回転操作してボルトの雄ねじ軸をレール係合部材の雌ねじ孔に対して螺進させることで、押込部材とレール部材とによって屋根上設置物を挟着固定する作業を行う際に、ボルトの雄ねじ軸をレール係合部材の雌ねじ孔に対して螺進させる距離を短くすることができ、作業時間の短縮を図ることができる。
【0022】
さらに、本発明に係る屋根上設置物の取付装置は、長さ方向が屋根勾配方向と直角をなす方向となって屋根に設置されるレール部材に対しても適用できるとともに、長さ方向が屋根勾配方向となって屋根に設置されるレール部材に対しても適用することができる。
【0023】
さらに、レール部材が、このレール部材の長さ方向を屋根勾配方向として屋根に設置される場合には、本発明に係る屋根上設置物の取付装置は、このレール部材の長さ方向の途中位置、言い換えると、このレール部材の上に間隔を開けて載せられた屋根上設置物同士の間に配置してもよく、このレール部材における屋根勾配方向の下り側の端部に配置してもよい。
【0024】
本発明に係る屋根上設置物の取付装置が、レール部材の長さ方向の途中位置に配置される場合には、レール部材の上に間隔を開けて載せられた2個の屋根上設置物が、1個の押込部材とレール部材とによって挟着固定される。
【0025】
また、本発明に係る屋根上設置物の取付装置が、レール部材における屋根勾配方向の下り側の端部に端部用の取付装置となって配置される場合には、この取付装置の端部用のレール係合部材をレール部材と結合し、この端部用のレール係合部材に前述のボルトにより連結される端部用の押込部材に、屋根上設置物における屋根勾配方向の下り側の端部の側面と当接する当接部を設けてもよい。
【0026】
これによると、レール部材と結合された端部用のレール係合部材にボルトを介して端部用の押込部材が連結されていて、この端部用の押込部材に、屋根上設置物における屋根勾配方向の下り側の端部の側面と当接する当接部が設けられているため、この屋根上設置物がレール部材に沿って屋根勾配方向の下側にスライド降下してしまうことを、端部用の押込部材により防止することができる。
【0027】
すなわち、この端部用の取付装置は、押込部材により、屋根上設置物をレール部材と共に挟着固定するための機能と、押込部材により、屋根上設置物がレール部材に沿って屋根勾配方向の下側にスライド降下してしまうことを防止するための機能とを備えたものとなる。
【0028】
また、本発明に係る屋根上設置物の取付装置が、レール部材の長さ方向の端部に配置される端部用の取付装置である場合には、この取付装置の端部用レール係合部材に、レール部材の開口端面を塞ぐためのカバー部を設けてもよい。
【0029】
これによると、端部用の取付装置を、レール部材の長さ方向の端部の開口端面を塞ぐためのカバー部材を兼ねたものとすることができる。
【0030】
なお、この場合におけるレール部材は、長さ方向が屋根勾配方向と直角をなす方向となって屋根に設置されてもよく、あるいは、長さ方向が屋根勾配方向となって屋根に設置されてもよい。
【0031】
以上説明した本発明に係る取付装置は、屋根の上に設置される任意な屋根上設置物に適用することができ、この屋根上設置物は、例えば、太陽光発電のためのソーラーパネルでもよく、温水器でもよく、屋根看板でもよい。
【発明の効果】
【0032】
本発明によると、ボルトの頭部を回転操作する作業を容易に行うことができ、作業性を向上させることができるという効果を得られる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。本実施形態に係る屋根上設置物の取付装置は、ソーラーパネルを屋根に取り付けるためのものであり、したがって、本実施形態における屋根上設置物はソーラーパネルである。また、このソーラーパネルは、長さ方向が屋根勾配方向となって屋根に設置されるレール部材の上に載せられるものである。
【0035】
図1には、本実施形態に係る取付装置1の全体の斜視図が示されており、この取付装置1の正面図は
図2に、側面図は
図3に、それぞれ示されている。また、
図2及び
図3には、レール部材40も示されており、このレール部材40は、底部41の幅方向両端から一対の壁部42が平行に立ち上がっている上向きに開口したチャンネル材であり、また、それぞれの壁部42の上端には、互いに近づく方向に水平に延出した一対のリップ部43が設けられており、このため、レール部材40は、リップ部付きチャンネル材である。
【0036】
本実施形態に係る取付装置1は、
図1〜
図3に示されているように、上側の押込部材2と、下側のレール係合部材3と、ボルト4と、レール係合部材3に配設されたアースプレート5とからなる。なお、この取付装置1には、平座金6とばね座金7にも用いられている。押込部材2及びレール係合部材3は、例えば、アルミ製又はアルミ合金製であり、アースプレート5は、例えば、ステンレス製である。
【0037】
押込部材2は、ソーラーパネルの上面を上から押圧するための押圧部10と、この押圧部10の幅方向中央部から下向きに延びる内側嵌合部11とを備えている。そして、この内側嵌合部11には、内側嵌合部11の下面から上方への深さを有している凹部12が形成されているため、内側嵌合部11は、下方へ平行に延びる一対の下方延出部13の間が凹部12となっている下向きの二股形状となっており、それぞれの下方延出部13の上下途中部には、下方延出部13の厚さ方向への段差となっている段部14が形成されているため、それぞれの下方延出部13は、上側の厚肉部13Aと、下側の薄肉部13Bとからなる。
【0038】
レール係合部材3は、底部のベース部20と、このベース部20の幅方向中央部から立ち上がった立上部21と、この立上部21の上部に設けられた外側嵌合部22とを備えている。立上部21の長さ方向は、ベース部20の長さ方向となっており、立上部21の厚さ方向は、ベース部20の幅方向となっている。また、外側嵌合部22には、凹部22Aが外側嵌合部22の上面から下方への深さをもって形成されているため、この外側嵌合部22は、上方へ平行に延びる一対の上方延出部24が設けられた上向きの二股形状となっており、これらの上方延出部24同士の間の凹部22Aの内部に押込部材2の内側嵌合部11が挿入されていて、押込部材2の内側嵌合部11とレール係合部材3の外側嵌合部22は、互いに相手に対して上下にスライド自在となっている。
【0039】
なお、レール係合部材3の長さ方向は、押込部材2の長さ方向でもあり、また、レール係合部材3の幅方向は、押込部材2の幅方向でもある。
【0040】
図2及び
図3に示されているように、ボルト4の頭部4Aから下向きに延びる雄ねじ軸4Bは、押込部材2の内側嵌合部11に上下に貫通して形成されている貫通孔2Aに上から挿入され、この雄ねじ軸4Bは、レール係合部材3に形成されている雌ねじ孔3Aに螺入されており、この雌ねじ孔3Aは、外側嵌合部22の上面からこの外側嵌合部22の上下寸法分だけ形成されている。
【0041】
また、
図3に示されているように、ベース部20と接続されている立上部21の下端部には、言い換えると、レール係合部材3のベース部20と立上部21との間には、ベース部の長さ方向に互いに向かい合った一対の凹部23が形成されている。
【0042】
さらに、立上部21には、上述のアースプレート5をレール係合部材3に配置するための四角形の窓孔25が形成されており、
図2から分かるとおり、アースプレート5は、窓孔25に挿入され、下端が欠けた欠円形状となっている中央部5Aと、この中央部5Aの両端から下方へ垂下し、立上部21を挟着した状態になっている一対の垂下部5Bと、それぞれの垂下部5Bの下端からベース部20の幅方向外側に水平に延びている水平部5Cとを有する。このため、アースプレート5は、窓孔25を貫通することにより立上部21を跨いだ状態でレール係合部材3に配置された状態となっている。
【0043】
そして、立上部21には、窓孔25の下部であって凹部23の上部において、立上部21の厚さ方向外側に突出した2個の小突起部26が形成されており、立上部21の全長に渡る長さを有しているこれらの小突起部26は、アースプレート5の欠円形状の中央部5Aの内部に配置されている。このため、アースプレート5が何らかの外力により浮き上がって窓孔25から脱出しようとしても、アースプレート5の垂下部5Bが小突起部26に引っ掛かることになり、したがって、アースプレート5の窓孔25からの脱出は、すなわち、アースプレート5のレール係合部材3からの脱落は、防止されるようになっている。
【0044】
なお、レール係合部材3の雌ねじ孔3Aに螺入されているボルト4の雄ねじ軸4Bの下部は、窓孔25に露出している。
【0045】
図2に示されているように、アースプレート5のそれぞれの水平部5Cの先端には、斜め外側へ起立している起立部5Dが形成されている。
図3から分かるように、起立部5Dは、それぞれの水平部5Cについて複数個、具体的には2個設けられ、それぞれの起立部5Dの先端は、先鋭化した端部5Eとなっている。
【0046】
図3に示されているように、レール係合部材3のベース部20の長さ方向の寸法は、L1であり、また、
図2に示されているように、ベース部20の幅方向の寸法は、L2である。なお、寸法L1は寸法L2よりも大きく、また、レール係合部材3の立上部21の長さ方向の寸法は、
図3から分かるように、ベース部20の長さ方向の寸法と同じL1となっている。また、
図2に示されているように、レール部材40の上向きに開口している開口部44の開口幅の寸法は、言い換えると、前述の一対のリップ部43の間隔は、L3である。さらに、
図3に示されているように、レール係合部材3の立上部21に形成されている一対の凹部23の間隔は、L4である。
【0047】
そして、ベース部20の幅方向の寸法L2及び一対の凹部の間隔L4は、レール部材40の一対のリップ部43の間隔L3よりも小さく、立上部21の長さ方向の寸法L1は、レール部材の一対のリップ部の間隔L4よりも大きくなっている。
【0048】
以上の本実施形態に係る取付装置1では、上側の部材となっている押込部材2と下側のレール係合部材3は、ボルト4により連結されており、また、アースプレート5は、上述のようレール係合部材3に脱落が防止されて配設されているとともに、この配設が、一対の垂下部5Bがレール係合部材3の立上部21を挟着した状態で行われているため、アースプレート5がレール係合部材3に対して遊動することはない。したがって、これらの押込部材2とレール係合部材3とボルト4とアースプレート5を連結一体化した状態にして、例えば、工場からソーラーパネル設置現場に運ぶことができ、このため、工場やソーラーパネル設置現場での取付装置1の取り扱いや保管等を容易に行える。
【0049】
次に、レール部材40の上にソーラーパネル30を本実施形態の取付装置1により取り付ける作業について説明する。
【0050】
最初に屋根50の上に複数本のレール部材40を、これらのレール部材40の長さ方向を屋根勾配方向にして設置し、屋根50の上に平行にして設置したそれぞれのレール部材40を、図示しない固定具により屋根仕上材に固定する。次いで、レール部材40に対する取付装置1の向きを
図2及及び
図3で示した向きとし、すなわち、レール部材40の長さ方向とレール係合部材3のベース部20の長さ方向とを一致させた向きとし、この後に、取付装置1を降ろし、レール部材40の開口部44に挿入したベース部20の高さ位置がレール部材40のリップ部43の高さ位置よりも低くなった後に、取付装置1を90度回動させる。
【0051】
このように取付装置1を90度回動させたときの状態が
図4に示されている。このときには、レール部材40の一対のリップ部43は、レール係合部材3の立上部21に形成されている一対の凹部23に挿入係合しており、これにより、これらのリップ部43の上面にレール係合部材3の立上部21を載せることができるとともに、レール係合部材3の下部に設けられているベース部20及びベース部20の近辺だけをレール部材40の内部に挿入した状態にして、レール係合部材3をレール部材40に係合させることができる。
【0052】
なお、このようにレール係合部材3をレール部材40に係合させることは、上述したように、寸法L2及び間隔L4を間隔L3よりも小さくし、寸法L1を間隔L4よりも大きくすることにより行うことができる。
【0053】
また、取付装置1を90度回動させたときには、
図4に示されているように、アースプレート5に設けられているそれぞれの起立部5Dが、レール部材40の上向きに開口している開口部44にレール部材40の内部から臨んでいる。
【0054】
次いで、ボルト4を緩めることにより、押込部材2をレール係合部材3に対して持ち上げ、それぞれのレール部材40の上に載せたソーラーパネル30の端部を、
図5で示すように押込部材2の前述した押圧部10の下側に配置した後に、ボルト4の頭部4Aをレンチ等の手動式又は電動式工具で回転させる作業を行う。これにより、レール係合部材3の雌ねじ孔3Aに螺入していたボルト4の雄ねじ軸4Bはこの雌ねじ孔3Aに螺進して、ボルト4の頭部4Aが、ばね座金7と平座金6を介して押込部材2の押圧部10に下方への加圧荷重を作用させるとともに、レール係合部材3は、ボルト4による引き上げ作用により押込部材2に対して上昇し、これにより、
図6に示されているように、レール係合部材3のベース部20の上面がレール部材40のリップ部43の下面に密着し、また、押込部材2は、ソーラーパネル30をレール部材40と共に挟着固定することになる。
【0055】
これにより、ソーラーパネル30は、本実施形態に係る取付装置1によって屋根50に設置されたレール部材40に取り付けられたことになり、そして、本実施形態に係る取付装置1の押込部材2は、レール部材40に、取付装置1の配置箇所分の間隔を開けて配置される2個のソーラーパネル30に跨る幅寸法を有しているため、1個の取付装置1により、互いに隣接している2個のソーラーパネル30が同時に押込部材2とレール部材40とにより挟着固定されることになる。
【0056】
また、本実施形態によると、押込部材2の押圧部10はソーラーパネル30の上面に当接してソーラーパネル30を下方に押圧し、この押圧力は、押圧部10の上面に露出しているボルト4の頭部4Aをレンチ等の工具で回転させることにより生ずるため、この頭部4Aの高さ位置は、このボルト4の配置位置におけるソーラーパネル30の上面の高さ位置よりも高い高さ位置となっている。このため、レンチ等で頭部4Aを回転させる作業を行う際に、この工具がソーラーパネル30の側面に当接することはなく、すなわち、工具がソーラーパネル30の側面に当接することを気にすることなく、頭部4Aを回転させる作業を行え、このため、この回転作業を迅速に行え、作業性を向上させることができる。
【0057】
また、上述のようにレール係合部材3のベース部20の上面がレール部材40のリップ部43の下面に密着したときには、
図6に示されているように、アースプレート5の起立部5Dはソーラーパネル30の下面に接触しており、ソーラーパネル30に接触する起立部5Dの先端は先鋭化した端部5Eとなっているため、アースプレート5は、ソーラーパネル30のフレームの表面を覆っている電気絶縁塗皮膜を突き破ってこのフレームに接続することになる。このため、それぞれ導電性の材料で形成されているアースプレート5及びレール係合部材3を介してソーラーパネル30のフレームとレール部材40とが電気的に接続され、さらに、レール部材40は図示しない電気コード等を介して接地されているため、たとえソーラーパネル30から漏電が生じても、この漏電を地面に逃がすことができる。
【0058】
また、本実施形態では、押込部材2の内側嵌合部11とレール係合部材3の外側嵌合部22は、互いに相手に対して上下にスライド自在となっているため、前述したように、ボルト4を緩めることにより押込部材2をレール係合部材3に対して持ち上げるときや、ボルト4の頭部4Aをレンチ等の工具で回転させることにより、レール係合部材3をボルト4による引き上げ作用によって押込部材2に対して上昇させるときに、押込部材2及びレール係合部材3を、内側嵌合部11と外側嵌合部22のガイド作用により、円滑に移動させることができる。
【0059】
さらに、本実施形態によると、前述したようにレール係合部材3の立上部21に設けた一対の凹部23によりレール係合部材3をレール部材40のリップ部43に係合させることは、レール係合部材3の下部に設けられているベース部20及びベース部20の近辺だけをレール部材40の内部に挿入した状態で行うことができるため、レール係合部材3をレール部材40の内部の底部まで挿入しなければならないとした場合と異なり、レール係合部材3のベース部20の上面をレール部材40のリップ部43の下面に密着させるための作業を、ボルト4の雄ねじ軸4Bをレール係合部材3の雌ねじ孔3Aに対して螺進させる距離を短くして行うことができ、このため、作業時間の短縮を図ることができる。
【0060】
図7及び
図8は、別実施形態に係る取付装置101を示す。以下の説明では、前述の実施形態の取付装置1における部材と同じ部材又は同じ機能の部材には同一符号を用いることとする。
【0061】
この実施形態に係る取付装置101は、押込部材2がレール係合部材3に対して下降することを仮停止させることができて、ボルト4の頭部4Aが回転操作されて雄ねじ軸4Bをレール係合部材3雌ねじ孔3Aに対して螺進させることにより、押込部材2をレール係合部材3に対して下降させることができる仮停止手段60を備えている。
【0062】
この仮停止手段60は、押込部材2の内側嵌合部11を形成しているそれぞれの下方延出部13の薄肉部13Bに、押込部材2の幅方向外側へ半円状に突出して形成された第1突部61と、レール係合部材3の外側嵌合部22を形成しているそれぞれの上方延出部24の上端内側に、レール係合部材3の幅方向内側へ半円状に突出して形成された第2突部62と、それぞれの上方延出部24の内側面に、この第2突部62の下面から内側嵌合部11と外側嵌合部22とのスライド方向の開口幅をもって形成され、レール係合部材3の幅方向外側へ窪んでいる窪み部63とを含んで構成されたものとなっている。これらの第1及び第2突部61,62と窪み部63は、押込部材2及びレール係合部材3の長さ方向の全長に渡って連続して形成されている。
【0063】
この実施形態では、ボルト4の頭部4Aをレンチ等の工具で回転させる作業を行う前には、第1突部61が第2突部62の上面に当接することにより、押込部材2はレール係合部材3に対してそれ以上下降することはない。すなわち、このときの押込部材2はレール係合部材3に対して仮停止しており、この仮停止時において、押込部材2におけるソーラーパネル30の上面を押圧するための部分となっている押圧部10についてのレール部材40からの仮停止高さ位置H1は、レール部材40の上に載せられるソーラーパネル30の上面の高さ位置H2よりも高い位置となっている。
【0064】
このように押込部材2をレール係合部材3に対して仮停止させた後に、レール部材40の上に載せたソーラーパネル30を取付装置101の側へ移動させ、押込部材2の押圧部10の下側にソーラーパネル30の端部を配置する。次いで、ボルト4の頭部4Aをレンチ等の工具で回転させる作業を行い、これにより、ボルト4の雄ねじ軸4Bをレール係合部材3の雌ねじ孔3Aに対して螺進させてレール係合部材3を引き上げるとともに、ボルト4の頭部4Aから押込部材2の押圧部10に下方への加圧荷重を作用させることにより、押込部材2に、この押込部材2がレール係合部材3に対して下降するための荷重を与える。これにより、押込部材2の二股形状となっている内側嵌合部11に設けられている2個の第1突部61は、レール係合部材3の二股形状の外側嵌合部22を形成している一対の上方延出部24を押し広げることになり、さらにボルト4の頭部4Aをレンチ等の工具で回転させる作業を行うと、押込部材2はレール係合部材3に対して下降して、第1突部61はレール係合部材3の窪み部63に達する。
【0065】
このように第1突部61がレール係合部材3の窪み部63に達したときの状態が、
図8に示されており、このときには、押込部材2の押圧部10はソーラーパネル30の上面を下方へ押圧しているため、ソーラーパネル30は押込部材2とレール部材40とにより挟着固定されている。また、アースプレート5の起立部5Dの先端は、前述の実施形態と同じく、ソーラーパネル30のフレームの表面に塗布されている電気絶縁塗膜を突き破ってこのフレームに接続している。
【0066】
以上の説明から分かるように、この実施形態によると、仮停止手段60により、押込部材2をレール係合部材3に対して仮停止させておくことができるとともに、この仮停止時において、押込部材2におけるソーラーパネル30の上面を押圧する押圧部10についてのレール部材40からの仮停止高さ位置H1は、レール部材40の上に載せられているソーラーパネル30の上面よりも高い位置となっているため、この仮停止時において、押込部材2の押圧部10の下側に、レール部材40の上にソーラーパネル30を配置することができる。そして、この後に、ボルト4の頭部4Aを回転操作してボルト4の雄ねじ軸4Bをレール係合部材3の雌ねじ孔3Aに対して螺進させることにより、押込部材2をレール係合部材3に対して下降させることができるため、押込部材2とレール部材40とによってソーラーパネル30を挟着固定するための作業を容易に行うことができる。
【0067】
言い換えると、取付装置に上述の仮停止手段60が設けられていない場合には、押込部材2はレール係合部材3に対して最下位置まで下降することになり、このため、ボルト4の頭部4Aを回転操作してボルト4の雄ねじ軸4Bをレール係合部材3の雌ねじ孔3Aに対して螺進させることで押込部材2とレール部材40とによってソーラーパネル30を挟着固定する作業を行う前に、押込部材2を手作業によりレール係合部材3に対して持ち上げなければならないが、この実施形態によると、このような押込部材2の持ち上げ作業を省略することができるため、押込部材2とレール部材40とによってソーラーパネル30を挟着固定する作業を容易かつ迅速に行うことができる。
【0068】
また、仮停止手段60を構成している第1突部61は、押込部材2の下向きの二股形状となっている内側嵌合部11の下方延出部13に形成されているとともに、第2突部62は、レール係合部材3の上向きの二股形状となっている外側嵌合部22の上方延出部24に形成されているため、ボルト4の頭部4Aをレンチ等の工具で回転させて押込部材2に下方への加圧荷重を作用させた際に、下方延出部13の内側への弾性変形と、上方延出部24の外側への弾性変形とにより、第1突部61は第2突部62を容易に越えて窪み部63に達することになり、このため、押込部材2とレール部材40とによってソーラーパネル30を挟着固定する作業を確実に行うことができる。
【0069】
図9及び
図10は、長さ方向が屋根勾配方向となって屋根の上に設置されたレール部材40の下り側の端部、言い換えると、レール部材40における屋根の軒側の端部に配置される端部用の取付装置201について実施形態を示している。
図10は、
図9のS10−S10線断面図である。
【0070】
この端部用の取付装置201も、これまでの実施形態の取付装置1、101と同じく、上側の押込部材2と、ボルト4により押込部材2と連結されている下側のレール係合部材3とを有し、端部用の押込部材2には、端部用のレール係合部材3の外側嵌合部22の内部に上下スライド自在に挿入されている内側嵌合部11が設けられ、また、レール係合部材3のベース部20から立ち上がっている立上部21には、レール部材40のリップ部43を挿入係合させるための一対の凹部23が形成されている。さらに、この端部用の取付装置201にも、
図10に示されているように、仮停止手段60が設けられている。
【0071】
そして、この実施形態における端部用のレール係合部材3のベース部20の下部には、欠円形状のボルト挿通部70が形成されており、レール部材40の内部に挿入されているこのボルト挿入部70には、
図9に示すとおり、レール部材40に横断架設されてナット72でレール部材40に固定されたボルト71の雄ねじ軸71Bが挿通されている。このため、この端部用のレール係合部材3は、ボルト71によりレール部材40と結合されている。
【0072】
また、この実施形態でも、ボルト4の頭部4Aがレンチ等の工具で回転操作されると、端部用の押込部材2の押圧部10に下方への加圧荷重が作用して、ソーラーパネル30が押込部材2とレール部材40とにより挟着固定されるとともに、この挟着固定は、
図10に示されているとおり、この押込部材2の内側嵌合部11に、ソーラーパネル30における屋根勾配方向の下り側の端部の側面30Aを当接させて行うことができる。
【0073】
すなわち、この実施形態では、押込部材2の内側嵌合部11が、ソーラーパネル30における屋根勾配方向の下り側の端部の側面30Aを当接させるための当接部になっている。したがって、この実施形態によると、レール部材40と結合された端部用のレール係合部材3にボルト4を介して端部用の押込部材2が連結されていて、この端部用の押込部材2に、ソーラーパネル30における屋根勾配方向の下り側の端部の側面30Aと当接する当接部が設けられているため、このソーラーパネル30がレール部材40に沿って屋根勾配方向の下側にスライド降下してしまうことを、端部用の押込部材2により防止することができる。
【0074】
このため、この実施形態に係る端部用の取付装置201は、押込部材2により、ソーラーパネル30をレール部材40と共に挟着固定するための機能と、押込部材2により、ソーラーパネル30がレール部材40に沿って屋根勾配方向の下側にスライド降下してしまうことを防止するための機能とを備えたものとなっている。
【0075】
また、この端部用の取付装置201の押込部材2には、
図10に示されているように、レール部材40の屋根勾配方向の下り側の開口端面40Aを塞ぐことができるカバー部73が形成されており、このため、端部用の押込部材2により、この開口端面40Aを塞ぐこともできる。したがって、この端部用の押込部材2は、レール部材40の屋根勾配方向の下り側の開口端面40Aを塞ぐための部材を兼ねることになる。
【0076】
なお、この実施形態におけるレール部材40は、長さ方向が屋根勾配方向と直角をなす方向となって屋根に設置されていたが、長さ方向が屋根勾配方向となって屋根に設置されるレール部材の長さ方向の端部にも、この実施形態に係る端部用の取付装置201を配置することができる。
【0077】
また、この実施形態の端部用の押込部材2と端部用のレール係合部材3には、互いに相手に対して上下スライド自在とするためのスライド部74,75が設けられ、押込部材2の側のスライド部74はカバー部73に形成されている。
【0078】
また、
図9及び
図10には前述したアースプレート5が示されていないが、このアースプレート5を、これまでの実施形態と同様に、端部用のレール係合部材3に配置してもよい。