特許第5687685号(P5687685)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5687685
(24)【登録日】2015年1月30日
(45)【発行日】2015年3月18日
(54)【発明の名称】エッチャント組成物および方法
(51)【国際特許分類】
   C23F 1/18 20060101AFI20150226BHJP
   C23F 1/26 20060101ALI20150226BHJP
   H05K 3/06 20060101ALI20150226BHJP
   H01L 21/308 20060101ALI20150226BHJP
   H01L 21/306 20060101ALI20150226BHJP
【FI】
   C23F1/18
   C23F1/26
   H05K3/06 N
   H01L21/308 F
   H01L21/306 F
【請求項の数】2
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2012-503735(P2012-503735)
(86)(22)【出願日】2010年4月2日
(65)【公表番号】特表2012-522895(P2012-522895A)
(43)【公表日】2012年9月27日
(86)【国際出願番号】US2010029741
(87)【国際公開番号】WO2010115075
(87)【国際公開日】20101007
【審査請求日】2013年3月13日
(31)【優先権主張番号】61/166,267
(32)【優先日】2009年4月3日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/166,273
(32)【優先日】2009年4月3日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】12/721,903
(32)【優先日】2010年3月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390023674
【氏名又は名称】イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
(73)【特許権者】
【識別番号】511239258
【氏名又は名称】ドンウー ファイン−ケム カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ジェフリー ドゥランテ
(72)【発明者】
【氏名】イ スン ジン
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ピーター トゥファノ
(72)【発明者】
【氏名】パク ヨン チュル
(72)【発明者】
【氏名】イ ジュン ウー
(72)【発明者】
【氏名】イ スン ヨン
(72)【発明者】
【氏名】イ ヒュン キュ
(72)【発明者】
【氏名】イ ユー ジン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン サン フン
【審査官】 瀧口 博史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−059191(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/143127(WO,A1)
【文献】 特開2002−241968(JP,A)
【文献】 特開2005−029853(JP,A)
【文献】 特表2006−522003(JP,A)
【文献】 特開2008−227508(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23F 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)組成物の2.5重量%〜80重量%の高濃度モノ過硫酸カリウムであって、前記高濃度モノ過硫酸カリウムに対する活性酸素の割合が0.025重量%〜0.8重量%であり、活性酸素対不活性硫酸塩の重量比が0.8:1〜1.7:1である高濃度モノ過硫酸カリウム;
B)組成物の0.01重量%〜30重量%の、
B1)有機酸、有機酸のアルカリ金属塩、有機酸のアンモニウム塩、もしくは有機酸のホモポリマー、または
B2)ホスホニウム(phosphonium)もしくはテトラゾリウムのハロゲンもしくは硝酸塩、または
B3)成分B1)とB2)との混合物;
C)組成物の0.01重量%〜10重量%の、第二鉄塩およびそれらの水和物、ならびに第二銅塩およびそれらの水和物からなる群から選択される補助酸化剤;および
D)組成物の0重量%から97.49重量%の水、
を含んでなるエッチャント組成物。
【請求項2】
1)基材の表面上に形成された第1金属膜、前記第1金属膜上に形成された第2金属膜、前記第2金属膜上に形成された任意選択の追加の金属膜を有する基材を提供する工程と、
2)前記基材を請求項1に記載のエッチャント組成物と接触させる工程と、
を含んでなる基材のエッチング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント回路基板、表示パネル、または半導体などの、電子部品の製造における使用のための湿式エッチャント組成物、およびそれを使用することによるエッチングまたは金属パターンの形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体素子および平面表示装置において、基材上の金属ワイヤの形成方法は、スパッタリングを用いることによる金属膜形成工程と、フォトレジスト塗布、露光および現像を用いることによる選択的領域におけるフォトレジスト形成工程と、エッチング工程とからなり、個々の単位工程の前後に洗浄工程を含む。
【0003】
エッチング法は、フォトレジストマスクと、一般に過剰のデブリおよび金属を除去するためにプラズマを使用する乾式エッチングまたはエッチャント組成物を使用する湿式エッチングとを用いることによって金属膜が選択的領域に留まる方法である。
【0004】
湿式エッチング法を用いて銅含有膜および銅合金含有膜をワイヤとして形成するために、様々なタイプのエッチャント組成物が提案されてきたが、様々な欠点を有する。エッチング工程中に、エッチャント液の金属濃度は増加する。したがって、エッチャント組成物が高い金属負荷容量を有することが望ましい。しかし、幾つかの先行技術溶液では、溶解した金属がエッチング工程において触媒として働き、エッチングの品質に悪影響を及ぼす。
【0005】
米国特許第7,442,323号明細書は、エッチング液における使用のための高濃度モノ過硫酸カリウム、およびこのような化合物を使用する金属のエッチング方法を開示している。しかし、具体的なエッチング組成物は開示されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
それ故、この分野におけるエッチャント安定性問題を回避するために、湿式エッチング工程中に取り上げられる溶解金属によって触媒されない、塩沈澱を回避する、そしてエッチングに関して優れた特性を有するエッチャント組成物を開発することが必要とされている。本発明は、このようなエッチング液およびそれを使用するエッチング方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
A)約0.025重量%〜約0.8重量%の活性酸素を提供する高濃度モノ過硫酸カリウム;
B)組成物の約0.01重量%〜約30重量%のB1)有機酸、有機酸のアルカリ金属塩、有機酸のアンモニウム塩、もしくは有機酸のホモポリマー、またはB2)ホスホニウム、もしくはテトラゾリウムのハロゲンもしくは硝酸塩、またはB3)成分B1)とB2)との混合物;および
C)組成物の約0重量%〜約97.49重量%の水;
を含んでなるエッチャント組成物を含んでなる。
【0008】
本発明は、1)基材の表面上に形成された第1金属膜、第1金属膜上に形成された第2金属膜、および第2金属膜上に形成された任意選択の追加の金属膜を有する基材を提供する工程と、2)前記基材を上記のような本発明のエッチャント組成物と接触させる工程とを含んでなる基材のエッチング方法をさらに含んでなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】その上にCu/Mo二重膜およびフォトレジストが堆積された、そして実施例2のエッチャント組成物を使用することによって次にエッチングされた基材の走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
図1B】その上にCu/Mo二重膜およびフォトレジストが堆積された、そして、フォトレジストが剥離された後に、実施例2のエッチャント組成物を使用することによってエッチングされた基材の走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
図2A】その上にCu/Mo二重膜およびフォトレジストが堆積された、そして実施例3のエッチャント組成物を使用することによってエッチングされた基材の走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
図2B】その上にCu/Mo二重膜およびフォトレジストが堆積された、そして、フォトレジストが剥離された後に、実施例3のエッチャント組成物を使用することによってエッチングされた図2Aの基材の走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
商品名は、大文字によって本明細書では示される。
【0011】
本明細書において使用される場合「高濃度モノ過硫酸カリウム」は、0.025重量%〜0.8重量%の活性酸素の活性酸素含有率を有するペルオキシモノ硫酸水素カリウムの水溶液を意味する。この溶液は、E.I.du Pont de Nemours and Company(Wilmington,DE)から高濃度形態で商業的に入手可能であり、使用のために希釈することができる。この溶液は、米国特許第7,442,323号明細書に開示されている方法に従って、E.I.du Pont de Nemours and Company(Wilmington,DE)からOXONEモノ過硫酸塩化合物として商業的に入手可能なトリプル塩(2KHSO5・KHSO4・K2SO4)から調製することができる。
【0012】
用語「活性酸素」(AO)は、化合物の相当する還元形態で存在するものを上回る原子状酸素の量である。活性酸素は重量パーセントとして表される。たとえば、KHSO4の還元形態を有する、KHSO5については、活性酸素は次式によって計算される:
【0013】
【数1】
【0014】
本発明は、第1金属膜および第2金属膜をエッチングすることができる、第1シングル金属膜、第2シングル金属膜、および任意選択の追加の金属膜を含んでなるマルチ膜をまとめて湿式エッチングすることができるエッチャント組成物を含んでなる。好ましくは、基材の表面上の第1金属膜は、モリブデンまたはチタンを含んでなり、第2金属膜は、銅を含んでなる。本エッチャント組成物は、優れたエッチング特性および安定性を有する。本発明は、本発明のエッチャント組成物を使用することによるエッチング方法をさらに含んでなる。さらに、エッチング工程において、エッチャント配合物の安定性は確保され、下方接着促進膜への損傷はまったくなく、一様なエッチング特性が得られる。本組成物は、大型基材に適用することができ、用いられる装置への損傷がまったくないので、優れた生産性が提供される。
【0015】
本発明は、
A)約0.025重量%〜約0.8重量%の活性酸素、好ましくは約0.03重量%〜約0.6重量%、より好ましくは約0.03重量%〜約0.5重量%の活性酸素を提供するための量で高濃度モノ過硫酸カリウム;B)組成物の約0.01重量%〜約30重量%、好ましくは約0.1重量%〜約20%、より好ましくは約0.1重量%〜約10重量%のB1)有機酸、有機酸のアセテート塩、有機酸のアンモニウム塩;もしくは有機酸のホモポリマー、またはB2)ホスホニウム、もしくはテトラゾリウムのハロゲンもしくは硝酸塩、またはB3)成分B1)とB2)との混合物;およびC)組成物の約0重量%〜約97.49重量%の水を含んでなるエッチャント組成物を提供する。エッチング組成物の任意選択の成分としては、第2酸化剤および異方性エッチング剤が挙げられる。好適な第2酸化剤の例としては、第二鉄塩およびそれらの水和物、第二銅塩およびそれらの水和物、過酸化水素、または硝酸が挙げられる。異方性エッチング剤としては、芳香族または複素環アミン化合物が挙げられる。
【0016】
本明細書において使用されるような高濃度モノ過硫酸カリウムは、約0.025重量%〜約0.8重量%の活性酸素の活性酸素含有率を有する水溶液である。高濃度モノ過硫酸カリウムの商業的に入手可能な溶液は、エッチングにおける使用に好適なこの活性酸素範囲を得るために水で希釈される必要があろう。より高濃度の市販溶液の使用は、製造運転において実用的でないほどに短いエッチング時間をもたらす可能性がある。
【0017】
本発明によるエッチャント組成物中に含められる高濃度モノ過硫酸カリウムは、銅を酸化し、そしてエッチング一様性を向上させる成分である。高活性酸素に加えて、高濃度モノ過硫酸カリウム溶液はまた、低濃度の不活性硫酸塩を有する。高濃度モノ過硫酸カリウムの活性酸素対不活性塩重量比は、約0.8:1〜約1.7:1の範囲である。向上したSO5/SO4重量比は、金属塩溶解度を大きく向上させ、先行技術で見いだされる沈澱問題を排除する。希釈は、活性酸素対不活性硫酸塩の比に影響を及ぼさない。したがって希釈は、活性酸素対不活性硫酸塩の比を依然として維持しながら活性酸素を所望の範囲に調節するために使用することができる。先行技術の固体モノ過硫酸カリウム・トリプル塩、および先行技術における商業的に入手可能なモノ過硫酸カリウム塩から調製された溶液の活性酸素対不活性硫酸塩重量比は、約0.15:1である。
【0018】
高濃度モノ過硫酸カリウムは、組成物の総重量を基準として約2.5重量%〜約80重量%の量で本発明のエッチャント組成物中に含められる。好ましくは、E.I.du Pont de Nemours and Company(Wilmington,Delaware)製の商業的に入手可能な高濃度モノ過硫酸カリウムが用いられる。高濃度モノ過硫酸カリウムは、組成物の総重量を基準として約2.5重量%〜約80重量%、より好ましくは約3重量%〜約50重量%、より好ましくは約5重量%〜約50重量%の量で好ましくは含められる。十分な量の高濃度モノ過硫酸カリウムが、銅に対する低下したエッチング速度、または一様でないエッチングによる汚れのあらゆる形成を回避するために使用される。過剰量の高濃度モノ過硫酸カリウムの使用は、銅の過剰エッチングを防ぐために回避される。
【0019】
本発明のエッチャント組成物の第2成分は、有機酸、有機酸の塩、または有機酸のホモポリマーである。好適な有機酸は、水溶性のカルボン酸、ジカルボン酸、またはトリカルボン酸である。好ましくは、酸は、酢酸、ブタン酸、クエン酸、ギ酸、グルコン酸、グリコール酸、マロン酸、シュウ酸、ペンタン酸、スルホ安息香酸、スルホコハク酸、スルホフタル酸、サリチル酸、スルホサリチル酸、安息香酸、乳酸、グリセリン酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、イソクエン酸、プロペン酸、および前述の酸のそれぞれのアルカリ金属塩の1つ以上である。本明細書における使用に好適な有機酸の塩の例は、カルボン酸、ジカルボン酸、またはトリカルボン酸の水溶性のアンモニウムまたはアルカリ金属塩である。好ましくは、塩は、酢酸塩、ブタン酸塩、クエン酸塩、ギ酸塩、グルコン酸塩、グリコール酸塩、マロン酸塩、シュウ酸塩、ペンタン酸塩、スルホ安息香酸塩、スルホコハク酸塩、スルホフタル酸塩、またはその他の類似の塩の1つ以上である。塩は、アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、またはその他のアルカリ金属塩であることができる。有機酸の好適なホモポリマーの例としては、ポリアクリル酸、ポリビニル酸硫酸塩、およびポリビニルピロリジンが挙げられる。
【0020】
有機酸、それの塩、またはそれのホモポリマーの代替品として、ホスホニウム、テトラゾリウム、のハロゲンもしくは硝酸塩、またはそれらの置換類似物が、エッチャント組成物の第2成分としての使用に好適である。好ましいハロゲン塩は、フッ化物、塩化物、臭化物、またはヨウ化物である。上記の有機酸、それの塩、またはそれのホモポリマーと、ホスホニウム、またはテトラゾリウム塩との混合物もまた、エッチャント組成物の第2成分としての使用に好適である。ホスホニウム、またはテトラゾリウム塩にとって好ましい置換基は、C10〜C18アルキル、ベンジル、およびC10〜C14アルキルベンジル置換である。例としては、テトラフェニルホスホニウムおよびトリフェニルテトラゾリウムが挙げられる。
【0021】
有機酸成分は、本発明によるエッチャント組成物中に含められ、銅をスムーズにエッチングする働きをする。それは、エッチング量、エッチング速度、およびエッチング一様性を向上させる。有機酸、それの塩、それのホモポリマー、またはホスホニウム、もしくはテトラゾリウム塩、またはそれらの混合物は、エッチャント組成物の総重量を基準として約0.01重量%〜約30重量%の量で含められる。この第2成分は好ましくは、組成物の総重量を基準として約0.01〜約20重量%、より好ましくは約0.02重量%〜約10重量%、より好ましくは約0.02重量%〜約0.5重量%の量で含められる。過剰量のこの成分の使用は、銅の過剰エッチングを防ぐために回避される。
【0022】
本発明のエッチャント組成物の第3成分は水である。本発明において使用される水は、脱イオン水であり、通常、半導体プロセス用の脱イオン水が使用される。使用される水は、1センチメートル当たり18メガオーム以上の純度を有することが好ましい。水は、3つの成分の合計がエッチャント組成物の100重量%となるようなエッチャント組成物の残りの部分である。典型的には水は、エッチャント組成物の約0重量%〜約97.49重量%、好ましくは約20重量%〜約95重量%、より好ましくはエッチャント組成物の約30重量%〜約90重量%で存在する。
【0023】
本エッチャント組成物の1つの任意選択の成分は第2酸化剤である。好適な第2酸化剤の例としては、第二鉄塩もしくはそれらの水和物、第二銅塩もしくはそれらの水和物、過酸化水素、または硝酸が挙げられる。第二鉄塩としては、Fe3+を含有するものが挙げられ、塩のタイプは限定されない。好適な塩の例としては、Fe(NO33、Fe2(SO43、NH4Fe(SO42、FePO4、または前述のもののそれぞれの水和物の1つ以上が挙げられる。第二銅塩は、Cu2+を含有するものであり、塩のタイプは限定されない。好適な塩の例としては、Cu(NO32、CuSO4、NH4CuPO4、または前述のもののそれぞれの水和物の1つ以上が挙げられる。本発明によるエッチャント組成物中に含められる第2酸化剤は、モリブデンを酸化し、エッチング速度を増加させ、エッチングされた残留物を除去し、そして銅をエッチングすることができる補助酸化剤として働く。
【0024】
任意選択の第2酸化剤は、組成物の総重量を基準として約0.01重量%〜約15重量%の量で含められる。第2酸化剤は好ましくは、組成物の総重量を基準として約0.1重量%〜10重量%、より好ましくは約0.5重量%〜約5重量%の量で含められる。過剰量の第2酸化剤の使用は、下層の基材または下方膜の損傷を防ぐために、およびエッチング速度を著しく増加させ、それ故過剰エッチングによりパターンを除去する可能性を防ぐために回避される。基材の例は、ガラスおよび酸化ケイ素膜、窒化ケイ素膜、非晶質シリコン、ポリシリコン、ドープされた非晶質シリコン、ドープされたポリシリコンなどの半導体膜である。
【0025】
本発明のエッチャント組成物の追加の任意選択の成分は、異方性エッチング剤である。このような試剤の好適な例は、芳香族アミン化合物である。本発明によるエッチャント組成物中に含められる任意選択のアミン化合物は、銅膜のエッチング速度の制御に寄与する成分である。さらに、複素環式芳香族アミンについては、この化合物の複素環において提供される窒素原子の非共有電子対は、銅に結合し、有機汚染物質が銅上へ再吸着されるのを防ぎ、こうして銅の攻撃を最小限にする。
【0026】
芳香族アミン化合物は、組成物の総重量を基準として約0.005重量%〜約10重量%の量で含められる。アミン化合物は、組成物の総重量を基準として約0.01重量%〜約5重量%、より好ましくは約0.05重量%〜約3重量%の量で含められる。アミン化合物はピロリジン、ピロリン、ピロール、インドール、ピラゾール、イミダゾール、ピリミジン、プリン、ピリジン、アミノテトラゾール、またはそれらの誘導体の1つ以上である。
【0027】
本発明のエッチャント組成物の追加の任意選択の成分は腐食抑制剤である。腐食抑制剤の好適な例としては、有機酸、それのアルカリ金属塩、およびイミダゾール類が挙げられる。好適な抑制剤の例としては、次の酸が挙げられる:フタル酸、クエン酸、グリコール酸、安息香酸、およびスルホフタル酸。好ましい塩としては、ナトリウムまたはカリウムが挙げられる。腐食抑制剤は、陰イオン性、陽イオン性またはそれらの混合物であることができる。陰イオン性である、または十分な陰イオン性特性を持った混合物であるものはまた、異方性エッチング剤として機能することができる。
【0028】
本発明によるエッチャント組成物は、より一様なエッチングを提供するためにリン酸を任意選択的にさらに含んでなることができる。本発明によるエッチャント組成物はまた、上述の成分に加えて界面活性剤、金属イオン遮断剤、腐食防止剤、およびpH調整剤の1つ以上をさらに含んでなることができる。腐食防止剤としては、安息香酸、そのスルホン化誘導体、またはオルトリン酸水素二ナトリウムなどのリン酸塩を挙げることができる。
【0029】
本発明のエッチング組成物は、周囲温度での成分の混合によって調製される。成分は、合計が100重量%になるようにブレンドされる。成分は、あらゆる順番にブレンドすることができる。機械撹拌機を、完全な溶解を確実にするために用いることができる。
【0030】
本発明は、1)基材の表面上に形成された第1金属膜、第1金属膜上に形成された第2金属膜、および第2金属膜上に形成された任意選択の追加の金属膜を有する基材を提供する工程と、2)前記基材を上で記載されたようなエッチャント組成物と接触させる工程とを含んでなる基材のエッチング方法をさらに含んでなる。好ましくは、エッチャント組成物は、
A)約0.025重量%〜約0.8重量%の活性酸素を提供する高濃度モノ過硫酸カリウム;
B)組成物の約0.01重量%〜約30重量%のB1)有機酸、有機酸のアルカリ金属塩、有機酸のアンモニウム塩、もしくは有機酸のホモポリマー、またはB2)ホスホニウム、もしくはテトラゾリウムのハロゲンもしくは硝酸塩、またはB3)成分B1)とB2)との混合物;および
C)組成物の約0重量%〜約97.49重量%の水
を含んでなる。
【0031】
好ましくは、基材の表面上の第1金属膜は、モリブデンまたはチタンを含んでなり、第2金属膜は、銅を含んでなる。
【0032】
本発明の方法において、最初の工程1)には、基材の表面上に1つまたは複数の第1金属膜、および第1金属膜上に第2金属膜を有する基材を提供する工程が含まれる。好適な基材としては、シリコンウェーハ、ガラス基材、ステンレススチール基材、プラスチック基材または石英基材が挙げられる。基材は、金属膜が基材表面上に既に存在する状態で得ることができるか、または金属膜は表面上に形成することができる。基材は、フォトマスクプロセスを用いて前もってパターン化することができるか、またはパターン化しないことができる。金属膜は、様々な方法のいずれによっても形成することができる。真空蒸着法またはスパッタリング法を用いて膜を形成することが好ましい。膜は次に、典型的な洗浄工程、引き続き従来型フォトマスクプロセスにかけることができる。
【0033】
第2工程2)において、前もってパターン化されていてもよい基材が、基材を本発明のエッチャント組成物と接触させることによってエッチングされる。この接触には、浸漬法、吹き付け法、および接触のその他の手段が含まれ得る。エッチング工程の間、エッチング液の温度は、約25℃〜約50℃の範囲にある。温度は、必要ならば、その他のプロセスおよびその他の因子を考慮して変更することができる。
【0034】
あるいは、パターンは、上記のような本発明のエッチャント液と接触させる前にフォトレジストプロセスを用いて基材上に形成される。フォトレジストは、フォトレジストマスクを第2膜上へ先ず層状にすることによって工程1)において堆積された最外膜上に形成される。フォトレジストは、リソグラフィーによって、典型的には光への暴露によって選択的に露光される。光は、光開始剤と反応して膜の露光部分において変化を引き起こす。露光されたフォトレジストは後焼き付けにかけられる。後焼き付けされたフォトレジストは、フォトレジストまたはマスキングパターンを形成するために従来型現像液と接触させることによって現像される。フォトレジストパターンがその上に形成された、第1および第2膜は次に、金属パターンを完成させるために前記のような本発明によるエッチャント組成物と接触させることによってエッチングされる。
【0035】
異方性エッチング剤が腐食抑制剤としてエッチャント組成物中に存在するとき、エッチング速度は、2つの様式で調節されるかまたは低下させられる。第1に、異方性エッチング剤は全体的な銅エッチング速度を低下させ、エッチャントに、存在する流体力学的条件をうまく利用させる。一般に、全体的な銅エッチング速度は余りにも速く、銅除去がパターンを完全に損なうように基材へのフォトレジストパターン付着を失わせるであろう。これは、十分なエッチング能力を、液晶表示パネルなどの、ある種の用途向けに提供するために必要とされる配合物中の大過剰の酸化剤のためである。しかし、吹き付けられたエッチャントの力がフォトレジストの下側でよりも薄膜トランジスタパターンの底部で大きい流体力学的条件がある。銅がエッチング除去されるにつれて、覆いかぶさっているフォトレジストが下層の銅を遮蔽する。異方性エッチング剤は、溶液速度がフォトレジストパターンの下でより遅い場合には、より大幅にエッチング速度を低下させることによって第2の様式でエッチング速度を抑える(低下させる)。アノード表面への吸着をもたらす腐食抑制剤は、物質移動律速反応速度になりやすいであろう。より高い溶液速度は、物質移動状態を低下させ、横向きエッチングより速い下向きエッチングを可能にする。
【0036】
本発明の方法において、第1金属膜、および第2金属膜は、平面表示装置のあらゆる1つまたは複数のデータ回線、スキャンライン、ゲート電極、およびソース/ドレイン電極であることができる。
【0037】
本発明の方法は、プリント回路基板、表示パネル、または半導体などの、電子部品の製造において有用である。本方法は、小さいまたは大きいサイズの基材にとって有用である。一様なエッチングが下方接着促進膜への損傷なしに得られる。
【0038】
試験方法
試験方法1−電気化学的試験方法
抑制剤のアノード特性およびエッチャント組成物の溶液速度に対する抑制剤の応答を評価するために電気化学的方法が用いられた。用いられた計装は、EIS 300、およびDC 105ソフトウェアを実行する、Gamry MultEchem 8であった。ポテンシオスタット系は、銅作用電極、白金対電極、およびLuggin型塩橋のSCE付きの3電極系であった。回転電極は、PineモデルAGMSRCEであった。試料エッチャント組成物のアノード特性は、DC分極曲線を用いて測定され、エッチング速度は、AC電気化学的インピーダンス分光法(Electrochemical Impedance Spectroscopy)(EIS)を用いて測定された。測定は、固定電極および回転ディスク電極の両方で行われた。
【実施例】
【0039】
実施例1〜3
試験クーポンは、Corning Incorporated(Corning,NY)製のガラス基材表面上への直流スパッタリングを用いて厚さ100〜500オングストロームのモリブデンの膜を先ず堆積することによって調製した。これに、直流スパッタリングを用いるモリブデン膜上の厚さ1000〜5000オングストロームの銅膜の形成が続いた。クーポンを次にフォトマスクプロセスによってパターン化した。ポジ型フォトレジスト(Dongwoo Fine−Chem Company Ltd.(Seoul,S.Korea)から入手可能なDWD−520)を銅膜上へスピンコートしてマスクを形成した。クーポンを次に、リソグラフを通過する光にさらし、レジスト中の光開始剤がフォトレジストの露光部分を重合させた。これに、2.4重量%の水酸化テトラメチルアンモニウムの溶液と接触させることによる現像が続いてフォトレジストの非露光非重合部分を除去し、それによってクーポン上にパターンを残した。
【0040】
エッチャント組成物を、次表1に記載される重量パーセントに従って成分を混合することによって調製した。実施例1〜3のエッチャント組成物および試験クーポンをスプレー型エッチング試験装置(SEMES,Co.,Ltd.によって製造された)へ入れ、30℃に加熱した。温度が30℃±0.1℃に近づいたとき、試験されるべきエッチャント組成物を試験クーポン上へ吹き付けた。EPD(終点検出)で表2にリストされる秒数プラスそれより40%多い時間吹き付けを続行した。この時間後に基材を装置から取り出した。基材を次に脱イオン水を使用することによって洗浄し、ホット強制空気乾燥装置を用いることによって乾燥させた。フォトレジストを、フォトレジスト剥離剤を使用することによって除去した。洗浄および乾燥後に、走査電子顕微鏡(SEM;株式会社日立製作所によって製造された、商標:S−4700)を用いてサイドエッチング損失、下方膜へのあらゆる損傷、およびエッチング残留物質を評価した。得られたデータを表2に示す。
【0041】
比較例AおよびB
エッチャント液を、次表1に記載される重量パーセントに従って成分を混合することによって調製した。実施例1〜3の方法を用いて試験クーポンをエッチングした。生じたエッチングされたクーポンを、実施例1〜3のように走査電子顕微鏡を用いて評価した。得られたデータを表2に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
表2から、エッチングが本発明の実施例1〜3のエッチャント組成物を使用して行われるときに、優れたエッチング特性が得られたことを理解できる。エッチャント組成物中の高濃度モノ過硫酸カリウムの含有率が実施例1〜3のそれにおけるより低く、そして複素環アミン化合物の含有率が実施例1〜3におけるそれより高い、比較例Aの場合には、銅がエッチングされないという点において問題があった。エッチャント液中の高濃度モノ過硫酸カリウムおよび第2酸化剤の含有率が実施例1〜3において使用されたものより高い、比較例Bの場合には、銅とモリブデンとの二重膜のエッチング速度が著しく増加し、ワイヤが過剰エッチングのために失われた。
【0045】
図1Aは、その上にCu/Mo二重膜およびフォトレジストが堆積された、実施例2のエッチャント組成物を使用することによってエッチングされた基材のSEM写真である。図1Bは、その上にCu/Mo二重膜およびフォトレジストが堆積された、そして、フォトレジストが剥離された後に、実施例2のエッチャント組成物を使用することによって次にエッチングされた図1Aの基材のSEM写真である。
【0046】
図2Aは、その上にCu/Mo二重膜およびフォトレジストが堆積された、そして実施例3のエッチャント組成物を使用することによってエッチングされた基材のSEM写真である。図2Bは、その上にCu/Mo二重膜およびフォトレジストが堆積された、そして、フォトレジストが剥離された後に、実施例3のエッチャント組成物を使用することによってエッチングされた図2Aの基材のSEM写真である。
【0047】
図1A、1B、2A、および2Bに関連して、実施例2および3についてはガルバニック現象(モリブデン膜の過剰エッチング)がCu/Mo二重膜において起こらなかったことが理解できる。パターンの外形は優れており、下方膜は損傷されなかった。
【0048】
実施例4〜7
第2酸化剤を含有するエッチャント液を、次表3に記載される重量パーセントに従って成分を混合することによって調製した。実施例1〜3の方法を用いて試験クーポンをエッチングした。生じたエッチングされたクーポンを、実施例1〜3のように走査電子顕微鏡を用いて評価した。得られたデータを表3に示す。
【0049】
【表3】
【0050】
表3のデータは、第2酸化剤の存在がモリブデン金属膜を速くエッチングするために必要とされることを実証する。第2酸化剤をまったく含有しない、対照1については、モリブデン層はエッチングされないままであった。第2酸化剤をまったく含有しない、対照2については、モリブデン層のエッチングは160秒を要した。この実施例は、第2酸化剤の存在によるモリブデンエッチング速度の変化を示した。
【0051】
表3のデータはまた、エッチャント液中に有機酸が存在しないと、パターンが失われるかまたはエッチング除去されるので、パターン消失が生じることを実証した。
【0052】
実施例8〜9
エッチャント液を、次表4に記載される重量パーセントに従って成分を混合することによって調製した。実施例1〜3の方法を用いて試験クーポンをエッチングした。生じたエッチングされたクーポンを、実施例1〜3のように走査電子顕微鏡を用いて評価した。得られたデータを表4に示す。
【0053】
【表4】
【0054】
表4のデータは、有機酸の存在で、モリブデン層をパターンの損失なしにエッチングできることを実証する。またNa2HPO4は、モリブデンにとって腐食抑制剤として働いた。実施例8および9によって示されるサイドエッチングは、有機酸が存在しない実施例4〜7のそれに対して改善されている。これは、サイドエッチングを最小限にしてパターン消失を回避した改善サイドエッチング結果によって実証される。
【0055】
実施例10〜16
エッチャント液を、次表5に記載される重量パーセントに従って成分を混合することによって調製した。実施例1〜3の方法を用いて試験クーポンをエッチングした。生じたエッチングされたクーポンを、実施例1〜3のように走査電子顕微鏡を用いて評価した。得られたデータを表5に示す。
【0056】
【表5】
【0057】
表5のデータは、有機酸のレベルが増加するにつれて、テーパー角が増加したことを示す。異方性エッチングの1パラメーターはテーパー角である。テーパー角は、どの程度エッチャントがパターンの水平方向よりも速く垂直方向に金属を除去しているかの指標である。エッチングが両方向に等しい場合、この角は45度であろう。表5は、より良好なエッチングを生み出すためにテーパー角を調節できることを示す。実施例10、11および12は、増加する酸濃度と共に増加したテーパー角を実証した。また、実施例13および14、ならびに実施例15および16は、増加する酸濃度と共に増加したテーパー角を実証した。
【0058】
実施例17〜18
エッチャント液を、次表6に記載される重量パーセントに従って成分を混合することによって調製した。実施例1〜3の方法を用いて試験クーポンをエッチングした。生じたエッチングされたクーポンを、実施例1〜3のように走査電子顕微鏡を用いて評価した。得られたデータを表6に示す。
【0059】
【表6】
【0060】
表6のデータは、異方性エッチング剤としてのイミダゾールの使用が優れたエッチング特性を得るために本発明のエッチャント組成物において非常に有効であったことを実証する。
【0061】
実施例19〜20
エッチャント液を、次表7に記載される重量パーセントに従って成分を混合することによって調製した。実施例1〜3の方法を用いて試験クーポンをエッチングした。生じたエッチングされたクーポンを、実施例1〜3のように走査電子顕微鏡を用いて評価した。得られたデータを表7に示す。
【0062】
【表7】
【0063】
表7のデータは、モリブデンがエッチング中に損なわれるのを防ぐのにオルトリン酸水素二ナトリウムが有効であったことを示す。エッチングが余りにも攻撃的である場合、モリブデンは、対照によって示されるように基材材料に沿って損なわれる可能性がある。実施例19および20は、オルトリン酸水素二ナトリウムがエッチャント液中に存在する場合、攻撃的なエッチングを損傷なしに使用できることを実証した。
【0064】
実施例21〜25
異方性エッチング剤を含有するエッチャント液を、次表8にリストされる重量パーセントで成分を混合することによって調製した。これらの溶液を、試験方法1に従って、異方性エッチング剤のアノード特性、および溶液粘度に対する試剤の応答について評価した。得られたデータを表8に示す。
【0065】
【表8】
【0066】
表8は、テトラフェニルホスホニウム塩が対照と比較してエッチング速度を低下させたことおよび腐食速度を低下させるために使用できることを示す。対照対実施例21について、分極抵抗Rpはテトラフェニルホスホニウム塩の添加で増加し、こうして相当するエッチング速度は97%抑制剤効率で低下した。回転ディスク電極を用いる実施例22〜25において、エッチング速度は増加するrpmすなわち溶液速度と共に増加し、物質移動影響が存在することを示した。試剤のアノード吸着特性は、速い吸着がエッチング速度を減速させるようにしたが、エッチングを停止させるようにしなかった。
【0067】
実施例26〜37
任意選択の銅腐食抑制剤、任意選択の第2酸化剤、および任意選択のpH調整剤を含有するエッチャント液を、次表9Aにリストされる重量パーセントで成分を混合することによって調製した。これらの溶液を、試験方法1に従って、異方性エッチング剤のアノード特性、および溶液粘度に対する試剤の応答について評価した。得られたデータを表9Bに示す。
【0068】
【表9】
【0069】
【表10】
【0070】
表9のデータは、分極抵抗Rpが対照と比較してすべての実施例について増加したことを実証する。これは、抑制剤が腐食を抑制する働きをしていたことを実証する。目に見えるアノード挙動がまったく観察されなかったという事実は、これらの化合物が異方性エッチング剤として機能していなかったことを実証する。
【0071】
実施例38〜42
異方性エッチング剤を含有するエッチャント液を、次表10にリストされる重量パーセントで成分を混合することによって調製した。これらの溶液を、試験方法1に従って、異方性エッチング剤のアノード特性、および溶液粘度に対する試剤の応答について評価した。得られたデータを表10に示す。
【0072】
【表11】
【0073】
表10は、塩化テトラフェニルホスホニウムが対照と比較してエッチング速度を低下ささたことおよび腐食速度を低下させるために使用できることを示す。直流分極曲線は、テトラフェニルホスホニウム塩が、吸着特性を有する混合抑制剤であることを示唆した。回転ディスク電極を用いる実施例40〜42において、エッチング速度は増加するrpmすなわち溶液速度と共に増加し、物質移動影響が存在することを示した。試剤のアノード吸着特性は、速い吸着がエッチング速度を減速させるようにしたが、エッチングを停止させるようにしなかった。
【0074】
実施例43〜44
異方性エッチング剤を含有するエッチャント液を、次表11にリストされる重量パーセントで成分を混合することによって調製した。これらの溶液を、試験方法1に従って、異方性エッチング剤のアノード特性、および溶液粘度に対する試剤の応答について評価した。得られたデータを表11に示す。
【0075】
【表12】
【0076】
表11のデータは、ポリアクリル酸が異方性エッチング剤および腐食抑制剤として有効
であったことを実証する。データはまた、スルフェートイオンが銅エッチング速度を低下
させることができたことを示す。
以下、本明細書に記載の主な発明につき列記する。
[1]
A)約0.025重量%〜約0.8重量%の活性酸素を有する高濃度モノ過硫酸カリウムであって、活性酸素対不活性硫酸塩の重量比が約0.8:1〜約1.7:1である高濃度モノ過硫酸カリウム;
B)組成物の約0.01重量%〜約30重量%の、
B1)有機酸、有機酸のアルカリ金属塩、有機酸のアンモニウム塩、もしくは有機酸のホモポリマー、または
B2)ホスホニウム(phosphomium)、テトラゾリウム、もしくはベンゾリウム(benzolium)のハロゲンもしくは硝酸塩、または
B3)成分B1)とB2)との混合物;
C)組成物の約0.01重量%〜約10重量%の第2酸化剤;および
D)組成物の約0重量%から約97.49重量%の水
を含んでなるエッチャント組成物。
[2]
前記有機酸が水溶性カルボン酸、水溶性ジカルボン酸、または水溶性トリカルボン酸である前記[1]に記載のエッチャント組成物。
[3]
前記有機酸が、酢酸、ブタン酸、クエン酸、ギ酸、グルコン酸、グリコール酸(giycoiic acid)、マロン酸、シュウ酸、ペンタン酸、スルホ安息香酸、スルホコハク酸(sulfbsuccinic acid)、スルホフタル酸(sulfophthalic acid)、サリチル酸、スルホサリチル酸、安息香酸、乳酸、グリセリン酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、イソクエン酸、およびプロペン酸からなる群から選択される、前記[1]に記載のエッチャント組成物。
[4]
前記第2酸化剤が、第二鉄塩、第二銅塩、および過酸化水素からなる群から選択される前記[1]に記載のエッチャント組成物。
[5]
前記任意選択の第2酸化剤が、Fe(NO、Fe(SO、NHFe(SO、FePO、および前述のもののそれぞれの水和物からなる群から選択されるFe3+を含有する第二鉄塩化合物であるか、またはCu(NO、CuSO、NHCuPO、および前述のもののそれぞれの水和物からなる群から選択される第二銅塩である前記[4]に記載のエッチャント組成物。
[6]
ピロリジン、ピロリン(pyrrolyn)、ピロール、インドール、ピラゾール、イミダゾール、ピリミジン、プリン、ピリジン、およびアミノテトラゾールテトラフェニルホスホニウム(aminotetrazoie tetraphenylphosphonium)塩、置換ホスホニウム塩、トリフェニルアゾリウム塩、置換テトラゾリウム塩、および置換ベンゾリウム塩からなる群から選択される異方性エッチング剤をさらに含んでなる前記[1]に記載のエッチャント組成物。
[7]
有機酸、それのアルカリ金属塩、または異方性エッチング剤である腐食抑制剤をさらに含んでなる請求項1に記載のエッチャント組成物。
[8]
界面活性剤、金属イオン遮断剤、腐食防止剤、およびpH調整剤からなる群から選択される1つ以上の成分をさらに含んでなる、前記[1]に記載のエッチャント組成物。
[9]
1)基材の表面上に形成された第1金属膜、前記第1金属膜上に形成された第2金属膜、前記第2金属膜上に形成された任意選択の追加の金属膜を有する基材を提供する工程と、2)前記基材を前記[1]〜[8]のいずれか一項に記載のエッチャント組成物と接触させる工程とを含んでなる基材のエッチング方法。
[10]
前記第1金属膜がモリブデンまたはチタンを含んでなり、前記第2金属膜が銅を含んでなり、そして前記基材がシリコン、ガラス、ステンレススチール、プラスチック、または石英である前記[9]に記載の方法。
[11]
工程1)の後および工程2)の前に、フォトレジストマスクを前記第2膜上へ層状にする工程と、前記マスクを選択的に露光する工程と、前記基材を焼き付ける工程と、現像液と接触させることによって現像してフォトレジストパターンを形成する工程とをさらに含んでなる前記[9]に記載の方法。
図1A
図1B
図2A
図2B