特許第5687722号(P5687722)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5687722-粘着シート、及び、光学部材 図000017
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5687722
(24)【登録日】2015年1月30日
(45)【発行日】2015年3月18日
(54)【発明の名称】粘着シート、及び、光学部材
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/02 20060101AFI20150226BHJP
   C09J 133/06 20060101ALI20150226BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20150226BHJP
   C09J 183/12 20060101ALI20150226BHJP
【FI】
   C09J7/02 Z
   C09J133/06
   C09J11/06
   C09J183/12
【請求項の数】5
【全頁数】40
(21)【出願番号】特願2013-23639(P2013-23639)
(22)【出願日】2013年2月8日
(65)【公開番号】特開2014-111703(P2014-111703A)
(43)【公開日】2014年6月19日
【審査請求日】2014年5月28日
(31)【優先権主張番号】特願2012-81232(P2012-81232)
(32)【優先日】2012年3月30日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2012-244787(P2012-244787)
(32)【優先日】2012年11月6日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】片岡 賢一
(72)【発明者】
【氏名】請井 夏希
(72)【発明者】
【氏名】天野 立巳
(72)【発明者】
【氏名】新美 健二郎
【審査官】 澤村 茂実
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−091406(JP,A)
【文献】 特開2009−275128(JP,A)
【文献】 特開2012−224811(JP,A)
【文献】 特開2012−224812(JP,A)
【文献】 特開2010−202692(JP,A)
【文献】 特開2005−097451(JP,A)
【文献】 特開2008−503638(JP,A)
【文献】 特開2011−236268(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持フィルムの片面又は両面に、粘着剤組成物から形成される粘着剤層を有する粘着シートにおいて、
前記粘着剤組成物が、(メタ)アクリル系ポリマー、及び、オキシアルキレン鎖を有するオルガノポリシロキサンを含有し、
前記(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量に対して、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリル系モノマーを15重量%以下、炭素数1〜14であるアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマーを50重量%以上、及び、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系モノマーを0.005〜10/105.1重量%含有し、
前記(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して、前記オルガノポリシロキサンを、0.01〜5重量部含有し、
前記粘着剤層の粘着面をTAC面に23℃で30分間貼付後の剥離速度30m/minにおける粘着力(A)、及び、
前記粘着剤層の粘着面をTAC面に50℃で1日間貼付後の剥離速度30m/minにおける粘着力(B)、
との粘着力比(B/A)が、0.5〜1.5であることを特徴とする粘着シート。
【請求項2】
前記粘着力(A)及び(B)が、1.5N/25mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の粘着シート。
【請求項3】
前記粘着剤組成物が、架橋剤を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の粘着シート。
【請求項4】
前記粘着剤組成物が、イオン性化合物を含有することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の粘着シート。
【請求項5】
請求項1〜のいずれかに記載の粘着シートにより保護された光学部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着シートに関する。
【0002】
本発明の粘着シートは、液晶ディスプレイなどに用いられる偏光板、波長板、位相差板、光学補償フィルム、反射シート、輝度向上フィルムなどの光学部材表面を保護する目的で用いられる表面保護フィルムとして、有用である。
【背景技術】
【0003】
近年、光学部品・電子部品の輸送やプリント基板への実装に際して、個々の部品を所定のシートで包装した状態や、粘着テープを貼り付けた状態により、移送することが行われている。なかでも、表面保護フィルムは光学・電子部品の分野においては、特に広く用いられている。
【0004】
表面保護フィルムは、一般的に支持フィルム側に塗布された粘着剤を介して被保護体に貼り合わせ、被保護体の加工、搬送時に生じる傷や汚れを防止する目的で用いられる(特許文献1)。例えば、液晶ディスプレイのパネルは、液晶セルに粘着剤を介して偏光板や波長板などの光学部材を貼り合わせることにより形成されている。これらの光学部材は、表面保護フィルムが粘着剤を介して貼り合わされ、被保護体の加工、搬送時に生じる傷や汚れを防止されている。
【0005】
そして、この表面保護フィルムは不要になった段階で剥離して除去されるが、液晶表示板の大型化や薄層化に伴い、剥離工程で偏光板や液晶セルへの損傷が生じやすくなるため、高速での剥離時には、軽剥離であることが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−165460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の目的は、従来の粘着シートにおける問題点を解消すべく、経時での粘着力の上昇を防止でき、高速剥離時の粘着力が低く、再剥離性及び作業性に優れた粘着シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明の粘着シートは、支持フィルムの片面又は両面に、粘着剤組成物から形成される粘着剤層を有する粘着シートにおいて、前記粘着剤層の粘着面をTAC面に23℃で30分間貼付後の剥離速度30m/minにおける粘着力(A)、及び、前記粘着剤層の粘着面をTAC面に50℃で1日間貼付後の剥離速度30m/minにおける粘着力(B)、との粘着力比(B/A)が、0.5〜1.5であることを特徴とする。
【0009】
本発明の粘着シートは、前記粘着力(A)及び(B)が、1.5N/25mm以下であることが好ましい。
【0010】
本発明の粘着シートは、前記粘着剤組成物が、ヒドロキシル基、及び、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル系ポリマーを含有することが好ましい。
【0011】
本発明の粘着シートは、前記(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量に対して、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系モノマーを、2重量%以下含有することが好ましい。
【0012】
本発明の粘着シートは、前記(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量に対して、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリル系モノマーを、15重量%以下含有することが好ましい。
【0013】
本発明の粘着シートは、前記(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量に対して、炭素数1〜14であるアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマーを、50重量%以上含有することが好ましい。
【0014】
本発明の粘着シートは、前記粘着剤組成物が、架橋剤を含有することが好ましい。
【0015】
本発明の粘着シートは、前記粘着剤組成物が、オキシアルキレン鎖を有するオルガノポリシロキサンを含有することが好ましい。
【0016】
本発明の粘着シートは、前記粘着剤組成物が、イオン性化合物を含有することが好ましい。
【0017】
本発明の光学部材は、前記粘着シートにより保護されたものであることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施例等で剥離帯電圧の測定に使用した電位測定部の概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0020】
本発明で使用される前記粘着剤組成物は、ヒドロキシル基、及び、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル系ポリマーを含有することが好ましい。前記ヒドロキシル基、及び、カルボキシル基を有する(メタ)アクリル系ポリマーを使用することにより、前記ヒドロキシル基が、架橋の制御を容易に行うことができ、前記カルボキシル基が、経時での粘着力の上昇を防止でき、好ましい態様となる。
【0021】
なお、前記(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量に対して、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系モノマーを、2重量%以下含有することが好ましく、より好ましくは、0.005〜2重量%、更に好ましくは、0.006〜1.9重量%であり、最も好ましくは、0.01〜1.0重量%である。2重量%を超えると、経時での粘着力の上昇を抑制することができず、再剥離性、粘着力上昇防止性、及び作業性に劣り、好ましくない。また、極性作用が大きいカルボキシル基のような酸官能基が、多数存在すると、帯電防止剤として、イオン性化合物を配合する場合に、カルボキシル基等の酸官能基とイオン性化合物が相互作用することにより、イオン伝導が妨げられ、導電効率が低下し、十分な帯電防止性が得られなくなる恐れがあり、好ましくない。
【0022】
前記(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量に対して、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリル系モノマーを、15重量%以下含有することが好ましく、より好ましくは、1〜13重量%、更に好ましくは、2〜11重量%であり、最も好ましくは、3.5〜10重量%である。前記範囲内にあると、粘着剤組成物の濡れ性と凝集力のバランスを制御しやすくなるため、好ましい。
【0023】
前記ヒドロキシル基含有(メタ)アクリル系モノマーを用いることにより、粘着剤組成物の架橋などを制御しやすくなり、ひいては流動による濡れ性の改善と剥離における接着力の低減とのバランスを制御しやすくなる。さらに、一般に架橋部位として作用しうる上述のカルボキシル基やスルホネート基などとは異なり、ヒドロキシル基はイオン性化合物、およびオキシアルキレン鎖を有するオルガノポリシロキサンと適度な相互作用を有するため、帯電防止性の面においても好適に用いることができる。前記ヒドロキシル基含有(メタ)アクリル系モノマーとしては、たとえば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチルアクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ビニルアルコール、アリルアルコール、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテルなどがあげられる。
【0024】
本発明で使用される前記粘着剤組成物は、前記(メタ)アクリル系ポリマーを含有し、粘着性を有する(メタ)アクリル系ポリマーであれば、特に限定されないが、モノマー成分の主成分として、炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマーを用いることが好ましく、より好ましくは、炭素数6〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマーである。前記(メタ)アクリル系モノマーとしては、1種または2種以上を主成分として使用することができる。
【0025】
特に、前記(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量に対して、炭素数1〜14であるアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマーを、50重量%以上含有することが好ましく、より好ましくは、60重量%以上、更に好ましくは、70重量%以上、最も好ましくは90〜97重量%である。50重量%未満になると、粘着剤組成物の適度な濡れ性や凝集力が劣ることになり、好ましくない。なお、本発明における(メタ)アクリル系ポリマーとは、アクリル系ポリマーおよび/またはメタクリル系ポリマーをいい、また(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよび/またはメタクリレートをいう。
【0026】
前記炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマーの具体例としては、たとえば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレートなどがあげられる。
【0027】
なかでも、本発明の粘着シートを表面保護フィルムとして用いる場合には、へキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレートなどの炭素数6〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリレートが好適なものとしてあげられる。炭素数6〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリレートを用いることにより、被着体への粘着力を低く制御することが容易となり、再剥離性に優れたものとなる。
【0028】
また、その他の重合性モノマー成分として、粘着性能のバランスが取りやすい理由から、Tgが0℃以下(通常−100℃以上)になるようにして、(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度や剥離性を調整するための重合性モノマーなどを、本発明の効果を損なわない範囲で使用することができる。
【0029】
前記(メタ)アクリル系ポリマーにおいて用いられる前記カルボキシル基含有(メタ)アクリル系モノマー、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリル系モノマー、及び、炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマー以外のその他の重合性モノマーとしては、本発明の特性を損なわない範囲内であれば、特に限定することなく用いることができる。たとえば、シアノ基含有モノマー、ビニルエステルモノマー、芳香族ビニルモノマーなどの凝集力・耐熱性向上成分や、アミド基含有モノマー、イミド基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、N−アクリロイルモルホリン、ビニルエーテルモノマーなどの粘着(接着)力向上や架橋化基点として働く官能基を有する成分を適宜用いることができる。これら重合性モノマーは、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0030】
シアノ基含有モノマーとしては、たとえば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルがあげられる。
【0031】
ビニルエステルモノマーとしては、たとえば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ラウリン酸ビニルなどがあげられる。
【0032】
芳香族ビニルモノマーとしては、たとえば、スチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、α−メチルスチレン、その他の置換スチレンなどがあげられる。
【0033】
アミド基含有モノマーとしては、たとえば、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドなどがあげられる。
【0034】
イミド基含有モノマーとしては、たとえば、シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、イタコンイミドなどがあげられる。
【0035】
アミノ基含有モノマーとしては、たとえば、アミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどがあげられる。
【0036】
エポキシ基含有モノマーとしては、たとえば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテルなどがあげられる。
【0037】
ビニルエーテルモノマーとしては、たとえば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテルなどがあげられる。
【0038】
本発明において、前記カルボキシル基含有(メタ)アクリル系モノマー、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリル系モノマー、及び、炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル系モノマー以外のその他の重合性モノマーは、前記(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量(全モノマー成分)中、0〜40重量%であることが好ましく、0〜30重量%であることがより好ましい。前記その他の重合性モノマーを、前記範囲内で用いることにより、帯電防止剤として使用できるイオン性化合物との良好な相互作用、および良好な再剥離性を適宜調節することができる。
【0039】
前記(メタ)アクリル系ポリマーは、重量平均分子量が10万〜500万、好ましくは20万〜400万、さらに好ましくは30万〜300万である。重量平均分子量が10万より小さい場合は、粘着剤組成物の凝集力が小さくなることにより糊残りを生じる傾向がある。一方、重量平均分子量が500万を超える場合は、ポリマーの流動性が低下し偏光板への濡れが不十分となり、偏光板と粘着シートの粘着剤組成物層との間に発生するフクレの原因となる傾向がある。なお、重量平均分子量は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により測定して得られたものをいう。
【0040】
また、前記(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、0℃以下が好ましく、より好ましくは−10℃以下である(通常−100℃以上)。ガラス転移温度が0℃より高い場合、ポリマーが流動しにくく、例えば、偏光板への濡れが不十分となり、偏光板と粘着シートの粘着剤組成物層との間に発生するフクレの原因となる傾向がある。特にガラス転移温度を−61℃以下にすることで偏光板への濡れ性と軽剥離性に優れる粘着剤組成物が得られ易くなる。なお、(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度は、用いるモノマー成分や組成比を適宜変えることにより前記範囲内に調整することができる。
【0041】
本発明に用いられる(メタ)アクリル系ポリマーの重合方法は特に制限されるものではなく、溶液重合、乳化重合、塊状重合、懸濁重合などの公知の方法により重合できるが、特に作業性の観点や、被保護体への低汚染性など特性面から、溶液重合がより好ましい態様である。また、得られるポリマーは、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体などいずれでもよい。
【0042】
本発明の粘着シートは、前記粘着剤組成物が、イオン性化合物を含有することが好ましい。前記イオン性化合物としては、アルカリ金属塩、及び/又は、イオン液体が挙げられる。これらのイオン性化合物を含有することにより、優れた帯電防止性を付与することができる。
【0043】
前記アルカリ金属塩は、イオン解離性が高いため、微量の添加量でも優れた帯電防止能を発現する点で、好ましい。前記アルカリ金属塩としては、たとえば、Li、Na、Kよりなるカチオンと、Cl、Br、I、AlCl、AlCl、BF、PF、SCN、ClO、NO、CHCOO、C19COO、CFCOO、CCOO、CHSO、CFSO、CSO、COSO、C13OSO、C17OSO、(CFSO、(CSO、(CSO、(CSO、(CFSO、AsF、SbF、NbF、TaF、F(HF)、(CN)、(CFSO)(CFCO)N、(CHPO、(CPO、CH(OCOSO、C(CH)SO、(CPF、CHCH(OH)COO、及び、(FSOよりなるアニオンから構成される金属塩が好適に用いられる。より好ましくは、LiBr、LiI、LiBF、LiPF、LiSCN、LiClO、LiCFSO、Li(CFSON、Li(CSON、Li(FSON、Li(CFSOCなどのリチウム塩、さらに好ましくはLiCFSO、Li(CFSON、Li(CSON、Li(CSON、Li(CSON、Li(FSON、Li(CFSOCが用いられる。これらのアルカリ金属塩は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0044】
また、前記イオン液体を帯電防止剤として用いることで、粘着特性を損なうことなく、帯電防止効果の高い粘着剤層が得られる。イオン液体を用いることで優れた帯電防止特性が得られる理由の詳細は明らかでないが、イオン液体は、液状であるため、分子運動が容易であり、優れた帯電防止能が得られるものと考えられる。特に被着体への帯電防止を図る際にはイオン液体が被着体へ極微量転写することにより、被着体での優れた剥離帯電防止が図れていると考えられる。
【0045】
また、イオン液体は室温(25℃)にて液状であるため、固体の塩に比べて、粘着剤への添加および分散または溶解が容易に行える。さらにイオン液体は蒸気圧がない(不揮発性)ため、経時で消失することもなく、帯電防止特性が継続して得られる特徴を有する。なお、イオン液体とは、室温(25℃)で液状を呈する溶融塩(イオン性化合物)を指す。
【0046】
前記イオン液体としては、下記一般式(A)〜(E)で表される有機カチオン成分と、アニオン成分からなるものが好ましく用いられる。これらのカチオンを持つイオン液体により、さらに帯電防止能の優れたものが得られる。
【0047】
【化1】
【0048】
前記式(A)中のRは、炭素数4から20の炭化水素基を表し、前記炭化水素基の一部がヘテロ原子で置換された官能基であってもよく、RおよびRは、同一または異なって、水素または炭素数1から16の炭化水素基を表し、前記炭化水素基の一部がヘテロ原子で置換された官能基であってもよい。但し、窒素原子が2重結合を含む場合、Rはない。
【0049】
前記式(B)中のRは、炭素数2から20の炭化水素基を表し、前記炭化水素基の一部がヘテロ原子で置換された官能基であってもよく、R、R、およびRは、同一または異なって、水素または炭素数1から16の炭化水素基を表し、前記炭化水素基の一部がヘテロ原子で置換された官能基であってもよい。
【0050】
前記式(C)中のRは、炭素数2から20の炭化水素基を表し、前記炭化水素基の一部がヘテロ原子で置換された官能基であってもよく、R、R、およびRは、同一または異なって、水素または炭素数1から16の炭化水素基を表し、前記炭化水素基の一部がヘテロ原子で置換された官能基であってもよい。
【0051】
前記式(D)中のZは、窒素、硫黄、またはリン原子を表し、R、R、R、およびRは、同一または異なって、炭素数1から20の炭化水素基を表し、前記炭化水素基の一部がヘテロ原子で置換された官能基であってもよい。但しZが硫黄原子の場合、Rはない。
【0052】
前記式(E)中のRは、炭素数1から18の炭化水素基を表し、前記炭化水素基の一部がヘテロ原子で置換された官能基であってもよい。
【0053】
式(A)で表されるカチオンとしては、たとえば、ピリジニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ピロリン骨格を有するカチオン、ピロール骨格を有するカチオン、モルフォリニウムカチオンなどがあげられる。
【0054】
具体例としては、たとえば、1−エチルピリジニウムカチオン、1−ブチルピリジニウムカチオン、1−へキシルピリジニウムカチオン、1−ブチル−3−メチルピリジニウムカチオン、1−ブチル−4−メチルピリジニウムカチオン、1−へキシル−3−メチルピリジニウムカチオン、1−ブチル−3,4−ジメチルピリジニウムカチオン、1,1−ジメチルピロリジニウムカチオン、1−エチル−1−メチルピロリジニウムカチオン、1−メチル−1−プロピルピロリジニウムカチオン、1−メチル−1−ブチルピロリジニウムカチオン、1−メチル−1−ペンチルピロリジニウムカチオン、1−メチル−1−へキシルピロリジニウムカチオン、1−メチル−1−ヘプチルピロリジニウムカチオン、1−エチル−1−プロピルピロリジニウムカチオン、1−エチル−1−ブチルピロリジニウムカチオン、1−エチル−1−ペンチルピロリジニウムカチオン、1−エチル−1−へキシルピロリジニウムカチオン、1−エチル−1−へプチルピロリジニウムカチオン、1,1−ジプロピルピロリジニウムカチオン、1−プロピル−1−ブチルピロリジニウムカチオン、1,1−ジブチルピロリジニウムカチオン、ピロリジニウム−2−オンカチオン、1−プロピルピペリジニウムカチオン、1−ペンチルピペリジニウムカチオン、1,1−ジメチルピペリジニウムカチオン、1−メチル−1−エチルピペリジニウムカチオン、1−メチル−1−プロピルピペリジニウムカチオン、1−メチル−1−ブチルピペリジニウムカチオン、1−メチル−1−ペンチルピペリジニウムカチオン、1−メチル−1−ヘキシルピペリジニウムカチオン、1−メチル−1−へプチルピペリジニウムカチオン、1−エチル−1−プロピルピペリジニウムカチオン、1−エチル−1−ブチルピペリジニウムカチオン、1−エチル−1−ペンチルピペリジニウムカチオン、1−エチル−1−ヘキシルピペリジニウムカチオン、1−エチル−1−へプチルピペリジニウムカチオン、1,1−ジプロピルピペリジニウムカチオン、1−プロピル−1−ブチルピペリジニウムカチオン、1,1−ジブチルピペリジニウムカチオン、2−メチル−1−ピロリンカチオン、1−エチル−2−フェニルインドールカチオン、1,2−ジメチルインドールカチオン、1−エチルカルバゾールカチオン、N−エチル−N−メチルモルフォリニウムカチオンなどが挙げられる。
【0055】
式(B)で表されるカチオンとしては、たとえば、イミダゾリウムカチオン、テトラヒドロピリミジニウムカチオン、ジヒドロピリミジニウムカチオンなどがあげられる。
【0056】
具体例としては、たとえば、1,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1,3−ジエチルイミダゾリウムカチオン、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−へキシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−デシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−ドデシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−テトラデシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムカチオン、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1−へキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1−(2−メトキシエチル)−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1,3−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3−トリメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3,4−テトラメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3,5−テトラメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウムカチオン、1,3−ジメチル−1,4−ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,3−ジメチル−1,6−ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3−トリメチル−1,4−ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3−トリメチル−1,6−ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3,4−テトラメチル−1,4−ジヒドロピリミジニウムカチオン、1,2,3,4−テトラメチル−1,6−ジヒドロピリミジニウムカチオンなどがあげられる。
【0057】
式(C)で表されるカチオンとしては、たとえば、ピラゾリウムカチオン、ピラゾリニウムカチオンなどがあげられる。
【0058】
具体例としては、たとえば、1−メチルピラゾリウムカチオン、3−メチルピラゾリウムカチオン、1−エチル−2−メチルピラゾリニウムカチオン、1−エチル−2,3,5−トリメチルピラゾリウムカチオン、1−プロピル−2,3,5−トリメチルピラゾリウムカチオン、1−ブチル−2,3,5−トリメチルピラゾリウムカチオン、1−エチル−2,3,5−トリメチルピラゾリニウムカチオン、1−プロピル−2,3,5−トリメチルピラゾリニウムカチオン、1−ブチル−2,3,5−トリメチルピラゾリニウムカチオンなどがあげられる。
【0059】
式(D)で表されるカチオンとしては、たとえば、テトラアルキルアンモニウムカチオン、トリアルキルスルホニウムカチオン、テトラアルキルホスホニウムカチオンや、前記アルキル基の一部がアルケニル基やアルコキシル基、さらにはエポキシ基に置換されたものなどがあげられる。
【0060】
具体例としては、たとえば、テトラメチルアンモニウムカチオン、テトラエチルアンモニウムカチオン、テトラブチルアンモニウムカチオン、テトラペンチルアンモニウムカチオン、テトラヘキシルアンモニウムカチオン、テトラヘプチルアンモニウムカチオン、トリエチルメチルアンモニウムカチオン、トリブチルエチルアンモニウムカチオン、トリメチルデシルアンモニウムカチオン、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムカチオン、グリシジルトリメチルアンモニウムカチオン、トリメチルスルホニウムカチオン、トリエチルスルホニウムカチオン、トリブチルスルホニウムカチオン、トリヘキシルスルホニウムカチオン、ジエチルメチルスルホニウムカチオン、ジブチルエチルスルホニウムカチオン、ジメチルデシルスルホニウムカチオン、テトラメチルホスホニウムカチオン、テトラエチルホスホニウムカチオン、テトラブチルホスホニウムカチオン、テトラヘキシルホスホニウムカチオン、テトラオクチルホスホニウムカチオン、トリエチルメチルホスホニウムカチオン、トリブチルエチルホスホニウムカチオン、トリメチルデシルホスホニウムカチオン、ジアリルジメチルアンモニウムカチオン、トリブチル−(2−メトキシエチル)ホスホニウムカチオンなどがあげられる。なかでもトリエチルメチルアンモニウムカチオン、トリブチルエチルアンモニウムカチオン、トリメチルデシルアンモニウムカチオン、ジエチルメチルスルホニウムカチオン、ジブチルエチルスルホニウムカチオン、ジメチルデシルスルホニウムカチオン、トリエチルメチルホスホニウムカチオン、トリブチルエチルホスホニウムカチオン、トリメチルデシルホスホニウムカチオンなどの非対称のテトラアルキルアンモニウムカチオン、トリアルキルスルホニウムカチオン、テトラアルキルホスホニウムカチオンや、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムカチオン、グリシジルトリメチルアンモニウムカチオン、ジアリルジメチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−エチル−N−プロピルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ブチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ペンチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ヘキシルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ヘプチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ノニルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N,N−ジプロピルアンモニウムカチオン、N,N−ジエチル−N−プロピル−N−ブチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ペンチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ヘキシルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ヘプチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−ブチル−N−ヘキシルアンモニウムカチオン、N,N−ジエチル−N−ブチル−N−ヘプチルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−ペンチル−N−ヘキシルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N,N−ジヘキシルアンモニウムカチオン、トリメチルヘプチルアンモニウムカチオン、N,N−ジエチル−N−メチル−N−プロピルアンモニウムカチオン、N,N−ジエチル−N−メチル−N−ペンチルアンモニウムカチオン、N,N−ジエチル−N−メチル−N−ヘプチルアンモニウムカチオン、N,N−ジエチル−N−プロピル−N−ペンチルアンモニウムカチオン、トリエチルプロピルアンモニウムカチオン、トリエチルペンチルアンモニウムカチオン、トリエチルヘプチルアンモニウムカチオン、N,N−ジプロピル−N−メチル−N−エチルアンモニウムカチオン、N,N−ジプロピル−N−メチル−N−ペンチルアンモニウムカチオン、N,N−ジプロピル−N−ブチル−N−ヘキシルアンモニウムカチオン、N,N−ジプロピル−N,N−ジヘキシルアンモニウムカチオン、N,N−ジブチル−N−メチル−N−ペンチルアンモニウムカチオン、N,N−ジブチル−N−メチル−N−ヘキシルアンモニウムカチオン、トリオクチルメチルアンモニウムカチオン、N−メチル−N−エチル−N−プロピル−N−ペンチルアンモニウムカチオンが好ましく用いられる。
【0061】
式(E)で表されるカチオンとしては、たとえば、スルホニウムカチオン等が挙げられる。また、前記式(E)中のRの具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。
【0062】
一方、アニオン成分としては、イオン液体になることを満足するものであれば特に限定されず、例えば、Cl、Br、I、AlCl、AlCl、BF、PF、ClO、NO、CHCOO、CFCOO、CHSO、CFSO、CSO、(CFSO、(CSO、(CSO、(CSO、(CFSO、AsF、SbF、NbF、TaF、F(HF)、(CN)、CSO、(CSO、CCOO、(CFSO)(CFCO)N、C19COO、(CHPO、(CPO、COSO、C13OSO、C17OSO、CH(OCOSO、C(CH)SO、(CPF、CHCH(OH)COO、及び、(FSOなどが用いられる。
【0063】
また、アニオン成分としては、下記式(F)で表されるアニオンなども用いることができる。
【化2】
【0064】
また、アニオン成分としては、なかでも特に、フッ素原子を含むアニオン成分は、低融点のイオン液体が得られることから好ましく用いられる。
【0065】
本発明に用いられるイオン液体の具体例としては、前記カチオン成分とアニオン成分の組み合わせから適宜選択して用いられ、たとえば、1−ブチルピリジニウムテトラフルオロボレート、1−ブチルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1−ブチル−3−メチルピリジニウムテトラフルオロボレート、1−ブチル−3−メチルピリジニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−ブチル−3−メチルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチル−3−メチルピリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−へキシルピリジニウムテトラフルオロボレート、1,1−ジメチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−エチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−プロピルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イ・BR>~ド、1−メチル−1−ブチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ペンチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−へキシルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−へプチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−プロピルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ブチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ペンチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−へキシルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−へプチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,1−ジプロピルピロリジニウムビス(トリプルオロメタンスルホニル)イミド、1−プロピル−1−ブチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,1−ジブチルピロリジニウムビス(トリプルオロメタンスルホニル)イミド、1−プロピルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ペンチルビベリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,1−ジメチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−エチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−プロピルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ブチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ペンチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ヘキシルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−へプチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−プロピルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ブチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ペンチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−へキシルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−へプチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,1−ジプロピルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−プロピル−1−ブチルピペリジニウムピス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,1−ジブチルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1,1−ジメチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−エチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−プロピルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ブチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ペンチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−へキシルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−へプチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−プロピルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ブチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ペンチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−へキシルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−へプチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1,1−ジプロピルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−プロピル−1−ブチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1,1−ジブチルピロリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−プロピルピペリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−ペンチルピペリジニウムビス(ベンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1,1−ジメチルピペリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−エチルピペリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−プロピルピペリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ブチルピペリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−ペンチルピペリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−へキシルピペリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−メチル−1−へプチルピペリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−プロピルピペリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ブチルピペリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−ペンチルピペリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−へキシルピペリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−1−へプチルピペリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1,1−ジプロピルピペリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−プロピル−1−ブチルピペリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1,1−ジブチルピペリジニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、2−メチル−1−ピロリンテトラフルオロボレート、1−エチル−2−フェニルインドールテトラフルオロボレート、1,2−ジメチルインドールテトラフルオロボレート、1−エチルカルバゾールテトラフルオロボレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムアセテート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロアセテート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヘプタフルオロブチレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムペルフルオロブタンスルホネート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムジシアナミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロアセテート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘプタフルオロブチレート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムペルフルオロブタンスルホネート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−へキシル−3−メチルイミダゾリウムブロミド、1−へキシル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−へキシル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−へキシル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1−へキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、テトラペンチルアンモニウムカチオン、テトラヘキシルアンモニウムカチオン、テトラヘプチルアンモニウムカチオン、テトラオクチルホスホニウムカチオン、1−メチルピラゾリウムテトラフルオロボレート、2−メチルピラゾリウムテトラフルオロポレート、1−エチル−2,3,5−トリメチルピラゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−プロピル−2,3,5−トリメチルピラゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチル−2,3,5−トリメチルピラゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−2,3,5−トリメチルピラゾリウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−プロピル−2,3,5−トリメチルピラゾリウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−ブチル−2,3,5−トリメチルピラゾリウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−2,3,5−トリメチルピラゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、1−プロピル−2,3,5−トリメチルピラゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、1−ブチル−2,3,5−トリメチルピラゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、1−エチル−2,3,5−トリメチルピラゾリニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−プロピル−2,3,5−トリメチルピラゾリニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチル−2,3,5−トリメチルピラゾリニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−2,3,5−トリメチルピラゾリニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−プロピル−2,3,5−トリメチルピラゾリニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−ブチル−2,3,5−トリメチルピラゾリニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、1−エチル−2,3,5−トリメチルピラゾリニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、1−プロピル−2,3,5−トリメチルピラゾリニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、1−ブチル−2,3,5−トリメチルピラゾリニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、テトラペンチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、テトラペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、テトラヘキシルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、テトラヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、テトラヘブチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、テトラヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ジアリルジメチルアンモニウムテトラフルオロボレート、ジアリルジメチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジアリルジメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ジアリルジメチルアンモニウムビス(ペンタフルオロエタ

ンスルホニル)イミド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムテトラフルオロボレート、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジエチル−Nメチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、グリシジルトリメチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、グリシジルトリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、グリシジルトリメチルアンモニウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、テトラオクチルホスホニウムトリフルオロメタンスルホネート、テトラオクチルホスホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−プロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ブチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−へキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−ノニルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N,N−ジプロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ブチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−プロピル−N−ヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−ブチル−N−ヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−ブチル−N−ヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N−ペンチル−N−ヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジメチル−N,N−ジヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリメチルヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−プロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−ヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジエチル−N−プロピル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリエチルプロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリエチルペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリエチルヘプチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジプロピル−N−メチル−N−エチルアンモニウムビス(トリフルオロメダンスルホニル)イミド、N,N−ジプロピル−N−メチル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジプロピル−N−ブチル−N−へキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジプロピル−N,N−ジヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジブチル−N−メチル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジブチル−N−メチル−N−ヘキシルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリオクチルメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N−メチル−N−エチル−N−プロピル−N−ペンチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチルピリジニウム(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、1−ブチル−3−メチルピリジニウム(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロアセトアミド、N−エチル−N−メチルモルフォリニウムチオシアネート、4−エチル−4−メチルモルフォリニウムメチルカーボネートなどがあげられる。
【0066】
前記のようなイオン液体は、市販のものを使用してもよいが、下記のようにして合成することも可能である。イオン液体の合成方法としては、目的とするイオン液体が得られれば特に限定されないが、一般的には、文献“イオン液体−開発の最前線と未来−”[(株)シーエムシー出版発行]に記載されているような、ハロゲン化物法、水酸化物法、酸エステル法、錯形成法、および中和法などが用いられる。
【0067】
下記にハロゲン化物法、水酸化物法、酸エステル法、錯形成法、および中和法について含窒素オニウム塩を例にその合成方法について示すが、その他の含硫黄オニウム塩、含リンオニウム塩などその他のイオン液体についても同様の手法により得ることができる。
【0068】
ハロゲン化物法は、下記式(1)〜(3)に示すような反応によって行われる方法である。まず3級アミンとハロゲン化アルキルと反応させてハロゲン化物を得る。(反応式(1)、ハロゲンとしては塩素、臭素、ヨウ素が用いられる)得られたハロゲン化物を目的とするイオン液体のアニオン構造(A)を有する酸(HA)あるいは塩(MA、Mはアンモニウム、リチウム、ナトリウム、カリウムなど目的とするアニオンと塩を形成するカチオン)と反応させて目的とするイオン液体(RNA)が得られる。
【0069】
【化3】
【0070】
水酸化物法は、(4)〜(8)に示すような反応によって行われる方法である。まずハロゲン化物(RNX)をイオン交換膜法電解(反応式(4))、OH型イオン交換樹脂法(反応式(5))または酸化銀(AgO)との反応(反応式(6))で水酸化物(RNOH)を得る。(ハロゲンとしては塩素、臭素、ヨウ素が用いられる)得られた水酸化物を上記ハロゲン化法と同様に反応式(7)〜(8)の反応を用いて目的とするイオン液体(RNA)が得られる。
【0071】
【化4】
【0072】
酸エステル法は、(9)〜(11)に示すような反応によって行われる方法である。まず3級アミン(RN)を酸エステルと反応させて酸エステル物を得る。(反応式(9)、酸エステルとしては、硫酸、亜硫酸、りん酸、亜りん酸、炭酸などの無機酸のエステルやメタンスルホン酸、メチルホスホン酸、蟻酸などの有機酸のエステルなどが用いられる)得られた酸エステル物を上記ハロゲン化法と同様に反応式(10)〜(11)の反応を用いて目的とするイオン液体(RNA)が得られる。また、酸エステルとしてメチルトリフルオロメタンスルホネート、メチルトリフルオロアセテートなどを用いることにより、直接イオン液体を得ることもできる。
【0073】
【化5】
【0074】
錯形成法は、(12)〜(15)に示すような反応によって行われる方法である。まず4級アンモニウムのハロゲン化物(RNX)、4級アンモニウムの水酸化物(RNOH)、4級アンモニウムの炭酸エステル化物(RNOCOCH)などをフッ化水素(HF)やフッ化アンモニウム(NHF)と反応させてフッ化4級アンモニウム塩を得る。(反応式(12)〜(14))得られたフッ化4級アンモニウム塩をBF,AlF,PF,ASF,SbF,NbF,TaFなどのフッ化物と錯形成反応により、イオン液体を得ることができる。(反応式(15))
【0075】
【化6】
【0076】
中和法は、(16)に示すような反応によって行われる方法である。3級アミンとHBF,HPF,CHCOOH,CFCOOH,CFSOH,(CFSONH,(CFSOCH,(CSONHなどの有機酸とを反応させることにより得ることができる。
【0077】
【化7】
【0078】
上記の式(1)〜(16)記載のRは、水素または炭素数1から20の炭化水素基を表し、前記炭化水素基の一部が、ヘテロ原子で置換された官能基であってもよい。
【0079】
また、前記(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して、前記イオン性化合物の含有量は、1重量部以下が好ましく、0.001〜0.9重量部がより好ましく、より好ましくは0.005〜0.8重量部である。前記範囲内にあると、帯電防止性と低汚染性の両立がしやすいため、好ましい。
【0080】
本発明の粘着シートは、前記粘着剤組成物が、オルガノポリシロキサンを含有することが好ましい。前記オルガノポリシロキサンを使用することにより、粘着剤表面の表面自由エネルギーが低下し、高速剥離時の軽剥離化を実現しているものと推測される。
【0081】
前記オルガノポリシロキサンは、公知のポリオキシアルキレン主鎖を有するオルガノポリシロキサンが適宜使用できるが、好ましくは下記式で示されるものである。
【化8】

(式中、R及び/又はRは、炭素数1〜6のオキシアルキレン鎖を有し、前記オキシアルキレン鎖中のアルキレン基は、直鎖又は分岐していてもよく、前記オキシアルキレン鎖の末端が、アルコキシ基、又は、ヒドロキシル基であってもよい。また、R又はRのいずれか一方が、ヒドロキシル基でもよく、又は、アルキル基、アルコキシ基であってもよく、前記アルキル基、アルコキシ基の一部が、ヘテロ原子で置換された官能基であってもよい。nは、1〜300の整数である。)
【0082】
前記オルガノポリシロキサンは、シロキサンを含む部位(シロキサン部位)を主鎖とし、この主鎖の末端にオキシアルキレン鎖が結合しているものが使用される。前記オキシアルキレン鎖を有するオルガノシロキサンを用いることにより、(メタ)アクリル系ポリマーおよびイオン性化合物との相溶性のバランスがとれ、軽剥離化を実現しているものと推測される。
【0083】
また、本発明における前記オルガノポリシロキサンとしては、たとえば、以下のような構成を使用することができる。具体的には、式中のR及び/又はRは、炭素数1〜6の炭化水素基を含むオキシアルキレン鎖を有し、前記オキシアルキレン鎖として、オキシメチレン基、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基などがあげられるが、なかでもオキシエチレン基やオキシプロピレン基が好ましい。なお、R及びRが、共にオキシアルキレン鎖を有する場合、同一であっても、異なっていてもよい。
【化9】
【0084】
また、前記オキシアルキレン鎖の炭化水素基は直鎖でもよく、分岐していてもよい。
【0085】
更に、前記オキシアルキレン鎖の末端は、アルコキシ基、又は、ヒドロキシル基であってもよいが、中でも、アルコキシ基であることがより好ましい。粘着面を保護する目的で粘着剤層表面にセパレーターを貼り合わせる場合、末端がヒドロキシル基のオルガノポリシロキサンでは、セパレーターとの相互作用が生じ、セパレーターを粘着剤層表面から剥がす際の剥離力が上昇する場合がある。
【0086】
また、nは、1〜300の整数であり、好ましくは10〜200であり、より好ましくは20から150である。nが前記範囲内にあると、ベースポリマーとの相溶性のバランスが取れて好ましい態様となる。更に、分子中に(メタ)アクリロイル基、アリル基、ヒドロキシル基などの反応性置換基を有していてもよい。前記オルガノポリシロキサンは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0087】
上記オキシアルキレン鎖を有するオルガノポリシロキサンの具体例としては、たとえば、市販品として、商品名が、X−22−4952、X−22−4272、X−22−6266、KF−6004、KF−889(以上、信越化学工業社製)、BY16−201、SF8427(以上、東レ・ダウコーニング社製)、IM22(旭化成ワッカー社製)などがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0088】
また、主鎖にオキシアルキレン鎖を有する(結合する)オルガノシロキサン以外に、側鎖にオキシアルキレン鎖を有する(結合する)オルガノシロキサンを用いることも、可能であり、主鎖よりも側鎖にオキシアルキレン鎖を有するオルガノシロキサンを用いることが、より好ましい態様である。前記オルガノポリシロキサンは、公知のポリオキシアルキレン側鎖を有するオルガノポリシロキサンが適宜使用できるが、好ましくは下記式で示されるものである。
【化10】

(式中、Rは1価の有機基、R,R及びRはアルキレン基、もしくはRはヒドロキシル基もしくは有機基、m及びnは0〜1000の整数。但し、m, nが同時に0となることはない。a及びbは0〜100の整数。但し、a, bが同時に0となることはない。)
【0089】
また、本発明における前記オルガノポリシロキサンとしては、たとえば、以下のような構成を使用することができる。具体的には、式中のRはメチル基,エチル基,プロピル基等のアルキル基、フェニル基,トリル基等のアリール基又はベンジル基,フェネチル基等のアルキル基で例示される1価の有機基であり、それぞれヒドロキシル基等の置換基を有していてもよい。R,R及びRはメチレン基,エチレン基,プロピレン基等の炭素数1〜8のアルキレン基を用いることができる。ここで、R及びR は異なるアルキレン基であり、RはR又はRと同じであっても、異なっていてもよい。R及びRはそのポリオキシアルキレン側鎖中に溶解し得るイオン性化合物の濃度を上げるために、そのどちらか一方が、エチレン基またはプロピレン基であることが好ましい。Rはメチル基,エチル基,プロピル基等のアルキル基またはアセチル基,プロピオニル基等のアシル基で例示される1価の有機基であってもよく、それぞれヒドロキシル基等の置換基を有していてもよい。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。また、分子中に(メタ)アクリロイル基、アリル基、ヒドロキシル基などの反応性置換基を有していてもよい。上記ポリオキシアルキレン側鎖を有するオルガノシロキサンのなかでも、ヒドロキシル基末端を有するポリオキシアルキレン側鎖を有するオルガノシロキサンが相溶性のバランスがとりやすいと推測されるため好ましい。
【化11】
【0090】
上記オルガノシロキサンの具体例としては、たとえば、市販品としての商品名KF−351A、KF−352A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−640、KF−642、KF−643、KF−6022、X−22−6191、X−22−4515、KF−6011、KF−6012、KF−6015、KF−6017、X−22−2516(以上、信越化学工業社製)SF8428、FZ−2162、SH3749、FZ−77、L−7001、FZ−2104、FZ−2110、L−7002、FZ−2122、FZ−2164、FZ−2203、FZ−7001、SH8400、SH8700、SF8410、SF8422(以上、東レ・ダウコーニング社製)、TSF−4440,TSF−4441、TSF−4445、TSF−4450、TSF−4446、TSF−4452、TSF−4460(モメンティブパフォーマンスマテリアルズ社製)、BYK−333、BYK−307、BYK−377、BYK−UV3500、BYK−UV3570(ビックケミー・ジャパン社製)などがあげられる。これらの化合物は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0091】
本発明で使用する上記オルガノシロキサンとしては、HLB(Hydrophile−Lipophile Balance)値が、1〜16が好ましく、より好ましくは3〜14である。HLB値が前記範囲内を外れると、被着体への汚染性が悪くなり、好ましくない。
【0092】
また、前記(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して、前記オルガノポリシロキサンの含有量は、0.01〜5重量部が好ましく、より好ましくは0.03〜3重量部であり、更に好ましくは0.05〜1重量部である。前記範囲内にあると、帯電防止性と軽剥離性(再剥離性)の両立がしやすいため、好ましい。
【0093】
本発明の粘着シートは、前記粘着剤組成物が、架橋剤を含有することが好ましい。また、本発明においては、前記粘着剤組成物を用いて、粘着剤層とする。前記(メタ)アクリル系ポリマーの構成単位、構成比率、架橋剤の選択および添加比率等を適宜調節して架橋することにより、より耐熱性に優れた粘着シート(粘着剤層)を得ることができる。
【0094】
本発明に用いられる架橋剤としては、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、メラミン系樹脂、アジリジン誘導体、および金属キレート化合物などを用いてもよく、特にイソシアネート化合物の使用は、好ましい態様となる。また、これらの架橋剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0095】
イソシアネート化合物としては、たとえば、トリメチレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ダイマー酸ジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート類、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)などの脂肪族イソシアネート類、2,4−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)などの芳香族イソシアネート類、上記イソシアネートをアロファネート結合、ビウレット結合、イソシアヌレート結合、ウレトジオン結合、ウレア結合、カルボジイミド結合、ウレトンイミン結合、オキサジアジントリオン結合などにより変性したポリイソシネート変性体が挙げられる。たとえば、市販品として、商品名タケネート300S、タケネート500、タケネートD165N、タケネートD178N(以上、武田薬品工業社製)、スミジュールT80、スミジュールL、デスモジュールN3400(以上、住化バイエルウレタン社製)、ミリオネートMR、ミリオネートMT、コロネートL、コロネートHL、コロネートHX(以上、日本ポリウレタン工業社製)などがあげられる。イソシアネート化合物は2種以上混合して使用してもよく、2官能のイソシアネート化合物と3官能以上のイソシアネート化合物を併用して用いることも可能である。架橋剤を併用して用いることにより、粘着性と耐反発性(曲面への接着性)を両立することが可能となり、より接着信頼性に優れた粘着シートを得ることができる。
【0096】
エポキシ化合物としては、たとえば、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン(商品名TETRAD−X、三菱瓦斯化学社製)や1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン(商品名TETRAD−C、三菱瓦斯化学社製)などがあげられる。
【0097】
メラミン系樹脂としてはヘキサメチロールメラミンなどがあげられる。アジリジン誘導体としては、たとえば、市販品としての商品名HDU、TAZM、TAZO(以上、相互薬工社製)などがあげられる。
【0098】
金属キレート化合物としては、金属成分としてアルミニウム、鉄、スズ、チタン、ニッケルなど、キレート成分としてアセチレン、アセト酢酸メチル、乳酸エチルなどがあげられる。
【0099】
本発明に用いられる架橋剤の含有量は、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対し、0.01〜10重量部含有されていることが好ましく、0.1〜8重量部含有されていることがより好ましく、0.5〜5重量部含有されていることがさらに好ましく、1.0〜2.5重量部含有されていることが最も好ましい。前記含有量が0.01重量部よりも少ない場合、架橋剤による架橋形成が不十分となり、粘着剤組成物の凝集力が小さくなって、十分な耐熱性が得られない場合もあり、また糊残りの原因となる傾向がある。一方、含有量が10重量部を超える場合、ポリマーの凝集力が大きく、流動性が低下し、偏光板への濡れが不十分となって偏光板と粘着剤組成物層との間に発生するフクレの原因となる傾向がある。さらに、架橋剤量が多いと剥離帯電特性が低下する傾向がある。また、これらの架橋剤は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0100】
前記粘着剤組成物には、さらに、上述したいずれかの架橋反応をより効果的に進行させるため、架橋触媒を含有させることができる。かかる架橋触媒として、例えば、ジラウリン酸ジブチルスズ、ジラウリン酸ジオクチルスズなどのスズ系触媒、トリス(アセチルアセトナト)鉄、トリス(ヘキサン−2,4−ジオナト)鉄、トリス(ヘプタン−2,4−ジオナト)鉄、トリス(ヘプタン−3,5−ジオナト)鉄、トリス(5−メチルヘキサン−2,4−ジオナト)鉄、トリス(オクタン−2,4−ジオナト)鉄、トリス(6−メチルヘプタン−2,4−ジオナト)鉄、トリス(2,6−ジメチルヘプタン−3,5−ジオナト)鉄、トリス(ノナン−2,4−ジオナト)鉄、トリス(ノナン−4,6−ジオナト)鉄、トリス(2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオナト)鉄、トリス(トリデカン−6,8−ジオナト)鉄、トリス(1−フェニルブタン−1,3−ジオナト)、トリス(ヘキサフルオロアセチルアセトナト)鉄、トリス(アセト酢酸エチル)鉄、トリス(アセト酢酸−n−プロピル)鉄、トリス(アセト酢酸イソプロピル)鉄、トリス(アセト酢酸−n−ブチル)鉄、トリス(アセト酢酸−sec−ブチル)鉄、トリス(アセト酢酸−tert−ブチル)鉄、トリス(プロピオニル酢酸メチル)鉄、トリス(プロピオニル酢酸エチル)鉄、トリス(プロピオニル酢酸−n−プロピル)鉄、トリス(プロピオニル酢酸イソプロピル)鉄、トリス(プロピオニル酢酸−n−ブチル)鉄、トリス(プロピオニル酢酸−sec−ブチル)鉄、トリス(プロピオニル酢酸−tert−ブチル)鉄、トリス(アセト酢酸ベンジル)鉄、トリス(マロン酸ジメチル)鉄、トリス(マロン酸ジエチル)鉄、トリメトキシ鉄、トリエトキシ鉄、トリイソプロポキシ鉄、塩化第二鉄などの鉄系触媒を用いることができる。これら架橋触媒は、1種でもよく、2種以上を併用してもよい。
【0101】
架橋触媒の含有量(使用量)は、特に制限されないが、例えば、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して、およそ0.0001〜1重量部が好ましく、0.001〜0.5重量部がより好ましい。前記範囲内にあると、粘着剤層を形成した際に架橋反応の速度が速く、粘着剤組成物のポットライフも長くなりなり、好ましい態様となる。
【0102】
本発明の粘着剤組成物には、オルガノポリシロキサンを含まないポリオキシアルキレン鎖含有化合物を含有してもよい。上記化合物を粘着剤組成物に含有することにより、さらに被着体への濡れ性に優れた粘着剤組成物を得ることができる。
【0103】
前記オルガノポリシロキサンを含まないポリオキシアルキレン鎖含有化合物の具体例としては、たとえば、ポリオキシアルキレンアルキルアミン、ポリオキシアルキレンジアミン、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルアリルエーテル等の非イオン性界面活性剤;ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤;その他、ポリオキシアルキレン鎖(ポリアルキレンオキシド鎖)を有するカチオン性界面活性剤や両イオン性界面活性剤、ポリオキシアルキレン鎖を有するポリエーテル化合物(およびその誘導体を含む)、ポリオキシアルキレン鎖を有するアクリル化合物(およびその誘導体を含む)等が挙げられる。また、ポリオキシアルキレン鎖含有モノマーを、ポリオキシアルキレン鎖含有化合物としてアクリル系ポリマーに配合してもよい。かかるポリオキシアルキレン鎖含有化合物は、単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0104】
前記ポリオキシアルキレン鎖を有するポリエーテル化合物の具体例としては、ポリプロピレングリコール(PPG)−ポリエチレングリコール(PEG)のブロック共重合体、PPG−PEG−PPGのブロック共重合体、PEG−PPG−PEGのブロック共重合体等が挙げられる。前記ポリオキシアルキレン鎖を有するポリエーテル化合物の誘導体としては、末端がエーテル化されたオキシプロピレン基含有化合物(PPGモノアルキルエーテル、PEG−PPGモノアルキルエーテ・BR>挙凵J、末端がアセチル化されたオキシプロピレン基含有化合物(末端アセチル化PPG等)等が挙げられる。
【0105】
また、前記ポリオキシアルキレン鎖を有するアクリル化合物の具体例としては、オキシアルキレン基を有する(メタ)アクリレート重合体が挙げられる。前記オキシアルキレン基としては、オキシアルキレン単位の付加モル数が、イオン性化合物が配位する観点から、1〜50が好ましく、2〜30がより好ましく、2〜20がさらに好ましい。また、前記オキシアルキレン基の末端は、水酸基のままや、アルキル基、フェニル基等で置換されていていてもよい。
【0106】
前記オキシアルキレン基を有する(メタ)アクリレート重合体は、単量体単位(成分)として、(メタ)アクリル酸アルキレンオキサイドを含む重合体であることが好ましく、前記(メタ)アクリル酸アルキレンオキサイドの具体例としては、エチレングリコール基含有(メタ)アクリレートが挙げられ、たとえば、メトキシ−ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ−トリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどのメトキシ−ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート型、エトキシ−ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ−トリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどのエトキシ−ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート型、ブトキシ−ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシ−トリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどのブトキシ−ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート型、フェノキシ−ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシ−トリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどのフェノキシ−ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート型、2−エチルヘキシル−ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノール−ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート型、メトキシ−ジプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどのメトキシ−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート型などがあげられる。
【0107】
また、前記単量体単位(成分)として、前記(メタ)アクリル酸アルキレンオキサイド以外のその他単量体単位(成分)を用いることができる。その他単量体単位の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレートなどの炭素数1〜14のアルキル基を有すアクリレートおよび/またはメタクリレートが挙げられる。
【0108】
さらに、前記(メタ)アクリル酸アルキレンオキサイド以外のその他単量体単位(成分)としては、カルボキシル基含有(メタ)アクリレート、リン酸基含有(メタ)アクリレート、シアノ基含有(メタ)アクリレート、ビニルエステル類、芳香族ビニル化合物、酸無水物基含有(メタ)アクリレート、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート、アミド基含有(メタ)アクリレート、アミノ基含有(メタ)アクリレート、エポキシ基含有(メタ)アクリレート、N−アクリロイルモルホリン、ビニルエーテル類等を適宜用いることも可能である。
【0109】
好ましい一態様としては、上記オルガノポリシロキサンを含まないポリオキシアルキレン鎖含有化合物が、少なくとも一部に(ポリ)エチレンオキシド鎖を有する化合物である。前記(ポリ)エチレンオキシド鎖を有する化合物を配合することにより、ベースポリマーと帯電防止成分との相溶性が向上し、被着体へのブリードが好適に抑制され、低汚染性の粘着剤組成物が得られる。中でも特にPPG−PEG−PPGのブロック共重合体を用いた場合には低汚染性に優れた粘着剤組成物が得られる。上記ポリエチレンオキシド鎖含有化合物としては、前記化合物全体に占める(ポリ)エチレンオキシド鎖の質量が5〜90重量%であることが好ましく、より好ましくは5〜85重量%、さらに好ましくは5〜80重量%、もっとも好ましくは5〜75重量%である。
【0110】
上記オルガノポリシロキサンを含まないポリオキシアルキレン鎖含有化合物の分子量としては、数平均分子量(Mn)が50000以下のものが好ましく、200〜30000がより好ましく、200〜10000が更に好ましく、200〜5000のものが特に好ましく用いられる。Mnが50000よりも大きすぎると、アクリル系ポリマーとの相溶性が低下し粘着剤層が白化する傾向にある。Mnが200よりも小さすぎると、前記ポリオキシアルキレン化合物による汚染が生じやすくなることがあり得る。なお、ここでMnとは、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により得られたポリスチレン換算の値をいう。
【0111】
また、上記オルガノポリシロキサンを含まないポリオキシアルキレン鎖含有化合物の市販品としての具体例は、たとえば、アデカプルロニック17R−4、アデカプルロニック25R−2(以上、いずれもADEKA社製)、エマルゲン120(花王社製)などが挙げられる。
【0112】
上記オルガノポリシロキサンを含まないポリオキシアルキレン鎖含有化合物の配合量としては、アクリル系ポリマー100重量部に対して、例えば0.005〜20重量部とすることができ、好ましくは0.01〜10重量部、より好ましくは0.05〜5重量部、最も好ましくは0.1〜1重量部である。配合量が少なすぎると帯電防止成分のブリードを防止する効果が少なくなり、多すぎると前記ポリオキシアルキレン化合物による汚染が生じやすくなることがあり得る。
【0113】
さらに、前記粘着剤組成物には、アクリルオリゴマーを含有してもよい。アクリルオリゴマーは、重量平均分子量が1000以上30000未満が好ましく、1500以上20000未満がより好ましく、2000以上10000未満がさらに好ましい。前記アクリルオリゴマーとしては、下記一般式(1)で表される脂環式構造を有する(メタ)アクリル系モノマーをモノマー単位として含む(メタ)アクリル系重合体であり、本実施形態の再剥離用のアクリル系粘着剤組成物に使用する場合は、粘着付与樹脂として機能し、接着性を向上させ、粘着シートの浮き抑制に効果がある。
CH=C(R)COOR (1)[式(1)中、Rは、水素原子またはメチル基であり、Rは、脂環式構造を有する脂環式炭化水素基である]
【0114】
一般式(1)における脂環式炭化水素基Rとしては、シクロヘキシル基、イソボルニル基、ジシクロペンタニル基等の脂環式炭化水素基等を挙げることができる。このような脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えばシクロヘキシル基を有する(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、イソボルニル基を有する(メタ)アクリル酸イソボルニル、ジシクロペンタニル基を有する(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル等の(メタ)アクリル酸の脂環族アルコールとのエステルを挙げることができる。このように比較的嵩高い構造を有するアクリル系モノマーをモノマー単位としてアクリルオリゴマーに持たせることで、接着性を向上させることができる。
【0115】
さらに本実施形態において、前記アクリルオリゴマーを構成する脂環式炭化水素基は、橋かけ環構造を有することが好ましい。橋かけ環構造とは、三環以上の脂環式構造のことを指す。橋かけ環構造のようなより嵩高い構造をアクリルオリゴマーに持たせることで、再剥離用アクリル系粘着剤組成物(再剥離用アクリル系粘着シート)の接着性をより向上させることができる。
【0116】
前記橋かけ環構造を有する脂環式炭化水素基であるRとしては、たとえば、下記式(3a)で表されるジシクロペンタニル基、下記式(3b)で表されるジシクロペンテニル基、下記式(3c)で表されるアダマンチル基、下記式(3d)で表されるトリシクロペンタニル基、下記式(3e)で表されるトリシクロペンテニル基等を挙げることができる。なお、アクリルオリゴマーの合成の際や粘着剤組成物作製の際にUV重合を採用する場合には、重合阻害を起こしにくいという点で、橋かけ環構造を有する三環以上の脂環式構造を持った(メタ)アクリル系モノマーの中でも特に、下記式(3a)で表されるジシクロペンタニル基や、下記式(3c)で表されるアダマンチル基、下記式(3d)で表されるトリシクロペンタニル基等の飽和構造を有した(メタ)アクリル系モノマーをアクリルオリゴマーを構成するモノマーとして好適に用いることができる。
【化12】
【0117】
また、前記橋かけ環構造を有する三環以上の脂環式構造を持つ(メタ)アクリル系モノマーの例としては、ジシクロペンタニルメタクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチルメタクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチルアクリレート、トリシクロペンタニルメタクリレート、トリシクロペンタニルアクリレート、1−アダマンチルメタクリレート、1−アダマンチルアクリレート、2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート、2−メチル−2−アダマンチルアクリレート、2−エチル−2−アダマンチルメタクリレート、2−エチル−2−アダマンチルアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルを挙げることができる。この(メタ)アクリル系モノマーは、単独であるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0118】
本実施形態のアクリルオリゴマーは、脂環式構造を有する(メタ)アクリル系モノマーの単独重合体であってもよく、あるいは脂環式構造を有する(メタ)アクリル系モノマーと他の(メタ)アクリル酸エステルモノマー、または共重合性モノマーとの共重合体であってもよい。
【0119】
前記(メタ)アクリル酸エステルモノマーの例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシルのような(メタ)アクリル酸アルキルエステル;
(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジルのような(メタ)アクリル酸アリールエステル;
テルペン化合物誘導体アルコールから得られる(メタ)アクリル酸エステル;等を挙げることができる。このような(メタ)アクリル酸エステルは単独であるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0120】
また、前記アクリルオリゴマーは、前記(メタ)アクリル酸エステル成分単位のほかに、(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な他のモノマー成分(共重合性モノマー)を共重合させて得ることも可能である。
【0121】
前記(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な他のモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸等のカルボキシル基含有モノマー;
(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸プロポキシエチル、(メタ)アクリル酸ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシプロピルのような(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;
(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩等の塩;
エチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、ジエチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、トリエチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、ポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、プロピレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、ジプロピレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステル、トリプロピレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステルのような(ポリ)アルキレングリコールのジ(メタ)アクリル酸エステルモノマー;
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリル酸エステルのような多価(メタ)アクリル酸エステルモノマー;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;
塩化ビニリデン、(メタ)アクリル酸−2−クロロエチルのようなハロゲン化ビニル化合物;
2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンのようなオキサゾリン基含有重合性化合物;
(メタ)アクリロイルアジリジン、(メタ)アクリル酸−2−アジリジニルエチルのようなアジリジン基含有重合性化合物;
アリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸グリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸−2−エチルグリシジルエーテルのようなエポキシ基含有ビニルモノマー;
(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、ラクトン類と(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチルとの付加物のようなヒドロキシル基含有ビニルモノマー;
ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールの共重合体、ポリブチレングリコールとポリエチレングリコールの共重合体のようなポリアルキレングリコールの末端に(メタ)アクリロイル基、スチリル基、ビニル基等の不飽和基が結合したマクロモノマー;
フッ素置換(メタ)アクリル酸アルキルエステルのような含フッ素ビニルモノマー;
無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物基含有モノマー;
スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物系モノマー;
2−クロルエチルビニルエーテル、モノクロロ酢酸ビニルのような反応性ハロゲン含有ビニルモノマー;
(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−エチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド、N−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−アクリロイルモルホリンのようなアミド基含有ビニルモノマー;
N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシヘキサメチレンスクシンイミド等のスクシンイミド系モノマー;
N−シクロヘキシルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド系モノマー;
N−メチルイタコンイミド、N−エチルイタコンイミド、N−ブチルイタコンイミド、N−オクチルイタコンイミド、N−2−エチルへキシルイタコンイミド、N−シクロへキシルイタコンイミド、N−ラウリルイタコンイミド等のイタコンイミド系モノマー;
N−ビニル−2−ピロリドン、N−メチルビニルピロリドン、N−ビニルピリジン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピリミジン、N−ビニルピペラジン、N−ビニルピラジン、N−ビニルピロール、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルオキサゾール、N−(メタ)アクリロイル−2−ピロリドン、N−(メタ)アクリロイルピペリジン、N−(メタ)アクリロイルピロリジン、N−ビニルモルホリン、N−ビニルピラゾール、N−ビニルイソオキサゾール、N−ビニルチアゾール、N−ビニルイソチアゾール、N−ビニルピリダジン等の窒素含有複素環系モノマー;
N−ビニルカルボン酸アミド類;
N−ビニルカプロラクタム等のラクタム系モノマー;
(メタ)アクリロニトリル等のシアノアクリレートモノマー;
(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチル等の(メタ)アクリル酸アミノアルキル系モノマー;
シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミド等のイミド基含有モノマー;
2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレート等のイソシアネート基含有モノマー;
ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルプロピルアリルアミン、2−メトキシエトキシトリメトキシシランのような有機ケイ素含有ビニルモノマー;
(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロへキシル)メチルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル等の水酸基含有モノマー;
(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、フッ素原子含有(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート等の複素環、ハロゲン原子、ケイ素原子等を有するアクリル酸エステル系モノマー;
イソプレン、ブタジエン、イソブチレン等のオレフィン系モノマー;
メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル系モノマー;
エチレン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレン等のオレフィンまたはジエン類;
ビニルアルキルエーテル等のビニルエーテル類;
塩化ビニル;
その他、ビニル基を重合したモノマー末端にラジカル重合性ビニル基を有するマクロモノマー類等を挙げることができる。これらのモノマーは、単独であるいは組み合わせて前記(メタ)アクリル酸エステルと共重合させることができる。
【0122】
前記アクリルオリゴマーとしては、たとえば、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)とイソブチルメタクリレート(IBMA)の共重合体、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)とイソボルニルメタクリレート(IBXMA)の共重合体、メチルメタクリレート(MMA)とイソボルニルメタクリレート(IBXMA)の共重合体、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)とアクリロイルモルホリン(ACMO)の共重合体、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)とジエチルアクリルアミド(DEAA)の共重合体、1−アダマンチルアクリレート(ADA)とメチルメタクリレート(MMA)の共重合体、ジシクロペンタニルメタクリレート(DCPMA)とイソボルニルメタクリレート(IBXMA)の共重合体、ジシクロペンタニルメタクリレート(DCPMA)とメチルメタクリレート(MMA)の共重合体、ジシクロペンタニルメタクリレート(DCPMA)とN−ビニル−2−ピロリドン(NVP)の共重合体、ジシクロペンタニルメタクリレート(DCPMA)とヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)の共重合体、ジシクロペンタニルメタクリレート(DCPMA)とアクリル酸(AA)の共重合体、ジシクロペンタニルメタクリレート(DCPMA)、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)、イソボルニルメタクリレート(IBXMA)、イソボルニルアクリレート(IBXA)、ジシクロペンタニルアクリレート(DCPA)、1−アダマンチルメタクリレート(ADMA)、1−アダマンチルアクリレート(ADA)、メチルメタクリレート(MMA)の各単独重合体等を挙げることができる。
【0123】
さらに、前記アクリルオリゴマーは、エポキシ基またはイソシアネート基と反応性を有する官能基が導入されていてもよい。このような官能基の例としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、メルカプト基を挙げることができ、アクリルオリゴマーを製造する際にこうした官能基を有するモノマーを使用(共重合)してもよい。
【0124】
前記アクリルオリゴマーを脂環式構造を有する(メタ)アクリル系モノマーと他の(メタ)アクリル酸エステルモノマー、または共重合性モノマーとの共重合体とする場合、脂環式構造を有する(メタ)アクリル系モノマーの含有割合は、アクリルオリゴマーを構成する全モノマー中5重量%以上、好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%以上、さらに好ましくは30重量%以上であることが好ましい(通常100重量%未満、好ましくは90重量%以下)。脂環式構造を有する(メタ)アクリル系モノマーを5重量%以上含有していれば、透明性を低下させることなく接着性を向上させることができる。
【0125】
前記アクリルオリゴマーの重量平均分子量は、1000以上30000未満、好ましくは1500以上20000未満、さらに好ましくは2000以上10000未満である。重量平均分子量が30000以上であると、接着性が低下する。また、重量平均分子量が1000未満であると、低分子量となるため粘着シートの粘着力の低下を引き起こす。
【0126】
さらに、本発明の粘着シートに用いられる粘着剤組成物には、その他の公知の添加剤を含有していてもよく、たとえば、着色剤、顔料などの粉体、界面活性剤、可塑剤、粘着付与剤、低分子量ポリマー、表面潤滑剤、レベリング剤、酸化防止剤、腐食防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、シランカップリンング剤、無機または有機の充填剤、金属粉、粒子状、箔状物などを使用する用途に応じて適宜添加することができる。
【0127】
また、本発明の粘着シートは、上記いずれかに記載の粘着剤組成物を架橋してなる粘着剤層を支持フィルムの片面または両面に形成してなることが好ましい。本発明の粘着シートによると、上記の如き作用効果を奏する粘着剤組成物を架橋してなる粘着剤層を備えるため、剥離した際に帯電防止されていない被保護体への帯電防止が図れ、被保護体への汚染が低減された粘着シートとなる。このため、帯電や汚染が特に深刻な問題となる光学・電子部品関連の技術分野における帯電防止性粘着シートとして非常に有用となる。
【0128】
本発明の粘着シートは、前記粘着剤層を支持フィルム上に形成してなるものであるが、その際、粘着剤組成物の架橋は、粘着剤組成物の塗布後に行うのが一般的であるが、架橋後の粘着剤組成物からなる粘着剤層を支持フィルムなどに転写することも可能である。
【0129】
また、前記支持フィルム上に粘着剤層を形成する方法は特に問わないが、たとえば、前記粘着剤組成物を支持フィルムに塗布し、重合溶剤などを乾燥除去して粘着剤層を支持フィルム上に形成することにより作製される。その後、粘着剤層の成分移行の調整や架橋反応の調整などを目的として養生をおこなってもよい。また、粘着剤組成物を支持フィルム上に塗布して粘着シートを作製する際には、支持フィルム上に均一に塗布できるよう、前記粘着剤組成物中に重合溶剤以外の一種以上の溶剤を新たに加えてもよい。
【0130】
また、本発明の粘着シートを製造する際の粘着剤層の形成方法としては、粘着テープ類の製造に用いられる公知の方法が用いられる。具体的には、たとえば、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、エアーナイフコート法、ダイコーターなどによる押出しコート法などがあげられる。
【0131】
本発明の粘着シートは、通常、上記粘着剤層の厚みが3〜100μm、好ましくは5〜50μm程度となるように作製する。粘着剤層の厚みが、前記範囲内にあると、適度な再剥離性と接着性のバランスを得やすいため、好ましい。前記粘着シートは、ポリエステルフィルムなどのプラスチックフィルムや、紙、不織布などの多孔質材料などからなる各種の支持フィルムの片面または両面に、上記粘着剤層を塗布形成し、シート状やテープ状などの形態としたものである。
【0132】
本発明の粘着シートを構成する支持フィルムの厚みは、通常5〜200μm、好ましくは10〜100μm程度である。前記支持フィルムの厚みが、前記範囲内にあると、被着体への貼り合せ作業性と被着体からの剥離作業性に優れるため、好ましい。
【0133】
前記支持フィルムには、必要に応じて、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系もしくは脂肪酸アミド系の離型剤、シリカ粉等による離型および防汚処理や、酸処理、アルカリ処理、プライマー処理、コロナ処理、プラズマ処理、紫外線処理などの易接着処理、塗布型、練り込み型、蒸着型などの帯電防止処理をすることもできる。
【0134】
また、本発明の粘着シートを表面保護フィルムとして用いる場合は、前記粘着剤層を、支持フィルムの片面または両面に形成してなることが好ましく、更に、前記支持フィルムが、帯電防止処理がなされてなるプラスチックフィルムであることが好ましい。前記支持フィルムを用いることにより、剥離した際の表面保護フィルム自身の帯電が抑えられるため、好ましい。なお、上記の如き作用効果を奏する粘着剤組成物を架橋してなる粘着剤層を備えるため、剥離した際に帯電防止されていない被保護体への帯電防止が図れ、被保護体への汚染が低減された表面保護フィルムとなる。このため、帯電や汚染が特に深刻な問題となる光学・電子部品関連の技術分野における帯電防止性表面保護フィルムとして非常に有用となる。また、支持フィルムがプラスチックフィルムであり、前記プラスチックフィルムに帯電防止処理を施すことにより、表面保護フィルム自身の帯電を低減し、かつ、被保護体への帯電防止能が優れるものが得られる。
【0135】
また、前記支持フィルムは、耐熱性および耐溶剤性を有すると共に、可とう性を有するプラスチックフィルムであることがより好ましい。支持フィルムが可とう性を有することにより、ロールコーターなどによって粘着剤組成物を塗布することができ、ロール状に巻き取ることができる。
【0136】
前記プラスチックフィルムとしては、シート状やフィルム状に形成できるものであれば特に限定されるものでなく、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体などのポリオレフィンフィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステルフィルム、ポリアクリレートフィルム、ポリスチレンフィルム、ナイロン6、ナイロン6,6、部分芳香族ポリアミドなどのポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリカーボネートフィルムなどがあげられる。
【0137】
本発明においては、前記プラスチックフィルムに施される帯電防止処理としては特に限定されないが、一般的に用いられる基材の少なくとも片面に帯電防止層を設ける方法やプラスチックフィルムに練り込み型帯電防止剤を練り込む方法が用いられる。基材の少なくとも片面に帯電防止層を設ける方法としては、帯電防止剤と樹脂成分から成る帯電防止性樹脂や導電性ポリマー、導電性物質を含有する導電性樹脂を塗布する方法や導電性物質を蒸着あるいはメッキする方法があげられる。
【0138】
帯電防止性樹脂に含有される帯電防止剤としては、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、第1、第2、第3アミノ基などのカチオン性官能基を有すカチオン型帯電防止剤、スルホン酸塩や硫酸エステル塩、ホスホン酸塩、リン酸エステル塩などのアニオン性官能基を有するアニオン型帯電防止剤、アルキルベタインおよびその誘導体、イミダゾリンおよびその誘導体、アラニンおよびその誘導体などの両性型帯電防止剤、アミノアルコールおよびその誘導体、グリセリンおよびその誘導体、ポリエチレングリコールおよびその誘導体などのノニオン型帯電防止剤、さらには、上記カチオン型、アニオン型、両性イオン型のイオン導電性基を有するモノマーを重合もしくは共重合して得られたイオン導電性重合体があげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0139】
カチオン型の帯電防止剤として、たとえば、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アシロイルアミドプロピルトリメチルアンモニウムメトサルフェート、アルキルベンジルメチルアンモニウム塩、アシル塩化コリン、ポリジメチルアミノエチルメタクリレートなどの4級アンモニウム基を有する(メタ)アクリレート共重合体、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライドなどの4級アンモニウム基を有するスチレン共重合体、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライドなどの4級アンモニウム基を有するジアリルアミン共重合体などがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0140】
アニオン型の帯電防止剤として、たとえば、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエトキシ硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩、スルホン酸基含有スチレン共重合体があげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0141】
両性イオン型の帯電防止剤として、たとえば、アルキルベタイン、アルキルイミダゾリウムベタイン、カルボベタイングラフト共重合があげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0142】
ノニオン型の帯電防止剤として、たとえば、脂肪酸アルキロールアミド、ジ(2−ヒドロキシエチル)アルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、脂肪酸グリセリンエステル、ポリオキシエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンジアミン、ポリエーテルとポリエステルとポリアミドからなる共重合体、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0143】
導電性ポリマーとしては、たとえば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンなどがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0144】
前記導電性物質としては、たとえば、酸化錫、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化チタン、酸化亜鉛、インジウム、錫、アンチモン、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム、チタン、鉄、コバルト、ヨウ化銅、およびそれらの合金または混合物があげられる。
【0145】
帯電防止性樹脂および導電性樹脂に用いられる樹脂成分としては、ポリエステル、アクリル、ポリビニル、ウレタン、メラミン、エポキシなどの汎用樹脂が用いられる。なお、高分子型帯電防止剤の場合には、樹脂成分を含有させなくてもよい。また、帯電防止樹脂成分に、架橋剤としてメチロール化あるいはアルキロール化したメラミン系、尿素系、グリオキザール系、アクリルアミド系などの化合物、エポキシ化合物、イソシアネート化合物を含有させることも可能である。
【0146】
帯電防止層の形成方法としては、たとえば、上述帯電防止性樹脂、導電性ポリマー、導電性樹脂を有機溶剤もしくは水などの溶媒で希釈し、この塗液をプラスチックフィルムに塗布、乾燥することで形成される。
【0147】
前記帯電防止層の形成に用いる有機溶剤としては、たとえば、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、シクロヘキサノン、n−ヘキサン、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノールなどがあげられる。これらの溶剤は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0148】
前記帯電防止層の形成における塗布方法については公知の塗布方法が適宜用いられ、具体的には、たとえば、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、エアーナイフコート、含浸およびカーテンコート法があげられる
【0149】
前記帯電防止性樹脂層、導電性ポリマー、導電性樹脂の厚みとしては、通常0.001〜5μm程度であり、好ましくは0.03〜1μm程度である。前記範囲内にあると、プラスチックフィルムの耐熱性、耐溶剤性、及び可とう性を損なう可能性が小さいため、好ましい。
【0150】
前記導電性物質の蒸着あるいはメッキの方法としては、たとえば、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、化学蒸着、スプレー熱分解、化学メッキ、電気メッキ法などがあげられる。
【0151】
前記導電性物質層の厚みとしては通常0.002〜1μmであり、好ましくは0.005〜0.5μmである。前期範囲内にあると、プラスチックフィルムの耐熱性、耐溶剤性、及び可とう性を損なう可能性が小さいため、好ましい。
【0152】
また、練り込み型帯電防止剤としては、上記帯電防止剤が適宜用いられる。練り込み型帯電防止剤の配合量としては、プラスチックフィルムの総重量に対して20重量%以下、好ましくは0.05〜10重量%の範囲で用いられる。前記範囲内にあると、プラスチックフィルムの耐熱性、耐溶剤性、及び可とう性を損なう可能性が小さいため、好ましい。練り込み方法としては、前記帯電防止剤がプラスチックフィルムに用いられる樹脂に均一に混合できる方法であれば特に限定されず、たとえば、加熱ロール、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、二軸混練機などが用いられる。
【0153】
本発明の粘着シートや表面保護フィルムには必要に応じて粘着面を保護する目的で粘着剤層表面にセパレーターを貼り合わせることが可能である。
【0154】
セパレーターを構成する材料としては紙やプラスチックフィルムがあるが、表面平滑性に優れる点からプラスチックフィルムが好適に用いられる。そのフィルムとしては、前記粘着剤層を保護し得るフィルムであれば特に限定されず、たとえば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルムなどがあげられる。
【0155】
前記セパレーターの厚みは、通常5〜200μm、好ましくは10〜100μm程度である。前記範囲内にあると、粘着剤層への貼り合せ作業性と粘着剤層からの剥離作業性に優れるため、好ましい。前記セパレーターには、必要に応じて、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系もしくは脂肪酸アミド系の離型剤、シリカ粉などによる離型および防汚処理や、塗布型、練り込み型、蒸着型などの帯電防止処理をすることもできる。
【0156】
本発明の粘着シートは、前記支持フィルムの片面又は両面に、前記粘着剤組成物から形成される粘着剤層を有する粘着シートにおいて、前記粘着剤層の粘着面をTAC面に23℃で30分間貼付後の剥離速度30m/minにおける粘着力(A)、及び、前記粘着剤層の粘着面をTAC面に50℃で1日間貼付後の剥離速度30m/minにおける粘着力(B)、との粘着力比(B/A)が、0.5〜1.5であり、好ましくは、0.5〜1.4であり、より好ましくは、0.5〜1.2である。前記範囲内にあることにより、再剥離性及び作業性に優れ、好ましい態様となる。
【0157】
本発明の粘着シート(表面保護フィルムに使用する場合を含む)は、前記粘着シートに用いられる粘着剤層のTAC偏光板に対する23℃×50%RHでの180°ピール粘着力(引張速度30m/分:高速剥離)(初期記粘着力(A)が、1.5N/25mm以下であることが好ましく、より好ましくは、0.05〜1.5N/25mm、更に好ましくは、0.1〜1.4N/25mmである。前記ピール粘着力(引張速度30m/分:高速剥離)が1.5N/25mmを超えると被着体から保護フィルムが剥がれ難くなり・BR>A保護フィルムが不要になったときの剥離作業性が劣り、さらには剥離工程により被着体に損傷等を与えてしまうため、好ましくない。
【0158】
本発明の粘着シート(表面保護フィルムに使用する場合を含む)は、前記粘着シートに用いられる粘着剤層の偏光板に対する23℃×50%RHでの、剥離角度150°、剥離速度30m/分で剥離(高速剥離)したときに発生する偏光板表面の電位(剥離帯電圧:kV、絶対値)が、1.2kV以下が好ましく、1.0kV以下がより好ましく、0.8kV以下が更に好ましい。前記剥離帯電圧が、1.2kVを超えると、例えば、液晶ドライバ等の損傷を招く恐れがあり、好ましくない。
【0159】
本発明の光学部材は、前記粘着シートにより保護されたものであることが好ましい。前記粘着シートは、経時での粘着力の上昇を防止でき、高速剥離時の粘着力が低く、再剥離性及び作業性に優れるため、加工、搬送、出荷時等の表面保護用途(表面保護フィルム)に使用できるため、前記光学部材(偏光板など)の表面を保護するために、有用なものとなる。特に静電気が発生しやすいプラスチック製品などに用いることができるため、帯電が特に深刻な問題となる光学・電子部品関連の技術分野において、帯電防止用に非常に有用となる。
【実施例】
【0160】
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例等における評価項目は下記のようにして測定を行った。
【0161】
<重量平均分子量(Mw)の測定>
重量平均分子量(Mw)は、東ソー株式会社製GPC装置(HLC−8220GPC)を用いて測定を行った。測定条件は下記の通りである。
【0162】
サンプル濃度:0.2重量%(THF溶液)
サンプル注入量:10μl
溶離液:THF
流速:0.6ml/min
測定温度:40℃
カラム:
サンプルカラム;TSKguardcolumn SuperHZ−H(1本)+TSKgel SuperHZM−H(2本)
リファレンスカラム;TSKgel SuperH−RC(1本)
検出器:示差屈折計(RI)
なお、重量平均分子量はポリスチレン換算値にて求めた。
【0163】
<ガラス転移温度の理論値>
ガラス転移温度Tg(℃)は、各モノマーによるホモポリマーのガラス転移温度Tgn(℃)として下記の文献値を用い、下記の式により求めた。
【0164】
式:1/(Tg+273)=Σ[Wn/(Tgn+273)]
〔式中、Tg(℃)は共重合体のガラス転移温度、Wn(−)は各モノマーの重量分率、Tgn(℃)は各モノマーによるホモポリマーのガラス転移温度、nは各モノマーの種類を表す。〕文献値:
2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA):−70℃
2−ヒドロキシエチルアクリレート(2HEA):−15℃
4−ヒドロキブチルアクリレート(4HBA):−32℃
アクリル酸(AA):106℃
ジシクロペンタニルメタクリレート(DCPMA):175℃
メチルメタクリレート(MMA):105℃
【0165】
なお、文献値として、「アクリル樹脂の合成・設計と新用途展開」(中央経営開発センター出版部発行)及び「Polymer Handbook」(John Wiley & Sons)を参照した。
【0166】
<ガラス転移温度の測定>
ガラス転移温度(Tg)(℃)は、動的粘弾性測定装置(レオメトリックス社製、ARES)を用いて、下記の方法により求めた。
【0167】
(メタ)アクリル系ポリマーのシート(厚み:20μm)を積層して約2mmの厚みとし、これをφ7.9mmに打ち抜き、円柱状のペレットを作製してガラス転移温度測定用サンプルとした。
【0168】
上記測定サンプルをφ7.9mmパラレルプレートの治具に固定し、上記動的粘弾性測定装置により、損失弾性率G’’の温度依存性を測定し、得られたG’’カーブが極大となる温度をガラス転移温度(℃)とした。
【0169】
測定条件は下記の通りである。
・測定:せん断モード
・温度範囲:−70℃〜150℃
・昇温速度:5℃/min
・周波数:1Hz
【0170】
<剥離帯電圧の測定>
粘着シートを幅70mm、長さ130mmのサイズにカットし、セパレーターを剥離した後、あらかじめ除電しておいたアクリル板(厚み:2mm、幅:70mm、長さ:100mm)に貼り合わせたTAC偏光板(日東電工社製、SEG1423DU偏光板、幅:70mm、長さ:100mm)表面(TAC面)に片方の端部が30mmはみ出すようにハンドローラーにて圧着した。
【0171】
23℃×50%RHに一日放置した後、図1に示すように、所定の位置にサンプルをセットした。30mmはみ出した片方の端部を自動巻取り機に固定し、剥離角度150°、剥離速度30m/分(高速剥離)となるように剥離した。このときに発生する偏光板表面の電位(剥離帯電圧:絶対値、kV)を偏光板中央の位置に固定してある電位測定機(春日電機社製、KSD−0103)にて測定した。測定は、23℃×50%RHの環境下で行った。
【0172】
<初期粘着力(A)の測定>
TAC偏光板(日東電工社製、SEG1423DU偏光板、幅:70mm、長さ:100mm)を23℃×50%RHの環境下に24時間放置した後、幅25mm、長さ100mmにカットした粘着シートを上記被着体に0.25MPaの圧力、0.3m/分の速度でラミネートし、評価サンプルを作製した。
【0173】
上記ラミネート後、23℃×50%RHの環境下に30分間放置した後、万能引張試験機にて剥離速度30m/分(高速剥離)、剥離角度180°で剥離したときの初期粘着力(A)(N/25mm)を測定した。測定は23℃×50%RHの環境下でおこなった。
【0174】
なお、前記粘着力(A)は、1.5N/25mm以下であることが好ましく、より好ましくは、0.05〜1.5N/25mm、更に好ましくは、0.1〜1.4N/25mmである。前記粘着力(A)が、1.5N/25mmを超えると、被着体から保護フィルムが剥がれ難くなり、保護フィルムが不要になったときの剥離作業性が劣り、さらには剥離工程により被着体に損傷等を与えてしまうため、好ましくない。
【0175】
<経時粘着力(B)の測定>
TAC偏光板(日東電工社製、SEG1423DU偏光板、幅:70mm、長さ:100mm)を23℃×50%RHの環境下に24時間放置した後、幅25mm、長さ100mmにカットした粘着シートを上記被着体に0.25MPaの圧力、0.3m/分の速度でラミネートし、評価サンプルを作製した。
【0176】
上記ラミネート後、50℃の環境下に1日間、及び、1週間放置した後、万能引張試験機にて剥離速度30m/分(高速剥離)、剥離角度180°で剥離したときの経時粘着力(B)(N/25mm)を測定した。測定は23℃×50%RHの環境下でおこなった。
【0177】
なお、前記粘着力(B)は、1.5N/25mm以下であることが好ましく、より好ましくは、0.05〜1.5N/25mm、更に好ましくは、0.1〜1.4N/25mmである。前記粘着力(B)が、1.5N/25mmを超えると、被着体から保護フィルムが剥がれ難くなり、保護フィルムが不要になったときの剥離作業性が劣り、さらには剥離工程により被着体に損傷等を与えてしまうため、好ましくない。
【0178】
<粘着力比(B/A)の評価>
前記粘着力(A)、及び、前記粘着力(B)との粘着力比(B/A)が、0.5〜1.5であり、好ましくは、0.5〜1.4であり、より好ましくは、0.5〜1.2である。前記範囲内にあることにより、再剥離性及び作業性に優れ、好ましい態様となる。なお、前記粘着力比は、経時での粘着力の上昇防止性の指標として、評価したものである。また、前記粘着力(B)については、50℃で1日間貼付後だけでなく、50℃で1週間貼付後においても、前記範囲内であることが好ましい。
【0179】
<(メタ)アクリル系ポリマーの調製>
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた四つ口フラスコに2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)100重量部、4−ヒドロキシブチルアクリレート(4HBA)5重量部、アクリル酸(AA)0.01重量部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.2重量部、酢酸エチル157重量部を仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入し、フラスコ内の液温を65℃付近に保って6時間重合反応を行い、(メタ)アクリル系ポリマー溶液(40重量%)を調製した。前記アクリル系ポリマーの重量平均分子量は54万、ガラス転移温度(Tg)は、−68℃であった。
【0180】
上記と同様の方法により、表1の配合割合でその他の(メタ)アクリル系ポリマーを調製した。得られたポリマーの物性値は、表2に示した。
【0181】
(アクリルオリゴマーの調製)
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器、滴下ロートを備えた四つ口フラスコに、トルエン100重量部、ジシクロペンタニルメタクリレート(DCPMA)(商品名:FA−513M、日立化成工業社製)60重量部、メチルメタクリレート(MMA)40重量部、および、連鎖移動剤としてチオグリコール酸メチル3.5重量部を投入した。そして、70℃にて、窒素雰囲気下で1時間攪拌した後、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.2重量部を投入し、70℃で2時間反応させ、続いて80℃で4時間反応させた後に、90℃で1時間反応させ、アクリルオリゴマーを得た。前記アクリルオリゴマーは、重量平均分子量は4000であり、ガラス転移温度(Tg)は、144℃であった。
【0182】
<帯電防止処理フィルムの作製>
帯電防止剤(ソルベックス社製、マイクロソルバーRMd−142、酸化スズとポリエステル樹脂を主成分とする)10重量部を、水30重量部とメタノール70重量部からなる混合溶媒で希釈することにより帯電防止剤溶液を調製した。
【0183】
得られた帯電防止剤溶液を、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ:38μm)上にマイヤーバーを用いて塗布し、130℃で1分間乾燥することにより溶剤を除去して帯電防止層(厚さ:0.2μm)を形成し、帯電防止処理フィルムを作製した。
【0184】
<実施例1>
〔粘着剤溶液の調製〕
上記(メタ)アクリル系ポリマー溶液(40重量%)を酢酸エチルで20重量%に希釈し、この溶液500重量部(固形分100重量部)に、オルガノポリシロキサン(KF-353、信越化学工業社製)を酢酸エチルで10%に希釈した溶液2重量部(固形分0.2重量部)、帯電防止剤であるアルカリ金属塩として、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiN(CF3SO22:LiTFSI、東京化成工業社製)を酢酸エチルで1%に希釈した溶液5重量部(固形分0.05重量部)、架橋剤として、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(日本ポリウレタン工業社製、コロネートHX)1重量部(固形分1重量部)、架橋触媒としてジラウリン酸ジブチルスズ(1重量%酢酸エチル溶液)2重量部(固形分0.02重量部)を加えて、混合攪拌を行い、アクリル系粘着剤溶液(1)を調製した。
【0185】
〔粘着シートの作製〕
上記アクリル系粘着剤溶液(1)を、上記の帯電防止処理フィルムの帯電防止処理面とは反対の面に塗布し、130℃で2分間加熱して、厚さ15μmの粘着剤層を形成した。次いで、上記粘着剤層の表面に、片面にシリコーン処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ25μm)のシリコーン処理面を貼り合わせ、粘着シートを作製した。
【0186】
<実施例2〜18、及び、比較例1〜5>
表1、及び表2の配合割合に基づき、実施例1と同様にして、粘着シートを作製した。なお、表1、及び表2中の配合量は、固形分を示した。
【0187】
<実施例19>
アクリルオリゴマー1重量部をさらに添加した以外は、表1、及び表2の配合割合に基づき、実施例1と同様にして、粘着シートを作製した。
【0188】
<実施例20>
架橋触媒として、ジラウリン酸ジブチルスズの代わりに、トリス(アセチルアセトナト)鉄(1重量%酢酸エチル溶液)0.5重量部(固形分0.005重量部)を用いた以外は、表1、及び表2の配合割合に基づき、実施例1と同様にして、粘着シートを作製した。
【0189】
<実施例21>
アクリルオリゴマー1重量部をさらに添加し、架橋触媒としてジラウリン酸ジブチルスズの代わりに、トリス(アセチルアセトナト)鉄(1重量%酢酸エチル溶液)0.5重量部(固形分0.005重量部)を用いた以外は、表1、及び表2の配合割合に基づき、実施例1と同様にして、粘着シートを作製した。
【0190】
<比較例6>
アクリルオリゴマー1重量部をさらに添加した以外は、表1、及び表2の配合割合に基づき、実施例1と同様にして、粘着シートを作製した。
【0191】
上記方法に従い、作製した粘着シートの初期及び経時の粘着力(剥離力)の測定、粘着力比(B/A)、及び、剥離帯電圧の測定の評価を行った。得られた結果を表3に示した。
【0192】
【表1】
【0193】
【表2】
【0194】
表1及び表2中の略称を、以下に説明する。
2EHA:2−エチルへキシルアクリレート
2HEA:2−ヒドロキシエチルアクリレート
4HBA:4−ヒドロキシブチルアクリレート
AA:アクリル酸(カルボキシル基含有(メタ)アクリル系モノマー)
COOHモノマー:カルボキシル基含有(メタ)アクリル系モノマー
C/HX:イソシアネート化合物:ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(日本ポリウレタン社製、商品名:コロネートHX)
KF353:オルガノポリシロキサン(HLB値:10、信越化学工業社製、商品名:KF-353)
FZ2203:オルガノポリシロキサン(HLB値:1、東レ・ダウコーニング社製、商品名:FZ2203)
LiTFSI:アルカリ金属塩、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、LiN(CF3SO22(東京化成工業社製)
BMPTFSI:イオン液体、1−ブチル−3−メチルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(シグマアルドリッチ社製、25℃で液状)
【0195】
【表3】

注)表3中の空欄部分は、評価を行っていない。
【0196】
上記表3の結果より、全ての実施例において、所望量のカルボキシル基含有(メタ)アクリル系モノマーであるアクリル酸(AA)を配合することにより、高速剥離時における粘着特性、再剥離性、粘着力上昇防止性、及びこれら特性に伴う作業性にも優れることが確認できた。また、帯電防止剤を配合した実施例(実施例9においては、帯電防止剤であるイオン性化合物を使用していない)においては、剥離帯電圧の絶対値が0.1kV以下という低い値に抑制され、帯電防止性を図れることも確認できた。また、実施例により得られた粘着シートは、光学部材などの表面保護用途として有用であることが確認できた。
【0197】
これに対して、比較例1、4、5及び6においては、アクリル酸を配合せず、比較例2及び3においては、アクリル酸を多く配合したため、粘着力比(B/A)が所望の範囲を外れ、再剥離性、粘着力上昇防止性、及び、作業性に劣ることが確認された。また、比較例2においては、アクリル酸と帯電防止剤であるアルカリ金属塩との相互作用により、導電性が低下したことが推測され、帯電防止剤を配合したにもかかわらず、帯電防止性に劣ることが確認された。
【符号の説明】
【0198】
1 電位測定器
2 粘着シート
3 偏光板
4 アクリル板
5 固定台
図1