(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5687844
(24)【登録日】2015年1月30日
(45)【発行日】2015年3月25日
(54)【発明の名称】ハイブリッド半導体基板の製造プロセス
(51)【国際特許分類】
H01L 21/8234 20060101AFI20150305BHJP
H01L 27/088 20060101ALI20150305BHJP
H01L 29/786 20060101ALI20150305BHJP
H01L 21/76 20060101ALI20150305BHJP
H01L 21/762 20060101ALI20150305BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20150305BHJP
H01L 21/8244 20060101ALI20150305BHJP
H01L 27/11 20060101ALI20150305BHJP
H01L 27/08 20060101ALI20150305BHJP
H01L 27/12 20060101ALI20150305BHJP
【FI】
H01L27/08 102A
H01L29/78 617N
H01L21/76 L
H01L21/76 D
H01L29/78 613B
H01L29/78 621
H01L27/10 381
H01L27/08 331E
H01L27/12 L
【請求項の数】17
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2010-97815(P2010-97815)
(22)【出願日】2010年4月21日
(65)【公開番号】特開2010-267959(P2010-267959A)
(43)【公開日】2010年11月25日
【審査請求日】2013年4月4日
(31)【優先権主張番号】09290372.3
(32)【優先日】2009年5月18日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】507088071
【氏名又は名称】ソイテック
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブールデル コンスタンチン
(72)【発明者】
【氏名】グエン ビッチ−イエン
(72)【発明者】
【氏名】サダーカ マリアム
【審査官】
岩本 勉
(56)【参考文献】
【文献】
再公表特許第2007/004535(JP,A1)
【文献】
特開2001−007219(JP,A)
【文献】
国際公開第2007/126907(WO,A1)
【文献】
特開平09−115999(JP,A)
【文献】
特開2007−123892(JP,A)
【文献】
特表2008−541446(JP,A)
【文献】
特表2009−532865(JP,A)
【文献】
特表2007−529108(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0217690(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/336、21/70−21/764、
21/8234−21/8238、21/8249、
27/06−27/08、27/088−27/092、
29/786
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイブリッド半導体基板を製造する方法において、
(a)ベース基板(3)の上の絶縁層(5)と前記絶縁層(5)の上のSeOI層(7)とを備えるセミコンダクタ−オン−インシュレータ(SeOI)領域(13)と、バルク半導体領域(11)とを具備するハイブリッド半導体基板を提供するステップであって、前記SeOI領域(13)と前記バルク半導体領域(11)は同じベース基板(3)を共用するステップと、
(b)前記SeOI領域(13)の上にマスク層(9)を提供するステップと、
(c)前記SeOI領域(13)と前記バルク半導体領域(11)を同時にドーピングすることにより、第1の不純物レベル(17a、17b)を形成するステップであって、該ドーピングは、前記SeOI領域(13)の前記第1の不純物レベル(17a)が前記マスク層(9)内のみに含まれるように実行される、ステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
ハイブリッド半導体基板を製造する請求項1に記載の方法において、
(d)前記SeOI領域(13)と前記バルク半導体領域(11)を同時にドーピングすることにより、第2の不純物レベル(19a、19b)を形成するステップであって、該ドーピングは、前記SeOI領域(13)の前記第2の不純物レベル(19a)が、前記絶縁層(5)の下の前記ベース基板(3)内にあるように実行される、ステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
ハイブリッド半導体基板を製造する請求項2に記載の方法において、
(e)前記SeOI領域(13)と前記バルク半導体領域(11)を同時にドーピングすることにより、第3の不純物レベル(21a、21b)を形成するステップであって、該ドーピングは、前記SeOI領域(13)の前記第3の不純物レベル(21a)が、前記第2の不純物レベル(19a)の下の前記ベース基板(3)内の、前記絶縁層(5)からさらに離れた位置にあるように実行される、ステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
ハイブリッド半導体基板を製造する請求項1ないし3のいずれかに記載の方法であって、
(g)セミコンダクタ−オン−インシュレータ(SeOI)基板(1a)を提供するステップと、
前記SeOI基板(1a)上に前記マスク層(9)を形成するステップと、
前記マスク層(9)、前記SeOI層(7)および前記絶縁層(5)の所定の領域を除去して、前記バルク半導体領域(11)を得るステップと
をさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
ハイブリッド半導体基板を製造する請求項1ないし4のいずれかに記載の方法であって、
(h)ステップc)、d)およびe)のうちの少なくとも1つのステップの最中に、第2のマスク(15)によってマスクされた領域に不純物レベルが形成されることを防ぐために、前記ハイブリッド半導体基板の上に、所定のパターンを有する前記第2のマスク(15)を提供するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
ハイブリッド半導体基板を製造する請求項1ないし5のいずれかに記載の方法であって、
(i)ステップc)の後に、前記SeOI領域(13)から前記マスク層(9)を除去するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
ハイブリッド半導体基板を製造する請求項1ないし6のいずれかに記載の方法であって、前記マスク層(9)および/または前記絶縁層(5)は、酸化物からなることを特徴とする方法。
【請求項8】
ハイブリッド半導体基板を製造する請求項1ないし7のいずれかに記載の方法であって、
(j)前記バルク半導体領域(11)に隣接する前記SeOI領域(13)のエッジ領域に、スペーサ(29)を、前記スペーサ(29)が少なくとも前記ベース基板(3)の表面から前記SeOI層(7)まで延びるように提供するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
ハイブリッド半導体基板を製造する請求項8に記載の方法であって、前記スペーサ(29)を、とりわけステップ(j)の後に除去するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
ハイブリッド半導体基板を製造する請求項8または9に記載の方法であって、前記スペーサ(29)は、マスク層(9)とは異なる材料からなり、とりわけ窒化物であることを特徴とする方法。
【請求項11】
ハイブリッド半導体基板を製造する請求項1ないし10のいずれかに記載の方法であって、前記マスク層(9)の厚さは少なくとも20nm、とりわけ20nm以上、30nm以下であることを特徴とする方法。
【請求項12】
ハイブリッド半導体基板を製造する請求項1ないし11のいずれかに記載の方法であって、
前記SeOI層(7)の厚さは最大20nm、とりわけ10nm以上、20nm以下であり、かつ/または
前記絶縁層(5)の厚さは最大20nm、とりわけ10nm以上、20nm以下であることを特徴とする方法。
【請求項13】
ハイブリッド半導体基板を製造する請求項1ないし12のいずれかに記載の方法であって、浅いトレンチ分離(STI)(23)を提供して、前記SeOI領域(13)と前記バルク半導体領域(11)とを分離するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
ベース基板(3)と、前記ベース基板(3)の上の絶縁層(5)と、前記絶縁層(5)の上のSeOI層(7)と、前記SeOI層(7)の上のマスク層(9)とを備えるセミコンダクタ−オン−インシュレータ(SeOI)領域(13)と、
前記SeOI領域(13)に隣接して提供されたバルク半導体領域(11)と、
前記SeOI領域(13)および前記バルク半導体領域(11)の第1の不純物領域(17a、17b)と
を具備し、
前記SeOI領域(13)の前記第1の不純物領域(17a)は前記マスク層(9)内のみに含まれることを特徴とするハイブリッド半導体基板。
【請求項15】
前記SeOI領域(13)と前記バルク半導体領域(11)は同じベース基板(3)を共用することを特徴とする請求項14に記載のハイブリッド半導体基板。
【請求項16】
前記SeOI領域(13)および前記バルク半導体領域(11)の第2の不純物領域(19a、19b)をさらに具備し、前記SeOI領域(13)の前記第2の不純物領域(19a)は、前記絶縁層(5)の下の前記ベース基板(3)内にあることを特徴とする請求項15に記載のハイブリッド半導体基板。
【請求項17】
前記SeOI領域(13)および前記バルク半導体領域(11)の第3の不純物領域(21a、21b)をさらに具備し、前記SeOI領域(13)の前記第3の不純物領域(21a)は、前記第2の不純物領域(19a)の下の前記ベース基板(3)内の、前記絶縁層(5)からさらに離れた位置にあることを特徴とする請求項16に記載のハイブリッド半導体基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド半導体基板の製造プロセスに関し、より具体的には、ハイブリッド半導体基板の同時製造に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ベース基板の上面に、セミコンダクタ−オン−インシュレータ(semiconductor−on−insulator:SeOI)領域とバルク半導体領域とが形成されており、SeOI領域が、埋込み絶縁酸化物層(buried insulating oxide layer:BOX)と薄い半導体層とを備える半導体デバイスは、ハイブリッド半導体デバイスとして知られている。このようなデバイスはメモリセル内で使用することができる。
【0003】
図1は、例えば非特許文献1に開示されているような周知のハイブリッド半導体デバイス101の断面図である。
【0004】
この図に示されているとおり、ハイブリッド半導体デバイス101は、BOX層105およびSeOI層107を備え、バルク基板103上に形成されたSeOI領域113と、同じバルク基板103上に形成されたバルク半導体領域111とを具備する。SeOI領域113とバルク半導体領域111とは通常、浅いトレンチ分離(shallow trench isolation:STI)123によって互いに分離されている。
【0005】
SeOI領域を備えるデバイスは、より従来型の半導体デバイスにはないいくつかの利点を有する。例えば、SeOIデバイスは、低い寄生静電容量、および同様のタスクを実行する非SeOIデバイスよりも低い電力消費要件を有することができ、したがって、結果として得られる回路に、より短いスイッチング時間を提供することができる。SeOI領域は超薄型のBOX層を備えることができるため、その下のウェルの電圧を変化させることによって、しきい電圧(Vt)を制御することができ、したがって、低いバイアス電圧でのバックゲート(back gate)制御を可能にする。このバックゲートバイアスは、BOX層を貫いて形成されたウェルコンタクトを介して印加され、SeOI領域内のウェルとバルク半導体領域内のウェルとは、STIによって互いに分離される。
【0006】
しかしながら、この従来型のデバイスなどのハイブリッド半導体デバイスは、以下の欠点を有する。
【0007】
バルク半導体領域とは違い、SeOI領域のボディ(body)は通常、特定の基準電位には接続されておらず、このことによって、SeOI領域に少数電荷キャリアが蓄積することが可能になることがあり、したがって、SeOI領域に浮遊ボディ電位(floating body potential)が存在しうる。この現象は、デバイスのしきい電圧(Vt)の変動につながる。特に、SRAM(static random memory)セルでは、このしきい電圧の変動によって、デバイスが相当に不安定になる可能性があり、メモリセルのデータの完全性の観点から、このことを許容できないことがある。
【0008】
また、バルク基板内にMOSFETのチャネルを形成するために、所与の領域に、3つの異なる濃度のドーパント(n型またはp型)を注入することが知られている。この3つの異なるドーパント濃度によって、3つのドーピングレベル、すなわちVtドーピングと呼ばれる浅いレベル、グラウンドプレーン(Groundplane)ドーピング(GP)と呼ばれるより深いレベル、およびウェルドーピングと呼ばれる最も深いレベルが形成される。一方、SeOI領域のドーピングは、SeOIトランジスタのバックサイド(backside)電極を形成するために使用される。バックサイド電極の形成は、異なる注入条件で達成され、したがって異なるマスクを使用して達成される。
【0009】
したがって、SeOI領域とバルク半導体領域とを備えるハイブリッド半導体基板を製造するためには、それぞれの領域に対して異なる注入条件が必要である。それにより、両方の領域で注入ステップを実行することを可能にするために複数の異なるマスクが必要となり、したがって、より多くのプロセスステップが必要となるため、前記製造のためのプロセスコストおよびプロセス時間は増大する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Yamaoka他、IEEE Journal of Solid-State Circuits、第41巻、11号、2366〜2372ページ、2006年11月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、ハイブリッド半導体基板の改良された製造プロセスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このような目的は、ハイブリッド半導体基板を製造する方法において、(a)ベース基板の上の絶縁層と絶縁層の上のSeOI層とを備えるセミコンダクタ−オン−インシュレータ(SeOI)領域と、バルク半導体領域とを具備するハイブリッド半導体基板を提供するステップであって、SeOI領域とバルク半導体領域とは同じベース基板を共用するステップと、(b)SeOI領域の上にマスク層を提供するステップと、(c)SeOI領域とバルク半導体領域を同時にドーピングすることにより、第1の不純物レベルを形成するステップであって、このドーピングは、SeOI領域の第1の不純物レベルがマスク層内に含まれるように実行されるステップとを含む方法によって達成される。
【0013】
本発明による上記の製造方法を使用すると、同じ注入条件を使用して、ハイブリッド半導体基板の両方の領域をドーピングすることができ、それによって、ハイブリッド半導体基板の製造プロセスは単純になる。上記の注入プロファイルはマスク層内に含まれるため、マスクを除去した後は、ドーパントによるこの領域の半導体材料の摂動(perturbation)を防ぐことができる。
【0014】
好ましくは、ハイブリッド半導体基板を製造するこの方法は、(d)SeOI領域とバルク半導体領域を同時にドーピングすることにより、第2の不純物レベルを形成するステップであって、このドーピングは、SeOI領域の第2の不純物レベルが、絶縁層の下のベース基板内にあるように実行されるステップをさらに含むことができる。このような注入プロファイルは、SeOI領域のトランジスタのしきい電圧(Vt)の変動を抑制するのに役立ち、得られるハイブリッド基板がSRAM用途に使用される場合には、SRAMの安定性を向上させることができる。
【0015】
有利には、ハイブリッド半導体基板を製造するこの方法は、(e)SeOI領域とバルク半導体領域を同時にドーピングすることにより、第3の不純物レベルを形成するステップであって、このドーピングは、SeOI領域の第3の不純物レベルが、第2の不純物レベルの下のベース基板内の、絶縁層からさらに離れた位置にあるように実行されるステップをさらに含むことができる。このような注入プロファイルは、SeOI領域のしきい電圧(Vt)の変動を抑制するのに役立ち、したがってSRAMの安定性を向上させる。さらに、このハイブリッド半導体基板において、SeOI領域のバックサイド電極とバルク半導体領域のトランジスタのチャネルの同時形成を達成することができる。
【0016】
好ましい一実施形態によれば、ハイブリッド半導体基板を製造するこの方法は、(g)SeOI基板を提供するステップと、SeOI基板上にマスク層を形成するステップと、マスク、その下のSeOI層およびその下の絶縁層の所定の領域を除去して、バルク半導体領域を得るステップとを含むことができる。したがって、バルク半導体領域とSeOI領域は、同じSeOI基板から出発して形成することができる。Siバルク内のSOIアイランド(island)を、バルク基板から出発して得るために使用することができる、先行技術のエピタキシャルレイヤオーバーグロース(Epitaxial Layer Overgrowth)技法と比較して、本発明の方法は、より単純なプロセスおよびより少ない結晶欠陥を提供する。
【0017】
好ましくは、ハイブリッド半導体基板を製造するこの方法は、ステップc)、d)およびe)のうちの少なくとも1つのステップの最中に、第2のマスクによってマスクされた領域に不純物レベルが形成されることを防ぐために、ハイブリッド半導体基板の上に、所定のパターンを有する第2のマスクを提供するステップ(h)を含むことができる。したがって、バルク半導体領域のトランジスタ型(n型またはp型)ごとに、1つのマスクだけを提供すればよく、同時に、SeOI領域のトランジスタのバックサイド電極を形成することができる。さらに、バルク半導体領域にもう一方の型のトランジスタを製造するためには、追加のマスクが1つだけ必要である。このようにすると、より低コストの製造を達成できるように、このプロセスをさらに最適化することができる。このマスクは、標準フォトリソグラフィマスク(例えばフォトレジスト)とすることができる。
【0018】
好ましくは、ハイブリッド半導体基板を製造するこの方法は、ステップc)の後に、SeOI領域からマスク層を除去するステップ(i)を含むことができる。SeOI領域からマスク層を除去することによって、SeOI領域に電子デバイスを形成する目的に対して無用である可能性がある第1の不純物レベルを除去することができる。実際、バルク半導体領域に存在する上記で導入した第1の不純物レベルは、SeOI領域の最上位層から離れていなければならない。好ましくは、本発明によれば、このようにすると、SeOI領域に形成されるデバイスのチャネルを、無ドープのままに維持することができる。
【0019】
好ましい一実施形態によれば、マスク層および/または絶縁層は、酸化物、とりわけ化学蒸着(CVD)プロセスによって付着させた酸化物からなることができる。したがって、このようなマスク層は容易に得ることができ、さらに、ドーパントを捕捉するのに適する。付着窒化シリコン層または付着酸化物層と付着窒化物層の組合せを、マスクとして使用することができる。しかしながら、技術的な観点から、CVD酸化物が最も実用的である。
【0020】
有利には、ハイブリッド半導体基板を製造するこの方法は、バルク半導体領域に隣接するSeOI領域のエッジ領域に、スペーサを、スペーサが少なくともベース基板の表面からSeOI層まで延びるように提供するステップ(j)を含むことができる。このスペーサは、ステップ(i)中に、ハイブリッド半導体基板からマスク層を、例えばエッチングによって除去する間、SeOI領域のSeOI層および絶縁層を損傷から保護することができる。一変型実施形態によれば、ステップ(i)の後に、例えばリン酸を使用したウェットエッチングによって、スペーサを除去することができる。
【0021】
好ましくは、スペーサの材料は、マスク層および/または絶縁層の材料とは異なることができ、好ましくは窒化物であることができる。酸化物に対する窒化物のように異なるエッチング特性を有する材料では、マスク層のエッチングの間、絶縁層を保護することが可能である。
【0022】
有利な一実施形態によれば、マスク層の厚さは、少なくとも20nmとすることができる。とりわけ、マスク層の厚さは、20nm以上、30nm以下である。このような厚さのマスク層を有することによって、バルク半導体領域の第1の不純物レベルは、いわゆるVtドーピングレベルを形成する浅い不純物領域を形成することができ、より深い第2のレベルは、グラウンドプレーン(GP)ドーピングレベルを形成することができ、第3のレベルが存在する場合、この第3のレベルは、いわゆるウェルドーピングレベルを形成することができ、そのため、ハイブリッド半導体基板のバルク半導体領域にMOSFETトランジスタのチャネルを形成することができる。
【0023】
有利には、SeOI層の厚さは最大20nmとすることができ、とりわけ10nm以上、20nm以下であり、かつ/または絶縁層の厚さは最大20nmとすることができ、とりわけ10nm以上、20nm以下である。このような薄いSeOI層および薄い絶縁層を有することによって、ハイブリッド半導体基板のSeOI領域のグラウンドプレーンドーピングレベル、および存在する場合にはウェルドーピングレベルを、絶縁層の下に配置することができ、同時に、それらの注入レベルを、バルク半導体領域内の正確な深さに提供することができる。したがって、しきい電圧変動の抑制、それによるSRAMの安定などの特性を達成することができる。
【0024】
好ましくは、ハイブリッド半導体基板を製造するこの方法は、浅いトレンチ分離(STI)を提供して、SeOI領域とバルク半導体領域とを分離するステップをさらに含むことができる。このようなSTIを提供することによって、SeOI領域のウェル領域とバルク半導体領域とを分離することができ、したがって、それぞれの領域のバックゲート電圧をより良好に制御することができる。
【0025】
本発明の目的は、ベース基板と、ベース基板の上の絶縁層と、絶縁層の上のSeOI層と、SeOI層の上のマスク層とを備えるセミコンダクタ−オン−インシュレータ(SeOI)領域と、SeOI領域に隣接して提供されたバルク半導体領域と、SeOI領域およびバルク半導体領域に提供された第1の不純物領域とを具備し、SeOI領域の第1の不純物領域がマスク層内に含まれる請求項14に記載のハイブリッド半導体基板によっても達成される。上記のハイブリッド半導体基板を使用すると、上記注入プロファイルがマスク層内に含まれ、ハイブリッド半導体基板のSeOI領域上のバックサイド電極と、バルク半導体領域のトランジスタのチャネルとを同時に形成することが可能なる。
【0026】
有利には、このハイブリッド半導体基板は、SeOI領域およびバルク半導体領域に提供された第2の不純物領域をさらに具備することができ、SeOI領域の第2の不純物領域が、絶縁層の下のベース基板内にある。このような絶縁層の下の不純物領域を提供することによって、しきい電圧(Vt)の変動を抑制することができ、したがってSRAMを安定させることができる。
【0027】
好ましくは、このハイブリッド半導体基板は、SeOI領域およびバルク半導体領域に提供された第3の不純物領域を具備することができ、SeOI領域の第3の不純物領域が、第2の不純物領域の下のベース基板内の、絶縁層からさらに離れた位置にある。このような絶縁層の下の不純物領域を提供することによって、しきい電圧(Vt)の変動を抑制することができ、したがってSRAMを安定させることができる。
【0028】
次に、本発明の方法の有利な実施形態を、以下の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】先行技術から知られている従来型のハイブリッド半導体デバイスの断面図である。
【
図2】第1の実施形態によるハイブリッド半導体基板の断面図である。
【
図3a】
図2の第1の実施形態のハイブリッド半導体基板1を製造する方法を示す図である。
【
図3b】
図2の第1の実施形態のハイブリッド半導体基板1を製造する方法を示す図である。
【
図3c】
図2の第1の実施形態のハイブリッド半導体基板1を製造する方法を示す図である。
【
図3d】
図2の第1の実施形態のハイブリッド半導体基板1を製造する方法を示す図である。
【
図3e】
図2の第1の実施形態のハイブリッド半導体基板1を製造する方法を示す図である。
【
図3f】
図2の第1の実施形態のハイブリッド半導体基板1を製造する方法を示す図である。
【
図3g】
図2の第1の実施形態のハイブリッド半導体基板1を製造する方法を示す図である。
【
図3h】
図2の第1の実施形態のハイブリッド半導体基板1を製造する方法を示す図である。
【
図4a】第2の実施形態によるハイブリッド半導体基板1を製造する方法を示す図である。
【
図4b】第2の実施形態によるハイブリッド半導体基板1を製造する方法を示す図である。
【
図4c】第2の実施形態によるハイブリッド半導体基板1を製造する方法を示す図である。
【
図4d】第2の実施形態によるハイブリッド半導体基板1を製造する方法を示す図である。
【
図4e】第2の実施形態によるハイブリッド半導体基板1を製造する方法を示す図である。
【
図4f】第2の実施形態によるハイブリッド半導体基板1を製造する方法を示す図である。
【
図4g】第2の実施形態によるハイブリッド半導体基板1を製造する方法を示す図である。
【
図4h】第2の実施形態によるハイブリッド半導体基板1を製造する方法を示す図である。
【
図5】
図3dおよび
図3eに示した2つの注入ステップの代わりに単一の注入ステップを使用する第1の実施形態の一変型実施形態による、不純物レベルを提供するステップを示す図である。
【
図6】
図4cに示した第2の実施形態の一変型実施形態による、スペーサ29を提供するステップを示す図である。
【
図7】第1の実施形態の別の変型実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、本発明による方法およびデバイスの特徴および有利な実施形態を詳細に説明する。
【0031】
図2は、本発明の第1の実施形態によるハイブリッド半導体基板1を示す。ハイブリッド半導体基板1を製造する製造方法は、
図3aから
図3dを参照して説明する。
【0032】
ハイブリッド半導体基板1は、絶縁層5と、SeOI層とも呼ばれる半導体層7と、マスク層9とを備えるセミコンダクタ−オン−インシュレータ(SeOI)領域13を有するベース基板3を備える。
【0033】
ハイブリッド半導体基板1は、SeOI領域13に隣接するバルク半導体領域11をさらに備え、それらは同じベース基板3を共用する。
【0034】
この実施形態では、ベース基板3がSiウェーハ、絶縁層5が、埋込み酸化物層(buried oxide layer:BOX)とも呼ばれる酸化シリコン層、SeOI層7がシリコン含有層である。しかしながら、この材料選択に限定されるわけではなく、基板3およびSeOI層7に関しては、ゲルマニウム、ガリウムヒ素など、他の適切な材料を使用することもできる。絶縁層5に関しては、酸化シリコン以外の絶縁材料を使用することもできる。
【0035】
この実施形態のSeOI層7の厚さは最大20nm、とりわけ約10nmから約20nmである。絶縁層5の厚さは最大20nm、とりわけ約10nmから約20nmである。
【0036】
本発明によれば、SeOI領域13は、SeOI層7の上にマスク層9をさらに備える。この実施形態のマスク層9は酸化シリコンである。この文脈では、化学蒸着によって付着させた酸化物が好ましい。付着窒化シリコン層または付着酸化物層と付着窒化物層の組合せを、マスク層9として使用することもできる。マスク層9の厚さは少なくとも20nm、とりわけ約20nmから約30nmである。
【0037】
ハイブリッド半導体基板1は、SeOI領域13内の第1の不純物レベル17aと、バルク半導体領域11内の第1の不純物レベル17bとをさらに備え、SeOI領域13内の第1の不純物レベル17aは、マスク層9内に含まれる。
【0038】
図3aから
図3dは、
図2に示した第1の実施形態のハイブリッド半導体基板1を製造する方法を示す。
【0039】
図3aは、セミコンダクタ−オン−インシュレータ(SeOI)基板1aを示す。この実施形態において、SeOI基板1aは、ベース基板3と、ベース基板3の上の絶縁層5と、絶縁層5の上のSeOI層7とを備える。SeOI基板1aは例えば、SmartCUT(登録商標)技術、または他の適切なセミコンダクタ−オン−インシュレータ製造方法によって得ることができる。SeOI基板1aは、例えば200mm型ウェーハ、300mm型ウェーハなど、任意の適切なサイズまたは形態を有することができる。層3、5および7は、材料および厚さに関して、
図2に関して上で既に述べたような特性を有する。
【0040】
以下のプロセスステップの前に、SeOI基板1aの表面1bを、例えばRCA(Radio Corporation of America)洗浄を使用して洗浄してもよい。
【0041】
図3bを参照すると、ハイブリッド半導体基板1を製造する本発明の方法は、第1の実施形態において、SeOI基板1aの表面1bの上にマスク層9を提供するステップを含む。マスク層9は酸化物層、とりわけ酸化シリコン層である。この文脈では、化学蒸着によって付着させた酸化物が好ましい。一変型実施形態によれば、付着窒化シリコン層または付着酸化物層と付着窒化物層の組合せを、マスク層9として使用することもできる。マスク層9は、例えば化学蒸着(CVD)プロセスにより、SeOI基板1aの表面1bの上に付着させることができる。マスク層9の厚さは少なくとも20nm、とりわけ約20nmから約30nmである。
【0042】
図3cを参照すると、ハイブリッド半導体基板1を製造する本発明の方法は、第1の実施形態において、マスク層9、その下のSeOI層7およびその下の絶縁層5の所定の領域を、例えばプラズマエッチングによって除去して、
図2に示すようなバルク半導体領域11を得るステップをさらに含む。バルク半導体領域11以外の領域、したがって材料が除去されなかった領域は、
図2に示すようなSeOI領域13を形成する。したがって、バルク半導体領域11とSeOI領域13は、同じSeOI基板1aから出発して形成される。上で除去する所定の領域の寸法は、例えば回路設計によって決定される。この所定のエリアの大きさは、例えば数平方マイクロメートル程度である。
【0043】
第1の実施形態の一変型実施形態によれば、
図3bに示したステップと
図3cに示したステップとを入れ換えることができる。したがって、その下のSeOI層7およびその下の絶縁層5の所定の領域だけを除去することによりバルク半導体領域11を形成し、次いで、独立して、SeOI領域13の上にマスク層9を形成することもできる。
【0044】
バルク半導体領域11とSeOI領域13の間には、
図3cに示すような約40nmから70nmの段差hができることが分かる。しかしながら、この段差は、フォトリソグラフィのような後続のプロセスステップの問題とはならない。
【0045】
図3dを参照すると、ハイブリッド半導体基板1を製造する本発明の方法は、第1の実施形態において、ハイブリッド半導体基板1の上に、所定のパターンを有する第2のマスク15を提供するステップ(h)をさらに含む。この第2のマスク15は、ドーピングステップのためのパターンを提供する。実際、第2のマスク15は、第2のマスク15によってマスクされたその下の領域に不純物レベルが形成されることを防ぐ。
【0046】
第2のマスク15は、バルク半導体領域11および/またはSeOI領域13の表面と必ず接触していなければならないというわけではない。一変型実施形態によれば、
図7に示すように、無接触型マスク15bを第2のマスク15として使用することもできる。
【0047】
図3dをさらに参照すると、第2のマスク15を提供するステップに続いて、ハイブリッド半導体基板1を製造する本発明の方法は、第1の実施形態において、好ましくはイオン注入を使用して、SeOI領域13とバルク半導体領域11を同時にドーピングすることにより、第1の不純物レベル17a、17bを形成するステップをさらに含む。イオン注入16は、SeOI領域13の第1の不純物レベル17aがマスク層9内に含まれるように実行される。これらのドーピングレベルは一般に、標準技術ノード(node)によって決定される。好ましいドーパント種は、エネルギーが例えば10keV〜500keV、ドーズ量が例えば5×10
12〜5×10
13原子/cm
2のP、B、Asなどである。このドーピングはVtドーピングと呼ばれ、SeOI領域13に浅い不純物レベル17aを形成し、バルク半導体領域11に、しきい電圧(Vt)の変動を抑制する目的に使用することができる浅い不純物レベル17bを形成する。
【0048】
図3eを参照すると、ハイブリッド半導体基板1を製造する本発明の方法は、第1の実施形態において、やはりイオン注入を使用して、SeOI領域13とバルク半導体領域11を同時にドーピングすることにより、第2の不純物レベル19a、19bを形成するステップをさらに含む。イオン注入16は、SeOI領域13の第2の不純物レベル19aが、絶縁層5の下のバルク半導体基板3内にあるように実行される。このドーピングはいわゆるグラウンドプレーンドーピング(GP)であり、したがって、SeOI領域13の第1の不純物レベル17aおよびバルク半導体領域11の第1の不純物レベル17bよりも深い不純物レベル19a、19bを形成する。
【0049】
図3fを参照すると、ハイブリッド半導体基板1を製造する本発明の方法は、第1の実施形態において、やはりイオン注入を使用して、SeOI領域13とバルク半導体領域11を同時にドーピングすることにより、第3の不純物レベル21a、21bを形成するステップをさらに含む。このイオン注入は、SeOI領域13の第3の不純物レベル21aが、第2の不純物レベル19aの下のベース基板3内の、絶縁層5からさらに離れた位置にあるように実行される。このドーピングはいわゆるウェルドーピングであり、したがって、SeOI領域13の第2の不純物レベル19aおよびバルク半導体領域11の第2の不純物レベル19bよりも深い不純物レベルを形成する。
【0050】
一変型実施形態によれば、
図3dから
図3fに示したイオン注入ステップの順序は入れ換えることができ、したがって、これらのステップを任意の順序で実行することができる。
【0051】
第1の実施形態の別の変型実施形態によれば、ステップ(d)およびステップ(e)の代わりに単一のドーピングステップを使用して、より深い単一のドーピングレベルを形成することができる。すなわち、
図5に示す変型実施形態によれば、ハイブリッド半導体基板1を製造する本発明の方法は、(1)
図3dに示すように、SeOI領域13およびバルク半導体領域11を同時にドーピングすることにより、第1の不純物レベル17a、17bを形成するステップと、(2)SeOI領域13およびバルク半導体領域11を同時にドーピングすることにより、別の不純物レベル19a、19bを形成するステップの2つのドーピングステップを含むことができる。
【0052】
この同時ドーピングは、SeOI領域13の不純物レベル19aが、絶縁層5の下のベース基板3内にあるように実行される。このドーピングは、より深いレベルのドーピングであり、したがって、SeOI領域13の第1の不純物レベル17aおよびバルク半導体領域11の第1の不純物レベル17bよりも深い不純物レベルを形成する。したがって、この変型実施形態によれば、バルク半導体領域11内のバルクトランジスタは、2つの不純物レベルだけを備えることができる。
【0053】
次いで、上記の注入ステップの後に、第2のマスク15を例えばエッチングによって除去する。
【0054】
図3gを参照すると、ハイブリッド半導体基板1を製造する本発明の方法は、第1の実施形態において、SeOI領域13からマスク層9を除去するステップをさらに含む。SeOI領域13からマスク層9を除去することによって、SeOI領域13に電子デバイスを形成する目的に対して一般に無用である第1の不純物レベル17aが除去される。マスク層9は一般に、エッチングによって除去する。酸化物マスクに対しては普通、HF浸漬法を使用することができ、窒化物マスクに対しては例えばH
3PO
4を使用することができる。マスク層9内のドーパントには、無ドープのマスク層9の場合よりも、このエッチングが速く達成されるという肯定的な副次的効果がある。
【0055】
このようにして、SeOI領域13に形成されたSeOIトランジスタが、2つの不純物レベル19a、21aを備え、バルク半導体領域11に形成されたトランジスタが、3つの不純物レベル17b、19b、21bを備えるハイブリッド半導体基板が得られる。
【0056】
図3hを参照すると、ハイブリッド半導体基板1を製造する本発明の方法は、第1の実施形態において、領域11と領域13の間の電流漏れを防ぐために、バルク半導体領域11とSeOI領域13の間、とりわけこれらの2つの領域に形成された電子デバイス間に、浅いトレンチ分離(STI)23を提供するステップをさらに含む。注入不純物レベル19a、21a、17b、19b、21bの上方のSTI23間の領域は、酸化物層、好ましくはCVDで付着させた酸化シリコン25a、25b、および窒化物層27a、27bによって満たされる。このSTI高密度化(densification)は同時に、注入活性化アニールステップとしても使用される。
【0057】
上記の製造プロセスを使用すると、以下の理由から、ハイブリッド半導体基板1を、コスト効果の高い方法で得ることが可能になる。ハイブリッド半導体基板1の両方の領域、すなわちバルク半導体領域11とSeOI領域13を、単一のドーピングマスク15を使用して同じ注入条件でドーピングする。したがって、バルク半導体領域11のトランジスタ型(n型またはp型)ごとに、1つの保護マスクだけを提供すればよく、同時に、SeOI領域13のトランジスタのバックサイド電極を形成することができる。バルク半導体領域11にもう一方の型のトランジスタの製造するためには、追加のマスクが1つだけ必要である。このようにすると、ハイブリッド半導体基板を製造するこのプロセスを、より低コストの製造を達成できるようにさらに最適化することができる。
【0058】
デバイスに対しては不要な第1の不純物レベル17aがマスク層9内に含まれるため、
図3d、
図3eおよび
図3fに示した注入ステップのうちの任意の1つのステップの後に、第1の不純物レベル17aを、マスク層9と一緒に除去することができる。したがって、マスク層9はまさしく、犠牲層とみなすことができる。
【0059】
さらに、SeOI領域13のより深い不純物レベル19aまたは21aが、絶縁層5の下のベース基板3内にあるように、注入条件を調整することができる。このような注入プロファイルは、SeOI領域13のトランジスタのしきい電圧(Vt)の変動を抑制するのに役立ち、得られるハイブリッド半導体基板1がSRAM用途に使用される場合にはさらに、SRAMの安定性を向上させることができる。
【0060】
本発明の方法の第2の実施形態を、
図4aから
図4hに示す。第1の実施形態と比較すると、バルク半導体領域11に隣接するSeOI領域13のエッジ領域(edge region)に、追加のスペーサ29が提供される。追加のスペーサ29は、少なくとも、バルク半導体基板3の表面からSeOI層7まで延びる。
【0061】
この第2の実施形態は、第1の実施形態と実質的に同じプロセスステップを含み、したがって、
図4a、
図4b、
図4d〜
図4fおよび
図4hに示すステップの説明を繰り返すことはしないが、その説明は、参照によって本明細書に組み込まれる。
図3aから
図3hと
図4aから
図4hの同じ参照符号を有する要素は互いに対応し、したがって、この実施形態の説明ではそれらの特性を繰り返すことはしないが、それらの特性は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0062】
第2の実施形態によれば、ハイブリッド半導体基板1を製造する本発明の方法は、
図4cに示すように、バルク半導体領域11に隣接するSeOI領域13のエッジ領域に、スペーサ29を提供するステップを含む。スペーサ29は、少なくとも、ベース基板3の表面から、SeOI層7とマスク層9の間の界面31まで延びる。
【0063】
スペーサ29は、
図3gおよび
図4gに示すステップ(i)中に、ハイブリッド半導体基板1からマスク層9を、例えばエッチングによって除去する間、SeOI領域13のSeOI層7および絶縁層5を損傷から保護する。
【0064】
この実施形態によれば、スペーサ29は窒化物である。窒化物は、マスク層9のエッチングの間、絶縁層5を保護する適切な材料の一例である。これは、窒化物が、マスク層9および絶縁層5に使用される酸化物と比べて異なるエッチング特性を有するためである。したがって、この効果は、スペーサ29とマスク層9とが異なるエッチング特性を示す任意の材料選択において達成される。
【0065】
図6に示す第2の実施形態の一変型実施形態によれば、スペーサ29は、少なくとも、ベース基板3の表面からマスク層9の上面33まで延びる。
【0066】
図4gに示すように、スペーサ29は、第2のマスク15およびマスク層9の除去後に、例えばリン酸を使用したウェットエッチングによって除去する。
【0067】
本発明による製造プロセスの第2の実施形態は、マスク層9のエッチング中に絶縁層5およびSeOI層7がアンダーカット(undercut)されることを防ぐことができるという追加の利点を有する。
【0068】
このように、以上に開示した、ハイブリッド半導体基板1を製造するプロセスの実施形態および変型実施形態を使用すると、両方の領域をドーピングするのに1つのマスク15を提供するだけで済むため、より安価に実施できる製造プロセスを達成することができる。同時に、ハイブリッド半導体基板1上に形成されたデバイスの電気特性を制御することもできる。