(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
GPS衛星から受信した電波に基づいて現在位置を測定するGPS測位手段と、自律航法用のセンサと、地図データを記憶する地図データメモリとを備え、前記GPS測位手段は、間欠的に駆動されて、当該間欠的な位置のみを取得し、前記GPS測位手段が駆動されていない間は、前記自律航法用のセンサからの情報に基づいて現在位置情報を取得するようにする電子機器において、
前記GPS測位手段から得られた位置情報に基づく2地点間の複数の候補経路を、前記地図データメモリの前記地図データを用いた経路探索により求める経路探索手段と、
前記2地点間の複数の候補経路の形状のそれぞれをデフォルメする第1のデフォルメ手段と、
前記2地点間において前記自律航法用のセンサの情報に基づいて生成される移動軌跡の形状をデフォルメする第2のデフォルメ手段と、
前記第1のデフォルメ手段でデフォルメされた前記複数の候補経路と、前記第2のデフォルメ手段でデフォルメされた前記移動軌跡との相似判定を行って、相似度が高い候補経路を検出する判定手段と、
前記判定手段で検出された前記相似度が高い候補経路を前記2地点間における移動経路として記憶する記憶手段と、
を備え、
前記経路探索手段は、前回の前記GPS測位手段による測定結果の位置情報に基づく位置を基点として、前記自律航法用のセンサから得られる速度、移動距離から推定される、今回の前記GPS測位手段により測定された位置情報に基づく地図上の経路上の1または複数の位置を目的地として前記経路探索を行う
ことを特徴とする電子機器。
前記自律航法用のセンサに基づいて得られる位置情報の時間経過の変化から、特定の地図上位置を検知すると共に、その検知位置と前記GPS測位手段により測位される位置との距離を、前記自律航法用のセンサから得られる速度、移動距離から求め、求めた特定の地図上位置、前記検知位置と前記GPS測位手段により測位される位置との距離を用いて、前記候補経路から、移動経路の選択から除外する経路を選択する
ことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の電子機器。
GPS衛星から受信した電波に基づいて現在位置を測定するGPS測位手段と、自律航法用のセンサと、地図データを記憶する地図データメモリとを備え、前記GPS測位手段は、間欠的に駆動されて、当該間欠的な位置のみを取得し、前記GPS測位手段が駆動されていない間は、前記自律航法用のセンサからの情報に基づいて現在位置情報を取得するようにする電子機器における移動経路の記憶方法であって、
前記GPS測位手段から得られた位置情報に基づく2地点間の複数の候補経路を、前記地図データメモリの前記地図データを用いた経路探索により求める経路探索ステップと、
前記2地点間の複数の候補経路の形状のそれぞれをデフォルメする第1のデフォルメステップと、
前記2地点間において前記自律航法用のセンサの情報に基づいて生成される移動軌跡の形状をデフォルメする第2のデフォルメステップと、
前記第1のデフォルメステップでデフォルメされた前記複数の候補経路と、前記第2のデフォルメステップでデフォルメされた前記移動軌跡との相似判定を行って、相似度が高い候補経路を検出する判定ステップと、
前記判定ステップで検出された前記相似度が高い候補経路を前記2地点間における移動経路として記憶する記憶ステップと、
を備え、
前記経路探索ステップは、前回の前記GPS測位手段による測定結果の位置情報に基づく位置を基点として、前記自律航法用のセンサから得られる速度、移動距離から推定される、今回の前記GPS測位手段により測定された位置情報に基づく地図上の経路上の1または複数の位置を目的地として前記経路探索を行う
ことを特徴とする移動経路の記憶方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1〜3のそれぞれにも記載されているように、各種センサを用いる自律航法のみでは、正確な現在位置を検出することは困難であるため、種々の補正手段により補正しなければ、実用に耐えるレベルの経路案内(ナビゲーション)はできなかった。そして、正確な現在位置を自律航法のみで得ることができるような補正手段は、従来、存在していない。
【0008】
したがって、例えば5分〜10分毎の間欠的なGPS測位の隙間の経路における自律航法のみによる位置情報の取得では、補正を加えたとしても、正確な移動経路を得ることができないおそれがあった。
【0009】
この発明は、以上の点に鑑み、間欠的なGPS測位の隙間の経路においては自律航法を用いるようにした場合においても、正確な移動経路を履歴として記憶することができるようにした電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、この発明は、
GPS衛星から受信した電波に基づいて現在位置を測定するGPS測位手段と、自律航法用のセンサと、地図データを記憶する地図データメモリとを備え、前記GPS測位手段は、間欠的に駆動されて、当該間欠的な位置のみを取得し、前記GPS測位手段が駆動されていない間は、前記自律航法用のセンサからの情報に基づいて現在位置情報を取得するようにする電子機器において、
前記GPS測位手段から得られた位置情報に基づく2地点間の複数の候補経路を、前記地図データメモリの前記地図データを用いた経路探索により求める経路探索手段と、
前記2地点間の複数の候補経路の形状のそれぞれをデフォルメする第1のデフォルメ手段と、
前記2地点間において前記自律航法用のセンサの情報に基づいて生成される移動軌跡の形状をデフォルメする第2のデフォルメ手段と、
前記第1のデフォルメ手段でデフォルメされた前記複数の候補経路と、前記第2のデフォルメ手段でデフォルメされた前記移動軌跡との相似判定を行って、相似度が高い候補経路を検出する判定手段と、
前記判定手段で検出された前記相似度が高い候補経路を前記2地点間における移動経路として記憶する記憶手段と、
を備え
、
前記経路探索手段は、前回の前記GPS測位手段による測定結果の位置情報に基づく位置を基点として、前記自律航法用のセンサから得られる速度、移動距離から推定される、今回の前記GPS測位手段により測定された位置情報に基づく地図上の経路上の1または複数の位置を目的地として前記経路探索を行う
ことを特徴とする電子機器を提供する。
【0011】
上記の構成のこの発明の電子機器においては、経路探索手段により、GPS測位手段から得られた位置情報に基づく2地点間の複数の候補経路を、地図データメモリの地図データを用いた経路探索により求められる。そして、第1のデフォルメ手段により、その複数の候補経路の形状のそれぞれがデフォルメされる。また、第2のデフォルメ手段により、上記の2地点間において自律航法用のセンサの情報に基づいて生成される移動軌跡の形状がデフォルメされる。
【0012】
そして、判定手段において、第1のデフォルメ手段でデフォルメされた複数の候補経路と、第2のデフォルメ手段でデフォルメされた自律航法による移動軌跡との相似判定がおこなわれる。そして、この判定手段において、相似度が高い候補経路が、上記2地点間における移動経路として記憶部に記憶される。
【0013】
したがって、この発明によれば、地図上から想定される2地点間の複数の経路のうち、自律航法による移動軌跡に最も相似する経路が、履歴として記憶する移動経路とされる。これにより、自律航法により位置を検出した2地点間の移動経路として、ほぼ正確な移動経路が履歴として記憶される。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、間欠的なGPS測位の隙間の経路においては自律航法を用いるようにした場合においても、正確な移動経路を履歴として記憶することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明による電子機器および移動経路の記憶方法の実施形態を、図を参照しながら説明する。
【0017】
[電子機器の実施形態のハードウエア構成例]
図1は、この発明による電子機器の実施形態としての携帯電話端末10のハードウエア構成例を示す図である。この例は、いわゆるスマートフォンと呼ばれる携帯電話端末の構成を備える場合である。
【0018】
すなわち、
図1に示すように、この例の携帯電話端末10は、マイクロコンピュータで構成される制御部101が、システムバス100を通じて、無線通信回路部102、送受信情報処理部103、通話回路部104、ディスプレイインターフェース105、タッチパネルインターフェース106、GPS測位部107、メモリ108、移動履歴メモリ109、地図データメモリ110、ジャイロセンサ111、地磁気センサ112、気圧センサ113、加速度センサ114、時計回路部115のそれぞれと接続されている。そして、この実施形態の携帯電話端末10においては、バッテリー電源120からの電源電圧+Vccが、各部に供給される構成とされている。
【0019】
制御部101は、携帯電話端末10の電話機能やその他の各種制御処理を制御するためのものである。この例では、制御部101は、メモリ108に格納されるプログラムを実行して、後述する履歴として記憶する移動経路を求めて移動履歴メモリ109に記憶するための処理や、自律航法処理を支援するためのプログラムなどの種々のアプリケーション処理を実行制御するようにする。
【0020】
無線通信回路部102は、携帯電話網の基地局を通じて通信ネットワーク3に接続するためのものである。送受信情報処理部103は、無線通信回路部102を通じて受信される情報を解析し、制御部101の制御にしたがって、システムバス100を通じて必要な各部に転送すると共に、通信ネットワークに送出する送信情報を生成し、無線通信回路部102に転送する。
【0021】
通話回路部104は、電話音声の処理であり、受話器を構成するスピーカ116と送話器を構成するマイクロホン117が接続されている。
【0022】
ディスプレイインターフェース105には、例えばLCD(Liquid Crystal Display)からなるディスプレイ118が接続される。ディスプレイ118の表示画面上にはタッチパネル119が設けられており、このタッチパネル119は、タッチパネルインターフェース106に接続されている。
【0023】
この実施形態では、操作ボタンなどの操作入力は、このタッチパネル119を通じて行えるようにされており、ディスプレイ118の表示画面には、制御部101の制御にしたがって、文字入力キー操作画面や設定受付画面などが表示される。使用者は、このタッチパネル119に対して、指でタッチ操作したり、指でスライドさせたりする所定の振る舞いをすることにより、所定の操作入力をすることができる。
【0024】
タッチパネルインターフェース106は、タッチパネル119を通じた使用者による操作指示入力に応じた操作検出信号を、システムバス100を通じて制御部101に送出する。制御部101は、タッチパネルインターフェース106から受けた操作検出信号から、使用者により、どのような操作入力がされたかを検出し、その検出結果に応じた制御処理を行う。
【0025】
GPS測位部107は、GPS衛星からの電波を受信して、携帯電話端末10の現在位置を測位して検知し、その検知した現在位置の位置情報をシステムバス100を通じて制御部101に転送する。この実施形態では、制御部101は、時計回路部115から出力される時刻情報を参照して、所定時間、例えば5〜10分の間隔を空けて、GPS測位部107を間欠的に駆動させるように制御する。
【0026】
すなわち、GPS測位部107は、通常は、制御部101からの駆動開始指示を受け付けるための処理回路部など、必要最小限の部位にのみ、バッテリー電源120からの電源電圧を受けるスタンバイ状態とされて、電力消費を最小限にするようにしている。そして、制御部101は、前記5〜10分毎の、GPS測位タイミングになると、GPS測位部107の全体に、バッテリー電源120からの電源電圧を供給するように制御すると共に、駆動開始指示をGPS測位部107に供給する。
【0027】
そして、GPS測位部107で、GPS衛星からの電波に基づく測位処理が行われ、現在位置の位置情報がシステムバス100を通じて制御部101に送出されると、制御部101は、これを受けて、GPS測位部107を、前述したスタンバイ状態に戻して、省電力状態に復帰させるように制御する。
【0028】
メモリ108は、携帯電話端末10で用いられる種々のデータの格納部であり、この実施形態では、履歴として記憶する移動経路を求めて移動履歴メモリ109に記憶するプログラムや自律航法支援プログラム、経路探索プログラムなどのアプリケーションプログラムの記憶エリアであるプログラム記憶部108Mを備えている。
【0029】
移動履歴メモリ109は、後述するように、履歴として記憶する移動経路を求めて移動履歴メモリ109に記憶するプログラムが実行されて求められる移動経路の情報の移動履歴情報として記憶する記憶部である。この移動履歴メモリ109は、メモリ108の一部の記憶エリアとすることもできる。
【0030】
地図データメモリ110は、使用者が移動する地域の地図データを記憶する。この地図データメモリ110は、予め、地図データが格納されたメモリを携帯電話端末10に搭載したものであっても良いし、地図データが格納されている例えばSDカードのような大容量カード型メモリが、携帯電話端末10のカード装着部に装着されたものであっても良い。
【0031】
また、使用者が携帯電話端末10を用いて地図サーバにアクセスし、この地図サーバからインターネットを通じてダウンロードした地図データを、地図データメモリ110に格納するようにしても良い。
【0032】
ジャイロセンサ111、地磁気センサ112、気圧センサ113および加速度センサ114は、自律航法用のセンサである。ジャイロセンサ111は、携帯電話端末10の角速度や角度を検出するためのセンサである。地磁気センサ112は、携帯電話端末10が東西南北のどの方向を示しているかを検出するためのセンサである。気圧センサ113は、携帯電話端末10が位置している標高を検出するためのセンサである。加速度センサは、前後方向、左右方向、上下方向の加速度を検出するためのセンサである。
【0033】
制御部101は、これらの自律航法用のセンサ111〜114の出力を用いて、メモリ108に記憶されている自律航法支援プログラムを実行することで、携帯電話端末10が、どの方向に、どれだけ移動したかを算出して、移動位置を算出するようにする。なお、これらの自律航法用のセンサ111〜114は、消費電力は小さいので、常時動作させていても、バッテリーの持続時間に対する影響は少ない。
【0034】
時計回路部115は、カレンダ機能を備える日時情報の発生部である。この実施形態では、制御部101は、この時計部108の日時情報を監視して、GPS測位タイミングを制御すると共に、この時計部108の日時情報を、GPS測位した位置情報や自律航法により算出した位置情報と対応付けて、移動履歴メモリ109に記憶しておくようにする。
【0035】
[携帯電話端末10における移動経路の算出および記憶処理動作]
以上のような構成を有する携帯電話端末10における移動経路の算出および記憶処理動作を、
図2および
図3のフローチャートを参照しながら説明する。
【0036】
制御部101は、先ず、GPS測位部107に駆動開始指示を送ると共に、GPS測位部107の全体に電源を供給して、GPS測位部107に、現在位置P1(スタート地点)の位置情報を測定させる。そして、制御部101は、GPS測位部107で測定された現在位置P1の位置情報を、そのときの時計回路部115からの日時情報と対応付けて、移動履歴メモリ109の移動中データの格納部に記憶部する(ステップS1)。このとき、この実施形態では、制御部101は、携帯電話端末10が通信を行っている基地局からの補正データを用いてディファレンシャルGPS処理を行い、より正しい現在位置の算出をするようにしている。後述のステップS4においても同様である。
【0037】
このステップS1の処理を終了すると、制御部101は、GPS測位部107への電源電圧+Vccの供給を最小限にするように制御すると共に、GPS測位部107に対してスタンバイ指示を送り、GPS測位を休止させる。また、制御部101は、センサ111〜114の出力を用いた自律航法による現在位置の算出を開始し、一定時間毎、例えば数秒〜数十秒毎に、自律航法により算出された位置情報を、そのときの時計回路部115からの日時情報と対応付けて、移動履歴メモリ109の移動中データの格納部に記憶部する(ステップS2)。
【0038】
そして、制御部101は、時計回路部115からの日時情報を監視して、前回のGPS測位タイミングから、所定時間T、例えばT=5分〜10分経過したか否かにより、新たなGPS測位タイミングになったか否か判別する(ステップS3)。このステップS3で、新たなGPS測位タイミングにはなっていないと判別したときには、制御部101は、処理をステップS2に戻り、自律航法による位置検出およびその記憶処理を繰り返す。
【0039】
ステップS3で、新たなGPS測位タイミングになったと判別したときには、制御部101は、ステップS1と同様に、GPS測位部107に駆動開始指示を送ると共に、GPS測位部107の全体に電源を供給して、GPS測位部107に、現在位置P2の位置情報を測定させる。そして、制御部101は、GPS測位部107で測定されたその現在位置P2の位置情報を、そのときの時計回路部115からの日時情報と対応付けて、移動履歴メモリ109の移動中データの格納部に記憶部する(ステップS4)。なお、このとき、移動履歴メモリ109の移動中データの格納部には、各センサ111〜114のそれぞれのセンサ出力データも、各位置情報に対応付けて記憶される。
【0040】
そして、制御部101は、以下に説明するステップS5〜
図3のステップS18の、履歴として記憶する移動経路の算出および記憶処理動作を実行した後、処理をステップS2に戻し、ステップS2以降の処理を繰り返す。
【0041】
すなわち、制御部101は、
図4に示すように、所定時間T(例えば5分〜10分)毎に、間欠的にGPS測位を実行し、その間欠的なGPS測位の間の期間では、センサ111〜114を用いた自律航法による位置検出処理を実行する。そして、スタート地点P1以外のGPS測位地点P2,P3,・・・では、当該GPS測位地点P2,P3,・・・よりも一つ前のGPS測位地点P1,P2,P3,・・・との間での自律航法の期間の正確な移動経路の算出処理および記憶処理を行なうようにする。
【0042】
自律航法の期間の正確な移動経路の算出処理および記憶処理を、以下に説明する。
ステップS4においてGPS測位部107による測位結果を基にして算出された位置P2は、GPS測位の誤差から、実際の位置からずれているおそれがある。そこで、制御部101は、移動履歴メモリ109の移動中データの格納部の位置P1から位置P2までの位置情報およびセンサ111〜114のセンサ出力情報を参照し、センサ11〜14のいずれか、あるいは複数個の組み合わせから得られる携帯電話端末10の移動速度と、移動距離とを用いて、地図上において、GPS測位部107による測位結果を基にして算出された位置P2の近傍の、携帯電話端末1が到達可能である地点を探す(ステップS5)。
【0043】
このとき、制御部101は、前記移動速度と移動距離と地図上の位置とから求められた到達可能地点と位置P2とを比較することで、位置P2の位置情報が正確であると認識することができるときには、位置P2の位置情報を、前記到達可能地点として設定する。しかし、位置P2が、前記移動速度と移動距離と地図上の位置とから求められる到達可能地点に対して、有りえないほど、ずれた位置であるときには、当該位置P2を無視して、前記到達可能地点を、前記移動速度と移動距離と地図上の位置とから、地図上で複数個設定するようにする。また、前記移動速度と移動距離と地図上の位置とから求められた到達可能地点と位置P2との比較の結果、位置P2の位置情報が正確ではないが、実際の到達可能地点の近傍であると判別したときには、制御部101は、同様にして、前記移動速度と移動距離と地図上の位置とから、地図上で複数個設定するようにする。
【0044】
制御部101は、以上のようにして、ステップS5において設定した1または複数個の到達可能地点を、経路探索の目的地として、前回のGPS測位位置P1と、今回のGPS測位位置との間における経路探索を行い、複数個の候補経路を算出するようにする(ステップS6)。このときの経路探索の際にも、制御部101は、前回の位置P1からの自律航法による位置情報および各センサ111〜114のセンサ出力情報から、携帯電話端末10の進行方向が求められ、その進行方向に合致する方向をも条件として経路探索を実行するようにする。
【0045】
次に、制御部101は、移動履歴メモリ109の移動中データの格納部の自律航法による位置情報およびセンサ111〜114の情報の時間経過による変化から、右左折や信号機のある場所での停止を検出する。そして、その検出した右左折や停止の位置の、地図上における位置P2あるいは到達可能地点からの距離を算出し、その算出した距離により、地図上において、それらの右左折や停止に全く合致しない経路を、候補経路から除外するようにする(ステップS7)。
【0046】
ステップS5〜ステップS7における動作を、
図5を参照して更に説明する。
図5の例では、位置P2は、地図上で、経路から外れた位置となっている。制御部101は、自律航法により記憶した位置情報およびセンサ111〜114のセンサ出力情報から求めた移動距離により想定される到達可能位置として、位置P2が可能性のある位置であるか判断する。そして、位置P2が、到達可能位置として可能性のある位置であると判別したときには、制御部101は、当該位置P2の近傍の、地図上で、到達可能地点として実際的に可能な1または複数の地点を探す。
図5の例では、位置P2から想定される近傍の到達可能地点は、矢印で示すT字の交差点付近と判断した場合である。
【0047】
制御部101は、次に、位置P1をスタート地点とし、前記T字の交差点付近を目的とした経路探索を実行する。この際に、ジグザグ線で示す自律航法による軌跡TRの方向が経路探索の条件に加えられるので、軌跡TRと同方向の4つの経路RT1〜RT4が、この経路探索の結果、求められる。
【0048】
次に、制御部101は、自律航法により記憶した位置情報およびセンサ111〜114のセンサ出力情報から、例えば、到達可能地点から所定の地点で信号機位置での停止を検出し、その到達可能地点からの距離が、
図5において、信号機SG1およびSG2の位置に対応するものと判断したときには、そのような距離の地点に信号機が存在しない経路RT4を、候補経路から除外するようにする。
【0049】
以上のような処理が終了した後、制御部101は、前回のGPS測位時点から、今回のGPS測位時点の間に自律航法により記憶した位置情報を繋げた移動軌跡TRの形状に対して、デフォルメを施す(
図3のステップS11)。このときのデフォルメは、この例では、直行化を主としたデフォルメ処理され、例えば、
図5に示すような移動軌跡TRに沿った近時直線の軌跡DFTRとなる。
【0050】
次に、制御部101は、ステップS7で絞られた後、残った複数個の候補経路の形状に対して、同様のデフォルメを施す(ステップS12)。次に、制御部101は、ステップS11でデフォルメした後の自律航法による移動軌跡DFTRと、ステップS12でデフォルメした複数個の候補経路との相似判定を行い、その相似結果についてのスコアを算出する(ステップS13)。
【0051】
次いで、制御部101は、ステップS13で算出されたスコアのうち、予め定められた閾値を超える高いスコアがあるか否か判別する(ステップS14)。このステップS14で、閾値を超える高いスコアはないと判別したときには、制御部101は、デフォルメの係数(パラメータ)を、デフォルメの度合いを大きくするものに変更し(ステップS15)、その後、処理をステップS11に戻し、ステップS11以降の処理を繰り返す。
【0052】
また、制御部101は、閾値を超える高いスコアがあると判別したときには、その高いスコアは1個であるか否か判別する(ステップS16)。このステップS16で、1個ではないと判別したときには、制御部101は、デフォルメの係数(パラメータ)を、デフォルメの度合いを小さくするものに変更し(ステップS17)、その後、処理をステップS11に戻し、ステップS11以降の処理を繰り返す。
【0053】
また、ステップS16で、閾値を超える高いスコアは1個であると判別したときには、制御部101は、そのスコアを呈する候補経路を、履歴として記憶する移動経路と決定すると共に、その経路の目的地を現在位置に採用し、それら移動経路と、現在位置を、移動履歴メモリ109の履歴経路格納部に格納する(ステップS18)。
【0054】
その後、制御部101は、処理をステップS2に戻し、自律航法を開始し、上述したステップS2以降の処理を繰り返す。
【0055】
[実施形態の効果]
以上のようにして、実施形態の電子機器によれば、間欠的に実施されるGPS測位にしたがって得られる2地点間における自律航法による移動軌跡が、誤差が大きいものであっても、前記2地点間の移動経路として、ほぼ正確な移動経路を得ることができる。したがって、バッテリー駆動の電子機器において、GPS測位を連続的に行わなくても、ほぼ正確な移動経路の履歴情報を記憶することができる。
【0056】
そして、電子機器におけるGPS測位を、例えば10分毎のような、比較的長い時間間隔の間欠駆動をしても正確な移動経路の履歴情報が得られるので、バッテリーの持続時間を気にすることなく、長時間分の移動履歴を記憶することができる。このため、記憶した移動履歴をライフログなどに利用することが容易になる。
【0057】
上述の実施形態においては、複数通りの候補経路と、自律航法による移動軌跡との相似判定において、デフォルメの度合いを変えて、繰り返し相似判定をするようにしたので、常に、相似スコアがより高い候補経路を選定することが容易になる。
【0058】
[その他の実施形態または変形例]
なお、この発明による電子機器は、歩行者が持ち歩く場合、車両に搭載する場合、自転車に乗った利用者が携帯する場合、車椅子の利用者が携帯する場合など、種々の場合に用いて好適である。
【0059】
なお、上述の実施形態では、デフォルメの仕方(方法)は、直行化を主としたものとしたが、これに限られるものではなく、曲線やその他の形状を用いたものであっても良い。また、デフォルメの仕方を、地図上の地形に応じた経路に合わせて、変更するようにしてもよい。例えば、市街地では、直行化を主としてデフォルメを行うが、山道などにおいても、曲線を用いたデフォルメを行うようにしても良い。
【0060】
また、この発明は、GPS電波は届かないが、経路探索データが整備されている地下鉄や、トンネル内においても有効な手段となるものである。
【0061】
なお、上述の実施形態は、電子機器が携帯電話端末の場合であるが、電子機器は、携帯電話端末に限られるものではなく、人が携帯して移動可能な携帯機器や車載機器であれば、この発明が適用可能である。