【文献】
3GPP TS 25.304 V8.0.0 (2007−12),3GPP,2007年12月,pp.14−33,URL,http://www.3gpp.org/ftp/Specs/archive/25_series/25.304/25304−800.zip
【文献】
3GPP TSG−RAN2 Meeting #62 R2−082653,2008年5月,URL http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/wg2_rl2/TSGR2_62/Docs/R2−082653.zip
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
検索できる全ての周波数帯域で基地局と信号測定手順を行って前記測定されたセルを決定した後、特定のセル選択条件を満たすセルから最も強い信号特性値を有するセルを選択し、前記選択されたセルへのアクセスを行う、請求項1に記載の方法。
検索できる全ての周波数帯域で基地局と信号測定手順を行って前記測定されたセルを決定した後、特定のセル選択条件を満たすセルから最も強い信号特性値を有するセルを選択し、前記選択されたセルへのアクセスを行う、請求項4に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0005】
以下、本発明のセル品質に基づいた階層セル構造のセル選択方法に関する発明の概念及び特徴を、現在の3GPP技術から進歩したLTE(Long Term Evolution)システム又はいわゆる4G通信システムの観点から説明する。しかしながら、その詳細が本明細書に説明された様々な特徴を限定するものではなく、他のタイプの移動及び/又は無線通信システム及び方式にも適用することができる。
【0006】
以下、「移動端末」という用語は、移動通信端末、ユーザ装置(User Equipment; UE)、移動装置(Mobile Equipment; ME)、様々なタイプの無線通信技術をサポートする他の装置などの様々なタイプのユーザデバイスを示すのに用いられる。
【0007】
移動体通信において、セル選択とは、移動端末が適切なセル(対象セル)を検索する過程を意味する。セル選択を行った結果、いずれかのセルが選択されると、その選択されたセルをキャンプセル(camped−on cell)と呼ぶ。セルにキャンプしているとき、移動端末は、(後述する)様々なセル再選択基準に従ってよりよいセルを定期的に検索し、よりよいセルが検索されるとそのよりよいセルが選択される。
【0008】
通常、大きいセル(例えば、マクロセル)は、多くのユーザをサポートすることができないが、高速で動くユーザをサポートすることができる。通常、小さいセル(例えば、マイクロセル又はピコセル)は、多くのユーザをサポートすることができるが、高速で動くユーザをサポートすることができない。この問題は、様々な大きさを有する複数の重なるセルを定義し、複数のセル階層が形成された階層セル構造(HCS)を用いることで解決することができる。このようなタイプのセル構造は、ネットワークが地理的区域を効果的に利用してより多くのユーザをサポートできるようにする。
【0009】
ユーザ装置がHCSのどのセル階層に存在すべきかを決定するために、HCS優先順位(HCS_PRIO)を定義する。このような優先順位情報は、セルブロードキャスト情報の一部(すなわち、隣接セルに対してはSIB11及びSIB12を利用、サービングセルに対してはSIB13及びSIB14を利用)として伝送することができる。隣接セルに関しては、このような優先順位情報は、RRC測定制御メッセージの一部として伝送することもできる。HCSセルには0〜7の優先順位を付与することができ、ここで、0は最も低い優先順位、7は最も高い優先順位である。サービングセルと隣接するセルに最も高い優先順位を付与することができる。
【0010】
セル再選択基準には、H基準値(すなわち、HCSが用いられるとき用いられるHCS基準値であり、システム情報で伝送された情報に基づいて、又は対象セルのCPICH/P−CPCCHからの測定に基づいて算出された正数又は負数値)、S基準値(すなわち、対象セルの受信品質が十分であるかを確認するのに用いられる選択又は資格(eligibility)基準値)、及びR基準値(すなわち、S基準値を満たすセルのリストをランキングするために移動端末が用いるランキング基準値)がある。
【0011】
本発明は、サービス不能状況の発生を減らすために、セル選択(再選択)手順を改善するように考案された。いわゆるサービス不能状況とは、様々な理由で移動端末が移動通信ネットワークから特定のサービスを受けることができない状況を意味する。サービス不能状況を解消するために移動端末は全般的なセル検索手順を行わなければならず、これは、バッテリ電力を消費し、ユーザが認知できる程度の遅延をもたらす。
【0012】
セル選択(再選択)のための手順ではH基準値及びS基準値を含む様々な条件を用いる。本発明者らは先行技術のセル選択(再選択)手順にいくつかの欠点があることを認識した。これは、先行技術では、主としてH基準値を考慮し、次にS基準値を付随的に考慮するか、又はS基準値を完全に無視していたからである。本発明は、このような問題の認識に基づいて、H基準値よりS基準値を強調して重要視した結果、セル選択及び再選択が改善された。
【0013】
本発明は、欧州型IMT−2000システムであるUMTSにおいて、移動端末がサービスを受けるセルを選択する方法に関する。とりわけ、本発明は、移動端末がサービスを受ける特定のセルを選択する際に各セルの品質を考慮する方法に関する。
【0014】
図1はUMTS100のネットワーク構造を示す図である。UMTSシステムは、基本的にユーザ装置(UE)130、UMTS無線アクセスネットワーク(UMTS Terrestrial Radio Access Network; UTRAN)120、及びコアネットワーク(Core Network; CN)110からなる。UTRAN120は、1つ以上の無線ネットワークサブシステム(Radio Network Sub−systems; RNS)122から構成され、各RNSは、1つの無線ネットワーク制御装置(Radio Network Controller; RNC)124と、RNC124により管理される1つ以上のNode B126とから構成される。1つのNode Bには1つ以上のセル128が存在する。
【0015】
図2はUMTSで使用する無線プロトコルスタックを示す図である。無線プロトコル層は、移動端末とUTRANに対で存在し、無線インタフェースを介したデータ伝送を担当する。このような無線プロトコルスタックは、大きく3つの層、L1(第1層)、L2(第2層)、及びL3(第3層)に区分される。
【0016】
L1(第1層)は、様々な無線伝送技術を用いて無線インタフェースで信頼性のあるデータを伝送する物理層(PHY)である。PHY層は、上位層(MAC層)とトランスポートチャネルを介して接続されており、トランスポートチャネルは、専用トランスポートチャネルと共通トランスポートチャネルに分けられる。
【0017】
L2(第2層)は、4つのサブレイヤ、MAC、RLC、PDCP、及びBMCから構成され、以下、各サブレイヤをより詳細に説明する。
【0018】
MAC(Media Access Control)層は、様々なトランスポートチャネルに対する様々な論理チャネルのマッピングを行い、また1つのトランスポートチャネルに対する複数の論理チャネルの論理チャネル多重化も行う。MAC層は、1つ以上の論理チャネルを介して上位層(RLC層)と接続されている。前記論理チャネルは、伝送される情報の種類によって、制御プレーン情報の伝送に利用される制御チャネルと、ユーザプレーン情報の伝送に利用されるトラフィックチャネルに分けられる。MAC層は、管理するトランスポートチャネルの種類によって、MAC−bサブレイヤ、MAC−c/shサブレイヤ、MAC−dサブレイヤ、MAC−hsサブレイヤ、及びMAC−eサブレイヤに分けられる。MAC−bサブレイヤは、システム情報のブロードキャストに使用されるトランスポートチャネルであるBCH(Broadcast Channel)の管理を担当する。MAC−c/shサブレイヤは、他の移動端末と共有されるFACH(Forward Access Channel)やDSCH(Downlink Shared Channel)などの共通トランスポートチャネルを管理する。MAC−dサブレイヤは、特定の移動端末のための、DCH(Dedicated Channel)などの専用トランスポートチャネルの管理を担当する。ダウンリンク及びアップリンクで高速データ伝送をサポートするために、MAC−hsサブレイヤは、高速ダウンリンクデータ伝送のためのトランスポートチャネルであるHS−DSCH(High Speed Downlink Shared Channel)を管理し、MAC−eサブレイヤは、高速アップリンクデータ伝送のためのトランスポートチャネルであるE−DCH(Enhanced Dedicated Channel)を管理する。
【0019】
RLC(Radio Link Control)層は、各無線ベアラ(Radio Bearer; RB)のQoS(Quality of services)の保証とそれによるデータ伝送を担当する。RLCは、RB固有のQoSを保証するために、RB毎に1つ又は2つの独立したRLCエンティティを備え、様々なQoSをサポートするために、3つのRLCモード(透過モード(Transparent Mode; TM)、非応答モード(Unacknowledged Mode; UM)、及び応答モード(Acknowledged Mode; AM))を提供する。さらに、RLCは、下位層が無線インタフェースで伝送するのに適するようにデータサイズを調節し、このために上位層から受信したデータを分割及び連結する機能を実行する。
【0020】
PDCP(Packet Data Convergence Protocol)層は、RLC層の上位に位置し、(IPv4やIPv6などの)IPパケットを用いて伝送されるデータを相対的に帯域幅の小さい無線インタフェースで効率的に伝送できるようにする。このために、PDCP層はヘッダ圧縮機能を実行するが、ヘッダ圧縮は、データのヘッダ部分で必要不可欠な情報のみを伝送させることにより、無線インタフェースの伝送効率を向上させる。PDCP層は、ヘッダ圧縮が基本機能であるため、PS(Packet Switched)ドメインにのみ存在し、各PSサービスに効果的なヘッダ圧縮機能を提供するために、RB毎に1つのPDCPエンティティが存在する。
【0021】
BMC(Broadcast/Multicast Control)層は、RLC層の上位に存在し、セルブロードキャストメッセージ(Cell Broadcast Message)をスケジューリングし、特定のセルに位置する移動端末にブロードキャストする機能を実行する。
【0022】
L3(第3層)は、制御プレーンでのみ定義される、最下位に位置するRRC(Radio Resource Control)層を有し、無線ベアラの設定、再設定、及び解除に関連してL1及びL2のパラメータを制御し、また論理チャネル、トランスポートチャネル、及び物理チャネルを制御する。ここで、無線ベアラとは、移動端末とUTRAN間のデータ伝送のために、無線プロトコルのL1及びL2により提供される論理パスを意味する。一般に、無線ベアラの設定とは、特定のサービスを提供するために必要な無線プロトコル層及びチャネルの特性を設定し、それぞれの具体的なパラメータ及び動作方法を設定する手順を意味する。
【0023】
以下、アイドルモードにある移動端末がセルを選択する手順を詳細に説明する。
【0024】
基本的に、セルを選択する理由は、基地局からサービスを受けることができるようにネットワークに登録するためである。ここで、移動端末の移動性により移動端末と基地局間の信号の強度や品質が低下すると、移動端末はデータの伝送品質を維持するために他のセルを再選択する。以下、信号の強度や雑音対干渉比などの物理的信号の特性を単に信号特性という。
【0025】
前述のように、無線環境に応じた信号特性に基づいてセルを選択する方法がある。また、移動端末は、端末能力(UE capability)、加入者情報(Subscriber Information)、キャンプロードバランス(Camp load balancing)、トラフィックロードバランス(Traffic load balancing)などの理由に基づいてセル選択手順を使用する必要があることもある。
【0026】
以下、WCDMAでセルを選択する方法及び手順について説明する。
【0027】
移動端末は、まず、電源が入ると、無線通信のためのPLMNとRATを選択し、移動端末が検索できる全ての周波数帯域で基地局と信号測定手順を行った後、
図3の条件を満たすセルの中から最も強い信号特性値を有するセルを選択し、これに対する接続を行う。WCDMAシステムでは、前記信号測定手順のための値として、CPICH RSCP、CPICH Ec/No、Carrier RSSIを用いる。
【0028】
図3から分かるように、移動端末は信号の強度及び品質がシステムで定義された特定値(強度:Qrxlevmin+Pcompensation、品質:Qqualmin)より大きいセルを選択する。ここで、これらの値(Qrxlevmin、Pcompensation、品質:Qqualmin)は、システム情報(SI)により基地局から移動端末に通知される。また、移動端末は、ネットワークにサービスを要求(例えば、発信呼(Originating Call))するか、又はネットワークからサービスを受信(例えば、着信呼(Terminating Call))するために、アイドルモードで待機する。アイドルモードの移動端末は、現在サービスを受けているセルと隣接するセルの信号を測定し、よりよい信号特性を有するセルを再選択する手順を繰り返す。
【0029】
図4はWCDMAにおけるセル選択(再選択)方法の一例を示すフローチャートである。アイドルモードの移動端末は、ステップS401に示すように、
図3の条件を満たすセルのうち、サービスを受けているセルの信号特性値(Rs)と隣接セルの信号特性値(Rn)に対して周期的に測定手順を行う。ステップS403に示すように、特定時間(Treselection)の間Rn>Rsの条件を満たす、ランキング手順又は過程により、Rnに該当するセルの信号強度及び品質を比較する。その結果、ステップS405に示すように、最も高い(又は、最も大きい)特性値を有するセルを選択する。すなわち、現在サービスを受けているセルと比較して最もよい信号特性を有する他のセルを選択する。
【0030】
Rs及びRnの値は
図5の数式を用いて得る。Treselectionは、システム情報(SI)により基地局から移動端末に通知される値であり、セル選択条件を特定時間以上満たさなければならないという制約を適用することにより特定セルを繰り返し選択することを防止するために用いられる。
【0031】
図5はセルのランキング過程のために移動端末が使用するR基準値を計算する公式を示す図である。ここで、Rsは、サービングセルのランキングを示し、Rnは、隣接セルのランキングを示す。Qmeas,sは、移動端末が現在サービスを受けているセルに対して測定したCPICH Ec/No値を示し、Qmeas,nは、移動端末が隣接セルに対して測定したCPICH Ec/No値を示す。移動端末が現在受けているサービスに対して加重値を適用するためにQhystsを用いる一方、現在接続しているセルと接続を変更するセル間の偏差(bias)を減らすためにQoffsets,nを用いるか、又は(MBMSなどの)1対多サービスをサポートするセルに対して加重値を適用するためにQoffmbmsを用いる。
【0032】
WCDMAのセル選択方法と同様に、信号特性に基づいたセル選択方法は、移動端末が受信信号特性のよいセルを選択して基地局からサービスを受けることにより、送信者が送った信号を受信者が最小のエラーで解釈する方法である。移動端末は、選択可能なセルを対象として、R基準値を求めた後にランキングを行い、前記ランキング過程により信号の最もよいセルを選択(又は、再選択)する。
【0033】
ところが、WCDMAではHCS機能が必要であれば用いることができる。
【0034】
図6はHCSのためのセル構造の一例を示す図である。すなわち、1つの地域(又は、エリア)には複数のセルが存在し、各セルの半径(又は、サイズ)は異なる。
図6において、周波数O、N、Mは同一でも異なってもよく、これは一例である。また、
図6においては、Priority Cのセルが最も大きい半径を有し、Priority Aのセルは優先順位が最も低い。
【0035】
図6で説明されたHCSは、例えばセル間で異なる速度で移動する移動端末の速度に応じた変化を減らすために使用される。例えば、
図6の右から左に時速5kmで移動する移動端末Aと時速50kmで移動する移動端末Bがあると仮定する。前記2つの移動端末がどちらもPriority Aのセルを選択した場合、与えられた時間に移動端末Bは移動端末Aより10倍も多くセルを変更する。移動端末がセルを頻繁に変更すると、頻繁に行われるセルアップデートにより、移動端末の電力消費及び無線リソースの浪費が発生する。よって、この状況で、基地局は、速度が速い移動端末にはPriority Cのセル(すなわち、半径が大きいセル)を選択させ、速度が遅い移動端末にはPriority Aのセル(すなわち、半径が小さいセル)を選択させることにより、移動端末を効率的に動作させる。
【0036】
このような状況でHCSの特徴を使用する場合、移動端末の動作を変更する必要がある。
図7はH基準値の計算過程を示す。よって、HCSが用いられる場合のセル選択手順は次の通りである。
1.現在のサービングセルがHCSを用いることを示す場合、移動端末は次の条件に該当するセルを判別する。
a.移動端末が低速で移動する場合:
i.H>=0を満たすセルのうち、最も高いHCS_PRIO値を有する測定された全てのセル
ii.H>=0を満たすセルがなければ、HCS_PRIO値に関係なく測定された全てのセル
b.移動端末が高速で移動する場合:
i.H>=0を満たすセルのうち、現在のサービングセルより低いHCS優先順位を有するセルがある場合(条件1):
1.現在のサービングセルより低いHCS優先順位を有するセルのうち、H>=0を満たすセルの中で最も高いHCS_PRIO値を有する測定された全てのセル
ii.その他の場合(すなわち、条件1を満たさない場合):
1.現在のサービングセルと同じか、又は現在のサービングセルより高いHCS優先順位を有するセルのうち、H>=0を満たすセルがある場合(条件2):
a.現在のサービングセルと同じか、又は現在のサービングセルより高いHCS優先順位を有するセルのうち、H>=0を満たす測定された全てのセルの中で最も低いHCS_PRIO値を有するセル
2.その他の場合(すなわち、条件2を満たさない場合)
a.HCS優先順位を考慮せず、測定された全てのセル
2.前記1.の手順で判別されたセルのうちS基準値を満たすセルに対して、移動端末は、R基準値に基づいたランキング過程を行って最も品質のよいセルを選択し、そのセルに対するセル選択(再選択)を行う。
【0037】
上記の説明で言及されたS基準値は、移動端末がいくつかのセルが最小限の品質保証条件を満たすか否かを判別するために用いられる。すなわち、ページング又はRRC接続を行う際に必要な最小限の条件を特定のセルが満たすか否かを定めるとき、S基準値が用いられる。
【0038】
以上、HCSが設定された場合の移動端末のセル再選択手順を説明したが、前記手順によれば、場合によって、移動端末は、キャンプが可能なセルを選択することができず、サービスを正常に受けることができない状況が発生し得る。例えば、次のようなセル構成が想定される。
【0039】
【表1】
従来技術によれば、移動端末は次の動作を行う。
ステップ1:必要な測定を行う。
セルA、セルB、及びセルCを測定する。
ステップ2:基準値H>=0を満たすセルがあるか否かを確認する。
セルA及びセルCがH基準値を満たす。
【0040】
ステップ3:ステップ2で確認されたセルの中から最も高いHCS_PRIO値を識別する。
【0041】
セルA及びセルCのうち、セルAが最も高いHCS_PRIO値である4を有する。
【0042】
ステップ4:ステップ3で識別されたHCS_PRIO値を有するセルを識別する。
【0043】
セルAが最も高いHCS_PRIO値を有する唯一のセルである。
【0044】
ステップ5:ステップ4で識別されたセルの中からS基準値を満たすセルを確認する。
【0046】
ステップ6:ステップ5で識別されたセルに対してランキングを行う。
【0048】
上記表1において、移動端末はセルCを選択すべきであるが、従来技術によれば、移動端末はどのセルも選択することができない。すなわち、従来技術によれば、移動端末は、まずH基準値を満たすセルを選択した後、S基準値を満たすセルのうち最もよいセルを選択する。従って、H基準値に応じて動作する手順で、S基準値を満たさないがH基準値は満たすセルがある場合、移動端末が不適切なHCS_PRIO値を設定するという問題がある。この場合、移動端末は、サービスの提供を受けるセルを見つけることができないため、呼を開始したり受信することができないという問題が発生する。
【0049】
そこで、本発明は、HCS機能を使用するシステムで、移動端末が、サービスの提供を受けるセルで生成されたデータの伝送を、PSネットワーク又はPSサービスのみをサポートする無線プロトコルで効果的かつ適切に行うことのできる方法を提示する。
【0050】
このために、移動端末がサービスの提供を受けるセルを選択する手順で、特に、現在のサービングセルがHCSを用いることを通知する場合、移動端末は、測定すべきセルに対して、H基準値を用いて選択可能なセルのリストを定めるとき、S基準値を考慮することを提案する。
【0051】
本発明において、移動端末がH基準値を適用する際、H基準値が適用されたセルはS基準値を既に満たすセルである。
【0052】
本発明において、移動端末がH基準値を適用する際、各セルがH基準値を満たす場合、さらにS基準値を満たすか否かを検査し、S基準値とH基準値を共に満たすセルに対してランキング過程を行う。
【0053】
次に、本発明の移動端末の動作の一例を説明する。HCSが用いられる場合のセル選択手順は次の通りである。
1.移動端末は、測定を行ったセルに対して、S基準値を満たすセルを判別する。そして、その判別されたセルのみを対象として次のステップ2を行う。
2.移動端末は、ステップ1を満たすセル、すなわちS基準値を満たすセルの中から、次の条件をさらに満たすセルを判別する。
a.移動端末が低速で移動する場合:
i.H>=0を満たすセルのうち、最も高いHCS_PRIO値を有する測定された全てのセル
ii.H>=0を満たすセルがなければ、HCS_PRIO値に関係なく測定された全てのセル
b.移動端末が高速で移動する場合:
i.H>=0を満たすセルのうち、現在のサービングセルより低いHCS優先順位を有するセルがある場合(条件1):
1.現在のサービングセルより低いHCS優先順位を有するセルのうち、H>=0を満たすセルの中で最も高いHCS_PRIO値を有する測定された全てのセル
ii.その他の場合(すなわち、条件1を満たさない場合):
1.現在のサービングセルと同じか、又は現在のサービングセルより高いHCS優先順位を有するセルのうち、H>=0を満たすセルがある場合(条件2):
a.現在のサービングセルと同じか、又は現在のサービングセルより高いHCS優先順位を有するセルのうち、H>=0を満たす測定された全てのセルの中で最も低いHCS_PRIO値を有するセル
2.その他の場合(すなわち、条件2を満たさない場合)
a.HCS優先順位を考慮せず、測定された全てのセル
3.ステップ2で判別されたセルに対して、移動端末は、R基準値に基づいたランキング過程を行って最も品質のよいセルを選択し、そのセルに対するセル選択(再選択)を行う。
【0054】
本発明の他の実施形態によるHCSが用いられる場合のセル選択手順は次の通りである。
1.現在のサービングセルがHCSを用いることを通知する場合、移動端末は次の条件に該当するセルを判別する。
a.移動端末が低速で移動する場合:
i.H>=0とS基準値を共に満たすセルのうち、最も高いHCS_PRIO値を有する測定された全てのセル
ii.H>=0とS基準値を共に満たすセルがなければ、HCS_PRIO値に関係なくS基準値を満たす測定された全てのセル
b.移動端末が高速で移動する場合:
i.H>=0とS基準値を共に満たすセルのうち、現在のサービングセルより低いHCS優先順位を有するセルがある場合(条件1):
1.現在のサービングセルより低いHCS優先順位を有するセルのうち、H>=0とS基準値を共に満たすセルの中で最も高いHCS_PRIO値を有する測定された全てのセル
ii.その他の場合(すなわち、条件1を満たさない場合):
1.現在のサービングセルと同じか、又は現在のサービングセルより高いHCS優先順位を有するセルのうち、H>=0とS基準値を共に満たすセルがある場合
(条件2):
a.現在のサービングセルと同じか、又は現在のサービングセルより高いHCS優先順位を有するセルのうち、H>=0とS基準値を共に満たす測定された全てのセルの中で最も低いHCS_PRIO値を有するセル
2.その他の場合(すなわち、条件2を満たさない場合)
a.HCS優先順位を考慮せず、S基準値を満たす測定された全てのセル
2.ステップ1で判別されたセルに対して、移動端末は、R基準値に基づいたランキング過程を行って最も品質のよいセルを選択し、そのセルに対するセル選択(再選択)を行う。
表1に示す例によれば、本発明による動作の結果は次の通りである。
ステップ1:必要な測定を行う。
セルA、セルB、及びセルCを測定する。
ステップ2:基準値Sを満たすセルがあるか否かを確認する。
セルB及びセルCがS基準値を満たす。
ステップ3:ステップ2で確認されたセルの中から基準値H>=0を満たすセルがあるか否かを確認する。
セルB及びセルCのうち、セルCがH基準値を満たす。
ステップ4:ステップ3で確認されたセルの中から最も高いHCS_PRIO値を識別する。
セルCが最も高いHCS_PRIO値である3を有する。
ステップ5:ステップ4で識別されたHCS_PRIO値を有するセルを識別する。
セルCが最も高いHCS_PRIO値を有する唯一のセルである。
ステップ6:ステップ5で識別されたセルに対してランキングを行う。
セルCがランキングのための対象セルである。
【0055】
本発明の結果は次の通りである。以上説明したように、本発明のHCS機能を使用するセル構造によれば、移動端末がセルを選択するに当たって、H基準値とS基準値を適切に使用することにより、移動端末がより安定かつ効果的な方式でサービスの提供を受けられるようにする。
【0056】
以下、本発明の概念及び特徴に関する詳細を説明する。
【0057】
詳細#1
サービングセルでHCSが用いられない場合、UEがS基準値を満たす全てのセルのランキング対象:
・測定された全てのセル
サービングセルでHCSが用いられる場合、UEがS基準値を満たす全てのセルのランキング対象:
1.移動性が低い場合
・基準値H>=0を満たすセルのうち、HCS_PRIOが最も高い測定された全てのセル
・基準値H>=0を満たすセルがなければ、HCS優先順位レベルを考慮しない測定された全てのセル
前記のように、UEの移動性が低く、H>=0の条件を満たす場合、UEは次のステップを行う。
ステップ1:必要な測定を行う。
ステップ2:基準値H>=0を満たすセルがあるか否かを確認する。
ステップ3:ステップ2で確認されたセルの中から最も高いHCS_PRIO値を識別する。
ステップ4:ステップ3で識別されたHCS_PRIOを有するセルを識別する。
ステップ5:ステップ4で識別されたセルの中からS基準値を満たすセルを識別する。
ステップ6:ステップ5で識別されたセルに対してランキングを行う。
【0058】
一般に、前記手順は、最も高いHCS_PRIO及びH>=0を有するセルがS基準値を満たす場合に行うことができる。しかし、最も高いHCS_PRIO及びH>=0を有するセルがS基準値を満たさない場合、UEはどのセルも選択することができない。
【0059】
セル(A、B、C)の例及び特徴は次の通りである。
【0060】
【表2】
前記ステップを適用した結果は次の通りである。
ステップ1:必要な測定を行う。
セルA、セルB、及びセルCを測定する。
ステップ2:基準値H>=0を満たすセルがあるか否かを確認する。
セルA及びセルCがH基準値を満たす。
ステップ3:ステップ2で確認されたセルの中から最も高いHCS_PRIOを識別する。
セルA及びセルCのうち、セルAが最も高いHCS_PRIOである4を有する。
ステップ4:ステップ3で識別されたHCS_PRIOを有するセルを識別する。
セルAが最も高いHCS_PRIOを有する唯一のセルである。
ステップ5:ステップ4で識別されたセルの中からS基準値を満たすセルを確認する。
セルAがS基準値を満たさない。
ステップ6:ステップ5で識別されたセルに対してランキングを行う。
ランキングのための対象セルがない。
【0061】
つまり、前記シナリオでは、S基準値を満たすセルはあるが、ランキングリストにはどのセルもない。従って、UEが最高品質のセルを再選択することができないという問題が発生する。
【0062】
従来技術は、一般にランキングするセルが常にあるという前提で説明され、ランキングするセルがない場合については具体的な言及がない。よって、前記シナリオでステップ6以降のUEの動作は明確でない。従って、統一されていないUEの動作をもたらす。次のような解釈が可能である。
【0063】
オプション1:ステップ6の結果、ランキングするセルがないことを認識した後、UEは「ネットワークなし」と判断する。結局、UEは最初のセル選択を行い、長い中断時間をもたらす。
【0064】
オプション2:UEは何も行わない。すなわち、ランキングするセルがないため、現在のサービングセルにキャンプし続ける。しかし、これは、通常サービングセルがランキング過程のための対象セルに含まれるとみなされるため問題となる。サービングセルがS基準値を満たさない場合、UEは最高でないセルにキャンプし続ける。
【0065】
これを解決する1つの方法として、ランキングのための対象セルを選択する際、UEにH基準値及びS基準値を全て考慮させる。このようにすると、S基準値を満たすセルがあるのにランキングのための対象セルがない状況を有効に防止することができる。
【0066】
詳細#2
解釈A
前述の内容により、可能な第1の実現は、UEがまずH基準値を確認し、次にS基準値を確認するものである。
この実現では、UEの移動性が低く、H>=0を満たすセルがある場合、UEは次のステップを行う。
ステップ1:必要な測定を行う。
ステップ2:基準値H>=0を満たすセルがあるか否かを確認する。
ステップ3:ステップ2で確認されたセルの中から最も高いHCS_PRIOを識別する。
ステップ4:ステップ3で識別されたHCS_PRIOを有するセルを識別する。
ステップ5:ステップ4で識別されたセルの中からS基準値を満たすセルを識別する。
ステップ6:ステップ5で識別されたセルに対してランキングを行う。
【0067】
解釈B
可能な他の実現は、UEがまずS基準値を確認し、次にH基準値を確認するものである。
この実現では、UEの移動性が低く、H>=0を満たすセルがある場合、UEは次のステップを行う。
ステップ1:必要な測定を行う。
ステップ2:S基準値を満たすセルがあるか否かを確認する。
ステップ3:ステップ2で確認されたセルの中から、基準値H>=0を満たすセルがあるか否かを確認する。
ステップ4:ステップ3で確認されたセルの中から最も高いHCS_PRIOを識別する。
ステップ5:ステップ4で識別されたHCS_PRIOを有するセルを識別する。
ステップ6:ステップ5で識別されたセルに対してランキングを行う。
以下、前記解釈A及び解釈BによるUEの動作を分析する。次のシナリオの例が考えられる。
【0068】
【表3】
解釈Aによるセル再選択
前述の手順により次のステップが発生し得る。
ステップ1:必要な測定を行う。
セルA、セルB、及びセルCを測定する。
ステップ2:基準値H>=0を満たすセルがあるか否かを確認する。
セルA及びセルCがH基準値を満たす。
ステップ3:ステップ2で確認されたセルの中から最も高いHCS_PRIOを識別する。
セルA及びセルCのうち、セルAが最も高いHCS_PRIOである4を有する。
ステップ4:ステップ3で識別されたHCS_PRIOを有するセルを識別する。
セルAが最も高いHCS_PRIO値を有する唯一のセルである。
ステップ5:ステップ4で識別されたセルの中からS基準値を満たすセルを確認する。
セルAがS基準値を満たさない。
ステップ6:ステップ5で識別されたセルに対してランキングを行う。
ランキングのための対象セルがない。
解釈Bによるセル再選択
前述の手順により次のステップが発生し得る。
ステップ1:必要な測定を行う。
セルA、セルB、及びセルCを測定する。
ステップ2:基準値Sを満たすセルがあるか否かを確認する。
セルB及びセルCがS基準値を満たす。
ステップ3:ステップ2で確認されたセルの中から基準値H>=0を満たすセルがあるか否かを確認する。
セルB及びセルCのうち、セルCがH基準値を満たす。
ステップ4:ステップ3で確認されたセルの中から最も高いHCS_PRIOを識別する。
セルCが最も高いHCS_PRIOである3を有する。
ステップ5:ステップ4で識別されたHCS_PRIOを有するセルを識別する。
セルCが最も高いHCS_PRIOを有する唯一のセルである。
ステップ6:ステップ5で識別されたセルに対してランキングを行う。
セルCがランキングのための対象セルである。
異なる動作の修正
前記シナリオからUEがキャンプする対象セルがあることは明らかである。セルCはH基準値及びS基準値を全て満たす。しかし、解釈Bではランキングするセルがあるのに対して、解釈Aではランキングするセルがない。解釈Aによる動作は、UEが該当セルを再選択できないという問題がある。UEは「ネットワークなし」と判断して全体の検索を行い、長い中断時間をもたらす。
実現Aの主な問題は、最も高いHCS_PRIO値を選択する際、S基準値を正しく考慮しないことである。(すなわち、S基準値を満たさないがH基準値は満たすセルは最も高いHCS_PRIOの決定過程に影響を及ぼす。)従って、従来技術の手順を修正して、H基準値関連ステップでS基準値も考慮すべきである。
提案1:H基準値関連過程でS基準値を満たすセルを考慮する。
前記内容は一般にランキングするセルが常にあるという前提で説明される。しかし、従来技術では、ランキングするセルがない場合については具体的な言及がない。よって、ランキングするセルがない場合、UEの動作は明確でない。従って、統一されていないUEの動作をもたらす。
【0069】
提案2:ランキングするセルがない場合に関する詳細を指定する必要があるか否かを検討するように提案する。
【0070】
これを解決する最も簡単な方法は、ランキングのための対象セルを選択する際、UEにH基準値及びS基準値を全て考慮させることである。このようにすると、S基準値を満たすセルがあるのにランキングのための対象セルがない状況を防止することができる。
【0071】
セル再選択評価過程
セル再選択基準
以下のセル再選択基準は、intra−frequencyセル、inter−frequencyセル、及びinter−RATセルに使用される。
階層セル構造のための品質レベル限界基準値Hは、階層セル再選択規則に基づいて優先順位ランキングを適用するか否かを決定するときに用いられ、次のように定義される。
【0072】
【表4】
システム情報(SI)にHCSが用いられないことが示される場合、品質レベル限界基準値Hは適用されない。
セルランキング基準値Rは次のように定義される。
【0073】
【表5】
ここで、シグナリングされた値QoffmbmsはMBMS PLに属するセル(サービングセル又は隣接セル)にのみ適用され、次の通りである。
【0074】
【表6】
TEMP_OFFSETnは、PENALTY_TIMEn期間に隣接セルに対してタイマーTnをスタートした後、H基準値及びR基準値にオフセットを適用する。
【0075】
TEMP_OFFSETn及びPENALTY_TIMEnは、システム情報でHCSが用いられることが示される場合にのみ適用される。
タイマーTnは各隣接セルに対して適用される。Tnは、以下の条件の1つが真であると、0からスタートする。
・HCS_PRIOn<>HCS_PRIOs及び
Qmeas,n>=Qhcsn
又は、
・HCS_PRIOn=HCS_PRIOs及び
・サービングFDDセル及び隣接FDDセルに対して、セル選択及び再選択のための品質測定がサービングセルでCPICH RSCPに設定されるときに
Qmeas,n>Qmeas,s+Qoffset1s,n
・サービングFDDセル及び隣接FDDセルに対して、セル選択及び再選択のための品質測定がサービングセルでCPICH Ec/Noに設定されるときに
Qmeas,n>Qmeas,s+Qoffset2s,n
・他の全てのサービングセル及び隣接セルに対して
Qmeas,n>Qmeas,s+Qoffset1s,n
関連する隣接セルに対するTnは、前記条件の1つでも満たさなくなると、すぐに停止する。TOnのために算出された全ての値関連タイマーTnが動作するときのみ有効であり、そうでなければTOnは0に設定される。
【0076】
セル再選択時、タイマーTnは、該当セルが新しいサービングセルの隣接セルでないと、又はタイマーTnをスタートさせる前記基準が新しいサービングセルのパラメータとして満たさなくなると、停止する。セル再選択時、タイマーTnは該当セルに対して動作し続けるが、その該当セルが新しいサービングセルの隣接セルである場合、その新しいサービングセルにブロードキャストされるパラメータで前記与えられた基準を評価する。
【0077】
【表7】
セル再選択パラメータはシステム情報でブロードキャストされて提供される。
セル再選択に用いられるセル選択基準値Sは以下の状況で満たされる。
【0080】
【表10】
UEのサービングセルでHCSが用いられない場合、UEがS基準値を満たすセルに対してランキングを行う対象は、
・測定された全てのセルである。
UEのサービングセルでHCSが用いられる場合、UEがランキングを行う対象は、
1.移動性が低い場合は、
・基準値S及び基準値H>=0を満たすセルのうち、HCS_PRIOが最も高い測定された全てのセルであり、
・基準値S及び基準値H>=0を全て満たすセルがなければ、HCS優先順位を考慮しない測定された全てのセルである。
【0081】
2.移動性が高い場合は、
・測定された全てのセル、そして、前記測定された全てのセルのうち、
・基準値S及び基準値H>=0を全て満たし、サービングセルより低いHCS優先順位を有するセルがあれば、
・サービングセルより低いHCS優先順位を有するセルのうち、基準値S及び基準値H>=0を全て満たすセルの中で最も高いHCS_PRIOを有する全てのセルであり、
・そうでなければ、
・サービングセルと同じか高いHCS優先順位を有する基準値S及び基準値H>=0を全て満たすセルがあれば、
・サービングセルと同じか高いHCS優先順位を有するセルのうち、基準値S及び基準値H>=0を満たすセルの中で最も低いHCS_PRIOを有する全てのセルであり、
・そうでなければ、
・HCS優先順位レベルを考慮しない基準値Sを満たす全てのセルである。
【0082】
セルは前述のR基準値によってランキングされるが、Qmeas,n及びQmeas,sを求め、FDDセル、TDDセル、及びGSMセルのそれぞれに対して、CPICH RSCP、P−CCPCH RSCP、及び平均受信信号レベルを用いてR基準値を算出する。
【0083】
オフセット値Qoffset1s,nは、Qoffsets,nのために用いられてRnを算出し、ヒステリシス値Qhyst1sは、Qhystsのために用いられてRsを算出する。UEがRRC接続モード状態CELL_PCH又はURA_PCHで動作するとき、SIB4で提供される場合、ヒステリシス値Qhystsは、Qhyst1s,PCH値でRsを算出する。UEがRRC接続モード状態CELL_FACHで動作するとき、SIB4で提供される場合、ヒステリシス値Qhystsは、Qhyst1s,FACH値でRsを算出する。
【0084】
システム情報でHCSが用いられることが示される場合、TEMP_OFFSET1nをTEMP_OFFSETnのために用いてTonを算出する。システム情報でHCSが用いられないことが示される場合、TEMP_OFFSETnはRnを算出するときに用いられない。最も高いR値を有するセルが最高にランキングされたセルである。
【0085】
TDDセル又はGSMセルが最高のセルにランキングされた場合、UEはそのTDDセル又はGSMセルに対するセル再選択を行う。
【0086】
FDDセルが最高のセルにランキングされ、セル選択及び再選択のための品質測定がCPICH RSCPに設定されている場合、UEはそのFDDセルに対するセル再選択を行う。このセルが適切でないと判断されると、UEはそれに応じて動作する。
【0087】
FDDセルが最高のセルにランキングされ、セル選択及び再選択のための品質測定がCPICH Ec/Noに設定されている場合、UEはFDDセルに対して前述のR基準値に基づいて2番目のランキングを行うが、測定量CPICH Ec/Noを用いてQmeas,n及びQmeas,sを求め、FDDセルのR値を算出する。オフセット値Qoffset2s,nは、Qoffsets,nのために用いられてRnを算出し、ヒステリシス値Qhyst2sは、Qhystsのために用いられてRsを算出する。UEがRRC接続モード状態CELL_PCH又はURA_PCHで動作するとき、SIB4で提供される場合、ヒステリシス値Qhystsは、Qhyst2s,PCHでRsを算出する。UEがRRC接続モード状態CELL_FACHで動作するとき、SIB4で提供される場合、ヒステリシス値Qhystsは、Qhyst2s,FACH値でRsを算出する。システム情報でHCSが用いられることが示される場合、TEMP_OFFSET2n値を用いてTonを算出する。システム情報でHCSが用いられないことが示される場合、TEMP_OFFSETnはRnを算出するときに適用されない。このような2番目のランキングを行った後、UEは最高にランキングされたFDDセルに対するセル再選択を行う。このセルが適切でないと判断されると、UEはそれに応じて動作する。
【0088】
全ての場合において、UEは次の条件を満たすときにのみ新しいセルを再選択する。
・新しいセルが時間区間Treselectionの間サービングセルよりよいランキングを有する。UEがRRC接続モード状態CELL_PCH又はURA_PCHで動作するとき、SIB4で提供される場合、時間区間Treselections,PCHが適用され、UEがRRC接続モード状態CELL_FACHで動作するとき、SIB4で提供される場合、時間区間Treselections,FACHが適用される。高い移動性状態が検出されない場合、階層セル構造において、HCS規則に基づいてサービングセルがランキングされないと、全てのランキングされたセルがサービングセルよりよいランキングを有するとみなされる。
【0089】
さらに、UEは次のようなスケーリング規則をTreselections、Treselection
s,PCH又はTreselection
s,FACHに適用する。
・intra−frequencyセル及び高い移動性状態が検出されない場合、
・スケーリングを適用しない。
・intra−frequencyセル及び高い移動性状態が検出された場合、
・Treselections、Treselection
s,PCH又はTreselection
s,FACH値に、システム情報で送られた場合は、IE「Speed dependent ScalingFactor for_Treselection」を乗算する。
・inter−frequencyセル及び高い移動性状態が検出されない場合、
・Treselections、Treselection
s,PCH又はTreselection
s,FACH値に、システム情報で送られた場合は、IE「Inter−Frequency ScalingFactor for Treselection」を乗算する。
・inter−frequencyセル及び高い移動性状態が検出された場合、
・Treselections、Treselection
s,PCH又はTreselection
s,FACH値に、システム情報で送られた場合は、IE「Speed dependent ScalingFactor for_Treselection」、そして、システム情報で送られた場合は、IE「Inter−Frequency ScalingFactor for Treselection」を全て乗算する。
・inter−RATセル及び高い移動性が検出されない場合、
・Treselections、Treselection
s,PCH又はTreselection
s,FACH値に、システム情報で送られた場合は、IE「Inter−RAT ScalingFactor for_Treselection」値を乗算する。
・inter−RATセル及び高い移動性が検出された場合、
・Treselections、Treselection
s,PCH又はTreselection
s,FACH値に、システム情報で送られた場合は、IE「Speed dependent ScalingFactor for_Treselection」、そして、システム情報で送られた場合は、IE「Inter−RAT ScalingFactor for_Treselection」を全て乗算する。
スケーリングがTreselections又はTreselections,PCHに適用される場合、UEは、スケーリングを全て行った後、その結果値を最も近い秒に丸める。スケーリングがTreselections
,FACHに適用される場合、UEは、スケーリングを全て行った後、その結果値を最も近い0.2秒単位で丸める。
・UEが現在のセルにキャンプしてから1秒以上経過した場合。
【0090】
前述のように、本発明の様々な実施形態は、セル品質に基づいた階層セル構造のセル選択方法に関するものであり、より効果的な無線リソースを利用を可能にする。
【0091】
本発明は、階層セル構造(HCS)が用いられるか否かを確認する段階と、システム情報からH基準値に関するパラメータを読み込む段階と、セルを測定する段階と、前記測定されたセルの中からS基準値を満たすセルを識別する段階と、前記S基準値を満たすセルに対して前記H基準値を満たすか否かを確認する段階と、前記S基準値及びH基準値を全て満たすセルの中から最も高いR基準値を有するセルを選択する段階とを含むことを特徴とするユーザ装置(UE)のためのセル選択方法を提供する。
【0092】
前記HCSは、複数のセル階層を形成する異なる大きさの重なるセルを定義し、前記UEのサービングセルが前記HCSに属すると用いられる。前記S基準値は、対象セルの受信品質が十分であるか否かを確認するために用いられる選択又は資格基準値であり、前記H基準値は、前記HCSが用いられるときに用いられるHCS基準値であって、システム情報で送られた情報に基づいて算出された正数又は負数値であり、前記R基準値は、前記S基準値を満たすセルのリストをランキングするために前記UEにより用いられるランキング基準値である。検索できる全ての周波数帯域で基地局と信号測定手順を行って前記測定されたセルを決定した後、特定のセル選択条件を満たすセルから最も強い信号特性値を有するセルを選択し、前記選択されたセルへのアクセスを行う。
【0093】
また、本発明は、ユーザ装置(UE)のサービングセルで階層セル構造(HCS)が用いられる場合、前記UEの移動性が低いと、基準値S及び基準値H≧0を満たすセルの中で最も高いHCS優先順位を有する測定された全てのセルに対してランキング手順を行い、基準値S及び基準値H≧0を満たすセルがなければ、HCS優先順位に関係なく、測定された全てのセルに対してランキング手順を行う段階と、前記UEの移動性が高いと、測定された全てのセルに対して前記ランキング手順を行う段階であって、前記測定されたセルのうち、基準値S及び基準値H≧0を満たし、かつサービングセルより低いHCS優先順位を有するセルがあれば、前記サービングセルより低いHCS優先順位を有するセルのうち、基準値S及び基準値H≧0を満たすセルの中で最も高いHCS優先順位を有する全てのセルに対して前記ランキング手順を行い、そうでなければ、基準値S及び基準値H≧0を満たし、かつ前記サービングセルと同じか高いHCS優先順位を有するセルがあれば、前記サービングセルと同じか高いHCS優先順位を有するセルのうち、基準値S及び基準値H≧0を満たすセルの中で最も低いHCS優先順位を有する全てのセルに対して前記ランキング手順を行い、そうでなければ、HCS優先順位に関係なく前記ランキング手順を行う段階とを含むことを特徴とするユーザ装置(UE)のためのセル選択方法を提供する。
【0094】
前記階層セル構造(HCS)は、複数のセル階層を形成する異なる大きさの重なるセルを定義する。特定期間のセル再選択数に基づいて、又はネットワークからのRRCシグナリングに基づいて、前記ユーザ装置の移動性が低いか高いか判断される。検索できる全ての周波数帯域で基地局と信号測定手順を行って前記測定されたセルを決定した後、特定のセル選択条件を満たすセルから最も強い信号特性値を有するセルを選択し、前記選択されたセルへのアクセスを行う。前記信号測定手順には、CPICH RSCP、CPICH Ec/No、及びCarrier RSSIの少なくとも1つが用いられる。
【0095】
前記ランキング手順は、前記ランキングのために対象セルを選択する際、前記H基準値及びS基準値を全て考慮して、測定されたセルの相対信号強度又はセル間の範囲重畳度を示すランキングを得る。前記ランキング手順は、前記R基準値に基づいて行われ、セル選択又は再選択は、最高品質を有するとランキングされた1つ以上のセルに対して行われる。前記HCS優先順位は、前記UEが前記HCSのどのセル階層に存在すべきかを定義する。前記HCS優先順位は、システム情報ブロックの形態でセルブロードキャスト情報の一部として伝送されるか、又はその代案として、隣接セルに対しては、前記HCS優先順位は、RRC測定制御メッセージの一部として伝送される。前記S基準値は、対象セルの受信品質が十分であるか否かを確認するために用いられる選択又は資格基準値であり、前記H基準値は、前記HCSが用いられるときに用いられるHCS基準値であって、システム情報で送られた情報及び前記対象セルのCPICH/P−CPCCHからの測定に基づいて算出された正数又は負数値である。
【0096】
本明細書で説明された様々な特徴と概念は、ソフトウェア、ハードウェア、又はこれらの組み合わせにより実現することができる。例えば、セル品質に基づいた階層セル構造のセル選択方法を処理する方法及びシステムのための(コンピュータ、端末、又はネットワーク装置により実行される)コンピュータプログラムは、様々な機能を実行する1つ又はそれ以上のプログラムコード部分で構成してもよい。また、セル品質に基づいた階層セル構造のセル選択方法を処理する方法及びシステムのための(コンピュータ、端末、又はネットワーク装置により実行される)ソフトウェアツールは、様々な機能を実行するプログラムコード部分で構成してもよい。
【0097】
本発明によるセル品質に基づいた階層セル構造のセル選択方法を処理する方法及びシステムは、様々な技術及び標準と互換性がある。本明細書で説明された一部の特徴は、GSM、3GPP、LTE、IEEE、4Gなどの様々な標準に関連している。しかしながら、これらの例示的な標準に限定されるものではなく、他の関連標準及び技術も本明細書で説明された様々な特徴と概念に適用することができる。