(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記pH調節剤が、コハク酸、クエン酸2ナトリウム、クエン酸3ナトリウム、及びトリスからなる群から選択される少なくとも1つのpH調節剤である、請求項1に記載のパッチ。
前記水溶性高分子が、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、及びポリビニルピロリドンからなる群から選択される少なくとも1つの水溶性高分子である、請求項14に記載のパッチ。
前記ポレーターが、熱ポレーター、機械式ポレーター、レーザーポレーター、及び水力ポレーターからなる群から選択される少なくとも1つのポレーターである、請求項20に記載のシステム。
前記ポレーターが、生体膜と実質的に物理的に接触して、該生体膜を熱的に切除するのに十分なエネルギーを送達するように配置された熱伝導素子である、請求項20に記載のシステム。
前記水溶性高分子が、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、及びポリビニルピロリドンからなる群から選択される少なくとも1つの水溶性高分子である、請求項36に記載のシステム。
前記1以上の微小孔が、熱ポレーター、機械式ポレーター、レーザーポレーター、及び水力ポレーターからなる群から選択されるデバイスを用いて形成される、請求項42に記載の方法。
前記1以上の微小孔が、生体膜と実質的に物理的に接触して、該生体膜を熱的に切除するのに十分なエネルギーを送達するように配置された熱伝導素子を用いて形成される、請求項42に記載の方法。
前記水溶性高分子が、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、及びポリビニルピロリドンからなる群から選択される少なくとも1つの水溶性高分子である、請求項58に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明は、以下の詳細な説明、実施例、及び特許請求の範囲、それらの前記及び後記記載を参照することによってより容易に理解され得る。
【0038】
本組成物、デバイス、システム、及び/又は方法が開示及び記載される前、本発明は、他に特定されていなければ、開示された特定の物品、デバイス、システム、及び/又は方法に限定されないことを理解すべきである。また、本明細書中で使用される用語は、特定の局面だけを記載することを目的とし、限定することを意図していないことも理解すべきである。
【0039】
本発明の以下の説明は、その最も現に知られている態様で本発明を教示できるように提供される。当業者は、なおも本発明の有益な結果をえながら、記載されている態様に多くの変更を施すことができることを認識する。また、本発明の所望の利益のいくつかは、他の特徴を利用せずに本発明の特徴のいくつかを選択することによって得ることができることは明らかとなろう。したがって、当業者は、本発明に対する多くの変更と適合が可能であり、さらにある種の環境において期待され得て、本発明の一部となることを理解する。このようにして、以下の記載は、本発明の原理の説明を与え、それに限定されない。
【0040】
本明細書中で使用するとき、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、その内容が明確に他に指示していなければ、複数的表現を含む。このようにして、例えば、「生物活性剤」を含むパッチへの言及は、その内容が明確に他に指示していなければ、2以上の生物活性剤を有する局面を含む。
【0041】
範囲は、「約」1の特定の値から、及び/又は、「約」別の値までとして本明細書中では表現可能である。このような範囲が表されているとき、別の局面は、ある特定の値から、及び/又は、他の特定の範囲までを含む。同様に、先行の「およそ」又は「約」値が近似値として表されるとき、それは特定の値から別の局面を形成することが理解されなければならない。また、各範囲の終点は、他の終点と関連して、及び他の終点とは独立して、重要であることが理解されるべきである。
【0042】
本明細書中で使用するとき、用語「任意の」又は「場合により」とは、続く記載の事象又は状況が起こってもよく、又は起こらなくてもよいことを意味し、その記載には、前記事象又は状況が起こる場合と、それがない場合を含む。
【0043】
本明細書中で使用するとき、成分の「重量パーセント」又は「重量によるパーセント」は、それとは反対に特定して記載がなければ、成分を含む製剤又は組成物の全重量に基づく。
【0044】
本明細書中で使用するとき、用語又は句の「有効な」、「有効量の」、又は「に有効な条件」とは、有効量が表される機能又は特性を実行し得るような量又は条件を指す。以下に指摘されるであろうが、要求される正確な量又は特定の条件は、採用される材料や観察される処理条件などの認識される変数に依存して、ある態様から別の態様に変化する。このようにして、正確な「有効量」又は「に有効な条件」を特定することは、いつも可能であるというわけではない。しかしながら、およその有効量又は有効条件は、日常的な実験のみを用いて、当業者によって容易に決定されることを理解すべきである。
【0045】
本明細書中で使用するとき、浸透物の「治療的な量」又は「治療的に有効な量」は、所望の結果を与え得る浸透物の量を指す。所望の結果は、期待され、期待されない、又はさらには意図していない、浸透物の投与結果であり得る。
【0046】
本明細書中で使用するとき、用語「パッチ」は、非制限的な例において、伝統的な薬物リザーバー又は薬物マトリックスパッチ、又は経皮薬物送達技術における使用に適した任意の他のタイプのパッチを含んでもよい。薬物リザーバー設計の一態様では、リザーバーは、裏打ちと速度制御メンブレンとの間に挟まれてもよい。薬物は、微小孔又は無孔性であり得る速度制御メンブレンを通じのみ放出する。薬物リザーバー成分において、薬物は、限定されないが、溶液、懸濁液、若しくはゲルの形態で、又は固体骨格に分散されていてもよい。メンブレンの外面上に、薬物の相溶性の低刺激性接着ポリマーの薄層が場合により適用され得る。薬物マトリックス設計の一態様では、通常知られている既知の両方のタイプである、薬物含有接着システムとマトリックス分散システムが含まれなければならない。薬物含有接着システムの一態様では、薬物リザーバーは、接着性ポリマーに薬物を分散させ、次に、不浸透性裏打ち層に接着剤(熱溶融性接着剤)を溶媒キャスティング若しくは融解させることによって薬用ポリマー接着を広げることによって形成されてもよい。リザーバーの上部に、薬用でない接着性ポリマー層を適用してもよい。マトリックス分散システムの一態様では、薬物は、親水性若しくは脂溶性ポリマーマトリックスに均一に分散され、薬物不浸透性裏打ち層に固定される。別の対応では、薬物リザーバーの表面に接着剤を適用する代わりに、周囲接着を形成するように適用される。上記伝統的な薬物リザーバー及び薬物マトリックススタイルパッチを含む、皮膚に設置可能なパッチの全ての形態は、本発明の態様として含まれなければならない。
【0047】
本明細書中で使用するとき、用語「親水性浸透物」とは、水分に親和性を有する浸透物を指す。一局面では、水分は、皮下流動体に存在し、又はそれによって提供され得る。皮下流動体は、細胞内及び/又は細胞外流動体であってもよい。一局面では、親水性浸透物は、水及び皮下流動体などの水分供給源と接触されると、親水性浸透物が少なくとも実質的の皮下流動体に溶解するように少なくとも実質的に水溶性であり得る。別の局面では、親水性浸透物は、皮下流動体に実質的に溶解し得ないが、むしろ皮下流動体中で特定の親水性浸透物の懸濁液を形成してもよい。本明細書中でさらに使用するとき、親水性浸透物組成物は、本明細書中に記載される1以上の親和性浸透物を含むことができる。
【0048】
本明細書中で使用するとき、「皮下流動体」又は「生体分子」には、限定されないが、水分、血漿、血液、1以上のタンパク質、間質液、皮膚組織流動体、皮膚のいずれかの層からの流動体、汗、血清、リンパ液、及び/又はそれらの2以上の組合せが挙げられる。一局面では、本発明による皮下流動体は、水を含む水分供給源である。
【0049】
本明細書中で使用するとき、用語「生分解しない」とは、実質的に分解し、溶解し、及び皮下流動体と接触しても浸食しない材料、化合物又は組成物を指す。一局面では、生分解しない材料、化合物又は組成物は、実質的に水に不溶性な材料、化合物、又は組成物であってもよい。
【0050】
本明細書中で使用するとき、用語「浸透物利用」とは、所定の浸透物投与期間中に対象にパッチから経皮送達される浸透物送達パッチ内に配置された最初の浸透物内容物の割合を指す。
【0051】
本明細書中で使用するとき、「対象」は、流動体を得ることができる少なくとも1つの生体膜を有する任意の生物を指す。一局面では、例示の生体膜は、皮下流動体を得ることができる少なくとも1つの皮膚層であってもよい。例えば、一局面では、対象は植物である。あるいは、別の局面では、対象は動物であり得る。一局面では、動物は哺乳動物であり得る。代替の局面では、動物は非哺乳動物であり得る。また、動物は、冷血動物、例えば、魚、爬虫類、又は両性動物であってもよい。あるいは、動物は、温血動物、例えば、ヒト、家畜(farm animal)、家畜(domestic animal)、又はさらには実験動物であってもよい。したがって、本発明は、任意の特定の対象又は対象群との関連で、その使用に限定されないことを理解すべきである。
【0052】
本明細書中で使用するとき、「生体膜」は、細胞内のバリアー又は細胞周辺のバリヤーとして作用する包接層又は分離層を含む。ある局面では、脂質クラスの分子及び不定期に絡み合ったタンパク質で構成される脂質二重層であり得る。また、本明細書中で使用される生体膜は包接された空間又はコンパートメントを規定することができ、その中にある細胞は、その空間又はコンパートメントの外側の環境とは異なる化学的又は生化学的環境を維持することができる。ある局面では、生体膜は、選択的な透過性構造であってもよく、それを通過しようとする原子及び分子の大きさ、電荷、及び他の化学的特性はが、そうすることができるかどうを決定する。一態様では、生体膜は粘膜であってもよい。例示的な粘膜には、限定されないが、経口、歯肉、胃腸、首、膣、直腸内、鼻腔内、口腔内、及び眼球膜が挙げられる。別の局面では、生体膜は皮膚層であってもよい。
【0053】
本明細書中で使用するとき、「皮膚層」は、対象の任意の1以上の表皮層であってもよい。例えば、一局面では、皮膚層は、皮膚の最外層、即ち、角質層を含む。代替の局面では、皮膚層は、通常、顆粒層、有棘層(マルピーギ層)、及び基底層(stratum basale)(基底層(stratum germinativum))として定義される角質層下の表皮の1以上の層を含み得る。角質層下の表皮層を通じた浸透物の輸送又は吸収に対する抵抗性が本質的に僅かであるか又は全くないことは当業者に承認される。したがって、本発明の一局面では、対象の皮膚層における少なくとも1つの形成された経路は、対象の角質層における経路である。
【0054】
本明細書中で使用するとき、「増強剤」、「化学的増強剤」、「浸透性増強剤」、「透過性増強剤」などは、生体膜を通じて、又は組織液内で、浸透物、分析物、又は他の分子の流動性を増加させる全ての増強剤を含む。全ての細胞エンベロープ無秩序化化合物及び溶媒、並びに他の化学的増強剤を含むことが意図される。さらに、pH調節剤、溶解性調節剤(イオン強度調節剤、塩析剤、水溶性高分子を含む)、及び充填剤を含むことが意図される。さらに、限定されないが、組織、ソノフォーレーシス、イオントフォレーシス、又はエレクトロポレーションの音響エネルギー、機械的吸引、圧力、若しくは局部変形を含む全ての活性力増強剤を含む。ある場合において、親水性浸透はまた透過性増強剤として同時に(浸透物としての役割を有する)又は透過性増強剤として個別に作用することができる。1以上の増強剤技術を連続して又は同時に合わせてもよい。例えば、化学的増強剤は、最初に、キャピラリー壁を透過性にするように適用されてもよく、次にイオントフォレーシス又は音響エネルギー場は、キャピラリー床の周囲及びそれを含む組織に浸透物を積極的に駆動するように適用されもよい。
【0055】
本明細書中で使用するとき、「経皮の(transdermal)」又は「経費的(percutaneous)」は、浸透物の有効な治療的な血液レベル又は局所組織レベルを達成するための1以上の皮膚層に、及びそれを通じた浸透物の通過を含む。
【0056】
本明細書中で使用するとき、「形成された開口」、「人工的な開口」、又は「微小孔」とは、そこを通じて流動物を送達又は排除するのに適したサイズの生体膜の任意の物理的な孔(breach)を意味する。したがって、「形成された開口」、「人工的な開口」、又は「微小孔」は、生体膜中の所望の深さ又は生体膜を通じて造られた小さなホール、開口又は隙間(crevice)を指す。一態様では、用語の微小孔は、皮膚表面に生物学的な液体製品をもたらす任意の皮膚着用技術の結果を指す。一態様では、開口は、米国特許第5,885,211号及び第7,141,034号に記載される熱エネルギーの伝導を介して、又は機械的処理を通じて、爆薬処理を通じて、又は周波数アブレーションを通じて形成されてもよい。それらの教示は、参照により本明細書中に援用される。ある局面では、ホール又は孔の大きさは、例えば、直径にして約1〜1000、5〜700、10〜500、50〜300、100〜250、50〜100、又は70〜90ミクロンであってもよい。ホール又は孔は、任意の形状であってもよく、例えば、円筒、スリット、ホール、正方形、溝(trough)、クレーターなどが挙げられる。用語の微小孔は、簡素化のために単数形で使用されるが、本デバイス、システム、及び方法は複数の開口又は孔のアレイを形成してもよいことは理解されなければならない。
【0057】
本明細書中で使用するとき、「ポレーション」、「マイクロポレーション」、又は任意のこのような類似の用語は、皮膚若しくは粘膜などの組織若しくは生体膜中の又はそれを通じた小さなホール又は隙間(後には「微小孔」とも呼ばれる)、あるいは、選択された目的で生体膜の片側から他方に少なくとも1つの浸透物の通過のためにこの生体膜の壁特性を少なくするための生物の外層の形成を意味する。好ましくは、このように形成されるホール又は「微小孔」は、直径にして約1〜1000ミクロンを有し、下層組織に悪影響を及ばさずに角質層の壁特性を壊すには十分に生体膜に広がる。他の態様では、このように形成されるホール又は微小孔は、直径にして約1〜1000、5〜700、10〜500、50〜300、100〜250、50〜100、又は70〜90ミクロンである。用語「微小孔」は、簡素化のために単数形で使用されるが、本発明のデバイスが複数の人工的な開口を形成してもよいことは理解されなければならない。ポレーションは、選択された目的のため、又はある種の医学的若しくは外科的目的のために生体中の生体膜の壁特性を減少っせ、本明細書中に言及されるマイクロポレーション法は、主に、通常、直径約1ミクロン以上、通常、深さが少なくとも約1ミクロンである微小孔の典型的な最小次元までエレクトロポレーションによて形成される開口から区別される一方、エレクトロポレーションで形成される開口は、典型的には、任意の直径で数ナノメートルに過ぎない。それにもかかわらず、エレクトロポレーションは、浸透物がこれらのより深い組織層に微小孔を通過した後、生物の外層の下にある標的組織によって選択された浸透物の取り込みを促進するのに有用である。本出願の目的のために、「ポレーション」と「マイクロポレーション」は互換的に使用される。
【0058】
「マイクロポレーター」又は「ポレーター」は、マイクロポレーション可能なマイクロポレーションデバイスのための構成要素である。マイクロポレーター又はポレーターの例には、限定されないが、微小孔を形成するには十分ないくらかの膜深さのアブレーションを引き起こすために生体膜に直接接触を介して熱エネルギーを伝導的に送達可能な1以上のフィラメント;該生体膜を熱的に切除するために生体膜に十分なエネルギーを送達するための、生体膜と実質的に物理的接触するように配置された熱伝導素子;及び、任意に、加熱された局所的色素/吸収層;電気機械的アクチュエーター、マイクロランセット、及び固体又は中空のマイクロ針又はランセットのアレイを含む機械的アブレーションデバイス;高周波アブレーション、音響エネルギーアブレーション;レーザーアブレーションシステム;高圧流体ジェットパンクチュアーを含む水圧パンクチュアーデバイス;皮膚表面の物理的着用を用いた技術;皮膚弾道送達装置などを有するデバイスを含む熱ポレーションデバイスが挙げられる。その全体が参照により援用される米国特許第7,141,034号に記載される薄層組織インターフェースは、ポレーションの更なる例である。本明細書中で使用するとき、「マイクロポレーター」と「ポレーター」は互換的に使用される。
【0059】
「薄層組織インターフェース」又は「TFTI」は、抵抗素子を介した電流の通過によって生じた熱エネルギーを用いて微小孔を造るデバイス、並びにTFTIデバイスを製造し、機能的に操作する方法を説明するために使用される。TFTIデバイスは、広範囲の生体膜上に1以上の微小孔を造る。TFTIは、分析物モニタリング、及び治療薬又は刺青色素などの浸透物の送達を増加させるためにヒト皮膚の熱的マイクロポレーションを含む応用を有する。TFTIは、生体膜の表面上に迅速かつ効率的に微小孔のパターン又はアレイを造るそれらの能力によって特徴付けられる。このパターンは、種々の可能な孔密度を有する微小孔の任意の幾何学的空間であり得る。一態様では、孔密度は、0.2mm
2毎に1つの孔と同程度の高さであり、孔密度は、数平方ミリメートル〜数百平衡センチメートルを超える範囲のポレートされた全領域を覆い、0.005〜800、0.01〜500、0.1〜500、1〜300、10〜200、25〜100、及び50−75平方センチメートルを含む。TFTIデバイスは、生体膜とコントローラーの間のインターフェースを形成してもよい薄い、柔軟性のある適合構造であるように設計される。あるいは、TFTIは、コントローラー自体と統合されてもよく、この統合されたデバイスは生体膜と接触してもよい。コントローラー部分は、各ポレーション素子若しくは電極又は圧電トランスデューサーなどの他の活性構成要素を、限定されないが、TFTIのポレーション、又はTFTIのイオントフォレーシス、ソノフォーレーシス、エレクトロポレーション、又は接触組織のインピーダンス測定などの他の機能に影響を及ぼす必要とされる電気信号を用いて、TFTIに供給する。TFTIは柔軟性があり、標的生体膜の形状に適合可能であってもよい。TFTIは非常に薄く、計量に加工され、パッチから分離して、又は統合された形式で使用されてもよく、また、多くのユーザーに親しみのある形態を可能にするアンビリカルケーブルを通じて、コントローラー又は電源に接続される。1以上の制御可能である活性な追加の流束増大特徴をTFTI、例えば、限定されないが、圧力調整、機械的操作、イオントフォレーシス、電気浸透、ソノフォーレーシス又はエレクトロポレーションに組み込まれる場合、この追加の流束増大特徴の活性化は、予めプログラムされた様式で、コントローラーへのインプットを介したユーザーによる制御された様式で、又は自動的な閉ループ様式のいずれかでリモートコントローラーモジュールによって制御可能である。ここで、浸透物の注入速度は、生体ないの選択された分析物の測定レベル、又は生体の他の測定可能な特性の関数として調節される。他の特定可能な特性は、心拍数、血圧、温度、呼吸、及び皮膚表面伝導度を含むことができる。例えば、一態様では、生物の間質液又は血清におけるグルコース濃度のリアルタイム測定に基づくインスリン注入の速度を制御することは有用である。別の態様では、生体内でのこの化合物の測定可能なレベルに基づく注入速度を調節し、それにより非常に正確になるようにするために、いくつかの治療的化合物、特に、効果的な薬物レベルは何かに対する、負の副作用がいつ非常に耐えられなくなるのかを特定するより狭い治療濃度域を有する化合物を用いること望ましく、それにより、患者の体重又は代謝とは関係なく、所望の治療濃度域内の薬物濃度を達成し、維持するための非常に正確な自己適用できる方法を可能にする。TFTIの設計及び製造では、TFTIを含む多くの導電性トレースが複数の機能を果たすように使用され得る。例えば、熱サイクルを誘導する抵抗ポレーション素子にショートパルスの電流を送達するために使用されるトレースはまた、マイクロポレーションの閉ループフィードバック制御のため、又はイオントフォレーシス若しくはエレクトロポレーション処理用の電極として増強を組み込むために使用され得て、微小孔が形成された後に実行される。
【0060】
本明細書中で使用するとき、「イオントフォレーシス」とは、2以上の電極の使用、並びに組織又は生体液若しくは分析物の類似の抽出物への、イオン輸送(電気浸透)と関連した水流動とともに運搬される薬物のイオン化形態又は非イオン化薬物の送達を通じて、組織表面に外部電場を適用することを指す。
【0061】
本明細書中で使用するとき、「エレクトロポレーション」とは、微小孔よりも小さな規模の次数である細胞壁における開口の電流を通じた創作を指す。エレクトロポレーションによって形成される開口は、典型的には、任意の次元で、たった数ナノメートル、例えば、1〜10ナノメートルである。一態様では、エレクトロポレーションは、浸透物は組織のより深い層に微小孔を通じて通過した後、生物の外層下の標的組織によって選択された浸透物の細胞による取り込みを促進するのに有用である。
【0062】
本明細書中で使用するとき、「ソノフォーレーシス」又は「ソニフィケーション」とは、圧電性結晶、又は材料を介して交流電流を通過させることによる他の電気化学的素子を振動させることによって生じる、超音波として通常記述される振動を含んでもよい音響エネルギーを指す。薬物分子への皮膚の浸透性を高めるための音響エネルギーの使用は、ソノフォーレーシス又はフォノホレーシスと呼ばれている。
【0063】
本発明は、部分的には、生体膜の透過性増加を介して開発されてきた、経皮送達への新規アプローチに基づく。いくつかの局面によれば、透過性は、人工的な開口、又は少なくとも1つの層の膜を介した経路を介して物理的に交換することによって達成され得る。これらの開口は、膜を介した液体連通又は接近を提供することができる。例えば、生体膜が角質皮膚層である場合、形成された開口は、角質層の下にある表皮及び皮膚組織の水和した生きた層への接近又は液体連通を提供することができる。これを受けて、これらの開口、又は微小孔は、水性チャンネル又は形成された経路としてみなすことができ、それを通じて、浸透物が分散可能であるだけでなく、流動体もポンプでくみ上げられ、微粒子が送達可能となり、又は対象内からの流動体が皮膚の表面に発散され得る。流量及びこのタイプの微小孔の双方向性特性を利用することによって、本発明は、一局面では、以下に詳述される経皮浸透物送達の改良されたデバイス、システム及び方法を提供する。
【0064】
本発明の局面によれば、パッチ、又はパッチ+ポレーターを含むシステムは、対象の生体膜を通じて形成された少なくとも1つの経路を通じて、対象に生物活性剤の流動を引き起こすために提供される。パッチにはマトリックスが含まれる。マトリックスは生体膜と接触するために適合された表面を有し、このマトリックスは、さらに、生体膜から形成された少なくとも1つの経路から生体水分を吸収するか又は他には受けるように適合される。浸透物組成物は、マトリックス内に配置される。浸透物組成は、溶解しない親水性浸透物を含み、この場合、該親水性浸透物は、少なくとも1つの生物活性剤を含んでもよく、さらには、pH調節剤のような少なくとも1つの透過性増強剤を含む。一態様では、浸透物組成物の親水性浸透物は対象に送達される。別の態様では、浸透物組成物の親水性浸透物と透過性増強剤が対象に送達される。ある局面では、生物活性剤はまた、少なくとも1つの透過性増強剤の機能性を提供することができる。
【0065】
一態様では、浸透物組成物は、皮下流動体などの生体水分と接触することができ、その場合、パッチの底面は、対象の生体膜を通じて形成された少なくとも1つの経路と液体連通して配置される。別の態様では、溶解していない親水性浸透物の少なくとも一部、ある場合には、同様に透過性増強剤の少なくとも一部が、対象の接触された生体水分に溶解し、又は懸濁液を形成することができる。この説明によって限定されないが、一態様では、有効量の水分がマトリックス内の浸透物組成物と接触されるようになると、流動体は、その後、対象内に、生体膜を介して少なくとも一部の浸透物を戻すように送達するために分散経路を与えると考えられる。別の局面では、限定されないが、浸透物組成物は、皮下流動体に親和性を有することができ、その結果、少なくとも一部の浸透物組成物は対象から有効量の皮下流動体を引き出すことができ、その場合、パッチの底面は、対象の皮膚層を介して形成された少なくとも一部の経路と液体連通するように配置される。
【0066】
一態様では、マトリックスは生体膜と接触するように適合される表面を有し、さらに、生体膜を通じて形成された少なくとも1つの経路から生体水分を吸収するか又は他には受けるように適合され、その場合、このパッチは、形成された少なくとも1つの経路と液体連通するように配置される。マトリックスは少なくとも1つのポリマーを含むことができ、2以上のポリマーを含むことができる。ポリマー(単数又は複数)は水溶性又は水不溶性ポリマーであってもよい。単一のマトリックスは、水溶性ポリマー及び水不溶性ポリマーの両方を含むことができる。水溶性ポリマーの非制限的な例には、ポリエチレングリコール(PEG又はPEO又はPOE)、ポリビニルアルコール(PVA又はPVOH)、及びポリビニルピロリドン(PVP)が挙げられる。水不溶性ポリマーの非制限的な例には、エチレン酢酸ビニル(EVA)及びエチルセルロース(EC)が挙げられる。マトリックス材は、例示的な非制限的局面では、約1重量%〜約99重量%のパッチを占め、さらに追加量の約25重量、約30重量%、約35重量%、約40重量%、約45重量%、約50重量%、約55重量%、約60重量、約65重量%、約70重量%、約75重量%及び約80重量%のパッチを含む。さらに、マトリックス材は、これらの値に由来する任意の範囲の重量パーセントの任意量を占めてもよい。例えば、例示的な非制限的局面では、マトリックス材は、約1〜約60重量%のパッチ、約20〜約60重量%のパッチ、約20〜約40重量%のパッチ、又はさらには約1〜約40重量%のパッチの範囲であってもよい。
【0067】
本発明の局面によれば、マトリックスは、水不溶性高分子材又は高分子材の組合せを含んでもよい。例えば、限定されないが、一局面では、マトリックスには、エチレン酢酸ビニル(EVA)共重合体、エチルセルロース(EC)、ポリエチレン、ポリアクリル酸エチル、エチレンとアクリル酸エチルの共重合体、及びそれらの任意の組合せが挙げられる。一局面では、マトリックスは、0%〜約60%の範囲の酢酸ビニルの相対的パーセンテージを有するエチレン酢酸ビニル共重合体を含むことができ、約0%、1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%及び60%などの追加の酢酸ビニルのパーセンテージ、及びこれらの値に由来する任意の範囲のパーセンテージを含むことができる。なお別の局面では、エチレン酢酸ビニル共重合体は、約40%の酢酸ビニルを含む。
【0068】
上記で概説したように、浸透物組成物は、少なくとも1つの親水性浸透物を含み、ここで、親水性浸透物は、少なくとも1つの生物活性剤、及び限定されないが、pH物調節剤などの少なくとも1つの透過性増強剤を含むことができる。ある態様では、親水性浸透物は、同時に(浸透物としての役割とともに)又は別々に透過性増強剤として機能することができる。さらに、親水性浸透物は、場合により、投与に適した1以上の付加物を含むことができる。例えば、浸透物は、場合により、さらに溶解性調節剤、充填剤(ある場合には生体適合性充填剤と呼ばれてもよい)、又は、浸透物の所望の経皮送達を提供又は増大するのに適した任意の他の従来知られた物質を含むことができる。溶解性調節剤及び充填剤の例が後述される。一局面では、親水性浸透物は、約1重量%〜約99重量%のパッチを占めることができ、約5重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、約45重量%、約50重量%、約55重量%、約60重量%、約65重量%、約70重量%、約75重量%の追加量のパッチを含み、これらの値に由来する任意の範囲の重量パーセンテージを含む。
【0069】
本明細書中で使用するとき、生物活性剤には、任意の薬物、所望の生物学的又は薬理学的効果を含む化学的又は生物学的材料が含まれる。その効果は局所的であってもよく、例えば、局所麻酔効果用に提供され、又は全身性であってもよい。このような物質は、通常、生体に送達される幅広い種類の化合物が含まれ、皮膚を含む生体表面及び膜を通じることが含まれる。この目的で、一局面では、生物活性剤は、低分子薬物であってもよい。別の局面では、生物活性剤は巨大分子薬物であってもよい。一般に、限定されないが、例示的な生物活性剤には、限定されないが、抗感染薬、例えば、抗生物質及び抗ウイルス剤;鎮痛剤及び鎮痛併用剤;食欲抑制薬;駆虫薬;抗関節炎薬;抗ぜんそく薬;鎮痙剤;抗うつ薬;抗糖尿病薬;止瀉薬;抗ヒスタミン剤;抗炎症薬;抗片頭痛製剤;制嘔吐剤;抗新生物薬;抗血管新生薬;パーキンソン病治療薬;かゆみ止め薬;抗精神病薬;解熱剤;鎮痙剤;抗コリン作用薬;交感神経様作用薬;キサンチン誘導体;循環期間用薬、例えば、カリウム及びカルシウムチャネル遮断薬、ベータ遮断薬、アルファ遮断薬、及び不整脈治療剤;降圧剤;利尿薬及び抗利尿薬;血管拡張剤、例えば、一般的な冠状動脈、末梢、及び脳;中枢神経系刺激薬;血管収縮剤;咳及び風邪製剤、例えば、充血除去剤;ホルモン、例えば、エストラジオール及び他のステロイド、例えば、コルチコステロイド;睡眠薬;免疫抑制薬;筋肉弛緩剤;副交感神経遮断薬;精神刺激薬;鎮静剤;精神安定剤;抗線維筋痛薬;乾癬治療薬;骨吸収阻害剤;骨強度を構築する薬剤;骨脆弱性を減少させる薬剤;抗失禁剤;抗不妊薬;肢端巨大抑制剤;抗浮腫薬;抗肥満薬;骨吸収阻害剤;麻酔薬;抗不安薬;鎮静剤;筋肉弛緩剤;アセチルコリンエステラーゼ阻害剤;ACE阻害剤;抗凝血剤;睡眠薬;抗強迫剤;抗過食症薬;制吐薬;抗不安薬;NSAID;抗リウマチ剤;甲状腺機能低下薬物治療;NMDA受容体拮抗剤;NMDA受容体作動剤;部分的NMDA受容体作動剤;ADHD治療薬、鎮痙薬、鎮痙剤、片頭痛予防薬;両性前立腺肥大薬;鎮静剤;麻酔薬;肺動脈血圧降下剤;睡眠薬;骨粗鬆症薬;抗炎症薬;糖尿病性血糖制御薬;多発性硬化症薬;血小板減少症薬;及び骨髄性再構成薬が挙げられる。
【0070】
本発明の局面によれば、生物活性剤は、1以上のペプチド、ポリペプチド、タンパク質、核酸、又はサイズ及び電荷のための既存の従来技術を用いて経皮的に送達することが困難であると知られている他の巨大分子を含むことができる。本発明に従って送達され得る巨大分子の例には、限定されないが、オリゴペプチド、siRNA、RNAi、アンチセンス分子、三重らせん分子、CpGオリゴマー、エンハンサーデコイ、抗体、LHRH、LHRH類似体(例えば、ゴセレリン、ロイプロリド、ブセレリン、トリプトレリン、ゴナドレリン、ナファレリン、及びロイプロリドなど)、GHRH、GHRF、インスリン、インスリノトロピン、カルシトニン、オクトレオチド、エンドルフィン、TRH、NT−36(化学名:N−[[(s)−4−オキソ−2−アゼチジニル]−カルボニル]−L−ヒスチジル−L−プロリンアミド)、リプレシン、下垂体ホルモン(例えば、HGH、HMG、HCG、酢酸デスモプレシンなど)、卵胞ルテオイド、アルファANF、解放因子などの増殖因子(GFRF)、ベータMSH、GH、ソマトスタチン、ブラジキニン、ソマトトロピン、血小板由来増殖因子、アスパラギナーゼ、硫酸ブレオマイシン、キモパパイン、コレシストキニン、絨毛性ゴナドトロピン、コルチコトロピン(ACTH)、エリスロポエチン、エポプロステノール(血小板凝集阻害剤)、グルカゴン、ヒルジン及びヒルログなどのヒルジン類似体、ヒアルロニダーゼ、インターロイキン−2、メノトロピン(ウロフォリトロピン(FHS)及びLH)、オキシトシン、ストレプトキナーゼ、組織プラスミノーゲンアクチベータ、ウロキナーゼ、バソプレシン、デスモプレシン、ACTH類似体、ANP、ANP間隙阻害剤、アンジオテンシンII拮抗薬、抗利尿ホルモン作動薬、抗利尿ホルモン拮抗薬、ブラジキニン拮抗薬、CD4、セレダーセ、CSI、エンケファリン、FAB断片、IgEペプチド抑制剤、IGF−1、神経栄養因子、コロニー刺激因子、副甲状腺ホルモン及び作動薬、副甲状腺ホルモン拮抗薬、プロスタグランジン拮抗薬、サイトカイン、リンフォカイン、ペンチゲチド、プロテインC、プロテインS、レニン阻害剤、サイモシンアルファ−I、血栓溶解剤、TNF、GCSF、EPO、PTH、ヘパリン、低分子量ヘパリン、エノキサパリン(Lovenox又はClexane)、合成ヘパリン、ワクチン、バソプレシン拮抗薬類似体、インターフェロン−アルファ、ベータ、及びガンマ、アルファ−Iアンチトリプシン(組換え)、及びTGF−ベータ遺伝子;ペプチド;ポリペプチド;タンパク質;オリゴヌクレオチド;核酸;多糖類、グルカゴン様ペプチド−1類似体、及びアミリン類似体が挙げられる。
【0071】
本明細書中で使用するとき、用語「ペプチド」は、任意の長さのペプチドを意味し、タンパク質を含む。用語「ポリペプチド」及び「オリゴペプチド」は、特定のサイズが特に記述されない限り、特定の意図されたサイズに制限されることなしに本明細書中で使用される。利用され得る例示的なペプチドは、これに限定するものではないが、オキシトシン、バソプレシン、副腎皮質刺激ホルモン、上皮細胞増殖因子、プロラクチン、ルリベリン又は黄体形成ホルモン解放ホルモン、成長ホルモン、成長ホルモン解放因子、インスリン、ソマトスタチン、グルカゴン、インターフェロン、ガストリン、テトラガストリン、ペンタガストリン、ウロガストリン、セクレチン、カルシトニン、エンケファリン、エンドルフィン、アンギオテンシン、レニン、ブラジキニン、バシトラシン、ポリミキシン、コリスチン、チロシジン、グラミシジン、及び合成類似体、それらの修飾体及び薬理活性断片、モノクローナル抗体及び可溶性ワクチンを含む。利用され得るペプチド又はンパク質薬物に対する唯一の制限は、機能性の制限であることが意図される。
【0072】
1以上のアミノ基を含有するペプチド又はタンパク質薬剤の例は、これに限定するものではないが、抗癌剤、血管新生阻害剤、プロ血管形成剤、抗生物質、制嘔吐剤、抗ウイルス薬、抗炎症及び鎮痛剤、麻酔薬、抗潰瘍薬、高血圧を治療するための薬剤、高カルシウム血症を治療するための薬剤、高脂血症を治療するための薬剤などを含み、そのそれぞれは、分子中に少なくとも1つの第1級、第2級、又は第3級アミン基を有し、好ましくはインスリン、カルシトニン、成長ホルモン、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、エリスロポエチン(EPO)、骨形態形成タンパク質(BMP)、インターフェロン、インターロイキン、血小板由来増殖因子(PDGF)、血管内皮増殖因子(VEGF)、線維芽細胞成長因子(FGF)、神経成長因子(NGF)、ウロキナーゼ、などのようなペプチド、タンパク質、又は酵素が挙げられ得る。タンパク質薬物のさらなる例は、これに限定するものではないが、インスリン、アルファ、ベータ、及びガンマ−インターフェロン、ヒト成長ホルモン、アルファ及びベータ−I形質転換成長因子、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(G−MCSF)、副甲状腺ホルモン(PTH)、PTH類似体(テリパラチド、オスタボリン−C)、ヒト又はサケカルシトニン、グルカゴン、ソマトスタチン、血管活性腸管ペプチド(VIP)及び活性なN末端断片、LHRH類似体、エンドスタチン、アンギオスタチン、トロンボスポリン、アナキンラ(IL−IRA)(キネレット)、アレファセプト(アメビブ)、アルデスロイキン(プロロイキン)、カルシトニン(ミアカルシン)、コルチコトロピン(副腎皮質刺激ホルモン/Acthar)、エファリズマブ(ラプティバ)、エポエチンアルファ(エポゲン)、エタネルセプト(エンブレル)、エキセンジン−4又はエクセナチド(バイエッタ)、フィルグラスチム(Neupogen)、フォリトロピン(ゴナール−F)、酢酸グラチラマー(コパクソン)、ヒト成長ホルモン(ソマトトロピン、ノルジトロピン、ゲノトロピン、ヌトロピン)、インターフェロンベータ1a(アボネックス、レビフ)、インターフェロンベータ1b(ベタセロン)、メノトロピン(パーゴナル、レプロネクス)、オクトレオチド(サンドスタチン)、オプレルベキン(ニューメガ)、サクラモスチン(Leukine)、テリパラチド(Forteo)、チロトロピンアルファ(チロゲン)、インスリン、吸入式インスリン(エクスベラ)、インスリンアスパルト(Novolog)、インスリンアスパルト(Apidra)、インスリンリスプロ(Humalog)、イソフェンインスリン、インスリンデテミル(Levemir)、インスリングラルギン(ランタス)、拡張インスリン亜鉛(レンテ、ウルトラレンテ)、酢酸プラムリンチド(シムリン)、成長ホルモン、ソマトトロピン(ゲノトロピン、ヒューマトロープ、ノルジトロピン、NorlVitropin、ヌトロピン、オムニトロープ、プロトロピン、シアゼン、セロスチム、バルトロピン)、メカセルミン(インクレレックス)、メカセルミンリンファベート(IPlex)、第VIII因子(ビオクレート、ヘリキサート、コゲネート、リコンビネート、ReFacto)、第IX因子(ベネフィックス)、アンチトロンビンIII(トロンベートIII)、プロテインC濃縮物(セプロチン)、ベータ−グルコセレブロシダーゼ(セレザイム、セレデース)、アルグルコシダーゼ−アルファ(ミオザイム)、ラロニターゼ(アルドラザイム)、イズルスルファーゼ(Idursulphase)(エラプレース)、ガルスルファーゼ(Galsulphase)(ナグラザイム)、アガルシダーゼ−ベータ(ファブラザイム)、アルファ−1−プロテイナーゼインヒビター(Aralast、プロラスチン)、ラクターゼ(ラクタイド)、膵酵素(リパーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ)(Arco−Lase、コタザイム、クレオン、ドンナザジム、パンクレアーゼ、ビオカーゼ、ザイマーゼ)、アデノシンデアミナーゼ(アダゲン)、貯留された免疫グロブリン(オクタガム)、ヒトアルブミン(Albumarc、アルブミン、アルブミナー、AlbuRx、アルブテイン、フレクスブミン、ブミネート、プラスブミン)、エリスロポエチン、エポエチンアルファ(エポゲン、プロクリット)、ダルベポエチンアルファ(Aranesp)、フィルグラスチム(顆粒球コロニー刺激因子;G−CSF)(ニューポゲン)、ペグフィルグラスチム(ペグ−G−CSF)(ニューラスタ)、サルグラモスチム(顆粒球マクロファージコロニー刺激因子;GM−CSF)(Leukine)、オプレルベキン(インターロイキン11;IL−11)(ニューメガ)、ヒト卵胞刺激ホルモン(FSH)(ゴナール−F、フォリスチム)、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)(オビドレル)、ルトロピンアルファ(ルベリス)、I型アルファ−インターフェロン、インターフェロンアルファコン1(インファーゲン)、インターフェロンアルファ−2a(ロフェロン−A)、ペグインターフェロンアルファ−2a(ペガシス)、インターフェロンアルファ−2b(イントロンA)、ペグインターフェロンアルファ−2b(ペグイントロン)、インターフェロンアルファ−n3(アルフェロンN)、インターフェロンベータ−1a(アボネックス、レビフ)、インターフェロンベータ−1b(ベタセロン)、インターフェロンガンマ−1b(アクチミューン)、アルデスロイキン(インターロイキン2(IL2)、上皮胸腺細胞活性化因子;ETAF)(プロロイキン)、アルテプラーゼ(組織プラスミノーゲンアクチベータ;tPA)(アクティベース)、レテプラーゼ(tPAの欠失ムチン)(レタバース)、テネクテプラーゼ(TNKase)、ウロキナーゼ(アボキナーゼ)、第VIIa因子(NovoSeven)、ドロトレコギンアルファ(活性化プロテインC)(キシグリス)、サケカルシトニン(フォーチカル、ミアカルシン)、テリパラチド(ヒト副甲状腺ホルモン残基1−34)(フォルテオ)、オクトレオチド(サンドスタチン)、ジボテルミンアルファ(組換えヒト骨形成タンパク質2;rhBMP2)(インフューズ)、組換えヒト骨形成タンパク質7(rhBMP7)(骨形成タンパク質1)、酢酸ヒストレリン(ゴナドトルピン放出ホルモン;GnRH)(スプレリンLA、バンタス)、パリフェルミン(ケラチノサイト増殖因子;KGF)(ケピバンス)、ベカプレルミン(血小板由来増殖因子;PDGF)(レグラネックス)、トリプシン(グラヌレックス)、ネシリチド(ナトレコール)、A型ボツリヌス毒素(ボトックス)、ボツリヌス毒素型(ミオブロック)、コラゲナーゼ(サンチル)、ヒトデオキシリボヌクレアーゼI、ドルナー前記アルファ(パルモザイム)、ヒアルロニダーゼ(ウシ(アンファダーゼ、ハイデース)、ヒツジ(ビトレース))、ヒアルロニダーゼ(組換えヒト)(ハイレネックス)、パパイン(アキュザイム、パナフィル)、L−アスパラギナーゼ(ELSPAR)、ペグアスパラギナーゼ(オンカルパール)、ラスブリカーゼ(エリテック)、レピルジン(レフルダン)、ビバリルジン(アンジオマックス)、ストレプトキナーゼ(ストレプターゼ)、アニストレプラーゼ(アニソイル化プラスミノーゲンストレプトキナーゼ活性化因子複合体;APSAC)(エミナーゼ)、ベバシズマブ(アバスチン)、セツキシマブ(エルビタックス)、パニツムマブ(ベクチビックス)、アレムツズマブ(キャンパス)、リツキシマブ(リツキサン)、トラスツズマブ(ハーセプチン)、アバタセプト(オレンシア)、アナキンラ(アントリル、キネレット)、アダリムマブ(フミラ)、エタネルセプト(エンブレル)、インフリキシマブ(レミケード)、アレファセプト(アメビブ)、エファリズマブ(ラプティバ)、ナタリズマブ(タイサブリ)、エクリズマブ(ソリリス)、抗胸腺細胞グロブリン(ウサギ)(サイモグロブリン)、バシリキシマブ(シムレクト)、ダクリズマブ(ゼナパックス)、ムロモナブ−CD3(オルソクローン、OKT3)、オマリズマブ(ゾレア)、パリビズマブ(シナギス)、エンフュービルタイド(フゼオン)、アブシキシマブ(ReoPro)、ペグビソマント(ソマバート)、クロタリダエ(Crotalidae)多価免疫Fab(ヒツジ)(CroFab)、ジゴキシン免疫血清Fab(ヒツジ)(DigiFab)、ラニビズマブ(ルセンチス)、デニロイキン・ディフティトックス(オンタック)、イブリツモマブ・チウキセタン(ゼバリン)、ゲムツズマブ・オゾガマイシン(マイロターグ)、トシツモマブ(ベクサール)、
131I−トシツモマブ(ベクサールI−131)、B型肝炎表面抗原(エンゲリクス、リコンビバックスHB)、HPVワクチン(ガルダシル)、OspA(LYMErix)、抗アカゲザル(Rh)免疫グロブリンG(Rhophylac)、組換え精製タンパク質誘導体(DPPD)、グルカゴン(GlucaGen)、成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)(ゲレフ)、セクレチン(ChiRhoStim(ヒトペプチド)、SecreFlo(ブタペプチド))、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、甲状腺刺激ホルモン(チロゲン)、カプロマブペンデチド(ProstaScint)、インジウム−111−オクトレオチド(OctreoScan)、サチュモマブペンデチド(OncoScint)、アルシツモマブ(CEA−scan)、ノフェツモマブ(ベルルマ)、アプシタイド(アキュテクト)、ペンテト酸イムシロマブ(イムシロマブ(Imciromab))(ミオシント(Myoscint))、テクネチウムファノレソマブ(NeutroSpec)、酢酸セトロレリックス、オキシトシン拮抗剤(アトシバン、バルシバン)、ロミプロスチム(NPlate)、黄体形成ホルモン、ソマトスタチン受容体作動薬、ペプチジル−プロイルイソメラーゼ阻害剤(シクロスポリンA)、低分子量ヘパリン(ラブノックス、チンザパリン、ダルテパリン、デシルジン(イプリバスク)、フォンダパリナックス(登録商標)(アリクストラ)、イドラパリナックス(登録商標)、ビオチン化イドラパリナックス(登録商標)(SSR 126517)、AVE5026、SR123781、糖タンパク質Ilb/IIIa阻害剤(エプチフィバチド:インテグリリン、抗体アブシキシマブ、非ペプチドチロフィバン)、ヒトB型ナトリウム利尿ペプチド(ネシリチド:ナトレコール)、サケカルシトニン、アルギニンバソプレッシン受容体2作動薬(デスモプレシン)、HIV融合阻害剤(GP41結合作動薬:エンフュービルタイド)が挙げられる。
【0073】
必要に応じて、生物活性剤は、溶解しない無水親水性塩として送達リザーバー内に存在してもよい。この目的のために、本明細書中で使用するとき、「親水性塩」及び類似する用語は、限定されないが、イオン形態の生物活性剤、薬物、又は医薬品が含まれ、例えば、そのナトリウム、カリウム、アンモニウム、トリメタミン、又は他のカチオン塩、その硫酸塩又は他のアニオン塩、塩基性薬物の酸付加塩、及び酸性薬物の塩基付加塩を意味する。そのような塩類の具体例には、下記のものが含まれる:ジクロフェナクナトリウム、クロモリンナトリウム、アシクロビルナトリウム、アンピシリンナトリウム、ワルファリンナトリウム、ケトロラクトロメタミン、アミロライドHCl、エフェドリンHCl、ロキサピンHCl、チオチキセンHCl、トリフルオペリジンHCl、ナルトレキソンHCl、ナロキソンHCl、ナルブフィンHCl、ブスピロンHCl、ブプリプリオンHCl、フェニレフリンHCl、トラゾリンHCl、マレイン酸クロルフェニラミン、フェニルプロパノールアミンHCl、クロニジンHCl、デキストロメトルファンHBr、コハク酸メトプロロール、酒石酸メトプロロール、二酒石酸エピネフリン、フマル酸ケトトフィン、硫酸アトロピン、クエン酸フェンタニル、トラマドールHCl、硫酸アポモルフィン、プロプラノロールHCl、ピンドロールHCl、リドカインHCl、テトラサイクリンHCl、オキシテトラサイクリンHCl、テトラカインHCl、ジブカインHCl、硫酸テルブタリン、スコポラミンHBr、マレイン酸ブロムフェニラミン、及びヒドロモルフォンHCl。
【0074】
さらに別の局面では、生物活性剤は、低分子治療剤であってもよい。このような低分子治療剤の具体例には、アシトレチン(ソリアタン)、アミトリプチリン(エラビル)、アレンドロン酸ナトリウム、アリピプラゾール(エビリファイ)、ベタネコールHCl(ウレコリン)、ブロモクリプチン(パーロデル)、ブメタニド(ブメックス)、ブピバカイン(マーカイン)、ブプレノルフィン(ブプレネックス)、ブスピロン(BuSpar)、セチリジンHCl、シタロプラム(セレクサ)、クロラゼペート(トランゼン)、クロミプラミンHCl、シクロベンザプリン(フレキセリル)、ドネペジル(アラセプト)、ドキサゾシン(カルジュラ)、エナラプリル(バソテック)、エノキサパリン(ロベノックス)、エスシタロプラム(レクサプロ)、フェロジピン(プレンジル)、フェンタニル(スビリマゼ、デュラゲシク)、フルオキセチン(プロザック、サラフェム)、フォシニプリル、ガランタミンHBr(レミニール、ラザダインER)、グリピジド(グルコトール)、グラニセトロン(カイトリル)、ハロペリドール(ハルドール)、酒石酸水素ヒドロコドン、ヒドロコルチゾン酢酸エステル、ヒドロキシジンHCl、イスラジピン(DynaCirc)、ケトロラック(アキュラー、トラドール)、レフルノミド(アラバ)、レボチロキシン(レボキシル、レボチロイド、シンチロイド)、リシノプリル(プリニビル、ゼストリル)、ロラゼパム(アチバン)、ロキサピン(ロキシタン)、メロキシカム(モビック)、メマンティン(ナメンダ)、メチルフェニデート(リタリン、コンサータ)、メチマゾール(タパゾール)、メトクロプラミド(レグラン)、メトラゾン(ミクロクス、ザロキソリン)、ミルタザピン(レメロン)、モンテルカスト、ナルブフィン(ヌベイン)、ネオスチグミン(プロスチグミン)、ノルトリプチレンHCl、オランザピン(ジプレキサ)、オンダンセトロン(ゾフラン)、塩化オキシブチニン(ジトロパンXL)、オキシコドンHCl、オキシモルフォン(ヌモルファン)、パロノセトロン(アロキシ)、パリペリドン、パルミチン酸パリペリドン、パロキセチン(パキシル)、ペルゴリド(ペルマックス)、ペルフェナジン(トリアフロン)、Phenytoin Sodium、プラミペキソール(ミラペックス)、プロクロルペラジン(コンパジン)、プロシクリジン(ケマドリン)、プロメタジンHCl、プロプラノロールHCl、プロトリプチリン(ヴィヴァクチル)、ラミプリル、リスペリドン(リスパダール)、ロピニロール(Requip)、ロシグリタゾン(アバンジア)、セレギリン(エルデプリル)(R−(−)−デプレニル塩酸塩)、タムスロシン(フロマックス)、テマゼパム(レストリル)、チエチルペラジン(トレカン)、チアガビン(ガビトリル)、チモロール、トラマドール、トレプロスティニールナトリウム(レモデュリン)、トロピセトロン(ノババン)、ワファリンナトリウム、ATI5923、ゾルピデム酒石酸塩、及びDPP−4阻害剤(シタグリプチン(ジャヌビア)、ビルダグリプチン(ガルブス)、サクサグリプチン(BMS477118)、アログリプチン(SYR−322)、デナグリプチン(レドナ)、PHX1149、TA−6666、GRC8200/EMD675992、MP513、PSN9301、R1579、BI1356、PF−734200、ALS2−0426、TS−021、AMG221、ABT−279、SK−0403、KRP−104、SSR162369、ARI2243、S40010、PT−630、SYR−619、E3024、A−899301)が挙げられる。
【0075】
なお別の局面では、生物活性剤は、注射投薬のために従来知られている治療薬であってもよい。このような治療薬の具体例には、アデノシン、フルオロウラシル、アルプロスタジル、アミカシン硫酸塩、アミオダロン、アジスロマイシン、ブレオマイシン、カルボプラチン、セフトリアクソン、シプロフロキサシン、シスプラチン、ダカルバジン、ダウノルビシンHCl、メシル酸デフェロキサミン、酢酸デスモプレシン、リン酸デキサメタゾンナトリウム、ジピリダモール、ドキソルビシンHCl、エナラプリラト、エピルビシンHCl、フルコナゾール、リン酸フルダラビン、フルマゼニル、フォスフェニトインナトリウム、グラニセトロンHCl、デカン酸ハロペリドール、ハロペリドール、イダルビシンHCl、イホスファミド、イリノテカンHCl、L−システインHCl、ロイコボリンカルシウム、リュープロリド酢酸塩、酢酸メドロキシプロゲステロン、メスナ、メチルプレドニゾロン酢酸塩、メトクロプラミド、ミトキサントロン、酒石酸ノルエピネフリン、酢酸オクトレオチド、オンダンセトロン、ONXOL(登録商標)(パクリタキセル)、オキシトシン、パミドロン酸二ナトリウム、パンクロニウム臭化物、プロメタジンHCl、プロポフォール、スルファメトキサゾール及びトリメトプリム、硫酸テルブタリン、シピオン酸テストステロン、トブラマイシン、TOPOSAR(登録商標)(エトポシド)、ベクロニウム臭化物、VINCASAR PFS(登録商標)(ビンクリスチン硫酸塩)、酒石酸ビノレルビン、ZANOSAR(登録商標)(ストレプトゾトシン)、アブラキサン、アクトレル、アデンソカン(Adensocan)、アリムタ、アメビブ、アミカシン、アンゼメット、アリミデックス、アリクストラ、アロマシン、アバスチン、アボネックス、ベタセロン、BICNU、ボトックス、キャンパス、カンプトサール、カソデックス、CeeNu、セレザイム、セトロタイド、コパクソン、コペガス、シトキサン、デポテストステロン、ドブタミン、ドキシル、エリガード、エロキサチン、エルスパール、エンブレル、エルビタックス、エチヨル、ファブラザイム、ファスロデックス、フォリスチム、フゼオン、ガニレックス(アンタゴン)、ジェムザール、ゲノトロピン、ゲノトロピン・ミンクイック、グリベック、ゴナール−F、ハーセプチン、ヘキサレン、ヒューマトロペン、ヒュミラ、ハイカムチン、インフェルゲン、インフモルフ、イントロンA、キネレット、クバン、リオール・イントラ、ルーセンティス、ルプロン・ペジアトリック、マクゲン、マツラン、メノプール、マスタージェン、ミオブロック、Nabi−HB、ニューメガ、ニューポジェン、ネクサバール、ノルジトロピン、ヌトロピン、ヌトロピンAQ、オレンシア、オビドレル、ペガシス、ペグイントロン、パンタム、プログラフ、プロロイキン、プルモザイム、レベトール、レビフ、レクラスト、レフルダン、レミケード、レプロネックス、レブリミド、リバパック、リバビリン、リスパダールコンスタ、リツキサン、ロフェロン−A、サイゼン、サンドスタチンLAR、セロスチム、スプリセル、サプレリンLA、スーテント、シナギス、シントロイド、タルセバ、タシグナ、タモキシフェン、タキソテール、テモダール、テブトロピン、サリドマイド、チロゲン、トビ、チュバーソル、タイサブリ、タイカーブ、ベルケイド、ベサノイド、ビダザ、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビリアー、ビスタイド、ビタミンK、ビビトロール、ゼローダ、ゾメタ、アドベイト、アルファナイト、アルファニン、アラネスプ、ベブリン、ベネフィックス、エポジェン、フォルテオ、フラグミン、ヘリキサート、ヘモフィル、フメイト、ハイエイト、コイト、コージネイト、リューカイン、レベノックス、モノクレート、モノニン、ミオクリスチン、ニューラスタ、ニューメガ、ノバレル、ノボセブン、プロクリット、プロフィルニン、レプティバ、レベトロン、リコンビネート、レファクト、カベルジェクト、D.H.E.45、ゾフラン、BayRho D、プロトロピン、デラテストリル、プレナキシス、ヘモフィル−M、モナック−M、プロプレックスT、ヒアルガン、シュパルツ、シンヴィスク、エクセレンス、ゾラデックス、ペルゴナール、カリミュン、ガミミュンN、ガンマガード、ガンマール、イビガム、パングロブリン、ポリガム、及びベノグロブリンが挙げられる。
【0076】
浸透物組成物の生物活性剤部分は、全パッチ重量の約1重量%〜約99重量%を占めることができ、追加量の約5重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、約45重量%、約50重量%、約55重量%、約60重量%、約65重量%、約70重量%、及び約75重量%のパッチを含む。さらに生物活性剤は、これらの値に由来する任意の範囲の重量パーセンテージの量を占めることができ、例えば、約1〜約10重量%、約1〜約30重量%の範囲の量、又はさらには約1〜約60重量%の範囲の量が含まれる。
【0077】
一局面によれば、本発明は、エクセナチド及び少なくとも1つの増強剤を含むパッチである。透過性増強剤は、本明細書に開示された任意の透過性増強剤であってもよい。特定の態様では、透過性増強剤はpH調節剤である。具体例では、pH調節剤は、クエン酸2ナトリウム、コハク酸又はトリスから選択される。一態様では、パッチは高分子マトリックスを含み、ここで、高分子は、本発明の第1の局面に関して上述した任意の高分子であってもよい。別の態様では、パッチは、リザーバーマトリックスを含む。なお別の態様では、パッチは、溶解性調節剤をさらに含み、ここで、溶解性調節剤は、本発明の第1の局面に関して上述した任意の溶解性調節剤であってもよい。なお更なる態様では、エクセナチドは、投与期間中に対象に送達され、ここで、投与期間は、本発明の第1の局面に関して上述した任意の期間であってもよい。特定の態様では、エクセナチドは、約24時間、約3日、又は約7日から選択される投与期間、対象に送達される。
【0078】
一態様では、マトリックスに配置された浸透物組成物は、生体膜を通じて形成される少なくとも1つの経路が存在する生物学的環境のpHを選択的に調節するための手段、マトリックスによって受ける生体水分のpHを選択的に調節するための手段、又はそれらの組合せを含むことができる。上記したように、pHを調節する手段は、マトリックスに配置されたpH調節剤であり得る。pH調節剤は、マトリックスの表面が、対象の生体膜を通じて形成される少なくとも1つの経路と液体連通するように設置された場合に、対象から受ける生体水分に溶解するように適合することができる。pH調節剤は、少なくとも一部の接触された生体水分を非生理学的pHに調整し、例えば、生物活性剤であってもよい親水性浸透物の溶解性を維持するようにマトリックスに提供される。さらに、いくつかの局面によれば、pH調節剤はまた、少なくとも約12時間、少なくとも約18時間、少なくとも約24時間、少なくとも約3日、又はさらには少なくとも約7日の浸透物投与期間中の非生理学的pHで接触された生体水分を維持することができる。他の局面では、透過性増強剤は、約1、約3、約5、約7、約10、約15、約20、又は約30分程度で作用してもよく、それにより、pHに無関係な機構を介して数時間流動が増加する。他の態様では、マトリックスに充填されている生物活性剤は、単独で、最大12時間、18時間、24時間、少なくとも3日、及びさらには少なくとも7日、並びにそれらを超えた持続投与期間、生体膜に形成された経路の孔透過性を維持するのに十分である。しかしながら、これは、全ての場合において、又はすべての生物活性剤を用いていつも真であるとは限らない。現在、本発明の方法及びデバイスに従って、形成された経路が維持される生物学的環境のpHレベルは、形成された経路の透過性を増大又は拡張するための生理学的pHレベルから離れて調整可能であることが決定されつつある。理論に限定されることを意図しないで、生理学以外のレベルで生物学的環境のpH又は他の局面を維持することは生体膜の摂動に応答して誘発される処理を遅延し得ると考えられる。別の可能性は、キレート化がこれらのpH調節剤の有効性において役割を果たすことである。pH調節剤は全てpHを調節するこはできるが、pH調節自体は、透過性増大が起こる機構である必要はないということに気付かれたい。さらに、pH調節剤は、唯一のタイプの透過性増強剤であるが、全ての透過性増強剤が本発明の一部である考えるべきであることを理解されたい。
【0079】
生理学的pHは、慣用的には約7.4として知られている。したがって、本明細書で使用される非生理学的pHは、7.4以外の任意のpH値を指し、7.3以下のpH値、又は7.5以上のpH値が含まれる。そのため、pH調節剤の存在によって達成されるべきpHの所望レベルは、少なくとも部分的には、送達されるべき特定の生物活性剤に依存することを理解しなければならない。いくつかの局面では、pH調節剤は、酸性非生理学的pHを得るように選択可能である。例えば、酸性非生理学的pHは、2〜6の範囲であてもよく、約3、3.5、4、4.5、5、5.5のpH値、及びこれらの値から誘導されるpHレベルの任意の範囲が含まれる。あるいは、他の局面では、pH調節剤は、塩基性又はアルカリ性非生理学的pHレベルを得るように選択可能である。例えば、、塩基性非生理学的pHは、8〜10の範囲であってもよく、約8.5、9、又は9.5のpHレベルが含まれる。
【0080】
適切なpH調節剤の例示的かつ非制限的な例には、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメトリアン(TRIS)、TRICINE、4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸(BES)、2−(N−モルフォリノ)エタンスルホン酸(MES)、イミダゾール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール(AMPD)、アミノ酸、例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、及びグリシン;アミノ糖、例えば、グルコサミン及びガラクトサミン;ウロン酸及びアルドン酸、例えば、グルクロン酸及びグルコン酸;モノカルボン酸、例えば、グリコール酸又は乳酸、ジカルボン酸、例えば、酒石酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、コハク酸、及びそれらの一ナトリウム塩、又はトリカルボン酸、例えば、クエン酸及びそのモノ、ジ、及びトリナトリウム塩;緩衝特性を有する無機塩、例えば、モノナトリウムリン酸塩、モノカリウムリン酸塩、ジナトリウムリン酸塩、ジカリウムリン酸塩、トリナトリウムリン酸塩、重炭酸ナトリウム、及び炭酸ナトリウムが挙げられる。
【0081】
pH調節剤は、上述したpH調節の所望レベルを達成することができる任意の量で存在することができる。例えば、浸透物組成物のpH調節剤部分は、全パッチ重量の約1重量%〜約99重量%を占めてもよく、パッチの約5重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、約45重量%、約50重量%、約55重量%、約60重量%、約65重量%、約70重量%、及び約75重量%の追加量を含む。さらに、pH調節剤は、これらの値から誘導される重量パーセンテージの任意の範囲の量で占めてもよく、例えば、約1〜約10重量%、約1〜約30重量%、約30〜約60重量%の範囲の量、又はさらには約1〜約60重量%の範囲の量が含まれる。
【0082】
一態様によれば、本発明は、少なくとも1つの浸透物、コハク酸又はトリスから選択される少なくとも1つのpH調節剤を含むパッチである。浸透物は本明細書に記載される任意お浸透物であってもよい。具体例では、浸透物は、インスリン、ヒドロモルフォン、エクセナチド又はクエン酸フェンタニルから選択される。別の態様では、パッチは、高分子マトリックスを含み、ここで、高分子は、本発明の第1の局面に関して上述した任意の高分子であってもよい。なお更なる態様では、パッチは浸透物リザーバーを含む。なお更なる態様では、浸透物は、投与期間、対象に送達され、ここで、投与期間は、本発明の第1の局面に関して上述した任意の期間であってもよい。特定の態様では、浸透物は、約24時間、約3日間、又は7日間から選択される投与期間、対象に送達される。
【0083】
一態様では、浸透物組成物は付加物を含み、ここで、付加物は溶解性調節剤、充填剤、又はその両方を含むことができる。付加物は、マトリックスに含まれる生物活性剤がマトリックスから放出される速度を選択的に制御するための手段を含むことができる。マトリックスからの生物活性剤の放出速度を制御するための手段は、マトリックスによって受ける生体水分への生物活性剤の溶解を制御することができる溶解性調節剤であり得る。いくつかの局面では、例示的な溶解性調節剤は、特定の生物活性剤の等電点と比較して溶液のpHを選択的に制御する薬物を含むことができる。生物活性剤の等電点である又はその近傍にある溶液のpHを維持することを用いて、生体水分などの媒体への特定の生物活性剤の溶解性を最小限にすることができる。平衡の原理に従うと、溶解された生物活性剤の一部は生体膜を通じて形成された少なくとも1つの経路を介して対象に送達されるため、マトリックスに残存している生物活性剤の追加の溶解していない部分は受け入れた生体水分に溶解され得る。このようにして、生物活性剤の等電点と比較した溶液の所望のpHを最適化することによって、生物活性剤の溶解速度を選択的に制御することができる。このようにして、生物活性剤の一部が生体水分に溶解する速度を制御することによって、生物活性剤のボーラス又はバースト送達を妨げることができ、持続送達プロフィールを達成することができる。そのためには、本発明のいくつかの局面に従って、本明細書中で前述したpH調節剤もまた、生物活性剤の少なくとも1つの一部がマトリックスから受ける生体水分に溶解又は懸濁される速度を制御することによって、マトリックスに含まれる生物活性剤がマトリックスから放出される速度を選択的に制御するための手段として機能し得る。いくつかの態様では、パッチ塗布期間を通じて持続薬物送達を維持するためにパッチからの放出は、高分子又は高分子の組合せを用いて制御されなければならない。
【0084】
代替の態様では、溶解性調節剤は、溶液のイオン強度を選択的に制御するイオン強度調節剤であってもよい。当業者が承認するように、生体水分などの媒体への特定の生物活性剤の溶解性は、少なくとも部分的には媒体自体のイオン強度に依存し得る。そのためには、マトリックスによって受ける生体水分のイオン強度を増加させることによって、特定の生物活性剤の溶解性が減少して、生物活性剤のボーラス又はバースト送達を阻害することができる。平衡の原理に従うと、溶解された生物活性剤の一部が生体膜を通じて形成された少なくとも1つの経路を介して対象に送達されるので、マトリックスに残存している生物活性剤の追加の溶解していない部分が受け入れた生体水分に溶解し得る。このようにして、生物活性剤の一部が生体水分に溶解する速度を制御することによって、持続送達プロフィールを達成することができる。
【0085】
この定義によって薬物を制御するイオン強度は、アニオン及びカチオンを含むイオン性化合物の塩を含むことができ、その結果、生成物は電気的に中性である。カチオンを形成する塩には、限定されないが、以下のものが挙げられる:ナトリウム、カリウム、マグネシウム、鉄、カルシウム、アンモニウム又はピリジニウム。塩のアニオンには、限定されないが、以下のものが挙げられる:酢酸塩、炭酸塩、塩化物、クエン酸塩、硝酸塩、水酸化物、リン酸塩又は硫酸塩。アニオン及びカチオンの組合せから得られたイオン性塩は、限定されないが、クエン酸ナトリウム(一価、二価、又は三価塩)、リン酸カリウム、硫酸ナトリウム、リン酸アンモニウム又は硫酸アンモニウム、塩化ナトリウムなどが挙げられる。
【0086】
なお更なる局面では、溶解性調節剤は塩析剤であってもよい。本明細書中で使用するとき、塩析剤には、1M以上の塩濃度に対応する高いイオン強度の溶液を生じ得る任意の生体適合性材料、化合物、又は好ましくは多価(非常な水溶性)塩が含まれる。例えば、限定されないが、一局面では、塩析剤は、硫酸アンモニウム、ナトリウム若しくはカリウム、リン酸2ナトリウム若しくは2カリウム、リン酸2若しくは3ナトリウム、ジカルボン酸の2ナトリウム塩、例えば、コハク酸ナトリウムを含む。
【0087】
本態様に記載された塩析剤は、マトリックス内の生物活性剤の溶解速度を制御する。緩衝剤及び可塑剤などの薬物は活性剤の水溶性を持続又は遅延させることができる。いくつかの薬物は、水不溶性高分子マトリックスにおいて使用されるとき、その溶解性効果により、生物活性剤の溶解速度を制御することができるこが発見されている。活性剤の水溶性を遅延させる薬物は、溶解媒体への活性剤の溶解速度を下げる。
【0088】
ある種の水溶性高分子は溶解性調節剤として機能し得ることを理解しなければならない。
【0089】
任意の溶解性調節剤は、マトリックスによって受け入れた生体水分への生物活性剤の所望の溶解速度を達成することができる任意の量で存在可能である。例えば、存在する場合、浸透物組成物の溶解性調節剤部分は、全パッチ重量の約1重量%〜約99重量%を占めることができ、パッチの約5重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、約45重量%、約50重量%、約55重量%、約60重量%、約65重量%、約70重量%、及び約75%の追加量を含む。さらに、溶解性調節剤は、これらの値から誘導される任意の範囲の重量パーセンテージの量を占めることができ、約1〜約10重量%、約1〜約30重量%、約30〜約60重量%の範囲の量、又はさらには約1〜約60重量%の範囲の量を含む。
【0090】
上述したように、マトリックスによって受け入れた又はそれに吸収された生体水分への生物活性剤の溶解速度を制御することによって、生物活性剤のバースト又はボーラス送達は、これがそのように望まれる場合には妨げることができる。そのためには、本発明の局面によれば、持続送達プロフィールは、マトリックスが生体膜の形成された少なくとも1つの経路と液体連通した、特定の投与期間後のマトリックスに残存している生物活性剤の治療的量を確実にすることによって達成され得る。例えば、いくつかの局面によれば、マトリックスの表面が、少なくとも12時間;少なくとも18時間、少なくとも24時間、少なくとも36時間又はさらには7日の投与期間、少なくとも1つの形成された経路と液体連通するように配置された後、溶解していない治療量の生物活性剤はマトリックスん配置されたままとなり得る。上述したようにこの残りの治療量は、溶解性調節剤の存在に準じて生体成分に結果として溶解し得る。しかしながら、持続期間を超えてマトリックスに残存している治療量のために、ボーラス又はバースト送達が妨げられ、持続期間、生物活性剤の所望の流動を達成することができるようになる。
【0091】
本発明はまた、ボーラス送達プロフィールが望まれる場合、送達を改善するために使用され得ることを認識されたい。一態様では、エノキサパリンや他の低分子量ヘパリン化合物などの生物活性剤は、本明細書に記載された本発明の使用によってボーラスとしてより効果的に送達される。ここでは、投与時間は、約5、4、3、2、1分又は1分未満であってもよい。代替の態様では、投与時間は、5分を超えるか又はさらには12時間を超えてもよい。
【0092】
任意の溶解性調節剤に加えて、浸透物組成物はまた、1以上の充填剤を含むことができる。例示的な充填剤には、任意の1以上の賦形剤、吸湿剤、浸透圧性剤、抗治癒剤、抗凝固薬、抗炎症剤、抗菌剤、抗刺激剤、上皮再形成阻害剤、亜酸化窒素産生阻害剤、メラニン形成阻害剤、投与剤、皮膚軟化剤、可塑剤、保湿剤、キレート化剤などが含まれ得る。親水性浸透物それ自体はまた、上記される1以上の充填剤の機能性を示すことができる。1つの充填剤は、上記される1以上の充填剤の機能性を示すことができる。例えば、限定されないが、賦形剤は、抗炎症剤及び/又はさらには吸湿性剤として機能することができる。1以上の充填剤は、存在する場合、パッチの約1重量%〜約99重量%を占めることができ、パッチの約5重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、約45重量%、約50重量%、約55重量%、約60重量%、約65重量%の追加量、さらには、これらの値から誘導される任意の範囲の重量パーセンテージを含む。
【0093】
本明細書中で使用するとき、抗治癒剤には、例えば、抗凝固剤、抗炎症剤、細胞移動を阻害する薬剤、上皮再形成阻害剤、浸透圧性剤、及び塩析剤が挙げられる。適切な抗凝固剤は、例えば、ヘパリン、低分子量ヘパリン、合成ヘパリン、ペントサン多硫酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸塩、EDTA、及び分子量が2000〜10,000ダルトンのデキストランを含むことができる。適切な抗炎症剤は、例えば、リン酸ヒドロコルチゾンナトリウム、リン酸ベータメタゾンナトリウム、及びリン酸トリアムシノロンナトリウムを含むことができる。細胞移動を阻害する適切な薬剤は、例えば、ラミニン及び/又はその関連ペプチドを含むことができる。
【0094】
本明細書中で使用するとき、浸透圧性剤には、溶液中で約2000キロパスカルを超える浸透厚を生じ得る任意の生体適合性材料、化合物、若しくは組成物、又はそれらの混合物が含まれ得る。例えば、限定されないが、一局面では、浸透圧性剤は、生物学的に適合可能な塩、例えば、塩化ナトリウム、又はグルコースなどの中性塩、又は溶液中で所望の浸透圧を生じさせるには十分な高濃度を有するグリシンなどの両親媒性化合物が挙げられる。例えば、一局面では、浸透圧性剤は、溶液中で、約2000キロパスカルを超える浸透圧を生じさせ得る。別の局面では、浸透圧性剤は、約3000キロパスカルを超える浸透圧を生じさせ得る。
【0095】
このために、代替の態様では、生物活性剤はまた、上記された任意の1以上の充填剤の機能性を与えることができることを理解すべきである。例えば、限定されないが、生物活性剤はまた、上記される抗治癒効果を示すことができる。特に、一態様では、生物活性剤は、溶液又は懸濁液中で、約2000キロパスカルを超える浸透厚を生じさせることができ、その結果、対象の皮膚を通じて形成された少なくとも1つの経路の治癒プロセスを阻害することができる。
【0096】
本明細書中で使用するとき、吸湿性剤は、皮下流動体に親和性を有する生体適合性材料、化合物又は組成物を含むことが意図され、その結果、浸透物に存在する場合、送達リザーバーに対象からの皮下流動体の引き込みを増大させ得る。例えば、限定されないが、一局面では、本発明に従って使用可能な適した吸湿性剤はマンニトールである。吸湿性充填材料の添加はまた、処理された皮膚から発散し、流動体をリザーバーにもたらし、生物活性剤と接触するように手助けする流動体への誘因物質として役立ち、その間、より多くの生物活性剤が接近し得るリザーバーの本体にリザーバーの皮膚表面側からより多くの分散チャネルを造るように働いている。このような充填材料は、一度可溶化及び/又は懸濁されると、対象に送達される生物活性剤の任意の阻害を最小限にするように選択されるべきである。
【0097】
一局面では、充填剤は、グリセリン、プロピレングリコール(PG)、又はそれらの組合せを含んでもよい。充填剤の少なくとも一部として組み込まれる場合、グリセリン及び/又はプロピレングリコールは、保湿剤、吸湿剤、皮膚軟化剤、可塑剤、抗菌剤、皮膚透過性増強剤、及び/又は抗刺激剤として機能し得る。なおさらに、グリセリン及びプロピレングリコールはまた、本明細書に記載されたマトリックスからの生物活性剤の放出速度の増加、及び生物活性剤の利用性の増加に使用するのに効果的であり得る。使用される場合、グリセリン及び/又はプロピレングリコールは、典型的には、パッチの0.0重量%超〜約5.0重量%の範囲の量で存在し、約0.5重量%、約1.0重量%、約1.5重量%、約2.0重量%、約2.5重量%、約3.0重量%、約3.5重量%、約4.0重量%、約4.5重量%の量、及び前述の重量パーセンテージから誘導される任意の範囲が含まれる。
【0098】
別の局面では、充填剤は、それが接触する流動体のpHを酸性に維持するように選択され得る。これは、様々な微生物、例えば、限定されないが、細菌、酵母、及びかびに対する固有の抗菌活性を付与することができる。さらに、1以上の抗菌剤はまた、フィルムの抗菌活性をさらに高めるために高分子フィルム形成に添加されてもよい。
【0099】
一態様では、本発明に係るポレーター及びパッチを含む例示的なパッチ又はシステムは、対象の皮膚層を通じて形成された少なくとも1つの経路を介して対象に浸透物の経皮流動を引き起こすための方法を提供する。一局面では、この方法は、皮膚層などの生体膜を通じて形成された少なくとも1つの経路を含む経皮浸透物投与部位を有する対象を提供することを含む。上述されるように、対象は、そこで形成される少なくとも1つの経路を通じて送達又は投与される生物活性剤を有することができる少なくとも1つの生体膜を有する任意の生物であってもよい。例示的な対象は、哺乳動物、例えば、ヒト対象であってもよい。代替の局面では、対象は非哺乳動物であってもよい。さらに別の局面では、本発明の方法及びシステムは、植物に使用されてもよい。
【0100】
溶解しない浸透物組成物を含む無水リザーバー設計を利用することは、製造物の棚安定性を改善し、多くの場合において冷凍の必要性を減少させ得るということが、本発明の実施により承認される。例えば、タンパク質、ペプチド、又はワクチン抗原の場合において、冷凍なしに製造物を保存する能力は有利であり、流通ネットワークを通じて冷凍の必要性を排除する。ワクチンパッチの場合には、これは、信頼できる低温流通体系の要求なしに、世界中にワクチンを流通することができるという性格を有する。無水製剤の使用は、なおも他の利益を提供することができ、例えば、水を含まない製剤によって示される固有の抗菌活性、物理的に小さなリザーバーを提供できるという能力が挙げられ、これは、安定な浸透物溶液を維持するために必要とされる必要な濃度はないためである。本発明はまた、アジュバント(例えば、通常、非浸透物分子並びにペプチド)は免疫応答を都合よく引き上げるという手段として同じパッチ中の抗原とともに同時送達されるという大量を提供することをに気付かれたい。
【0101】
図1に図示されるように、本発明の一態様に係るデバイスは、上部面22と対向した底面24を有するマトリックス20を含む。上述される浸透物組成物がマトリックス内にさらに配置される。一態様では、浸透物組成物は、親水性浸透物と、pH調節剤などの透過性増強剤を含み、マトリックスの底面が対象の生体膜を通じて形成された少なくとも1つの経路と液体連通するように配置された場合、液体水分と接触するようになる。有効量の生体水分がマトリックスと接触するようになると、その後、水分は、親水性浸透物の少なくとも一部、及び任意に透過性増強剤の少なくとも一部を対象に生体膜を通じて逆に送達するための分散経路を提供する。例えば、一局面では、限定されないが、浸透物組成物は皮下流動体に親和性を有し、その結果、少なくとも一部の浸透物組成物は、マトリックスの底面が対象の皮膚層を通じて形成された少なくとも1つの経路と液体連通するように配置された場合、対象から有効量の皮下流動体を引き出すことができる。一局面では、マトリックス内に配置された溶解していない親水性浸透物は、対象から引かれた皮下流動体と最初に接触するまで、経皮的に活性でなく、経皮送達のために利用できないということは、本発明の実施により承認される。さらに、非常な水溶性薬物形態を用いた従来のインプラント可能であるか又は経口送達システムは、典型的には、得られるPKプロフィールに見られるバースト効果を経験する。しかしながら、皮膚表面上に親水性浸透物のマトリックスを維持し、マトリックス、親水性浸透物、及び特定の放出速度を確実にするpH調節剤のような透過性増強剤を提供することによって、このバースト効果は、本発明の浸透物組成物によって排除可能である。
【0102】
例示的な局面では、マトリックスは、相互接続された複数の電線を特定する多孔性を有するように構築され、整列され得る。この場合、複数の電線の少なくとも一部は、マトリックス底面と連通している。この局面によれば、溶解していない親水性浸透物、場合により、pH調節剤のような透過性増強剤は、マトリックスの複数の電線の少なくとも一部内に配置されてもよい。この例示的なマトリックスは、それにより、マトリックスに配置された少なくとも一部の浸透物、場合により、pH調節剤のような透過性増強剤を溶解又は懸濁させるために、生体膜を通じて形成された少なくとも1つの経路を介して引かれた生体水分を使用するように適合され、それによって、生体膜を通じて、対象への溶解した薬物の分散又は輸送を可能にする。
【0103】
輸送の種々の機構は、マトリックスから皮膚組織への浸透物組成物の分散及び運動に影響を及ぼす可能性がある。一態様では、マトリックスに配置された浸透物は、微粒子形態を置き去りにし、典型的には、周辺組織に溶液又は懸濁液に向かうことによる放出により、生物に利用可能となる。溶液又は懸濁状態になると、分散は、処置された外層を介して、皮膚の生きた層に又はそこを通じて、さらに対象に微粒子形態を浸透物のための輸送機構を提供し得る。このプロセスは長期に継続するので、パッチから離れ、マトリックスの本体に貫通しているチャネルから皮膚に移動する浸透物によって形成された空隙は、マトリックスの表面に最初に存在していたものよりも多くの浸透物にさらに接近するようになる。したがって、対象の皮膚層を通じて形成された少なくとも1つの経路と連通しているマトリックスを設置することによって、皮下流動物は、浸透物を溶解又は懸濁するのに有効量又はレベルのマトリックスへの水和を提供することができる。そのようなものとして、溶液又は懸濁液中の相対的に高濃度の浸透物は、皮膚の生きた組織層に連通するようにもなる。また、pH調節剤のような透過性増強剤は、この出願全体で記載されるこのプロセス及び全てのプロセスの任意の1つの、複数の、又は全ての工程において浸透物を伴うことができる。
【0104】
本発明に係るパッチを形成することによって、経皮浸透物送達のために知られている従来の経皮送達デバイス、システム及び方法によってはこれまで実現しなかった、相対的に高いレベルの浸透物の利用を達成することができることをは承認される。従来の経皮生産物は、稀に、パッチ内に存在する生物活性剤の約30〜40%よりも多く利用する。従来の残差分析を用いて、本発明の送達マトリックスは、一態様では、約10%〜約100%の範囲で浸透物利用を提供し、例えば、このような浸透物利用は約15%、約20%、約30%、約35%、約40%、約45%、約%50、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%及び約95%であり、これらの値から誘導される浸透物利用の任意の範囲を含む。
【0105】
さらにまた、本発明の実施により、本発明に係る送達マトリックスは、マトリックス内に配置された溶解しない浸透物を持続的に溶解又は懸濁させることによって、相対的に一定であり、相対的に高い化学ポテンシャル駆動力を維持することができ、このようにして、懸濁又は溶解された浸透物は、持続投与期間、飽和レベルで又はそのレベル近傍で維持するために少なくとも1つの形成された経路と連通することができる。浸透物担体としてのマトリックスを用いることによって、不活性ではあるが有効な孔質マトリックスを用いて、処理された皮膚部位の領域全体で形成された複数の経路の間に、空間を効果的に「充填」することができ、必要とされる流動体の体積を最小に維持する。対照的に、従来の方法及びデバイスは、浸透物が溶解しない無水固体形態で存在する場合、浸透物が皮膚に進入するための同じ浸透駆動力を生じさせるために、飽和点状態を造るように、浸透物の相対的に大きな量を必要とする。伝統的な純粋な液体又はゲル化された水性製剤を用いると、微小孔を介した生体によって示されたもの以外の任意の水を用いずに、生物活性剤が固体形態で存在する場合、このような大量の生物活性剤は、処理される皮膚部位を覆い、生物活性剤が皮膚に進入するための同じ飽和レベルの駆動力を生じるようになる。一局面では、このシステムの機能性は、皮膚の最外層を変更することによって提供される皮膚における水性チャネルによって可能とされ、その結果、それらは、皮膚流体物が対象から抜け出して、生物活性剤を溶解又は懸濁させるのに十分な程度まで着用期間中に浸透し、溶解又は懸濁した生物活性剤がこれらの同じ水性チャネルを介して生体に移動するようになる。
【0106】
本発明の送達マトリックスは、マトリックスに配置された少なくとも1つの溶解しない親水性浸透物を有する固体マトリックスを提供する任意の従来知られている手段によって製造することができる。例えば、送達デバイスが高分子マトリックスを含む場合の態様では、高分子及び親水性浸透物の組成物は、さらに任意の透過性増強剤(pH調節剤など)、溶解性調節剤、及び/又は任意の充填剤を含み、加熱混練混合機を用いて一緒に乾燥混合され得る。浸透物は複数の成分を含む場合、複数の浸透物組成物が、必要に応じて、浸透物が高分子マトリックス材料と混合される前に、均一な浸透物組成物を確実にするよう予め混合され得る。このような浸透物の事前混和は、必要に応じて、例えば、従来の回転式混合機で行うことができる。
【0107】
混合システムの温度設定は、特定の高分子材料を軟化可能にするには十分に高いものでなければならず、その結果、混練することができるが、特定の浸透物成分の融解を誘導するには高すぎる。このような条件は、当然に、特定の高分子マトリックスと、それに配置されるべき浸透物の特性に依存する。したがって、当業者は、過度の実験を必要とせずに、このような操作パラメータを容易に得ることができる。次に、得られた熱混練混合物は、切断され、又は他には、円形、楕円形、長方形、正方形、又は任意の他の所望の形態などの任意の所望の形態に設定されたフィルムシートを含む送達デバイスの個々の剤形に加工され得る。
【0108】
また、浸透物デバイスは、任意の所望の厚さに製造され得て、例えば、厚さは、約0.01mm〜約30mmの範囲であり、例えば、約15.0、約20.0、及び25.0、又はさらにはこれらの値から誘導される厚さの任意の範囲の厚さが含まれる。例えば、その厚さは、約0.01mm〜約10.0mm、又はさらには約0.5mm〜約1.0mmの範囲であってもよい。この目的で、所望の厚さは、例えば、特定のマトリックス成分、及び/又は所定の浸透物組成物送達デバイスのための所望の送達パラメータに依存し得ることは、本発明により承認される。例えば、一局面では、より長期の投与期間を提供するために、より厚い送達フィルムを提供することが望まれてもよい。したがって、特定の送達デバイス寸法のこのようなカスタム化及び最適化は、たかが全くの日常的な実験を通じて、当業者によって容易に得られる。
【0109】
一態様では、この加工は、多量の熱混練混合物を実質的に均一な厚さに融解圧縮し、次に、送達デバイスの最終形状を形成するための従来の鋳型切断法を用いることによって達成されてもよい。あるいは、混合物の圧縮は、実質的に均一な幅と厚さのリボンを形成する鋳型を通じて加熱混合物の押し出しによって達成可能であり、デバイスは、例えば、長方形剤形を形成する所望の長さにリボンを削るか、又はリボンの外から最終剤形を鋳型切断することによって切断され得る。一態様では、押し出されたリボンに鋳型切断方法を用いて、加工機械は、さらに、鋳型切断後に左リボンの過剰な「端」をリサイクルするように構成され得て、混合/押出機のインプット供給に戻し、このようにして、生の成分を混合し、デバイスの最終剤形を形成するためのゼロに近い喪失プロセスを達成する。
【0110】
あるいは、低温粉砕された高分子粉末あ、浸透物及び高分子の実質的に均一及び均質な分布が達成されるまで、浸透物及び任意の他の成分と混合されてもよい。次に、得られた混合物は、最終の所望の送達形状に加熱若しくは冷却圧縮成形され、又は融解押し出しされ得る。
【0111】
なお別の局面では、慣用的な溶媒キャスティングプロセスを使用することができ、ここで、マトリックス材料は、例えば、塩化メチレン、メチル−t−ブチルエーテル、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、エタノール、アセトン又はそれらの2成分/3成分混合物などの有機溶媒に溶解される。次に、溶解していない浸透物及び任意の他の成分は、溶解した高分子マトリックス材に添加することができ、その後、得られた懸濁液は、所望の大きさ及び形状を有する形態に注がれ得る。次に、塩化メチレンなどの溶媒が蒸発され、又は他には除去され、浸透物送達デバイスを提供することができる。
【0112】
当業者は、生物活性剤(単数又は複数)、透過性増強剤(単数又は複数)(pH調節剤など)、溶解性調節剤(単数又は複数)、充填剤成分(単数又は複数)及びマトリックス材の相対量の全ては、対象への浸透物の所望の流動速度、及び所望の期間又は効果的な投与期間を提供するように調整され得ることを承認する。例えば、浸透物は、生物活性剤の所定の経皮投薬量を提供し得る、所定量の生物活性剤と比較した量で投薬物などの充填成分を含むことができる。あるいは、浸透物組成物自体は、経皮浸透物分散の所定速度を提供することができる、書定量の固体マトリックスと比較した量及び組成で存在し得る。
【0113】
一局面では、無水リザーバーに配置された溶解していにあ浸透物の濃度は、皮膚の微小孔から得られる皮下流動体などの水分供給源に晒されると、その水分が、溶解していない浸透物を溶解又は懸濁するという所望の統計的確立を与えるように設計され、その結果、水性チャネルがマトリックス内及びそこを通じて生じ、微小孔を通じて対象に送達されるのに必要とされる必要量の浸透物が溶解され又は懸濁され、これらのチャネルを通じて、微小孔を介して、対象皮膚に分散するまで、マトリックス全体で次第に形成される。適切な比率を選択することによって、マトリックスに含まれる実質的に全ての浸透物が、マトリックスにさらに次第に移動するので、溶液面によって形成されるこれらの水性チャネルを介して接近することを確実にするマトリックスが構築され得る。
【0114】
さらに、任意の溶解性調節剤及び/又は充填剤は、生物活性剤の放出速度を制御し、皮膚組織内の生物活性剤の溶解性を改変し、限定されないが、免疫応答を高め、炎症応答、浮腫又は紅斑を阻害し、組織の特定のpH範囲を維持することなどの、影響を受けた組織内の選択された生理学的減少を阻害し又は高めるために、デバイス内に含めることができる。この目的のために、皮膚組織が生物活性剤を吸収し得る最も遅い速度よりも制限される放出速度を提供するように送達デバイスを構築することによって、このシステムは、典型的に生物活性剤送達速度に影響を及ぼす間接的又は内部の対象変動性に関わらずに極めて反復可能であるように作製され得る。
【0115】
一態様では、マトリックスからの薬物の脱出は、種々の高分子種の添加を介して制御可能である。これらの高分子は、マトリックスの多孔率に影響を及ぼしてもよく、それによる浸透物又は透過性増強剤(単数又は複数)に対する間質液の使用可能性を制限し、このようにして浸透物及び/又は透過性増強剤(単数又は複数)送達の制御を提供する。これらの高分子はまた、特に、水溶性変種の場合、浸透物及び/又は透過性増強剤(単数又は複数)に間質液の利用可能性を制限し、それにより、フィルムからのそれらの排出を制御することができる場合がある。例えば、浸透物及び/又は透過性増強剤(単数又は複数)の溶解に必要とされる間質液は、部分的には、水溶性高分子の溶解によって消費され得て、他の水溶性種の送達に効果的に影響を及ぼす。あるいは、水溶性高分子の溶解は、送達又は溶解を制御するための手段としても作用し得るフィルム環境の粘性の増大をもたらす可能性がある。あるいは、高分子の溶解性は、浸透物及び/又は透過性増強剤(単数又は複数)の有効濃度が、溶解された高分子の吸収における場合よりも低く、それにより送達速度を低下させるフィルム環境をもたらす場合がある。
【0116】
また、本発明のデバイスは、単一のデバイスパッチを含む局面に限定されないが、さらに複数の送達パッチを含む態様であることも理解されなければならない。例えば、
図3に配置されるように、一局面では、本発明のデバイスは、積み重ねられた整列で配置された送達マトリックス又はリザーバーを含むことができる。説明されるように、送達マトリックス又はリザーバー20は、例えば、限定されないが、積み重ねられた整列で配置された3つの浸透物送達マトリックス(又はリザーバー)、20(a)、20(b)及び20(c)を含むことができる。
【0117】
あるいは、本発明に係るデバイスは、隣接するか又は並んだ関係で配置された複数のマトリックスを含むことができる。なお別の局面では、本発明に係るデバイスは、複数の積み重ねられたマトリックスと複数の隣接した送達マトリックスの組み合わせを含むことができる。各層が溶解面によって連続して接近している、多層になった複数の送達マトリックスを提供することによって、所定の放出速度が所定の浸透物投与期間にわたって変化され得る。このようにして、当業者は対象における浸透物の得られたPKプロフィールを調製することができる。例えば、一局面では、複数の送達マトリックスを提供することができ、この場合、少なくとも2つのマトリックスは異なる次元の特徴を含む。別の局面では、少なくとも2つのマトリックスが提供され、各々はそこに配置された異なる浸透物組成物を有する。なお別の局面では、複数の送達マトリックスを提供することができ、この場合、複数のマトリックスの各々は、異なる浸透物組成物を含むことができる。
【0118】
なお別の局面では、複数の浸透物送達マトリックスは、拍動性生物活性剤デバイスの所定パターンを提供するように配置することができる。これは、完全な受動核酸システムを用いて行うことができ、この場合、送達マトリックスは、複数のマトリックス層とともに構築され、そのいくつかは浸透物を含み、そのいくつかはそうでない。したがって、マトリックスを通じて溶液面が移動するので、生物活性剤は、それらの期間中にのみ送達される。この場合、それを含む層は溶液面の端である。これらの複数の層における生物活性剤含量をカスタム化することにより、流入を最適なもにするように調整可能な経皮送達システムが提供される。例えば、インスリン送達システムは、対象の糖代謝の自然な概日周期を与えるように構築することができ、したがって、より良好な治療を提供するためにプログラムされた様式で、投薬期間中に送達される生物活性剤の量を変更する。
【0119】
浸透物放出速度制御を提供するための追加の方法は、限定されないが、マトリックスの物理的設計を変更すること、溶解面がマトリックスに移動させるように形成された拡散経路のねじれを変更すること、無水高分子若しくは他のマトリックス材の変更、又はマトリックス内の測定の膜若しくは層などの特定の速度制限機構の付加によることが含まれる。一態様では、高分子マトリックスは、皮膚接触面上の特定の特性を用いて形成することができ、この特性は、皮膚接触面の表面積を増加させるように設計される。マトリックスと皮膚との間の表面積を増加させることによって、パッチと微小孔の間の流体界面への生物活性剤の放出の初速度が大きくなり、生物活性剤のより高い初期流動をもたらす。加工された表面近くのマトリックス内の生物活性剤が枯渇し、高分子マトリックスに進入する水性多孔率がマトリックスにさらに拡張するので、生物活性剤の流動は、増加した表面積の効果が小さくなるので減速し、さらに溶解面はマトリックスの本体に移動する。例示的な表面積の増大因子は、限定されないが、波形、貫通、一連のマトリックスに進入しているホールを含むことができ、部分的若しくは全てが貫通するように、又は部分的及び完全なホールの組み合わせであり、その部分の全ては1つの深さであるか分類された深さである。本質的に、微小孔を介して示された溶解している流動体に晒された表面積を変更するマトリックスの任意の物理的形成は、着用期間中の様々な時間点で流動を調整するために使用することができた。この様式でマトリックスを形成するために有用なプロセスのいくつかには、限定されないが、押し出し、スタンピング、キャスティング、パンチング、鋳型切断、ローリング、融解、レーザー加工、粉砕、エッチング若しくはホビングプロセス、又は任意のそれらの組み合わせが挙げられる。層におけるこれらのマトリックスのテクスチャリング及びパンクチュアリングは、同様に他の層の間にはさまれた内部層に適用され得るが、単に皮膚の表面に設置された層に限らない。
図2に関して、改良された底面積を含む例示的な送達マトリックスを示す。図に示すように、送達マトリックス20(d)は、テクスチャード加工された底面22を含むことができ、このテクスチャード加工された表面は、一連の線形パフォーレイション28を含む。
【0120】
本明細書に記載されたデバイスは、持続投与期間に浸透物を経皮送達するために使用され得ることは、本発明の実施により承認される。そのために、本明細書に記載された送達マトリックスは、約5分から最大約400時間以上の範囲の所定の投与期間に対象に浸透物を経皮送達するために使用可能であり、約1、5、10、12、15、18、20、24、30、36、45、50分、及び約1、5、9、10、12、15、18、20、24、30、36、45、50、100、150、200、250、300、350時間の投与期間を含む。あるいは、本発明のデバイスは、約5分〜約1時間、約1時間〜6時間、約6〜約12時間、約12〜約30時間、約30〜約50時間、約50時間〜約80時間、約80時間〜約120時間、及びさらには約120〜約180時間の所定の投与期間に所定量の浸透物を経皮送達するために用いることができる。他の態様では、本発明のデバイスは、約1日、約3日、又は約7日の所定の投与期間に所定量の浸透物を経皮送達するために使用することができる。
【0121】
この目的のために、理論によって限定されることを意図していないが、いくつかの局面では、本発明のデバイスによって達成される相対的に長い投与器官は、持続された期間の飽和点近くで溶解又は懸濁された浸透物を維持することに起因した高浸透圧拡散勾配の結果であり得る。これらの相対的に高浸透圧勾配は、それ自体で、持続投与期間を達成する能力をさらに高める対象の皮膚層における開口を介して形成された経路に対する抗治癒作用を提供することができる。このようにして、本発明の送達デバイスは、実質的に任意の所望の投与期間で所定レベルの浸透物を送達するように構築され、配置され得る。
【0122】
本発明の一局面に係る典型的なデバイスを
図4に示す。示されるように、例示的なデバイスは、本明細書において前述した送達マトリックス又はリザーバー20を含む経皮パッチアセンブリを提供する。送達マトリックスは、上面及び対向する底面を有するように構築及び配置される。内部に接面を有する裏打ち支持層30は、送達マトリックスの上面に少なくとも部分的に接続されている。一局面では、対象の皮膚に送達マトリックスを放出可能なように添付するために、この裏打ち支持層は、送達マトリックスを超えて周囲に広がるように大きさ及び形状を整えることができる。さらに、周囲に広がっている裏打ち支持層の内部接面の少なくとも一部は、さらにそれに配置された接着層50を含むことができる。当業者が承認するように、マトリックスの周囲を超えて広がっている裏打ち層の少なくとも一部に配置された接着層は、周囲接着付着システムを提供することができる。
【0123】
あるいは、また、送達マトリックスは、対象の皮膚に直接的に放出可能に接着するのに十分に粘着性である皮膚接触表面を有するように設計される得ることが意図される。これは、パッチのサイズ全体を最小にし、パッチ着用期間(例えば、1、2、3、又は7日間)にパッチを皮膚に接着あせるのに十分な接着を維持する周囲接着への依存を低減することができる。このようなマトリックスは、例えば、高分子、親水性浸透物、及び/又は透過性増強剤のパーセンテージ、並びに製造プロセスパラメータを最適化することによって得ることができることは、本明細書に開示された本発明の実施により承認される。このような最適化は、過度の実験を必要とせずに、当業者に決定され得る。
【0124】
裏打ち支持層30は、一局面では、少なくとも実質的に閉塞的であってもよい。あるいは、裏打ち支持層あ、少なくとも部分的には半透過性であり得る。この目的のため、いくつかの場合では、半透過性の裏打ち、例えば、3M Tegaderm(登録商標)製造品は、典型的には、より長期の着用期間により高いユーザー耐性を有する蒸気透過性裏打ちとして付加されたユーザー快適さを提供することができる。さらに、皮膚への薬物の放出速度は、特定の平均透湿速度(MVTR)を有する半透過性裏打ち支持層を設計することによって、フィルムを介して水分輸送の速度を制御することにより制御可能である。他の場合には、より完全な閉塞性裏打ちは、パッチアセンブリ下に形成された少なくとも1つの経路から接近される皮下流動体から、並びに形成された経路の周辺及びそれらの間の無傷の皮膚を介した経上皮水分喪失からのマトリックスの最大水和を確実にするために好ましい場合がある。あるいは、裏打ちは、フィルムの水和、したがって皮下流動体との接触を促進するのに全体として閉塞性とすることができ、一方、周囲接着は、良好な接着、及び/又は低刺激などの良好な着用特徴を可能にする半透過性とすることができる。
【0125】
パッチアセンブリは、さらに、デバイスが使用されるようになるまで、環境要素からの送達マトリックスの底面の少なくとも一部を保護するように大きさと形状が整えられた透過性保護放出層40を含むことができる。一局面では、保護放出層は、そこに配置された接着層を有する周囲に広がった裏打ち支持層の少なくとも一部に除去できるように固定されてもよい。承認されるように、この局面に係る放出層の配置は、送達マトリックスの底面に保護を与えるだけでなく、さらに、裏打ち支持層の周囲に広がった部分に配置された接着層に保護層を付加することができる。次に、送達マトリックス、裏打ち支持層、接着層、及び保護放出層を含むパッチアセンブリは、個々の小袋に配置され、密封する(sealed shut)ことができる。
【0126】
一態様では、本発明に係る典型的な送達マトリックスは、対象の皮膚層を通じて形成された少なくとも1つの経路を介して対象への浸透物の経皮流動を引き起こすための方法を提供する。一局面では、この方法は、皮膚層を通じて形成された少なくとも1つの経路を含む経皮浸透物投与部位を有する対象を提供することを含む。本明細書中で使用するとき、対象は、経皮浸透物投与を可能にする少なくとも1つの皮膚層を有する任意の生物であり得る。この目的のため、対象は、哺乳動物、例えば、ヒト対象であってもよい。代替の局面では、対象は非哺乳動物であってもよい。なお別の局面では、本発明の方法及びシステムは、植物に使用されてもよい。
【0127】
経皮浸透物投与部位は、対象の皮膚層を通じて形成された少なくとも1つの経路で構成されている。経路は、対象の皮膚層を通じた経路を提供する任意の現在知られている手段によって形成することができる。その目的のため、皮膚処置は、皮膚における1以上の小さな人工的な開口、又は微小孔を形成するための何らかの方法であってもよく、直径にして1〜1000ミクロンの範囲の大きさであり、例えば、約1〜約500、約100〜約1000、約200〜約600、約400〜約800ミクロンの直径が挙げられ、深さにして1〜500ミクロンであり、例えば、約1〜約100、約50〜約100、約70〜約90、約20〜約80、約100〜約400、約200〜約300、約250〜約500が挙げられ、これらは生物活性剤又はマトリックスと、生物の皮膚の最外層、典型的にはヒトの角質層の下にある皮膚の生細胞との間で液体連通を可能にする。これらの微小孔は、皮膚の表面に微小孔を通じて、皮下流動物が排除されることを可能にする。
【0128】
例示的な局面では、限定することを意味しないが、対象の皮膚における微小孔又は経路は、熱ポレーションデバイスを適用すること、マイクロ針、ランセット若しくはブレード、レーザー切断、高周波若しくは電気的アブレーションを用いて機械的に皮膚に穴を貫通させること、電気的パンクチュアリング若しくはアブレーション、及び/又は水圧ジェットによって形成することができる。機械的方法によって経路を作製することには、皮膚に穴を貫通させるか、又は角質層を通じて行路若しくは経路をこするための固体マイクロ針又は「ピラミッド」などの突起の使用が挙げられる。皮膚処置はまた、限定されないが、皮膚の透過性を増加させるための皮膚の音響エネルギー若しくは超音波処理の適用、エレクトロポレーション、テープストリッピング、研磨ストリッピング若しくは研磨処理、ガスジェット研磨処理、PowderJect Pharmaceutical PLCに記載されるものなどの装置を介した高速度不活性粒子の皮膚への適用によるマイクロパンクチュアリング、化学的処理、熱処理、又は皮膚を適切に透過性をもたせるための機械的処理が含まれてもよい。所望の微小孔を形成するための例示的なシステム、デバイス、及び方法は、米国特許第5,885,211号、第6,527,716号、第6,597,794号、第6,611,707号、第6,692,456号、第6,708,060号、及び第6,711,435号、並びに米国特許出願第2004−0220456号、第2004−0039342号、及び第2004−0039343号において検討され、これらの全ての文献は、参照により全体として本明細書に援用される。
【0129】
保護放出層の除去後、パッチアセンブリは、本明細書に記載されるように、対象の皮膚層を通じて形成された少なくとも1つの経路を有する浸透物投与部位全体で送達マトリックスの底面を少なくとも実質的に同一場所に配置する様式で対象の皮膚に配置することができ、その結果、溶解していない親水性浸透物を含む浸透物送達マトリックスは、対象の皮膚層を通じて形成された少なくとも1つの経路と液体連通する。マイクロポレートされた皮膚部位にパッチの活性部位を同一場所に配置することを単純化するための種々の方法は、組み込まれたシステム設計、例えば、視覚マークが参照点として使用される場合、正しい位置にユーザーがパッチを設置することができるようにするマイクロポレーション法の適用語に放置される視覚マークのシステムに取り込まれ得る。これらのマークは、例えば、限定されないが、色素若しくはインクなどのマーカーを用いて形成されるか、又はさらには単純に、皮膚に一時的なパターンを放置する機械的テクスチャによって形成されてもよい;ポレーションが達成され、ポレーションシステムが皮膚部位から除去される場合、小さな「ヒンジ」要素がパッチを適用した後に放置される様式でポレーションシステムに一時的に接着する重なりあった同一場所での配置であって、その結果、パッチは重なりあい、ヒンジは180度曲がり、必要とされる同一場所での配置が確保される;周囲インジケーターの位置決めリングは、パッチの適切な配置に必要とされるガイドを与えるポレーターシステムの除去後に皮膚に放置される;連続して、ポレーションシステムを適用し、それを取り出し、次に、完全に透明であり、任意にさらには隠された様式でパッチをユーザーに適用する完全に自動化されたアプリケーターシステムが使用される;ポレーター要素が生体適合性であり、パッチの皮膚側に直接組み込まれ、ポレーションプロセスが完了した後、リザーバー下で皮膚に対して適切な場所に放置されるように設計されている完全に組み込まれたシステムが使用される。このようにして、一態様では、ポレーターは、ポレーターを一周/横切って、微小孔にマトリックス及びマトリックスからの溶解又は懸濁された生物活性剤を入れるために微小孔からの流動物の必要される流動を可能にするのに十分に多孔性である。
【0130】
一態様では、浸透物送達マトリックスは、少なくとも1つの形成された経路を通じて対象から有効量の皮下流動体を引き出し、その後、形成された経路を介して所望の流量で浸透物の少なくとも一部を経皮送達するための少なくとも1つの形成された経路と液体連通するように維持される。この目的で、少なくとも1つの形成された経路を通じて引き出された皮下流動体は、マトリックス内に配置された浸透物の少なくとも一部を溶解及び/又は懸濁するプロセスを開始することができ、その後、浸透物が皮膚に形成された少なくとも1つの経路を通じて対象に経皮的に拡散して戻るように生存した拡散経路を提供することができる。浸透物が対象の生存した皮膚層に経皮送達されると、浸透物は、局所的に活性であり得て、循環系に取り込まれ、全身に分布され得る。例えば、一局面では、浸透物はリンパ系に取り込まれ得る。
【0131】
本明細書に記載される駆動力に基づく受動的化学的拡散に加えて、追加の透過増強剤はまた、本発明の浸透物送達マトリックスと組み合わせて使用することができることが意図される。例えば、限定されないが、本発明の送達マトリックスは、活性力増強剤技術と組み合わせて使用することができ、例えば、音響エネルギー、機械的吸引、圧力、又は組織の局所的変形が挙げられ、ソノフォレーシス、イオントフォレーシス又はエレクトロポレーションが含まれる。
【0132】
なおさらにまた、追加の起電力は、対象の皮膚において形成された少なくとも1つの経路を通じて浸透物の経皮浸透物流量を増大させるために、浸透物に適用することができる。起電力の使用は、マイクロポレートされた皮膚を通じて、治療量でタンパク質、ペプチド、及びさらには遺伝子などのより大きな巨大薬物の経皮送達に特に有用であり得る。さらに、このような活性送達モードは、他の局面では、受動拡散だけのシステムを介して同等の流量に多くの場合必要とされるものよりも、少ない及び/又は小さい経路を用いて使用することができる。このようにして、一局面では、活性な起電力の使用は、それにより、切除されるべき皮膚の体積を減少させ、ユーザーにとってシステムがさらに低い侵襲性になるようにする。
【0133】
その目的のために、一局面では、本発明に係る浸透物送達マトリックスは、電気浸透ポンプ(EOP)アセンブリを提供するように構築することができる。この局面によれば、
図5に記載されるように、上面及び対向する底面を有するマイクロポレートされた送達マトリックス20(d)は、上面に電気的に連通して配置された1以上の第1電極60のアセンブリ、及び底面に電気的に連通して配置された1以上の第2電極70のアセンブリをさらに含むことができる。電極アセンブリは、例えば、スパッタリング、電着、又は無電界メッキなどの当業者に知られている任意の慣用的な電極配置技術によって提供され得る。次に、完全な回路は、電圧原又は電流源(V)と選択又は制御可能に電気的に連通した第1及び第2の電極アセンブリを設置することによって造ることができる。マイクロポレートされたマトリックス内の浸透物への適切に分極された電場の定常的な適用は、マイクロポレートされたマトリックスの開口近辺における浸透物の構築を含むことができ、したがって、対象への経皮送達を駆動する拡散勾配に相対的ブースを提供する。
【0134】
なお別の局面では、本発明に係る電気浸透ポンプは、さらに、送達マトリックスから離れた配置された第3又はカウンター電極を含み、対象の皮膚に電気的に連通して配置されるように適合され得る。第3又はカウンター電極の取り込みは、対象の皮膚において形成された少なくとも1つの経路と一致した焦点に対して横向きに、マイクロポレートされた送達マトリックスの底面からの浸透物の運動を高めることができる起電力の応用を可能にする。承認されるように、本発明のこの局面は、なおも破壊していない角質層を有するか、又は皮膚の生きている層に形成された経路開口を持たない皮膚の無傷な部分を介した流量が本質的にはゼロであるため、追加の経皮流量効率を提供することができる。
【0135】
使用において、上述される3電極アセンブリは、電気浸透ポンプアセンブリ内の種々の電極アセンブリの選択的オン−オフサイクルに従って操作することができる。例えば、第1の電気浸透ポンプサイクルでは、送達マトリックスの底面における多孔性開口近辺に、相対的に高い濃度の生物活性剤を造るために、電気浸透ポンプ(EOP)は、第1と第2電極アセンブリの間に回路を完成することによって達成され得る。第2の電気輸送サイクル中に、第1及び第2のEOP電極の1つ又はその両方が、経皮的に送達されるべき特定の生物活性剤に対して、正味荷電と同じ極性を用いて帯電させることができる。第3の電極アセンブリは、送達マトリックスから離れており、皮膚の表面と連通して配置され得て、カウンター電極として操作可能である。電気輸送モードでは、生物活性剤に与えられる電気反発力は、対象の微小孔に生物活性剤を活性に駆動することができる。
【0136】
当然に、電極輸送モード(ETM)及び電気浸透ポンプモード(EOP)は、オン−オフ様式で、又はオフと最大強度の間の任意レベルで調節され得ることが承認されなければならない。例えば、10msオン及び50msオフなどのある種の例示的な制限内でETMの量及び期間を維持することによって、ETM中の対象の皮膚組織を通じて流れる平均電流は、皮膚組織内の正常な微小流体作用、及び電場が存在しない場合のイオンの正常な拡散によって、局所pHにおける任意のシフトがETMのオフタイム中に中和され得るのに十分に低いレベルに維持することができる。当業者に承認されるように、これは、全ての移動性種の均一な濃度を達成するように働くことができ、したがって、その正常な生理学的状態までpHを戻すことになる。そのようなものとして、ETMのオンタイムからオフタイムのこの調節は、皮膚組織の正常なpHの崩壊により、刺激を排除することもできる。
【0137】
EOPモード又はサイクル、及びETMモード又はサイクルの特定の負荷サイクルは、EOPとETMの両方に経皮送達されるべき特定の浸透物、及びそれらに適用される電流レベルに依存し得ることを理解しなければならない。生存している組織のpHがいくつかの所定の境界内に止まることを確実にする概算がなされ得る一方で、実際には、これらの負荷サイクルは、異なる負荷サイクルの効果をモニターするためにパッチ下に小型のpHセンサーを単に設置することによって実験的に決定することができる。本発明の更なる特徴は、パッチにpH検出要素を組込み、システムコントローラーへのフィードバックシグナルとしてそれによって生じた出力を用いることであり、その結果、局所的皮膚生理学における対象から対象への変化、環境因子、又は局所環境に影響を及ぼす可能性がある他の力に関わらず、プログラムされた境界内に保持されることを確実にする閉ループコントロール回路が実施される。
【0138】
図6に対して、さらに3電気浸透ポンプアセンブリを含む例示的なパッチが図示される。説明されるように、この例示的なデバイスは、本明細書において前述されるマイクロポレートされた送達マトリックスを含む、経皮パッチアセンブリを含む。送達マトリックスは、上面及び対向する底面を有するように構築され、配置される。裏打ち支持層は、内部に接面を有し、送達マトリックスの上面に少なくとも部分的に接続されている。マイクロポレートされた送達リザーバーは、上面及び対向する底面を含む。第1の電極アセンブリ60は、上面内で電気的に連通して配置され、第2の電極アセンブリ70は、底面に電気的に連通して配置される。第3又はカウンター電極80は、送達マトリックスから離れて配置され、対象の皮膚と電気的に連通して配置されるように適合される。次に、電圧源又は電流源と選択又は制御可能に電気的に連通して、第1、第2及び第3の電極アセンブリの少なくとも2つを配置することによって、完全な回路は、第1、第2及び第3の電極間で造ることができる。
【実施例】
【0139】
以下の実施例は、本明細書において主張されるデバイス、システム及び方法がどのようにして作られ、実施され、及び評価されるのかについての完全な開示及び記載を当業者に与えるように記載されている。これらの実施例は、本発明の純粋な例示を意図するものであり、発明者がかれらの発明としてみなす範囲を制限することを意図していない。他に指定がなければ、部は重量部であり、温度は℃であり、又は周囲温度であり、圧力は大気又は大気近辺である。
【0140】
ヒドロモルフォン
図7は、本発明の種々の浸透物送達パッチに関するインビトロでの薬物放出動力学に対する浸透物送達パッチ厚の効果を示す。4つの浸透物送達パッチを本発明に従って調製した。4つのマトリックスは各々、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)を含んでいた。EVA内に配置された浸透物製剤は生物活性剤としてヒドロモルフォンHCl(HM)と充填剤成分としてマンニトールとプロピレングリコール(PG)を含み、面積にして約1.44cm
2であった。第1パッチは、約1.00mmの厚さを有し、ヒドロモルフォンを約67mg含んでいた。第2パッチは、約0.50mmの厚さを有し、ヒドロモルフォンHClを約25mg含んでいた。第3パッチは、約0.44mmの厚さを有し、ヒドロモルフォンを約22mg含んでいた。第4パッチは、約0.22mmの厚さを有し、ヒドロモルフォンを約11mg含んでいた。
【0141】
4つのパッチの各々を用いたインビトロ試験は、約24時間の投与期間、行なわれた。従来の分析を用いて、24時間の投与期間中の4つの浸透物送達パッチの各々についての累積ヒドロモルフォンHCl放出とヒドロモルフォンHCl放出の相対的割合を
図7に示すプロットにより報告している。
【0142】
図8は、4つの異なる無毛ラット対象の腹部領域において試験された、本発明による例示的な浸透物送達デバイスに関する平均薬物動態プロフィール(PKプロフィール)を示す。浸透物パッチは、約1.4mmの厚さを有し、マトリックス材料として、約40%の酢酸ビニル成分を有するエチレン酢酸ビニル共重合体を約50重量パーセントで含んでいた。浸透物組成物は、生物活性剤として25重量パーセントのHCl(浸透物パッチの全重量パーセントと比較して)を含み、追加の充填材成分として約25重量パーセントのマンニトール(浸透物パッチの全重量と比較して)を含んでいた。24時間の投与期間の関数として、無毛ラットにおける平均血清ヒドロモルフォン濃度を
図8に示す。
【0143】
クエン酸フェンタニル
図9は、種々の濃度のクエン酸フェンタニルを含む、本発明の浸透物パッチについての平均クエン酸フェンタニルの血清レベルPKプロフィールを示す。特に、10%クエン酸フェンタニルに関する以下の記載と類似した手法に従って調製された送達パッチについての平均クエン酸フェンタニル血清レベルPKプロフィールの比較が示される。
【0144】
生物活性剤としての10%クエン酸フェンタニルを含む例示的な浸透物送達パッチの調製:
このパッチを調製するために、使用前に200メッシュ篩を用いてマンニトールを篩にかける。次に、約3000mgのクエン酸フェンタニルと約18450mgのマンニトールをバイアルに装填し、その混合物を少なくとも6時間、混和することによって調製することができる。約40%酢酸ビニル成分を含む約8550mgのエチレン酢酸ビニルをクエン酸フェンタニルとマンニトールの混和された混合物に添加され得る。装填された材料は、約80℃〜120℃の範囲の温度まで、温度制御容器において連続して撹拌し、加温することができる。混合物が生地様の堅さに達した後、次に、この混合物は、3M(登録商標)から市販されているScotchpak裏当てなどの裏当てフィルムに移すことができる。
【0145】
裏当て材に配置されると、生地様の材料は、裏当て層と保護放出ライナー層(例えば、1521片面ポリエチレンフィルム、3M(登録商標)から市販されてもいる)との間で圧縮されて、所望の厚さを有するパッチを提供することができる。パッチ材を冷却後、得られたフィルムを切断して、例えば、約1cm
2の表面積を有するパッチを得ることができる。前述の手法に従って調製されたパッチは、各パッチあたり、例えば、約3.8mgのクエン酸フェンタニルの生物活性剤の濃縮物を含むことができる。試験対象に例示のパッチを塗布する前に、保護放出ライナーを最初に取り除き、マトリックスの底面を晒すようにする。
【0146】
図9は、本発明の一局面において、クエン酸フェンタニルが皮膚の微小孔を通じて送達され得て、定常レベルが送達パッチのフェンタニル含量によって調節され得ることを示す。
【0147】
フェンタニル追跡
フェンタニル追跡試験について、無毛ラットの腹部に再び微小孔を設け、次に、対象とするフィルム又は溶液を塗布した。パッチ(フィルム又は溶液)を所定の特定時間(即ち、塗布の12時間後)で取り除き、投与部位を約200μLの飽和クエン酸フェンタニル溶液で充填したその後の又は追跡液体貯蔵パッチで覆った。次に、血液試料を無毛ラットの尾静脈から採取した(典型的には、パッチ追跡の6〜10時間後、又はマイクロポレーションの18〜22時間後)。血清は、フェンタニル分析のために血液試料から分離された。
【0148】
このようなフェンタニル追跡弛緩によって生じたデータを
図10に示す。製剤(x軸に列挙される)の1つの塗布12時間後、その部位を飽和クエン酸フェンタニル溶液で多い、血液サンプリングを開始した。y軸は、フェンタニル溶液の塗布6〜10時間後の平均血清フェンタニルレベルを示す。対照バーは、飽和クエン酸フェンタニル溶液が新鮮にマイクロポレーションされた皮膚に塗布された6〜10時間後に到達したレベルを表す。このデータから、EVA単独から作られたフィルムを用いた12時間の新鮮にマイクロポレーションされた部位を覆うことによって、フェンタニルの送達が妨げられるようである。ほぼ同じ結果が、その部位がEVA/マンニトールで作られたフィルムで覆われた場合、又は飽和マンニトール溶液で覆われた場合に得られた。一方、この部位が最初にフェンタニル又はヒドロモルフォンを含むフィルムで覆われた場合、フェンタニルレベルは、対照について得られたもののそれぞれ約60%及び85%で観察された。
【0149】
インスリン
図11は、透過性増強剤としてトリスを含むインスリン製剤に水溶性高分子であるポリビニルアルコール(PVA)を添加するという効果を示すチャートを報告する。高分子の添加は、フィルムから薬物及び/又は透過性増強剤の制御放出によって、インスリン送達の持続プロフィールを許容する。マトリックス足場はエチレン酢酸ビニル(EVA)で構成される。
【0150】
図12は、透過性増強剤としてトリスを含むインスリン製剤に水不溶性高分子であるエチルセルロース(EC)を添加するという効果を示すチャートを報告する。高分子の添加は、フィルムから薬物及び/又は透過性増強剤の放出制御によって、インスリン送達の持続プロフィールを許容する。マトリックス足場はエチレン酢酸ビニル(EVA)で構成される。
【0151】
エクセナチド
図13は、無毛ラットにおけるエクセナチド送達に対する種々の透過性増強剤の効果を示すチャートを報告する。動物の腹部にマイクロポレーションし、エクセナチド(10.5mg/mL)と対象薬物(3%w/v)の200μLを含むパッチをその部位を覆うように塗布した。新鮮な溶液を4時間毎にその部位を覆うように再度塗布し、血液を24時間に渡ってエクセナチドレベルについてサンプリングした。クエン酸2ナトリウムは24時間中、およそ定常なレベルを与えたが、コハク酸又はマレイン酸のいずれかの使用はレベル上昇を示した。
【0152】
図14は、24時間に渡ってエクセナチドの持続送達を達成するように設計された製剤におけるコハク酸(SA)とエチルセルロース(EC)の効果を示すチャートを報告する。30%のコハク酸製剤は、57%のクエン酸2ナトリウム(DiNaCitrate)を含む製剤と比較して、より高いCmaxと曲線下の面積(AUC)を与える。マトリックス足場はエチレン酢酸ビニル(EVA)で構成される。
【0153】
図15は、インビトロでのエクセナチド放出に対する高分子及び/又は透過性増強剤の効果を示すチャートを報告する。透過性増強剤の固有性又は組成は、フィルムの溶解プロフィールを変更させるために修飾可能である。例えば、30%エチルセルロース含有フィルムは、45%エチルセルロース含有フィルムよりも高速でエクセナチドを放出する。
【0154】
図16は、エチレン酢酸ビニル(EVA)と対象の透過性増強剤を含むエクセナチドフィルムからのエクセナチドのインビトロ放出に対する透過性増強剤組成の効果を示すチャートを報告する。クエン酸2ナトリウムの割合の増加は、フィルムからのエクセナチド放出の速度を遅らせる効果を有する。
【0155】
細孔透過性増強剤
図17は、細孔透過性の維持に対する透過性増強剤の固有性の効果を示す。高分子フィルムは、EVAと、列挙された透過性増強剤(約70%)で調製された。無毛ラットは、マイクロポレーションされ、フィルムを12時間、マイクロポレーション部位に設置し、その時間後、高分子フィルムは、クエン酸フェンタニルを含む液体貯蔵パッチで置換された。いずれの透過性増強剤がない場合(即ち、100%EVAだけを含むフィルム)、フェンタニル溶液の塗布後に達成されるフェンタニルレベルは<5ng/mLであったが、しかしながら、示されるように、透過性増強剤の封入が有意に高いフェンタニルレベルを生じさせた。最終パッチ除去後のその部位での皮膚のpHを右軸に参照のために示す。これは、細孔透過性の維持に対する透過性増強剤の固有性の効果についてのスクリーニング法の非制限的な単なる例であることに気付かれたい。他の方法、及び他の透過性増強剤を使用し、試験することができる。