(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
樹脂よりなる第1部品と樹脂よりなる第2部品とを互いに接続する薬液用機器のシール部材を使用し、前記シール部材に形成された凹部に前記第1部品と前記第2部品の接続部を仮挿入した後で、
前記仮挿入した状態の前記第1部品と前記第2部品の接続部を該凹部に圧入することで前記第1部品と前記第2部品とを接続する接続用工具において、
前記第1部品と係合する第1係合部を有し、円筒形状の内周面を有する中空円筒形状の第1係合部材と、
前記第2部品と係合する第2係合部を有し、円筒形状の内周面を有する中空円筒形状の第2係合部材とを有し、
前記第1係合部材に中空円筒形状の固定シャフトが固定されていること、
前記第2係合部材の内周面は前記固定シャフトの外周面に摺動可能に保持されていること、
前記固定シャフトとカム部材は連結部材により連結されていること、
前記第2係合部材と前記カム部材が係合していること、
を特徴とする接続用工具。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術の接続用工具100においては、可動把手125を引き寄せることで第1部品2と第2部品3をシール部材6に圧入する。
しかし、接続用工具100においては、把手122の握る力加減で第1アーム106と第2アーム107の位置調整を行うことから、第1アーム106と第2アーム107の微妙な位置調整を行うことができない。そのため、シール部材6に対して荷重が掛かり過ぎ、シール部材6を破壊に至らしめることがあるため問題となる。また、締結部材60を装着するまで力を加え続ける必要があるため問題となる。
【0006】
また、接続用工具100の第2アーム107はハサミのように開くため、第1アーム106に対して平行に移動しない。そのため、ホルダ係合部106A、107Aが形成された第1ホルダ141及び第2ホルダ151等を使用しなければ、第1部品2と第2部品3を平行移動させることができなかった。また、第1ホルダ141及び第2ホルダ151は樹脂部品である第1部品2と第2部品3の取付溝4f及び5fに挿入されるが、隙間をゼロにすることはできず、溝の剛性が低いため第1部品2及び第2部品3が変形し、結果として均一に押圧することができないため問題となる。
さらに、第1部品2と第2部品3をシール部材6に圧入する際には、第1ホルダ141及び第2ホルダ151が必要となるため問題となる。すなわち、第1ホルダ141と第2ホルダ151のいずれか一方でも紛失した際には、圧入を行うことができなくなるためホルダの管理及び接続用工具の管理が必要となり、その工数が増える。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、第1アームと第2アームの微妙な位置調整を行い、シール部材を破壊することなく第1部品と第2部品をシール部材に対して圧入することができる接続用工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る接続用工具は、以下の構成を有する。
(1)樹脂よりなる第1部品と樹脂よりなる第2部品とを互いに接続する薬液用機器のシール部材を使用し、前記シール部材に形成された凹部に前記第1部品と前記第2部品の接続部を仮挿入し
た後で、
前記仮挿入した状態の前記第1部品と前記第2部品の接続部を該凹部に圧入することで前記第1部品と前記第2部品とを接続する接続用工具において、前記第1部品と係合する第1係合部を有
し、円筒形状の内周面を有する中空円筒形状の第1係合部材と、前記第2部品と係合する第2係合部を有
し、円筒形状の内周面を有する中空円筒形状の第2係合部材と
を有し、前記第1係合部材に
中空円筒形状の固定シャフトが固定されていること、前記第2係合部材
の内周面は前記固定シャフト
の外周面に摺動可能に保持されていること、前記固定シャフトとカム部材は連結部材により連結されていること、前記第2係合部材と前記カム部材が係合していること、を特徴とする。
【0009】
それにより、第1係合部と第2係合部の微妙な位置調整を行うことができる。したがって、シール部材を破壊することなく第1部品及び第2部品をシール部材に対して圧入することができる。
また、カム部材の回転運動を固定シャフトに対する直進変位に変換及び増力することができる。そのため、小さな力で第1部品と第2部品をシール部材に圧入することができる。具体的には、本来第1部品と第2部品を接続シールに圧入するためには、1500N程度の推力が必要となるが、本発明によれば約30分の1の50N程度の操作力で推力を発生させることができ、圧入をすることができる。
【0010】
(2)(1)に記載する接続用工具において、前記カム部材の位置をアンクランプ位置からクランプ位置に変更すると、前記第2係合部材と前記第1係合部材の距離が近くなること、前記第1部品と前記第2部品が前記シール部材に圧入されること、を特徴とする。
【0011】
それにより、カム部材をアンクランプ位置からクランプ位置に変更し接続用工具を移動させることができるため、締結動作をワンアクションで操作することができる。そのため、作業効率を向上させることができる。
【0012】
(3)(1)又は(2)に記載する接続用工具において、前記固定シャフトは、前記第2係合部材の内側を挿通していること、前記第1係合部材と前記第2係合部材の間に、前記固定シャフトの一部であるシャフト露出部が露出していること、前記シャフト露出部の距離が
一定の隙間であること、を特徴とする。
【0013】
それにより、固定シャフトの剛性を大きくすることができる。固定シャフトの剛性を大きくすることができることにより、固定シャフトがたわむことなく第1係合部材及び第2係合部材を移動させることができる。そのため、第1係合部材と第2係合部材の平行度を維持したまま移動させることができる。
【0014】
(4)(1)乃至(3)に記載するいずれか一つの接続用工具において、前記固定シャフトのうち前記第2係合部材の第1係合部材側端部と同じ円周状に位置する部分から前記固定シャフトのうち前記第2係合部材の内側に挿通されている当接端部までの長さLが、前記固定シャフトの中心軸から略円筒形状である前記シール部材の中心軸までの距離Qよりも長いこと、を特徴とする。
【0015】
それにより、第1部品と第2部品を接続シールに圧入する際に発生する固定シャフトに対する曲げモーメントにより生じる力を小さくすることができ、固定シャフトのたわみを防止することができる。そのため、第1係合部材及び第2係合部材を平行移動させることができる。
【0016】
(5)(1)乃至(4)に記載するいずれか一つの接続用工具において、前記連結部材は調整ネジであること、前記調整ネジは前記カム部材の揺動軸に固定され、前記固定シャフトに螺合されていること、前記調整ネジを回転させることにより、前記第1係合部材及び前記第2係合部材の距離を調整できること、を特徴とする。
【0017】
それにより、第1部品と第2部品の距離が異なる場合も、接続用工具の第1係合部材及び第2係合部材の距離を変更することができる。そのため、一つの接続用工具で対応することができる。
【0018】
(6)(1)乃至(5)に記載するいずれか一つの接続用工具において、
前記第2係合部材を前記第1係合部材側に押圧することにより、前記第2係合部材と前記第1係合部材の距離が短くなり、前記第1係合部材及び前記第2係合部材の距離を調整できること、を特徴とする。
【0019】
それにより、作業者は固定シャフトと固定されている第1係合部材を第2係合部材方向に押圧し、弾性部材を圧縮する簡単な動作により第1係合部材及び第2係合部材の距離を調整することができる。
【0020】
(7)(1)乃至(6)に記載するいずれか一つの接続用工具において、前記第1係合部を前記第1部品の形状に合わせたものに付け替え可能であること、前記第2係合部を前記第2部品の形状に合わせたものに付け替え可能であること、を特徴とする。
【0021】
それにより、第1部品及び第2部品の形状、大きさ等が異なる場合であっても、第1係合部及び第2係合部を付け替えることで、一つの接続用工具で対応することができる。
【0022】
(8)(1)乃至(7)に記載するいずれか一つの接続用工具において、
一端が前記第1係合部材に固定され、他端が前記第2係合部材の第2固定部材の内周面で摺動するガイド部材を有し、前記第1係合部材と前記第2係合部材は、
前記ガイド部材によりガイドされていること、を特徴とする。
【0023】
それにより、第1係合部材及び第2係合部材の固定シャフトの周方向でずれることなく平行移動することができる。そのため、第1部品及び第2部品を接続シールに安定して圧入することができる。
【0024】
(9)(1)乃至(8)に記載するいずれか一つの接続用工具において、前記第1係合部の押圧面と前記第2係合部の押圧面が平行に位置すること、を特徴とする。
【0025】
それにより、第1部品及び第2部品を接続シールに均等に圧入することができる。
【0026】
(10)(1)乃至(9)に記載するいずれか一つの接続用工具において、前記第2係合部材
の外周には、作業者が把持する把持部
が形成されていること、前記把持部は作業者が把持可能な長さを有すること、を特徴とする。
【0027】
それにより、作業者は片手に接続用工具を持ち、第1部品と第2部品を接続シールに接続させることができる。そのため、作業性が向上する。
【0028】
(11)(1)乃至(9)に記載するいずれか一つの接続用工具において、前記第2係合部材
の外周には、作業者が把持する取手部が
突出して形成されていること、を特徴とする。
【0029】
それにより、作業者が接続用工具を持ちやすくなり作業性が向上する。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、シール部材を破壊することなく第1部品及び第2部品をシール部材に対して圧入することができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
次に、本発明に係る接続用工具の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0033】
[第1実施形態]
<流体接続機器の全体構成>
図26には、流体接続機器である第1部品2、第2部品3、シール部材6の接続前の外観斜視図を示す。
図33は、
図26の断面図を示す。
第1部品2、第2部品3、及びシール部材6は、腐食性の高い液体を流す流体接続機器であるため耐薬品性の高い樹脂でできている。
図33に示すように、第1部品2にはシール部材6と連結する部分に第1接続部4が形成されている。また第2部品3にはシール部材6と連結する部分に第2接続部5が形成されている。
第1及び第2接続部4,5は、円筒状をなし、流路4h,5hが端面に開口している。第1及び第2接続部4,5の端面には、流路開口部の周りに、シール溝4a,5aが形成されている。シール溝4a,5aには、環状突起4b,5bが流路4h,5hと同心円状に突設されている。第1及び第2接続部4,5は、端面外周に沿って、凸部4g,5gが外向きに突設されている。
【0034】
図33に示すように、第1及び第2接続部4,5の外周面には、後述する第1係合部27及び第2係合部28が取り付け係合される第1取付溝4f及び第2取付溝5fがそれぞれ環状に形成されている。第1及び第2取付溝4f,5fの端面側内側面4i,5iは、第1及び第2接続部4,5の端面と平行に形成され、流路4h,5hの軸線に対して直角なフラット状をなす。端面側内側面4i、5iは、第1係合部27の第1押圧面部27C及び第2係合部28の第2押圧面部28Cと当接する面である。
【0035】
第1及び第2接続部4,5は、第1及び第2取付溝4f,5fと第1及び第2接続部4,5の端面との間に、第1及び第2装着溝4c,5cがそれぞれ環状に形成されている。第1及び第2装着溝4c,5cは、環状突起4b,5bに対応する深さまで形成されている。第1及び第2装着溝4c,5cの端面側内側面4d,5dは、第1及び第2接続部4,5の端面と平行に形成され、流路4h,5hの軸線に対して直角なフラット状をなす。そして、第1及び第2装着溝4c,5cは、端面側内側面4d,5dの開口部より奥側に、接続部側テーパ4e,5eが形成されている。接続部側テーパ4e,5eは、第1及び第2装着溝4c,5cの奥側へ行くにつれて第1及び第2装着溝4c,5cの溝幅を狭めるように形成されている。
なお、
図33では、シール部材6の形状を理解し易いように、把持部12の外周線を省略している。
【0036】
<シール部材の全体構成>
図35は、
図26に示すシール部材6の平面図である。
図36は、
図35に示すシール部材6のGG断面図である。
シール部材6は、PFAなどの硬くて耐腐食性がある樹脂を材質とし、本体部11と把持部12と張出部13とを備える。
【0037】
図35及び
図36に示すように、本体部11は、短い円筒形状に形作られている。本体部11は、第1及び第2接続部4,5の環状突起4b,5bに嵌合する環状溝11a,11bが両端面に形成され、断面H型をなし、断面が左右で線対称形状になっている。環状溝11a,11bは、
図34に示すように、溝幅が第1及び第2接続部4,5の環状突起4b,5bの肉厚方向幅寸法と同一又は僅かに大きく形成されている。環状溝11a,11bは、開口部より奥側の内側内壁と外側内壁に、圧入代11c、11dがそれぞれ設けられ、環状溝11a,11bの開口部より奥側の溝幅を小さくしている。シール部材6は、内周面と外周面に、シール溝4a,5aの底部に設けた傾斜(
図33参照)と対応するように傾斜が設けられ、シール部材6の環状溝11a,11bに第1及び第2接続部4,5の環状突起4b,5bを圧入したときに、シール部材6の環状溝11a,11bの幅が広がり、シール力が低下するのを防止している。
【0038】
図35及び
図36に示すように、シール部材6の外周面には、張出部13が外向きに突設されている。張出部13は、本体部11の外周面に沿って環状に形成されている。張出部13の外縁部には、複数の把持部12が所定間隔を空けて一体的に接続している。各把持部12は、第1及び第2接続部4,5の凸部4g,5gに引っ掛けて係合する引掛部12aが、内向きに(中心に向かって)突き出して設けられている。なお、
図36では、シール部材6の形状を理解し易いように、把持部12の外周線を省略している。
【0039】
<締結部材の全体構成>
図30乃至
図32に締結部材60が示されている。締結部材60は、第1部品2と第2部品3がシール部材6に圧入された状態を保持しておくための部材である。締結部材60を取り付けることにより、第1部品2又は第2部品3に対して外部から衝撃等があった場合でもシール部材6から外れることがない。
締結部材60は、第1分割片60Aと第2分割片60Bを有する。第1分割片60Aと第2分割片60Bは図示しないが軸棒により連結しているため、軸棒を中心に第1分割片60Aと第2分割片60Bが開口する。
【0040】
図30に示すように、第1分割片60A及び第2分割片60Bには、
図32に示す引寄部材69を装着するための装着孔61A、61Bが四角形状に形成されている。
また、第1分割片60Aには、第2分割片60Bと嵌合するための嵌合凸部62Aが第2分割片60B方向に対して形成されている。第2分割片60Bのうち第1分割片60Aと第2分割片60Bが当接した際に、嵌合凸部62Aにあたる部分に嵌合孔63Bが形成されている。
図30に示すように、嵌合凸部62Aを嵌合孔63Bに挿入することで嵌合凸部62Aの引掛部621Aが嵌合孔63Bの周辺部に引掛り固定することができる。
【0041】
図32に示すように、引寄部材69は、樹脂により成形されている。引寄部材69は、クリップ部材691を締結部材60の装着孔61A、61Bに押し込むことにより、締結部材60にワンタッチ装着されるように構成されている。
なお、締結部材60及び引寄部材69については従来技術と変わるところがないため詳細な説明は割愛する。
【0042】
<接続用工具の全体構成>
図1に接続用工具(クランプ状態)の外観斜視図を示す。
図2に接続用工具(アンクランプ状態)の側面図を示す。
図3に接続用工具(アンクランプ状態)の正面図を示す。
図4に接続用工具(アンクランプ状態)の背面図を示す。
図5に接続用工具(アンクランプ状態)の上面図を示す。
図6に
図5に示す接続用工具(アンクランプ状態)のBB断面図を示す。
図7に
図2に示す接続用工具(アンクランプ状態)のAA一部断面図を示す。
図8に接続用工具(クランプ状態)の上面図を示す。
図9に
図8に示す接続用工具(クランプ状態)のCC断面図を示す。
図10に
図9に示す接続用工具(クランプ状態)のDD一部断面図を示す。
図11に接続用工具(アンクランプ状態とクランプ状態の中間位置)の一部断面図を示す。
【0043】
図1に示すように、接続用工具1は、第1係合部材7、第2係合部材8及びカム部材9を有する。接続用工具1は、第1部品2と、第2部品3をシール部材6に圧入するための工具である。接続用工具1は、力を伝達する際の変形を防ぐため、剛性がある金属(ステンレス等)を材質とする。
【0044】
(操作部)
図5に示すように、カム部材9は、カム機構を有するレバー部材である。カム部材9は、把持部91とカム機構としての揺動部92を有する。把持部91は、二段に折れており、作業者がつかみやすい形状となっている。
また、把持部91が二段に折れていることにより、接続用工具1がクランプ状態にあるのかアンクランプ状態にあるのかを一目で認識することができる。すなわち、把持部が直線形状である場合、把持部91を見ただけではクランプ状態かアンクランプ状態かの確認を一目で認識することが難しい。しかし、本実施形態のように把持部91の先端が折れた二段形状であることにより、
図5に示すアンクランプ状態では、先端がシール部材6から遠い側方向を向く。他方クランプ状態では、
図8に示すように、先端がシール部材6の近い側方向を向く。これにより、作業者は把持部91を見ることにより一目でクランプ状態かアンクランプ状態かを認識することができる。
【0045】
揺動部92は、
図2及び
図3に示すように、凹部92Aが形成されている。凹部92Aには、連結部材20の当接部201が狭持されている。
図3に示すように当接部201の先端にはネジ溝201Aが形成されている。揺動部92と当接部201は、
図5及び
図6に示す揺動軸89に螺合固定されている。カム部材9の揺動部92は、
図5に示す揺動軸89の中心軸Yを中心に揺動させ
図8に示す位置に移動させることができる。
【0046】
図6に示すように、連結部材20のうち当接部201の反対側の端部202の外周部には、中空円筒形状のネジ部材203が螺合されている。ネジ部材203は、固定シャフト10に対して固定され一体とされている。ネジ部材203のうち当接部201側のネジ部材当接部203Aには、弾性部材207の一端が当接している。弾性部材207の他端部は、止栓当接部81Aに当接している。弾性部材207は止栓当接部81Aを介して第2係合部材8をカム部材9へ当接するまで押圧し、第1係合部材7と第2係合部材8を弾性力により離間させている。
【0047】
図3に示すカム部材9を連結部材20の軸心を中心に時計回りに回転をさせると、カム部材9に固定されている連結部材20が同様に時計回りに回転をする。それにより、
図6に示す、固定シャフト10と螺合されているネジ部材203がカム部材9側に移動し、ネジ部材203と一体の固定シャフト10も同様にカム部材9側に、移動する。具体的には、固定シャフト10が移動することにより、固定シャフト10に固定された第1係合部材7もカム部材9側に移動する。そのため、第1係合部材7と第2係合部材8の距離が近くなり、第1係合部27と第2係合部28の距離が近くなる。これにより、
図7に示す、距離S4を短くする動作をすることができる。
したがって、第1部品2と第2部品3の距離が近い場合も、接続用工具1の第1係合部材7の位置を変更することができるため、第1部品2と第2部品3の距離の異なる流体機器に対して一つの接続用工具1で対応することができる。
【0048】
他方、
図3に示すカム部材9を連結部材20の軸心を中心に反時計回りに回転をさせると、カム部材9に固定されている連結部材20が同様に反時計回りに回転をする。それにより、
図6に示す固定シャフト10と螺合されているネジ部材203がカム部材9から遠い側に移動し、ネジ部材203と一体の固定シャフト10も同様にカム部材9から遠い側に、移動する。具体的には、固定シャフト10がカム部材9から遠い側に移動することにより、固定シャフト10に固定された第1係合部材7もカム部材9から遠い側に移動する。そのため、第1係合部材7と第2係合部材8の距離が遠くなり、第1係合部27と第2係合部28の距離が遠くなる。これにより、
図7に示す、距離S4を長くする動作をすることができる。
したがって、第1部品2と第2部品3の距離が遠い場合も、接続用工具1の第1係合部材7の位置を変更することができるため、第1部品2と第2部品3の距離の異なる流体機器に対して一つの接続用工具1で対応することができる。
【0049】
揺動部92は、
図7、
図10及び
図11に示すように、肉厚が厚い肉厚部921と、肉厚が薄い肉薄部922と、肉厚部921と肉薄部922の中間に位置する中間部923を有する。
図7に示すように、揺動軸89の中心軸Yと把持部91の中心を結んだ線を線E1とする。中心軸Yを通り線E1に対して垂直の線を線E2とする。
【0050】
揺動部92のうち、線E2を中心として形成され肉厚の厚い部分が肉厚部921である。肉厚部921は、揺動部92を
図7に示すように正面から見た場合に最も肉厚が厚い部分となる。肉厚部921は、距離S2を有する。
また、揺動部92のうち、線E2上に形成され肉厚部921に対して中心軸Yの反対に位置するのが肉薄部922である。肉薄部922は、揺動部92を
図7に示すように正面から見た場合に最も肉厚が薄い部分となる。肉薄部922は、距離S1を有する。
また、揺動部92のうち、線E1上に形成され把持部91に対して中心軸Yの反対に位置するのが中間部923である。中間部923は、距離S3を有する。
距離S2は距離S1及び距離S3よりも長く形成されている。また、距離S3は、距離S1よりも長く形成されている。
【0051】
揺動部92を
図7から
図10に示す状態に180度揺動させる。それにより、カム係合部材88のカム係合部88Bと係合する部分が、肉薄部922から肉厚部921へと変更される。肉厚部921がカム係合部88Bと係合すると、中心軸Yとカム係合部88Bの距離が遠くなる。このとき、距離S4は一定であるため、第2係合部材8をカム部材9から遠い側に押出す。よって、第1係合部材7の第1係合部27と第2係合部材8の第2係合部28の距離が近くなる。
本実施形態によれば、カム部材9の揺動運動を連結部材20に対する直進変位に変換及び増力することができる。そのため、カム部材9を180度揺動するだけの小さな力で第1部品2と第2部品3をシール部材6に圧入することができる。具体的には、本来第1部品2と第2部品3をシール部材6に圧入するためには、1500N程度の推力が必要となるところ、本実施形態によればカム部材9のカム機構を用いることにより約30分の1の50N程度の操作力で推力を発生させることができ、圧入することができる。
【0052】
(第1係合部材)
第1係合部材7は、
図1に示すように、接続用工具1のうちカム部材9とは反対の位置に形成されている。第1係合部材7は、
図6に示す止ネジ75を第1係合部材7に対して挿入し固定シャフト10内に固定された固定部71に螺合させることで、固定シャフト10に固定されている。止ネジ76はゆるみ止めである。第1係合部材7は、固定シャフト10に固定されているため、固定シャフト10との関係で移動することがない。
【0053】
第1係合部材7は、
図1及び
図6に示すように、中空円筒形状をなす。
第1係合部材7には、円筒の中心軸に対して垂直円周方向に第1係合部27を固定するための固定凸部73が形成されている。固定凸部73には、
図12に示すように、ネジ穴731が形成されている。第1係合部27は、固定凸部73と第1固定部材77とに挟み込まれることで固定される。固定ネジ74はネジ穴731を介し、第1固定部材77に螺合し固定凸部73と第1固定部材77を固定する。
図4に示すように、固定ネジ74は、固定凸部73に対して垂直に挿入されている。
【0054】
第1固定部材77は、
図12及び
図13に示すように、断面L形状であって第1係合部27と当接する当接部772が形成されている。断面L形状である当接部772と固定凸部73により第1係合部27は挟み込みこまれ、第1係合部材7に固定される。
【0055】
第1係合部27を、
図15に示す。
第1係合部27は、第1接続部4の第1取付溝4fと係合する第1係合凹部27Aを有する。第1係合凹部27Aは、半円形状の切欠き形状である。また、
図15及び
図6に示すように、第1係合凹部27Aの周辺部には半円形状で肉厚の薄い凹み形状の第1押圧面部27Cが形成されている。第1押圧面部27Cの半円形状は、端面側内側面4iと同様の形状である。第1押圧面部27Cは、第1接続部4を第2係合部28側へと押圧する部分である。
第1係合凹部27Aが半円形状の切欠き形状であり、さらに第1押圧面部27Cが半円形状の凹み形状であることにより、円形状の第1接続部4に確実に係合させることができる。
【0056】
第1係合部27は、第1係合部材7と当接する第1当接部27Bが形成されている。第1当接部27Bは、半円形状の切欠き形状であるため、円筒形状の第1係合部材7と係合させることができる。
【0057】
第1係合部27は、付け替え可能な部材である。第1係合部27は、第1接続部4の径又は第1取付溝4fの径の違いにより、例えば
図16に示す第1係合部29に付け替えることができる。第1接続部4又は第1取付溝4fの径が異なる場合、第1接続部4又は第1取付溝4fの異なる径に適合した第1当接部29Aを有する第1係合部29に付け替える。それにより、径の異なる第1接続部4又は第1取付溝4fに対応することができる。
第1当接部29Bは、
図15に示す第1当接部27Bと同じ形状である。そのため、第1係合部29を第1係合部材7に取り付けることができる。
【0058】
第1係合部27の付け替えは、
図13に示すように、固定ネジ74を緩める。固定ネジ74を緩めることにより、当接部772と固定凸部73の間に隙間が形成される。それにより、第1係合部27を取り外すことができる。次いで、
図16に示す第1係合部29を取り付け、固定ネジ74を再度締めることで、第1係合部29を固定することができる。
【0059】
(第2係合部材)
第2係合部材8は、
図6に示すように、中空円筒形状である。第2係合部材8は、止栓81、把持部82、第2係合部28を有する。
【0060】
止栓81は、
図6に示すように、中空円筒形状をなす。止栓81の中心部には中心孔81Cが形成されている。中心孔81Cには、連結部材20が挿通している。止栓81は、把持部82に圧入固定されている。したがって、一体部品とすることもできる。
止栓81のうち、カム部材9と当接する部分には、カム係合部材88がスライド可能に挿設されている。カム係合部材88の中心には、挿通孔88Aが形成されており、その中心を連結部材20が挿通している。
図6に示すように、挿入孔88Aと連結部材20とにはスライド可能にクリアランスが設けられている。把持部91が90度の位置である
図11の状態においては軸E1に対して揺動部92編心している。この編心をクリアランスによりスライド可能とし、吸収している。
【0061】
把持部82は、
図1及び
図6に示すように、中空円筒形状である。把持部82は、作業者が把持する部位である。そのため、作業者が片手で把持できる大きさを有する。
把持部82の中心には、固定シャフト10が挿通している。固定シャフト10と把持部82は固定されていない。
【0062】
図6に示すように、把持部82には、円筒の中心軸に対して垂直方向に第2係合部28を固定する固定凸部83が形成されている。固定凸部83には、
図3に示す固定ネジ84を挿入するための、図示しないネジ穴831が形成されている。第2係合部28は、固定凸部83と第2固定部材87により挟み込まれることで固定される。固定ネジ84はネジ穴831を介し、第2固定部材87に螺合される。第2固定部材87及びネジ穴831等は図示しないが、第1係合部材7及びネジ穴731等と同様の構成を有し同様の作用効果を奏する。
【0063】
第2係合部28は、
図15に示す第1係合部27と同様の構成であるため、詳細な説明を割愛する。なお、第2係合部28は第1係合部27と同様の構成を有するため同様の作用効果を奏する。
【0064】
第2係合部28は、第2接続部5の第2取付溝5fと係合する第2係合凹部28Aを有する(
図15と同様の形状、以下同じ。)。第2係合凹部28Aは、半円形状の切欠き形状である。また、
図6に示すように、第2係合凹部28Aの周辺部には半円形状で凹み形状の第2押圧面部28Cが形成されている。第2押圧面部28Cの半円形状は、
図17に示す端面側内側面5iと同様の形状である。第2押圧面部28Cは、第2接続部5を第1係合部27側へと押圧する部分である。
第2係合凹部28Aが半円形状の切欠き形状であり、さらに第2押圧面部28Cが半円形状の凹み形状であることにより、円筒形状の第2接続部5に確実に係合させることができる。
【0065】
第2係合部28は、第2係合部材8と当接する第2当接部28Bが形成されている。第2当接部28Bは、半円形状の切欠き形状であるため、円筒形状の第2係合部材8と係合することができる。
【0066】
第2係合部28は、付け替え可能な部材である。第2係合部28は、第2接続部5の径又は第2取付溝5fの径の違いにより、例えば
図16に示す第1係合部29に付け替えることができる。第2接続部5又は第2取付溝5fの径が異なる場合、第2接続部5又は第2取付溝5fの異なる径に合わせた第1当接部29Aを有する第1係合部29に付け替える。それにより、径の異なる第2接続部5又は第2取付溝5fに対応することができる。
第1当接部29Bは、図示しない第2係合部28の当接部28Bと同じ形状である。そのため、第1係合部29を第2係合部材8に取り付けることができる。
第2係合部28の付け替えは、上記第1係合部27の付け替えと同様であるため説明を割愛する。
【0067】
(固定シャフト)
固定シャフト10は、
図6に示すように、中空円筒形状である。固定シャフト10の一端は、第1係合部材7に固定されている。固定シャフト10のうち第1係合部材7と固定されている端部101の内側には、雌ネジ101Aが形成されている。雌ネジ101Aは第1係合部材7に固定されている固定部71の固定雄ネジ71Aと螺合し固定される。
【0068】
固定シャフト10は、第1係合部材7及び第2係合部材8の軸心を挿通している。
固定シャフト10のうち、第2係合部材8側の端部102内周には、雌ネジ102Aが形成されている。端部102の雌ネジ102Aには、ネジ部材203の雄ネジ部203Bが螺合され固定されている。
【0069】
図6に示すように、固定シャフト10のうち、第1係合部材7と第2係合部材8の間には一定の距離R1のシャフト露出部106が露出している。シャフト露出部106は、
図9に示すように、第1係合部材7と第2係合部材8が近づいたときにも、一定の距離R2を保つ。
【0070】
一定の距離のシャフト露出部106が形成され、小さく設定されていることにより、固定シャフト10の剛性を大きくすることができる。固定シャフト10の剛性を大きくすることができることにより、固定シャフト10がたわむことなく第1係合部材7及び第2係合部材8を移動させることができる。そのため、第1係合部材7と第2係合部材8の平行度を維持したまま移動させることができる。
【0071】
第1部品2及び第2部品3をシール部材6に圧入する際に、固定シャフト10を曲げようとする曲げモーメントが作用する。曲げモーメントは、力Fに対して距離Qを積した量で、曲げモーメントを長さLで除した量が固定シャフト10と第2係合部材8の固定シャフト摺動面とに作用する力である。
長さLは、固定シャフト10のうち第2係合部材8の第1係合部材側端部8Aと同じ円周状に位置する部分から固定シャフト10のうち第2係合部材8の内側に挿通されている当接端部105までの長さである。
距離Qは、固定シャフト10の中心軸から第1係合部27に第1部品2の第1接続部4を係合した際の流路4hの中心軸までの長さである。
力Fは、第1部品2及び第2部品3をシール部材6に圧入する際に第1係合部材7及び第2係合部材8に対して矢印方向に作用する力である。
【0072】
本実施形態においては、長さLを大きくしている。長さLを大きくすることにより、固定シャフト10を曲げようとする曲げモーメントにより作用する力を小さくすることができるためである。長さLを大きくするには、例えば、長さLを距離Qの2倍以上とする。2倍以上とすることにより、固定シャフト10を曲げようとする曲げモーメントにより固定シャフト10に作用する力を2分の1以下にすることができる。
【0073】
(ガイド部)
ガイド30は、第1係合部材7をガイドするための部材である。
図6に示すガイド30は、円柱形状である。ガイド30のうち一端部31は、第2固定部材87のガイド孔78Aを挿通してネジ部材85により固定されている。ガイド30のうち他端部32は、
図14に示す第1固定部材77の中央下部に形成されたガイド孔77Aに係合している。そのため、第1固定部材77と第2固定部材87は、固定シャフト10の周方向でガイドされ位置がずれない。したがって、第1固定部材77と第2固定部材87の位置関係が一定となり、第1係合部27の第1係合凹部27Aと第2係合部28の第2係合凹部28Aの位置関係が一致する。なお、第1固定部材77と第2固定部材87は同一形状である。
【0074】
<流体接続機器の作用効果>
次に、第1部品2及び第2部品3の接続手順を示す。接続手順は、以下の4つの工程により行われる。
【0075】
<第1工程>
第1工程は、第1部品2と第2部品3をシール部材6に手作業で仮挿入する工程である。
図26及び
図33に示すように第1部品2、第2部品3、シール部材6を用意する。
次に、
図27及び
図34に示すように、例えば、第1接続部4の凸部4gにシール部材6の引掛部12aを引っ掛け、シール部材6を第1接続部4の外周に脱落しないように装着する。引掛部12aが外側に弾性変形しやすいため、簡単に第1接続部4の凸部4gに装着できる。
このとき、第1接続部4の環状突起4bは、先端部が
図36に示すシール部材6の環状溝11aの圧入代11c、11dの入口に当接するまで挿入される。
【0076】
それから、第2接続部5も第1接続部4と同様の作業を行う。すなわち、第2接続部5の凸部5gにシール部材6の引掛部12aを引っ掛け、シール部材6を第2接続部5の外周に脱落しないように装着する。引掛部12aが外側に弾性変形しやすいため、簡単に第2接続部5の凸部5gに装着できる。
このとき、第2接続部5の環状突起5bは、先端部がシール部材6の環状溝11bの圧入代11c、11dの入口に当接するまで挿入される。
【0077】
<第2工程>
第2工程は、接続用工具1を第1部品2と第2部品3に装着する工程である。
図17及び
図28に示すように、第1係合凹部27Aを第1接続部4の第1取付溝4fに嵌合させ、第2係合凹部28Aを第2接続部5の第2取付溝5fに嵌合させる。
【0078】
接続用工具1を嵌合させる際には、第1係合部27及び第2係合部28の幅を、第1取付溝4fと第2取付溝5fの幅に合わせる必要がある。そのため、
図3に示すカム部材9を時計回り又は反時計回りに回転させ、カム部材9の揺動軸89に固定されている連結部材20を時計回り又は反時計回りに回転させる。それにより、固定シャフト10と螺合固定されているネジ部材203がカム部材9から近い側又は遠い側に移動し、ネジ部材203と一体の固定シャフト10も同様にカム部材9から近い側又は遠い側に移動する。具体的には、固定シャフト10がカム部材9から近い側又は遠い側に移動することにより、固定シャフト10に固定された第1係合部材7もカム部材9から近い側又は遠い側に移動する。そのため、第1係合部材7と第2係合部材8の距離が近く又は遠くなり、第1係合部27と第2係合部28の距離が近く又は遠くなる。
したがって、第1部品2と第2部品3の距離が近い場合又は遠い場合も、接続用工具1の第1係合部材7の位置を移動させることができるため、一つの接続用工具1で対応することができる。
【0079】
また、第1係合部材7と第2係合部材8の位置の調整は、作業者が第1係合部材7をカム部材9に近い側へ押圧することによっても調整することができる。
図6に示すように、第1係合部材7は固定シャフト10を介して、弾性部材207の弾性力によりカム部材9から遠い側へと押圧されている。そのため、作業者が弾性部材207の弾性力より大きい力により第1係合部材7をカム部材9に近い側へと押圧することにより、弾性部材207の圧縮した分だけ第1係合部材7を第2係合部材8側へと移動させることができる。そのため、作業者が第1係合部材をカム部材9に近い側へ押圧する簡単な動作により調整することができる。
嵌合位置で精密な位置調整が不要となるため、接続部品の寸法やシール部材の仮挿入量のバラツキなどを吸収することとができる。
【0080】
<第3工程>
第3工程は、接続用工具1により第1部品2と第2部品3をシール部材6に圧入する工程である。
カム部材9を
図5及び
図28に示す位置から
図11で示す中間位置を介して、
図8及び
図29に示す位置に180度移動させる。それにより、
図10に示すように、揺動部92のうちカム係合部材88のカム係合部88Bと係合する部分が、肉薄部922から肉厚部921へと変更される。肉厚部921がカム係合部88Bと係合すると、揺動軸89の中心軸Yとカム係合部88Bの距離が遠くなる。それにより、揺動軸89の中心軸Yと第2係合部材8との距離が遠くなる。
【0081】
連結部材20とカム部材9は固定された状態にある。そのため、カム部材9が180度揺動し肉薄部922から肉厚部921に当接部が変更されたことで、第2係合部材8はカム部材9に押圧され第1係合部材7側へと移動する。そのため、第2係合部材8は固定シャフト10を軸に、第1係合部材7側に摺動移動し、第1係合部材7に近付く。
【0082】
第1係合部材7と第2係合部材8を近付けさせることにより、第1部品2、第2部品3が近付く。それにより、
図18に示すように、第1及び第2接続部4,5は、第1及び第2取付溝4f,5fの端面側内側面4i,5iを、流路4h,5hの軸線に沿って加圧され続ける。これにより、第1及び第2接続部4,5の環状突起4b,5bがシール部材6の環状溝11a,11bに円周方向に均一に圧入されていき、
図36に示す圧入代11c、11dを押しつぶして圧入することができる。圧入代11c、11dを押しつぶすことにより、シールを確実にすることができ、また、シール力が低下するのを防止することができる。
【0083】
接続用工具1は、カム部材9を用いたカム機構を用いていることにより、第1係合部材7と第2係合部材8の微妙な位置調整を行うことができる。したがって、シール部材6を破壊することなく第1部品2及び第2部品3をシール部材6に対して圧入することができる。
【0084】
また、接続用工具1は、カム部材9を用いたカム機構を用いることにより、回転運動を直進変位に変換及び増力することができる。そのため、小さな力で第1部品2と第2部品3をシール部材6に圧入することができる。具体的には、本来第1部品2と第2部品3をシール部材6に圧入するためには、1500N程度の推力が必要となるが、本発明によれば約30分の1の50N程度の操作力で推力を発生させることができ圧入をすることができる。
【0085】
また、接続用工具1は、カム部材9の位置を
図5に示すアンクランプ位置から
図8に示すクランプ位置に変更するワンアクションで、第1部品2と第2部品3がシール部材6に圧入することができる。そのため、早い時間で締結することができるため作業性を向上させることができる。
【0086】
また、
図6及び
図9に示すようにシャフト露出部106の距離R1及びR2が短く形成されていることにより、固定シャフト10の剛性を大きくすることができる。固定シャフト10の剛性を大きくすることができることにより、固定シャフト10がたわむことなく第1係合部材7及び第2係合部材8を移動させることができる。そのため、第1係合部材7と第2係合部材8の平行度を維持したまま移動させることができる。
【0087】
また、固定シャフト10の長さLを大きくとっている。固定シャフト10の長さLを大きくとることにより、固定シャフト10を曲げようとする曲げモーメントにより生じるシャフト10と把持部材82内径ガイド面に作用する力を小さくすることができる。
【0088】
また、第1係合部材7及び第2係合部材8は固定シャフト10を軸として移動するため安定した平行移動が可能となる。安定した平行移動が可能なことにより、接続部4の内側面4iの全周にわたって均一に力を加えることができる。さらに、接続部5の内側面5iの全周にわたって均一に力を加えることができる。
【0089】
また、接続部4の内側面4iの全周にわたって均一に力を加えることができることにより、結果として、環状突起4bを環状溝11aの圧入代11c、11dに圧入するだけの必要な力を加えることができる。したがって、環状突起4bを全周にわたって圧入代11c、11dに圧入することができる。
また、接続部5の内側面5iの全周にわたって均一に力を加えることができることにより、結果として、環状突起5bを環状溝11bの圧入代11c、11dに圧入するだけの必要な力を加えることができる。したがって、環状突起5bを全周にわたって圧入代11c、11dに圧入することができる。
【0090】
また、第1係合凹部27A及び第2係合凹部28Aは、半円形状の切欠き形状である。半円形状の切欠き形状であるため、円形状の第1接続部4の第1取付溝4f及び第2接続部5の第2取付溝5fに係合することができる。そのため、作業中に、第1係合凹部27A及び第2係合凹部28Aが第1接続部4及び第2接続部5から突然外れることはないため、確実に作業することができる。
【0091】
また、第1係合凹部27A及び第2係合凹部28Aは、半円形状の切欠き形状であり第1接続部4と第2接続部5と全周のうち4分の3程度と係合する。そのため、第1係合部材7と第2係合部材8が近付く力を確実に伝えることができる。したがって、力が小さくて済む。
また、全周のうち4分の3程度と係合していることにより、第1接続部4及び第2接続部5の中心軸がずれることがない。そのため、第1接続部4と第2接続部5の中心軸をずらすことなく、接続部4、5の内側面4i、5iの全周にわたって常に均一に力を加えることができる。
【0092】
また、全周のうち4分の3程度と係合していることにより、ほぼ全周に均一に力を加えることができる。それにより、第1部品2及び第2部品3を引き寄せる際に、接続面の平行を保って引き寄せることができ、シール部材6の圧入代11c、11dの全周に均一な力を加えることができる。また、接続部4の環状突起4b、接続部5の環状突起5bをシール部材6の圧入代11c、11dに圧入することができ、確実にシールさせることができる。
【0093】
また、本実施形態においては、操作の誤りによって第1係合部27及び第2係合部28が近くなりすぎ、シール部材6に対して荷重が掛かり過ぎた場合であっても、シール部材6の塑性変形を回避することができる。すなわち、シール部材6に対して荷重が掛かり過ぎた場合であっても、樹脂である第1接続部4及び第2接続部5が弾性変形するため、シール部材6に対する過大な荷重を回避することができるためである。
【0094】
また、接続用工具1は、カム部材9を使用しているため接続用工具1を動作させた後に手を離したとしても第1係合部27及び第2係合部28が近付いた位置で保持固定することができる。そのため、第4工程における締結部材60の取付け及び引寄部材69の取付を容易にすることができる。
【0095】
<第4工程>
第4工程は、締結部材60を第1接続部4及び第2接続部5に締結部材60を被せ引寄部材69を装着させる工程である。
図30に示すように、第1部品2と第2部品3をシール部材6に圧入したところで締結部材60を被せる。さらに、
図31に示すように、第1分割片60Aの嵌合凸部62Aを第2分割片60Bの嵌合孔63Bに挿入し、嵌合凸部62Aの引掛部621Aが嵌合孔63Bの周辺部に引掛り固定する。さらに、
図32に示すように、引寄部材69のクリップ部材691を締結部材60の装着孔61A、61Bに押し込むことにより、締結部材60にワンタッチ装着し固定する。
【0096】
その後、接続用工具1を第1部品2及び第2部品3から取り外すことにより全工程を終了する。
以上、全工程により、第1部品2と第2部品3の接続工程は終了する。
【0097】
<第2実施形態>
図19乃至
図24に示す第2実施形態に係る接続用工具300は、定置式の例である。第1実施形態に係る接続用工具1と比較して、第1係合部307及び第2係合部308の形状、カム部材309の形状及び第2係合部材に作業者が把持する取手部389が形成されており、軸受部380が独立し、固定シャフト310が中実であること以外異なるところがない。そのため、第2実施形態においては、差異部分について説明することにより、その他の詳細な説明を割愛する。
なお、差異部分以外の接続用工具300の詳細な説明を割愛するが、第1実施形態の接続用工具1と同様の作用、及び効果を有する。
【0098】
図21に示すように、第2係合部308は4面の平面部308A〜308Dが形成されている。4面の平面部308A〜308Dのうちいずれかを設置面及び取手部389の接続面として各々選択使用することができる。本実施形態においては、設置面を平面部308Cとし、取手部389の接続面を平面部308Bとしている。平面部308A〜308Dには、ネジ孔308AN〜308DNが形成されている。
図25に示すように、取手部389の固定ネジ389Nをネジ孔308BNに螺合させることにより取手部389を固定することができる。平面部308A〜308Dにそれぞれネジ孔308AN〜308DNが形成されていることにより、取手部389の位置を選択することができる。また、平面部308A〜308Dが4面に形成されていることにより、
図19に示す係合凹部327、328の方向を選択することができる。
また、第1係合部307には、2面の幅部307A及び307Bが形成されている。2面の幅部307A及び307Bをバイス等にて狭持固定して使用することもできる。バイス等により狭持して使用することにより接続用工具300を立ておきにして使用することもできる。
【0099】
カム部材309は、カム機構を有するレバー部材である。カム部材309は、把持部391と揺動部392を有する。
図23に示すように把持部391は、作業者の把持した手の形と同様の波形状となっている。そのため、作業者がつかみやすい形状となっている。
また、把持部391は波形状であり外周部391Aが一方向を向いていることにより、接続用工具300がクランプ状態にあるのかアンクランプ状態にあるのかを一目で認識することができる。すなわち、直線形状の把持部391の場合、クランプ状態かアンクランプ状態か一目で把持部391を見ただけで認識することができない。しかし、先端が一方向を向いた形状であることにより、本実施形態の
図23に示すアンクランプ状態では、先端がシール部材6から遠い側方向を向く。他方クランプ状態では、
図23の破線で示すように、先端がシール部材6の近い側方向を向く。これにより、作業者は一目でクランプ状態かアンクランプ状態かを認識することができる。
【0100】
取手部389は、作業者が第2係合部308を固定するためのものである。取手部389は、第2係合部308から突出した形状で形成されており、作業者が取手部389を把持することにより、接続用工具300を持つことができる。また、取手部389が形成されていることにより、作業者は接続用工具300を手で固定することができる。
図6に示す第1実施形態においては、把持部82を作業者が持てる大きさにする必要があった。しかし、
図19〜
図35に示す第2実施形態において取手部389を形成することにより作業者は取手部389を把持するため、把持部82を作業者が把持できる大きさにする必要がない。そのため、第1実施形態における把持部82にあたる部分を小さくすることができる。よって、接続用工具300を小さくすることができる。
また、取手部389が形成されていることにより、作業者は取手部389を掴んで作業することができるため、接続用工具300が持ちやすくなる。したがって、作業性を向上させることができる。
また、取手部389が形成され、クランプ操作時に取手部389を掴んで作業者は作業をすることができるため、作業者は手を挟むことを回避することができる。
【0101】
図24に示すように、固定シャフト310は中実である。固定シャフト310は中実であることにより、剛性をさらに高めることができる。
また、固定シャフト310の外周部には軸受部としてフランジ付のリニアボールベアリング380が形成されている。固定シャフト310は、リニアボールベアリング380により支持されていることにより、固定シャフト310との隙間を小さくすることができる。それにより、精度の高い平行動作ができる。
【0102】
また、接続用工具300は、定置式で使用するためクランプ動作後は両手を自由に使うことができる。そのため、接続用工具300の使用を中断し他の作業を行ったとしても、始めからクランプ動作を行う必要がなくなり、作業性が向上する。
【0103】
<変形例>
尚、本発明は、上記実施の形態に限定されることなく、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で色々な応用が可能である。
【0104】
例えば、上記実施形態においては、第1係合部27及び第2係合部28を付替可能としたが、固定式とすることもできる。
【0105】
例えば、第1実施形態における把持部82に作業者が把持し易いように、滑り止め機能を有する部材を貼りつけることもできる。また、把持部82自体に滑り止め機能を持たせることもできる。
【0106】
例えば、第2実施形態における接続用工具300において用いられている発明は、第1実施形態における接続用工具1に用いることができる。例えば、固定シャフトが中実であること、リニアボールベアリングを用いていること、取手部を用いることを第1実施形態における接続用工具1に用いることもできる。反対に、第1実施形態における接続用工具1において用いられている発明は第2実施形態における接続用工具300において用いることができる。
【0107】
例えば、第1実施形態における接続用工具1を定置式で使用することもできる。また、第1実施形態における接続用工具1及び第2接続用工具2を横向きの他、縦向き、斜め向きに用いて使用することもできる。
【0108】
例えば、本実施形態において連結部材20は、固定シャフト10を移動させ第1係合部材7の位置を調整することができる調整ネジとしたが、連結部材は固定シャフト10に固定され位置調整を行わない連結部材とすることもできる。