(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記行選択手段は、前記行における少なくとも1つの発光体を選択するために前記第1の制御スイッチの少なくとも1つのゲート電極に給電することができる、請求項1に記載の画像ディスプレイ装置。
【技術分野】
【0001】
本発明はアクティブマトリクス画像ディスプレイ装置に関する。
【0002】
平面形画像ディスプレイスクリーンは、車両ディスプレイ装置、デジタルカメラまたは移動電話のような、あらゆる種類の用途にますます使用されるようになっている。
【0003】
発光体がOLED(organic light-emitting diode)ディスプレイのような有機エレクトロルミネセンスパネルから形成されているディスプレイは公知である。
【0004】
殊に、パッシブマトリクスOLEDタイプのディスプレイは市場において既に広範囲に入手可能である。しかしこれらは大量の電気エネルギーを消費しかつ短い寿命を有している。
【0005】
アクティブマトリクスOLEDディスプレイはビルドインエレクトロニクスを含んでおりかつ消費が低減される、解像度が高い、ビデオレートとコンパチビリティがある、パッシブマトリクスOLEDタイプのディスプレイより寿命が長いなどの数多くの利点を有している。
【0006】
従来は、アクティブマトリクスディスプレイ装置は殊に発光体のアレイによって形成されているディスプレイパネルを有している。それぞれの発光体は表示されるべき画像のピクセルまたはサブピクセルに関連付けられておりかつ列電極のアレイおよび行電極のアレイによってアドレス回路を介してアドレッシングされる。
【0007】
図1には、以下に発光体と略称するライター・エミッタ、すなわち発光放出体Eおよびこれに関連付けられているアドレス回路が図示されている。もっと正確には、これは電圧アドレス回路である。
【0008】
典型的には、このタイプのアドレス回路は発光体を制御するための手段および発光体に給電するための手段を有している。これは行電極のアレイおよび列電極のアレイを介して制御される。これらの電極はディスプレイパネルのすべての発光体から特定の発光体Eを選択しかつそれからアドレス指定するために使用される。
【0009】
発光体アドレス指定手段は制御スイッチI1、記憶コンデンサCおよび電流変調器Mを有している。
【0010】
変調器Mはピクセルまたはサブピクセルに対するデータ制御電圧をそこを流れる電流に変換する。一般に、変調器Mはn形またはp形MOSFETタイプのトランジスタ構成要素である。この種の構成要素は3つの端子、すなわちこれらの間に変調された電圧が流れるドレインおよびソース、および制御電圧が供給されるようになっているゲートを有している。
【0011】
変調器が
図1に示されているようなn形のものであれば、変調された電流はドレインおよびソース間を流れ、それがp形のものであれば、変調された電流はソースおよびドレイン間を流れる。変調器Mは発光体に直列に接続されている。この直列接続の2つの端子は給電手段に接続されており、アノード端子は電圧供給電極V
ddに接続されておりかつカソード端子は一般にアース電極に接続されている。
【0012】
図1に示されている従来のストラクチャのOLEDディスプレイの場合、アクティブマトリクスとインタフェースを形成しているのは発光体のアノードである。その場合変調器のドレイン(n形の場合)またはソース(p形の場合)は電圧供給電極V
ddに接続されており、かつ発光体のカソードはアース電極に接続されている。
【0013】
リバースストラクチャと称されるOLEDディスプレイの場合(図示なし)、アクティブマトリクスとインタフェースを形成しているのは発光体のカソードである。その場合変調器のソース(n形の場合)またはドレイン(p形の場合)はアース電極に接続されており、かつ発光体のアノードは電圧供給電極V
ddに接続されている。
【0014】
変調器Mが制御スイッチI1によって選択されるとき、ビデオデータ電圧V
dataが変調器Mのゲートに供給される。変調器Mが飽和領域で作動していると考えられるとき、この変調器はドレイン電流を生成するが、これは普通、変調器のゲートとソースとの間に供給される電位差の2次関数として変動する。
【0015】
有利には、パネルの発光体は行および列に配置されているので、同一の行の発光体の制御スイッチI1はすべていわゆる行電極によって制御されかつ同一の列の発光体の制御スイッチI1のビデオデータ信号入力はすべて列電極によって供給される。
【0016】
発光体をアドレス指定することが望まれるとき、この発光体の制御スイッチI1のゲートに接続されている行電極V
selectに制御電圧が供給されて、この発光体が選択されるようにする。それからスイッチI1はターンオンされかつ列電極に現れるデータ電圧V
dataは変調器Mのゲートに供給される。
【0017】
発光体をアドレス指定するための手段は変調器のゲートと変調器を介してこの発光体に供給される給電電圧V
ddとの間に記憶コンデンサCを有している。この記憶コンデンサCは変調器のゲートに供給されて、この発光体の制御スイッチがもはや閉じられておらずかつ相応の行がもはや選択されていないときでも、画像フレームの期間にわたって発光体の光エネルギーが近似的に一定に維持されるようにする。
【0018】
OLEDディスプレイのアクティブ・マトリクスデバイスにおいて、制御スイッチI1および変調器Mは薄膜トランジスタ、いわゆるTFTである。
【0019】
ガラス基板上に薄膜としてデポジットされているこれら構成要素の製造は普通、低温ポリシリコン(low-temperature polysilicon=LTPS)技術に基づいて行われる。この技術は、アモルファスシリコンをポリシリコンに変換する目的をもっているレーザを使用する。レーザパルスの期間、急速に加熱されるアモルファスシリコンはついには溶融されかつ冷却フェーズの間に、アモルファスシリコンの、ポリシリコンへの結晶化のプロセスが行われる。
【0020】
しかし、この結晶化プロセスはポリシリコン薄膜トランジスタのトリップしきい値電圧に局所的な空間変動を招来する。これらの変動はポリシリコン結晶粒界およびサイズが結晶化フェーズの期間に十分に制御することができないという事実に基づいているものである。
【0021】
図2には、種々のポリシリコン薄膜トランジスタに対する供給されるゲート−ソース電圧V
gsの関数としてのドレイン電流I
dの変動が示されている。この図において、これらトランジスタのトリップしきい値電圧V
thはトランジスタ毎に変化しかつトランジスタ結晶化プロセスによって招来される変動によって引き起こされる欠陥が原因の値の分散(V
th variation)を示している。
【0022】
ドレイン電流が流れることができるようにするために、変調器のゲート−ソース電圧V
gsは上に述べたトランジスタの1つによって形成される変調器のトリップしきい値電圧V
thより大きくなければならない。
【0023】
その結果として、この種の薄膜トランジスタを流れるドレイン電流はこれらトランジスタのトリップしきい値電圧とともに変動する。薄膜トランジスタが飽和モードにおいて動作するとき、それが電流発生器として動作することがその理由である。発光体に供給されることになる加えられるドレイン電流は次式に従って変化する:
I
c=K(V
gs−V
th)
2
ここでK=kW/2Lであり、かつ上式中
− V
gsはこのトランジスタの供給されるゲート−ソース電圧に相応し、この電圧はセットポイント電圧とも称され、
− V
thはこのトランジスタのトリップしきい値電圧に相応し、
− WおよびLはそれぞれ、トランジスタのチャネルの幅および長さに相応し、
− kはトランジスタを製造するために使用された技術の形式に依存している定数である。
【0024】
従って、
図2に示されている曲線が実証しているように、飽和モードにおいてドレイン電流はそれぞれのトランジスタのトリップしきい値電圧に依存してトランジスタ毎に変化する。
【0025】
結果的に、いずれか1つのディスプレイパネルを作りかつ同じ電圧供給電極V
ddが供給されるポリシリコン変調器Mは、これらの変調器が同一のデータ電圧V
dataによって制御されるときですら、異なっている強さの電流を生成することになる。
【0026】
そこで、発光体Eは普通、そこを流れる電流に直接比例している光強度を放出するので、ポリシリコントランジスタのトリップしきい値が不均質性であることでこの種のトランジスタのマトリクスによって形成されているディスプレイの明るさも不均質になる。この結果輝度レベルに差が生じかつユーザにとっての視覚的な不快さが生じる。
【0027】
この不快さを抑制するために、トリップしきい値電圧の変動を補償するための種々の回路が提案されてきた。
【0028】
従って、第1の方法、いわゆるデジタル制御法では、ピクセルのストラクチャを変形することによって輝度レベルの低下を防いでいる。しかしこの方法ではエネルギーが消費されかつ高速のアドレス回路が必要である。
【0029】
Sony document“A 13-inch AMOLED display”, SID Digest, 2001 に記載されている別の方法では、ピクセルストラクチャをカレントプログラミングしている。このモードのアドレッシングでは電荷キャリアの移動度、ひいてはしきい値電圧の変動がともに補償される。しかしカレントプログラミングは低輝度に対する非常に低い電流レベルを考慮しなければならず、OLED発光体に供給される適当な電流を形成するために必要であるプログラム時間は著しく高められる。更に、この方法を使用して製造されるアドレス回路ではそれぞれ、発光体当たり4つのTFTの植え付けが必要である。この方法は経済的でなくしかもピクセルの有効発光領域が著しく低減される。
【0030】
刊行物“Seoul National University, AM-LCD 02, OLED-2, page 13”に記載されている別の方法では、2つの付加的なTFTを有している電圧アドレス回路によって電圧補償が実現される。これらのトランジスタは制御スイッチI1と電流変調器Mとの間に接続されている。この別の方法は次の原理に基づいている:第1の付加的なトランジスタおよび変調器Mの製造期間に、これら構成要素は再結晶化されるべく薄膜トランジスタを加熱するために使用されるレーザビームのスキャン方向に対して平行であり、従って実質的に同じ再結晶化条件にさらされているという理由で第1の付加的なトランジスタおよび変調器Mの電圧しきい値は同一である。この種のアドレス回路において、第1の付加的なトランジスタのトリップしきい値電圧は変調器のトリップ電圧を補償するので、発光体に供給されるドレイン電流はトリップ電圧に依存していない。第2の薄膜トランジスタは充電コンデンサに蓄積されている電圧がリセットされるようにするものでもあることを述べておく。
【0031】
しかしこの方法におけるアドレス回路では4トランジスタアドレス回路の製造も要求される。このような複雑さが増すことでディスプレイの信頼性および歩留まりがともに低減され、製造コストが著しく増大することになる。
【0032】
刊行物EP1381019、殊にこの刊行物の
図7および11を参照した段落42および43には次のような別の方法が記載されている:ここに記載されている電圧制御方法は演算増幅器54を使用して同じ列のピクセルに関してすべての変調器32のトリップしきい値の変動が補償されるようになっていること、この増幅器の出力側はスイッチSW2aおよび電極Xiを介して変調器32のゲートGに接続されていること、この増幅器の非反転入力側(+)は抵抗52、スイッチSW1aおよび電極Wiを介してこの変調器32のドレイン電極Dに接続されていること。
【0033】
この手法で接続されている演算増幅器は実際にはこの刊行物に記載されているようには動作せず、ディスプレイの発光体を「オン/オフデジタルモード、いわば双安定モード」において制御するようになっている一般に「シュミットトリガ」といわれているヒステリシスコンパレータとして動作することが認められている。その場合グレーレベルの実現はPWM(pulse-width modulation)によってだけ行うことができるが、PWMは輪郭制御のような別のディスプレイ品質問題を抱えている。更に、この種のセットアップは相応のドライブ手段を備えている数多くのスイッチを必要とするが、これらは高価である。
【0034】
刊行物US2002/047817には演算増幅器を含んでいる電流変調器T2を制御する回路が記載されている。ここで殊にこの刊行物の段落14、殊に最後のフレーズに示されているように、演算増幅器は電圧ランプV
DRVとデータ電圧V
DATとの間のコンパレータとして使用されて変調器T2の開放時間がプログラミングされるようになっている。従って上に述べた、PWMの欠点がある。更に、演算増幅器はこの種のセットアップにおけるフィードバックを示していないことも述べておきたい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0035】
本発明の課題は、ポリシリコントランジスタのトリップしきい値電圧が自動的に補償されかつ従来技術の方法の欠点が生じない、アクティブマトリクス画像ディスプレイ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0036】
この課題を解決するために、本発明の装置は次のように構成されているアクティブマトリクス画像ディスプレイ装置である:
− 行および列に分配されている発光体アレイを形成する複数の発光体を備え、
− アレイの発光体の放出を制御するための手段を備え、該手段は
− アレイのそれぞれの発光体に対して、発光体を制御することができる電流変調器を有しており、該電流変調器はソース電極、ドレイン電極、ゲート電極およびトリップしきい値電圧(V
th)を有しており、該トリップしきい値電圧は変調器毎に変化するものであり、
− 発光体のそれぞれの列の発光体をアドレス指定することができる列アドレス手段を有しており、該手段は前記変調器のゲート電極にデータ電圧を供給して該変調器を制御し、
− 発光体のそれぞれの行の発光体を選択電圧を供給することによって選択することができる行選択手段を有しており、
− それぞれの変調器のトリップしきい値電圧を補償するための補償手段を備え
ている形式のものにおいて、
− 前記補償手段は少なくとも1つの演算増幅器を有しており、該演算増幅器のフィードバックが少なくとも1つの変調器のトリップしきい値電圧を該電圧の値にいかんに拘わらず補償することができ、かつ
− 前記増幅器は反転入力側(−)、非反転入力側(+)および出力端子を有しており、かつ
− 演算増幅器の非反転入力側(+)は前記変調器を制御する列アドレス手段に接続されており、かつ
− 演算増幅器の反転入力側(−)は前記変調器のソース電極に接続されており、かつ − 演算増幅器の出力側は前記変調器のゲート電極に接続されている。
【0037】
本発明の有利な実施形態によれば、ディスプレイ装置は次の特徴の1つまたは複数を有している:
− 制御手段は、発光体と関連した前記変調器に対して、演算増幅器の出力側と前記変調器のゲート電極との間に接続されている少なくとも1つの第1の制御スイッチを有しており、該第1の制御スイッチは当該発光体に対する行選択電圧を受信することができるゲート電極を有している;および
− 制御手段は、発光体と関連した前記変調器に対して、演算増幅器の反転端子(−)と前記変調器のソース電極との間に接続されている第2の制御スイッチを有しており、該第2の制御スイッチは同時に選択電圧を受信することができるように前記第1の制御スイッチのゲート電極に接続されているゲート電極を有している;および
− 行選択手段は当該行における少なくとも1つの発光体を選択するために前記第1のスイッチの少なくとも1つのゲート電極に給電することができる;および
− 補償手段は列の発光体を制御する変調器のすべてのトリップしきい値電圧を補償することができる;および
− 変調器および第1の制御スイッチおよび第2の制御スイッチは薄膜ポリシリコンまたは薄膜アモルファスシリコンにおいて製造された構成要素である;および
− 変調器はn形トランジスタでありかつそのドレインは給電手段によって給電される;および
− 変調器はp形トランジスタでありかつ制御手段は更に、変調器のソースと電圧供給電極との間に配置されている受動構成要素を含んでいる;および
− それぞれの発光体は有機発光ダイオードである;および
− 受動構成要素は薄膜抵抗を有している;および
− 制御手段は更に、画像フレームの持続時間にわたりピクセルまたはサブピクセルの明るさを維持するために変調器のゲート電極とソース電極との間に接続されている少なくとも1つの充電コンデンサを含んでいる;および
− 制御手段はアクティブマトリクスを電圧安定化するために演算増幅器の出力側と反転入力側との間に接続されている補償コンデンサを含んでいる;および
− 変調器のドレイン電流は変調器に対する給電電圧間の差および変調器のゲートおよびソース間の電位差に依存している;および
− 補償手段は数個の演算増幅器を有しており、それぞれの演算増幅器は発光体を制御する変調器のトリップしきい値電圧を補償することができる。
【0038】
本発明の装置は有利にもポリシリコンの局所空間変動が原因で生じる明るさの変動を補償するのを可能にするものである。結果として、画像の均一性が著しく改善されることになる。
【0039】
更に、発光体に対するそれぞれのアドレス回路は有利にも3つの薄膜トランジスタしか有していない。この画像ディスプレイ装置は結果的により簡単に製造することができしかもピクセルのより小さな有効領域を占め、結果的にピクセルの開放アパーチャ率は高くなる。
【0040】
更に、製造は所要シリコンが少なくなるのでより安価になる。このことは、ディスプレイパネルを形成する発光体の数を考えると、発光体当たりの1つのトランジスタの節約は相当の節約になるので、生産力が高められる。
【0041】
本発明の別の課題は、例えば、アクティブマトリクス画像ディスプレイ装置に使用することができる電流変調器を制御するための回路を提供することである。
【0042】
この課題の解決のために、本発明は、定義されないトリップしきい値電圧を有する電流変調器を制御するための回路であって、該回路はトリップしきい値電圧補償手段を含んでいる形式のものにおいて、該トリップしきい値電圧補償手段は少なくとも1つの演算増幅器を有しており、該演算増幅器の出力側は前記変調器のゲート電極に接続されており、該変調器の反転入力側(−)は該変調器のソース電極に接続されており、かつ該演算増幅器のフィードバックが変調器のトリップしきい値電圧を補償して、該変調器を流れるドレイン電流の強度が変調器のトリップしきい値電圧に無関係であることを特徴とする電流変調器の制御回路を提供する。有利には、この演算増幅器の出力側は変調器のゲート電極に接続されておりかつその反転入力側(−)はこの同じ変調器のソース電極に接続されている。
【0043】
次に本発明を、そこに示されている実施例に限定しているわけではないが理解を深めるために添付図を参照して一層詳細に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図3は、本発明の第1実施例の画像ディスプレイデバイスの1エレメントを示している。このエレメントは発光体Eおよびそれに関連付けられているアドレス回路10を示している。
【0046】
従来、このアドレス回路10は電流変調器M、第1の電流スイッチI1、記憶コンデンサC、行選択電極V
select、列アドレス電極V
dataおよび電圧供給電極
Vddを有している。
【0047】
図示の例において、変調器はn形でありかつ発光体は従来の構成を有するOLEDタイプのダイオードである。同じ回路は、p形変調器が使用されかつ変調器−発光体直列接続が反転されている、すなわちいわば発光体のアノードが電圧供給電極V
ddに接続されておりかつ変調器のドレインがアース電極に接続されているという、インバーテド・ストラクチャを持ったOLEDディスプレイにも適用可能である。
【0048】
続いて、従来のOLEDストラクチャを有するp形の変調器の使用に適用可能である別の回路は
図4を参照して説明することにする。この回路は反転されたOLEDストラクチャを有するn形変調器にも適用可能である。
【0049】
給電電源V
ddは変調器Mのドレインに接続されている。データ電圧V
dataはこの変調器Mのゲートに供給されるとき、セットポイント電流、すなわちいわばドレイン電流はドレインおよびソースの間に形成されかつこれは発光体Eのアノードに供給される。
【0050】
ドレイン電流の強度はなかんずく、変調器トランジスタのトリップしきい値電圧V
thに依存している。発光体Eはこの電流に比例している量の光を放出する。それ故に同じデータ電圧は発光体毎に同じ量の光を生成しない。
【0051】
しきい値電圧の局所的な空間変動によって引き起こされる輝度変動を補償するために、本発明のアドレス回路は演算増幅器11を含んでいる。この演算増幅器は電流変調器Mのしきい値電圧V
thを補償するものである。
【0052】
実際に、ここの列アドレス電極は演算増幅器11の非反転入力側(+)に接続されている。変調器Mのソースは演算増幅器の反転入力側(−)に接続されておりかつ演算増幅器11の出力端子は変調器Mのゲートに接続されていて、制御電圧を供給することによってそれをターンオンするようになっている。
【0053】
有利には、選択スイッチI1は変調器Mのゲートと演算増幅器11の出力端子との間に直列に接続されておりかつスイッチI2は変調器Mのソースと演算増幅器11の反転入力側(−)との間に直列に接続されており、かつこれらのスイッチI1,I2に対する制御部は同じ行選択電極V
selectに接続されている。
【0054】
従ってこのストラクチャにおいて、演算増幅器から得られるフィードバックは有利にも変調器Mのトリップしきい値電圧V
thをこの電圧の値のいかんに関わりなく補償する。
【0055】
従って、演算増幅器のフィードバックのために、発光体Eのアノードの電圧も列データ電圧V
dataに等しくかつ変調器によって放出されかつ発光体を通過するドレイン電流は変調器Mのトリップしきい値電圧V
thに無関係である。演算増幅器によって生成されるゲート−ソース電圧は値のいかんに拘わらず変調器Mのしきい値電圧を補償する。従って、ここに示されているのは、固定ではない等価なダイオード負荷に基づいているデータ電圧V
dataによって制御される電流発生器である。
【0056】
更に、トリップしきい値電圧のフィードバックの供給は有利にはデータ制御電圧V
dataおよび選択制御電圧V
selectの供給と同期している。
【0057】
有利には、このアドレス回路も行制御電極によってターンオンおよびターンオフされる第1の制御スイッチI1を含んでいる。この第1のスイッチI1は演算増幅器11の出力側と電流変調器Mのゲートとの間に接続されていて、後者がターンオンされるようになっている。
【0058】
走査制御電圧V
selectが第1のスイッチI1のゲートに供給されると、後者はターンオンしかつ演算増幅器の出力電圧は変調器のゲートに供給される。
【0059】
アドレス回路は変調器Mのソースと演算増幅器I1の反転端子(−)の間に接続されている付加的なスイッチI2を含んでいてもよく、その場合後者はフィードバックモードにおいて動作することができる。
【0060】
有利には、第2のスイッチは行選択電極に供給される走査電圧V
selectによって制御されてもよい。この場合、第2のスイッチI2のゲートは第1のスイッチI1のゲートに接続されておりかつ第2のスイッチは第1のスイッチI1と同期して走査制御電圧V
selectを受け取る。
【0061】
第2のスイッチI2は発光体の確実なアドレス指定を保証する。それは選択された発光体と同じ列に配置されている別のアドレス回路に漏れ電流が生じるのを防止する。
【0062】
有利には、2つのスイッチI1,I2および変調器MはTFT技術を使用して製造されている。これらの薄膜トランジスタはアモルファスシリコンまたはポリシリコンにおいて製造されていてよい。3つのTFT構成要素および1つの演算増幅器を有しているアドレスストラクチャはTFT構成要素を製造するこれらの技術の両方とコンパチブルである。
【0063】
画像フレームの持続時間を超えて明るさを維持するために、アドレス回路は変調器Mのゲートとそのソースとの間に配置されている記憶コンデンサCを含んでいる。このコンデンサはフレーム持続時間に相応する時間間隔にわたって変調器Mのゲート電極の電圧を近似的に一定に維持できるようにするものである。
【0064】
アドレス回路は補償コンデンサC
cを含んでいてもよい。これは回路を安定させるために、第1および第2のスイッチI1およびI2を介して充電コンデンサCと並列に接続されている。
【0065】
ピクセルを走査しているとき、選択された発光体の2つの制御スイッチI1,I2は演算増幅器のフィードバックのお陰でターンオンされかつ、演算増幅器の非反転端子(+)に供給されるデータ電圧V
dataは発光体Eのアノードに実際に供給される電圧である。
【0066】
ピクセルの走査後、変調器Mは飽和領域において動作しかつ記憶コンデンサCに蓄積された電圧に比例するドレイン電流を供給する。演算増幅器によって実施される電圧補償のために、ドレイン電流は変調器Mのトリップしきい値電圧V
thには無関係である。従って、1つおよび同じ列のピクセルからピクセルへのしきい値電圧の変化はこれらのピクセルの発光体を流れる電流にいささかも影響しない。
【0067】
図4には本発明の第2の実施例が示されている。
【0068】
図示の実施例において、変調器はここではp形で、発光体は従来の構成のOLEDタイプのダイオードである。n形の変調器が使用されかつ変調器−発光体直列が反転されているとしたら、同じ回路は反転されたストラクチャのOLEDディスプレイにも適用可能であり、すなわち発光体のアノードは電圧供給電極V
ddに接続されておりかつ変調器のソースはアース電極に受動構成要素を介して接続されている。
【0069】
図3に示されている第1の実施例に相応して、演算増幅器21はフィードバックモードにおいて使用される。その出力側は上述したように制御スイッチI1を介して変調器Mのゲートに接続されており、かつその反転入力側(−)は上述したように制御スイッチI2を介して変調器Mのソースに接続されている。上述したように、データ制御電圧V
dataは増幅器の非反転入力側(+)に注入される。
【0070】
第1の実施例とは異なって、発光体に対する給電電圧V
ddはここでは受動構成要素Rを介して変調器Mのソースに接続されている。変調器はp形であるので、変調器のドレインはここでは発光体Eのアノードに接続されている。データ制御電圧V
dataがp形の変調器に供給されると、ドレイン電流はこの場合変調器を通ってそのソースからドレインに通過する。
【0071】
この受動構成要素は例えば、電極、抵抗、ダイオードまたは電気回路を有していてもよい。
図4に図示の例において、この受動構成要素は有利には薄膜抵抗Rから成っている。
【0072】
発光体が選択されると、データ電圧Vdataは変調器Mのゲートに供給され、かつドレイン電流は変調器Mおよび発光体Eを通って流れる。この電流は次の1次式に従って定義されている:
Id=(V
dd−V
data)/R (式1)。
【0073】
それ故にこれはここでは固定負荷Rに基づいたデータ電圧V
dataによって制御される電流発生器である。この固定負荷のために、発光体は有利には、ダイオードまたは発光体Eの特性とは完全に無関係に駆動するとよい。
【0074】
変調器Mおよび発光体Eを流れる電流はそのトリップしきい値電圧に無関係であることも述べておく。更に、回路給電電圧V
ddは一定であるので、ドレイン電流はデータ電圧V
dataによって直接制御可能である。それ故に固定のデータ制御電圧に対して、ドレイン電流は一定である。
【0075】
更に、上述したように、ピクセルが走査された後、変調器Mはその飽和動作モードにありかつドレイン電流は次の式によって定義されている:
I
d=k・2.W/I(V
gs−V
th)
2 (式2)。
【0076】
固定のデータ電圧に対しては、ドレイン電流ldは一定であり(式1参照)かつそれ故にトリップしきい値電圧V
thとゲート−ソース電圧は一定である。
【0077】
従って、演算増幅器のフィードバックのお陰で、トリップしきい値電圧V
thおよびゲート−ソース電圧は持続的に相互に調整される。
【0078】
結果的に、ドレイン電流は種々のn形トランジスタのトリップしきい値電圧とともに変化することはない。ピクセル毎に違っていてももはや発光体を流れる電流に影響することはない。
【0079】
図5には、アドレス回路変調器がn形の構成要素であるアクティブマトリクスディスプレイパネルの発光体のアレイの1部分が略示されている。
【0080】
従来、この種のディスプレイパネルにおいて、発光体およびそのアドレス回路のアレイは行および列に配置されている。
【0081】
有利には、走査電圧V
selectを行nの電極に供給すると、この行のピクセルに対するすべての制御スイッチI1および第2の制御スイッチI2が制御される。
【0082】
表示されるべき画像に相応するビデオデータ電圧V
data,iおよびV
data,jは列電極を介して列の演算増幅器に供給される。
【0083】
有利には、
図5に示されている発光体のアレイは、列毎に1つの演算増幅器しか有していない。この演算増幅器A
inはこの列の変調器M
in,M
imのそれぞれの種々のトリップしきい値電圧を補償することができる。
【0084】
発光体のアレイのそれぞれの行が、画像フレームに相応する走査を以て走査されると、ディスプレイパネルの種々の列の演算増幅器A
in,A
imは同時にこの行の変調器すべてのトリップしきい値電圧を補償する。
【0085】
1つの列の演算増幅器の出力側は、第1の制御スイッチI1を介してこの列の変調器のそれぞれのゲートに接続されている。この列の演算増幅器の反転入力側(−)は第2の制御スイッチI2を介して、この列の変調器のそれぞれのソースに接続されている。
【0086】
発光体E
inを選択するために、選択電圧V
selectはこの発光体E
inの行nの行電極に供給されかつ所望の発光を実現するために、データ電圧Vd
ataはそれからこの発光体E
inの列の列iの電極に供給される。
【0087】
第1の制御スイッチI1および第2のスイッチI2がターンオンされると、上に説明したように、データ制御電圧V
dataが変調器Mのソースに供給される。この変調器のトリップしきい値電圧は列増幅器A
inの出力によって補償されかつ変調器M
inは発光体E
inにドレイン電流を供給する。
【0088】
発光体のパネルまたはアレイは列毎に単一の演算増幅器しか有しておらず、しきい値電圧変動を補償するものであり、かつこのパネルのそれぞれのピクセルは3つのトランジスタしか有していないので、非常に均一な輝度レベルおよび非常に良好で快適な視認性を提供する安価なパネルが実現される。
付記1
アクティブマトリクス画像ディスプレイ装置であって、
− 行および列に分配されている発光体アレイを形成する複数の発光体(Ejn,Ei
n,Eim)を備え、
− アレイの発光体の放出を制御するための手段を備え、該手段は
− アレイのそれぞれの発光体(Ejn,Ein,Eim)に対して、発光体を制御することができる電流変調器(Min)を有しており、該電流変調器はソース電極、ドレイン電極、ゲート電極およびトリップしきい値電圧(Vth)を有しており、該トリップしきい値電圧(Vth)は変調器(Min)毎に変化するものであり、
− 発光体(Ein,Eim)のそれぞれの列の発光体をアドレス指定することができる列アドレス手段を有しており、該手段は前記変調器(Min,Mim)のゲート電極にデータ電圧(Vdata,i)を供給して該変調器を制御し、
− 発光体のそれぞれの行の発光体を選択電圧を供給することによって選択することができる行選択手段を有しており、
− それぞれの変調器(Mim)のトリップしきい値電圧(Vth)を補償するための補償手段(Ain,Ajn,11,21)を備えている形式のものにおいて、
− 前記補償手段は少なくとも1つの演算増幅器を有しており、該演算増幅器のフィードバックが少なくとも1つの変調器のトリップしきい値電圧を該電圧の値にいかんに拘わらず補償することができ、かつ
− 前記増幅器は反転入力側(−)、非反転入力側(+)および出力端子を有しており、かつ
− 演算増幅器の非反転入力側(+)は前記変調器を制御する列アドレス手段に接続されており、かつ
− 演算増幅器の反転入力側(−)は前記変調器のソース電極に接続されており、かつ
− 演算増幅器の出力側は前記変調器のゲート電極に接続されている
ことを特徴とする画像ディスプレイ装置。
付記2
前記制御手段は、発光体と関連した前記変調器に対して、演算増幅器(Ain,11,21)の出力側と前記変調器(Min)のゲート電極との間に接続されている少なくとも1つの第1の制御スイッチ(I1)を有しており、該第1の制御スイッチは当該発光体(Ein)に対する行選択電圧(Vselect,in)を受信することができるゲート電極を有している付記1記載の画像ディスプレイ装置。
付記3
前記制御手段は、発光体と関連した前記変調器に対して、演算増幅器(Ain,11,21)の反転端子(−)と前記変調器(Min)のソース電極との間に接続されている第2の制御スイッチ(I2)を有しており、該第2の制御スイッチは同時に選択電圧(Vselect)を受信することができるように前記第1の制御スイッチ(I1)のゲート電極に接続されているゲート電極を有している付記2記載の画像ディスプレイ装置。
付記4
行選択手段は当該行における少なくとも1つの発光体(Ein)を選択するために前記第1のスイッチの少なくとも1つのゲート電極に給電することができる
付記2または3記載の画像ディスプレイ装置。
付記5
補償手段は列の発光体(Ein,Eim)を制御する変調器(Min,Mim)のすべてのトリップしきい値電圧(Vth)を補償することができる付記1から4までのいずれか1つに記載の画像ディスプレイ装置。
付記6
変調器(Min)および第1の制御スイッチ(I1)および第2の制御スイッチ(I2)は薄膜ポリシリコンまたは薄膜アモルファスシリコンにおいて製造された構成要素である付記3から5までのいずれか1つに記載の画像ディスプレイ装置。
付記7
変調器(Min)はn形トランジスタでありかつそのドレインは給電手段(Vdd)によって給電される付記1から6までのいずれか1つに記載の画像ディスプレイ装置。
付記8
変調器(Min)はp形トランジスタでありかつ
制御手段は更に、変調器(Min)のソースと電圧供給電極(Vdd)との間に配置されている受動構成要素(R)を含んでいる付記1から6までのいずれか1つに記載の画像ディスプレイ装置。
付記9
それぞれの発光体(E)は有機発光ダイオードである付記1から8までのいずれか1つに記載の画像ディスプレイ装置。
付記10
定義されないトリップしきい値電圧(Vth)を有する電流変調器(M)を制御するための回路であって、該回路はトリップしきい値電圧補償手段を含んでいる形式のものにおいて、
該トリップしきい値電圧補償手段は少なくとも1つの演算増幅器(11,21)を有しており、該演算増幅器の出力側は前記変調器のゲート電極に接続されており、該変調器の反転入力側(−)は該変調器のソース電極に接続されており、かつ該演算増幅器のフィードバックが変調器のトリップしきい値電圧を補償して、該変調器(M)を流れるドレイン電流の強度が変調器(M)のトリップしきい値電圧(Vth)に無関係であるようにしたことを特徴とする電流変調器の制御回路。