特許第5688085号(P5688085)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ディッケル マホ ゼーバッハ ゲーエムベーハーの特許一覧

<>
  • 特許5688085-工作機械 図000002
  • 特許5688085-工作機械 図000003
  • 特許5688085-工作機械 図000004
  • 特許5688085-工作機械 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5688085
(24)【登録日】2015年1月30日
(45)【発行日】2015年3月25日
(54)【発明の名称】工作機械
(51)【国際特許分類】
   B23Q 1/01 20060101AFI20150305BHJP
   B23Q 11/00 20060101ALI20150305BHJP
【FI】
   B23Q1/01 F
   B23Q11/00 Q
【請求項の数】8
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-529151(P2012-529151)
(86)(22)【出願日】2010年9月14日
(65)【公表番号】特表2013-504443(P2013-504443A)
(43)【公表日】2013年2月7日
(86)【国際出願番号】EP2010005643
(87)【国際公開番号】WO2011032682
(87)【国際公開日】20110324
【審査請求日】2013年6月20日
(31)【優先権主張番号】102009041596.3
(32)【優先日】2009年9月15日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】505377326
【氏名又は名称】ディッケル マホ ゼーバッハ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100066692
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 皓
(74)【代理人】
【識別番号】100072040
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 肇
(74)【代理人】
【識別番号】100123180
【弁理士】
【氏名又は名称】白江 克則
(74)【代理人】
【識別番号】100072822
【弁理士】
【氏名又は名称】森 徹
(72)【発明者】
【氏名】チェルマン、ウド
【審査官】 大山 健
(56)【参考文献】
【文献】 特表平02−504371(JP,A)
【文献】 特開平05−337782(JP,A)
【文献】 実開昭60−175541(JP,U)
【文献】 特開昭60−062433(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 1/01
B23Q 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作物の機械加工用の工作機械であって、
X座標軸方向に延びる長手側面を有する高剛性の機械基材(1)と、
前記機械基材上を移動できる移動スタンド(4)と、
前記移動スタンド(4)に可動的に取付けられ、少なくとも1つの切削工具を有する機械加工ユニット(9,10)と、
前記機械基材(1)の長手側前部に備えられ、少なくとも1つの工作物を固定保持するための支持構造体(12)と
を有する工作機械において、
前記支持構造体(12)が高剛性の支持フレーム(11)を有し、該支持フレームの長手方向部材(13,14)が、横方向に間隔をおいて配置されて、切り屑除去用の自由空間を画成しており、
前記支持フレーム(11)が、異なる工作物キャリヤ(30,35,36)を受けて載せることができるようになっており、
前記支持フレ―ム(11)が、該支持フレームの長手方向に間隔をおいて配置された横方向支持体(22,23,24)により支持され、
前記横方向支持体(22〜24)が、前記機械基材(1)の長手側前部に備えられた連続的な下部構造体(20)上に配置され、切り屑およびその他の作業物質用の傾斜滑り上面を有することを特徴とする、工作機械。
【請求項2】
前記長手方向部材(13,14)が、異なる種類の工作物ホールダを固定して支持するための支持部材を有することを特徴とする、請求項1に記載された工作機械。
【請求項3】
前記支持フレーム(11)を支持する前記下部構造体(20)が、前記機械基材に剛性的に固定して取付けされるか、または機械基材と一体に形成されることを特徴とする、請求項1または請求項に記載された工作機械。
【請求項4】
少なくとも1つの工作物テーブル(30,31,32)が、工作物ホールダとして、前記支持フレーム(11)の2つの前記長手方向部材(13,14)上に、固定されてまたは移動可能に、取付けられることを特徴とする、請求項1から請求項までのいずれか1項に記載された工作機械。
【請求項5】
工作物を固定し回転させるための少なくとも1つのクランプ装置(35,36)が、工作物ホールダとして、前記支持フレーム(11)の2つの前記長手方向部材(13,14)上に、固定されてまたは移動可能に、取付けられることを特徴とする、請求項1から請求項までのいずれか1項に記載された工作機械。
【請求項6】
回転駆動される鉛直の円形テーブルを有する少なくとも1つのクランプ装置が、工作物ホールダとして、前記支持フレームの2つの前記長手方向部材(13,14)に、移動可能にまたは固定されて、長手方向に取付けられることを特徴とする、請求項1から請求項までのいずれか1項に記載された工作機械。
【請求項7】
前記長手方向部材(13,14)上の案内レール上を移動可能な前記クランプ装置(36)に、駆動ユニット(43)が配置されることを特徴とする、請求項または請求項に記載された工作機械。
【請求項8】
前記支持フレームの下方に、切り屑およびその他の作業物質を捕集する捕集容器が配置されることを特徴とする、請求項1から請求項までのいずれか1項に記載された工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作物の機械加工用の工作機械に関するものである。この工作機械は、高剛性の機械基材と、機械基材上を水平方向に移動できる移動スタンドと、移動スタンドに移動可能に取付けられ、かつ少なくとも1つの交換可能な切削工具および少なくとも1つの工作物を受容し固定するために機械基材の長手側前部に備えられた支持構造体を有する機械加工ユニットとを有するものである。
【背景技術】
【0002】
長手方向寸法の大きい工作物の機械加工に使用される工作機械は、通例、平らで細長の機械基材上をモータにより移動可能な機械スタンド、いわゆる移動スタンドを有する工作機械である。近年、移動スタンドの移動用駆動ユニットとして多くの場合に使用されるのは電動型のリニアモータであるが、このモータは、従来の電気機械型または流体型の駆動装置に比較して、加速、精度、費用等の点で優れている。上記の工作機械の場合、支持構造体が機械基材の長手側前部に備えられ、この支持構造体上に長手方向寸法の長い1つまたは複数の被加工工作物を取り付けることができる。これらの支持構造体は基板状に構成されて、動かない又は長手方向に移動可能な工作物テーブルを受容するように構成されている。この種のシステムの著しい欠点は、切り屑が支持構造体と工作物テーブル各々の平らな表面上に堆積し、自動的に除去できない点である。さらに、これらの公知の支持構造体は、様々な工作物の受容に応じて変更することが制限される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、多量の切り屑を発生させる相当の体積を有する工作物の加工に適し、とりわけ有用な切り屑除去と作業空間の有効利用が可能な、工作物の機械加工用の工作機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、この目的は、支持構造体が、高剛性(寸法変化の小さい、dimensionally rigid)のフレームを有し、このフレームの長手方向部材が、少なくとも部分開放された基材に支持され、このフレームに種々の工作物キャリヤを取付けることを可能にすることにより解決された。
支持構造体を、互いに間隔をおいた長手方向部材を備えた高剛性フレームとして構成することにより、2つの長手方向部材の間に自由空間が形成され、加工時に発生する切り屑および液体は、この自由空間を通って落下し、適当な捕集容器に集めることができる。さらに、この長手方向部材は、種々の工作物支持装置、例えば定置型および/または可動型の工作物テーブル、工作物回転テーブル、交換可能なパレット、垂直クランプ・システム等を配置できるように構成される。
【0005】
支持フレームのこれらの長手方向部材は、直接に基部に支えられた連続的または断続的な棒部材に載置できる。さらに、支持フレームは、フレームの長手方向に互いに間隔をおいた複数の横方向支持体に支持されることが好ましい。この横方向支持体は、連続的な下部構造体上に配置され、この下部構造体は、機械基材の長手側前部に設けられ、切り屑等用の傾斜滑り上面を備えている。互いに間隔をおいて配置された横方向支持体は、長手方向部材の対応部分と共に自由空間を画成し、この自由空間を通して切り屑その他の作業物質が落下できる。横方向支持体の間にも延びる下部構造体傾斜面により、重力による切り屑の自動的除去がさらに可能になる。
長手方向部材は、移動可能な工作物キャリヤ用の案内レール、および定置型の工作物キャリヤを固定するクランプ装置を簡単に取付けりことのできる外形を有することが好ましい。
【0006】
工作機械全体が特に高い剛性を有することは、支持フレームおよび支持構造体の下部構造体をそれぞれ移動スタンド装置の下部基部と一体構成することにより達せられる。しかし、いわゆる2ブロック構造を用いて、基板状下部構造体および支持構造体を、それぞれ別個の構造ユニットとして製作し、適当な手段によって互いに結合してもよい。
本発明の好ましい構成によれば、少なくとも1つの工作物テーブルを工作物ホールダとして、支持フレームの2つの長手方向部材上に固定的にまたは可動的に取付けることにより、クランプされた工作物を連続的に加工できる。
【0007】
本発明の別の好適具体例によれば、少なくとも1つのクランプ装置を工作物のクランプ用および回転用の工作物ホールダとして、支持フレームの2つの長手方向部材上に固定的にまたは可動的に取付けできる。このクランプ装置は、工作物を水平方向に固定できるので、間隔をおいて配置された2つのクランプ装置を使用することにより、工作物の両端を固定できる。このクランプ装置は、鉛直方向のクランプ板を有する回転駆動型円テーブルでもよい。クランプ装置は、長手方向部材に取付けられた案内レール上を、例えばスピンドル駆動装置などの適当な駆動ユニットにより移動できるようにしておくことが好ましい。
本発明の別の好適な構成によれば、支持構造体の支持フレームの下方に、切り屑その他の作業物質の捕集容器が配置される。
以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の工作機械の一実施例の全体図。
図2】機械基材および支持構造体を有する図1の工作機械の下部の斜視図。
図3】本発明の支持構造体の実施例。図3aは複数の工作物テーブルを有し、図3bは2つのクランプ装置を有する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1に全体を示した工作機械は、X軸方向を長手方向として延びる平らな機械基材1を含み、この機械基材1が、上側案内部を有する互いに平行な2つの長手方向棒部材2,3を有している。平らな機械基材1の2つの長手方向棒部材2,3上を、移動スタンド4がX軸方向にモータにより移動できるようになっている。移動スタンド4には工具マガジン5が連結され、この工具マガジンは水平のチェーン・マガジンとして構成され、工具交換器6を有している。加工ユニット9は、移動スタンド4の前側の案内レール7,8により案内され、鉛直方向に変位できる。加工ユニット9は、その前側に鉛直方向を向いて配向されたワークスピンドルを有するフライスヘッド10を備えている。
【0010】
機械基材1のZ軸方向前側には、本発明により構成され、以下に詳しく説明する支持構造体12が配置されている。この支持構造体は2つの長手方向部材13,14を有しており、この長手方向部材がX軸方向に所定の横断距離をもって延びることで、中間の長く延びる自由空間15を両側で規定している。両方の長手方向部材13,14は、それぞれ内側に水平の長手方向突出部15,16を備えた断面を有し、この突出部が、例えば横断部材17を両側で支持し案内するレールとして役立つ。2つの長手方向部材13,14は鉛直の外側面を有し、部材の上面18,19は、図示の実施例では、同じ水平面内に延びている。
【0011】
同じく機械基材1の長手側前部には高剛性の下部構造体20が備えられている。下部構造体20は、機械基材1の2つの長手方向棒部材2,3と一体形成されるか、または別個の構造ユニットとして2つの長手方向棒部材2,3としっかりと結合されてもよい。この下部構造体20は、前側に、その全長にわたって延びる傾斜面21を有し、この傾斜面が、切削加工時に発生する固体や液体の滑り面として役立つ。さらに図2から明らかなように、下部構造体20の前部傾斜面には、複数の(この場合は3つの)横方向支持体22,23,24が配置され、この支持体は水平面内に延びる上面部分を有している。横方向支持体22,23,24の前部上面部分には、図2に示した前部長手方向部材13が支持され、支持体22,23,24の後部(機械側)には後部長手方向部材14が載置される。2つの長手方向部材13,14は、間隔をおいて支承板25,26,27により保持されており、この支承板は、図2に示す実施例では支持体22,23,24の中央部に載置されている。支持体22,23,24は、それらの裏側が傾斜面21に支持され、この傾斜面21の傾斜角度は、発生する切り屑が傾斜面に付着せずに滑り落ちる角度に選択されている。
【0012】
図3aに示したフレーム構造体は、その技術的思想が図1および図2の実施例に対応しているので、既述の個々の説明は繰り返さない。図面では、同じ構成部材には同じ符号が付されている。
図1および図2には、本発明により構成された支持構造体が工作物キャリヤなしで示されている。図3aの実施例では、支持構造体12の2つの長手方向部材13,14の間に、合計3つの工作物テーブル30,31,32が順に配置されている。これらの工作物テーブルは、何らかの装置(図示せず)により長手方向に移動可能にされるか、または各々の位置に固定して配置される。これらの工作物テーブル30,31,32のクランプ板上には、通常の方法で工作物を固定できる。
【0013】
図3bの実施例の場合も、2つの互いに平行な長手方向部材13,14の使用という図1および図2で説明した技術的思想が実現されている。図3bに示した支持構造体12の長手方向部材13,14により形成された支持フレーム上には、2つのクランプ装置35,36が配置され、これらのクランプ装置はそれぞれ、向き合った端側に細長の工作物を固定するクランプ機構37,38を備えている。この実施例では、左側のクランプ装置35が、長手方向部材上面上の支持レール39,40に固定的に取付けられている。図3bの右側のクランプ装置36は、2つの案内レール41,42上を移動できるので、両クランプ装置35,36の間隔が調節できるようになっている。クランプ装置36は、駆動装置43に接続され移動できるようになっている。
【0014】
図示の工作物キャリヤ、すなわち工作物テーブル30,31,32およびクランプ装置35,36ではなく、別の適当な工作物キャリヤ、例えば回転駆動型の円形テーブルを、工作物テーブル30,31,32の代わりに使用することができる。本質的なことは、2つの長手方向部材13,14を有する支持フレーム12により、種々の工作物キャリヤの使用時にも十分に大きな剛性が保証されることであり、切り屑並びにその他の作業物質が、有害な堆積を生じることなしに2つの長手方向部材間の自由空間を落下できることである。
図1
図2
図3a
図3b