(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
支持体は、厚さ1〜45μmの樹脂フィルムを含み、該樹脂フィルムはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートまたはこれらの組み合わせを含む、請求項1記載の貼付剤。
支持体は、多孔質フィルムと樹脂フィルムの積層体であり、該多孔質フィルムおよび該樹脂フィルムがともにポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートまたはこれらの組み合わせを含む、請求項1記載の貼付剤。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1記載の皮膚貼付材においては、包装体内での保存中に包装体の内面に皮膚貼付材の端部が接触する機会が十分には低減されず、包装体内で皮膚貼付材の端部から皮膚接着層のはみ出しがあった場合に、皮膚貼付材が包装体内面に付着することが十分には抑制されないため、包装体内から皮膚貼付材が取り出しにくくなるおそれがある。また、皮膚貼付材が皮膚貼付時に衣服などと接触し得る場合、皮膚貼付材の端部が衣服などとこすれる機会が十分には低減されず、端部がめくれるおそれがある。さらに、周縁部の皮膚接着層の厚さが小さいため、中央部と比較して、周縁部においては皮膚接着力が低下するおそれがある。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、包装体内での保存中に包装体の内面に貼付剤の端部が接触する機会が低減され、包装体内で貼付剤の端部から粘着剤層成分のはみ出しがあったとしても、貼付剤が包装体内面に付着することが抑制され、包装体内から取り出しやすく、皮膚貼付時に端部が衣服などとこすれる機会が低減され、端部がめくれにくく、十分な皮膚接着力を有し、皮膚面からきわめて脱落しにくい貼付剤、およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、鋭意検討した結果、型押しによる盛り上がりの形成を避けるのではなく、逆にこれを利用することにより上述の課題を達成し得ることを見出し、以下の特徴を有する本発明を完成した。すなわち、本発明は以下に示される内容を包含する。
[1]支持体と、該支持体の少なくとも片面に積層された粘着剤層とを備える貼付剤本体を有する貼付剤であって、
貼付剤本体は周辺部と中央部を有し、該周辺部と該中央部の間に中間部をさらに有し、
貼付剤本体の中間部の厚さは、貼付剤本体の中央部の厚さより大きく、かつ
貼付剤本体の中央部の厚さは、貼付剤本体の周辺部の厚さより大きい
ことを特徴とする貼付剤。
[2]中間部における貼付剤本体の最も厚さが大きい箇所の厚さと、周辺部における貼付剤本体の厚さの差は、30〜3000μmであり、中間部における貼付剤本体の最も厚さが大きい箇所の厚さと、中央部における貼付剤本体の厚さの差は、15〜1500μmであり、かつ中央部における貼付剤本体の厚さと、周辺部における貼付剤本体の厚さの差は、20〜2000μmである、前記[1]記載の貼付剤。
[3]支持体は、厚さ1〜45μmの樹脂フィルムを含む、前記[1]または[2]記載の貼付剤。
[4]支持体が熱可塑性樹脂を含む、前記[1]または[2]記載の貼付剤。
[5]熱可塑性樹脂がポリエチレンテレフタレートを含む、前記[4]記載の貼付剤。
[6]粘着剤層は非架橋である、前記[1]または[2]記載の貼付剤。
[7]粘着剤層は有機液状成分を含む、前記[1]または[2]記載の貼付剤。
[8]粘着剤層上に積層された剥離ライナーを有する、前記[1]〜[7]のいずれかに記載の貼付剤。
[9]剥離ライナーは、貼付剤本体よりも外側へ延出する延出部を有する、前記[8]記載の貼付剤。
[10]支持体と、該支持体の少なくとも片面に積層された粘着剤層と、該粘着剤層上に積層された剥離ライナーとを有する貼付剤原反の支持体側の表面のうち、貼付剤本体の周辺部に対応する領域を加熱、加圧することにより前記周辺部の内側に盛り上がり形状を有する中間部を形成することを特徴とする、前記[8]または[9]記載の貼付剤の製造方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明の貼付剤は、貼付剤本体は周辺部と中央部を有し、該周辺部と該中央部の間に中
間部をさらに有し、貼付剤本体の中間部の厚さは、貼付剤本体の中央部の厚さより大きく、かつ貼付剤本体の中央部の厚さは、貼付剤本体の周辺部の厚さより大きい。このため、本発明の貼付剤を包装体内に包装した場合、貼付剤本体の中間部が盛り上がり形状に基づく機能を果たし、さらに中央部が包装体を支えるように機能するので、包装体の内面に貼付剤の端部が接触する機会が減少し、端部から粘着剤層成分のはみ出しや流れ出しがあったとしても、貼付剤が包装体に付着することが抑制される。したがって、本発明の貼付剤によれば包装体内から貼付剤を取り出しやすくすることができる。
【0014】
本発明の貼付剤は、皮膚に貼付した後に衣服などと接触し得る場合、貼付剤本体の周辺部の厚さが小さく、中間部が盛り上がり形状に基づく機能を果たすので、貼付剤の端部が衣服などとこすれる機会を低減することができる。また貼付剤本体の中央部の厚さが、貼付剤本体の周辺部の厚さより大きいため、そのような中央部が衣服などを支えるように機能することができ、そのため貼付剤の端部が衣服などとこすれる機会をさらに低減することができる。さらに、厚さの大きい貼付剤本体の中間部の粘着剤層の皮膚接着力は、厚さの小さい貼付剤本体の周辺部の粘着剤層の皮膚接着力を補償し、貼付剤に十分な皮膚接着力を提供することができる。さらに、貼付剤本体の中央部の厚さは、貼付剤本体の中間部の厚さより小さいため、中間部が衣服を支え、中央部が衣服とこすれる機会を低減することができる。したがって、本発明の貼付剤は、皮膚面からきわめて脱落しにくい。
【0015】
さらに、本発明の貼付剤は、剥離ライナーが貼付剤本体よりも外側へ延出する延出部を有する実施態様において、貼付剤が包装体内に収容されている間、貼付剤本体の端部が包装体内面に接触する機会を延出部が減少させるので、貼付剤本体の端部から粘着剤層成分がはみ出しまたは流れ出したとしても、これが包装体内面に付着して貼付剤が包装体から取り出しがたくなることを抑制することができる。
【0016】
本発明の貼付剤の製造方法によれば、包装体内から貼付剤を取り出しやすく、皮膚面からきわめて脱落しにくい貼付剤を効率的に製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書において、貼付剤とは薬物を含有しないものだけでなく、薬物を含有する貼付製剤も包含する概念であるが、薬物を含有するものは特に貼付製剤ということにする。
【0019】
以下、本発明を、添付図面を引用しつつ説明する。なお、図中、各要素を明示するため要素間の寸法比率は実際とは異なっている。
図1は、本発明の貼付剤の一例の模式図である。本発明の貼付剤は、支持体21と、該支持体21の少なくとも片面に形成された粘着剤層22とを備える貼付剤本体24を有し、該貼付剤本体24の粘着剤層22の粘着面上に積層され、皮膚へ貼付する前に粘着面を保護するための剥離ライナー23を有し得る。本発明の貼付剤は、貼付剤本体24が周辺部3と中央部1を有し、該周辺部3と該中央部1の間に中間部2をさらに有し、貼付剤本体24の中間部2の厚さが、貼付剤本体24の中央部1の厚さより大きく、かつ貼付剤本体24の中央部1の厚さが、貼付剤本体24の周辺部3の厚さより大きいことを特徴とする。
【0020】
図1の詳細aに示すように、中央部1と周辺部3については、支持体の表面がほぼ平面であり、支持体が湾曲した表面を有する箇所としては、
1)粘着剤層22は中央部1と同じ厚さかまたは中央部1よりも大きい厚さを有するが、支持体21の表面の高さは中央部1よりも高い領域2a;
2)粘着剤層22の厚さが中央部1よりも大きく、支持体21の表面の高さも中央部1よりも大きい領域2b;
3)粘着剤層22の厚さは中央部1よりも小さく周辺部3よりも大きいが、支持体21の表面の高さは中央部1よりも大きい領域2c;および
4)粘着剤層22の厚さは中央部1よりも小さく周辺部3よりも大きいが、支持体21の表面の高さは中央部1よりも小さく、周辺部3よりも大きい領域2d
といったような領域が挙げられる。これらの湾曲した表面を有する領域のうち、本発明における中間部2とは、
図1に示すように、上記2a、2bおよび2cを含む領域2を指す。したがって、中間部2においては、粘着剤層22の厚さが中央部1と同じである領域、中央部1よりも大きい領域、および中央部1よりも小さい領域が存在する。
【0021】
本発明の貼付剤は実質的に平面状の扁平な形態である。本発明の貼付剤の平面形状は、
図1に示されるような略矩形のほか、三角形、五角形などの多角形、すなわち略直線で輪郭付けられる形状、楕円、円形などの曲線で輪郭づけられる形状、それらの組み合わせなどが挙げられるがこれらに限定されない。貼付剤の寸法も限定されず、貼付剤の用途や適用箇所の大きさなどに応じて、適宜選択することができるが、例えば貼付剤が
図1に示されるような略矩形の形状の場合、その1辺の長さが30〜90mmであり、他辺の長さが30〜90mmであることが一般的である。
【0022】
図2に、包装体に収容した本発明の貼付剤の例を、中間部を中心とするその特徴的な形状の部分に限定して、模式的に示す。
図2に示されるように、貼付剤を包装体31内に収容した場合、貼付剤本体の中間部2が盛り上がり形状に基づく機能を果たし、包装体31の内面に貼付剤の端部が接触する機会を減少させる。すなわち、貼付剤本体24の厚さは、中間部2と周辺部3とでは差があり、中間部2における厚さのほうが周辺部3における厚さよりも大きく、この厚さの差により中間部2が包装体31を支えるように機能するので、粘着剤層22の端部が包装体の内面に接触する機会が減少する。したがって、貼付剤を包装体に封入して保管する際に、貼付剤端部からの添加剤などの粘着剤層成分のはみ出しによって貼付剤が包装体の内面に付着することが効果的に抑制される。かくして本発明の貼付剤によれば、貼付剤を包装体から容易に取り出すことが可能となる。
【0023】
また、貼付剤本体24の厚さは、中央部1における厚さのほうが周辺部3における厚さよりも大きく、この厚さの差により中央部1が包装体31を支えるように機能するので、粘着剤層22の端部が包装体の内面に接触する機会がさらに減少し、貼付剤が包装体の内面に付着することが効果的に抑制される。
【0024】
図3に、皮膚に貼付され、衣服に接触する本発明の貼付剤の例を、中間部を中心とするその特徴的な形状の部分に限定して、模式的に示す。
図3に示すように貼付剤本体の周辺
部3の厚さが小さく、中間部2が盛り上がり形状に基づく機能を果たすので、本発明の貼付剤を皮膚32に貼付した場合、貼付剤の端部が、貼付剤に接触し得る衣服33とこすれる機会を低減することができる。
【0025】
また、貼付剤本体の中央部1の厚さは、貼付剤本体の中間部2の厚さより小さいため、中間部2が衣服33を支え、中央部1が衣服33とこすれる機会を低減することができる。したがって本発明の貼付剤は皮膚から脱落しにくい。
【0026】
さらに、中間部2の粘着剤層22であって、厚さが中央部1の粘着剤層22よりも大きい領域の粘着剤層(
図1の領域2bの粘着剤層)は、中央部1の粘着剤層22よりも大きな皮膚接着力を与え、これが厚さの小さい貼付剤本体の周辺部3の粘着剤層22の皮膚接着力を補償し、貼付剤に十分な皮膚接着力を提供することができる。したがって、本発明の貼付剤は皮膚面からきわめて脱落しにくい。
【0027】
次に本発明の貼付剤本体の形状および寸法を、特にその特徴的な形状の部分について、より具体的に説明する。周辺部の平面形状は、その幅が0.29〜5mm、より好ましくは0.29〜3.5mmの帯状である部分を有することが好ましい。周辺部の幅を上記範囲内にすることによって、粘着剤層成分の貼付剤の端部からのはみ出しまたは流れ出しをより効果的に抑制することができ、かつ、粘着剤層の周辺部が大きくなりすぎることがないため、貼付剤の周辺部の接着力の低下をより効果的に防止することが出来る。十分に本発明の効果を達成するためには、このような帯状である部分を貼付剤の各周辺部に有することが好ましい。
【0028】
中央部の粘着剤層の厚さとしては、50〜5000μmが例示され、好ましくは150〜4000μmである。上記の範囲にすることで、接着力の低下をより効果的に防止でき、かつ、粘着剤層の形状を保持することが容易なため、貼付剤の端部からの粘着剤層成分のはみ出しをより効果的に抑制することが出来る。
【0029】
周辺部における粘着剤層の厚さは、所要の皮膚接着力を確保する観点から好ましくは1.5μm以上である。中央部における貼付剤本体の厚さと周辺部における貼付剤本体の厚さの差は、中央部に包装体や衣服を支えさせ、貼付剤本体の端部が包装体や衣服とこすれる機会を低減させ、かつ中央部の粘着剤層に必要な粘着力を付与する観点から好ましくは20〜2000μmである。
【0030】
支持体の厚さは周辺部から中央部にわたってほぼ一定であるため、中央部における粘着剤層の厚さと周辺部における粘着剤層の厚さの差については、上記と同様である。
【0031】
前記のように盛り上がり形状に基づく機能を発揮させる観点から、中間部における貼付剤本体の最も厚さが大きい箇所の厚さと、周辺部における貼付剤本体の厚さの差は、好ましくは30〜3000μmであり、より好ましくは50〜1000μmである。支持体の厚さは周辺部から中央部にわたってほぼ一定であるため、中間部における粘着剤層の最も厚さが大きい箇所の厚さと、周辺部における粘着剤層の厚さの差についても同様である。これらの差を30〜3000μmにした場合、前記の皮膚接着力を補償する効果が十分得られる。また3000μmを前記差の上限とすることで、貼付剤としての柔軟性がもたらされ、貼付剤がコンパクトで取り扱いが容易となる。
【0032】
中間部に衣服を支えさせ、中央部が衣服とこすれる機会を低減させる観点から、中間部における貼付剤本体の最も厚さが大きい箇所の厚さと、中央部における貼付剤本体の厚さの差は、好ましくは15〜1500μmである。また盛り上がり形状に基づく機能を発揮させる観点から、中間部の幅は100〜10000μmが好ましい。
【0033】
以上のような貼付剤において、支持体としては、特に限定されないが、実質的に薬物等不透過性であるもの、即ち粘着剤層の活性成分や添加剤等が支持体中を通って背面から失われて含有量の低下を引き起こさないものが好ましい。
【0034】
本発明では好ましくは、支持体は多孔質体と樹脂フィルムの積層体であり、該積層体の多孔質体側に粘着剤層が積層される。多孔質体は、表面に凹凸を有し、該凹凸は、粘着剤層中に含まれ得る空隙(気泡)が移動し、または消失することを抑制すると考えられ、したがって多孔質体を用いれば、粘着剤層成分の流出やはみ出しを抑制し得る。また、多孔質体を用いれば、それ自体が空隙部(気泡)を有しており、これが貼付剤の周辺部の粘着剤層に移動し、さらにはこれが粘着剤層中の気泡と融合して周辺部でさらに大きな気泡が形成され得るので、本発明の効果が増強されるものと考えられる。貼付剤の端部から流出しようとする粘着剤層成分が気泡の空間に入り込み得るため、そのような気泡が粘着剤層成分の流出やはみ出しを効果的に抑制し得るからである。
【0035】
このような多孔質体としては多孔質フィルム・シートが挙げられ、シートが厚さ200μm以上のものを指すとすると多孔質フィルムが好ましい。前記多孔質フィルムとしては、単層フィルムであっても積層フィルムであってもよく、多孔質体に対する粘着剤層の移動を抑制する投錨力を有するものを好適に使用することができる。具体的には紙、織布、不織布、編布、機械的に穿孔処理を施したフィルム・金属箔、およびこれらの積層体等が挙げられる。これらのうち取扱い性等の観点からは、特に紙、織布、不織布、およびこれらの積層体が好ましく、中でも不織布が好ましい。
【0036】
樹脂フィルムとしては、単層フィルムであっても、積層フィルムであってもよいが、非多孔質であり、活性成分に対して不透過性を示す樹脂からなるフィルムが好ましい。
【0037】
多孔質フィルムと樹脂フィルムは、同様の材質のものであってもよく、異なる材質のものであってもよい。これらのフィルムは公知の方法を用いて積層することができ、本発明の効果および貼付剤の効果を損なわない範囲内で、酸化防止剤、顔料、帯電防止剤などの各種添加剤が適宜配合されていてもよく、表面にコロナ放電処理、紫外線照射処理などの処理が施されていてもよい。
【0038】
支持体を構成するこのような多孔質フィルムおよび樹脂フィルムの材質としては、例えば、ポリエステル、ナイロン、サラン(旭化成、米国ダウケミカル社の登録商標)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、サーリン(米国デュポン社の登録商標)、またはこれらの組み合わせ等が挙げられる。
【0039】
このような樹脂フィルムは、粘着剤層成分が、支持体の背面を透過して、含量が低下することを抑制する作用を有するとともに、粘着剤層が薬物を含む場合、いわゆる密封包帯療法(ODT)効果を達成するために好ましく用いられる。
【0040】
後述の貼付剤本体の周辺部に相当する領域を加圧、加熱することを特徴とする本発明の貼付剤の製造方法を採用する場合、貼付剤本体の中間部の盛り上がりを確保する観点から、支持体を構成する多孔質フィルムと樹脂フィルムの材質としては、加熱され柔軟になった後変形し、冷却後変形された形状が維持されるよう、熱可塑性樹脂、例えばポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン等が好ましく、特にポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレートが好ましい。
【0041】
多孔質フィルムの厚さは、投錨力向上、貼付剤全体の柔軟性及び貼付操作性等の点から
10〜100μmの範囲が好ましい。また、多孔質フィルムとして織布や不織布を用いる場合、効果的な大きさの気泡を確保する観点および投錨性の観点から、その目付量は好ましくは5〜50g/m
2であり、より好ましくは10〜30g/m
2である。
【0042】
本発明において、多孔質フィルムの厚さは、貼付剤をルテニウム酸水溶液で染色した後、凍結ミクロトームにより切断した切断面をFE−SEM(Hitachi,S−4800)で倍率50〜1000倍で撮像し、ゲージ目盛りを読むことで測定する。その際、多孔質フィルムの表面には凹凸が存在するが、断面写真においてその凸部10箇所を無作為に選択し、当該凸部における多孔質フィルムの厚さを算術平均して、多孔質フィルムの厚さとする。
【0043】
また、本発明において、多孔質フィルムの目付量は、上記多孔質フィルムの厚さに多孔質フィルムの比重(見かけ比重)を乗じて、多孔質フィルムの単位面積あたりの重量を計算することで求める。
【0044】
樹脂フィルムの厚さは特に限定されないが、好ましくは1〜45μmである。1μmより小さいと、貼付剤本体の中間部が、貼付剤本体の周辺部および貼付剤本体の中央部よりも厚い形状を維持することが困難となる恐れがある。45μmより大きいと、樹脂フィルムの剛性により貼付時に皮膚に違和感を発生する可能性がある。また、後述の貼付剤本体の周辺部に相当する領域を加圧、加熱することを特徴とする製造方法を採用する場合、貼付剤本体の中間部の盛り上がりを確保できない可能性がある。なお、本発明において、樹脂フィルムの厚さは、上記多孔質フィルムの厚さと同様に測定する。
【0045】
したがって、本発明において望ましい支持体としては、1〜45μm厚のポリエステルフィルム(好ましくは、ポリエチレンテレフタレートフィルム)と、目付量10〜30g/m
2のポリエステル(好ましくは、ポリエチレンテレフタレート)製不織布との積層フ
ィルムである。
【0046】
貼付剤の貼付時の皮膚追従性および快適性を考慮すると支持体のトータル厚さは、好ましくは5〜200μmである。
【0047】
次に粘着剤層を形成するための組成物(粘着剤層形成用組成物)の調製方法、および粘着剤層を構成する成分の配合量について説明する。粘着剤層形成用組成物を調製する際の、以下に記載する各成分の配合量は、溶媒(有機溶剤)を除くすべての成分の配合量に対する各成分の配合量の割合を重量%単位で示したものである。
【0048】
粘着剤層は、粘着剤を必要に応じて薬物、粘着付与剤、有機液状成分などの成分とともに、溶媒の存在下、配合し、混合することにより粘着剤層形成用組成物を得、これを塗布などの方法により層状にし、乾燥することにより形成することができる。粘着剤層としては、皮膚接着性の観点から疎水性粘着剤層が好ましく、したがって非含水系の粘着剤層が好ましい。かかる観点から、前記溶媒としては有機溶剤が好ましい。
【0049】
有機溶剤としては、限定されないが、粘着剤層を構成する前記各成分との相溶性を有し、乾燥工程において容易に揮発させることができるものが好ましい。かかる有機溶剤としては、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素類、酢酸エチルなどのエステル類、エタノールなどのアルコール類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類などが挙げられ、これらは単独でまたは二種以上組み合わせて用いてもよい。
【0050】
前記乾燥は、風乾することにより行ってもよく、乾燥装置、熱風、遠赤外線などを用い
る公知の方法により行ってもよい。
【0051】
前記各成分の混合方法としては、制限されないが、ニーダー、プラネタリーミキサーなどの混練機、ホモジナイザーなどの分散機、プロペラ型翼攪拌機などの攪拌機などが挙げられ、これらは単独で使用することも2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0052】
粘着剤層を構成する粘着剤としては、特に限定されないが、アクリル系重合体からなるアクリル系粘着剤;スチレン−ジエン−スチレンブロック共重合体(例えばスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体など);ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン等のゴム系粘着剤;シリコーンゴム、ジメチルシロキサンベース、ジフェニルシロキサンベース等のシリコーン系粘着剤;ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル系粘着剤;酢酸ビニル−エチレン共重合体等のビニルエステル系粘着剤;ジメチルテレフタレート、ジメチルイソフタレート、ジメチルフタレート等のカルボン酸成分とエチレングリコール等の多価アルコール成分からなるポリエステル系粘着剤等が挙げられる。
【0053】
粘着剤層は、架橋処理を施した架橋粘着剤層であってもよく、架橋処理を施していない非架橋粘着剤層であってもよい。ここで架橋処理とは、貼付剤の皮膚接着力を十分に維持すること、および貼付剤を皮膚表面から剥がす際の皮膚を引っ張り、皮膚の角質層を物理的に剥ぎ取るといった皮膚刺激を低く抑えることを両立させるために、粘着剤層に施される公知の処理を言い、架橋処理としては、化学架橋処理、イオン架橋処理、電子線や紫外線などによる物理架橋処理が挙げられる。架橋剤としては、酢酸亜鉛などの金属塩、エポキシ化合物、アミド化合物、アミン化合物、酸無水物、過酸化物、イソシアネート化合物等が例示される。
【0054】
粘着剤層が非架橋粘着剤層である場合、貼付剤の端部からの粘着剤層成分のはみ出しまたは流れ出しが起こりやすい傾向にあるが、本発明の貼付剤は、粘着剤層が非架橋粘着剤層であっても、粘着剤層成分のはみ出しや流れ出しを効果的に抑制することができ、かかる場合に特に有利である。
【0055】
同様に、粘着剤層がゴム系粘着剤を含む粘着剤層である場合、貼付剤の端部からの粘着剤層成分のはみ出しまたは流れ出しが起こりやすい傾向にあり、本発明の貼付剤は、かかる場合に特に有利である。
【0056】
ゴム系粘着剤は、適度な粘着力および薬剤溶解性を得るために、同一成分または異なる成分で平均分子量の異なるものを混合して使用することができる。例えば、ポリイソブチレンを例に挙げて説明すると、粘度平均分子量1,800,000〜5,500,000の高分子量のポリイソブチレン、粘度平均分子量40,000〜85,000の中分子量のポリイソブチレン、および必要によりさらに低分子量のポリイソブチレンとの混合物が好ましい。なお本発明における粘度平均分子量は、シュタウディンガーインデックス(J
0)を、20℃にてウベローデ粘度計のキャピラリー1のフロータイムからSchulz-Blaschke式により算出し、このJ
0値を用いて下式により求めるものである。
【0058】
ここで、高分子量のポリイソブチレンを10〜80重量%、好ましくは10〜50重量%、中分子量のポリイソブチレンを0〜90重量%、好ましくは10〜80重量%、低分子量のポリイソブチレンを0〜80重量%、好ましくは0〜60重量%の割合で配合することが好適である。なお一般に得られる粘着剤層は、高分子量の成分の割合が増大すると硬質になり、低分子量の成分の割合が増大すると軟質になる。
【0059】
粘着剤層には、適度な粘着性を付与するために、例えば、ロジン系樹脂、ポリテルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、石油系樹脂、テルペン−フェノール樹脂、キシレン樹脂等の粘着付与剤が配合されていてもよく、これらは一種でまたは2種以上を混合して用いられる。前記石油系樹脂としては、脂肪族系(C5系)石油樹脂、芳香族系(C9系)石油樹脂、共重合体系(C5-C9系)石油樹脂、および芳香族系(C9系)石油樹脂を部分水素添加または完全水素添加することによって得られる脂環族飽和炭化水素樹脂が例示される。脂環族飽和炭化水素樹脂としては、軟化点(環球法)90〜150℃のものが好ましい。粘着付与剤の配合量としては、限定されないが、適度な粘着性を付与し、配合量の増大に伴う粘着付与剤の効果を飽和させない観点から10〜40重量%が例示される。
【0060】
本発明の貼付剤は、所望により、粘着剤層が薬物を含むことができ、貼付製剤を提供することができる。ここにいう薬物は特に限定されず、ヒトなどの哺乳動物にその皮膚を通して投与し得る、すなわち経皮吸収可能な薬物が好ましい。
【0061】
所望により、粘着剤層は有機液状成分を含むことができる。有機液状成分としては、特に限定されず、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のグリコール類;オリーブ油、ヒマシ油、ラノリン等の油脂類;スクアラン、流動パラフィンのような炭化水素類;各種界面活性剤;エトキシ化ステアリルアルコール;オレイン酸モノグリセリド、カプリル酸モノグリセリド、ラウリル酸モノグリセリドのようなグリセリンモノエステル;ポリプロピレングリコールといったポリアルキレングリコールのジアルキルエステル;グリセリンジアセテートなどのグリセリンジエステル、グリセリントリアセテートなどのグリセリントリエステル、またはそれらの混合物;クエン酸トリエチルなどの脂肪酸アルキルエステル;長鎖アルコール;オレイン酸、カプリル酸のような高級脂肪酸;ミリスチン酸イソプロピルのような高級脂肪酸のアルキルエステル;N−メチルピロリドン、N−ドデシルピロリドンのようなピロリドン類;デシルメチルスルホキシドのようなスルホキシド類;1,3−ブタンジオール等が挙げられ、これらは1種でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0062】
有機液状成分は、好ましくは10〜60重量%、より好ましくは15〜60重量%、最も好ましくは20〜60重量%の割合で配合することができる。10重量%以上配合する場合に、粘着剤層が可塑化しやすく、粘着剤層の端部からのはみ出しまたは流れ出しが起こりやすいので、これを効果的に抑制できる本発明はこのような場合に有利である。なお
、60重量%を超えて配合する場合、粘着剤層が一定形状を保持することが困難となる可能性がある。
【0063】
貼付剤本体の粘着剤層の粘着面には、皮膚へ貼付剤本体を貼付する前に粘着面を保護するための剥離ライナーを積層することができる。剥離ライナーとしては特に限定されず、その材質としては、この分野で自体公知のものが挙げられ、具体的にはポリエチレンテレフタレートをはじめとするポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、各種アクリル系及びメタクリル系ポリマー、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリイミド、酢酸セルロース、再生セルロース(セロファン)、セルロイド等のプラスチックフィルム、あるいは上質紙またはグラシン紙等とポリオレフィンとのラミネートフィルム等が例示される。安全性、経済性、薬物移行性の点でポリエステルフィルムを用いることが好ましい。
【0064】
剥離ライナーは、粘着剤層との剥離を容易にするように粘着剤との界面側が易剥離処理されたものが好ましい。易剥離処理としては、限定されないが、公知の方法を用いて行うことができ、例えば硬化性シリコーン樹脂を主成分とする離型剤を用いてバーコート、グラビアコートなどの塗布方法により剥離処理層を形成する処理が挙げられる。
【0065】
剥離処理層の厚さは、剥離性および塗膜の均一性確保の観点から0.01〜5μmが好ましい。剥離処理層が形成された剥離ライナーの厚みとしては、取り扱い性の点で通常10〜200μmであり、好ましくは50〜100μmである。
【0066】
図4に示される例のように、本発明の貼付剤の剥離ライナー23は、貼付剤本体よりも外側へ延出する延出部25を有することが好ましい。延出部25は、貼付剤が包装体31内に収容された際に、貼付剤本体の端部が包装体31内面に接触する機会を減少させるので、貼付剤本体の端部から粘着剤層成分がはみ出しまたは流れ出したとしても、これが包装体31内面に付着して貼付剤が包装体31から取り出しがたくなることを抑制することができる。本発明の貼付剤は、延出部25を有さなくてもよいが、前記効果を発揮させる観点から、貼付剤本体の少なくとも一部の周辺部において剥離ライナー23が延出部25を有することが好ましく、貼付剤本体の全周辺部において剥離ライナー23が延出部25を有することがより好ましい。延出する剥離ライナーの長さとしては、限定されないが、貼付剤本体から剥離ライナー23が0.5〜10mm延出することが好ましく、1〜3mm程度延出することがより好ましい。延出する長さがこの範囲内にあれば、前記効果がもたらされ、包装体31への収容の際にも支障はない。
【0067】
以上のような貼付剤および貼付製剤の製造方法としては、種々の方法が考えられるが、工業的生産においては例えば以下の方法が、製造効率の点で好ましい。
【0068】
剥離ライナーの少なくとも片面に、粘着剤層形成用組成物を塗工し、乾燥させて粘着剤層を形成する。その上に支持体を積層し、貼付剤打ち抜き用原反を得る。
【0069】
あるいは、支持体の少なくとも片面に、粘着剤層形成用組成物を塗工し、乾燥させて粘着剤層を形成する。その上に剥離ライナーを積層し、貼付剤打ち抜き用原反を得る。
【0070】
上記積層の手法としては、特に限定されず、プライマーなどの塗布、接着、融着、溶着、圧着などの公知の手法が挙げられる。
【0071】
次に
図5に示すように、貼付剤打ち抜き用原反42(以下、単に原反ともいう)を、支持体21側から、所定形状の加熱された押し型41で加圧し、型押しする。そして型押し後、原反を44のような打ち抜き位置で打ち抜くことにより本発明の剥離ライナーを有す
る貼付剤を得ることができる。前記所定形状は、加圧時に貼付剤の周辺部3に相当する領域を少なくとも加圧しうる形状である。周辺部3に相当する領域を加圧することで、中間部2に相当する盛り上がり部が形成される。加熱された押し型41の形状としては、形成する貼付剤の形状によるが、同軸上の2つの矩形により輪郭付けられる平面形状が例示される。貼付剤の連続生産のためには、原反42において、貼付剤が列を作るような打ち抜き位置43を想定すれば、型押しと打ち抜きを連続的に繰り返すことにより、原反42から効率よく貼付剤を得ることができる。
【0072】
ここで加熱された押し型41を用いることが必要である。加熱された押し型41は、加圧された領域に隣接する樹脂フィルムを含む支持体を熱で柔軟にさせ、それにより加圧された領域の粘着剤層が逃げ、中間部2に相当する領域が盛り上がることを助長することができる。いったん盛り上がった中間部2に相当する貼付剤本体は、その後放冷などで冷却され、その形状を保持することができる。
【0073】
加熱された押し型の温度は好ましくは90℃〜180℃、より好ましくは120℃〜150℃である。
【0074】
加圧する圧力は好ましくは10〜1000000 N/10cm
2(1.0×10
4〜1.0×10
9N/m
2)、より好ましくは500〜15000 N/10cm
2(5.0×10
5〜1.5×10
7N/m
2)である。加圧する時間は好ましくは0.05〜5sであり、より好ましくは0.1〜1sである。
【0075】
型押し時、押し型とその台の間のギャップは、(支持体の厚さ+周辺部の粘着剤層の厚さ+剥離ライナーの厚さ)±10μmが好ましい。
【0076】
押し型の材質としては、特に限定されないが鉄が好ましい。ステンレスは熱ひずみが生じ得、加工がしにくい可能性があり、アルミと真鍮は加工はしやすいが型の耐久性に劣る可能性がある。
【0077】
打ち抜き手段としては特に限定されず、レーザー、押し切り刃などが挙げられる。切断寸法の調整および位置合わせが容易であり、きれいな端面が得られることから、好ましくは押し切り刃ダイセット(オス型およびメス型)で打ち抜く。
【0078】
本発明の貼付剤は、好ましい実施態様において、貼付剤本体の少なくとも一部の周辺部において剥離ライナーが延出部を有し、さらに好ましい実施態様において、貼付剤本体の全周辺部において剥離ライナーが延出部を有するが、かかる少なくとも一部の周辺部については、所要の形状の押し切り刃ダイセット(オス型およびメス型)を使用し、まず貼付剤本体だけを打ち抜き、次いで剥離ライナーを打ち抜くことにより、容易に延出部を形成することができる。
【0079】
延出する剥離ライナーの長さは、押し切り刃ダイセットのオス型およびメス型における寸法差を調節することにより調節することができ、延出する剥離ライナーの長さを長くするには、寸法差を大きくすればよい。
【0080】
剥離ライナーは容易に剥がすことができ、剥離ライナーを剥がすことにより、本発明の支持体と、支持体の少なくとも片面に積層された粘着剤層とを備える貼付剤本体を有する貼付剤を得ることができる。なお剥離ライナーには、必要により切れ線を入れることができ、貼付剤の使用時に剥離ライナーを容易に剥離することを助けることができる。
【実施例】
【0081】
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実
施例によって限定されるものではない。
【0082】
参考例1
、実施例2、3、参考例4、5、実施例6〜7
<粘着剤層形成用組成物の調製>
(1)硬粘着剤層形成用組成物の調製
高分子量ポリイソブチレン(粘度平均分子量4×10
6)、中分子量ポリイソブチレン(粘度平均分子量5×10
4)、粘着付与剤(脂環族飽和炭化水素樹脂、軟化点141℃(環球法))、および有機液状成分(ミリスチン酸イソプロピル)を、17:25:28:30の重量比(総重量7.5kg)で、トルエン/ヘキサン混合溶液(重量比1:1、17.5kg)の存在下、配合、混合し、硬粘着剤層を形成するための組成物(総重量25kg)を得た。
(2)軟粘着剤層形成用組成物の調製
前記重量比率を14:28:28:30としたほかは硬粘着剤層形成用組成物の調製と同様にして、軟粘着剤層を形成するための組成物を得た。
【0083】
<原反の作製>
硬粘着剤層形成用組成物または軟粘着剤層形成用組成物を、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」とも記す)製の剥離ライナー(厚さ75μm)の軽剥離面に、乾燥後の粘着剤層の厚さが160μmとなるように塗布し、乾燥機により乾燥させ(100℃)、硬粘着剤層または軟粘着剤層(ともに非架橋)が形成された剥離ライナーを得た。粘着剤層が形成された面を、厚さ4.5μmのPET製フィルムと、厚さ35μm、目付量20g/m
2のPET製不織布との積層体(トータル厚さ40μm)である支持体のPET不織布面と圧着することにより貼り合わせて貼付剤打ち抜き用原反を作製した。
【0084】
<貼付剤の製造>
同軸上の2つのほぼ正方形の形状により輪郭付けられる平面形状を有する、加熱された押し型(外寸64mm×64mm、内寸56mm×56mm)を用いて、貼付剤打ち抜き用原反の支持体表面を加熱、加圧した(圧力10000 N/10cm
2(1×10
7 N/m
2)、加熱・加圧時間0.5s)。加熱は実施例によって異なる温度にて行った。加熱および加圧した領域が、後に得られる貼付剤の周辺部に対応するように、加熱および加圧された原反から、押し切り刃ダイセットを用いて貼付剤本体と剥離ライナーを同時に打ち抜き、延出部を有さない本発明の貼付剤を得た。得られた貼付剤は、貼付剤本体および貼付剤の輪郭が約60mmの一辺長の略正方形であり、そのすべての外周部に幅約1.5mmの帯状の周辺部を有し、該周辺部の内側に略正方形の中央部を有し、該中央部と該周辺部との間に帯状の中間部を有するものであった。該貼付剤を、外面が12μm厚のPETフィルム、内面が30μm厚のポリアクリロニトリル系樹脂フィルムからなる包装材料(外寸95mm×95mm、内寸85mm×85mm)で密封包装して2つのVノッチを有する貼付剤包装体を得た。
【0085】
実施例8
押し切り刃ダイセットのオス型およびメス型における寸法差を調節し、まず貼付剤本体だけを打ち抜き、次いで剥離ライナーを打ち抜くことにより、貼付剤本体の全周辺部において剥離ライナーに延出部を形成したこと以外は、実施例1〜7と同様に貼付剤を製造し、貼付剤包装体を得た。
【0086】
比較例1
型押し工程をなくしたこと以外は実施例1〜7と同様に貼付剤を製造し、貼付剤包装体を得た。
【0087】
比較例2
押し型を加熱しなかったこと以外は実施例1〜7と同様に貼付剤を製造し、貼付剤包装体を得た。
【0088】
比較例3
樹脂フィルムとしてPET製フィルムの代わりにポリイミドフィルムを用いたこと以外は実施例1〜7と同様に貼付剤を製造し、貼付剤包装体を得た。
【0089】
比較例4
押し切り刃ダイセットのオス型およびメス型における寸法差を調節し、まず貼付剤本体だけを打ち抜き、次いで剥離ライナーを打ち抜くことにより、貼付剤本体の全周辺部において剥離ライナーに延出部を形成したこと、ならびに型押し工程をなくしたこと以外は、実施例1〜7と同様に貼付剤を製造し、貼付剤包装体を得た。
【0090】
試験例1(貼付剤形状の評価)
貼付剤をルテニウム酸水溶液で染色した後、凍結ミクロトーム(大和光機工業(株)製、LR−85)により切断し、切断面をFE−SEM(Hitachi,S−4800)で倍率50〜1000倍で撮像し、周辺部、中間部、および中央部について、ゲージ目盛りを読むことでPET製フィルムおよびPET製不織布の厚さ、ならびに貼付剤本体の厚さ(粘着剤層の厚さと支持体の厚さの和)を測定した。その際、PET製不織布の表面には凹凸が存在するが、断面写真においてその凸部10箇所を無作為に選択し、当該凸部におけるPET製不織布の厚さを算術平均して、PET製不織布の厚さとした。次いで貼付剤本体の厚さからPET製フィルムの厚さおよび前記PET製不織布の厚さを差し引き、周辺部、中間部、および中央部について、粘着剤層の厚さを求めた。中間部については、
図1の2a、2b、および2cにおける粘着剤層のように、粘着剤層が位置により異なる厚さを有するが、
図1の2bにおける粘着剤層の厚さが極大値を示すような箇所の付近について、粘着剤層の厚さを求めた。なお、比較例3については、同様にPET製フィルムの厚さの代わりにポリイミドフィルムの厚さを測定した。
【0091】
試験例2(包装体からの貼付剤の取り出し性の評価)
図6に示すように、貼付剤包装体の2辺をハサミでまたはVノッチに従い開封した。開封部より、貼付剤を角をつかんで取り出し、以下の評価基準に基づき、1〜5の評価点を用いて包装体からの貼付剤の取り出し性を評価した。
【0092】
<評価基準>
5:粘着剤層のはみ出しがなく、きわめて容易に取り出せる。
4:粘着剤層のわずかなはみ出しがあるが、きわめて容易に取り出せる。
3:粘着剤層のいくらかのはみ出しがあるが、容易に取り出せる。
2:粘着剤層のいくらかのはみ出しがあるが、取り出し可能。
1:粘着剤層のかなりのはみ出しがあり、取り出しが困難。
【0093】
試験例3(皮膚貼付性の評価)
専門の評価者が貼付剤を包装体から取り出し、朝から24時間胸部に貼付し、貼付状態について、以下の評価基準に基づき、1〜5の評価点を用いて評価した。評価者の貼付中の行動は通常通りとした。また評価者が朝に入浴する場合は、入浴直後(30分以内)を避けて貼付することとした。各実施例および比較例について同一の評価者(1名)が1回評価し
た。
【0094】
<評価基準>
5:貼付剤が皮膚に貼付された状態が良好に保持され、貼付剤の端部にめくれが全く認められない。
4:貼付剤が皮膚に貼付された状態が良好に保持されるが、貼付剤の端部のわずかな部分でめくれが認められる。
3:貼付剤が皮膚に貼付された状態が良好に保持されるが、貼付剤の端部のいくらかの部分でめくれが認められる。
2:貼付剤が皮膚に貼付された状態にあるが、貼付当初の状態と比べ密着性の低下が認められ、貼付剤の端部のいくらかの部分でめくれが認められる。
1:貼付剤が脱落する。
【0095】
評価結果を表1に示す。表1において、「温度」は押し型の加圧に使用した面の表面温度を表す。「粘着剤層」は、硬粘着剤層形成用組成物を用いて形成した例は「(硬)」と、軟粘着剤層形成用組成物を用いて形成した例は「(軟)」と表記した。剥離ライナーの延出部を全周辺部において設けた実施例および比較例においては、その平均の長さを「延出長さ」として示した。
【0096】
【表1】