特許第5688306号(P5688306)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5688306画像記録装置及びドライブレコーダシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5688306
(24)【登録日】2015年1月30日
(45)【発行日】2015年3月25日
(54)【発明の名称】画像記録装置及びドライブレコーダシステム
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/91 20060101AFI20150305BHJP
   H04N 5/93 20060101ALI20150305BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20150305BHJP
【FI】
   H04N5/91 J
   H04N5/91 Z
   H04N5/93 Z
   H04N7/18 U
【請求項の数】4
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2011-29045(P2011-29045)
(22)【出願日】2011年2月14日
(65)【公開番号】特開2012-169854(P2012-169854A)
(43)【公開日】2012年9月6日
【審査請求日】2013年8月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】カヤバ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075513
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 政喜
(74)【代理人】
【識別番号】100114236
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 正弘
(74)【代理人】
【識別番号】100120260
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅昭
(74)【代理人】
【識別番号】100137604
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 淳
(72)【発明者】
【氏名】鹿子島 順一
【審査官】 松元 伸次
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−183464(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/050894(WO,A1)
【文献】 特開2011−028748(JP,A)
【文献】 特開2006−279418(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07C1/00−15/00
H04N5/765
5/91
5/915
5/92
5/922
5/928−5/93
5/937−5/94
5/95−5/956
7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像情報を取得する画像情報取得手段と、衝撃を検出する衝撃検出手段と、前記衝撃検出手段が衝撃を検出したときに前記画像情報取得手段が取得した画像情報を記録手段に記録する画像情報記録手段と、を備える画像記録装置であって、
前記画像情報取得手段は、複数の静止画像情報を時系列順に取得し、
前記画像情報記録手段が前記複数の静止画像情報を前記画像情報として前記記録手段に記録するときに、前記画像情報に含まれる各々の前記静止画像情報の全てを特定するための特定情報を前記記録手段に記録する特定情報記録手段を備え、
前記画像情報記録手段は、前記記録手段に、前記複数の静止画像情報が時系列順に整列した画像ファイルとして記録し、
前記特定情報は、前記複数の静止画像情報各々の前記画像ファイル中の位置及びサイズを特定する情報を有し、
前記特定情報に基づいて、前記複数の静止画情報の少なくとも一つが、サムネイル画像として表示可能に特定される
ることを特徴とする画像記録装置。
【請求項2】
前記静止画像情報はJPEG画像であることを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
画像情報を取得する画像情報取得手段と、衝撃を検出する衝撃検出手段と、前記衝撃検出手段が衝撃を検出したときに前記画像情報取得手段が時系列順に取得した複数の静止画像情報を画像情報として記録手段に記録する画像情報記録手段と、前記画像情報記録手段が前記画像情報を前記記録手段に記録するときに、前記画像情報に含まれる各々の前記静止画像情報の全てを特定するための特定情報を前記記録手段に記録し、前記画像情報記録手段は、前記記録手段に、前記複数の静止画像情報が時系列順に整列した画像ファイルとして記録し、前記特定情報は、前記複数の静止画像情報各々の前記画像ファイル中の位置及びサイズを特定する情報を有する特定情報記録手段と、を備えるドライブレコーダと、
前記記録手段に記録された画像情報を表示部に再生する再生手段と、前記記録手段に記録された特定情報を参照して前記画像情報から一又は複数の前記静止画像情報を特定し、前記特定された静止画像情報を前記表示部に表示するサムネイル表示手段と、を備える画像再生装置と、
を備えることを特徴とするドライブレコーダシステム。
【請求項4】
前記画像情報記録手段は、前記記録手段に、前記複数の静止画像情報が時系列順に整列した画像ファイルとして記録し、
前記特定情報は、前記複数の静止画像情報各々の前記画像ファイル中の位置及びサイズを特定する情報を有し、
前記サムネイル表示手段は、前記記録手段に記録された特定手段を参照して、一又は複数の前記静止画像情報の位置及びサイズを特定し、前記画像ファイルから当該特定された静止画像情報のみを取得し、取得した静止画情報を表示することを特徴とする請求項3に記載のドライブレコーダシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録された画像ファイルのサムネイルの表示を高速化できる情報を記録する画像記録装置及びドライブレコーダシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の走行データを画像データと共に記録するドライブレコーダを車両に搭載することが行われている。ドライブレコーダによって記録されたデータは、記録媒体等によって再生装置に移して閲覧が可能である。このとき、利便性のため画像データの一部をサムネイルとして表示させることが一般的である。
【0003】
画像データは、時系列順に記録された個々のデータを連続して表示することによって動画として再生される。従来、この画像データの先頭部分にある画像データをサムネイルとして表示していた。しかし、先頭部分が必ずしも画像データの特徴を示すとは限らないため、画像データを一覧表示する場合に不便であった。
【0004】
これに対して、特許文献1には、記録条件成立を検出した場合に、撮像手段によって撮像された画像情報を記録媒体に記録し、記録条件が成立した時点に対応する画像情報をサムネイル作成用画像として特定するドライブレコーダが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−183464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のように、サムネイル作成用画像を画像データの途中の位置として特定した場合は、サムネイル作成用画像を特定するために画像データを全て読み出す必要があるため、表示に時間がかかってしまう。
【0007】
また、ドライブレコーダが画像データを記録するときに、別途サムネイル作成用画像を保存するという方法も考えられるが、この場合は、サムネイル作成用画像を記録する領域を記録媒体に確保する必要があり、画像データを記録できる時間が制限されてしまう。
【0008】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、大きな処理時間を必要とすることなくサムネイルを表示させることができる情報を記録する画像記録装置及びドライブレコーダシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、画像情報を取得する画像情報取得手段と、衝撃を検出する衝撃検出手段と、衝撃検出手段が衝撃を検出したときに画像情報取得手段が取得した画像情報を記録手段に記録する画像情報記録手段と、を備える画像記録装置であって、画像情報取得手段は、複数の静止画像情報を時系列順に取得し、画像情報記録手段が複数の静止画像情報を画像情報として記録手段に記録するときに、画像情報から各々の静止画像情報の全てを特定するための特定情報を記録手段に記録する特定情報記録手段を備え、画像情報記録手段は、記録手段に、複数の静止画像情報が時系列順に整列した画像ファイルとして記録し、特定情報は、複数の静止画像情報各々の画像ファイル中の位置及びサイズを特定する情報を有し、特定情報に基づいて、複数の静止画情報の少なくとも一つが、サムネイル画像として表示可能に特定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、画像情報を記録するときに記録される特定情報によって、画像情報から各々の静止画情報を特定することが可能となるので、例えばサムネイル画像を表示する際にも画像情報から一つの静止画情報のみを処理することができ、処理時間が大きくなることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態の本発明のドライブレコーダを含むドライブレコーダシステムの説明図である。
図2】本発明の実施形態のドライブレコーダの機能ブロック図である。
図3】本発明の実施形態のパーソナルコンピュータの機能ブロック図である。
図4】本発明の実施形態のドライブレコーダシステムの動作を示すシーケンス図である。
図5】本発明の実施形態のドライブレコーダが記録する画像ファイル及びサムネイル用ファイルの説明図である。
図6】本発明の実施形態のPCが表示するサムネイル画像の一例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、本発明のドライブレコーダ10を含むドライブレコーダシステム1の説明図である。
【0014】
ドライブレコーダシステム1は、車両11に搭載されるドライブレコーダ10と、事業所等に設置されるパーソナルコンピュータ(以下、PC)20と、ドライブレコーダ10が取得するデータを記録するメモリカード30とから構成される。
【0015】
ドライブレコーダ10は、車両11から走行データ(例えば車速、エンジン回転数、緯度、経度等)を取得して、これらを日時と共に所定の間隔で記録する。また、ドライブレコーダ10は、カメラ12が接続されており、カメラ12が撮影した画像データを、記録する。これら走行データ及び画像データは、メモリカード30に記録される。
【0016】
ドライブレコーダ10は、メモリカード30が挿入された状態でメモリカード30との間でデータの書き込み及び読み出しを行うメモリカードインタフェース170と、メモリカード30に人為的に画像データを記録させる記録ボタン180とが設けられている。
【0017】
PC20は、メモリカード30が挿入された状態でメモリカード30との間でデータの書き込み及び読み出しを行うメモリカードインタフェース21と、画像データ等を表示可能な液晶ディスプレイ等からなる表示部22と、ユーザからの指示が入力可能なキーボード及びマウス等からなる入力部23とから構成される。
【0018】
メモリカード30は、メモリカードインタフェース170及び21によって読み書き可能に構成されており、例えばSD(Source Digital)やCF(Compact Flash)等のフラッシュメモリカードが用いられる。
【0019】
図2は、本発明の実施形態のドライブレコーダ10の機能ブロック図である。
【0020】
ドライブレコーダ10は、カメラ12を接続するカメラインタフェース120と、車両のCAN等と接続して車両データを取得する車両インタフェース130と、メモリカード30とでデータの読み込み及び書き込みを行うメモリカードインタフェース170と、後述するイベントの発生にかかわらず画像データ及び走行データをメモリカードに記録する記録ボタン180と、を備える。
【0021】
また、ドライブレコーダ10は、画像データ、車両データ等を一時的に記録すると共に、ドライブレコーダ10の制御に関わるデータを記録する記録部110と、予め設定された所定のイベントの発生を検出するイベント検出部140と、を備える。
【0022】
制御部100は、これら各部の動作を統合的に制御する。より具体的には、制御部100は、カメラインタフェース120を介して取得した画像データと、車両インタフェース130を介して取得した走行データとを、記録部110のバッファに逐次記録している。すなわち、カメラ12及び制御部100によって画像情報取得手段が構成される。
【0023】
ここで、イベント検出部140が所定のイベントを検出した場合は、制御部100は、記録部110のバッファ内に記録された画像データ及び走行データのうち、イベントが検出された時刻の前後の所定時間だけ抽出する。所定時間は、例えば、イベント検出前の12秒間と、イベント検出後の8秒間の合計20秒間とする。
【0024】
制御部100は、抽出したデータを、メモリカードインタフェース170を介してメモリカード30に画像ファイルとして記録する。すなわち、メモリカードインタフェース170及び制御部100によって画像情報記録手段が構成される。
【0025】
イベント検出部140は、加速度センサを備えており、加速度センサが検出した加速度が所定の閾値を超えた場合(例えば、前後G又は横Gが0.8G以上となった場合)に、車両に衝撃が加わったと判断してイベントを検出する。すなわち、イベント検出部140が衝撃検出手段を構成する。
【0026】
記録ボタン180は、イベント検出部140がイベントを検出しなかった場合にも画像データをメモリカード30に記録したい場合など、運転者によって押下されたときに、イベントを検出したときと同様の処理を行う。例えば、イベント検出部140が検出した加速度が所定の閾値を超えなかった場合にも、運転者によって記録ボタン180が押下されることによって、記録ボタン180が押下された時刻の前後の所定時間のデータを抽出し、このデータをメモリカード30に記録するように構成することができる。
【0027】
カメラ12とカメラインタフェース120との接続には、例えばUSB(Serial Universal Bus)等のインターファースを用いる。なお、本実施形態ではドライブレコーダ10にカメラ12が一つ接続される構成を例として示したが、複数のカメラ12をカメラインタフェース120に接続して、各々のカメラを車両11の任意の位置に設置してもよい。例えば一つカメラ12を車両の前方を撮影するように設置し、他のカメラ12を車両の後方、車室内の運転者付近を撮影するように設置してもよい。
【0028】
図3は、本発明の実施形態のパーソナルコンピュータ(PC)20の機能ブロック図である。
【0029】
PC20は、メモリカードインタフェース21に挿入されたメモリカードに記録されている画像データを取得し、取得した画像データを再生する画像再生装置である。
【0030】
PC20は、外部インタフェース270を備える。外部インタフェース270は、データの書き込み及び読み出しを行うメモリカードインタフェース21と、画像データ等を表示可能な液晶ディスプレイ等からなる表示部22と、ユーザからの指示が入力可能なキーボード及びマウス等からなる入力部23と、が接続される。
【0031】
PC20は、入力部23を用いてドライブレコーダ10の設定を行う車両情報設定部230と、メモリカード30に記録された画像データ、走行データ等を取得するデータ取得部240と、を備える。
【0032】
制御部210はこれら各部を統括的に制御する。記録部220は、ROM、RAM等のメモリ及び、ハードディスク等から構成され、制御部210によって制御される各部が用いるデータ等を記録する。
【0033】
なお、PC20は、記録部220に記録されたソフトウェアを制御部210が読み込み、これを実行することによって、車両情報設定部230及びデータ取得部240が構成される。
【0034】
また、外部インタフェース270とメモリカードインタフェース21又は入力部23との接続には、例えばUSB等が用いられる。また、外部インタフェース270と表示部22との接続には、例えばDVI(Digital Visual Interface)、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)等のインタフェースが用いられる。
【0035】
次に、以上のように構成されたドライブレコーダシステム1の動作を説明する。
【0036】
本発明の実施形態のドライブレコーダ10は、イベント検出部140が衝撃等のイベントを検出した場合は、制御部100は、記録部110のバッファに記録されている画像データから、イベントが検出された時刻の前後の所定時間(例えば、イベント検出時の前12秒間、後8秒間)の画像データを抽出して、抽出したデータを画像ファイルとしてメモリカード30に書き込む。
【0037】
その後、車両11の運転が終了した後に、メモリカード30をPC20のメモリカードインタフェース21に挿入する。PC20は、ユーザからの再生要求に基づいて、メモリカード30に記録された画像ファイルを読み出し、表示部22に画像を再生する。
【0038】
PC20において、制御部210は、メモリカード30に記録された画像データを、表示部22に一覧表示する。このとき、単に画像ファイルのファイル名や記録日時を表示するのみでなく、画像ファイルのサムネイルを表示する。これにより、例えば複数の画像ファイルが存在する場合にも、ユーザは目的の画像ファイルを識別可能となる。
【0039】
ところで、従来のドライブレコーダシステムは、画像ファイルのサムネイルを表示する場合に、次のような方法で行っていた。
【0040】
画像ファイルの先頭部分にある画像データをサムネイルとして表示する方法がある。この方法では、先頭部分が必ずしも記録された画像ファイルの特徴を示すとは限らないため、特に複数の画像ファイルを一覧表示する場合には見分けが付きづらく、不便である。
【0041】
また、サムネイル作成用画像を、画像ファイルの中の位置として特定する方法がある。この場合は、サムネイル作成用画像を特定するために画像データを全て読み出す必要があるため、表示に時間がかかってしまう。
【0042】
また、ドライブレコーダ10が画像ファイルを記録するときに、画像の特徴部分(例えばイベントを検出したときの画像)をサムネイル作成用画像として別に記録するという方法がある。この場合は、サムネイル作成用画像を記録する領域をメモリカード30に確保する必要があり、画像ファイルを記録できる時間が制限されてしまう。
【0043】
そこで、本発明の実施形態では、次のような作用によって、画像ファイルの読み込み処理に時間を費やされることなく、また、メモリカード30の容量が制限されることなく、サムネイル画像を表示するように構成した。
【0044】
図4は、本発明の実施形態のドライブレコーダシステム1の動作を示すシーケンス図である。
【0045】
まず、ユーザがメモリカード30をPC20のメモリカードインタフェース21に挿入して(S100)、車両情報の設定を行う。
【0046】
PC20において、車両情報設定部230は、表示部22にGUIを表示して、ユーザ(管理者)からユーザID等の入力を受け付ける(S101)。車両情報設定部230は、入力されたユーザIDを、メモリカード30に書き込む(S102)。メモリカード30は、書き込まれたユーザIDを記録する(S103)。
【0047】
車両情報設定部230によって設定されるユーザIDは、ドライブレコーダ10を搭載する車両11を個別に設定されるIDナンバーである。例えば、車両11に固有の車両ナンバーをユーザIDとして登録してもよいし、車両11を運転する運転者に個別に設定された情報をIDナンバーに付加してもよい。
【0048】
ユーザは、メモリカード30をPC20から取り外して、ドライブレコーダ10のメモリカードインタフェース170に挿入する(S104)。
【0049】
ドライブレコーダ10において、制御部100は、メモリカードインタフェース170にメモリカード30が挿入されたことを検出すると、メモリカード30に記録されているユーザIDを取得して、記録部110に記録する(S105)。
【0050】
制御部100は、メモリカードインタフェース170にメモリカード30が挿入されている状態で車両11の運転を開始したことを検出すると、画像データ及び走行データを記録部110のバッファに記録を開始する(S106)。本発明の実施形態では、画像データは複数の静止画像情報を時系列順に逐次取得したものであり、静止画情報は、JPEG形式の画像データとする。なお、制御部100は、車両インタフェース130から取得する車速が、例えば0[km/h]を超えた場合に、車両11の運転を開始したことを検出する。
【0051】
また、記録部110のバッファはFIFOとして構成されており、記録されるデータがバッファ容量の上限に達した場合は、記録時間の古いデータから破棄する。
【0052】
車両11の運転中に、イベント検出部140がイベントを検出した場合は(S107)、制御部100は、記録部110に記録されている画像データ及び走行データから、イベントが検出された時刻の前後の所定時間(例えば、前後20秒間)のデータを抽出して、抽出したデータを画像ファイルとしてメモリカード30に書き込む処理を実行する。
【0053】
なお、イベント検出部140は、例えば、前後G又は横Gが0.8G以上となった場合に、イベントが発生したことを検出する。イベントが検出されない場合は、画像データ及び走行データの記録を継続する。
【0054】
イベントが発生したことが検出された場合は、制御部100は、イベントが検出された時刻の前後の所定時間のデータを抽出する。抽出されたデータは、画像ファイルとして作成される。この画像ファイルには、イベントが検出された時刻の前後の所定時間の静止画情報(JPEG画像)が時系列順に記録される(S108)。
【0055】
ここで、制御部100は、作成した画像ファイルに対応して、サムネイル用ファイルを作成する。サムネイル用ファイルは、作成された画像ファイルに含まれる各々のJPEG画像それぞれについて、画像ファイルの先頭からの位置(アドレス)、及び、サイズ(バイト数)を特定するための特定情報を記録したものである。
【0056】
次に、制御部100は、作成した画像ファイルと、作成したサムネイル用ファイルとを、メモリカードインタフェース170を介してメモリカード30に書き込む(S109)。メモリカード30は、書き込まれたファイルを記録する(S110)。なお、このとき、画像ファイルを暗号化して記録してもよい。
【0057】
車両11の運転が終了した後に、ユーザは、メモリカード30をドライブレコーダ10から取り外して、PC20のメモリカードインタフェース21に挿入する(S111)。
【0058】
PC20において、制御部210は、まず、メモリカードインタフェース21及び外部インタフェース270を介して、メモリカード30に記録されたサムネイル用ファイルを読み出す(S112)。
【0059】
このとき、制御部210は、サムネイル用ファイルを参照して、メモリカード30に記録されている画像ファイルに時系列順に記録されているJPEG画像それぞれについて、画像ファイル上での位置及びサイズを特定する。
【0060】
そして、制御部210は、特定されたJPEG画像のうち、一つ又は複数のJPEG画像を選択して、その画像ファイルのサムネイル画像として、外部インタフェース270を介して表示部22に表示する(S113)。なお、メモリカード30に複数の画像ファイルが記録されている場合は、複数の画像ファイルそれぞれについて、サムネイル画像を表示する。
【0061】
PC20のユーザは、表示部22に表示されたサムネイル画像から、画像ファイルの内容を視認する。画像ファイルの再生を希望する場合は、入力部23によって画像ファイルを選択し、再生要求を入力する。
【0062】
PC20は、外部インタフェース270を介してユーザからの画像ファイルの再生要求を受領した場合は、メモリカードインタフェース21及び外部インタフェース270を介して、メモリカード30に記録された画像ファイルを取得し、取得した画像ファイルを表示部22に再生する。
【0063】
以上のような処理によって、ドライブレコーダ10が、画像ファイルとして記録する際にサムネイル用ファイルを作成し、PC20が、記録されたサムネイル用ファイルを参照して、画像ファイルからサムネイル画像を取得できる。
【0064】
図5は、本発明の実施形態のドライブレコーダ10が記録する画像ファイル及びサムネイル用ファイルの説明図である。
【0065】
図4のステップS108の処理において、ドライブレコーダ10の制御部100は、画像ファイル40を作成するときに、この図5に示すようなサムネイル用ファイル50を別途作成する。
【0066】
画像ファイル40は、イベントが検出された時刻の前後の所定時間(例えば前12秒、後8秒の合計20秒間)のJPEG画像が時系列順に記録されている。
【0067】
この図5に示す例では、20秒間に300個のJPEG画像が記録されている。先頭から180番目に記録されたJPEG画像がイベント発生時に記録された画像データである。なお、個々のJPEG画像は圧縮状態によりサイズが不定長であるので、画像ファイル40のファイルサイズは不定長となる。
【0068】
サムネイル用ファイル50は、画像ファイルに含まれる個々のJPEG画像の先頭アドレスと、そのJPEG画像のファイルサイズとを組としたものである。この組は、全てのJPEG画像について記録される。
【0069】
PC20は、このサムネイル用ファイルを参照することによって、画像ファイルに含まれる個々のJPEG画像の位置及びサイズを特定できるので、画像ファイルの全てを読み込むことなく、特定したJPEG画像のみを読み込むことが可能となる。
【0070】
図6は、本発明の実施形態のPC20が表示するサムネイル画像の一例の説明図である。
【0071】
図6(A)は、メモリカード30に記録されている画像ファイルから、所定時間間隔で複数のJPEG画像を表示部22に表示した場合のサムネイル画像の一例である。
【0072】
PC20の制御部210は、メモリカード30に記録されているサムネイル用ファイルから、所定時間間隔の時刻に相当する複数のJPEG画像の画像ファイル上の位置及びサイズを特定する。そして、画像ファイルから特定されたJPEG画像のみを読み出して、表示部22に表示する。
【0073】
画像ファイルの所定時間間隔ごとにサムネイル画像を表示することによって、その画像ファイル時系列を容易に把握することができる。また、イベント発生の前後の状況を把握することができる。
【0074】
図6(B)は、メモリカード30に複数の画像ファイルが記録されている場合に、個々の画像ファイルに対応して表示部22に表示した場合のサムネイル画像の一例である。
【0075】
PC20の制御部210は、メモリカード30に記録されているサムネイル用ファイルからイベント発生時刻に該当するJPEG画像の画像ファイル上の位置及びサイズを特定する。そして、画像ファイルから特定されたJPEG画像のみを読み出して、表示部22に表示する。
【0076】
メモリカード30に記録されている画像ファイルごとにイベント発生時刻のJPEG画像をサムネイルとして表示することにより、その画像ファイルの最も特徴的な部分を表示することができる。これにより、例えば、車両に複数のカメラ12が備えられている場合にも、それらを一覧して表示することができる。
【0077】
以上のように構成された本発明の実施形態では、走行中の車両11に備えられたカメラ12により画像データを取得し、イベント検出部140によって衝撃などのイベントが検出されたときに画像データをメモリカード30に記録するドライブレコーダにおいて、画像ファイルを記録するときに特定情報を記録するように構成した。
【0078】
このように構成することによって、画像ファイルを再生するときに、画像ファイルを全て読み込むことなく、特定情報によって特定された静止画情報のみを読み込むことが可能となり、サムネイル画像を表示する処理時間が大きくなることを防止することができる。
【0079】
特に特定情報は、ファイル中の位置及びサイズを特定する情報を有するので、画像ファイルに含まれる静止画情報を容易に特定することができ、特定した静止画情報を用いてサムネイルを表示することができる。特に、複数のJPEG画像を時系列順位記録した場合に、JPEGファイルはサイズが不定長であるが、画像ファイル中の位置及びサイズを特定することによって、画像ファイルの全てを読み込むことなく特定のJPEG画像を取得することができ、サムネイル表示する場合の処理時間が大きくなることを防止することができる。さらに、このサムネイル表示を用いることによって、動画として再生するときの早送り、巻き戻し等も処理時間が大きくなることなく行うことができる。
【0080】
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内でなしうるさまざまな変更、改良が含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0081】
1 ドライブレコーダシステム
10 ドライブレコーダ
11 車両
12 カメラ
20 パーソナルコンピュータ(PC)
30 メモリカード
100 制御部
210 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6