【実施例】
【0061】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0062】
実施例及び比較例中のフェノール樹脂、フェノール樹脂発泡体の組成、構造、特性は以下の項目について測定及び評価を行った。
【0063】
(1)発泡体密度
得られたフェノール樹脂発泡体から切り出した20cm角のボードを試料とした。発泡体密度は、この試料の面材、サイディング材等の表面材を取り除いて、質量及び見かけ容積を測定して求めた値であり、JIS−K−7222に従い測定した。
【0064】
(2)平均気泡径
JIS−K−6402記載の方法を参考に、以下の方法で測定した。
フェノール樹脂発泡体の厚み方向ほぼ中央を表裏面に平行に切削して得られた切断面を50倍に拡大した写真を撮影し、得られた写真上に9cmの長さ(実際の発泡体断面における1,800μmに相当する)の直線を4本引き、各直線が横切った気泡の数の平均値を求めた。平均気泡径は、横切った気泡の数の平均値で1,800μmを除した値である。
【0065】
(3)独立気泡率
ASTM−D−2856−94(1998)A法を参考に以下の方法で測定した。
フェノール樹脂発泡体の厚み方向中央部から、約25mm角の立方体試片を切り出した。厚みが薄く25mmの均質な厚みの試片が得られない場合は、切り出した約25mm角の立方体試片表面を約1mmずつスライスし、均質な厚みを有する試片を用いた。各辺の長さをノギスにより測定し、見かけ体積(V1:cm
3)を計測すると共に試片の質量(W:有効数字4桁,g)を測定した。引き続き、エアーピクノメーター(東京サイエンス社、商品名「MODEL1000」)を使用し、ASTM−D−2856のA法に記載の方法に従い、試片の閉鎖空間体積(V2:cm
3)を測定した。上述の(2)平均気泡径の測定法に従い気泡径(t:cm)を計測すると共に、既測定の各辺の長さより、試片の表面積(A:cm
3)を計測した。t及びAより、式VA=(A×t)/1.14から、試片表面の切断された気泡の開孔体積(VA:cm
3)を算出した。固形フェノール樹脂の密度は1.3g/mlとし、試片に含まれる気泡壁を構成する固体部分の体積(VS:cm
3)を、式VS=試片質量(W)/1.3により、算出した。
下記式(2)により独立気泡率を算出した。
独立気泡率(%)=[(V2−VS)/(V1−VA−VS)]×100 (2)
同一製造条件の発泡体サンプルについて6回測定し、その平均値をその製造条件サンプルの代表値とした。
【0066】
(4)ボイド面積率
フェノール樹脂発泡体サンプルの厚み方向のほぼ中央を、表裏面に平行に切削して得られた切削断面の100mm×150mmの範囲を200%拡大した写真又はカラーコピーを撮影した。撮影された写真又はコピー図面において、縦横それぞれの長さが実寸の2倍に、面積は実面積の4倍になる。該写真又は図面に透明方眼紙を上から重ね、大径の気泡を選び、該気泡の断面積を方眼紙のマス目を使って計測した。1mm×1mmマスが8マス以上にわたり連続して存在する孔をボイドとし、観察されるボイド面積を積算し面積分率を計算した。即ち、拡大コピーをとっているため、この8マスが実際の発泡体断面では2mm
2の面積に相当する。同一製造条件の試料について12回測定し、その平均値をその製造条件サンプルの代表値とした。
【0067】
(5)初期熱伝導率
JIS A 1412−2:1999に準拠し、以下の方法で10℃と23℃における初期熱伝導率を測定した。
フェノール樹脂発泡体サンプルを600mm角に切断し、試片を23±1℃・湿度50±2%の雰囲気に入れ、24時間ごとに質量の経時変化を測定し、24時間経過の質量変化が0.2質量%以下になるまで、状態調節をした。状態調節された試片は、同環境下に置かれた熱伝導率装置に導入した。
熱伝導率測定は、発泡部を傷つけないように面材を剥がし、10℃の初期熱伝導率は低温板0℃高温板20℃の条件で、23℃の初期熱伝導率は低温板13℃高温板33℃の条件で、それぞれ試験体1枚・対称構成方式の測定装置(英弘精機社、商品名「HC−074/600」)を用い行った。
【0068】
(6)加速試験後熱伝導率
初期熱伝導率の測定が終了した試片をEN13166:2012 Annex CのC.4.2.2に従い、110℃に温調された循環式オーブン内に14日間入れ加速試験を行ない、その後EN12429:1998に従い23±2℃、相対湿度50±5%にて養生し、24時間間隔で行う重量測定の差が試片の重量の0.05%以下になるまで状態調節を行った。引き続き、上述の(5)熱伝導率の測定方法に従い、10℃にて加速試験後熱伝導率の測定を行った。
【0069】
(7)フェノール樹脂の水分率
水分量を測定した脱水メタノール(関東化学(株)製)に、フェノール樹脂を3質量%から7質量%の範囲で溶解して、その溶液の水分量から脱水メタノール中の水分を除して、フェノール樹脂の水分量を求めた。測定した水分量から、フェノール樹脂の水分率を計算した。測定にはカールフィッシャー水分計(京都電子工業(株)製、MKC−510)を用いた。水分量の測定にはカールフィッシャー試薬としてSigma−Aldrich製のHYDRANAL−Composite 5Kを用い、カールフィッシャー滴定用として林純薬工業製のHAYASHI−Solvent CE 脱水溶剤(ケトン用)を用いた。また、カールフィッシャー試薬の力価測定用として三菱化学製のアクアミクロン標準水・メタノール(水分2mg)を用いた。水分量の測定は装置内に設定されているメソッド1、またカールフィッシャー試薬の力価はメソッド5を用いて求めた。
【0070】
(8)固形物中の水分量
ボートタイプ水分気化装置を有するカールフィッシャー水分計で、110℃で加熱して気化させた水分量を測定した。
【0071】
(9)発泡体中に含有される炭素数6以下の炭化水素、ハロゲン化ヒドロオレフィン及び沸点が−50〜5℃の炭化水素の組成比
はじめにハロゲン化ヒドロオレフィンの標準ガスを用いて、以下のGC/MSの測定条件における保持時間を求めた。
つづいて、面材を剥がしたフェノール樹脂発泡体サンプルを10gと金属製やすりを10L容器(製品名テドラーバック)に入れて密封し、窒素5Lを注入した。テドラーパックの上からヤスリを使い試料を削り、細かく粉砕した。続いて、81℃に温調された温調機内に10分間入れた。テドラーバック中で発生したガスを100μL採取し、以下に示すGC/MS測定条件にて分析した。ハロゲン化ヒドロオレフィンの種類は、事前に求めた保持時間とマススペクトルから同定を行った。炭素数6以下の炭化水素及び沸点が−50〜5℃の炭化水素については、保持時間とマススペクトルによって種類を求めた。
別途、発生したガス成分の検出感度を各々標準ガスによって測定し、上記GC/MSで得られた各ガス成分の検出エリア面積と検出感度より、組成比を算出した。
GC/MS測定条件
GC/MSの測定は以下のように行った。ガスクロマトグラフィーはアジレント・テクノロジー社製のAgilent7890型を用い、カラムはジーエルサイエンス社製InertCap 5(内径0.25mm、膜厚5μm、長さ30m)を用いた。キャリアガスはヘリウムを用い、流量は1.1ml/分とした。注入口の温度は150℃、注入方法はスプリット法(1:50)とし、試料の注入量は100μLとした。カラム温度はまず−60℃で5分間保持し、その後50℃/分で150℃まで昇温し、2.8分保持した。質量分析は日本電子社製のQ1000GC型を用いた。イオン化方法は電子イオン化法(70eV)、スキャン範囲はm/Z=10〜500、電圧−1300V、イオン源温度230℃、インターフェース温度150℃の条件で質量分析を行った。
【0072】
(10)発泡体中の炭素数が6以下の炭化水素及びハロゲン化ヒドロオレフィンの含有量
フェノール樹脂発泡体サンプルを約100mm角に切断し、試片6個を準備すると共に、密封可能な耐熱性を有するチャック付袋(以下チャック付袋と略す)を6袋準備し、各々の袋の質量を精密天秤で、測定した。試片を70℃に温調された循環式オーブン内に24±0.5hr入れ含有する水分を飛散させた後、速やかに、チャック付袋に入れ、封をして、室温まで冷やした。室温まで冷却後、チャック付袋より試片を取り出し、速やかに試片の面材を剥離すると共に、各試片の質量(W1)を精密天秤より測定した。各試片の各辺の長さをノギスにより測定し、試片の体積(V)を算出した。その後、各試片をチャック付袋に戻し、一部の開口部を残し再度封をし、室温の油圧プレスの盤面間に入れ、油圧プレスで約200N/cm
2の圧力まで徐々に圧縮し、試片の気泡を破壊した。3試片については、試片の一部試料を採取し、上記固形物中の水分量の測定法により、含有する水分量(WS1)を測定した。残りの試片は引き続き、一部の開口部を残した試片入りチャック付袋を、81℃に温調された循環式オーブン内に30±5分入れた。その後、直ちに、粉体が袋から出ないようにしつつ袋内気体を排出し、袋を密封し、室温まで冷やした。室温まで冷却後、上記で水分率測定に供していない試片入りチャック付袋の質量を精密天秤で測定し、チャック付袋の質量を差し引き、揮発成分が除かれた質量(W2)を測定した。同時に、上記で水分率を測定した3試片の袋より、一部試料を採取し、同様に水分量(WS2)を測定した。
発泡体中の炭素数が6以下の炭化水素及びハロゲン化ヒドロオレフィンの質量は、上記W1とW2の差分から上記水分量の差分を差し引くと共に、試片の体積(V)から、固形フェノール樹脂密度を1.3g/cm
3とし、W2から計算された樹脂体積を差し引いた体積(発泡体内の空間体積)及び空気の密度(0.00119g/mL)により計算された空気浮力質量(WF)を加算し揮発成分質量(W3)を測定した。W3に上記(9)で測定された炭素数が6以下の炭化水素、ハロゲン化ヒドロオレフィン及び−50℃〜5℃の炭化水素のガス成分中比率を掛けそれぞれの質量(W4)、(W5)、(W6)を算出した。
W3は下記式で示される。
W3=(W1−W2)−(WS1−WS2)+WF
発泡体中の炭素数が6以下の炭化水素及びハロゲン化ヒドロオレフィンの含有量(mol/22.4×10
−3m
3)は、上述の発泡体内の各ガスの質量W4、W5と当該(10)で算出したV及び上記(9)で測定された炭素数6以下の炭化水素及びハロゲン化ヒドロオレフィンの分子量により算出した。
【0073】
(11)炭素数6以下のペンタン類及び沸点が−50〜5℃の炭化水素のmol比率は、上記(10)で求めたW4、W6及び上記(9)で算出した各ガスの分子量により算出した。
【0074】
(12)フェノール樹脂の粘度
フェノール樹脂の粘度は、回転粘度計(東機産業(株)製、R−100型、ローター部は3°×R−14)を用い、40℃で3分間安定させた後の測定値とした。板状成形する際の発泡性フェノール樹脂組成物の粘度は、樹脂の硬化による粘度上昇の影響をできるだけ排除した評価とするため、該粘度計を用いて、40℃で3分間経過後の測定値とした。
【0075】
(13)フェノール樹脂の架橋構造体に取り込まれた尿素の有無
フェノール樹脂発泡体の厚み方向中央付近より500mg程度を切り出し、日本分析工業株式会社製の冷凍粉砕機「JFC−2000」を用いて5分間冷凍粉砕した。粉砕した試料全量を密閉容器に入れ、ここにメタノール(和光純薬工業株式会社製 分光分析用)及び蒸留水の1:1の混合溶液50mLを加えた。続いて、この溶液を4時間撹拌後、一晩浸漬放置した。この溶液を遠心分離機にて5000rpm、5分間遠心分離した。上澄み液を廃棄後、不溶分にさらに上記メタノール200mLを加え、さらに遠心分離機にて5000rpm、5分間遠心分離した。上澄み液を廃棄後、不溶分を風乾しIR測定用試験体を得た。前記IR測定用試験体を適量Ge製試料台上に採り、IR測定を実施した。IRの測定は以下の装置及び条件で行った。
測定装置:Nicolet iS50/Continuum
(Thermo−Fischer scientific社製)
測定法:透過法
分解能:8cm
−1
アパーチャサイズ:70μm
得られたIRスペクトルより、尿素由来の(C=O)伸縮振動(νC=O)に起因する1640cm
−1付近のピーク及び2級アミド(−NHR)の変角振動(δN−H)に起因する1540cm
−1付近のピークが観測される場合において、結合に取り込まれた尿素が有ると判断した。
【0076】
(実施例1)
<フェノール樹脂の合成>
反応器に52質量%ホルムアルデヒド水溶液3500kg及び99質量%フェノール2510kgを仕込み、プロペラ回転式の攪拌機により攪拌し、温調機により反応器内部液温度を40℃に調整した。次いで50質量%水酸化ナトリウム水溶液を反応液のpHが8.7になるまで加えながら昇温して、反応を行わせた。オストワルド粘度が60センチストークス(=60×10
−6m
2/s、25℃における測定値)に到達した段階で、反応液を冷却し、尿素を570kg添加した。その後、反応液を30℃まで冷却し、パラトルエンスルホン酸一水和物の50質量%水溶液を、pHが6.4になるまで添加した。得られた反応液を薄膜蒸発機によって濃縮処理した結果、フェノール樹脂Aが得られ、その水分率は4.2質量%であった。
【0077】
フェノール樹脂A100質量部に対して、界面活性剤としてエチレンオキサイド−プロピレンオキサイドのブロック共重合体及びポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテルを質量比率でそれぞれ50質量%、50質量%で含有する組成物を2.0質量部の割合で混合した。上記界面活性剤が混合されたフェノール樹脂100質量部に対して、発泡剤としてイソペンタン及び1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンをmol比率でそれぞれ50mol%、50mol%で混合したものを7質量部、酸硬化触媒としてキシレンスルホン酸80質量%とジエチレングリコール20質量%との混合物からなる組成物14質量部を、25℃に温調したミキシングヘッドで混合し、移動する面材上に供給した。
【0078】
面材上に供給した発泡性フェノール樹脂組成物は、面材と接触する面とは反対側の面が、他の面材で被覆されると同時に、二枚の面材で挟み込まれるようにして、85℃に加熱されたスラット型ダブルコンベアを有する第1のオーブンに導入された。発泡性フェノール樹脂組成物は、15分の滞留時間で硬化させた後、110℃のオーブンで2時間キュアしてフェノール樹脂発泡体とした。
【0079】
面材としては、ガラス繊維不織布(ジョーンズマンビル社製「Dura Glass Type DH 70」、坪量70g/m
2)を使用した。
【0080】
(実施例2)
発泡剤としてシクロペンタン及び1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンをmol比率でそれぞれ40mol%、60mol%で混合したものを使用したこと以外は実施例1と同様にして、フェノール樹脂発泡体を得た。
【0081】
(実施例3)
発泡剤としてシクロペンタン及び1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンをmol比率でそれぞれ20mol%、80mol%で混合したものを使用したこと、及び界面活性剤が混合されたフェノール樹脂100質量部に対して前記発泡剤を10部添加したこと以外は実施例1と同様にして、フェノール樹脂発泡体を得た。
【0082】
(実施例4)
発泡剤としてシクロペンタン及び1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンをmol比率でそれぞれ50mol%、50mol%で混合したものを使用したこと、界面活性剤が混合されたフェノール樹脂100質量部に対して前記発泡剤を4部添加したこと、及び第1のオーブンの温度を90℃にしたこと以外は実施例1と同様にして、フェノール樹脂発泡体を得た。
【0083】
(実施例5)
発泡剤としてシクロペンタン及び1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンをmol比率でそれぞれ50mol%、50mol%で混合したものを使用したこと、界面活性剤が混合されたフェノール樹脂100質量部に対して前記発泡剤を10部添加したこと、及び第1のオーブンの温度を75℃にしたこと以外は実施例1と同様にして、フェノール樹脂発泡体を得た。
【0084】
(実施例6)
発泡剤としてシクロペンタン及び1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンをmol比率でそれぞれ10mol%、90mol%で混合したものを使用したこと、界面活性剤が混合されたフェノール樹脂100質量部に対して前記発泡剤を14部添加したこと、及び第1のオーブンの温度を70℃にしたこと以外は実施例1と同様にして、フェノール樹脂発泡体を得た。
【0085】
(実施例7)
発泡剤としてシクロペンタン及び1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンをmol比率でそれぞれ85mol%、15mol%で混合したものを使用したこと、界面活性剤が混合されたフェノール樹脂100質量部に対して前記発泡剤を10部添加したこと、及び第1のオーブンの温度を75℃にしたこと以外は実施例1と同様にして、フェノール樹脂発泡体を得た。
【0086】
(実施例8)
発泡剤としてシクロペンタン及び1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンをmol比率でそれぞれ85mol%、15mol%で混合したものを使用したこと、及び界面活性剤が混合されたフェノール樹脂100質量部に対して前記発泡剤を6部添加したこと以外は実施例1と同様にして、フェノール樹脂発泡体を得た。
【0087】
(実施例9)
発泡剤としてシクロペンタン、イソブタン及び1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンをmol比率でそれぞれ4mol%、11mol%、85mol%で混合したものを使用したこと、界面活性剤が混合されたフェノール樹脂100質量部に対して前記発泡剤を10部添加したこと、及び第1のオーブンの温度を80℃にしたこと以外は実施例1と同様にして、フェノール樹脂発泡体を得た。
【0088】
(実施例10)
発泡剤としてシクロペンタン、イソブタン及び1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンをmol比率でそれぞれ75mol%、14mol%、11mol%で混合したものを使用したこと以外は実施例1と同様にして、フェノール樹脂発泡体を得た。
【0089】
(実施例11)
発泡剤としてシクロペンタン、イソブタン及び1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンをmol比率でそれぞれ49mol%、17mol%、34mol%で混合したものを使用したこと以外は実施例1と同様にして、フェノール樹脂発泡体を得た。
【0090】
(比較例1)
使用する発泡剤を1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン100mol%にしたこと以外は実施例1と同様にして、フェノール樹脂発泡体を得た。
【0091】
(比較例2)
発泡剤としてシクロペンタン、イソブタン及び1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンをmol比率でそれぞれ75mol%、12mol%、13mol%で混合したものを使用したこと、界面活性剤が混合されたフェノール樹脂100質量部に対して前記発泡剤を4部添加したこと、及び第1のオーブンの温度を95℃にしたこと以外は実施例1と同様にして、フェノール樹脂発泡体を得た。
【0092】
(比較例3)
発泡剤としてシクロペンタン及び1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンをmol比率でそれぞれ85mol%、15mol%で混合したものを使用したこと、界面活性剤が混合されたフェノール樹脂100質量部に対して前記発泡剤を10部添加したこと、及び第1のオーブンの温度を70℃にしたこと以外は実施例1と同様にして、フェノール樹脂発泡体を得た。
【0093】
上記実施例1〜11及び比較例1〜3で得られたフェノール樹脂発泡体内の空間体積22.4×10
−3m
3(22.4L)あたりの発泡剤の含有量、沸点平均値X1、X2、得られたフェノール樹脂発泡体の特性及び熱伝導率評価結果を表1に示す。
【0094】
【表1】
【0095】
(実施例12)
フェノール樹脂A100質量部に対して、界面活性剤としてエチレンオキサイド−プロピレンオキサイドのブロック共重合体及びポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテルを質量比率でそれぞれ50質量%、50質量%で含有する組成物を2.0質量部の割合で混合した。上記界面活性剤が混合されたフェノール樹脂100質量部に対して、発泡剤としてイソペンタン及び1,3,3,3−テトラフルオロプロペンをmol比率でそれぞれ60mol%、40mol%で混合したものを7質量部、酸硬化触媒としてキシレンスルホン酸80質量%とジエチレングリコール20質量%との混合物からなる組成物14質量部を、25℃に温調したミキシングヘッドで混合し、移動する面材上に供給した。
【0096】
面材上に供給した発泡性フェノール樹脂組成物は、面材と接触する面とは反対側の面が、他の面材で被覆されると同時に、二枚の面材で挟み込まれるようにして、80℃に加熱されたスラット型ダブルコンベアを有する第1のオーブンに導入された。発泡性フェノール樹脂組成物は、15分の滞留時間で硬化させた後、110℃のオーブンで2時間キュアしてフェノール樹脂発泡体とした。
【0097】
面材としては、ガラス繊維不織布(ジョーンズマンビル社製「Dura Glass Type DH 70」、坪量70g/m
2)を使用した。
【0098】
(実施例13)
発泡剤としてシクロペンタン及び1,3,3,3−テトラフルオロプロペンをmol比率でそれぞれ30mol%、70mol%で混合したものを使用したこと、界面活性剤が混合されたフェノール樹脂100質量部に対して前記発泡剤を10部添加したこと、及び第1のオーブンの温度を70℃にしたこと以外は実施例12と同様にして、フェノール樹脂発泡体を得た。
【0099】
(実施例14)
発泡剤としてシクロペンタン及び1,3,3,3−テトラフルオロプロペンをmol比率でそれぞれ50mol%、50mol%で混合したものを使用したこと、及び第1のオーブンの温度を75℃にしたこと以外は実施例12と同様にして、フェノール樹脂発泡体を得た。
【0100】
(実施例15)
発泡剤としてシクロペンタン及び1,3,3,3−テトラフルオロプロペンをmol比率でそれぞれ30mol%、70mol%で混合したものを使用したこと、界面活性剤が混合されたフェノール樹脂100質量部に対して前記発泡剤を5部添加したこと、及び第1のオーブンの温度を90℃にしたこと以外は実施例12と同様にして、フェノール樹脂発泡体を得た。
【0101】
(実施例16)
発泡剤としてシクロペンタン及び1,3,3,3−テトラフルオロプロペンをmol比率でそれぞれ90mol%、10mol%で混合したものを使用したこと、界面活性剤が混合されたフェノール樹脂100質量部に対して前記発泡剤を9部添加したこと、及び第1のオーブンの温度を70℃にしたこと以外は実施例12と同様にして、フェノール樹脂発泡体を得た。
【0102】
(実施例17)
発泡剤としてシクロペンタン及び1,3,3,3−テトラフルオロプロペンをmol比率でそれぞれ10mol%、90mol%で混合したものを使用したこと、界面活性剤が混合されたフェノール樹脂100質量部に対して前記発泡剤を14部添加したこと、及び第1のオーブンの温度を65℃にしたこと以外は実施例12と同様にして、フェノール樹脂発泡体を得た。
【0103】
(実施例18)
発泡剤としてシクロペンタン及び1,3,3,3−テトラフルオロプロペンをmol比率でそれぞれ90mol%、10mol%で混合したものを使用したこと以外は実施例12と同様にして、フェノール樹脂発泡体を得た。
【0104】
(実施例19)
発泡剤としてシクロペンタン、イソブタン及び1,3,3,3−テトラフルオロプロペンをmol比率でそれぞれ35mol%、44mol%、11mol%で混合したものを使用したこと、及び第1のオーブンの温度を70℃にしたこと以外は実施例12と同様にして、フェノール樹脂発泡体を得た。
【0105】
(実施例20)
発泡剤としてシクロペンタン、イソブタン及び1,3,3,3−テトラフルオロプロペンをmol比率でそれぞれ55mol%、13mol%、12mol%で混合したものを使用したこと以外は実施例12と同様にして、フェノール樹脂発泡体を得た。
【0106】
(実施例21)
発泡剤としてシクロペンタン及び1,3,3,3−テトラフルオロプロペンをmol比率でそれぞれ75mol%、25mol%で混合したものを使用したこと以外は実施例12と同様にして、フェノール樹脂発泡体を得た。
【0107】
(実施例22)
発泡剤としてシクロペンタン及び1,3,3,3−テトラフルオロプロペンをmol比率でそれぞれ62mol%、38mol%で混合したものを使用したこと以外は実施例12と同様にして、フェノール樹脂発泡体を得た。
【0108】
(比較例4)
使用する発泡剤を1,3,3,3−テトラフルオロプロペン100mol%にしたこと以外は実施例12と同様にして、フェノール樹脂発泡体を得た。
【0109】
(比較例5)
発泡剤としてシクロペンタン、イソブタン及び1,3,3,3−テトラフルオロプロペンをmol比率でそれぞれ70mol%、5mol%、25mol%で混合したものを使用したこと、界面活性剤が混合されたフェノール樹脂100質量部に対して前記発泡剤を4部添加したこと、及び第1のオーブンの温度を90℃にしたこと以外は実施例12と同様にして、フェノール樹脂発泡体を得た。
【0110】
(比較例6)
発泡剤としてシクロペンタン及び1,3,3,3−テトラフルオロプロペンをmol比率でそれぞれ88mol%、12mol%で混合したものを使用したこと、界面活性剤が混合されたフェノール樹脂100質量部に対して前記発泡剤を10部添加したこと、及び第1のオーブンの温度を65℃にしたこと以外は実施例12と同様にして、フェノール樹脂発泡体を得た。
【0111】
上記実施例12〜22及び比較例4〜6で得られたフェノール樹脂発泡体内の空間体積22.4×10
−3m
3(22.4L)あたりの発泡剤の含有量、沸点平均値X1、X2、得られたフェノール樹脂発泡体の特性及び熱伝導率評価結果を表2に示す。
【0112】
【表2】
【0113】
(実施例23)
フェノール樹脂A100質量部に対して、界面活性剤としてエチレンオキサイド−プロピレンオキサイドのブロック共重合体及びポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテルを質量比率でそれぞれ50質量%、50質量%で含有する組成物を2.0質量部の割合で混合した。上記界面活性剤が混合されたフェノール樹脂100質量部に対して、発泡剤としてイソペンタン及び1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンをmol比率でそれぞれ20mol%、80mol%で混合したものを7質量部、酸硬化触媒としてキシレンスルホン酸80質量%とジエチレングリコール20質量%の混合物からなる組成物14質量部を、25℃に温調したミキシングヘッドで混合し、移動する面材上に供給した。
【0114】
面材上に供給した発泡性フェノール樹脂組成物は、面材と接触する面とは反対側の面が、他の面材で被覆されると同時に、二枚の面材で挟み込まれるようにして、85℃に加熱されたスラット型ダブルコンベアに導入された。発泡性フェノール樹脂組成物は、15分の滞留時間で硬化させた後、110℃のオーブンで2時間キュアしてフェノール樹脂発泡体とした。
【0115】
面材としては、ガラス繊維不織布(ジョーンズマンビル社製「Dura Glass Type DH 70」、坪量70g/m
2)を使用した。
【0116】
(実施例24)
発泡剤としてシクロペンタン、イソブタン及び1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンをmol比率でそれぞれ3mol%、7mol%、90mol%で混合したものを使用したこと、及び界面活性剤が混合されたフェノール樹脂100質量部に対して前記発泡剤を11部添加したこと以外は実施例23と同様にして、フェノール樹脂発泡体を得た。
【0117】
(実施例25)
発泡剤としてシクロペンタン、イソブタン及び1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンをmol比率でそれぞれ3mol%、12mol%、85mol%で混合したものを使用したこと、及び界面活性剤が混合されたフェノール樹脂100質量部に対して前記発泡剤を10部添加したこと以外は実施例23と同様にして、フェノール樹脂発泡体を得た。
【0118】
(実施例26)
発泡剤としてシクロペンタン、イソブタン及び1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンをmol比率でそれぞれ3mol%、12mol%、85mol%で混合したものを使用したこと、界面活性剤が混合されたフェノール樹脂100質量部に対して前記発泡剤を5部添加したこと、及び第1のオーブンの温度を93℃にしたこと以外は実施例23と同様にして、フェノール樹脂発泡体を得た。
【0119】
(実施例27)
発泡剤としてシクロペンタン及び1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンをmol比率でそれぞれ42mol%、48mol%で混合したものを使用したこと、界面活性剤が混合されたフェノール樹脂100質量部に対して前記発泡剤を9部添加したこと、及び第1のオーブンの温度を75℃にしたこと以外は実施例23と同様にして、フェノール樹脂発泡体を得た。
【0120】
(実施例28)
発泡剤としてシクロペンタン、イソブタン及び1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンをmol比率でそれぞれ10mol%、75mol%、15mol%で混合したものを使用したこと、及び第1のオーブンの温度を65℃にしたこと以外は実施例23と同様にして、フェノール樹脂発泡体を得た。
【0121】
(実施例29)
発泡剤としてシクロペンタン、イソブタン及び1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンをmol比率でそれぞれ5mol%、5mol%、90mol%で混合したものを使用したこと、界面活性剤が混合されたフェノール樹脂100質量部に対して前記発泡剤を14部添加したこと、及び第1のオーブンの温度を65℃にしたこと以外は実施例23と同様にして、フェノール樹脂発泡体を得た。
【0122】
(実施例30)
発泡剤としてシクロペンタン、イソブタン及び1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンをmol比率でそれぞれ20mol%、10mol%、70mol%で混合したものを使用したこと、及び界面活性剤が混合されたフェノール樹脂100質量部に対して前記発泡剤を9部添加したこと以外は実施例23と同様にして、フェノール樹脂発泡体を得た。
【0123】
(実施例31)
発泡剤としてシクロペンタン、イソブタン及び1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンをmol比率でそれぞれ30mol%、50mol%、20mol%で混合したものを使用したこと、第1のオーブンの温度を80℃にしたこと以外は実施例23と同様にして、フェノール樹脂発泡体を得た。
【0124】
(実施例32)
発泡剤としてシクロペンタン、イソブタン及び1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンをmol比率でそれぞれ30mol%、30mol%、40mol%で混合したものを使用したこと、及び第1のオーブン温度を85℃にしたこと以外は実施例23と同様にして、フェノール樹脂発泡体を得た。
【0125】
(実施例33)
発泡剤としてシクロペンタン、イソブタン及び1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンをmol比率でそれぞれ2mol%、13mol%、85mol%で混合したものを使用したこと、界面活性剤が混合されたフェノール樹脂100質量部に対して前記発泡剤を5部添加したこと、及び第1のオーブンの温度を95℃にしたこと以外は実施例23と同様にして、フェノール樹脂発泡体を得た。
【0126】
(比較例7)
使用する発泡剤を1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン100mol%にしたこと以外は実施例23と同様にして、フェノール樹脂発泡体を得た。
【0127】
(比較例8)
発泡剤としてシクロペンタン及び1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンをmol比率でそれぞれ80mol%、20mol%で混合したものを使用したこと、界面活性剤が混合されたフェノール樹脂100質量部に対して前記発泡剤を14部添加したこと、及び第1のオーブンの温度を70℃にしたこと以外は実施例23と同様にして、フェノール樹脂発泡体を得た。
【0128】
上記実施例23〜33及び比較例7及び8で得られたフェノール樹脂発泡体内の空間体積22.4×10
−3m
3(22.4L)あたりの発泡剤の含有量、沸点平均値X1、X2、得られたフェノール樹脂発泡体の特性及び熱伝導率評価結果を表3に示す。
【0129】
【表3】