【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用 1.発行者名 Institute of Electrical and Electronic Engineers 2.刊行物名、巻数、号数 2010 IEEE 71st Vehicular Technology Conference論文集 3.発行日 平成22年 5月16日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0015】
図1は、この発明の実施の形態による無線通信システムの概略図である。
図1を参照して、無線通信システム10は、無線装置1〜5を備える。無線装置1〜5は、無線通信空間に配置される。より具体的には、無線装置1〜5は、無線装置1〜5が相互に、直接、無線通信可能な領域REGに配置される。そして、無線装置1〜5の各々は、自己以外の無線装置が無線通信を行なっているとき、後述する方法によって、無線通信が可能であるか否かを判定し、無線通信が可能であると判定すると、1つの周波数帯域を用いて無線通信を行なう。
【0016】
[実施の形態1]
図2は、
図1に示す無線装置1の実施の形態1における構成図である。
図2を参照して、無線装置1は、アンテナ11と、送受信手段12と、通信手段13と、判定手段14と、演算手段15とを含む。
【0017】
アンテナ11は、無線通信空間を介して他の無線装置からパケットを受信し、その受信したパケットを送受信手段12へ出力する。
【0018】
また、アンテナ11は、送受信手段12からパケットを受け、その受けたパケットを無線通信空間を介して他の無線装置へ送信する。
【0019】
送受信手段12は、アンテナ11がパイロットチャネルにおいてパイロット信号PILOTを受信したときに得られる干渉パワーI
jを計測する。また、送受信手段12は、アンテナ11がパイロットチャネルにおいてパイロット信号を受信したときに得られる信号対雑音干渉比SINR
Pをよく知られた方法(例えば、1281579955718_0.htm1参照)を用いて計測する。
【0020】
送受信手段12は、その計測した干渉パワーI
jおよび信号対雑音干渉比SINR
Pを通信手段13へ出力する。
【0021】
また、送受信手段12は、アンテナ11からパケットを受ける。そして、送受信手段12は、そのパケットが送信先における干渉パワーI
jおよび信号対雑音干渉比SINR
Pを含むとき、その干渉パワーI
jおよび信号対雑音干渉比SINR
Pをパケットから取り出す。そして、送受信手段12は、その取り出した干渉パワーI
jを演算手段15へ出力し、その取り出した信号対雑音干渉比SINR
Pを判定手段14へ出力する。
【0022】
一方、送受信手段12は、そのパケットが通常のデータを含むとき、そのパケットを通信手段13へ出力する。
【0023】
更に、送受信手段12は、干渉パワーI
jおよび信号対雑音干渉比SINR
Pを含むパケットを通信手段13から受ける。そうすると、送受信手段12は、その受けたパケットをアンテナ11を介して送信元へ送信する。
【0024】
更に、送受信手段12は、送信パワーσ
j=SINR
T×I
jを演算手段15から受ける。
【0025】
更に、送受信手段12は、通常のデータを含むパケットを通信手段13から受ける。そして、送受信手段12は、無線通信が可能であることを示す信号COKを判定手段14から受けると、通常のデータを含むパケットをデータチャネルにおいて送信パワーσ
jでアンテナ11を介して送信先へ送信する。
【0026】
更に、送受信手段12は、パイロット信号PILOTを通信手段13から受けると、データチャネルに近いパイロットチャネルにおいて送信パワーσ
0でパイロット信号PILOTを送信する。送信パワーσ
0は、無線通信システム10において予め決定され、例えば、0.01Wである。
【0027】
通信手段13は、干渉パワーI
jおよび信号対雑音干渉比SINR
Pを送受信手段12から受ける。そして、通信手段13は、干渉パワーI
jおよび信号対雑音干渉比SINR
Pをデータ部に含むパケットを生成し、その生成したパケットを送受信手段12へ出力する。
【0028】
また、通信手段13は、信号COKを判定手段14から受けると、通常のデータをデータ部分に含むパケットを生成し、その生成したパケットを送受信手段12へ出力する。
【0029】
更に、通信手段13は、無線装置1が送信先以外の無線装置であるとき、パイロット信号PILOTを定期的に生成し、その生成したパイロット信号PILOTを送受信手段12へ出力する。
【0030】
判定手段14は、所望の送信レートに対応付けて目標の信号対雑音干渉比SINR
Tを保持する。目標の信号対雑音干渉比SINR
Tは、データチャネルにおける信号対雑音干渉比である。また、判定手段14は、定数c(0<c≦2)を保持する。
【0031】
判定手段14は、信号対雑音干渉比SINR
Pを送受信手段12から受けると、その受けた信号対雑音干渉比SINR
Pに対する目標の信号対雑音干渉比SINR
Tの比である評価値SINR
T/SINR
Pを演算する。そして、判定手段14は、評価値SINR
T/SINR
Pが定数c以下であるか否かを判定する。
【0032】
判定手段14は、評価値SINR
T/SINR
Pが定数c以下であると判定されたとき、信号COKを生成し、その生成した信号COKを送受信手段12および通信手段13へ出力する。
【0033】
一方、判定手段14は、評価値SINR
T/SINR
Pが定数cよりも大きいと判定されたとき、信号を生成しない。
【0034】
演算手段15は、目標の信号対雑音干渉比SINR
Tを保持する。演算手段15は、干渉パワーI
jを送受信手段12から受ける。そして、演算手段15は、送信パワーσ
j=SINR
T×I
jを演算し、その演算した送信パワーσ
jを送受信手段12へ出力する。
【0035】
なお、
図1に示す無線装置2〜5の各々も、
図2に示す無線装置1と同じ構成からなる。
【0036】
図3は、1つの周波数帯域の概念図である。
図3を参照して、周波数帯域BW1は、通常のデータを含むパケットの送受信に用いられる。データチャネルは、周波数帯域BW1における1つの周波数を有するチャネルである。パイロット信号PILOT1は、周波数帯域BW1に近い周波数f1で送受信される。パイロットチャネルは、周波数f1を有するチャネルである。
【0037】
無線装置1〜5の各々は、自己がデータチャネルで無線通信を行なうアクティブリンク上の無線装置であるとき、パイロットチャネルにおいてパイロット信号PILOT1を周期的に送信する。
【0038】
無線装置1〜5の各々は、自己がデータチャネルで無線通信を行なおうとする送信元であるとき、パイロットチャネルにおいてパイロット信号PILOT1を定期的に送信する。
【0039】
図4は、実施の形態1による無線通信方法を説明するための概念図である。
図4を参照して、無線装置2は、通常のデータを含むパケットをデータチャネルにおいてリンクML1で無線装置1へ送信する。また、無線装置4は、通常のデータを含むパケットをデータチャネルにおいてリンクML2で無線装置1へ送信する。従って、リンクML1,ML2の各々は、アクティブリンクである。
【0040】
この状況において、無線装置5は、データチャネルにおいてリンクML3で無線装置3と無線通信を行なう。この場合、無線装置3は、送信先であり、無線装置5は、送信元である。
【0041】
無線装置2,4の各々は、パイロットチャネルにおいて、送信パワーσ
0(=0.01W)でパイロット信号PILOT1を定期的に送信する。送信元である無線装置5は、パイロットチャネルにおいて、送信パワーσ
0(=0.01W)でパイロット信号PILOT1を送信先である無線装置3へ送信する。送信先である無線装置3は、無線装置2,4からそれぞれ干渉I1,I2を受ける。無線装置3の送受信手段12は、データチャネルにおける干渉パワーI
jと、アンテナ11がパイロットチャネルでパイロット信号PILOT1を無線装置5から受信するときに得られる信号対雑音干渉比SINR
Pとを計測する。無線装置3の送受信手段12は、その計測した干渉パワーI
jおよび信号対雑音干渉比SINR
Pを通信手段13へ出力する。
【0042】
無線装置3の通信手段13は、干渉パワーI
jおよび信号対雑音干渉比SINR
Pを送受信手段12から受ける。そして、無線装置3の通信手段13は、干渉パワーI
j、信号対雑音干渉比SINR
Pおよび無線装置5のアドレスAdd5を含むパケットPKT1=[Add5/I
j/SINR
P]を生成し、その生成したパケットPKT1=[Add5/I
j/SINR
P]を送受信手段12へ出力する。
【0043】
無線装置3の送受信手段12は、パケットPKT1=[Add5/I
j/SINR
P]を通信手段13から受け、パイロットチャネルにおいてパケットPKT1=[Add5/I
j/SINR
P]を無線装置5へ送信する。
【0044】
無線装置5の送受信手段12は、パイロットチャネルにおいてアンテナ11を介してパケットPKT1=[Add5/I
j/SINR
P]を受信する。そして、無線装置5の送受信手段12は、干渉パワーI
jおよび信号対雑音干渉比SINR
PをパケットPKT1から取り出す。無線装置5の送受信手段12は、その取り出した信号対雑音干渉比SINR
Pを判定手段14へ出力し、その取り出した干渉パワーI
jを演算手段15へ出力する。
【0045】
演算手段15は、送受信手段12から干渉パワーI
jを受けると、送信パワーσ
j=SINR
T×I
jを演算し、その演算した送信パワーσ
j=SINR
T×I
jを送受信手段12へ出力する。
【0046】
無線装置5の判定手段14は、送受信手段12から信号対雑音干渉比SINR
Pを受けると、評価値SINR
T/SINR
Pを演算する。そして、無線装置5の判定手段14は、評価値SINR
T/SINR
Pが定数c以下であるか否かを判定する。無線装置5の判定手段14は、評価値SINR
T/SINR
Pが定数c以下であると判定されたとき、信号COKを生成し、その生成した信号COKを送受信手段12および通信手段13へ出力する。
【0047】
無線装置5の通信手段13は、判定手段14から信号COKを受けると、通常のデータDataと、送信先である無線装置3のアドレスAdd3とを含むパケットPKT2=[Add3/Data]を生成し、その生成したパケットPKT2=[Add3/Data]を送受信手段12へ出力する。
【0048】
無線装置5の送受信手段12は、パケットPKT2=[Add3/Data]を通信手段13から受け、送信パワーσ
j=SINR
T×I
jを演算手段15から受ける。無線装置5の送受信手段12は、判定手段14から信号COKを受けると、データチャネルにおいて送信パワーσ
j=SINR
T×I
jでパケットPKT2=[Add3/Data]を無線装置3へ送信する。
【0049】
無線装置3の送受信手段12は、データチャネルにおいてパケットPKT2=[Add3/Data]を受信し、パケットPKT2=[Add3/Data]を通信手段13へ出力する。そして、無線装置3の通信手段13は、パケットPKT2=[Add3/Data]を受理する。
【0050】
なお、無線装置5の判定手段14は、評価値SINR
T/SINR
Pが定数cよりも大きいと判定したとき、信号を生成しないので、無線装置5の通信手段13は、パケットPKT2=[Add3/Data]を生成せず、無線装置5の送受信手段12は、パケットPKT2=[Add3/Data]を送信しない。この場合、無線装置5の通信手段13は、パイロット信号PILOT1を送信した後、所定の周期において、判定手段14から信号COKを受けないとき、パイロット信号PILOT1を再び生成し、その生成したパイロット信号PILOT1を送受信手段12へ出力する。そして、無線装置5の送受信手段12は、通信手段13から受けたパイロット信号PILOT1をパイロットチャネルで送信する。その後、無線装置5は、上述した方法によって、無線通信が可能か否かを判定し、無線通信が可能であると判定されたとき、通常のデータを含むパケットをデータチャネルで送信先である無線装置3へ送信する。
【0051】
図5は、実施の形態1による無線通信方法を示すフローチャートである。
図5を参照して、一連の動作が開始されると、アクティブリンク上の無線装置は、パイロットチャネルでパイロット信号PILOT1を送信し(ステップS1)、送信元も、パイロットチャネルでパイロット信号PILOT1を送信する(ステップS2)。
【0052】
送信先は、データチャネルにおける干渉パワーI
jと、アンテナ11が送信元からパイロットチャネルでパイロット信号PILOT1を受信したときに得られる信号対雑音干渉比SINR
Pとを計測する(ステップS3)。
【0053】
送信先は、その計測した干渉パワーI
jおよび信号対雑音干渉比SINR
Pを含むパケットPKT1=[I
j/SINR
P]を生成し、その生成したパケットPKT1=[I
j/SINR
P]を送信元へ送信する(ステップS4)。
【0054】
送信元は、パケットPKT1=[I
j/SINR
P]を送信先から受信する(ステップS5)。そして、送信元は、パケットPKT1から干渉パワーI
jおよび信号対雑音干渉比SINR
Pを取り出す。送信元は、パイロットチャネルにおける送信パワーσ
j=SINR
T×I
jを演算する(ステップS6)。また、送信元は、評価値SINR
T/SINR
Pを演算する(ステップS7)。そして、送信元は、評価値SINR
T/SINR
Pが定数c以下であるか否かを判定する(ステップS8)。
【0055】
ステップS8において、評価値SINR
T/SINR
Pが定数c以下であると判定されたとき、送信元は、通常のデータを含むパケットPKT2=[Data]を生成し、データチャネルにおいて送信パワーσ
jでパケットPKT2=[Data]を送信先へ送信する(ステップS9)。送信先は、データチャネルでパケットPKT2=[Data]を受信する(ステップS10)。
【0056】
ステップS8において、評価値SINR
T/SINR
Pが定数cよりも大きいと判定されたとき、またはステップS10の後、一連の動作は、終了する。
【0057】
なお、送信元は、ステップS1〜ステップS10を繰返し実行することによって通常のデータを含むパケットを送信先へ送信する。
【0058】
上述したように、送信元は、評価値SINR
T/SINR
Pを演算し、評価値SINR
T/SINR
Pが定数c以下であると判定されたとき、無線通信が可能であると判定する。従って、送信元は、無線通信が可能であるか否かを簡単に判定できる。
【0059】
この発明の実施の形態においては、定数cは、0よりも大きく、かつ、2以下であるので、送信元は、目標の信号対雑音干渉比SINR
Tが2×SINR
P以下であるとき、無線通信が可能であると判定する。その結果、目標の評価値SINR
Tは、2×SINR
P以下に保持される。また、送信元における送信パワーσ
jは、σ
j=SINR
T×I
j≦2×SINR
Pによって決定される。従って、送信元と送信先との間における無線通信がアクティブリンク上の無線通信に与える干渉パワーを低減できる。
【0060】
定数cの範囲についてのシミュレーションが行なわれた。その結果、定数cが0よりも大きく、かつ、2以下であるとき、送信元は、送信パワーσ
jを安定して制御できることが解った。従って、定数cの上限値は、2に設定される。
【0061】
この発明の実施の形態においては、定数cは、好ましくは、0よりも大きく、かつ、1以下である。この場合、送信元は、目標の信号対雑音干渉比SINR
Tが送信先で計測された信号対雑音干渉比SINR
P以下であるとき、無線通信が可能であると判定する。その結果、目標の信号対雑音干渉比SINR
Tは、信号対雑音干渉比SINR
P以下に保持される。また、送信元における送信パワーσ
jは、σ
j=SINR
P×I
jによって決定される。従って、送信元と送信先との間における無線通信がアクティブリンク上の無線通信に与える干渉パワーを更に低減できる。
【0062】
更に、定数cが0よりも大きく、かつ、1以下であるとき、送信元は、いつも、送信パワーσ
jを安定して制御できる。
【0063】
図6は、複数の周波数帯域の概念図である。この発明の実施の形態においては、複数の周波数帯域が存在してもよい。
図6を参照して、周波数の低い方から3個の周波数帯域BW1〜BW3が存在する場合を想定する。周波数帯域BW1〜BW3の各々は、データチャネルにおいて通常のデータを含むパケットの送受信に用いられる。パイロット信号PILOT1〜PILOT3は、それぞれ、周波数帯域BW1〜BW3に対応して設けられる。
【0064】
パイロット信号PILOT1は、周波数帯域BW1に近いパイロットチャネル(=周波数f1)で送受信される。パイロット信号PILOT2は、周波数帯域BW2に近いパイロットチャネル(=周波数f2)で送受信される。更に、パイロット信号PILOT3は、周波数帯域BW3に近いパイロットチャネル(=周波数f3)で送受信される。
【0065】
無線装置1〜5の各々は、自己が周波数帯域BW1〜BW3から選択された1つの周波数帯域における1つの周波数を有するデータチャネルで無線通信が行なわれるアクティブリンク上の無線装置であるとき、選択された周波数帯域に対応する1つのパイロット信号(パイロット信号PILOT1〜PILOT3のうちの1つ)を定期的に送信する。例えば、無線装置1〜5の各々は、自己が1つの周波数帯域BW1における1つの周波数を有するデータチャネルで無線通信が行なわれるアクティブリンク上の無線装置であるとき、周波数帯域BW1に対応するパイロット信号PILOT1を定期的に送信する。無線装置1〜5の各々が周波数帯域BW2またはBW3で無線通信が行なわれるアクティブリンク上の無線装置である場合、無線装置1〜5の各々は、それぞれ、周波数帯域BW2またはBW3に対応するパイロット信号PILOT2またはPILOT3を定期的に送信する。
【0066】
無線装置1〜5の各々は、自己が周波数帯域BW1〜BW3から選択された1つの周波数帯域において無線通信を行なおうとする送信元であるとき、選択された周波数帯域に対応する1つのパイロット信号(パイロット信号PILOT1〜PILOT3のうちの1つ)を定期的に送信する。より具体的には、無線装置1〜5の各々は、上述した方法を用いてパイロット信号を定期的に送信する。
【0067】
図7は、実施の形態1による他の無線通信方法を説明するための概念図である。
図7を参照して、無線装置2は、周波数帯域BW1におけるアクティブリンクML1で無線装置1へ通常のデータを含むパケットを送信する。また、無線装置4は、周波数帯域BW2におけるアクティブリンクML2で無線装置1へ通常のデータを含むパケットを送信する。
【0068】
この状況において、無線装置5は、周波数帯域BW2におけるリンクML3で無線装置3と無線通信を開始する。この場合、無線装置3は、送信先であり、無線装置5は、送信元である。
【0069】
無線装置2は、パイロットチャネル(=周波数f1)において送信パワーσ
0でパイロット信号PILOT1を定期的に送信し、無線装置4は、パイロットチャネル(=周波数f2)において送信パワーσ
0でパイロット信号PILOT2を定期的に送信する。送信元である無線装置5は、送信先である無線装置3へパイロットチャネル(=周波数f2)において送信パワーσ
0でパイロット信号PILOT2を送信する。
【0070】
送信先である無線装置3は、周波数を変えながら電波を受信し、パイロットチャネル(=周波数f2)において無線装置5からパイロット信号PILOT2を受信する。無線装置3が無線装置5からパイロット信号PILOT2を受信するとき、無線装置3は、パイロット信号PILOT2の周波数が周波数f2であり、パイロット信号PILOT1の周波数が周波数f1であるので、無線装置4から干渉パワーI2’を受け、無線装置2から干渉パワーI1を受けない。
【0071】
無線装置3の送受信手段12は、アンテナ11が無線装置5からパイロット信号PILOT2を受信するときに得られる干渉パワーI’
jおよび信号対雑音干渉比SINR
P’を計測する。そして、無線装置3の送受信手段12は、その計測した干渉パワーI’
jおよび信号対雑音干渉比SINR
P’を通信手段13へ出力する。
【0072】
無線装置3の通信手段13は、干渉パワーI’
jおよび信号対雑音干渉比SINR
P’を送受信手段12から受ける。そして、無線装置3の通信手段13は、干渉パワーI’
j、信号対雑音干渉比SINR
P’および無線装置5のアドレスAdd5を含むパケットPKT1’=[Add5/I’
j/SINR
P’]を生成し、パケットPKT1’=[Add5/I’
j/SINR
P’]を送受信手段12へ出力する。
【0073】
無線装置3の送受信手段12は、パケットPKT1’=[Add5/I’
j/SINR
P’]を通信手段13から受け、パケットPKT1’=[Add5/I’
j/SINR
P’]をパイロットチャネル(=周波数f2)で無線装置5へ送信する。
【0074】
無線装置5の送受信手段12は、パイロットチャネル(=周波数f2)でアンテナ11を介してパケットPKT1’=[Add5/I’
j/SINR
P’]を受信する。そして、無線装置5の送受信手段12は、干渉パワーI’
jおよび信号対雑音干渉比SINR
P’をパケットPKT1’から取り出す。無線装置5の送受信手段12は、干渉パワーI’
jを演算手段15へ出力し、信号対雑音干渉比SINR
P’を判定手段14へ出力する。
【0075】
無線装置5の演算手段15は、干渉パワーI’
jを送受信手段12から受けると、送信パワーσ’
j=SINR
T×I’
jを演算し、その演算した送信パワーσ’
j=SINR
T×I’
jを送受信手段12へ出力する。
【0076】
無線装置5の判定手段14は、信号対雑音干渉比SINR
P’を送受信手段12から受けると、評価値SINR
T/SINR
P’を演算する。無線装置5の判定手段14は、評価値SINR
T/SINR
P’が定数c以下であるか否かを判定する。無線装置5の判定手段14は、評価値SINR
T/SINR
P’が定数c以下であると判定したとき、信号COKを生成し、その生成した信号COKを送受信手段12および通信手段13へ出力する。
【0077】
無線装置5の通信手段13は、信号COKを判定手段14から受けると、通常のデータDataおよび無線装置3のアドレスAdd3を含むパケットPKT2=[Add3/Data]を生成し、パケットPKT2=[Add3/Data]を送受信手段12へ出力する。
【0078】
無線装置5の送受信手段12は、パケットPKT2=[Add3/Data]を通信手段13から受け、送信パワーσ’
j=SINR
T×I’
jを演算手段15から受ける。無線装置5の送受信手段12は、信号COKを判定手段14から受けると、データチャネル(=周波数帯域BW2における1つの周波数)において送信パワーσ’
j=SINR
T×I’
jでパケットPKT2=[Add3/Data]を無線装置3へ送信する。
【0079】
無線装置3の送受信手段12は、データチャネル(=周波数帯域BW2における1つの周波数)においてパケットPKT2=[Add3/Data]を受信し、パケットPKT2=[Add3/Data]を通信手段13へ出力する。そして、無線装置3の通信手段13は、パケットPKT2=[Add3/Data]を受理する。
【0080】
図8は、複数の周波数帯域が存在する場合における実施の形態1による無線通信方法を示すフローチャートである。
【0081】
図8を参照して、一連の動作が開始されると、アクティブリンク上の無線装置は、データチャネル(=複数の周波数帯域BW1〜BW3から選択された周波数帯域BW
i(i=1〜3)の1つの周波数)で無線通信を行なう(ステップS11)。そして、アクティブリンク上の無線装置は、周波数帯域BW
iに対応するパイロットチャネル(=周波数f
i)においてパイロット信号PILOT
iを送信する(ステップS12)。
【0082】
送信元は、複数の周波数帯域BW1〜BW3から周波数帯域BW
k(k=1〜3)を選択する(ステップS13)。そして、送信元は、周波数帯域BW
kに対応するパイロットチャネル(周波数f
k)においてパイロット信号PILOT
kを送信する(ステップS14)。
【0083】
送信先は、データチャネルにおける干渉パワーI’
jと、送信元からのパイロット信号PILOT
kがパイロットチャネル(=周波数f
k)において受信されるときに得られる信号対雑音干渉比SINR
P’とを計測する(ステップS15)。送信先は、その計測した干渉パワーI’
jおよび信号対雑音干渉比SINR
P’を含むパケットPKT1’=[I’
j/SINR
P’]を生成し、その生成したパケットPKT1’=[I’
j/SINR
P’]を送信元へ送信する(ステップS16)。
【0084】
送信元は、パケットPKT1’=[I’
j/SINR
P’]を送信先から受信する(ステップS17)。送信元は、干渉パワーI’
jおよび信号対雑音干渉比SINR
P’をパケットPKT1’から取り出す。そして、送信元は、送信パワーσ’
j=SINR
T×I’
jを演算する(ステップS18)。また、送信元は、評価値SINR
T/SINR
P’を演算する(ステップS19)。送信元は、評価値SINR
T/SINR
P’が定数c以下であるか否かを判定する(ステップS20)。
【0085】
ステップS20において、評価値SINR
T/SINR
P’が定数c以下であると判定されたとき、送信元は、通常のデータを含むパケットPKT2=[Data]を生成し、その生成したパケットPKT2=[Data]を周波数帯域BW
kのデータチャネルにおいて送信パワーσ’
jで送信先へ送信する(ステップS21)。送信先は、周波数帯域BW
kのデータチャネルにおいてパケットPKT2=[Data]を受信する(ステップS22)。
【0086】
ステップS20において、評価値SINR
T/SINR
P’が定数cよりも大きいと判定されたとき、またはステップS22の後、一連の動作は、終了する。
【0087】
上述したように、複数の周波数帯域BW1〜BW3が存在する場合、送信元(例えば、無線装置5)は、1つの周波数帯域BW
k(=周波数帯域BW1〜BW3のうちの1つ)を複数の周波数帯域BW1〜BW3から任意に選択し、その選択した1つの周波数帯域BW
kにおいて、上述した方法によって、無線通信が可能であるか否かを判定する。送信元は、無線通信が可能であると判定したとき、選択した1つの周波数帯域BW
kにおいて、送信先(例えば、無線装置3)と無線通信を行なう。
【0088】
アクティブリンクML1,ML2上において、それぞれ、周波数帯域BW1,BW2で無線通信が行なわれ、リンクML3上において、周波数帯域BW2で無線通信が行なわれる場合、送信先である無線装置3は、データチャネルにおける干渉パワーI’
jと、自己がパイロットチャネル(=周波数f2)においてパイロット信号PILOT2を受信するときに得られる信号対雑音干渉比SINR
P’とを計測する。送信元である無線装置5は、信号対雑音干渉比SINR
P’を用いて上述した方法によって無線通信が可能であるか否かを判定する。
【0089】
無線装置1〜5の全てが同じ周波数帯域(=周波数帯域BW1〜BW3のうちの1つ)において無線通信を行なう場合、送信元である無線装置5は、
図4に記載された方法によって無線通信が可能であるか否かを判定する。
【0090】
無線装置1〜5の一部が周波数帯域BW1〜BW3から選択された1つの周波数帯域において無線通信を行ない、無線装置1〜5の他の無線装置が周波数帯域BW1〜BW3から選択された他の周波数帯域において無線通信を行なう場合、送信元である無線装置5は、
図7に記載された方法によって無線通信が可能であるか否かを判定する。
【0091】
実施の形態1において、送信元は、評価値SINR
T/SINR
Pを演算し、評価値SINR
T/SINR
Pが定数c以下であると判定されたとき、無線通信が可能であると判定する。従って、送信元は、無線装置が可能であることを簡単に判定できる。
【0092】
[実施の形態2]
図9は、
図1に示す無線装置1〜5の実施の形態2における構成図である。実施の形態2においては、無線装置1〜5の各々は、
図9に示す無線装置1Aからなる。
【0093】
図9を参照して、無線装置1Aは、
図2に示す無線装置1の送受信手段12、通信手段13、および判定手段14をそれぞれ送受信手段12A、通信手段13A、および判定手段14Aに代えたものであり、その他の部分は、無線装置1と同じである。
【0094】
送受信手段12Aは、警告パケットPKT_WARをアンテナ11を介して他の無線装置から受信し、その受信した警告パケットPKT_WARを判定手段14Aへ出力する。
【0095】
送受信手段12Aは、警告パケットPKT_WARを通信手段13Aから受け、その受けた警告パケットPKT_WARを無線通信システム10においてアンテナ11を介してブロードキャストする。
【0096】
その他の機能については、送受信手段12Aは、送受信手段12と同じ機能を果たす。
【0097】
通信手段13Aは、警告信号WARを判定手段14Aから受け、警告信号WARをデータ部に含む警告パケットPKT_WARを生成する。警告信号WARは、評価値SINR
T/SINR
Pが定数cよりも大きいことを示す。そして、通信手段13Aは、警告パケットPKT_WARを送受信手段12Aへ出力する。
【0098】
その他の機能については、通信手段13Aは、通信手段13と同じ機能を果たす。
【0099】
判定手段14Aは、警告パケットPKT_WARを送受信手段12Aから受ける。判定手段14Aは、警告信号WARを警告パケットPKT_WARから取り出す。そして、判定手段14Aは、評価値SINR
T/SINR
Pおよび警告信号WARに基づいて無線通信が可能であるか否かを判定する。より具体的には、判定手段14Aは、評価値SINR
T/SINR
Pが定数c以下であり、かつ、警告信号WARが受信されていないか否かを判定する。
【0100】
判定手段14Aは、評価値SINR
T/SINR
Pが定数c以下であり、かつ、警告信号WARが受信されていないとき、信号COKを生成する。そして、判定手段14Aは、その生成した信号COKを送受信手段12Aおよび通信手段13Aへ出力する。
【0101】
一方、判定手段14Aは、第1〜第3の条件の1つが満たされていないとき、信号を生成しない。第1の条件は、評価値SINR
T/SINR
Pが定数c以下であることを表し、第2の条件は、警告信号WARが受信されていないことを表し、第3の条件は、評価値SINR
T/SINR
Pが定数c以下であり、かつ、警告信号WARが受信されていないことを表す。
【0102】
判定手段14Aは、評価値SINR
T/SINR
Pが定数cよりも大きいとき、警告信号WARを生成する。そして、判定手段14Aは、その生成した警告信号WARを通信手段13Aへ出力する。
【0103】
その他の機能については、判定手段14Aは、判定手段14と同じ機能を果たす。
【0104】
図10は、実施の形態2による無線通信方法を説明するための概念図である。
図10を参照して、無線装置4は、周波数帯域BW1のデータチャネルにおけるアクティブリンクML2で無線装置1と無線通信を行ない、無線装置2は、評価値SINR
T/SINR
Pが定数cよりも大きいとき、パイロットチャネル(=周波数f1)において警告パケットPKT_WARをブロードキャストする。
【0105】
この状況において、無線装置5は、周波数帯域BW1のデータチャネルにおいてリンクML3で無線装置3と無線通信を開始する。
【0106】
無線装置4は、パイロットチャネル(=周波数f1)においてパイロット信号PILOT1を定期的に送信し、送信元である無線装置5は、パイロットチャネル(=周波数f1)においてパイロット信号PILOT1を送信する。送信先である無線装置3は、無線装置4からデータチャネルにおいて干渉パワーI2を受ける。
【0107】
無線装置3の送受信手段12Aは、データチャネルにおける干渉パワーI”
jと、アンテナ11がパイロットチャネル(=周波数f1)において無線装置5からパイロット信号PILOT1を受けるときに得られる信号対雑音干渉比SINR
P”とを計測する。無線装置3の送受信手段12Aは、その計測した干渉パワーI”
jおよび信号対雑音干渉比SINR
P”を通信手段13Aへ出力する。
【0108】
無線装置3の通信手段13Aは、干渉パワーI”
jおよび信号対雑音干渉比SINR
P”を送受信手段12Aから受ける。そして、無線装置3の通信手段13Aは、干渉パワーI”
j、信号対雑音干渉比SINR
P”および無線装置5のアドレスAdd5を含むパケットPKT1”=[Add5/I”
j/SINR
P”]を生成する。そして、無線装置3の通信手段13Aは、パケットPKT1”=[Add5/I”
j/SINR
P”]を送受信手段12Aへ出力する。無線装置3の送受信手段12Aは、パイロットチャネル(周波数f1)においてパケットPKT1”=[Add5/I”
j/SINR
P”]を無線装置5へ送信する。
【0109】
無線装置5の送受信手段12Aは、パイロットチャネル(周波数f1)においてパケットPKT1”=[Add5/I”
j/SINR
P”]を無線装置3から受信し、パイロットチャネル(周波数f1)において警告パケットPKT_WARを無線装置2から受信する。無線装置5の送受信手段12Aは、干渉パワーI”
jおよび信号対雑音干渉比SINR
P”をパケットPKT1”=[Add5/I”
j/SINR
P”]から取り出す。
【0110】
無線装置5の送受信手段12Aは、その取り出した干渉パワーI”
jを演算手段15へ出力し、その取り出した信号対雑音干渉比SINR
P”と、警告パケットPKT_WARとを判定手段14Aへ出力する。
【0111】
無線装置5の演算手段15は、干渉パワーI”
jを送受信手段12Aから受け、送信パワーσ”
j=SINR
T×I”
jを演算する。そして、無線装置5の演算手段15は、その演算した送信パワーσ”
j=SINR
T×I”
jを送受信手段12Aへ出力する。
【0112】
無線装置5の判定手段14Aは、信号対雑音干渉比SINR
P”および警告パケットPKT_WARを受ける。無線装置5の判定手段14Aは、警告信号WARを警告パケットPKT_WARから取り出す。無線装置5の判定手段14Aは、評価値SINR
T/SINR
P”を演算する。そして、無線装置5の判定手段14Aは、評価値SINR
T/SINR
P”が定数c以下であり、かつ、警告信号WARが受信されていないか否かを判定する。
【0113】
無線装置5の判定手段14Aは、評価値SINR
T/SINR
P”が定数c以下であり、かつ、警告信号WARが受信されていないとき、信号COKを生成し、その生成した信号COKを送受信手段12Aおよび通信手段13Aへ出力する。
【0114】
無線装置5の通信手段13Aは、信号COKに応じて、通常のデータDataおよび無線装置3のアドレスAdd3を含むパケットPKT2=[Add3/Data]を生成する。無線装置5の通信手段13Aは、その生成したパケットPKT2=[Add3/Data]を送受信手段12Aへ出力する。
【0115】
無線装置5の送受信手段12Aは、パケットPKT2=[Add3/Data]を通信手段13Aから受ける。無線装置5の送受信手段12Aは、判定手段14Aから信号COKを受けると、周波数帯域BW1のデータチャネルにおいてパケットPKT2=[Add3/Data]を送信パワーσ”
j=SINR
T×I”
jで無線装置3へ送信する。
【0116】
無線装置3の送受信手段12Aは、周波数帯域BW1のデータチャネルにおいてアンテナ11を介してパケットPKT2=[Add3/Data]を受信する。無線装置3の送受信手段12Aは、その受信したパケットPKT2=[Add3/Data]を通信手段13Aへ出力する。無線装置3の通信手段13Aは、パケットPKT2=[Add3/Data]を受理する。
【0117】
一方、第1〜第3の条件の1つが満たされていないとき、無線装置5の判定手段14Aは、信号を生成しない。この場合、第1の条件は、評価値SINR
T/SINR
P”が定数c以下であることを表し、第2の条件は、警告信号WARが受信されていないことを表し、第3の条件は、評価値SINR
T/SINR
P”が定数c以下であり、かつ、警告信号WARが受信されていないことを表す。
【0118】
従って、無線装置5の通信手段13Aは、通常のデータDataを含むパケットPKT2を生成しない。即ち、無線装置5は、通常のデータDataを含むパケットPKT2を送信しない。
【0119】
実施の形態2においては、無線装置5は、評価値SINR
T/SINR
P”が定数c以下であり、かつ、警告信号WARが受信されていないとき、データチャネルにおいて送信パワーσ”
j=SINR
T×I”
jでパケットPKT2=[Add3/Data]を無線装置3へ送信する。即ち、無線装置5は、無線通信システム10の各送信元において、評価値SINR
T/SINR
Pが定数c以下であると判定されたとき、データチャネルにおいて送信パワーσ”
j=SINR
T×I”
jでパケットPKT2=[Add3/Data]を送信する。
【0120】
従って、リンクML3上の無線通信が他のリンク上の無線通信に与える干渉パワーを低減できる。
【0121】
無線装置5は、自己が警告信号WARを無線装置2から受信するとき、パケットPKT2=[Add3/Data]を無線装置3へ送信しない。
【0122】
即ち、無線装置5は、送信元のいずれかにおいて、評価値SINR
T/SINR
Pが定数cよりも大きいと判定されたとき、パケットPKT2=[Add3/Data]を送信しない。その結果、送信先である無線装置1において計測された干渉パワーは、減少する。無線装置4における送信パワーは、無線装置1において計測された干渉パワーに比例するように決定される。
【0123】
従って、無線通信システム10における送信パワーσ
jの増加が抑制される。
【0124】
図11は、実施の形態2による無線通信方法を示すフローチャートである。
図11に示すフローチャートは、
図5に示すフローチャートのステップS8をステップS8Aに代えたものであり、その他の部分は、
図5に示すフローチャートと同じである。
【0125】
図11を参照して、一連の動作が開始されると、ステップS1〜ステップS7が上述したように実行される。ステップS7の後、送信元は、評価値SINR
T/SINR
Pが定数c以下であり、かつ、警告信号WARが受信されていないか否かを判定する(ステップS8A)。
【0126】
ステップS8Aにおいて、評価値SINR
T/SINR
Pが定数c以下であり、かつ、警告信号WARが受信されていないと判定されたとき、一連の動作は、ステップS9へ移行する。そして、ステップS9,S10が上述したように実行される。
【0127】
一方、ステップS8Aにおいて、第1〜第3の条件のうちの1つが満たされていないと判定されたとき、一連の動作は、終了する。この場合、第1の条件は、評価値SINR
T/SINR
Pが定数c以下であることを表し、第2の条件は、警告信号WARが受信されていないことを表し、第3の条件は、評価値SINR
T/SINR
Pが定数c以下であり、かつ、警告信号WARが受信されていないことを表す。
【0128】
なお、送信元は、ステップS1〜S7,S8A,S9,S10を繰返し実行することによって、通常のデータを含むパケットを送信先へ送信する。
【0129】
図12は、複数の周波数帯域が存在する場合における実施の形態2による無線通信方法を示すフローチャートである。
【0130】
図12に示すフローチャートは、
図8に示すフローチャートのステップS20をステップS20Aに代えたものであり、その他の部分は、
図8に示すフローチャートと同じである。
【0131】
図12を参照して、一連の動作が開始されると、ステップS11〜ステップS19が上述したように実行される。ステップS19の後、送信元は、評価値SINR
T/SINR
P’が定数c以下であり、かつ、警告信号WARが受信されていないか否かを判定する(ステップS20A)。
【0132】
ステップS20Aにおいて、評価値SINR
T/SINR
P’が定数c以下であり、かつ、警告信号WARが受信されていないと判定されたとき、一連の動作は、ステップS21へ移行する。そして、ステップS21,S22が上述したように実行される。
【0133】
一方、ステップS20Aにおいて、第1〜第3の条件のうちの1つが満たされていないと判定されたとき、一連の動作は、終了する。この場合、第1の条件は、評価値SINR
T/SINR
P’が定数c以下であることを表す。第2の条件は、警告信号WARが受信されていないことを表す。第3の条件は、評価値SINR
T/SINR
P’が定数c以下であり、かつ、警告信号WARが受信されていないことを表す。
【0134】
複数の周波数帯域BW1〜BW3が存在するとき、送信元は、ステップS11〜S19,S20A,S21,S22を繰返し実行することによって通常のデータを含むパケットを送信先へ送信する。
【0135】
上述したように、送信元は、評価値SINR
T/SINR
P’を演算し、評価値SINR
T/SINR
P’が定数c以下であり、かつ、警告信号WARが受信されていないと判定されたとき、無線通信が可能であると判定する。従って、送信元は、無線通信が可能であることを簡単に判定できる。また、各リンク上の無線通信が他のリンク上の無線通信に与える干渉パワーを減少できる。更に、無線通信システム10における送信パワーσ
jの増加を抑制できる。
【0136】
この発明の実施の形態においては、周波数帯域の数は、3に限られず、一般的には、n(nは2以上)個の周波数帯域BW
1〜BW
nが存在してもよい。この場合、無線装置1〜5の各々は、通常のデータを含むパケットを送受信するために用いられる周波数帯域BW
mに対応するパイロットチャネル(=周波数f
m)においてパイロット信号PILOT
m(m=1〜n)を送信する。
【0137】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。