【実施例1】
【0021】
以下、実施例1に係る栗石製造用破砕装置について
図1〜図
12に基づいて説明する。
図1に示すように、ショベル系掘削機である油圧ショベル1は、1対のクローラ2を備えた下部走行体3と、この下部走行体3の上部に旋回自在に装備され操作者が乗り込む運転室を備えた上部旋回体4とを有している。上部旋回体4の後部には、油圧供給源として油圧ポンプ(図示略)と、油圧ポンプを駆動する油圧発生用エンジン(図示略)と、後述する栗石製造用破砕装置10に対する油圧の供給・排出を切換えるバルブユニット(図示略)等が配置されている。
【0022】
油圧ショベル1は、後端を上部旋回体4に回転可能に軸支されたブーム5と、このブーム5を傾動させる油圧式のブームシリンダ6と、ブーム5の前端部に後部が回転可能に軸支されたアーム7と、このアーム7を傾動可能な油圧式のアームシリンダ8と、アーム7の先端部に連結され且つ破砕対象物から大きさ(平均粒径)が揃った栗石を製造可能な破砕装置10等を備えている。尚、本実施例の栗石の大きさは、蛇籠等の中詰材に使用可能な粒径、例えば、平均粒径が150mm±100mmの栗石を例として説明する。
【0023】
アーム7は、ブーム5の前端部にアーム揺動軸9によって揺動可能に軸支されている。アームシリンダ8のシリンダ本体の基端部がブーム5の途中部に回転可能に連結され、アームシリンダ8のピストンロッドの先端部がアーム7の後端部に回動可能に連結されている。アームシリンダ8が伸長又は収縮したとき、アーム7はアーム揺動軸9を揺動中心として前後方向へ揺動する。
【0024】
アーム7には、連結軸12(軸部材)と、油圧式のバケットシリンダ11(破砕用流体圧シリンダ)等が設けられている。連結軸12は、アーム7の先端部の軸穴に左右方向且つ水平状に挿通され、破砕装置10の可動フレーム30を固定フレーム20の枢支部23に対して回動可能に枢支している。バケットシリンダ11は、そのシリンダ本体の基端部がアーム7の上部に回転可能に連結され、可動フレーム30を連結軸12を中心として回転駆動可能に形成されている。
【0025】
図1に示すように、破砕装置10は、固定フレーム20と、この固定フレーム20に枢支された可動フレーム30と、この可動フレーム30を回動駆動するためのバケットシリンダ11等により構成されている。破砕装置10は、油圧ショベル1の先端部分に対して連結軸12と連結部材24により着脱可能なアタッチメントである。
【0026】
図2〜
図4,
図8に示すように、固定フレーム20は、本体部21と、連結壁22a,22bと、3つの前端刃25と、4つの固定破砕刃26等を備えている。固定フレーム20は、アーム7の前端部分に着脱可能に形成され、アーム7の前部下側に沿うように配置され、アーム7の前端よりも前方へ延びるように形成されている。
【0027】
本体部21は、アーム7の前部下側に配置され、底壁21aと、左右1対の側壁21bと、左右1対の延長壁21cと、中間壁21dと、左右1対の枢支部23と、連結部材24等を備えている。底壁21aは、前側部分の左右方向幅が後側部分の左右方向幅よりも広くなるよう平面視略T字状に形成され、左右1対の側壁21bの下部に亙って掛け渡すように形成されている。左右1対の側壁21bは、連結部材24が設置された後側近傍位置から連結壁22aの後端に亙ってアーム7の軸線A方向に沿って延びる左右1対の金属製板部材により形成されている。左右1対の延長壁21cは、連結壁22aの左右端部分後方に配置され、左右1対の側壁21bの側部に直交するように両側壁21bから夫々左右外側へ延設されている。中間壁21dは、連結壁22aの後方に設けられ左右1対の側壁21bを連結している。
【0028】
左右1対の枢支部23は、本体部21の前端部分の左右端部分上部位置に上向き凸状に形成されている。枢支部23は、平面視にて延長壁21cと連結壁22aの間に側壁21bと平行方向になるよう配置され、連結軸12を枢支可能な軸穴を備えている。それ故、可動フレーム30は、連結軸12が枢支部23に枢支されるため、固定フレーム20に対して回動可能に枢支されている。
【0029】
連結部材24は、軸部24aと、ブラケット24bと、左右1対のボルト部材24cと、これらボルト部材に螺合可能な左右1対のナット24d等により形成されている。
軸部24aは、左右両端部分に上下方向へ貫通する左右1対のボルト穴24eを有し、アーム7の前側部分と本体部21の後端部分に左右方向水平状に挿通されている。ブラケット24bは、アーム7の上部に装着可能な略コ字状に形成されている。左右1対のボルト部材24cの上部はブラケット24bの左右端部に固着され、これらボルト部材24cの下部は左右1対のボルト穴24eに夫々挿通されている。それ故、左右1対のナット24dをボルト部材24cに締結することにより、軸部24aとブラケット24bの間隔を調節することができる。本体部21をアーム7に固定するとき、左右1対のナット24dを締め付け側に操作し、軸部24aとブラケット24bの間隔を狭くすることにより、本体部21をアーム7の前部下側位置に固定でき、本体部21をアーム7から取り外すとき、左右1対のナット24dを緩め側に操作し、軸部24aとブラケット24bの間隔を広くすることにより、本体部21のアーム7に対する固定を解除できる。
【0030】
図2〜
図4に示すように、連結壁22aは、左右1対の延長壁21cの前方位置に配置され、延長壁21cと中間壁21dに対して平行方向(左右方向)に延びる金属製板部材から形成されている。連結壁22aは、底壁21aと左右1対の側壁21bと枢支部23の前端に固着されている。それ故、固定フレーム20は、左右1対の側壁21bと、連結壁22aと、左右1対の延長壁21cと、中間壁21dにより、格子状フレームを形成している。
【0031】
連結壁22bは、連結壁22aに対して平行方向に延びる金属製板部材から形成されている。連結壁22bは連結壁22aと略同じ左右方向幅を有し、連結壁22bの上下方向高さは、連結壁22aの上下方向高さよりも低く形成されている。連結壁22bの前端には、側面視三角形状の前端刃25が左右端近傍位置と中央位置の3箇所に設置されている。
【0032】
図3,
図4に示すように、連結壁22aと連結壁22bの間には、固定フレーム20を上下方向に貫通する3つの排出開口E1が形成されている。排出開口E1は、連結壁22aの前面と、連結壁22bの後面と、左右方向に隣り合う固定破砕刃26の対向する1対の側面により形成され、排出開口E1よりも小さく破砕された栗石を外部へ排出可能に構成されている。
【0033】
図2,
図4、
図8に示すように、4つの固定破砕刃26は、その後端が連結壁22aの前端に固着され、その前端が連結壁22bの後端に固着されている。各固定破砕刃26は、前後方向に延びる金属製板部材から形成され、側壁21bと平行方向になるよう左右方向に所定間隔離隔して配列されている。隣り合う固定破砕刃26の間隔は、製造する栗石の大きさに対応した間隔、例えば、150mmに設定されている。
【0034】
固定破砕刃26は、立向き板状の基部26eと、この基部基部26eの上部に配設された3つの山形状の刃先部26a〜26cと、突出部26dを備えている。
刃先部26a〜26cは、断面台形形状に形成され、基部26eの厚みよりも大きな厚みを有し、側面視波形に形成されている。これら刃先部26a〜26cの前後方向の間隔は、栗石の大きさに対応した間隔、例えば、150mmに設定されている。左右方向中間位置に配置された内側2つの固定破砕刃26の刃先部26a〜26cは、可動フレーム30が固定フレーム20に対して接近状態のとき、後述する可動フレーム30に形成された排出開口E2内へ侵入可能に構成されている。(
図8参照)
【0035】
突出部26dは、直方体形状に形成され、前後方向中央に位置する刃先部26bの下方位置に配置され、固定破砕刃26の左右側部から左右方向へ延びるよう設置されている。突出部26dは、各固定破砕刃26の側部に、夫々対向するように設置され、左端位置の固定破砕刃26の左側部と右端位置の固定破砕刃26の右側部においては突出部26dが省略されている。
【0036】
次に、可動フレーム30について説明する。
図2,
図3,
図5に示すように、可動フレーム30は、本体部31と、連結壁32a,32bと、左右1対の側部可動破砕刃36と、中央可動破砕刃37等を備えている。可動フレーム30は、連結軸12を介して枢支部23に回動可能に枢支されている。
【0037】
本体部31は、左右1対の側壁31bと、左右1対の軸支部33と、左右1対の連結ピン孔34と、天井壁38等を備えている。本体部31は、アーム7を挟んで固定フレーム20の上方位置に配置され、枢支部23に連結軸12を介して回動可能に枢支され、固定フレーム20に対して接近、離隔可能に構成されている。左右1対の側壁31bは、左右1対の金属製板部材から形成され、固定破砕刃26と平行方向になるよう左右方向に所定間隔離隔して配置されている。左右1対の側壁31bの間隔は、左右1対の枢支部23の間隔よりも狭く設定されている。左右1対の側壁31bには、軸支部33と、連結ピン孔34が形成されている。
【0038】
左右1対の軸支部33は、可動フレーム30が離隔状態のとき、本体部31の下部位置に下向き凸状に形成されている。左右1対の軸支部33は、平面視にて左右1対の枢支部23の間に枢支部23と平行方向に配置され、連結軸12が挿通可能な軸穴を備えている。
左右1対の連結ピン孔34は、可動フレーム30が離隔状態のとき、本体部31の背部に相当する後側上部位置に形成されている。左右1対の連結ピン孔34は、バケットシリンダ11のピストンロッドにHリンク13と連結ピン15を介して連結されている。
【0039】
天井壁38は、本体部31の上部に配置された金属製板部材から形成されている。天井壁38の下部には、磁気により鉄筋等の鉄製部材を吸着可能な励磁機構38aが配置されている。励磁機構38aは、通電により磁気を発生し、磁化された天井壁38へ鉄製部材を吸着可能に構成されている。これにより、鉄筋等の鉄製部材を天井壁38に吸着して搬送することができる。
【0040】
ここで、四節リンク機構Lについて説明する。
図1に示すように、四節リンク機構Lは、バケットシリンダ11により可動フレーム30を固定フレーム30に対して接近、離隔回動可能に形成されている。
連結ピン孔34は連結ピン15によりHリンク13の前端部に連結され、Hリンク13の後端部は連結ピン14によりバケットシリンダ11のピストンロッドの前端部に連結されている。サイドリンク16の一端部は連結ピン14に回動可能に連結され、このサイドリンク16の他端部はアーム7の前部に連結ピン17により回動可能に連結されている。以上のように、連結軸12、連結ピン14,15,17、Hリンク13及びサイドリンク16により、可動フレーム30を固定フレーム30に対して接近・離隔回動させるための四節リンク機構Lを構成している。
【0041】
これにより、四節リンク機構Lが、バケットシリンダ11のピストンロッドを伸長状態から収縮状態に駆動したとき、可動フレーム30を固定フレーム20から離隔回動でき、ピストンロッドを最大収縮したとき、可動フレーム30の固定フレーム20に対する開口角度(固定破砕刃26と側部可動破砕刃36により形成される角度)が略90度になるまで離隔回動した離隔状態(
図2参照)にすることができる。また、四節リンク機構Lが、バケットシリンダ11のピストンロッドを収縮状態から伸長状態に駆動したとき、可動フレーム30を固定フレーム20へ接近回動でき、ピストンロッドを最大伸長したとき、可動フレーム30が固定フレーム20に対して全閉位置まで接近回動した接近状態(
図8参照)にすることができる。
【0042】
図2,
図3,
図5に示すように、連結壁32aは、左右方向に延びる金属製板部材から形成され、左右1対の側壁31bの前端に固着されている。連結壁32aは、天井壁38の前端部から下方へ延び、側面視にて下部が前方へ湾曲するよう湾曲形状に形成されている。連結壁32bは、連結壁32aよりも上下方向長さが短く形成され、連結壁32aに対して連結ピン孔34と略対称位置に配設されている。連結壁32bの前端には、側面視にて台形形状の左右1対の前端刃35が設けられている。
【0043】
図3,
図5に示すように、連結壁32aと連結壁32bの間には、可動フレーム30を上下方向に貫通する2つの排出開口E2が形成されている。排出開口E2は、連結壁32aの前面と、連結壁32bの後面及び下面と、左右方向に隣り合う側部可動破砕刃36と中央可動破砕刃37の対向する1対の側面により形成され、排出開口E2よりも小さく破砕された栗石を外部へ排出可能に構成されている。
【0044】
図2,
図5に示すように、左右1対の側部可動破砕刃36は、その後端が連結壁32aの前端に固着され、その前端が連結壁32bの後端に固着されている。これら側部可動破砕刃36は、前後方向に延びる金属製板部材から形成され、固定可動破砕刃26と平行方向になるよう左右方向に所定間隔離隔して配列されている。側部可動破砕刃36は、可動フレーム30が固定フレーム20に対して接近状態のとき、平面視にて左右方向に所定間隔離隔して固定可動破砕刃26と交互に位置するよう形成されている。
【0045】
側部可動破砕刃36は、立向き板状の基部36eと、この基部36eの下部に配設された3つの山形状の刃先部36a〜36cと、突出部36d等を備えている。
刃先部36a〜36cは、断面台形形状に形成され、基部36eの厚みよりも大きな厚みを有し、側面視波形に形成されている。これら刃先部36a〜36cの前後方向の間隔は、栗石の大きさに対応した間隔、例えば、150mmに設定されている。
刃先部36a〜36cは、刃先部26a〜26cに対応した連結軸12を中心とした同心円上に配置され、可動フレーム30が固定フレーム20に対して接近状態のとき、固定フレーム20に形成された排出開口E1内へ侵入可能に構成されている。(
図8参照)
【0046】
突出部36dは、直方体形状に形成され、前後方向中央に位置する刃先部36bの上方位置に配置され、側部可動破砕刃36の左右側部から左右方向へ延びるよう設置されている。突出部36dは、突出部26dに対応した連結軸12を中心とした同心円上に配置されているため、可動フレーム30が接近状態のとき、突出部36dは固定破砕刃26の突出部26dと左右方向に離隔した状態にて対向する位置に配置されている。
【0047】
図2,
図5,
図6に示すように、中央可動破砕刃37は、その後端が連結壁32aの前端に固着され、その前端が連結壁32bの後端に固着されている。中央可動破砕刃37は、前後方向に延びる金属製板部材から形成され、左右1対の側部可動破砕刃36の間に側部可動破砕刃36と平行方向になるよう配置されている。中央可動破砕刃37は、可動フレーム30が固定フレーム20に対して接近状態のとき、平面視にて左右方向に所定間隔離隔して固定可動破砕刃26と交互に位置するよう形成されている。中央可動破砕刃37と隣り合う側部可動破砕刃36の間隔は、製造する栗石の大きさに対応した間隔、例えば、160mmに設定されている。
【0048】
これにより、排出開口E2よりも左右方向の幅が大きな栗石の排出を規制し、排出開口E2を通過可能な大きさの栗石を排出することができる。しかも、可動フレーム30が固定フレーム20に対して接近状態のとき、側部可動破砕刃36と中央可動破砕刃37は左右方向に固定破砕刃26と所定間隔離隔して交互に位置する、つまり、固定破砕刃26に隣接する側部可動破砕刃36と中央可動破砕刃37の間(排出開口E2)へ固定破砕刃26の刃先部26a〜26cを侵入させて栗石の大きさを設定可能に構成したため、コンクリート塊の破砕作業と同期して製造される栗石の左右方向寸法を調整することができる。
【0049】
中央可動破砕刃37は、立向き板状の基部37eと、この基部36eの下部に配設された山形状の突出刃37aと、突出部37dと、左右1対のスペーサ39を備えている。
突出刃37aは、断面台形形状に形成され、側面視にて刃先部36bと刃先部36cの前後方向中間に位置するように配置されている。突出刃37aは、可動フレーム30が接近回動したとき、刃先部36a〜36cよりも破砕対象物に早く当接するよう刃先部36a〜36cよりも接近回動方向側に突出状に形成されている。
【0050】
図2,
図5,
図6,
図8に示すように、突出部37dは、直方体形状に形成され、突出刃37a突出刃37aから前後方向後側且つ離隔回動方向側位置に配置され、中央可動破砕刃37の左右側部から左右方向へ延びるよう設置されている。突出部37dは、突出部26dに対応した連結軸12を中心とした同心円上に配置されているため、可動フレーム30が接近状態のとき、突出部37dは固定破砕刃26の突出部26dと左右方向に離隔した状態にて対向する位置に配置されている。
【0051】
図6,
図7に示すように、スペーサ39は、中央可動破砕刃37の左右側部に配置され、中央可動破砕刃37と隣り合う左右1対の側部可動破砕刃36との左右方向の間隔を調節可能に形成されている。スペーサ39は、連結壁32aの下部と連結壁32bの下部とを結ぶ線上、所謂排出開口E2の導入側端部近傍位置に中央可動破砕刃37の側部に沿って設けられ、中央可動破砕刃37の左右側部に対してボルト39aにより交換可能に装着されている。左右1対のスペーサ39は夫々突出部37dを前後方向中間位置に挟むように2分割形成され、前側の左右両側のスペーサ39と後側の左右両側のスペーサは夫々中央可動破砕刃37を介してボルト39aにより共締めされている。
【0052】
左右方向の厚さが異なる複数種類のスペーサ39が予め準備され、側部可動破砕刃36と中央可動破砕刃37の間隔が製造される栗石の大きさに対応した間隔になるようスペーサ39の種類を選択し、選択されたスペーサ39が中央可動破砕刃37の側部に装着されている。それ故、予め設定された側部可動破砕刃36と中央可動破砕刃37の間隔に拘わらず、スペーサ39の交換により排出開口E2から排出される栗石の左右方向寸法を簡単に調節することができる。
【0053】
次に、
図9〜
図12に基づき、以上説明した栗石製造用破砕装置10の破砕動作について説明する。
破砕対象物O(コンクリート塊)を破砕する場合、アーム7等を破砕対象物Oの近傍位置まで移動し、破砕装置10を破砕対象物Oと対向する位置に移動する。バケットシリンダ11のピストンロッドを伸長状態から収縮状態に駆動し、可動フレーム30を固定フレーム20から離隔回動して可動フレーム30の固定フレーム20に対する開口角度を確保する。(
図2参照)次に、破砕対象物Oが固定破砕刃26と可動破砕刃36,37との間に配置されるように破砕装置10を位置操作し、バケットシリンダ11を伸長動作して、破砕対象物Oを各破砕刃間に挟持する。
【0054】
図9に示すように、破砕開始時、突出刃37aが刃先部36a〜36cよりも破砕対象物Oに早く当接するため、刃先部26a〜26c上に載置された破砕対象物Oに対して突出刃37aからの押圧力が集中して付与され、突出刃37aが破砕対象物Oに喰い込み、この喰い込み部分を起点位置とした放射状の亀裂部を生じる。
【0055】
図10に示すように、可動フレーム30が破砕開始位置から接近回動したとき、突出刃37aの破砕対象物Oに対する喰い込み量が増し、突出刃37aを起点位置とした亀裂が拡大する。突出刃37aから大きな押圧力が作用し、刃先部26a〜26cが破砕対象物Oに喰い込み、この喰い込み部分から放射状の亀裂部を生じる。連結壁22aと連結壁32aにより挟まれた後側部分と連結壁22bと連結壁32bにより挟まれた前側部分にも左右方向へ進行する亀裂部を生じる。
【0056】
図11に示すように、更に可動フレーム30が接近回動したとき、刃先部36a〜36cが破砕対象物Oに喰い込み、この喰い込み部分から放射状の亀裂部を生じる。刃先部26a〜26cを起点位置とした前後方向へ進行する亀裂部が前後に連続し、連結壁22aと連結壁32aにより挟まれた後側部分と連結壁22bと連結壁32bにより挟まれた前側部分の亀裂が拡大する。突出部26dと突出部36d,37dが破砕対象物Oに喰い込み、この喰い込み部分から左右方向へ進行する亀裂部を生じる。
【0057】
図12に示すように、バケットシリンダ11のピストンロッドが最大伸長して可動フレーム30が最大接近回動した接近状態のとき、固定破砕刃26と側部可動破砕刃36と中央可動破砕刃37が破砕対象物Oを完全に噛み込み、刃先部36a〜36cを起点位置とした前後方向へ進行する亀裂部が前後に連続し、突出部26dと突出部36d,37dを起点位置とした左右方向へ進行する亀裂部が左右に連続する。また、連結壁22aと連結壁32aにより挟まれた部分と連結壁22bと連結壁32bにより挟まれた部分が左右方向に破断される。
【0058】
以上により、破砕対象物Oは、刃先部26a〜26cを結ぶ前後方向線と刃先部36a〜36cを結ぶ前後方向線と突出刃37aに沿って前後方向に破断され、刃先部26a,36aを結ぶ左右方向線と突出部26d,36d,37d(刃先部26b,36b)を結ぶ左右方向線と刃先部26c,36cを結ぶ左右方向線と連結壁22a,22b(連結壁32a,32b)に沿って左右方向に破断されるため、破砕対象物Oが格子状に破砕され、破砕対象物Oから大きさ(平均粒径)が揃った栗石Cを製造することができる。製造された栗石Cは、排出開口E1が下方へ対面している破砕姿勢のとき、排出開口E1から外部へ排出され、排出開口E2が下方へ対面している破砕姿勢のとき、排出開口E2から外部へ排出される。それ故、アーム7の軸線Aが垂直近傍位置のような破砕姿勢で破砕作業を行うとき、栗石Cを排出開口E1,E2のうち何れの開口からでも外部へ排出することができる。
【0059】
固定破砕刃26の間隔が製造する栗石の大きさに対応した間隔に設定されているため、刃先部36a〜36cによる破砕が不十分なときでも、排出開口E1から排出される栗石Cの平均粒径を設定範囲内に調整できる。また、側部可動破砕刃36と中央可動破砕刃37の間隔がスペーサ39により製造する栗石の大きさに対応した間隔に設定されているため、刃先部26a〜26cによる破砕が不十分なときでも、排出開口E2から排出される栗石Cの平均粒径を設定範囲内に調整できる。
【0060】
次に、実施例1に係る栗石製造用破砕装置10の作用、効果について説明する。
この栗石製造用破砕装置10は、固定フレーム20の先端側部分に配置された4つ固定破砕刃26と、可動フレーム30に装着され且つ固定破砕刃26に対して相対的に接近、離隔可能な3つの可動破砕刃36,37とを備えているため、別途破砕対象物Oを保持、搬送可能な専用装置を必要とせずに固定破砕刃26と可動破砕刃36,37により破砕対象物Oを挟持することができる。可動破砕刃36,37が接近状態のとき左右方向に固定破砕刃26と交互に位置するため、固定破砕刃26と可動破砕刃36,37とを同数にすることなく固定破砕刃26及び可動破砕刃36,37の刃数を減少でき、バケットシリンダ11から伝達される駆動力の分散を防止し、破砕力を高めることができる。
【0061】
固定破砕刃26と可動破砕刃36,37が、接近状態のとき固定破砕刃26とこの固定破砕刃26に隣接する可動破砕刃36,37間の間隔に応じて栗石の大きさ(平均粒径)が定まるように構成されているため、解体現場において破砕対象物Oから大きさが揃った栗石Cを破砕作業と同時に成形することができる。固定破砕刃26と可動破砕刃36,37との接近により製造された栗石Cを外部へ排出する排出開口E1,E2を、固定破砕刃26側と可動破砕刃36,37側の両側に設けたため、アーム7の破砕姿勢に拘わらず製造された栗石Cを排出開口E1,E2のうち何れの排出開口からでも外部へ排出でき、破砕作業時のアーム姿勢調整を不要にすることができる。それ故、固定破砕刃26と可動破砕刃36,37により任意の作業位置で破砕対象物Oを挟持し、破砕力を集中して付与でき、破砕作業時のアーム7の姿勢調整を不要にできるため、栗石製造のための破砕処理能率を向上することができる。
【0062】
中央可動破砕刃37の左右側部に可動破砕刃36,37同士間の左右方向の間隔を調節可能なスペーサ39を交換可能に設けているため、排出開口E2から排出される左右方向の栗石Cの平均粒径をスペーサ39の交換により簡単に調節することができる。
左右1対の側部可動破砕刃36と中央可動破砕刃37を連結する1対の上連結壁32a,32bを備えているため、排出開口E2から排出される前後方向の栗石Cの平均粒径を1対の上連結壁32a,32bにより簡単に設定することができる。
【0063】
可動破砕刃36,37は左右方向両側の1対の側部可動破砕刃36とこれら側部可動破砕刃36の中間に配置された中央可動破砕刃37を備え、中央可動破砕刃37は、可動フレーム30が接近回動したとき、破砕対象物Oに早く当接するよう両側の側部可動破砕刃36よりも突出状に形成された突出刃37aを備えているため、バケットシリンダ11からの駆動力を破砕対象物Oの一カ所に集中して付与でき、破砕力を高めることができる。
固定破砕刃26の刃先形状は、3つの山形状の刃先部26a〜26cを有する側面視波形に形成され、刃先部26a〜26c同士間の間隔が栗石Cの大きさに対応した間隔に設定されたため、固定破砕刃26の刃先部26a〜26cにより破砕の起点位置を規定でき、前後方向の栗石Cの平均粒径を簡単に設定することができる。
【0064】
側部可動破砕刃36の刃先形状は、3つの山形状の刃先部36a〜36cを有する側面視波形に形成され、刃先部36a〜36c同士間の間隔が栗石Cの大きさに対応した間隔に設定されたため、側部可動破砕刃36の刃先部36a〜36cにより破砕の起点位置を規定でき、前後方向の栗石Cの平均粒径を簡単に設定することができる。
固定破砕刃26と可動破砕刃36,37は、各破砕刃26a〜26c,36a〜36cの側部位置に左右方向に延びると共に可動フレーム30が接近状態のとき対向配置される突出部26d,36d,37dが設けられたため、突出部26d,36d,37dにより破砕の起点位置を規定でき、前後方向の栗石Cの平均粒径を簡単に設定することができる。
【0065】
次に、前記実施例を部分的に変更した変形例について説明する。
1]前記実施例では、左右方向両側の1対の側部可動破砕刃とこれら側部可動破砕刃の中間に配置された中央可動破砕刃を備えた可動破砕刃と、これら可動破砕刃に対して交互に位置する4つの固定破砕刃とを備えた破砕装置について説明したが、少なくとも側部可動破砕刃よりも破砕対象物に早く当接する中央可動破砕刃を備えていればよく、3つの可動破砕刃と2つの固定破砕刃を備えた破砕装置を適用することも可能であり、3つ以上の奇数の可動破砕刃を採用しても良い。
【0066】
2]前記実施例では、固定破砕刃の前後方向中央に位置する刃先部に配置された左右方向へ延びる突出部の例を説明したが、突出部を固定破砕刃の全ての刃先部に設置することも可能である。この場合、可動破砕刃側突出部は、可動フレームが接近状態のとき、各固定破砕刃側突出部と左右方向に離隔した状態にて対向する位置に夫々配置される。
【0067】
3]前記実施例では、スペーサを中央可動破砕刃に装着した例を説明したが、側部可動破砕刃にスペーサを設けても良く、中央可動破砕刃と側部可動破砕刃の双方に装着することも可能である。
4]前記実施例では、平均粒径が150mm±100mmの栗石を例として説明したが、この粒径範囲に限られず、利用目的・用途に応じた粒径範囲を設定可能である。また、コンクリート塊からコンクリート再生砕石として栗石を製造した例を説明したが、天然石を破砕して新材砕石の栗石を製造することも可能である。
【0068】
5]その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施例に種々の変更を付加した形態で実施可能でき、本発明はそのような変更形態も包含するものである。