特許第5688959号(P5688959)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5688959
(24)【登録日】2015年2月6日
(45)【発行日】2015年3月25日
(54)【発明の名称】内燃機関の制御装置
(51)【国際特許分類】
   F02M 25/07 20060101AFI20150305BHJP
【FI】
   F02M25/07 570J
   F02M25/07 570P
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2010-275246(P2010-275246)
(22)【出願日】2010年12月10日
(65)【公開番号】特開2012-122430(P2012-122430A)
(43)【公開日】2012年6月28日
【審査請求日】2013年11月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(74)【代理人】
【識別番号】100148910
【弁理士】
【氏名又は名称】宮澤 岳志
(72)【発明者】
【氏名】高瀬 秀樹
【審査官】 二之湯 正俊
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−51022(JP,A)
【文献】 特開2008−19730(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 25/07−25/08
F02B 47/08−47/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気通路に設けられたタービン、及び前記タービンにより駆動される吸気通路のコンプレッサとを備えたターボチャージャと、
吸気通路における前記コンプレッサの下流に設けたスロットル弁と、
吸気通路における前記コンプレッサの上流に設けた吸気絞り弁と、
排気通路における前記タービンの下流の箇所から吸気通路における前記コンプレッサの上流かつ前記吸気絞り弁の下流の箇所に排気ガスの一部を還流させる低圧排気ガス再循環通路及びこの低圧排気ガス再循環通路を流通する排気ガスの量を制御する低圧排気ガス再循環制御弁を有する低圧ループ式EGR装置と、
排気通路における前記タービンの上流の箇所から吸気通路における前記コンプレッサの下流の箇所に排気ガスの一部を還流させる高圧排気ガス再循環通路及びこの高圧排気ガス再循環通路を流通する排気ガスの量を制御する高圧排気ガス再循環制御弁を有する高圧ループ式EGR装置と
を具備するターボチャージャ付き内燃機関に用いられ、
高負荷領域においては前記低圧排気ガス再循環通路に排気ガスを流通させ、
低負荷領域においては前記高圧排気ガス再循環通路に排気ガスを流通させ、
高負荷領域において要求負荷の減少が検知されたときに、要求負荷の減少速度が大きくなるにつれ、
前記低圧排気ガス再循環制御弁はより急速に閉じ、
前記高圧排気ガス再循環制御弁はより緩やかに開く
制御を行うことを特徴とする内燃機関の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧排気ガス再循環通路及び低圧排気ガス再循環通路を備えた内燃機関の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
気筒内の燃焼温度を低下させ、以て有害物質であるNOxの排出量を削減する排気ガス再循環(Exhaust Gas Recirculation)装置が知られている。EGR装置は、燃焼により発生した排気ガスの一部を吸気に混入するものである。
【0003】
このようなEGR装置を有する内燃機関として、気筒から排出された直後の高温高圧の排気ガスを吸気通路に還流する高圧ループ式EGR装置と、排気ターボ過給機のタービン及び排気ガス浄化用の触媒を通過した低温低圧の排気ガスを吸気通路に還流する低圧ループ式EGR装置とを備え、これら高圧ループ式EGR装置と低圧ループ式EGR装置とを回転速度や負荷等の運転状態により切り替えて使用するものが知られている。
【0004】
より具体的には、低速高負荷領域では、タービンに入るガス圧よりも吸気管圧力が高く、高圧ループ式EGR装置を利用した排気ガス再循環を行うことができないので低圧ループ式EGR装置を使用し、低速中低負荷領域では、ノッキングが発生しにくいので、よりEGRガスの温度を高くして燃焼を安定させることにより排気ガスをより多く還流させるべく、経路が短い高圧ループ式EGR装置を使用するようにしている(例えば、特許文献1を参照)。
【0005】
ここで、高負荷運転中に車両の減速を行うべくアクセル操作量を急速に小さくして低負荷運転に移行した際には、低圧ループ式EGR装置の使用を中止し高圧ループ式EGR装置の使用を開始する制御が行われる。
【0006】
しかして、高負荷時における低圧ループ式EGR装置の使用中においては、EGRガス及び既燃ガスの全量がターボチャージャのタービンを通過するので、タービンの上流の圧力が高くなっている。この状態から高圧ループ式EGR装置へ使用するEGR装置を切り替えると、タービンの上流の圧力が高くなっていることから、高圧ループ式EGR装置中のEGR弁の開度を定常運転時と同様に設定した場合、気筒に導入されるEGRガスの量が多すぎて失火が発生する不具合の発生が懸念される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−19730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は以上の点に着目し、高圧ループ式排気ガス再循環装置及び低圧ループ式排気ガス再循環装置を備え、これらを切り替えて使用する内燃機関において、減速時の失火を予防することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち本発明の内燃機関の制御装置は、排気通路に設けられたタービン、及び前記タービンにより駆動される吸気通路のコンプレッサとを備えたターボチャージャと、吸気通路における前記コンプレッサの下流に設けたスロットル弁と、吸気通路における前記コンプレッサの上流に設けた吸気絞り弁と、排気通路における前記タービンの下流の箇所から吸気通路における前記コンプレッサの上流かつ前記吸気絞り弁の下流の箇所に排気ガスの一部を還流させる低圧排気ガス再循環通路及びこの低圧排気ガス再循環通路を流通する排気ガスの量を制御する低圧排気ガス再循環制御弁を有する低圧ループ式EGR装置と、排気通路における前記タービンの上流の箇所から吸気通路における前記コンプレッサの下流の箇所に排気ガスの一部を還流させる高圧排気ガス再循環通路及びこの高圧排気ガス再循環通路を流通する排気ガスの量を制御する高圧排気ガス再循環制御弁を有する高圧ループ式EGR装置とを具備するターボチャージャ付き内燃機関に用いられ、高負荷領域においては前記低圧排気ガス再循環通路に排気ガスを流通させ、低負荷領域においては前記高圧排気ガス再循環通路に排気ガスを流通させ、高負荷領域において要求負荷の減少が検知されたときに、要求負荷の減少速度が大きくなるにつれ、前記低圧排気ガス再循環制御弁はより急速に閉じ、前記高圧排気ガス再循環制御弁はより緩やかに開く制御を行うことを特徴とする。
【0010】
このようなものであれば、高圧排気ガス再循環制御弁を緩やかに開弁することにより、気筒に導入されるEGRガス量の増加を緩やかなものにすることができ、従って気筒に導入されるEGRガス量が多すぎることによる失火の発生を防ぐことができる。
【0011】
なお、本発明において、「要求負荷」とは、アクセル操作量や、スロットルバルブの開度や、新気の吸入空気量や、吸気管圧力等、運転者が要求する内燃機関の出力に対応する量全般を示す概念である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の内燃機関の制御装置によれば、高圧ループ式排気ガス再循環装置及び低圧ループ式排気ガス再循環装置を備え、これらを切り替えて使用する内燃機関において、減速時の失火を予防することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係るエンジンの概略構成説明図。
図2】同実施形態の電子制御装置の概略構成説明図。
図3】同実施形態の制御手順を示すフローチャート。
図4】同実施形態に係る作用説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0015】
図1に構成を概略的に示した内燃機関であるエンジン100は、2つのシリンダ1を有するもので、各シリンダ1に吸入空気を供給するための吸気通路2と、排気ガスを排出するための排気通路3と、排気通路3上に配設されたタービン5及び吸気通路2上に配設されたコンプレッサ6を有するターボチャージャ4とを少なくとも具備してなるものである。前記吸気通路2には、エアクリーナ7、吸気絞り弁8、コンプレッサ6、インタークーラ9、及び電子制御式スロットル弁(以下、スロットル弁10と称する)を上流からこの順で配設している。また、本実施形態では、スロットル弁10とシリンダ1との間にサージタンク11を設けている。加えて本実施形態では、吸気絞り弁8より上流側の箇所とスロットル弁10より下流側の箇所、具体的にはサージタンク11との間を連通する新気バイパス通路12a、及びこの新気バイパス通路12a中に設けてなる新気バイパス弁12bを有する新気バイパス機構12を配設している。前記新気バイパス弁12bは、全閉状態と全開状態との間で開度を連続的に変更可能な弁である。前記スロットル弁10は、図示しないアクセルペダルの操作量に応じて開閉する。そして、図示しない燃料タンク内に発生した燃料蒸発ガスはキャニスタ13に吸着され、エンジン100が始動された後にパージバキュームスイッチングバルブ14(パージVSV)を介して吸気通路2に導入されるように構成してある。
【0016】
前記各シリンダ1には、点火プラグ15及び燃料噴射弁16を配設している。前記燃料噴射弁16は、デリバリパイプ17を介して高圧燃料ポンプ18に接続している。
【0017】
前記排気通路3上には、タービン5、三元触媒20、及び図示しない排気マフラを上流からこの順で配設している。三元触媒20より上流側には、三元触媒20の上流側における空燃比または酸素濃度に応じた出力信号を電子制御装置(以下ECU33と称する)に出力する空燃比センサ21を設けている。一方、三元触媒20より下流側には、三元触媒20中の酸素濃度に応じた信号をECU33に出力するリアO2センサ22を設けている。
【0018】
前記ターボチャージャ4は、この分野でよく知られたものを使用することができるもので、過給圧を制御するために、タービン5の上流と下流とを連通可能にする排気バイパス通路23aを備え、その排気バイパス通路23aを開閉するウェイストゲート弁23bを備えている。このウェイストゲート弁23bは、低速走行時にはより多くの排気ガスをタービン5に導くことにより、より多くの新気をシリンダ1内に過給するようにすべく閉じられ、中高速走行時には過過給によるノッキングの発生を防ぐべく開かれる。また、ターボチャージャ4のコンプレッサ6側においては、コンプレッサ6を迂回する過給圧迂回機構24が設けてある。この過給圧迂回機構24は、コンプレッサ6の上流と下流とを連通可能にする吸気バイパス通路24aと、その吸気バイパス通路24aを開閉する吸気バイパス弁たるABV24b(エアバイパスバルブ)とを備えている。減速時には、過給圧を下げるようにしている。
【0019】
また、本実施形態では、エアクリーナ7を介して吸気通路2に流入する新気に排気ガスを混合するための低圧ループ式EGR装置25を、吸気通路2と排気通路3との間に連通させて設けている。すなわち、低圧ループ式EGR装置25は、吸気通路2と排気通路3とが選択的に連通される低圧排気ガス再循環通路(以下、低圧EGR通路26と称する)と、その低圧EGR通路26に設けられて低圧EGR通路26を通過するか、または再循環させる排気ガス(EGRガス)の量を制御する低圧排気ガス再循環制御弁(以下、低圧EGR弁27と称する)と、この低圧EGR弁27の上流に設けられEGRガスを水冷するEGRクーラ28とを備えて構成される。低圧EGR通路26は、排気通路3のタービン5より下流の箇所、より正確には三元触媒20より下流の箇所と、吸気通路2の吸気絞り弁8の下流かつコンプレッサ6の上流の部位とを連通する。低圧EGR弁27は、ECU33により制御されている。
【0020】
また、本実施形態では、エアクリーナ7を介して吸気通路2に流入する新気に排気ガスを混合するための高圧ループ式EGR装置42も、吸気通路2と排気通路3との間に連通させて設けている。この高圧ループ式EGR装置42は、排気通路3における前記タービン5より上流の箇所と吸気通路2における前記コンプレッサ6の下流の箇所とを連通する高圧排気ガス再循環通路(以下、高圧EGR通路43と称する)と、この高圧EGR通路43を流通する排気ガスの量を制御する高圧EGR弁44とを有する。高圧EGR弁44も、ECU33により制御されている。
【0021】
さらに本実施形態では、連続可変バルブタイミング機構(以下、VVT29と称する)を具備する。このVVT29は、図示しないクランクシャフトの回転に対して排気弁を常に一定のタイミングで開閉させつつ、吸気弁のバルブタイミングを変化させて、排気弁のバルブタイミングと吸気弁のバルブタイミングとの相対位相差を所定角度範囲内で自在に変化させることができる。VVT29の制御は、ECU33により行う。
【0022】
加えて、本実施形態では、エンジン100のクランクケース内のクランク室及びシリンダヘッドカバー内のカム室で発生するブローバイガスを吸気通路2に送り出すためのブローバイガス還流装置30も備えている。このブローバイガス還流装置30は、PCV通路31と、ブローバイ通路32とを要素とする。PCV通路31は、クランクケース内のクランク室を、吸気通路2に連通せしめる。本実施形態では、PCV通路31の一端を、吸気通路2のスロットル弁10より下流の部位に接続している。ブローバイ通路32は、シリンダヘッドカバー内のカム室を、吸気通路2に連通せしめる。図示はしないが、カム室は、内部通路を介してクランク室と繋がっており、相互にブローバイガスや新気を行き来させることができる。本実施形態では、ブローバイ通路32の一端を、吸気通路2におけるコンプレッサ6の上流側、より正確には吸気絞り弁8の上流側の所定箇所に接続している。
【0023】
ECU33は、図2に概略的に示すように、CPU33a、RAM33b、ROM33c、フラッシュメモリ33d、I/Oインタフェース33e等を包有するマイクロコンピュータシステムである。I/Oインタフェース33eには、空気流量を検出するためのエアフローメータ34から出力される空気流量信号a、車速を検出する車速センサ35から出力される車速信号b、エンジン回転数を検出する回転数センサ36から出力される回転数信号c、スロットル弁開度を検出するスロットルポジションセンサ37から出力されるスロットル開度信号d、吸気通路2内、より具体的にはサージタンク11内の吸気圧(過給圧)を検出する圧力センサ38から出力される吸気圧信号e、吸気通路2内の吸気温を検出する吸気温センサ39から出力される吸気温信号f、冷却水温を検出する水温センサ40から出力される水温信号g、アクセルペダルの操作量を検出するアクセル操作量センサ41から出力されるアクセル操作量信号h、空燃比センサ21から出力される空燃比信号i、リアO2センサ22から出力される電圧信号j等が入力される。また、I/Oインタフェース33eからは、燃料噴射弁16に対して燃料噴射信号p、点火プラグ15(のイグニッションコイル)に対して点火信号q、新気バイパス弁12bに対して開閉信号r、低圧EGR弁27に対して開閉弁信号s、高圧EGR弁44に対して開閉弁信号t等をそれぞれ出力する。このECU33は、請求項中の制御装置として機能する。
【0024】
各種制御用のプログラムは、ROM33c又はフラッシュメモリ33dに格納されており、そのプログラムがRAM33bに読み込まれCPU33aによって解読される。CPU33aは、エンジン100の運転制御に必要な各種信号a,b,c,d,e,f,g,h,i,jをI/Oインタフェース33eを介して取得し、それら信号が示す情報に基づいて吸入空気量や要求燃料噴射量、点火時期、開閉弁時期、EGR弁25bの開度等を演算する。そして、演算結果に対応した各種制御信号p,q,r,s,tをI/Oインタフェース33eを介して印加する。
【0025】
しかして本実施形態では、ECU33は、低速高負荷領域では低圧ループ式EGR装置25を使用すべく低圧EGR弁27を開弁し高圧EGR弁44を閉弁し、低速中低負荷領域では高圧ループ式EGR装置42を使用すべく低圧EGR弁27を閉弁し高圧EGR弁44を開弁する制御を行う。
【0026】
また、高負荷領域において要求負荷の減少が検知されたときには、要求負荷の減少速度が大きくなるにつれ、前記低圧EGR弁27はより急速に閉じ、前記高圧EGR弁44はより緩やかに開く制御を行う。本実施形態では、要求負荷を示す量としてアクセル操作量信号hが示すアクセルペダルの操作量(以下、アクセル操作量と称する)を採用している。すなわち、アクセル操作量の減少が検知されたときに要求負荷の減少が検知されたものとしている。具体的には、アクセル操作量の減少速度と低圧EGR弁27及び高圧EGR弁44の単位時間当たりの開弁量を記憶した開閉弁速度マップをECU33のROM33c又はフラッシュメモリ33dに記憶していて、検知されたアクセル操作量の減少速度に基づき低圧EGR弁27の単位時間当たりの閉弁量及び高圧EGR弁44の単位時間当たりの開弁量をそれぞれ補間計算し、その計算結果に基づき開閉弁する制御を行う。そして、前記単位時間当たりの閉弁量は前記減少速度が大きくなるにつれて大きく、また、前記単位時間当たりの開弁量は前記減少速度が大きくなるにつれて小さくしている。ここで本実施形態では、アクセル操作量の減少速度は、所定時間ごと、例えば0.1秒ごとにアクセル操作量信号hが示すアクセル操作量を検知し、その所定時間ごとの変化量として検出するようにしている。
【0027】
以下、図3に示すフローチャートを参照しつつ、ECU33がプログラムに従い実行する処理の手順を述べる。
【0028】
まず、運転状態が低速高負荷領域から低速低中負荷領域に移行したか否かを判定し(S1)、低速高負荷領域から低速低中負荷領域に移行した場合にはアクセル操作量の減少速度を検知し(S2)、検知したアクセル操作量の減少速度に基づき低圧EGR弁27の単位時間当たりの閉弁量及び高圧EGR弁44の単位時間当たりの開弁量を決定し(S3)、決定した閉弁量だけ低圧EGR弁27を閉弁するとともに決定した開弁量だけ高圧EGR弁44を開弁する(S4)。
【0029】
すなわち、図4の時刻t1においてアクセル操作量が減少すると、アクセル操作量の減少速度に対応した速度で低圧EGR弁27が閉弁するとともに、アクセル操作量の減少速度に対応した速度で高圧EGR弁44が図4の実線に示すように開弁する。この高圧EGR弁44の開弁速度は、図4の破線に示すような従来の制御を行った場合と比較して緩やかである。そして、このように高圧EGR弁44の開弁速度を従来と比較して緩やかにすることにより、シリンダ1への空気流量の変化が図4の破線に示す従来の制御を行った場合と比較して緩やかになり、従って、図4の破線に示す従来の制御を行った場合と異なりEGR率が急増することがなくなる。さらに、図4の二点鎖線に示すように、アクセル操作量がより急激に減少した場合は、低圧EGR弁27をさらに急速に閉弁するとともに、高圧EGR弁44をさらに緩やかに開弁する。このときも、シリンダ1への空気流量の変化が図4の破線に示す従来の制御を行った場合と比較して緩やかになり、従って、図4の破線に示す従来の制御を行った場合と異なりEGR率が急増することがなくなる。
【0030】
以上に述べたように、本発明に係る制御を行うと、上述したように高圧EGR弁44が従来の制御を行った場合と比較して緩やかに開弁されるので、シリンダ1に導入されるEGRガス量の増加を緩やかなものにすることができる。従って、シリンダ1に導入されるEGRガス量が急増することによる失火の発生を防ぐことができるとともに、高圧ループ式EGR装置25と低圧ループ式EGR装置51とを併用してさらなる燃費の向上を図ることができる。
【0031】
なお、本実施形態は上述した実施形態に限られない。
【0032】
例えば、上述した実施形態としては、要求負荷を示す量としてアクセル操作量を採用し、アクセル操作量の減少速度と低圧EGR弁の閉弁速度及び高圧EGR弁の開弁速度とを関連付けているが、これ以外に、スロットルバルブの開度や、新気の空気流量や、吸気管圧力等、要求負荷を示す他の量と低圧EGR弁の閉弁速度及び高圧EGR弁の開弁速度とを関連付けるようにしてもよい。
【0033】
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変形してよい。
【符号の説明】
【0034】
2…吸気通路
3…排気通路
4…ターボチャージャ
5…タービン
6…コンプレッサ
8…吸気絞り弁
10…スロットル弁
25…低圧ループ式EGR装置
26…低圧EGR通路(低圧排気ガス再循環通路)
27…低圧EGR弁(低圧排気ガス再循環制御弁)
42…高圧ループ式EGR装置
43…高圧EGR通路(高圧排気ガス再循環通路)
44…高圧EGR弁(高圧排気ガス再循環制御弁)
図1
図2
図3
図4