(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の第1の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0022】
図1に示すように、スイッチトリラクタンスモータ1(以下、SRモータという。)は、3相構造の電動モータであり、例えば、EVカート(図示せず)のフレームに固定されている。このSRモータ1のシャフト2には、スプロケット(図示せず)が取り付けられている。このスプロケットとドライブシャフト(図示せず)との間には、チェーン(図示せず)が巻回されている。そして、シャフト2は、回転軸であって、このシャフト2の駆動によってスプロケットが回転しチェーンを介してドライブシャフトを回転駆動させる。
【0023】
具体的に、SRモータ1は、ケース本体を兼ねた中空円筒状のステータコア3を備えている。このステータコア3の両端側には、ステータコア3の両端側を閉塞する略円盤状の蓋部材としての第1サイドカバーブラケット4及び第2サイドカバーブラケット5が取り付けられている。これら第1サイドカバーブラケット4及び第2サイドカバーブラケット5は、
図2に示すように、周方向に等間隔に間隔を空けて取り付けられた複数、例えば6本のセットボルト6にてねじ止めされて結合されている。すなわち、ステータコア3は、第1サイドカバーブラケット4と第2サイドカバーブラケット5との間に挟持されて取り付けられている。ここで、これらステータコア3、第1サイドカバーブラケット4及び第2サイドカバーブラケット5によって、SRモータ1のケース8が構成されている。
【0024】
次いで、第1サイドカバーブラケット4は、シャフト2が突出する側であるステータコア3の一端側に取り付けられている。この第1サイドカバーブラケット4の中心部には、貫通孔4aが設けられている。また、第1サイドカバーブラケット4の内側には、軸受部材としての第1ボールベアリング4bが貫通孔4aに同心状に連通させて取り付けられている。
【0025】
第2サイドカバーブラケット5は、第1サイドカバーブラケット4が取り付けられる側とは反対側である、ステータコア3の他端側に取り付けられている。この第2サイドカバーブラケット5の中心部には、貫通孔となる軸受孔5aが穿設されている。この軸受孔5a内には、軸受部材としての第2ボールベアリング5bが取り付けられている。さらに、第2サイドカバーブラケット5の内側には、断面凹状である円環状の取付凹部5cが設けられている。この取付凹部5cは、軸受孔5aの外側に位置し第2サイドカバーブラケット5の周方向に亘って同心状に設けられている。そして、取付凹部5cの底部には、第2サイドカバーブラケット4を貫通するボルト取付孔5dが設けられている。これらボルト取付孔5dは、取付凹部5cの周方向に亘って等間隔に離間されて複数、例えば6個設けられている。
【0026】
また、
図1に示すように、この第2サイドカバーブラケット5の取付凹部5cには、
図3ないし
図5に示すリングプレート11が嵌合されて取り付けられている。このリングプレート11は、SRモータ1のシャフト2の同心状に取り付けられている。具体的に、このリングプレート11は、ターミナルボルト12を位置決めする位置決め装置としてのターミナル接続用のインシュレータである。また、このリングプレート11は、例えばガラス繊維を含有させたナイロン66やフェノール材等の絶縁部材にて断面凹状である円環状に形成されている。さらに、このリングプレート11は、円環状の本体部である環状部11aを有している。この環状部11aには、この環状部11aの周方向に亘って等間隔に複数、例えば6個の挿通部としてのボルト挿通孔11bが穿設されている。これらボルト挿通孔11bは、環状部11aの厚さ方向である軸方向に沿って貫通している。また、このボルト挿通孔11bは、環状部11aの幅方向の中心部に設けられており、ターミナルボルト12のねじ部12aの外径寸法より若干大きな内径寸法に形成されている。よって、これら各ボルト挿通孔11bは、これら各ボルト挿通孔11bのそれぞれにターミナルボルト12を挿通させて取り付けることによって、これらターミナルボルト12がリングプレート11の周方向に向けて等間隔に並べられた状態とされる。この状態で、各ターミナルボルト12は、位置決めされて角度調整されるとともに、これら各ターミナルボルト12間の絶縁性が確保された位置決め構造とされる。
【0027】
さらに、リングプレート11の環状部11aの一側面である表面側の各ボルト挿通孔11bの開口縁には、平面視正方形状である断面凹状の嵌合凹部11cが同心状に設けられている。これら嵌合凹部11cは、角度規制手段として機能するものであり、嵌合凹部11cの一辺を環状部11aの周方向に沿わせた状態で設けられている。この環状部11aの他側面である裏面側には、各ボルト挿通孔11bに連通した円筒状の嵌合筒部11dが突出して設けられている。各嵌合凹部11dは、リングプレート11を第2サイドカバーブラケット5の取付凹部5cに嵌合させて取り付けた場合に、この取付凹部5cの各ボルト取付孔5dに嵌合する位置に対応させて設けられている。また、リングプレート11の環状部11aの外周縁及び内周縁のそれぞれには、この環状部11aの径方向に直交する方向に突出した突出片としての外周リブ11e及び内周リブ11fが一体的に設けられている。これら外周リブ11e及び内周リブ11fは、環状部11aの表面側に突出しており、この環状部11aの周方向に沿って並行に設けられている。
【0028】
第2サイドカバーブラケット5の取付凹部5cに嵌合させて取り付けられたリングプレート11の各ボルト挿通孔11bには、接続部材としてのターミナルボルト12がそれぞれ挿通されて取り付けられている。これら各ターミナルボルト12は、外周面に螺子溝が形成された円筒状のねじ部12aと、このねじ部12aの一端側に同心状に取り付けられた平板状の頭部12bとで構成されている。ここで、これら各ターミナルボルト12の頭部12bは、リングプレート11の嵌合凹部11cに嵌合可能な大きさの平面視正方形状に形成されている。そして、この頭部12bは、リングプレート11の嵌合凹部11cに嵌合させて回転保持された状態で、このリングプレート11のボルト挿通孔11bにねじ部12aが挿通されて取り付けられている。また、この頭部12bは、リングプレート11の嵌合凹部11cに嵌合させた状態で、このリングプレートの外周リブ11eと内周リブ11fとの間に位置にしている。この状態で、頭部12bは、外周リブ11e及び内周リブ11fにて覆われ、この頭部12bにおける接続が機械的かつ電気的に保護されている。またこの状態で、このターミナルボルト12のねじ部12aは、第2サイドカバーブラケット5のボルト取付孔5dに挿通され、この第2サイドカバーブラケット5の外部へと先端側を突出させて取り付けられている。
【0029】
さらに、これら各ターミナルボルト12のねじ部12aの第2サイドカバーブラケット5から突出している先端側の部分には、防水部材としてのOリング13が挿通されて取り付けられている。このOリング13は、第2サイドカバーブラケット5の外側からボルト取付孔5d内に嵌合され、このボルト取付孔5dの内側から嵌合させて取り付けられたリングプレート11の嵌合筒部11dの端部に当接している。すなわち、このOリング13は、ボルト取付孔5dにおける防水機能を果たしている。さらに、ねじ部12aには、インシュレータとして樹脂製ワッシャ14a及び金属製の平ワッシャ14bが順次挿通されて取り付けられている。これら樹脂製ワッシャ14a及び平ワッシャ14bが取り付けられたねじ部12aには、ボルト(図示せず)が取り付けられてねじ止めされ、各ターミナルボルト12を固定させている。ここで、これら樹脂製ワッシャ14a、平ワッシャ14b及びボルトのそれぞれは、第2サイドカバーブラケット5の外側から各ターミナルボルト12のねじ部12aに取り付けられている。すなわち、これら樹脂製ワッシャ14a、平ワッシャ14b及びボルトは、ターミナルボルト12をねじ止め固定させている。
【0030】
次いで、ステータコア3は、磁性材にて構成された固定子であって、このステータコア3の内側に向けて放射状に突出する計6個の6極となる突極7aが一体的に形成されている。これら突極7aは、ステータコア3の軸方向に亘って設けられており、これら突極7aのそれぞれにコイル15が集中巻きで巻装されている。これらコイル15は、
図1に示すように、ステータコア3の軸方向に沿って各突極7aから突出して設けられている。
【0031】
さらに、これらコイル15は、導電線である導線15aが巻装されて形成されている。この導線15から引き出された引き出し線15bは、
図6に示すように、平角線にて形成され、ステータコア3の突極7aから第2サイドカバーブラケット5側に突出している。また、この引き出し線15bの端部15cは、圧着端子16のかしめ部16aにかしめ固定されている。このかしめ部16aは、引き出し線15bの端部15cが挿入可能な内径寸法を有する円筒状に形成されており、圧着端子16の一端側に設けられている。この圧着端子16の他端側には、溶接部となる平板状の接続片16bが一体的に設けられている。この接続片16bは、かしめ部16aの軸方向に沿わせた状態で、このかしめ部16aの軸方向の端縁に連結されている。そして、この接続片16bの外側に位置する平坦面16cは、ターミナルボルト12の頭部12bの端面12cにスポット溶接されて一体化されて固定されている。また、接続片16bの中央部には、この接続片16bの厚さ方向に向けて貫通した取付孔16dが設けられている。
【0032】
そして、ステータコア3の内側には、このステータコア3に対して相対的に回転自在とされたシャフト2が取り付けられている。このシャフト2は、このシャフト2の両端側が第1ボールベアリング4b及び第2ボールベアリング5bの内輪4c,5eに嵌合されて取り付けられている。このシャフト2の円筒状の本体部2aには、電磁鋼板等の磁性材にて形成された略十字状の複数の板材17が挿通されて取り付けられている。そして、これら各板材17によって、回転子としてのロータコア18が形成されている。このロータコア18の各板材17は、シャフト2に対し相対的に回転できないように構成されている。そして、このロータコア18は、シャフト2からステータコア3に向けて放射状に突出する計4つの突極18aを有している。これら突極18aは、ステータコア3の突極7aに対向させて取り付けられている。
【0033】
次に、ターミナルボルト12の組み付け手順及び挙動について説明する。
【0034】
ターミナルボルト12の頭部12bの端面12cに圧着端子16の接続片16bの平坦面16cを当接させつつ角度調整した状態でスポット溶接し、圧着端子16と一体化させた複数のターミナルボルト12を予め製造しておく。
【0035】
そして、SRモータ1の組み付け時においては、まず、ステータコア3の一端側に第1サイドカバーブラケット4を取り付ける。さらに、ロータコア18が取り付けられたシャフト2をステータコア3内に取り付けて、このシャフト2の端部を第1サイドカバーブラケット4の貫通孔4aから突出させた状態とする。
【0036】
次いで、ステータコア3内の各コイル15の引き出し線15bの端部15cに、ターミナルボルト12と一体化された圧着端子16のかしめ部16aを嵌合させてかしめ固定する。この結果、これら各コイル15の引き出し線15bの端部15cに圧着端子16が接続される。
【0037】
そして、これら各コイル15の引き出し線15bの端部15cに圧着端子16を介して接続された各ターミナルボルト12のねじ部12aを、リングプレート11の各ボルト挿通孔11bへ挿通させる。さらに、これら各ターミナルボルト12の頭部12bをリングプレート11の嵌合凹部11cに嵌合させて廻り止め及び位置決めさせる。このとき、リングプレート11の外周リブ11eと内周リブ11fとの間に、ターミナルボルト12の頭部12bと、この頭部12bに溶接された圧着端子16とがそれぞれ嵌合される。この結果、これら外周リブ11e及び内周リブ11fにてターミナルボルト12の頭部12bと圧着端子16の接続片16bとの溶接部分が機械的かつ電気的に保護される。さらに、圧着端子16のかしめ部16aにてコイル15の引き出し線15bの端部15cをかしめ固定した部分もまた機械的かつ電気的に保護される。
【0038】
この後、これらターミナルボルト12が取り付けられたリングプレート11を第2サイドカバーブラケット5の取付凹部5cに嵌合させる。さらに、これら各ターミナルボルト12のねじ部12aを第2サイドカバーブラケット5のボルト取付孔5dに挿通させる。また、これらボルト取付孔5dにリングプレート11の嵌合筒部11dを嵌合させて、このリングプレート11を第2サイドカバーブラケット5に位置決めさせて固定させる。同時に、この第2サイドカバーブラケット5の軸受孔5aに取り付けられた第2ボールベアリング5bの内輪5eにシャフト2の端部を挿通させ、第2サイドカバーブラケット5をステータコア3の他端側に嵌合させる。
【0039】
次いで、第2サイドカバーブラケット5の各ボルト取付孔5dから外部へ突出している各ターミナルボルト12のねじ部12aにOリング13をそれぞれ嵌合させる。このとき、これらOリング13を、第2サイドカバーブラケット5のボルト取付孔5d内に嵌合させ、リングプレート11の嵌合筒部11dの端部に当接させて、これら各ボルト取付孔5dの防水処理を施す。
【0040】
この後、各ボルト取付孔5dから外部へ突出しているターミナルボルト12のねじ部12aのそれぞれに樹脂製ワッシャ14a及び平ワッシャ14bを順次挿通させる。次いで、このねじ部12aにナットを取り付けて、これらターミナルボルト12のそれぞれを第2サイドカバーブラケット5にねじ止め固定させる。
【0041】
さらに、セットボルト6を取り付けて第2サイドカバーブラケット5を第1サイドカバーブラケット4にねじ止めし、これら第2サイドカバーブラケット5とステータコア3及び第1サイドカバーブラケット4とを結合させる。
【0042】
以上詳述したように、第1の実施の形態に係るSRモータ1によれば、ステータコア3に取り付けられた複数のコイル15の引き出し線15bの端部15cに圧着端子16を介して接続された各ターミナルボルト12のねじ部12aをリングプレート11の各ボルト挿通孔11bに挿通させる構成とした。この結果、これら各ターミナルボルト12を所定位置に容易に位置決めできるとともに、これら各ターミナルボルト12間が離されて設置されるため、これらターミナルボルト12間の絶縁性を確保できる。さらに、このリングプレート11を周方向に回転させて調整するだけで、各ターミナルボルト12が取り付けられたリングプレート11を第2サイドカバーブラケット5の取付凹部5cに嵌合できる。また、位置決めされた各ターミナルボルト12のねじ部12aのそれぞれを第2サイドカバーブラケット5のボルト取付孔5dに挿通させて取り付けることができる。
【0043】
したがって、これら各ターミナルボルト12を別個に第2サイドカバーブラケット5のボルト取付孔5dに一つずつ挿通させて取り付ける場合に比べ、これら各ターミナルボルト12を一度に第2サイドカバーブラケット5の各ボルト取付孔5dに挿通できる。このため、周囲のクリアランスが小さい中においても容易に組み立てることができる。特に、SRモータ1は、ターミナルボルト12等の本数が4本又は6本と多いため、接続端子の個数が少ないモータに比べ、組み立て時の作業性及び生産性を大幅に向上できる。
【0044】
さらに、リングプレート11の各ボルト挿通孔11bに平面視正方形状の嵌合凹部11cを設けた構成とした。この結果、この嵌合凹部11cに、各ボルト挿通孔11bに挿通させて取り付けられた各ターミナルボルト12の平面視正方形状の頭部12bを嵌合させることにより、これら各ターミナルボルト12を廻り止めできる。よって、リングプレート11にターミナルボルト12を取り付けた状態で、これらターミナルボルト12を位置決めでき絶縁性を確保できる。また、これらターミナルボルト12の廻り止めができ、これらターミナルボルト12の角度規制ができるから、これらターミナルボルト12を第2サイドカバーブラケット5に取り付ける際の作業性をさらに向上できる。
【0045】
特に、リングプレート11を円環状としたことにより、このリングプレート11をSRモータ1のシャフト2の周囲に同心状に取り付けることができる。よって、
図2に示すように、このリングプレート11に取り付けられたターミナルボルト12を周方向に並べて取り付けることができる。このため、これらターミナルボルト12を、SRモータ1内のスペースを比較的確保し易い外周域に設置することができる。したがって、SRモータ1のコイル15等の取り付け位置に関わらず、このコイル15の引き出し線15bに接続された各ターミナルボルト12をリングプレート11にて所定位置に容易に位置決めできる。よって、これらターミナルボルト12の位置決め作業をより容易にできる。
【0046】
さらに、リングプレート11の円環状の環状部11aの外周縁及び内周縁のそれぞれに外周リブ11e及び内周リブ11fを設けた構成とした。また同時に、リングプレート11の各ボルト挿通孔11bに挿通されて取り付けられた各ターミナルボルト12の頭部12bを、外周リブ11e及び内周リブ11fにて覆う構成とした。このため、これらターミナルボルト12の頭部12bと圧着端子16の接続片16bとの溶接部分が、外周リブ11eと内周リブ11fとの間に位置することとなり、これら外周リブ11e及び内周リブ11fにて覆われる。よって、これらターミナルボルト12の頭部12bと圧着端子16の接続片16bとの溶接部分を機械的に保護でき、この溶接部分の機械的な損傷等をより確実に防止できる。また同時に、リングプレート11が絶縁部材にて形成されていることから、これらターミナルボルト12の頭部12bと圧着端子16の接続片16bとの溶接部分における外部との絶縁性をより確実に確保できる。このため、この溶接部分をより確実に電気的に保護できる。
【0047】
また、ターミナルボルト12の頭部12bに圧着端子16の接続片16bをスポット溶接し、圧着端子16と一体化させた複数のターミナルボルト12を予め製造しておく。このため、SRモータ1の組み付け時に、ステータコア3内の各コイル15の引き出し線15bの端部15cに、ターミナルボルト12と一体化された圧着端子16のかしめ部16aをかしめ固定する。よって、これら各コイル15の引き出し線15bに圧着端子16を接続するだけで、これらコイル15の引き出し線15bの端部15cにターミナルボルト12を電気的に接続できる。
【0048】
したがって、圧着端子16のかしめ部16aによるコイル15の引き出し線15bの端部15cへかしめ固定する作業を容易にできる。よって、各ターミナルボルト12を引き出し線15bの端部15cに電気的に接続する際の作業性を大幅に向上できる。また、圧着端子16の接続片16bをターミナルボルト12の頭部12bにスポット溶接して電気的かつ機械的に接続する。このため、圧着端子16の接続片16bをターミナルボルト12の頭部12bに半田付けする場合に比べ、各ターミナルボルト12と引き出し線15bとをより確実に接続できる。また、溶接の場合には機械的強度を確保することが可能であるため、これらターミナルボルト12と引き出し線15bとの溶接部分における機械的強度を確保できる。よって、これらターミナルボルト12と引き出し線15bとの間の断線をより確実に防止できる。
【0049】
特に、これらターミナルボルト12に溶接される圧着端子16としては、量産品や既製品を用いることが可能である。このため、圧着端子16を改めて製造する必要がなく、圧着端子16を用いることによる製造コストの大幅な向上がない。また、圧着端子16の接続片16bが平板状であることから、スポット溶接の際に用いる電極として、汎用の電極を用いて対応できるため、このスポット溶接に必要なコストを大幅に削減できる。
【0050】
また、これらターミナルボルト12の頭部12bの端面12cに圧着端子16の接続片16bを溶接する構成とした。この結果、圧着端子16の接続片16bの取付孔16dを拡径させ、この取付孔16dにターミナルボルト12のねじ部12aを挿通させて取り付ける場合に比べ、ターミナルボルト12のねじ部12aのねじ有効長を短くすることがない。よって、ねじ部12aに取り付けられるナットの固定に影響がない。さらに、圧着端子16のサイズ変更が適宜可能であるため、コイル15の引き出し線15bの線種、線径、束数等を変更した場合であっても、この圧着端子16のサイズ等を変更することによって適宜対応できる。
【0051】
さらに、これらターミナルボルト12に圧着端子16を溶接する際においては、これらターミナルボルト12の頭部12bの端面12cに圧着端子16の接続片16bの平坦面16cを当接させてスポット溶接する。このため、このターミナルボルト12と圧着端子16とを溶接する際に、ターミナルボルト12の頭部12bに対する圧着端子16の接続片16bの取り付け角度を適宜調整することができる。したがって、種々のSRモータ1に用いられるリングプレート11の大きさ等に対応させて、ターミナルボルト12と圧着端子16との取り付け角度を適宜調整しながら溶接できる。
【0052】
ここで、SRモータ1は、インダクションモータやブラシレスモータ等の他の電動モータに比べ、ステータコア3とロータコア18との間の吸引力が大きい。よって、これらステータコア3とロータコア18との間の吸引及び反発の繰り返し回数が少ない。このため、シャフト2を回転させることによってケース8内の空気が流動してケース8内に負圧部分が形成され、この負圧部分の形成に伴いSRモータ1に振動が発生し、この振動によってノイズ(音)が発生するおそれがある。この点においては、リングプレート11を用いることにより、各ターミナルボルト12を適正な位置に位置決めできる。このため、このターミナルボルト12の取り付け位置のずれ等に起因する振動の発生を防止でき、この振動に伴うノイズの発生を少なくできる。よって、このリングプレート11を用いることにより、SRモータ1の防振対策及び防音対策を施すことができる。
【0053】
次に、
図7及び
図8に基づき、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0054】
この第2の実施の形態は、第1の実施の形態に対しリングプレート11Aの構成のみ異なり、その他の構成は同様である。したがって、このリングプレート11Aの構成のみ説明し、その他の構成については、説明を省略する。
【0055】
具体的に、このリングプレート11Aは、
図7及び
図8に示すように、第1の実施の形態のリングプレート11の外周リブ11e及び内周リブ11fがない略平板状に形成されたものである。そして、このリングプレート11Aは、円環平板状の環状部11aにボルト挿通孔11bが設けられ、この環状部11aの表面側の各ボルト挿通孔11bの開口縁に嵌合凹部11cが同心状に設けられている。さらに、環状部11aの裏面側の各ボルト挿通孔11bに連通して嵌合筒部11dが設けられている。
【0056】
したがって、このリングプレート11Aは、円環平板状の環状部11aにボルト挿通孔11b、嵌合凹部11c及び嵌合筒部11dが形成された構成の略平板状である。このため、第1の実施の形態のリングプレート11に比べ、ターミナルボルト12の頭部12bの溶接部分と、圧着端子16にて引き出し線15bをかしめ固定した部分とを電気的かつ機械的に保護できない。しかしながら、より簡易な構成の金型でリングプレート11Aを成形できるため、このリングプレート11Aの製造性をより向上できる。
【0057】
次に、
図9及び
図10に基づき、本発明の第3の実施の形態について説明する。
【0058】
この第3の実施の形態は、第1の実施の形態に対しリングプレート11Bの構成のみ異なり、その他の構成は同様である。したがって、このリングプレート11Bの構成のみ説明し、その他の構成については、説明を省略する。
【0059】
具体的に、このリングプレート11Bは、
図9及び
図10に示すように、第1の実施の形態のリングプレート11が周方向に向けて同一形状の複数、例えば3つの分割片21に分割されて構成されている。そして、これら分割片21は、リングプレート11を120°間隔で分割したものであって、円弧状の本体部22を備えている。この本体部22には、計2個のボルト挿通孔11bが形成されている。また、これらボルト挿通孔11bに対応させて嵌合凹部11c及び嵌合筒部11dのそれぞれが形成されている。また、この本体部22の外周縁及び内周縁に外周リブ11e及び内周リブ11fが設けられている。
【0060】
さらに、
図10に示すように、各分割片21の本体部22の周方向の一端部には、この本体部22の裏面に沿った平板状の係合部としての係合片部23が設けられている。この係合片部23の中央部には、軸方向に沿って開口した嵌合孔24が設けられている。一方、各分割片21の本体部22の周方向の他端部には、この本体部22の裏面側を段状に窪ませた形状の係合部としての係合段部25が設けられている。この係合段部25の中央部には、軸方向に沿って突出した円柱状の嵌合凸部26が設けられている。そして、これら係合段部25及び嵌合凸部26は、任意の分割片21の係合段部23に、他の分割片21の係合片部23が嵌合され、この分割片21の嵌合凸部26が他の分割片21の嵌合孔24に嵌合される。この状態で、分割片21は、連結され、計3つの分割片21の係合片部23及び係合段部25が互いに交互に連結されて円環状のリングプレート11Bが形成される。
【0061】
したがって、このリングプレート11Bを周方向に向けて分割した同一形状の複数の分割片21にて形成する構成とした。この結果、リングプレート11を一つの金型で製造する場合に比べ、このリングプレート11Bを分割した分割片21の場合には、より小さく安価な金型で製造できる。また、各分割片21の形状をそれぞれ同一形状としたことにより、一つの金型で複数の分割片21を製造することによってリングプレート11Bを製造できるため、リングプレート11Bの製造性を向上できる。さらに、リングプレート11Bを分割したことにより、各分割片21の嵌合孔24に嵌合凸部26を嵌合させた状態で、これら嵌合孔24及び嵌合凸部26を中心として、各分割片21の設置位置を調整できる。このため、これら分割片21のボルト挿通孔11bに挿通されて取り付けられたターミナルボルト12の取り付け位置及び角度調整がより容易にできる。
【0062】
次に、
図11及び
図12に基づき、本発明の第4の実施の形態について説明する。
【0063】
この第4の実施の形態は、第1の実施の形態に対しリングプレート11Cの構成のみ異なり、その他の構成は同様である。したがって、このリングプレート11Cの構成のみ説明し、その他の構成については、説明を省略する。
【0064】
具体的に、このリングプレート11Cは、
図11及び
図12に示すように、第2の実施の形態のリングプレート11Aを、第3の実施の形態のリングプレート11Bと同様に分割させたものである。すなわち、このリングプレート1Cは、同一形状の計3つの分割片21Cにて構成されている。これら分割片21Aは、リングプレート11Cを120°間隔で分割した円弧状の本体部22Cを備えている。この本体部22Cには、ボルト挿通孔11b、嵌合凹部11c及び嵌合筒部11dがそれぞれ2つずつ形成されている。そして、本体部22Cの周方向の一端部には、係合片部33及び嵌合孔34が設けられている。また、この本体部22Cの周方向の他端部には、係合段部35及び嵌合凸部36が設けられている。
【0065】
したがって、このリングプレート11Cが略平板状であることから、第3の実施の形態のリングプレート11Bに比べ、より簡易かつ小型の金型でリングプレート11Cを成形できる。このため、このリングプレート11Cの製造性をより向上することができる。
【0066】
次に、
図13に基づき、本発明の第5の実施の形態について説明する。
【0067】
この第5の実施の形態は、第1の実施の形態に対しリングプレート11Dの構成のみ異なり、その他の構成は同様である。したがって、このリングプレート11Dの構成のみ説明し、その他の構成については、説明を省略する。
【0068】
具体的に、このリングプレート11Dは、
図13に示すように、第2の実施の形態のリングプレート11Aを120°間隔で3分割したものであり、同一形状の計3つの分割片21Dにて構成されている。これら分割片21Dは、円弧状の本体部22Dを備えている。この本体部22Dには、ボルト挿通孔11b、嵌合凹部11c及び嵌合筒部11dがそれぞれ2つずつ形成されている。そして、この本体部22Dの周方向の両端部は、この本体部の径方向に沿った直線状の平坦面27とされている。
【0069】
したがって、このリングプレート11Dは、このリングプレート11Dを分割させた各分割片21D同士が係合しない構成である。このため、より簡易な構成かつ小型の金型でリングプレート11Dを成形できるとともに、分割片21を連結させて一つのリングプレート11Aを形成する場合に比べ、これら各分割片21Dの取り付け位置をより容易に調整できる。よって、これら分割片21Dのボルト挿通孔11bに挿通されて取り付けられたターミナルボルト12の取り付け位置及び取り付け角度のそれぞれをより容易に調整できる。
【0070】
次に、
図14に基づき、本発明の第6の実施の形態について説明する。
【0071】
この第6の実施の形態は、第1の実施の形態に対しターミナルボルト12とコイル15の引き出し線15bの端部15cとの接続の構成のみ異なり、その他の構成は同様である。したがって、このターミナルボルト12とコイル15の引き出し線15bの端部15cとの接続の構成のみ説明し、その他の構成については、説明を省略する。
【0072】
具体的に、このターミナルボルト12は、
図14に示すように、このターミナルボルト12の頭部12bの端面12cに、コイル15の引き出し線15bの端部15cの一側面15dを当接させた状態でスポット溶接されている。そして、これらターミナルボルト12とコイル15の引き出し線15bとは、電気的かつ機械的に接続されている。このため、これらターミナルボルト12の頭部12bにコイル15の引き出し線15bの端部15cを直接溶接した場合であっても、これらターミナルボルト12と引き出し線15bとをより確実に接続できる。また同時に、これらターミナルボルト12と引き出し線15bとの溶接部分における機械的強度を確保できる。
【0073】
次に、
図15に基づき、本発明の第7の実施の形態について説明する。
【0074】
この第7の実施の形態は、第1の実施の形態に対しターミナルボルト12Aと圧着端子16と接続の構成のみ異なり、その他の構成は同様である。したがって、このターミナルボルト12Aと圧着端子16との接続の構成のみ説明し、その他の構成については、説明を省略する。
【0075】
具体的に、このターミナルボルト12Aは、このターミナルボルト12Aの頭部12bの端面12cの中心位置にねじ孔12dが開口されて形成されている。このねじ孔12dは、ターミナルボルト12Aの軸方向に沿って設けられている。そして、このねじ孔12dは、ねじ材28のねじ部28aが挿入されてねじ止めできるように構成されている。このねじ材28は、円筒状のねじ部28aの一端部に円板状の頭部28bが同心状に形成されている。このねじ材28のねじ部28aは、圧着端子16の接続片16bの取付孔16dに挿入させた状態で、ターミナルボルト12Aのねじ孔28に挿入されて固定されている。そして、圧着端子16の接続片16bは、ねじ材28によってターミナルボルト12Aの頭部12bに接続されて固定されている。
【0076】
したがって、圧着端子16の接続片16bの取付孔16dに挿通させたねじ材28のねじ部28aを、ターミナルボルト12Aの頭部12bに設けられたねじ孔12dに挿入させてねじ止めさせる。この結果、これらターミナルボルト12Aの頭部12bに圧着端子16の接続片16bを接続できるから、これらターミナルボルト12Aに圧着端子16を接続する際に必要となるスポット溶接等の作業を省略できる。よって、これらターミナルボルト12Aに圧着端子16を取り付ける作業をより容易にできる。
【0077】
なお、上記各実施の形態においては、SRモータ1のコイル15の引き出し線15bに接続されたターミナルボルト12,12Aを、リングプレート11,11A,11B,11C,11Dの厚さ方向に貫通させた円形状のボルト挿通孔11bに挿通させて位置決めするものを示している。しかしながら、本発明はこれに限らず、一部が径方向に拡開した略C字状のボルト挿通孔11b(挿通部)であっても良い。
【0078】
また、上記各実施の形態においては、計6個のコイル15を備えたSRモータ1を示している。しかしながら、本発明はこれに限らず、他のインダクションモータやブラシレスモータ等の電動モータについても、各コイル15の導線15aの端部15cに接続された
ターミナルボルトを位置決めする手段として、本発明を用いることができる。
【0079】
特に、上記各実施の形態においては、一端にかしめ部16aが形成され、他端に接続片16bが設けられた圧着端子16を用いている。また、この圧着端子16の接続片16bをターミナルボルト12,12Aの頭部12bに溶接して取り付けてから、圧着端子16のかしめ部16aをコイル15の引き出し線15bの端部15cにかしめ固定するものを示している。しかしながら、本発明はこれに限らず、各コイル15の導線15aの端部15cとターミナルボルト12,12Aとを確実に接続できるものであれば良い。
【0080】
また、上記第1及び第3の実施の形態においては、リングプレート11,11Bの外周リブ11e及び内周リブ11fを一体的に形成したものを示している。しかしながら、本発明はこれに限らず、このリングプレート11,11Bの外周リブ11e及び内周リブ11fを別個の部材として形成して、このリングプレート11,11Bを計3つの部材で構成することもできる。