【実施例1】
【0015】
図1に示されるように、車両10は、室内(車室)12内に設けられ乗員(運転者)が着座する運転席14と、運転席14の外方に乗員(運転者)が乗降するドア開口部17と、このドア開口部17を開閉自在に覆う車両用ドア(ドア)20と、が設けられている。
【0016】
図1及び
図2に示されるように、車両用ドア20は、車体11に開閉自在に取付けられるドア本体24と、このドア本体24に昇降自在に取付けられるドアガラス25と、ドア本体24を室内12側から覆うドアライニング27と、このドアライニング27の略中央高さに且つ車体前後方向に設けられるアームレスト28と、このアームレスト28に設けられ、ドア本体24を開閉するときに手を掛けるプルポケット(ドアポケット)31と、からなる。
【0017】
図3〜
図6に示されたように、プルポケット31は、前の縦壁部32と、後の縦壁部33と、内の縦壁部34と、外の縦壁部35と、底面36と、開放端部(上部開口)37と、から構成され、上部が開口された箱状部材である。
【0018】
さらに、プルポケット31は、プルポケット31の室内12側の縦壁部(内の縦壁部)34に、内側に凹ました凹状部44と、この凹状部44の先端に設けたヒンジ43と、このヒンジ43から延ばされ、折り曲げ自在に設けられた可動片45と、からなる。
【0019】
凹状部44は、室内12側の縦壁部(内の縦壁部)34に沿って延ばされた垂直部48と、この垂直部48の先端から室内12側に且つ上方に延ばされた傾斜部49と、これらの垂直部48及び傾斜部49に亘って切り欠かれた前の切り欠き部41と、傾斜部49のみを切り欠いた後の切り欠き部42と、垂直部48及び傾斜部49に亘って設けられ、可動片45が係合する前後の係合孔47,47と、からなる。
【0020】
ヒンジ43は、前の切り欠き部41から車体前後方向に沿ってプルポケット31の中央に延ばされた前のヒンジ56と、後の切り欠き部42から車体前後方向に沿ってプルポケット31の中央に延ばされた後のヒンジ57と、に分割構成される。
【0021】
可動片45は、成形状態で上方に係合突起53,53(
図3参照)を取付ける前後の台座部55,55と、成形状態で下方にヒンジ43を中心にして可動片45を回転させ、プルポケット31の内部に位置させ、ドア本体24の開閉のときに手を掛ける凸部(手掛かり部)52と、が形成される。
係合突起53,53は、前後の係合孔47,47に係合するクリップである。前後の台座部55,55には、クリップ53,53を支持する支持孔59,59が形成されている。
【0022】
図7及び
図10に示されたように、底面36は、上側に底面座繰り部61が形成され、この底面座繰り部61に底部化粧板62が設けられる。底面座繰り部61には、成形の都合上、突き出しピン痕63a,63bが残る。これらの突き出しピン痕63a,63bを隠すために底部化粧板62が設けられ、底部化粧板62を嵌合する複数の嵌合孔65が設けられる。
底部化粧板62には、嵌合孔65に嵌合する突起66が設けられている。
【0023】
図4に示されたように、プルポケット31の成形時の形状は、室内12側の縦壁部34に対し、可動片45は略垂直に室内12側に向けて突出した状態で形成される。
すなわち、
図8に示された二点鎖線の状態から、矢印a1の如く回転して、係合孔47,47に係合突起(クリップ)53,53を係合し、
図6に示されたように、使用状態の姿となる。
【0024】
使用状態では、
図8及び
図9に示されたように、係合孔47,47に係合突起53,53が係合し、
図6に示されたように、凸部52は室内12側の縦壁部(内の縦壁部)34内に位置する。すなわち、ヒンジ43(前後のヒンジ56,57)を中心にして凸部52(可動片45)を回転させ、プルポケット31の内部に凸部52を位置させ、凸部52をドア本体24の開閉のときの手掛かり部として機能させる。なお、凸部52は、車体11の略前後方向に延ばされている。
【0025】
図1、
図4〜
図6に示されたように、車両用ドア20では、車体11に設けられ乗員が乗降するドア開口部17と、このドア開口部17を開閉自在に覆うドア本体24と、このドア本体24の室内12側に設けられるアームレスト28と、このアームレスト28に設けられ、上部が開放された箱形形状のプルポケット31と、このプルポケット31に設けられ、乗員がドア本体24を開閉するときに手を掛ける手掛かり部52と、を備える。
【0026】
プルポケット31は、プルポケット31の室内12側の縦壁部34に、車体前後方向に延ばされたヒンジ43と、このヒンジ43を介してプルポケット31の開放端部37側に折り曲げ自在に設けられた可動片45と、この可動片45に設けられ、車体11の略前後方向に延ばされる凸部52と、可動片45側に設けられた係合突起53,53と、プルポケット31の室内12側の縦壁部34に設けられ、係合突起53,53が挿入される係合孔47,47と、を備える。
【0027】
ヒンジ43を中心に可動片45を回転させ、凸部52をプルポケット31の内側に移動し、係合孔47,47に係合突起53,53を嵌合させ、凸部52を乗員が手を掛ける手掛かり部としたので、プルポケット31に一体的に手掛かり部52を形成することができる。一般的には、プルポケット31の成形の都合上、手掛かり部が別体で形成され、プルポケット31にアッセンブリされる。この場合には、部品点数が増加するので好ましいこととは言えない。
【0028】
すなわち、ヒンジ43を中心に可動片45を回転させ、凸部52をプルポケット31の内側に移動し、係合孔47,47に係合突起53,53を嵌合させ、凸部52を乗員が手を掛ける手掛かり部とすることで、プルポケット31に手掛かり部52を一体的に形成することができる。この結果、車両用ドア20の組立性の向上を図ることができるとともに、車両用ドア20のコストの低減を図ることができる。
【0029】
図3、
図8、
図9に示されたように、車両用ドア20では、係合突起53,53が、クリップであるので、プルポケット31の形状の簡素化を図ることができる。この結果、プルポケット31の金型費を低減することができる。
【実施例2】
【0030】
図11〜
図13に示されたように、実施例2の車両用ドア70は、プルポケット71が採用される。プルポケット71は、前の縦壁部72と、後の縦壁部73と、内の縦壁部74と、外の縦壁部75と、底面76と、開放端部(上部開口)77と、から構成され、上部が開口された箱状部材である。
【0031】
さらに、プルポケット71は、プルポケット71の室内側の縦壁部(内の縦壁部)74に、内側に凹ました凹状部84と、こ凹状部84の先端に設けたヒンジ83と、このヒンジ83から延ばされ、折り曲げ自在に設けられた可動片85と、からなる。
【0032】
凹状部84は、室内側の縦壁部(内の縦壁部)74に沿って延ばされた垂直部88と、この垂直部88の先端から室内側に且つ上方に延ばされた傾斜部89と、これらの垂直部88及び傾斜部89に亘って切り欠かれた前の切り欠き部81と、傾斜部89のみを切り欠いた後の切り欠き部82と、垂直部88及び傾斜部89に亘って設けられ、可動片85が係合する前後の係合孔87,87と、からなる。
【0033】
ヒンジ83は、前の切り欠き部81から車体前後方向に沿ってプルポケット71の中央に延ばされた前のヒンジ96と、後の切り欠き部82から車体前後方向に沿ってプルポケット71の中央に延ばされた後のヒンジ97と、に分割構成される。
【0034】
可動片85は、成形状態で上方に形成された係合突起93,93と、成形状態で下方にヒンジ83を中心にして可動片85を回転させ、プルポケット71の内部に位置させ、ドア本体24の開閉のときに手を掛ける凸部(手掛かり部)92と、が形成される。
係合突起93,93は、前後の係合孔87,87に係合する爪部である。
【0035】
プルポケット71の成形時の形状は、室内側の縦壁部74に対し、可動片85は略垂直に室内側に向けて突出した状態で形成される。
すなわち、可動片85をプルポケット71の内部に回転して、係合孔87,87に係合突起(爪部)93,93を係合し、使用状態の姿となる。
【0036】
使用状態では、係合孔87,87に係合突起(爪部)93,93が係合し、凸部92は室内側の縦壁部(内の縦壁部)74内に位置する。すなわち、ヒンジ83(前後のヒンジ96,97)を中心にして凸部92(可動片85)を回転させ、プルポケット71の内部に凸部92を位置させ、凸部92をドア本体24の開閉のときの手掛かり部として機能させる。
【0037】
尚、本発明に係る車両用ドアは、
図3、
図8、
図9若しくは
図11に示すように、車両用ドア20,70が示されたが、これらの実施例を適宜組み合わせることを妨げるものではない。