(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
プレス機械を代表例として、回転数一定のモータ、フライホイールを具備する従来プレスとサーボモータの回転制御によりスライド昇降させるサーボプレスに大別した場合、スライドモーションの相異は著しい。
【0003】
前者は、
図6(B)に示すように、クランク軸の回転速度は一定であり、クランク機構を介した後のスライドモーションは
図6(A)に示すように一定である。
【0004】
後者は、スライドモーションを自由自在に設定することができる。すなわち、1サイクル中にスライドを低速で変位させ、また所定位置で停止させることもできる。クランク軸を任意の角度範囲内で往復回動運動させる、いわゆる振り子モーション(運動)を行わせることもできる。したがって、プレス加工態様の多様性および生産性向上の点では、次の比較から、後者が勝ること明白である。
【0005】
つまり、上記振り子モーションによるプレス運転は、
図7(A)に示すように、クランク軸の回転角度を例えば60°〜180°〜300°の範囲で往復運動させる。クランク軸の回転速度は、
図7(B)に示すようになる。回転角度60°、300°で、スライド位置は上限位置である。この上限位置は、回転角度が0°、360°における位置(上死点位置)よりも低い。つまり、回転角度300°〜360°〜60°間の無駄な回転運動(回転時間)を省くことができるから、回転角度180°(下死点位置)におけるプレス加工回数を増大(サイクルタイムを短縮)することができる。
【0006】
ところで、サーボプレスの一層の普及拡大を図るには、運用上の実際問題をクリアーすることが大事である。実際問題の一つは、従来プレスに比較してスライド位置とクランク軸の回転角度との相対関係の把握が難しいことである。例えば、
図6(A)に示す回転角度0°(360°)においてスライド位置は上限位置(上死点位置)であると長年に渡り認識していた者にとって、
図7(A)の如く、上限位置は回転角度が60°および300°であるときの位置であり、その値は
図6(A)に示す上死点位置(値)とは異なる低い位置(値)である。また、プレス運転中に回転角度が0°(360°)になることは無い。さらに、複数の回転角度においてスライド位置が同である場合が生じ得る。これらに関する事項を直感的に理解することは相当困難である。
【0007】
かくして、スライドモーション自体の設定作業、設定スライドモーションに対応するタイミング信号や同期信号の発生位置の設定作業や、ダイハイト調整作業が面倒で作業性が低下する。他の従来プレス(スライド駆動機構が例えば上下直動構造である。)に慣れた者にとっては、一段と面倒で作業ミスも発生し易い。
【0008】
この点に関しては、いわゆる仮想回転角度という概念を導入した改善策が提案(例えば、特許文献1、特許文献2)されている。特許文献1は、スライドモーションの1ストロークを360°に換算しかつ下死点を180°として分配換算したものを表示可能に形成し、仮想回転角度で表示されたモーションカーブ上でタイミング設定変更等をできるようにしたものである。特許文献2は、スライド位置を仮想クランク角度に換算して表示する。また、検出したスライド位置に対応する仮想回転角度を外部機器に出力するように形成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、一層の生産性向上を図るにはプレス速度の一段の高速運転が必要である。と同時に、干渉発生を確実に回避できなければならない。干渉問題は、プレス運転中におけるプレス側構成要素(部位)と搬送装置側要素(部位)との相対位置関係であるから、プレスと搬送装置との同期運転が重要である。
【0011】
ここに、サーボプレスシステムの制御方式に関し、個別制御方式は、プレスと搬送装置とを別個に制御する方式なので、運転高速化および干渉回避のいずれの点からも問題が多い。マスタースレーブ制御方式は、プレス側から検出した信号を搬送装置側に入力して搬送装置を追従同期運転させる。総括管理制御方式は、同一信号に基づきプレスと搬送装置とを同期並行運転させる。どの方式を採用するかは恣意的である。生産性を重視するか、干渉回避を重視するかによって選択される場合が多い。
【0012】
いずれのシステム制御方式を採るにしても、生産性向上の観点からは上記振り子モーションによる運転高速化が有効である。干渉回避の観点からすると、運転中のプレス側部位の実際の挙動との関係において、搬送装置を運転させたいという要求は強い。
【0013】
さらに、同期信号の検出方法、検出個所、検出器の取付場所、信号生成回路方式などは、多岐に渡る。搬送装置の構造、剛性、慣性の大きさ等々も種々である。かくして、サーボプレスシステムの普及拡大に伴う運用の実際において、予期せぬ状態が発生することがある。例えば、搬送装置との同期運転が一時的に不安定になり、運転停止となり、さらには機器変形や破損を引き起こす場合も生じ得る。
【0014】
本発明の目的は、高い生産性と確実な干渉回避を担保しつつ円滑な運転ができるサーボプレスシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
出願人の試験・研究によると、上記問題は振り子モーションによる運転の際に発生する蓋然性が高いと確信する。
【0016】
すなわち、慣れ親しんだ従来プレスの場合は、
図6(A)〜(E)に示す如く、クランク軸の回転速度は一定であり、スライドモーションが一定である。そして、搬送運転指令信号を1サイクル(0°〜360°)ごとに更新しつつ常時出力すれば、所定の一定速度で安定した搬送動作(アドバンス動作等)を行わせることができる。立上げ、立ち下げの搬送速度コントロールも円滑で搬送装置側に無理な負担を掛けることがない。
【0017】
しかるに、サーボプレスでかつ振り子モーションの場合は、固有の技術事項(回転方向反転時にプレス構成要素は一時停止する。その前後に極めて停止に近い状態がある。)が存在する。かくして、同期信号の検出方法、検出個所、検出器の取付場所、信号生成回路方式などの組合せによっては、円滑運転が阻害される事態が発生する。
【0018】
例えば、同期信号の検出個所をプレス構成部位(例えば、スライド位置、サーボモータ、クランク軸など)としかつ検出方法が当該部位の実際の挙動を捉える方法とするとともにその挙動(変化率)から信号生成する場合は、
図7(A)、(B)に示すように回転方向反転時(60°、300°)にクランク軸は必ず一旦停止する。また、反転時を含むその前後の反転領域では限りなく速度ゼロ(0)に近い状態となる。クランク軸の回転停止は検出個所(例えば、サーボモータ)の停止に他ならない。
【0019】
したがって、
図7(C)に示すように1サイクルごとに搬送指令信号を更新する回路方式[
図6(C)の場合と同様な方式]を採用したとすると、検出個所が停止状態であるから検出信号に変化はない、つまり信号不連続となる。これは、プレス停止を意味することから、搬送停止命令と判断される場合がある。すると、搬送装置側では、
図7(D)に示すように本来的には急速アドバンス動作されるべきところ、
図7(E)に示す如くブレーキ動作となる。すなわち、一旦停止・再起動状態(Q)となるので、騒音発生や機器の変形・破損を招く虞がある。もとより、円滑な運転が阻害され生産性が低下する。
【0020】
本発明は、干渉回避の観点から望まれる技術事項(プレス構成要素の実際挙動に依存して搬送装置との同期をとる。)を遵守しつつも、振り子モーションによるプレス運転時の固有的問題発生時には搬送装置の連続円滑運転を優先して実行可能に構築されたものである。換言すれば、本発明は、従来干渉発生はないものとして関心が薄くかつ見逃されていたプレス運転状態(スライドが上限位置乃至上死点位置にある。)において、振り子モーションの場合に限り発生する蓋然性が高くかつ発生すると被害が大きくなる問題点を、未然解決するものである。
【0021】
詳しくは、請求項1の発明に係るサーボプレスシステムは、クランク軸を回転させてスライドを昇降させるサーボプレスとこのサーボプレスにワークを搬送するサーボ搬送装置とを備えたサーボプレスシステムにおいて、サーボプレスを振り子モーションでプレス運転可能に形成し、サーボ搬送装置に対する搬送運転指令情報をプレス構成要素の機械的動作状態に依存して生成される第1搬送運転指令情報とそれに依存しないで生成される第2搬送運転指令情報との2種類から形成し、振り子モーション中におけるプレス構成要素の現在動作状態が運動方向反転領域内での動作状態であるか否かを判別可能に形成し、プレス構成要素の現在動作状態が運動方向反転領域内での動作状態でないと判別された場合は第1搬送運転指令情報を利用し、運動方向反転領域内での動作状態であると判別されたときには前記第2搬送運転指令情報を利用してサーボ搬送装置を搬送運転可能に形成され
、前記第1搬送運転指令情報が前記機械的動作状態である前記クランク軸の現在回転角度に依存した現在回転角度情報であり、かつ前記第2搬送運転指令情報がプレス速度情報を元
に創成されかつ連続性が担保された創成回転角度情報である。
【0022】
請求項2の発明に係るサーボプレスシステムは、クランク軸を回転させてスライドを昇降させるサーボプレスとこのサーボプレスにワークを搬送するサーボ搬送装置とを備えたサーボプレスシステムにおいて、サーボプレスをプレス運転指令情報に基づき振り子モーションでプレス運転可能に形成し、プレス構成要素の機械的動作状態に依存してサーボ搬送装置に対する搬送運転指令情報(第1搬送運転指令情報)を生成する第1搬送運転指令情報生成手段と、プレス構成要素の機械的動作状態に依存することなくサーボ搬送装置に対する搬送運転指令情報(第2搬送運転指令情報)を生成する第2搬送運転指令情報生成手段と、振り子モーション中におけるプレス構成要素の現在動作状態が予め設定された運動方向反転領域内での動作状態であるか否かを判別する反転領域内動作判別手段と、プレス構成要素の現在動作状態が設定運動方向反転領域内での動作状態でないと判別された場合は第1搬送運転指令情報をサーボ搬送装置に出力し、設定運動方向反転領域内での動作状態であると判別されたときには第2搬送運転指令情報をサーボ搬送装置に切替出力する搬送運転指令情報切替出力手段とを設け、クランク軸の振り子モーション中におけるプレス構成要素の現在動作状態が運動方向反転領域内での動作状態の場合にサーボ搬送装置の搬送運転動作の連続性を担保可能に形成され
、前記第1搬送運転指令情報生成手段が前記機械的動作状態である前記クランク軸の現在回転角度に依存した現在回転角度情報を第1搬送運転指令情報として生成可能に形成され、かつ前記第2搬送運転指令情報生成手段がプレス速度情報を元に創成されかつ連続性が担保された創成回転角度情報を第2搬送運転指令情報として生成可能に形成されている。
【0024】
請求項
3の発明は、現在回転角度情報を第1仮想回転角度に変換可能かつ回転角度指令情報を第2仮想回転角度に変換可能に形成され、搬送運転指令情報切替出力手段が変換後の第1仮想回転角度および第2仮想回転角度を選択的に切替出力可能に形成されている。
【0025】
請求項
4の発明は、第1搬送運転指令情報生成手段が機械的動作状態であるスライドの現在位置に依存した第1搬送運転指令情報(現在スライド位置情報)を生成可能に形成され、かつ第2搬送運転指令情報生成手段がプレス速度情報を元に創成されかつ連続性が担保された第2搬送運転指令情報(創成回転角度情報)を生成可能に形成されている。
【0026】
請求項
5の発明は、第1搬送運転指令情報および第2搬送運転指令情報の相互間の切替え途中に第1搬送運転指令情報および第2搬送運転指令情報の比率を変えて組合されたスムージング化搬送運転指令情報を生成可能な切替スムージング化手段を設け、搬送運転指令情報切替出力手段は該切替え途中に切替スムージング化手段で生成されたスムージング化搬送運転指令情報を搬送装置へ出力可能に形成されている。
【発明の効果】
【0027】
請求項1の発明によれば、高い生産性と確実な干渉回避を担保しつつ円滑な運転ができるサーボプレスシステムを提供することができる。
【0028】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明の場合と同様な効果を奏することができることに加え、具現化が容易で、取扱いが簡単である。
【0029】
さらに、請求項1または2の発明によれば、第1および第2搬送運転指令情報の信頼性を向上できかつサーボ搬送装置とサーボプレスとの同期運転を一段と安定化できる。また、請求項
3の発明によれば、各種の設定作業の安全性および確実性を向上でき、一段と取扱が容易で作業ミスもなくなる。
【0030】
請求項
4の発明によれば、請求項
2の発明の場合と同様に第1および第2搬送運転指令情報の信頼性を向上できかつサーボ搬送装置とサーボプレスとの同期運転を一段と安定化できる。
【0031】
さらに、請求項
5の発明によれば、ワーク搬送運転の一層の円滑化を達成できる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0034】
(第1の実施の形態)
本サーボプレスシステムは、
図1〜
図3に示す如く、プレス運転指令情報(Sprs)に基づき振り子モーションでプレス運転可能に形成され、第1搬送運転指令情報生成手段(28)と第2搬送運転指令情報生成手段25と運動方向反転領域判別手段(34)と搬送運転指令情報切替出力手段40とを設け、クランク軸12の振り子モーション中におけるプレス構成要素(16)の現在動作状態(θpa)が運動方向反転領域(AR2)内での動作状態であるか否かに拘わらずサーボ搬送装置50の搬送運転動作の連続性を担保可能に形成されている。
【0035】
また、この実施の形態では、各手段(31、34、38等)を設け、振り子モーションを規定するクランク角度を仮想回転角度に変換し、取扱い容易としている。
【0036】
図1において、サーボプレス10は、サーボモータ16の回転制御によりクランク軸12を回転させてスライド15を昇降させる。クランク軸12はコネクティングロッド13とともにクランク機構11を構成する。クランク軸12を一方向に1回転させれば、スライド位置を上死点位置(角度0°)から下死点位置(角度180°)に下降させ、さらに上死点位置(角度360°=0°)へ上昇させることができる。クランク機構11の特性として、クランク軸12を一定の回転速度で回転させた場合のスライドモーションは、
図6(A)に示す如くサイン波形状カーブとなる。
【0037】
サーボモータ16の回転軸には、エンコーダ18が連結されている。このエンコーダは、光学格子を利用する光電方式で角度相当信号θipを出力する。1回転当たり所定数パルス(例えば、100万パルス)を出力することができる。
【0038】
現在プレス動作状態検出器(回転角度検出器)28は、エンコーダ18からの角度相当信号θipを入力として回転角度(クランク角度)信号θpaを生成出力する。現在プレス動作状態(現在動作状態)を表す回転角度信号θpaは、フィードバック信号Spaとしてプレスコントローラ27に入力される。
【0039】
プレス制御部20は、プレス運転に必要な諸元(例えば、spm、振り子角度等)の設定や、記憶、制御および監視機能を持ち、サーボプレス全体管理を司る。プレス運転指令部21は、モーション選択器22で選択されたモーション(通常モーション、振り子モーションあるいは一時停止モーション等)、振り子角度設定器23で設定された振り子角度(例えば、60°、300°)およびspm設定器24を用いて設定されたプレス速度[spm…ストローク数(s)/1分(m)]に対応するスライドモーションを作成するとともに、作成された設定スライドモーションに従うプレス運転指令情報Spsをプレスコントローラ27に出力する。プレス運転が実行される。
【0040】
プレス運転指令情報Spsは目標値であり、一般的・観念的には、位置信号、角度信号あるいは速度信号として選択形成されかつパルス信号として生成出力される。この第1の実施形態では、クランク軸12の回転角度を制御するためのプレス運転指令情報Spsは回転角度指令情報θpsの形で出力される。プレスコントローラ27において、目標値(Sps=θps)とフィードバック信号Spa(現在回転角度情報θpa)とが比較される。つまり、クローズループ角度制御系を形成する。
【0041】
かくして、振り子モーションを選択し、運動(回転)方向反転角度つまり振り子角度(例えば、60°および300°)を設定すれば、
図3(A)、(B)[
図7(A)、(B)の場合と同様。]に示すように、設定振り子モーション(2つの設定振り子角度60°、300°間でクランク軸12を往復回動変位させる。)でプレス運転することができる。2つの設定振り子角度は、下死点(180°)を中心に左右等角(上記の場合は、120°、120°)としなくてもよい。プレス速度は、設定spmで決まる。
【0042】
なお、クランク軸12とサーボモータ(回転軸)16との間、サーボモータ(回転軸)16とエンコーダ18との間に、それぞれ減速機を設けてもよい。この際は、減速比に関する換算が必要である。
【0043】
サーボ搬送装置50は、サーボプレス10にワーク(材料)を搬入し、プレス加工後のワーク(半製品乃至製品)を次段(後置のサーボプレス乃至ストックヤード)へ搬出する。このサーボ搬送装置50は、この実施形態の場合は、
図3(D)に示すクランプ動作(ワーク把持)、リフト動作、アドバンス動作(ワーク搬送方向に移行)、ダウン動作、アンクランプ動作およびリターン動作(ワーク搬送方向と逆方向に移行)を所定のシーケンスに従って実行可能な3次元搬送方式である。なお、2次元搬送方式でも実施可能である。
【0044】
3次元搬送方式におけるアドバンスおよびリターン動作用のみを示した
図1において、サーボモータ56は図示しないアドバンス・リターン動作用駆動軸(フィーダ軸)を回転制御する。このサーボモータ56の回転軸には、エンコーダ58が連結されている。このエンコーダ58は、光学格子を利用する光電方式で角度相当信号θitを出力する。1回転当たり所定数パルスを出力することができる。
【0045】
現在搬送動作状態検出器(回転角度検出器)68は、エンコーダ58からの角度相当信号θitを入力としてフィーダ軸の回転角度に対応する回転角度信号θtaを出力する。現在搬送動作状態(現在動作状態)を表す回転角度信号θtaは、フィードバック信号Staとして搬送コントローラ67に入力される。
【0046】
搬送コントローラ67には、目標値Stsとしての搬送運転指令情報Zが入力される。この搬送運転指令情報Zは、搬送運転(アドバンス動作、リターン動作)をプレス運転(スライド昇降動作)に同期させて行わせるための搬送運転指令信号であり、プレス側構成要素(部位)と搬送装置側構成要素(部位)との衝突(干渉)を回避するために重要である。
【0047】
ここに、干渉問題は、プレス側構成要素(部位)と搬送装置側構成要素(部位)との機械的相対位置の問題であるから、搬送運転指令情報Zはプレス運転中におけるプレス側構成要素(部位)の実際動作状態に対応する情報から生成するのが好ましい。具体的には、プレス構成要素(例えば、スライド15、クランク軸12、サーボモータ16等)やその部位の挙動、つまりサーボプレス10の機械的動作状態に依存して生成する。
【0048】
この実施の形態では、精度的、経済的事情を考慮しつつ技術的特性(応答性および安定性)の観点から、搬送運転指令情報Zは、サーボモータ16に連結されたエンコーダ18の出力とされている。詳しくは、現在プレス動作状態検出器(回転角度検出器)28で信号処理生成されたクランク軸12の回転角度(現在動作状態)を表す回転角度信号θpaをもって搬送運転指令情報Zとしている。
【0049】
この搬送運転指令情報Z(=回転角度信号θpa)の信号形式としては、これを搬送コントローラ67に直接入力しても搬送運転制御可能に形成されているが、このままでは振り子モーションによるプレス運転が実行された場合の特殊事情(クランク軸12の反転時の一時停止状態)に伴う問題発生が懸念される。
【0050】
すなわち、運動(回動)方向が反転し終わるまでには、クランク軸12は、物理的に必ず一旦は停止状態となる。そして、搬送運転指令情報Z(回転角度信号θpa)は、プレス構成要素(12)の機械的動作状態(回転角度変化)に依存して生成されるものと形成されている。したがって、クランク軸12の運動方向反転時には、
図7(B)、(C)に示すように回転角度信号θpaが不連続となる。これは信号消失状態乃至プレス停止状態を意味する。つまり、サーボモータ56は、
図3(B)に示す如く回転進行できず停止状態とみなされる。
【0051】
一方、クランク軸12の運動方向反転時におけるスライド15は、
図3(A)に示すように上限位置にある。かかる場合は干渉発生の心配が全く無い。そこで、アドバンス動作は、最高速度で連続搬送動作となるように形成されている。したがって、従来のサーボプレスシステムの場合と同様に、回転角度信号θpaの不連続化現象によりモータ急停止状態(ブレーキ状態)になってしまうと、搬送(アドバンス・リターン)装置50の大きな機械的慣性によって各所に過大な衝撃を与える。構成要素やそれら各部位の変形や破損を招く虞がある。大騒音ともなり得るばかりか、生産性を著しく低下させる。これら問題や不具合は、搬送速度を高速化すればするほど発生し易く、被害も大きくなる。
【0052】
また、プレス側の回転角度検出器28、搬送装置側の搬送コントローラ67等が信号変化率を重視した信号処理方式とされている場合や、回転角度信号θpaの発信周波数が高くあるいは1パルス信号当たりの角度分解能が高くなればなる程に、上記問題が発生し易い。さらに、各手段の性能・特性やそれらの組合せ如何によって問題が起きる場合と起きないときがある。したがって、システム・装置の構築後や運用開始後に、発生してしまった問題の解決を図ることは、大きなリスクを負うことになる。つまり、事前に検討吟味して対処しておくべき課題であると理解される。
【0053】
かくして、本発明では、上記問題解決のための各手段(28、25、34、40)を導入してサーボ搬送装置50の搬送運転動作の連続性を担保可能に形成してある。
【0054】
第1搬送運転指令情報生成手段は、プレス構成要素の機械的動作状態に依存してサーボ搬送装置50に対する搬送運転指令情報(第1搬送運転指令情報)を生成する手段である。プレス構成要素の機械的動作状態に依存して情報を生成するとは、サーボプレス10の実際運転進行に伴うプレス構成要素の電気的、機械的動作のうちの機械的な動作状態を捉えてそれに対応する情報を生成するという限定的な意味である。実際のプレス運状態を元に搬送運転の同期性向上を企図する。
【0055】
この実施の形態では、第1搬送運転指令情報生成手段を、上記した現在プレス動作状態検出器(回転角度検出器)28から形成し、機械的動作状態であるクランク軸12の現在回転角度θipに依存して第1搬送運転指令情報(現在回転角度情報θpa)を生成する。
【0056】
この第1搬送運転指令情報(現在回転角度情報θpa)は、第1仮想回転角度生成手段31により、
図1、2,4,5に示す第1仮想回転角度Yに変換される。第1仮想回転角度生成手段31は、プレス制御部20において設定・記憶された振り子モーション用の左右動作角度θr、θl(例えば、60°、300°)を読み出して振り子範囲θlr(=θl−θr=240°)を算出しつつ、第1仮想回転角度Yを算出する。算出式は、Y=360°−(300°−X)×(360°/θlr)である。Xは、60°〜300°内の任意の角度である。
【0057】
因みに、X=60、90,120,150,210,240,270,300°である場合は、Y=0,45,90,135,225,270,315,360°と換算される。もとより、X=180°で、Y=180°となる。
【0058】
第2搬送運転指令情報生成手段は、プレス構成要素の機械的動作状態に依存することなくサーボ搬送装置50に対する搬送運転指令情報(第2搬送運転指令情報)を生成する手段である。第1搬送運転指令情報のように機械的動作状態に依存させないので、情報(信号)の連続性がある限りにおいて、プレス構成要素の電気的動作状態に依存して第2搬送運転指令情報を生成しても、格別に設けた信号発生器の出力信号を利用して第2搬送運転指令情報を生成可能に形成してもよい。
【0059】
この実施の形態の場合、第2搬送運転指令情報生成手段25は、設定されたプレス速度情報(spm)を元に創成した創成回転角度情報(第2搬送運転指令情報)θspmを生成出力可能に形成されている。創成回転角度情報(第2搬送運転指令情報)θspmは、連続性が担保された信号である。
【0060】
例えば、設定プレス速度が30spmで、制御回路(25)の払出時間が1msの場合、クランク軸12の1回転当たりの払出回数は2000回であるから、1回の払出で0.18度(°)に相当する創成回転角度情報θspmを連続生成出力するように形成する。つまり、払出ごとの同期角度変化量は、0.18°である。
【0061】
すなわち、同期角度変化量(0.18°)を細分化する複数パルス信号を払出期間(
図4のT=0〜T5)中にスキャン出力すれば、クランク軸12の運動方向反転時(停止時)においても連続する創成回転角度情報θspmを確実に発生させることができるわけである。創成回転角度情報θspmの1パルス当たりの回転角度(分解能)は、エンコーダ18および回転角度検出器28の性能上から出力し得る回転角度信号θpaの分解能と整合するように決められる。例えば、0.05°である。
【0062】
この第2搬送運転指令情報(創成回転角度情報θspm)は、第2仮想回転角度生成手段38により、
図1、2,4,5に示す第2仮想
回転角度Y’に変換される。
図1の仮想回転時間算出手段34から出力される仮想回転時間Tがゼロ(0)となるごとにリセット・再生成される。つまり、
図4に点線で示すように、1サイクル毎(例えば、300°)ごとに更新生成される。
【0063】
図4において、第2仮想
回転角度Y’は、横軸の仮想回転時間Tが“0”から“T5”までかつ仮想回転角度が“0”から“360°”まで、点直線で示したように一定パルス間隔で連続出力される。対する第1仮想回転角度Yは振り子モーション運転に応じたものであるから、干渉域AR1内では実直線で示すようになるが非干渉域AR2内では曲線形状となる。この
図4は主にスムージング化を説明するための図であることから、作図上、反転時(T=0、T=T5)およびその直近においても第1仮想回転角度Yが出力されているように見えるかもしれないが、実際には運動方向反転直近領域AR22でかつ反転時に極近いところでは不連続(出力停止状態)となっている。
【0064】
この仮想回転時間算出手段34は、この実施の形態では、反転領域内動作判別手段(非干渉領域判別手段)をも形成する。なお、この仮想回転時間算出手段34、仮想回転角度切替出力機能およびスムージング化機能を説明するに先立ち、
図3、
図4に示す符号を説明して置く。
【0065】
AR1は、干渉領域(アンクランプ動作→リターン動作→クランプ動作)で、プレス構成要素と搬送装置構成要素との干渉が発生する虞の強い領域である。AR2は、非干渉領域(リフト動作→アドバンス動作→ダウン動作)で、プレス構成要素と搬送装置構成要素との干渉が発生する虞がない領域である。
【0066】
この非干渉領域AR2は、運動方向反転領域であり、さらに細分化(AR21、AR22、AR23)される。運動方向反転直近領域AR22は、反転時(60°、300°)を中心としたクランク軸12(スライド15)の極低速運動領域である。AR21,AR23は、前・後スムージング領域である。
【0067】
なお、
図4は横軸が仮想回転時間(T)で縦軸が仮想回転角度(°)あるので、前スムージング化領域AR21、後スムージング化領域AR23は、
図3(A)、(C)の場合と左右逆となる。
【0068】
反転領域内動作判別手段(34)は、振り子モーション中におけるプレス構成要素(クランク軸12)の現在動作状態(現在プレス動作状態)が予め設定された運動方向反転領域(非干渉域)AR2内での動作状態であるか否かを判別する手段で、仮想回転時間算出手段34で算出された仮想回転時間Tの値をもって判別する時間管理判別方式である。
図4において、仮想回転時間(T)が(T=0〜T2)および[T=T3〜T5(=0)]の場合に、運動方向反転領域(非干渉域)AR2内であると判別する。
【0069】
搬送運転指令情報切替出力手段40は、反転領域内動作判別手段(34)によってプレス構成要素(クランク軸12)の現在動作状態(θpa)が設定運動方向反転領域(非干渉域AR2)内での動作状態でないと判別された場合は、第1搬送運転指令情報(Y=Z)をサーボ搬送装置50(搬送コントローラ67)に出力する。
【0070】
具体的には、現在動作状態(θpa)に相当する第1仮想回転角度Yから算出された仮想回転時間Tの値により設定運動方向反転領域(AR2)内でないと判別された場合(つまり、干渉域AR1内である。)に、
図4に実線で示す第1仮想回転角度Y(=Z)を、そのまま搬送コントローラ67に出力する(
図5のST15)。
【0071】
一方、反転領域内動作判別手段(34)によって設定運動方向反転領域(非干渉域AR2)内での動作状態であると判別されたときには、搬送運転指令情報切替出力手段40は、第2搬送運転指令情報(Y’=Z)をサーボ搬送装置50(67)に切替出力する。
【0072】
具体的には、第1仮想回転角度Yから算出された仮想回転時間Tの値により設定運動方向反転領域(AR2)内であると判別された場合は、
図4に点線で示された第2仮想回転角度Y’(=Z)を、搬送コントローラ67に出力する(
図5のST11、ST18)。
【0073】
プレス構成要素の機械的動作状態に依存する第1仮想回転角度Yから連続性が担保された第2仮想回転角度Y’に切替える必要性は、本来的には、
図3(C)、(D)に示す運動方向反転直近領域AR22だけで十分である。しかし、第1仮想回転角度Yから第2仮想回転角度Y’に切替える時点(
図4のT3またはT4)および第2仮想回転角度Y’から第1仮想回転角度Yに切替える時点(
図4のT1またはT2)において、両者Y、Y’間の角度相当信号値の差が常に小さいという保障はない。
【0074】
つまり、サーボプレス10、サーボ搬送装置50の構築内容や、運用状況等々によっては、搬送運転指令情報切替出力手段40の時間管理方式のみで切替出力制御したとすると、比較的に大きな電気的、機械的ショックが発生し、また円滑な運転が中断される虞があり得る。
【0075】
そこで、搬送運転指令情報切替出力手段(仮想回転角度切替出力手段)40は、切替え途中に、切替スムージング化手段47で生成されたスムージング化搬送運転指令情報(Z)をサーボ搬送装置50へ出力可能に形成されている。
【0076】
切替スムージング化手段47は、第1搬送運転指令情報および第2搬送運転指令情報の相互間の切替え途中に、第1搬送運転指令情報(第1仮想回転角度Y)および第2搬送運転指令情報(第2仮想回転角度Y’)の比率を変えて組合されたスムージング化済である
図4に太実線で示す搬送運転指令情報Zを生成出力する(
図5のST13、ST17)。
【0077】
図4、
図5において、仮想回転時間TがT1未満である場合(ST10でYES)は、点線で示す第2仮想回転角度Y’(=Z)が出力される(ST11)。従って、
図4の時刻T=0で示された運動方向反転時とその前段階の直近低速運動域内において、第1仮想回転角度Yがゼロ(0)乃至限りなくゼロ(0)に近い値であるためにサーボモータ56が回転停止する虞が生じたとしても、第2仮想回転角度Y’(=Z)に切替済みであるから、これら問題を一掃することができる。
【0078】
仮想回転時間TがT4以上(およびT=T5)である場合(ST16でNO)も、点線で示す第2仮想回転角度Y’(=Z)が出力(ST18)されているので、問題はない。
【0079】
仮想回転時間TがT2を超えかつT3未満の場合(ST14でYES)は、干渉域AR1であるから、第1仮想回転角度Yが出力される(ST15)。
【0080】
仮想回転時間TがT1を超えかつT2未満の場合(ST12でYES)は、仮想回転時間Tの進行に伴って漸次減少する第2仮想回転角度Y’成分と漸次増大する第1仮想回転角度Y成分との組合せである太実線の仮想回転角度Zが出力される(ST13)。仮想回転時間TがT3を超えかつT4未満の場合(ST16でYES)は、仮想回転時間Tの進行に伴って漸次減少する第1仮想回転角度Y成分と漸次増大する第2仮想回転角度Y’成分との組合せである太実線の仮想回転角度Zが出力される(ST17)。
【0081】
切替時間Tcは、
図1のスムージング化時間設定手段48を用いて設定変更される。すなわち、連続性が担保された第2仮想
回転角度Y’で搬送運転させるべき運動方向反転直近領域AR22および前・後スムージング領域AR21,AR23の範囲を、当該システムおよび振り子モーション運転に最適範囲に設定した運用ができる。
【0082】
しかして、この実施の形態によれば、振り子モーションでプレス運転可能なサーボプレス10とサーボ搬送装置50とを具備するサーボプレスシステムにおいて、搬送運転指令情報をプレス構成要素(16)の機械的動作状態に依存して生成される第1搬送運転指令情報(θpa)とそれに依存しないで生成される第2搬送運転指令情報(θspm)との2種類から形成し、プレス構成要素の現在動作状態が運動方向反転領域内での動作状態でない場合は第1搬送運転指令情報Yを利用し、動作状態であるときには第2搬送運転指令情報Y‘を利用してサーボ搬送装置50を搬送運転可能に形成されているので、高い生産性と確実な干渉回避を担保しつつ円滑な運転ができるサーボプレスシステムを提供することができる。
【0083】
第1搬送運転指令情報生成手段(28)と第2搬送運転指令情報生成手段25と反転領域内動作判別手段(34)と搬送運転指令情報切替出力手段40とを設け、クランク軸12の振り子モーション中におけるプレス構成要素の現在動作状態が運動方向反転領域内での動作状態であるか否かに拘わらずサーボ搬送装置50の搬送運転動作の連続性を担保可能に形成されているので、具現化が容易で、取扱いが簡単である。
【0084】
第1搬送運転指令情報生成手段(28)が現在回転角度情報θpaを第1搬送運転指令情報Yとして生成可能で、第2搬送運転指令情報生成手段25がプレス速度情報spmを元に創成されかつ連続性が担保された創成回転角度情報θspmを第2搬送運転指令情報Y‘として生成可能に形成されているので、第1および第2搬送運転指令情報の信頼性を向上できかつサーボ搬送装置50とサーボプレス10との同期運転を一段と安定化できる。
【0085】
搬送運転指令情報切替出力手段40が現在回転角度情報θpaを変換した第1仮想回転角度Yおよび創成回転角度情報θspmを変換した第2仮想
回転角度Y’を選択的に切替出力可能に形成されているので、各種の設定作業の安全性および確実性を向上でき、一段と取扱が容易で作業ミスもなくなる。
【0086】
搬送運転指令情報切替出力手段40が切替え途中に切替スムージング化手段47で生成されたスムージング化搬送運転指令情報Zを搬送装置50へ出力可能に形成されているので、ワーク搬送運転の一層の円滑化を達成できる。
【0087】
また、スムージング化時間設定手段48を設けて切替時間Tcの時間長を設定変更可能に形成されているので、当該構成および当該運転態様に対する適応性が広くかつ一段と取扱いがよい。
【0088】
(第2の実施の形態)
この実施の形態の基本的構成・機能は第1の実施形態の場合(
図1〜
図5)と同様であるが、第1搬送運転指令情報生成手段が取扱う情報(信号)が第1の実施形態の場合とは異なる。
【0089】
すなわち、プレスコントローラ27は、プレス運転指令情報Sps(スライド位置指令情報Pps)を目標値、スライド位置指令情報Ppaをフィードバック信号としてサーボモータ16を回転制御してスライド位置を昇降変位調整するクローズループ位置制御系を形成する。第1搬送運転指令情報(Sts)は、基本的には、スライド位置指令情報Ppaから形成されている。
【0090】
つまり、プレス運転指令部21は、第1の実施形態の場合(回転角度指令情報θps)と異なり、スライド位置指令情報Ppsを出力可能に形成されている。また、現在プレス動作状態検出器28は、第1の実施形態の場合(回転角度検出器)と異なり、スライド位置検出器として形成され、現在スライド位置情報Ppaを生成出力する。
【0091】
すなわち、第1搬送運転指令情報生成手段は、現在プレス動作状態検出器(スライド位置検出器)28から形成され、エンコーダ18から入力される現在回転角度θipを所定処理して、当該現在回転角度θipに対応する現在スライド位置情報Ppaを生成出力する。つまり、第1搬送運転指令情報生成手段(現在プレス動作状態検出器28)は、機械的動作状態であるスライド15の現在位置Pi(これに対応する回転角度θipとして検出される。)に依存した現在スライド位置情報Ppaを第1搬送運転指令情報として生成可能に形成されている。
【0092】
もっとも、第1搬送運転指令情報手段(28)は、スライド15に直接または間接的に関与して現在スライド位置Ppaを検出できればよいので、例えば、昇降するスライドの変位を光電検出する光電直動変位検出手段から形成するようにしてもよい。
【0093】
サーボ搬送装置50の搬送運転のみを考える場合は、目標値(現在スライド位置Ppa)を搬送コントローラ67に直接入力して搬送制御することができる。この際は、現在搬送状態検出器68を現在スライド位置Ppaに対応する現在搬送位置Ptaを出力可能に形成し、この現在搬送位置Ptaをフィードバック信号としても実施する。
【0094】
しかし、この実施形態においても、振り子モーション角度を仮想回転角度に変換するので、第1の実施形態の場合と同様に、目標値Z(Sts)を搬送コントローラ67に入力し、かつ現在搬送状態検出器68からの現在搬送位置Ptaをフィードバック信号として搬送運転する。
【0095】
第1仮想回転角度Yを生成出力する第1仮想回転角度生成手段31には、入力される第1搬送運転指令情報(現在スライド位置情報Ppa)をこれに対応する回転角度情報θpaに換算する機能が設けられている。第1実施形態の場合とは、この機能追加の点が異なる。
【0096】
すなわち、第2仮想回転角度Y’を生成出力する第2仮想回転角度生成手段38、仮想回転角度算出手段(反転領域内動作判別手段)34、搬送運転指令情報切替出力手段40および切替スムージング化手段47の構成・機能は、第1の実施形態の場合と同様に形成されている。
【0097】
しかして、この実施の形態によれば、第1の実施形態の場合と同様に、第1および第2搬送運転指令情報の信頼性を向上できかつサーボ搬送装置50とサーボプレス10との同期運転を一段と安定化できる。また、第1の実施形態の場合と比較して、スライド位置指令情報Spsおよび現在スライド位置情報Spaを採用するサーボプレス(システム)に対する導入が簡単である。
【0098】
つまり、サーボプレス10およびサーボ搬送装置50の駆動制御上の信号を位置信号として構築し、各種設定等に関しては仮想回転角度方式を採用したいとする要請に応えるシステムを提供できる。