(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
X線を発生させるX線発生器と、前記X線の照射範囲を規定するX線絞り手段と、前記X線発生器に対向配置され、被検体の透過X線を検出して透過X線信号を出力するX線平面検出器と、前記X線平面検出器に対する前記X線の照射野領域の位置情報を検出する照射野領域検出手段と、前記透過X線信号による画像における前記照射野領域に外接する矩形領域の切り出し位置の候補点の位置情報を、前記照射野領域の位置情報に基づいて算出する切り出し位置候補点算出手段と、前記候補点の位置情報に基づいて前記矩形領域の位置情報を算出する矩形領域位置算出手段と、前記矩形領域を表示する矩形領域表示手段と、を有し、
前記切り出し位置候補点算出手段は、多角形状の前記照射野領域の頂点が前記X線平面検出器のX線入射面内にある場合には、当該頂点を前記候補点とし、前記頂点が前記X線入射面外にある場合には、前記頂点とその頂点に隣接する前記照射野領域の他の頂点とを結ぶ直線と、前記X線入射面の辺又はその辺の延長線と、の交点の位置情報を算出し、その交点の位置情報に応じて、その交点又はその交点を前記X線入射面内に補正した点を前記候補点として算出する、ことを特徴とするX線診断装置。
X線発生器とX線平面検出器が対向配置され、X線絞り手段により前記X線発生器が発生するX線の照射範囲を規定するX線診断装置がX線画像を撮影し得たX線画像をトリミング処理する方法であって、
X線を発生させるステップと、前記X線の照射範囲を規定するステップと、被検体の透過X線を検出して透過X線信号を出力するステップと、前記X線平面検出器に対する前記X線の照射野領域の位置情報を検出するステップと、前記透過X線信号による画像における前記照射野領域に外接する矩形領域の切り出し位置の候補点の位置情報を、前記照射野領域の位置情報に基づいて算出するステップと、前記候補点の位置情報に基づいて前記矩形領域の位置情報を算出するステップと、前記矩形領域を表示するステップと、を有し、
前記矩形領域の位置情報を算出ステップは、前記候補点のX軸座標の最小値から前記候補点のX軸座標の最大値までの領域内、かつ前記候補点のY軸座標の最小値から前記候補点のY軸座標の最大値までの領域内を、前記矩形領域の位置として算出することを特徴とするX線画像トリミング処理方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を適用する実施形態について説明する。以下、本発明の実施形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0011】
本実施形態に係るX線診断装置は、いわゆる透視(動画モード)と撮影(静止画モード)とが行えるX線診断装置である。以下、
図1に基づいて本実施形態に係るX線診断装置の概略構成について説明する。
図1はX線診断装置の概略構成を示す模式図である。
【0012】
本実施形態に係るX線診断装置1は、被検体2に照射するX線を発生させるX線発生器11と、被検体2への被曝を低減するために、被検体2に照射されるX線の照射野領域を制限するX線絞り12と、X線発生器11に対向配置され被検体2の透過X線を検出し、透過X線信号を出力するX線平面検出器13と、透過X線信号に基づいて被検体2のX線画像を生成したり、X線発生器11やX線絞り12及びX線平面検出器13を制御したりする制御部14と、制御部14に接続され、X線画像を表示するCRT等からなる表示装置15と、を備える。制御部14は、制御・演算装置を構成するCPUやMPUと、各種プログラムや透過X線信号、及び本実施形態に係る画像の切り出し処理(トリミング処理ともいう)に必要なプログラムや各種データを一時的、又は固定的に記憶するメモリや磁気ディスクからなる記憶装置とを備える。また制御部14には、図示を省略するものX線条件の設定やトリミング処理のためのパラメータを設定するための入力装置が接続される。
【0013】
上記制御部14には、X線平面検出器13に対するX線が照射された領域(以下「照射野領域」という)の位置情報を検出する照射野領域検出手段21と、照射野領域検出手段21で検出された照射野領域の位置情報を記憶する照射野領域記憶手段22と、透過X線信号による画像における照射野領域に外接する矩形領域の切り出し位置の候補点の位置情報を、照射野領域の位置情報に基づいて算出する切り出し位置候補点算出手段23と、候補点の位置情報に基づいて矩形領域の位置を算出する矩形領域位置算出手段24と、矩形領域の画像サイズと矩形領域表示手段の表示領域サイズとの比率に基づいて、矩形領域の画像の間引き数を決定する間引き数決定手段25と、間引き数決定手段25と矩形領域位置算出手段24で得られた位置情報とを基に、切り出し処理(「トリミング処理」ともいう)された矩形領域からなる被検体2のX線画像を表示装置15に表示させる矩形領域表示手段26とから構成される。
【0014】
上記制御部14の記憶手段には、本実施形態にかかる切り出し処理を行い、それを行った画像を表示する画像表示プログラムが格納される。この画像表示プログラムは、照射野領域検出部と、切り出し位置候補点算出部と、矩形領域位置算出部と、間引き数決定部と、矩形領域表示制御部とにより構成される。制御部14を構成するハードウェアにより上記画像表示プログラムが実行されて各部の機能が実現されることにより、照射野領域検出手段21と、切り出し位置候補点算出手段23と、矩形領域位置算出手段24と、間引き数決定手段25と、矩形領域表示手段26とが構成される。照射野領域記憶手段22は、制御部14に備えられ、照射野領域検出手段21により検出された照射野領域の位置を格納する記憶装置により構成される。
【0015】
次に
図2に基づいて本実施形態に係るX線診断装置1の処理の流れを説明する。
図2は、本実施形態に係るX線診断装置1の処理の流れを示すフローチャートである。以下、本フローチャートのステップに沿って説明する。
【0016】
(ステップS1)
検者が被検体2のX線撮影を行い、X線平面検出器13が被検体2を透過したX線を検出し、検出したX線の強度に応じた透過X線信号を出力し、制御部14に送信する(S1)。透過X線信号は、制御部14内の記憶装置に保存される。
【0017】
(ステップS2)
照射野領域検出手段21は、X線平面検出器13のX線入射面に対するX線の照射野領域を検出する(S2)。
【0018】
照射野領域検出手段21は、X線診断装置1のシステム情報を基に照射野領域を検出してもよい。例えば、X線絞り12とX線平面検出器13とが一体のX線診断装置1であって、制御部14がX線絞り12及びX線平面検出器13を駆動して位置合わせを行うX線診断装置1に本実施形態を適用する場合には、予めX線絞り12とX線平面検出器13とのポテンシャルを一致させておく、すなわち、空間上のある一点を原点(0,0,0)と定め、この原点を基準としてX線絞り12の位置を示す空間座標とX線平面検出器13の位置を示す空間座標とを定義する。そして、制御部14がX線絞り12及びX線平面検出器13を駆動させる位置を空間座標により示し、この空間座標に沿って制御部14がX線絞り12及びX線平面検出器13の位置合わせを行うとともに、この空間座標を照射野領域検出手段21に出力するようにしてもよい。
【0019】
また、X線絞り12とX線平面検出器13とが別体に構成されたX線診断装置、例えば回診車(移動型X線撮影装置)に本実施形態を適用する場合には、予めX線絞り12とX線平面検出器13との相対的な位置関係を検出するための磁気センサや光センサ等の位置センサを備えておき、X線絞り12のセンサ取り付け位置を原点(0,0,0)と定め、この原点を基準としてX線平面検出器13の位置を示す空間座標を検出する。そして、この空間座標を示す情報を照射野領域検出手段21に出力するようにしてもよい。
【0020】
本実施形態に係る照射野領域検出手段21は、X線絞り12とX線平面検出器13との位置関係から、X線平面検出器13のX線入射面が含まれる2次元平面上における照射野領域を演算する。より詳しくは、X線絞り12とX線平面検出器13との位置関係から上述の2次元平面上における照射野領域の座標を演算し、更にX線入射面の4頂点のうちの1点を原点とする2次元座標に、X線入射面の各頂点及び照射野領域の各頂点の座標を変換する。これにより、X線入射面を基準とする2次元平面上において、照射野領域の算出が行える。
【0021】
また、照射野領域検出手段21は、X線診断装置1により撮影されたX線画像に基づいて画像処理を行い、X線画像内の照射野領域を検出し、この照射野領域のエッジを抽出することにより、照射野領域を検出してもよい。この場合、X線画像に対する照射野領域が検出される。以下の説明では、X線平面検出器13のX線入射面30に対する照射野領域を求めるが、上述の如く、X線画像に対する照射野領域を求めてもよい。このように、照射野領域検出手段21は、X線平面検出器13とX線絞り12との実空間座標を基にX線平面検出器13又はX線入射面における照射野領域の実空間座標を求めてもよいし、照射野領域の、X線画像上の2次元座標を求めてもよく、その手法は問わない。
【0022】
照射野領域の算出を
図3に基づいて説明する。
図3は、照射野領域検出手段21が検出したX線平面検出器13のX線入射面30に対する照射野領域40の位置関係の例を示す模式図である。
図3では、略正方形のX線入射面30に対し、X線絞り12を45度回転させた場合を示している。X線検出面30に対し、矩形状の照射野領域40が斜め45度に回転するとともに、一部はみ出した位置関係にある。X線入射面30の頂点をA、B、C、Dと称し、照射野領域40の頂点をP、Q、R、Sと称する。
【0023】
本実施形態では、X線平面検出器13の位置を示す空間座標として、頂点A、B、C、Dの空間座標(X1,Y1,Z1)、(X2,Y2,Z2)、(X3,Y3,Z3)、(X4,Y4,Z4)を求める。また、照射野領域40の位置を示す空間座標として、四つの頂点P、Q、R、Sの空間座標(X5,Y5,Z5)、(X6,Y6,Z6)、(X7,Y7,Z7)、(X8,Y8,Z8)を求める。
【0024】
照射野領域検出手段21は、頂点A、B、C、Dの空間座標(X1,Y1,Z1)、(X2,Y2,Z2)、(X3,Y3,Z3)、(X4,Y4,Z4)と、照射野領域の四つの頂点P、Q、R、Sの空間座標(X5,Y5,Z5)、(X6,Y6,Z6)、(X7,Y7,Z7)、(X8,Y8,Z8)とに基づいて、X線入射面30上において、X線入射面30の4頂点のうちの1点、例えば頂点Aを原点(0,0)とする2次元座標系に、上記の空間座標(X1,Y1,Z1)、(X2,Y2,Z2)、(X3,Y3,Z3)、(X4,Y4,Z4)、(X5,Y5,Z5)、(X6,Y6,Z6)、(X7,Y7,Z7)、(X8,Y8,Z)を変換する。そして、変換された座標は、照射野領域記憶手段22に格納される。
【0025】
(ステップS3)
切り出し位置候補点算出手段23は、ステップS2で求められた各点の座標に基づいて、X線入射面30全体から検出された透過X線信号による画像において、その画像内のX線の照射野領域に外接する矩形領域を切り出すための切り出し候補点(以下「候補点」と略記する)を算出する。
【0026】
本ステップの処理を
図4及び
図5に基づいて説明する。
図4は、本ステップの処理の流れ、即ち、切り出し位置候補点算出処理の流れを示すフローチャートである。
図5は、切り出し位置候補点算出処理の内容を示す模式図である。以下
図4の各ステップに沿って説明する。
【0027】
(ステップS301)
切り出し位置候補点算出手段23は、
図3の照射野領域40の4つの頂点をループ(例P⇒Q⇒R⇒S)させて、各頂点に基づいて切り出し候補点を算出する。まず、最初のループ(i=0)において、最初に処理の対象とする頂点(例えばP)を定める(S301)。
【0028】
(ステップS302)
切り出し位置候補点算出手段23は、処理対象の頂点(例えば頂点P)の座標がX線入射面30の範囲内にあるか否かを判別する(S302)。範囲内であれば、ステップS303へ進み、範囲外であれば、ステップS304へ進む。
【0029】
(ステップS303)
切り出し位置候補点算出手段23は、処理対象の頂点(例えば頂点P)を候補点とし(S303)、その座標を保存した後、ステップS310へ進む。
【0030】
(ステップS304)
切り出し位置候補点算出手段23は、処理対象の頂点(例えば頂点Q)と、その頂点に隣接し、かつステップS301で記載したループ内において次に処理の対象となる頂点(以下「次頂点」という。頂点Qに対しては頂点Rが次頂点となる)とを結ぶ直線(例えばQR)と、X線入射面30の4辺又は4辺の延長線との交点を算出する(S304)。
【0031】
(ステップS305)
ステップS304で算出した交点が、処理対象の頂点と次頂点との間である頂点間範囲内にあるか否かを判別し(S305)、範囲外であればステップS306へ進み、範囲内であればステップS307へ進む。
【0032】
(ステップS306)
切り出し位置候補点算出手段23は、頂点間範囲外にある交点を候補点から削除し(S306)、ステップS310へ進む。
【0033】
(ステップS307)
切り出し位置候補点算出手段23は、交点がX線入射面30の範囲内(X線平面検出器13を基準とするときにはX線平面検出器13の範囲内)にあるか否か、すなわち(0<交点のX(orY)座標)<X線入射面30のX(orY)座標の最大値X
max(orY
max))にあるか否かを判別し(S307)、範囲内であればステップS308へ進み、範囲外であればその交点を保留点と定め、ステップS309へ進む。
【0034】
(ステップS308)
切り出し位置候補点算出手段23は、処理対象の頂点と次頂点とを結ぶ直線とX線入射面30の辺との交点を候補点とし(S308)、ステップS310へ進む。
【0035】
(ステップS309)
切り出し位置候補点算出手段23は、保留点を、その保留点が位置するX線入射面30の辺、又は、その辺の延長線に沿ってX線入射面30の範囲内の最近箇所まで移動させる補正を行う。即ち、この補正は、保留点のX軸及び/又はY軸の座標がマイナスの値であるときには、そのマイナスの値が0になるように補正し、保留点のX軸及び/又はY軸の座標がX線入射面30のX軸方向の最大値X
max及び/又はY軸方向の最大値Y
maxを超える場合には、その最大値を超えている値をX軸方向の最大値X
max及び/又はY軸方向の最大値Y
maxになるように補正することを意味する。そして補正後の保留点の座標を、候補点の座標として保存し(S309)、ステップS310へ進む。
【0036】
(ステップS310)
切り出し位置候補点算出手段23は、処理対象の頂点をループの次頂点に変更すべくステップS301へ戻り、処理対象の頂点を示す引数iを1つインクリメントして再度ステップS302からステップS309までの処理を繰り返す。このループ処理を、照射野領域の4つの頂点全てについて順次行い、ステップS4へ進む。
【0037】
次に
図5に基づいて切り出し位置候補点算出処理の例を説明する。
図5は、切り出し位置候補点算出処理の内容を示す模式図であって、
図3に示すX線入射面30と照射野領域40との位置関係において候補点を算出した状態を示す。
【0038】
(1)頂点Pの場合:頂点PはX線検出器13の範囲内(本実施形態ではより正確を期すためにX線入射面30の範囲を基準とする)にあるため、上記ステップS302からステップS303へ進み、その頂点Pの座標を候補点(黒丸)の座標として保存する(候補点1つ)。
【0039】
(2)頂点Qの場合;頂点QはX線入射面30の範囲外であるため、上記ステップS302からステップS304へ進む。そして、ステップS304において、頂点Q及び次頂点Rを結ぶ直線QRと、X線入射面30の辺及びその延長線との交点の座標I
1、I
2、I
3、I
4を算出する。ステップS305の判別により、2つの交点I
2、I
3はQ-R間(頂点間範囲)であるため保留点とし、これら2つの交点I
2、I
3についてはS307へ進む。その他の2つの交点I
1、I
4は頂点間範囲外であるためS306において候補点から削除する。ステップS307において保留点I
2、I
3がX線入射面30の範囲内にあるか否かを判別する。判別の結果、保留点I
2、I
3は、範囲外であるため、ステップS309へ進む。そしてステップS309においてX線入射面30内に移動させる補正を行う。この補正により、保留点I
2、I
3は頂点Aに移動する。よって、頂点Aの座標を候補点の座標として保存する(候補点1つ)。
【0040】
(3)頂点Rの場合:頂点RはX線入射面30の範囲外であるため、上記ステップS302からステップS304へ進む。そして、ステップS304において、頂点R及び次頂点Sを結ぶ直線RSと、X線入射面30の辺及びその延長線との交点の座標I
5、I
6、I
7、I
8を算出する。ステップS305の判別により、2つの交点I
6、I
7はR-S間(頂点間範囲)であるため保留点とし、これら2つの交点I
6、I
7についてはS307へ進む。その他の2つの交点I
5、I
8は頂点間範囲外であるためS306において候補点から削除する。次に、ステップS307において2つの保留点I
6、I
7がX線入射面30の範囲内にあるか否かを判別し、範囲内にあるため、ステップS308において2つの保留点I
6、I
7を候補点の座標として保存する(候補点2つ)。
【0041】
(4)頂点Sの場合:頂点Sは、X線入射面30の範囲外であるため、上記ステップS302からステップS304へ進む。そして、ステップS304において、頂点S及び次頂点Pを結ぶ直線SPと、X線入射面30の辺及びその延長線との交点の座標I
9、I
10、I
11、I
12を算出する。ステップS305の判別により、1つの交点I
10はS-P間(頂点間範囲)であるため保留点とし、S307へ進む。その他の3つの交点I
9、I
11、I
12は頂点間範囲外であるためS306において候補点から削除する。次に、ステップS307において保留点I
10がX線入射面30の範囲内にあるか否かを判別し、範囲内にあるため、ステップS308において保留点I
10を候補点の座標として保存する(候補点1つ)。
【0042】
よって
図5の例では、切り出し位置の候補点が合計5つとなる。続いて、
図2のフローチャートのステップS4へ進む。
【0043】
(ステップS4)
ステップS4では、矩形領域位置算出手段24が、ステップS3で得られた候補点の座標を基に切り出し領域の位置を算出する(S4)。本実施形態では、特に、矩形の切り出し領域の位置を算出するため、切り出し領域のことを矩形領域という。
【0044】
矩形領域位置算出手段24は、候補点のX座標、Y座標の最小座標を切り出し始点とする。また、X軸方向について、候補点のX座標の最大座標をX軸方向の切り出し終点とする。同様に、Y軸方向について、候補点のY座標の最大座標をY軸方向の切り出し終点とする。
図6に基づいて本ステップの処理を説明する。
図6は、切り出し領域位置算出処理の流れを示すフローチャートである。
図6の切り出し領域位置算出処理では、X軸座標の最小座標及び最大座標の算出処理と、Y軸座標の最小座標及び最大座標の算出処理と、をそれぞれ行う。以下では、まずX軸座標についての処理を行うものとして説明する。
【0045】
(ステップS401)
矩形領域位置算出手段24は、ステップS3で求めた5つの候補点について、以下の処理を順次行う。まず、最初のループ(i=0)において、最初に処理の対象とする候補点(例えば頂点A)を定める(S401)。
【0046】
(ステップS402)
矩形領域位置算出手段24は、処理対象の候補点(例えば頂点AのX軸座標)が最小座標であるか否かを判別する(S402)。
図5のように、原点が照射野領域に含まれる場合には、X軸座標0が最小座標となる。最小座標であれば、ステップS403へ進み、最小座標でなければ、ステップS404へ進む。
【0047】
(ステップS403)
矩形領域位置算出手段24は、処理対象の候補点を切り出し始点の座標として保存する(ステップS403)。そしてステップS407へ進む。
【0048】
(ステップS404)
矩形領域位置算出手段24は、処理対象の候補点(例えば頂点AのX軸座標)が最大座標であるか否かを判別する(S404)。最大座標であれば、ステップS405へ進み、最大座標でなければ、ステップS406進む。
【0049】
(ステップS405)
矩形領域位置算出手段24は、処理対象の候補点を切り出し終点の座標として保存する(S405)。そしてステップS407へ進む。
【0050】
(ステップS406)
矩形領域位置算出手段24は、処理対象の候補点を切り出し終点の候補位置から削除し、ステップS407へ進む(S406)。
【0051】
(ステップS407)
矩形領域位置算出手段24は、処理対象の候補点を次の候補点に変更すべくステップS401へ戻り、処理対象の候補点を示す引数iを1つインクリメントして再度ステップS401からステップS407までの処理を繰り返す。このループ処理を、5つの候補点の全てについて順次行い、ステップS5へ進む。
【0052】
ステップS401からS407までの処理をX軸座標、Y軸座標のそれぞれについて行う。
図5の例では、5つの候補点のX軸座標及びY軸座標の最小座標は(0,0)となる。また、X軸座標の最大は、頂点PのX軸座標となる。Y軸座標の最大は、頂点I
7とI
10とから算出された値(X線入射面30_サイズY
max)となる。最小座標を切り出し始点とし、X軸座標の最大座標及びY軸座標の最大座標をそれぞれ終点とする矩形領域を設定すると、切り出し領域は
図5の矩形領域50(太枠点線領域)となる。
【0053】
この矩形領域50は、X線入射面30内の照射野領域40に外接する矩形領域である。
すなわち、矩形領域50として切り出された領域は、X線入射面30のX軸方向に沿った画素列及びY軸方向に沿った画素列(例えばX線入射面30が3000×3000画素の場合、3000画素からなる行(X軸方向)及び3000画素からなる列(Y軸方向))において、被検体2の透過X線信号を一つの画素も検出していない画素列からなる領域を、X線入射面30から削除して形成された矩形領域である。本実施形態では、矩形領域は、Y軸方向が長辺となる矩形であるが、切り出し始点が原点(0,0)でX軸座標の最大座標及びY軸座標の最大座標が等しい場合は、矩形領域が正方形となることもあり得る。
続いて、図2のフローチャートのステップS5へ進む。
【0054】
(ステップS5)
間引き数決定手段25は、切り出し領域を表示領域内に表示させるために必要な間引き数を決定し(S5)、矩形領域表示手段26は、算出された間引き数に従って間引き処理を行う。例えば、切り出し領域が2100画素×3000画素であり、表示領域が1000画素×1000画素である場合、間引き数を3とする。3間引きとは、サンプリングを3画素ごとにすることと同義である。この例では、3間引き後の切り出し領域の画像サイズは、700画素×1000画素となる。表示画面全体に被検体2の画像を表示する場合には、表示画面全体が表示領域となるが、表示画面の一部領域に被検体の属性情報(例えば被検体氏名等)を表示し、残りの表示画面内に被検体の画像を表示する場合には、この残りの表示画面内の表示領域のサイズが、間引き数を決定するための表示領域サイズとなる。なお、表示領域のサイズに対し、切り出し領域の画像サイズが小さく、間引きをせずとも切り出し領域の全領域を表示できる場合には、間引き処理を行わないため、本ステップを省略する。
【0055】
(ステップS6)
矩形領域表示手段26は、表示装置15の表示画面における被検体2の画像を表示するための表示領域内に切り出し領域を表示する(S6)。
【0056】
本実施形態によれば、表示領域を最大限生かして照射野領域を表示でき、解像度の劣化を最小限に抑えることが可能になる。
【0057】
上記実施形態では、X線平面検出器13に対して照射野領域40を45度回転させた回転撮影の場合の算出方法を記載したが、通常の撮影(正方形や長方形の絞り)や射入撮影撮影(台形の絞り)の場合でも矩形切り出しが可能である。