(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
演出制御手段の擬似演出処理は、特別遊技作動が満了した後かつ最初の図柄生成行程が満了する前に擬似中断タイミングを設定していることを特徴とする請求項1に記載のパチンコ遊技機。
遊技制御手段は、満杯検知センサが満杯検知ONの状態で特別遊技作動を満了すると、特別遊技作動の満了後に実行する図柄生成行程をその満了までに要する行程時間を延長する処理を備え、
演出制御手段の擬似演出処理は、満杯検知OFFにより表示する擬似再開演出画像を、図柄生成行程の満了に合わせて表示中止するようにしたものであることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のパチンコ遊技機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、大入賞口を開閉作動する特別遊技作動の実行中では、大入賞口に遊技球が多数入賞することによって多量の賞球が払い出されることから、上記した球受皿が遊技球で満杯となり易い。この特別遊技作動の実行中に球受皿が遊技球で満杯となっても、当該特別遊技作動は継続することから、遊技者は遊技を進行させつつ、満杯解消するための球抜操作をしなければならない。さらに、球受皿が満杯となると、満杯解消を促す満杯エラー報知が、遊技演出と並行して実行される。そのため、球受皿が満杯となると、遊技者は遊技に集中し難くなってしまい、操作を誤ったり、遊技演出を十分に楽しめないことがあり得る。例えば、「右打ち」を遊技者に報知する場合に、「球抜きしてください」という報知が重なると、前記「右打ち」報知に気付かずに不利益を被る可能性もあり得る。そして、特別遊技作動の実行中であれば、前記不利益が増大する傾向が強い。
【0005】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、従来構成と比べて特別遊技作動の実行中に満杯エラーが発生した場合にも遊技者が遊技に集中し易いパチンコ遊技機の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、特別図柄を変動表示する特別図柄表示器と、遊技球の入賞を検知する球検知手段を具備する始動口と、始動口の球検知手段が遊技球を検知することにより始動記憶を発生して記憶し、該始動記憶を消化することにより、特別図柄表示器で特別図柄を変動して当り又はハズレを確定する停止図柄態様で停止する図柄生成行程を実行し、当り停止図柄態様が確定した場合に大入賞口を開閉作動する特別遊技作動を実行する一連の遊技動作を制御する遊技制御手段と、演出画像を表示する演出画像表示器と、該遊技制御手段による遊技動作に応じて演出画像を表示制御する演出制御手段と、遊技球を貯留する球受皿と、遊技球を前記球受皿に払い出す球払出装置と、入賞の発生に伴って規定数の遊技球を払い出すように球払出装置を制御する払出制御手段とを備えたパチンコ遊技機において、前記球受皿の満杯を検知する満杯検知センサを備え、前記払出制御手段は、満杯検知センサが満杯検知ONとなると、該満杯検知センサが満杯検知OFFとなるまで球払出装置を作動停止させ且つ入賞発生に基づく未払球数を記憶し、該満杯検知OFFに従って該未払球数の遊技球を払い出す未払い制御処理を備え、前記演出制御手段は、前記特別遊技作動の実行中に満杯検知センサが満杯検知OFFから満杯検知ONとなっても、当該特別遊技作動の満了から最初の図柄生成行程の満了の間に予め設定された擬似中断タイミングまで、前記遊技制御手段により継続する遊技動作に応じた通常の演出画像を演出画像表示器で継続して表示し、満杯検知センサが満杯検知ONの状態で前記擬似中断タイミングとなると、通常の演出画像の表示を中止して、遊技動作が中断したように見せかける擬似中断演出画像を表出し、満杯検知センサが満杯検知OFFとなると、演出画像表示器で前記擬似中断演出画像の表示を中止して、遊技動作が再開したように見せかける擬似再開演出画像を表示し、該擬似再開演出画像の満了後に、遊技動作に応じた通常の演出画像が連続的に表示されるようにした擬似演出処理を備えていることを特徴とするパチンコ遊技機である。
【0007】
ここで、遊技球の満杯状態で発生した賞球は、払出制御手段の未払い制御処理により満杯解消後に正確に払い出されることから、満杯状態で発生した遊技者の利益も適正に保たれ得る。そして、擬似中断演出画像の表示中であっても、遊技動作は継続することから、該表示中の入賞により生ずる利益も前記未払い制御処理により保たれる。また、通常の演出画像としては、特別遊技作動に応じた演出画像、図柄生成行程に応じた演出画像等のように、一連の遊技動作の実行中に該遊技動作に応じて適宜遊技を盛り上げるために表示される演出画像を総じて言う。また、擬似中断タイミングとしては、特別遊技作動が満了する時点、該特別遊技作動が満了した後の所定時間経過した時点、最初の図柄生成行程が満了する時点のいずれかを設定できる。
【0008】
かかる構成によれば、特別遊技作動の実行中に球受皿が遊技球で満杯となっても、当該特別遊技作動とその演出画像の表示とを継続することから、遊技者は該特別遊技作動に集中し易く、特別遊技作動における利益を適正に得ることができる。そして、擬似中断タイミングとなると、擬似中断演出画像を表示することにより、遊技者に遊技動作が中断したと思い込ませることができるため、遊技者は満杯解消する操作に集中でき、該操作を余裕を持って行い得る。そのため、上述した従来構成のように遊技の進行と並行して球抜操作を行うことを遊技者に強要せず、該並行して行うことにより遊技者が不利益を被るという問題の発生を抑制できる。このように本構成では、特別遊技作動の実行中に球受皿が満杯となっても、該特別遊技作動による遊技の進行と、擬似中断演出画像の表示によって満杯解消させる操作とを別々に行えばよいように、遊技者に働きかけることができる。したがって、球受皿の満杯状態でも、特別遊技作動を遊技者が満喫できると共に、満杯解消の操作を余裕を持って安定して行うことができ、操作ミス等の発生を可及的に抑制できる。
【0009】
また、本構成では、擬似中断演出画像の表示中であっても、特別遊技作動後の図柄生成行程を継続して実行していることから、遊技者が満杯解消に要する時間によって遊技動作が中断しない。仮に、満杯解消のために遊技動作を中断すれば、遊技にかける総時間が長くなってしまうことから、該中断に要する時間は遊技者や遊技場にとって時間的なロス(不利益)と言える。本構成では、満杯解消によって時間的なロス(不利益)が生じてしまうことも可及的に抑制できる。
【0010】
さらに、擬似中断演出画像を表示している状態で満杯解消すると、擬似再開演出画像を介して通常の演出画像を連続的に表示することから、該擬似再開演出画像から通常の演出画像への画像の変遷が比較的スムーズに行われるため、該画像変遷によって遊技者に違和感が生じてしまうことを可及的に抑制できる。これにより、あたかも球受皿の満杯により遊技動作が中断して満杯解消により遊技動作が再開したように、遊技者に思い込ませ易く、遊技を進行させる状態から満杯解消のための時間が分離されているように見せかける効果が高い。そのため、遊技者が満杯解消の操作を余裕を持って行うことができるという上述した本発明の作用効果が一層向上する。また、前記した画像変遷が比較的スムーズに行われることにより、遊技者は、擬似中断演出画像の表示中に満杯解消のために中断していた遊技の進行を、継続している遊技動作に従うように再開し易い。これにより、遊技動作に従って遊技を進行させているということを遊技者に思い込ませることができ、総じてパチンコ遊技に対する信頼性を維持できる。
【0011】
本構成にあって、擬似中断演出画像としては、遊技者に遊技動作が中断していることを見せかけるためのものであり、例えば、図柄生成行程の実行中に関する画像を表示せず、あたかも図柄生成行程の実行を中断しているような画像とする。さらに、擬似中断演出画像は、満杯エラーの解消を促すことができるものを好適に用い得る。また、擬似再開演出画像としては、遊技が再開したように見せかけ、さらにその表示満了により通常の演出画像が連続するように見せかけるものであり、例えば、図柄生成行程に応じた演出画像が表示されているように見せかけるものが好適に用いられる。
【0012】
本構成にあって、擬似中断演出画像を表示する演出画像表示器としては、遊技動作に応じた演出画像を表示することによって遊技を盛り上げる役割を発揮するものであるから、遊技者が注目し易いように配設位置やサイズが設定されているものが好適である。一般的なパチンコ遊技機にあって、遊技盤の中央部分に配設された液晶表示器により構成されるものが好適である。そして、このような演出画像表示器で擬似中断演出画像と擬似再開演出画像とを表示することによって、遊技者に遊技動作が中断したと思い込ませる効果が高く、上述した本発明の作用効果が十分に発揮され得る。
【0013】
尚、擬似中断タイミングとなった際に、満杯検知OFFであれば、擬似中断演出画像を表示せずに、通常の演出画像を継続して表示する。満杯検知OFFということは、擬似中断タイミングとなるまでに満杯が解消されたことであることから、遊技者に満杯解消を促すための擬似中断演出画像を表示する必要がなく、継続する遊技動作に応じた通常の演出画像を継続表示することによって遊技者が遊技を継続して進行できる。
【0014】
上述した本発明のパチンコ遊技機にあって、特別遊技作動を満了した時点を擬似中断タイミングとして設定している構成が提案される。
【0015】
かかる構成によれば、特別遊技作動の満了という所謂キリの良い時点から擬似中断演出画像が表示されるため、遊技者に満杯解消するための余裕を効果的に持たせることができる。そのため、遊技者は安心感を持って満杯解消するための操作を行い易くなるため、上述した操作ミス等による不利益を抑制するという本発明の作用効果を一層向上できる。また、特別遊技作動後すぐに、最初に実行する図柄生成行程に応じた演出画像でなく擬似中断演出画像が表出されることから、図柄生成行程に応じて表示している演出画像を途中で中断することが無い。そして、最初の図柄生成行程を実行している期間を、最も効率的に、擬似中断演出画像を表示して遊技者に満杯解消を促す時間にあてることができる。
【0016】
上述した本発明のパチンコ遊技機にあって、演出制御手段の擬似演出処理は、特別遊技作動が満了した後かつ最初の図柄生成行程が満了する前に擬似中断タイミングを設定している構成が提案される。ここで、擬似中断タイミングとしては、特別遊技作動の満了後に数秒経過した時点が好適であり、例えば10秒以下の所定秒経過した時点に設定できる。
【0017】
かかる構成によれば、特別遊技作動後の最初の図柄生成行程が実行している期間の少なとも一部を、擬似中断演出画像を表示して遊技者に満杯解消を促す時間にあてることができる。
【0018】
上述した本発明のパチンコ遊技機にあって、遊技制御手段は、満杯検知センサが満杯検知ONの状態で特別遊技作動を満了すると、特別遊技作動の満了後に実行する図柄生成行程をその満了までに要する行程時間を延長する処理を備え、演出制御手段の擬似演出処理は、満杯検知OFFにより表示する擬似再開演出画像を、図柄生成行程の満了に合わせて表示中止するようにしたものである構成が提案される。
【0019】
ここで、遊技制御手段は、最初の図柄生成行程の行程時間を延長し、演出制御手段の擬似演出処理は、擬似再開演出画像を最初の図柄生成行程の満了に合わせて中止するようにしたものである構成が好適である。これにより、擬似中断演出画像および擬似再開演出画像が表示されている間には、最初の図柄生成行程が実行されるだけとなり、次の二回目の図柄生成行程から該図柄生成行程に応じた通常の演出画像が表示される。
【0020】
かかる構成によれば、図柄生成行程の満了というキリの良い時点で擬似再開演出画像を表示中止して通常の演出画像を復帰表示することから、これ以降の遊技動作で該遊技動作に応じた通常の演出画像を表示する。これにより、擬似中断演出画像および擬似再開演出画像を表示した図柄生成行程と、通常の演出画像を表示する図柄生成行程とを明確に区別することができる。また、擬似再開演出画像から通常の演出画像へ変遷する時点を特定し易く、該変遷するための処理を容易かつ安定して行うことができ、該処理に要する負担も軽減できる。
【0021】
上述した本発明のパチンコ遊技機にあって、遊技制御手段は、満杯検知センサが満杯検知OFFから満杯検知ONとなることにより、記憶している未消化の始動記憶を消化前に当落判定する先読み処理と、満杯検知センサが満杯検知ONの状態で特別遊技作動を満了すると、前記先読み処理によりハズレ判定した未消化の始動記憶を優先して消化し、満杯検知センサが満杯検知OFFとなると、ハズレ判定した始動記憶の優先消化を解除する優先消化処理とを備えているものである構成が提案される。
【0022】
かかる構成によれば、球受皿の満杯状態でハズレ確定する図柄生成行程が優先して実行されることから、擬似中断演出画像を表示している間に、当り確定する始動記憶が消化されることを可及的に抑制できる。ここで、当り確定する図柄生成行程では、通常、遊技者の当り発生への期待感を盛り上げるための様々な演出画像が表示される。本構成では、当り確定する図柄生成行程に応じた演出画像を、擬似中断演出画像の表示によって遊技者が見られなくなってしまうことを可及的に抑制できる。したがって、本構成では、擬似中断演出画像の表示中に、当り確定する図柄生成行程が実行され難く、該当り確定する図柄生成行程の演出画像によって当り確定へ向けて遊技者の感情を最も昂揚させるという興趣性を安定して保ち得る。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、上述したように、特別遊技作動中に球受皿が満杯となることにより満杯検知センサが満杯検知ONとなっても、特別遊技作動の満了から最初の図柄生成行程の満了の間で予め設定された擬似中断タイミングまで、継続する遊技動作に応じた通常の演出画像を表示し、該擬似中断タイミングとなると、演出画像表示器に擬似中断演出画像を表出し、満杯検知OFFとなると、擬似再開演出画像を表示して、該擬似再開演出画像を介して通常の演出画像を連続的に表示するようにしたものであるから、特別遊技作動中に球受皿が満杯となっても、当該特別遊技作動による遊技に遊技者が集中し易く該遊技を満喫できると共に、特別遊技作動の満了後に擬似中断演出画像の表示によって、遊技者に遊技動作の中断を思い込ませることができ、遊技者は満杯解消する操作を余裕を持って行い得る。そのため、遊技進行する操作と球抜操作とを並行して行うことを遊技者に強要せず、両者を容易かつ安定して行うことができ、該満杯エラー発生に伴って生ずる操作ミス等による不利益を可及的に抑制することができる。また、擬似中断演出画像の表示中も遊技動作が継続していることから、満杯解消によって時間的なロス(不利益)が生じてしまうことも可及的に抑制できる。さらにまた、満杯解消により擬似再開演出画像を介して通常の演出画像を連続的に復帰表示することから、スムーズに画像変遷でき、遊技者に違和感を生じさせ難いため、前記した遊技動作の中断を見せかける効果が一層向上し、総じてパチンコ遊技の信頼性を維持できる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明にかかる実施例のパチンコ遊技機1を添付図面に従って説明する。
パチンコ遊技機1は、
図1に示すように、遊技島設備(図示省略)に固定される外枠2と、この外枠2の前面開口部を覆う遊技機本体3とからなる。遊技機本体3は、中央上部の略円形の開口部に遊技盤10(
図2参照)が取り付けられた前枠5を備え、この前枠5の一側縁がヒンジ部材4を介して外枠2に開閉可能に枢着されている。さらに前枠5には、遊技盤10を覆うガラス板6が設けられている。また、前枠5の下部には、二つの球受皿7,8が上下に列設されており、各球受皿7,8を臨む位置には、遊技球が払い出される球払出口30,31が夫々開口している。二つの球受皿7,8のうち、下側に設置された下部球受皿8の底部には、開閉可能な球抜孔33が設けられており、遊技者は、下部球受皿8の手前側に設けられた球抜レバー34が操作されて球抜孔33を開放することで、下部球受皿8の遊技球を機外に排出できる。また、前枠5には、右下部に発射ハンドル9が突設される。ここで、遊技機本体3により本発明の機台が構成されている。
【0026】
図2は、遊技盤10の正面図である。遊技盤10の前面には、ガイドレール11によって略円形の遊技領域12が区画形成されている。遊技領域12の中央には、演出画像表示器14等の各種遊技部材を組み込んだセンターケース13が配設される。演出画像表示器14は、液晶表示器又はCRT表示器等からなり、その表示画面には各種演出画像等が表示される。
【0027】
また、センターケース13の下部には、特別図柄の始動記憶(以下、特別始動記憶)を記憶保持している個数を表す未消化数(特別図柄始動記憶数)を報知するための特別始動記憶数表示装置17が配設されている。ここで、4個のLEDからなる特別始動記憶数表示装置17は、その点灯数により4個までの未消化数を報知する。
【0028】
さらにまた、センターケース13の右側上部には、6個のLED(発光ダイオード)からなる特別図柄表示器15が配設される。この特別図柄表示器15は、LEDの点灯態様によって特別図柄を表示するものであり、後述するように、所定契機によって、各LEDが点滅して特別図柄が変動状態となり、点滅後にいずれかのLEDが点灯することで特別図柄が停止表示状態となる。本実施例では、右側のLEDが点灯した停止図柄態様が当り停止図柄態様、それ以外のLEDが点灯した停止図柄態様がハズレ停止図柄態様と設定されており、特別図柄の停止図柄態様が当り態様で確定された場合に、いわゆる「大当り」となって後述の大当り遊技(特別遊技作動)に移行する。
【0029】
図2に示すように、センターケース13の左側には普通始動ゲート19が設けられている。この普通始動ゲート19を遊技球が通過すると、普通始動ゲート19に具備された普通始動スイッチS2(
図4参照)が遊技球を検知して球検知信号を出力し、この球検知信号に基づいて、センターケース13の下部右側に設けられた2個の普通図柄表示器(図示せず)が点滅して所定点灯態様で停止する。
【0030】
また、センターケース13の下方には、遊技球を流入可能とする始動口21を備えた普通電動役物20が配設されている。この始動口21の内部には、遊技球を検知する特別始動スイッチS1(
図3参照)が配設されており、該始動口21への遊技球流入に伴って特別始動スイッチS1が遊技球を検知することによって特別図柄表示器15のLEDが点滅開始する。また、この遊技球を検知することにより球検知信号を出力し、この球検知信号に基づいて所定数の賞球が払い出される。
【0031】
さらに普通電動役物20の直下かつアウト口28の直上方位置には、大入賞口25を有する特別電動役物26が配設されている。この特別電動役物26は横長矩形状の開閉片27を具備している。開閉片27は内蔵する特別電動役物ソレノイドにより開閉制御され、これによって大入賞口25が開放状態と閉鎖状態に変換される。また、特別電動役物26の内部には入賞した遊技球を検知するカウントスイッチS3(
図4参照)が設けられている。また、この遊技球を検知することにより球検知信号を出力し、この球検知信号に基づいて所定数の賞球が払い出される。
【0032】
また、普通電動役物20の両側に配設された一般入賞装置29に遊技球が入賞すると、一般入賞装置29に内蔵された一般入賞スイッチS4(
図4参照)が球検知信号を出力し、かかる球検知信号に基づいて所定数の賞球が払い出される。
【0033】
尚、本実施例にあって、上記した普通電動役物20の始動口21が、本発明の始動口であり、普通電動役物20内に設けられた特別始動スイッチS1が、本発明にかかる球検知手段である。
【0034】
また、パチンコ遊技機1の背面側には、
図3に示すように、遊技島から供給される遊技球を貯留する球タンク35と、該球タンク35から、球受皿7,8の球払出口30,31へ遊技球を流下させる球流下樋36と、球流下樋36に配設されて、球タンク35側から流下する遊技球を球払出口30,31側へ送り出すことで、球受皿7,8に遊技球を払い出す球払出装置37とが設けられている。球払出装置37が送り出す遊技球は、上側の上部球受皿7に優先的に払い出され、上部球受皿7が満杯となると自然に下部球受皿8へ遊技球が払い出されることとなる。そして、球流下樋36には、下部球受皿8の球払出口31の直前位置に、下部球受皿8の満杯状態を検知する満杯検知センサ38が配設される。この満杯検知センサ38は、リミットスイッチからなり、下部球受皿8が満杯となった時に、球払出口31の手前に滞留した遊技球を検知し、満杯検知ONして満杯検知ON信号を出力する。満杯検知センサ38は、球払出口31の手前に滞留した遊技球を検知しなければ、前記満杯検知ON信号を出力せず、いわゆる満杯検知OFFである。そして、遊技球を検知している間、満杯検知ONが継続し、満杯検知ON信号を出力し続ける。本実施例では、上下の球受皿7,8のうち、満杯検知センサ38が配設された下部球受皿8が、本発明に係る球受皿に相当する。
【0035】
次に、本実施例のパチンコ遊技機1の一連の遊技動作を制御する制御回路を、
図4を参照して説明する。
マイクロコンピュータを構成する主制御基板60には、パチンコ遊技機の遊技動作等を制御するための基板回路が設けられる。この主制御基板60は、遊技の統括的な制御を実行するものである。この基板回路上には主制御用中央制御装置CPUが配設される。この主制御用中央制御装置CPUには、演算処理に用いる動作プログラムを格納する記憶装置ROMと、必要なデータを随時読み書きできる記憶装置RAMとが、データを読み書きするアドレスを指定する情報を一方的に伝えるアドレスバス(図示省略)と、データのやり取りを行うデータバス(図示省略)を介して接続され、主制御基板60の基板回路を構成している。記憶装置ROMには、制御プログラムや、抽選乱数を参照して当落判定や図柄の変動・停止態様、演出態様等を決定するための各種テーブルが格納されている。
【0036】
一方、記憶装置RAMには、各種球検知スイッチからの球検知信号等が一時的に記憶される記憶エリア、各種のタイマや乱数カウンタ、計数カウンタ等を構成するレジスタ領域、及びワークエリア等が設けられている。
【0037】
さらに、この主制御基板60の基板回路には、所定のクロックパルスを出力するクロック装置(図示省略)が設けられ、主制御用中央制御装置CPUに接続されている。主制御用中央制御装置CPUは、一定間隔のクロックパルスによって時系列的に演算処理を行い、一連の処理作動を順次実行する。また、このクロック装置により出力されたクロックパルスをカウントして、時間を計測するタイマTMも接続される。
【0038】
ここで主制御用中央制御装置CPU、及び後述する各制御基板62〜68に設置される各中央制御装置CPUは、所定のデータの処理を行う演算ユニット(ALU)を連成した演算装置と、この演算装置に入出力するデータや読み込んだ命令を保管しておくレジスタと、命令を解読するデコーダ等によって構成されている。そして、この主制御用中央制御装置CPUは、所定の形式で生成した制御信号を三つの制御基板62,63,64へ出力し、これらの制御基板62,63,64の中央制御装置CPUがこの制御信号に従って所定の制御を処理実行することとなる。
【0039】
また、この主制御基板60の基板回路には、主制御用中央制御装置CPUが周辺機器とデータ通信を行う入力ポート(図示省略)及び出力ポート(図示省略)が設けられており、この出力ポートを介して主制御基板60からの制御指令信号が、演出制御基板62、図柄制御基板63、および払出制御基板64の各入力ポートに向け、一方向に出力される。また、主制御基板60の入力ポートには、盤面中継基板61を介して、特別始動スイッチS1や普通始動スイッチS2等の各種スイッチやセンサ等が接続されている。そして、主制御基板60が2msごとに、これらに内蔵された各スイッチの遊技球検出状態を調べ、遊技球検出があると、その球検出信号が波形整形回路により波形整形されて主制御用中央制御装置CPUに入力され、その情報を記憶装置RAMに記憶する。ここで、下部球受皿8の奥に配設された満杯検知センサ38が盤面中継基板61を介して接続されており、下部球受皿8の満杯時には、満杯検知センサ38から主制御基板60へ満杯検知ON信号が送信される。また、主制御基板60の出力ポートには、盤面中継基板61を介して普通電動役物ソレノイドや特別電動役物ソレノイド等が接続されており、主制御用中央制御装置CPUが所定の条件を選出した場合に、これらに内蔵されたソレノイドやモータを作動させる。
【0040】
上記の演出制御基板62には、パチンコ遊技機1で実行される演出全般を制御するための基板回路が設けられる。この基板回路は、演出を制御処理する演出制御用中央制御装置CPUに、多岐にわたる演出態様に関する固定データが格納された記憶装置ROMと、必要なデータを読み書きできる記憶装置RAMと、入力ポート及び出力ポートとが接続されて構成されている。演出制御基板62の出力ポートには、演出画像表示器14を制御する画像制御基板65、スピーカを制御する音源制御基板66、及びLEDランプによる演出を制御する光源制御基板67が接続されている。そして、演出制御基板62は、主制御基板60からの制御信号が入力ポートに入力されると、演出制御用中央制御装置CPUにおいて演算処理し、該制御信号で指示された演出態様を実行するために、画像制御基板65、音源制御基板66、及び光源制御基板67へ向けて制御信号を送信する。
【0041】
上記の画像制御基板65には、演出画像表示器14で表示する演出画像を制御するための基板回路が設けられる。この基板回路は、演出画像の表示態様を制御処理する画像制御用中央制御装置CPUに、動作プログラムや画像データ等の固定データが格納されている記憶装置ROMと、描画領域等のデータを読み書きする領域が設けられた記憶装置RAMと、入力ポート及び出力ポートとが接続されて構成されている。画像制御基板65は、演出制御基板62から演出画像等の表示に係る信号を受信すると、画像制御用中央制御装置CPUにおいて演算処理し、所要の画像データを記憶装置RAMに書き込んで一画面分の画像データを作成し、出力ポートを介して演出画像表示器14に出力し、演出画像表示器14の表示画面に、出力した画像データに係る演出画像を表出させる。
【0042】
上記の音源制御基板66には、スピーカから発生する効果音等を制御するための基板回路が設けられる。この基板回路は、音響を制御する音源制御用中央制御装置CPUに、動作プログラムや音声データ等の固定データが格納されている記憶装置ROMと、必要なデータを読み書きする記憶装置RAMと、入力ポート及び出力ポートとが接続されて構成されている。音源制御基板66は、演出制御基板62から演出音声等の出力に係る信号を受信すると、所要の音声データを記憶装置RAMで展開・混合してスピーカ(図示せず)に送出し、スピーカから出力させる。
【0043】
上記の光源制御基板67には、遊技機本体3に配設された多数の演出用ランプを制御するための基板回路が設けられている。この基板回路は、演出用ランプの点灯、点滅等を制御する光源制御用中央制御装置CPUに、動作プログラムや、演出ランプを所定の発光態様に従って発光させるための発光パターン等の固定データが格納されている記憶装置ROMと、必要なデータを読み書きする記憶装置RAMと、入力ポート及び出力ポートとが接続されて構成されている。この光源制御基板67は、光源制御用中央制御装置CPUで、上記の演出制御基板62から入力ポートを介して入力された制御信号を演算処理し、出力ポートを介して、各種の演出用ランプを点灯、点滅させる。
【0044】
上記の図柄制御基板63には、特別図柄表示器15を制御するための基板回路が設けられている。この基板回路は、特別図柄表示器15のLEDの点灯、点滅等を制御する図柄制御用中央制御装置CPUに、動作プログラムや、LEDを所定の発光態様に従って発光させるための発光パターン等の固定データが格納されている記憶装置ROMと、必要なデータを読み書きする記憶装置RAMと、入力ポート及び出力ポートとが接続されて構成されている。この図柄制御基板63は、図柄制御用中央制御装置CPUで、上記の主制御基板60から入力ポートを介して入力された制御信号を演算処理し、所定の光データを、出力ポートを介して、特別図柄表示器15のLEDを発光作動するドライバを配した図柄作動基板に出力し、この図柄作動基板が、各装置のLEDを点灯、点滅させる。
【0045】
上記の払出制御基板64には、遊技球の払出しを制御するための基板回路が設けられている。この基板回路は、球払出装置37のソレノイドを作動して、賞球の払い出しを制御する払出制御用中央制御装置CPUに、動作プログラム、賞球の球数パターン等の固定データが格納されている記憶装置ROMと、球数カウントデータや未払球数等の必要なデータを読み書きする記憶装置RAMと、入力ポート及び出力ポートとが接続されて構成されている。この払出制御基板64は、主制御基板60から入力される払出要求信号を払出制御用中央制御装置CPUで演算処理し、出力ポートを介して球払出装置37のソレノイドを作動して、所定個数の賞球を払出す払出処理(
図5参照)を実行する。
【0046】
払出制御基板64の出力ポートには、発射制御基板68が接続される。発射制御基板68には、発射装置を制御するための基板回路が設けられている。この基板回路は、動作プログラム等が格納されている記憶装置ROMと、入出力信号等を一時的に記憶する記憶装置RAMと、入力ポート及び出力ポートとが接続されて構成されている。発射制御基板68の入力ポートには、発射ハンドル9に内蔵された回動角度検知センサから発射ハンドル9の現在角度に応じた電圧信号が入力される。発射制御基板68の出力ポートには発射装置が接続されており、発射制御基板68は、発射ハンドル9からの入力信号に応じた電圧強度で、発射装置に内蔵されたロータリーソレノイドを間欠的に駆動することで、発射ハンドル9の現在角度に応じた強さで遊技球を立て続けに打圧発射する。
【0047】
以上の制御回路にあって、本発明に係る払出制御手段は、主に、主制御基板60及び払出制御基板64によって実現される。また、本発明に係る演出制御手段は、主に、主制御基板60、演出制御基板62、画像制御基板65によって実現される。また、本発明に係る遊技制御手段は、主に、主制御基板60、演出制御基板62、図柄制御基板63、払出制御基板64によって実現される。
【0048】
次に、本実施例のパチンコ遊技機1の一連の遊技動作の態様について説明する。なお、本実施例のパチンコ遊技機1の基本的な作動は、既存のパチンコ遊技機と同様であるため詳細な説明は省略する。
【0049】
遊技盤10の遊技領域12に発射された遊技球が、普通電動役物20の始動口21へ流入すると、各種テーブルから乱数抽選が行われて特別図柄用の特別始動記憶が発生する(
図5の入賞検知処理参照)。そして、この特別始動記憶を消化することにより、特別図柄表示器15でLEDが点滅して特別図柄が変動開始し(
図7の特別図柄処理参照)、変動開始から所定時間経過すると、いずれかのLEDを点灯して特別図柄が変動停止して停止図柄態様を確定する。このように、特別始動記憶の消化によって特別図柄の変動開始から確定停止までの一連の図柄生成行程を実行する。ここで、特別図柄の停止図柄態様が当り停止図柄態様であると大当りとなり、後述の特別遊技作動を実行する。
【0050】
また、上記の図柄生成行程の実行に伴って、スピーカや演出用ランプが所定態様で作動すると共に、演出画像表示器14の表示画面で演出画像を表示する。例えば、特別図柄表示器15で特別図柄が変動表示されている間(図柄生成行程の実行中)は、演出画像表示器14の表示画面で特別図柄変動用(図柄生成行程用)の演出画像F2(
図10(d)参照)が表示され、時折リーチ演出画像や予告演出画像などが表示されることによって、遊技者の大当りへの期待感を盛り上げる。また、特別遊技作動中には大当り用の演出画像F1(
図10(a)参照)が演出画像表示器14に表示され、大当り遊技を盛り上げる。このように、図柄生成行程や特別遊技作動等を順次実行する一連の遊技動作に応じた演出画像F1,F2を、演出画像表示器14で表示するように制御している。ここで、本実施例では、この一連の遊技動作に応じて表示制御される演出画像F1,F2を、通常の演出画像と言い、この通常の演出画像によって一連の遊技動作が実行されていることを遊技者に報知して遊技を盛り上げる役割を有するものとなっている。また、演出画像の表示と並行して、演出用LED(図示省略)が発光・点滅する。さらに、これらと並行するように、スピーカから演出音声が逐次出力されることで、画像、光、音声などを組み合わせた盛大な演出が行われる。
【0051】
上記の特別始動記憶としては、記憶装置ROMに格納された特別図柄用の各種テーブルから夫々抽出した複数の乱数値によるデータ集合体から構成されており、始動口21に流入した遊技球を特別始動スイッチS1が検知することによって複数の乱数値が夫々抽出される(
図5の入賞検知処理参照)。特別始動記憶を構成する各乱数値は、上述したように、特別図柄の当落判定や停止態様、演出画像の変動・表示パターン等を決定するためのものであり、具体的には、当り又はハズレを判定するための大当り乱数値、当りとなる場合の停止図柄態様を決定するための大当り図柄乱数値等を含む。このような特別始動記憶を消化することにより、当該始動記憶の大当り乱数値を判定し、その判定結果に基づき、他の乱数値に従って停止図柄態様、演出態様、図柄生成行程の行程時間等を選定する処理(
図7中の変動演出態様選択処理)を行う。これに従って、特別図柄表示器15で特別図柄を変動開始すると共に前記変動演出態様選択処理で決定した前記行程時間を時間消化開始し、該行程時間の消化満了(タイムアップ)に伴って停止図柄態様で確定停止する。このような一連の図柄生成行程の実行に伴って、上述したように、該図柄生成行程に応じた演出画像F2が演出画像表示器14で表示される(
図10(d)参照)。この演出画像は、前記変動演出態様選択処理により決定された変動演出パターンに従って表示される。
【0052】
始動口21への入賞によって生成された特別始動記憶は、当該特別始動記憶の消化により図柄生成行程が開始されるまで、記憶装置RAMに設定された特別始動記憶領域に記憶保持される。そして、特別始動記憶領域に記憶保持されている特別始動記憶の個数である未消化数を、上記した特別始動記憶数表示装置17の点灯数によって報知している。尚、本実施例にあっては、未消化数の上限が4個となっており、未消化数が4個ある状態では新たな特別始動記憶を発生しない(
図5参照)。
【0053】
特別図柄表示器15で変動した特別図柄が当り停止図柄態様で確定停止すると、
図9の大入賞口処理に従って特別遊技作動を実行する。特別遊技作動は、大入賞口25が開閉する開放ラウンドを所定回数実行する作動であり、上述したように、特別図柄が当り停止図柄態様で停止して大当りとなることにより開始する。その後、所定回数の開放ラウンドを満了することにより当該特別遊技作動を満了する。ここで、一回の開放ラウンドは、大入賞口25の30秒間開放または9個の入賞のいずれか一方を満足することにより満了する。特別遊技作動では、この開放ラウンドを15回繰り返し実行する。このような特別遊技作動の実行状態では、大入賞口25へ100個以上の入賞が期待でき、遊技者は多量の賞球を獲得できる。さらに、特別遊技作動の実行に伴って、上述したように、該特別遊技作動に応じた演出画像F1が演出画像表示器14で表示される(
図10(a)参照)。
【0054】
このように、パチンコ遊技機1は、上記の主制御基板60等によって、遊技球の始動口21への入賞に基づいて、特別図柄表示器15で特別図柄を変動し、その停止図柄態様が当り態様である場合に大入賞口25を開閉する特別遊技作動を実行するという、一連の遊技動作を処理制御するものである。
【0055】
以下に、本発明の要部に係る構成について説明する。
【0056】
本実施例では、遊技球が始動口21などに入賞すると、通常は、入賞の種類に応じて予め設定されている規定数の遊技球が賞球として球受皿7,8に払い出される(
図5の入賞検知処理)。球払出装置37が送出する遊技球は、上述のように、上部球受皿7に優先的に払い出され、上部球受皿7が満杯となって遊技球が上部球受皿7に流入不能となると、下部球受皿8に払い出される(
図3参照)。そして、下部球受皿8も満杯となると、遊技球の払出しが停止する。
【0057】
下部球受皿8が遊技球で満杯となると、上記の満杯検知センサ38が、球払出口31の手前に滞留した遊技球を検知することにより、満杯検知ONして満杯検知ON信号を出力し、検知している間で該満杯検知ON信号の出力を継続する。ここで、満杯検知センサ38は、満杯により滞留する遊技球を検知しない状態では、満杯検知OFFを維持して、満杯検知ON信号を出力しない。すなわち、遊技球が満杯となると、満杯検知センサ38が満杯検知OFFから満杯検知ONとなることによって、満杯検知ON信号を出力していない状態(満杯フラグ=0)から満杯検知ON信号を出力する状態(満杯フラグ=1)となる(
図6の満杯処理参照)。
【0058】
満杯検知センサ38から出力した満杯検知ON信号は、上述したように主制御基板60に入力される。主制御基板60は、満杯検知ON信号を入力すると、
図6の満杯処理により満杯フラグ=1として、該満杯検知ON信号が継続している間で(満杯フラグ=1)、
図5の入賞検知処理により上記した各スイッチS1,S3,S4から球検出信号を入力する毎に、未払球数Nをカウントして記憶装置RAMに記憶し、払出制御基板64への払出要求信号(賞球コマンド)を出力しない。これにより、払出制御基板64は球払出装置37の駆動を停止する。すなわち、下部球受皿8が遊技球で満杯となると、賞球の払い出しを中断する。その後、前記満杯が解消されることにより満杯検知OFFとなると、満杯検知ON信号の入力が停止することから、
図6の満杯処理により満杯フラグ=0として、未払球数Nに従って未払いの賞球を払い出す未払い処理を実行する。この未払い処理では、未払球数Nに基づく払出要求信号を払出制御基板64へ出力し、払出制御基板64が、払出要求信号に従って球払出装置37を駆動して、未払球数Nによる数の賞球を払い出す。ここで、本発明に係る未払い制御処理が、入賞検知処理、満杯処理(および未払い処理)により実現される。
【0059】
一方、主制御基板60が満杯検知ON信号を入力すると、特別遊技作動の実行中であるか否かを確認し、特別遊技作動の実行中であれば当該特別遊技作動の満了後に擬似中断演出画像G(
図10(b))と擬似再開演出画像H(
図10(c))とを順次表示するための処理を行う。この処理を備えた構成として、以下の実施例1〜3に従って具体的に説明する。
【実施例1】
【0060】
実施例1の構成としては、特別遊技作動中に下部球受皿8が満杯となっても、当該特別遊技作動と通常の演出画像F1(
図10(a))とを継続し、特別遊技作動が満了すると、擬似中断演出画像G(
図10(b))を表出し、満杯解消すると、擬似再開演出画像H(
図10(c))を介して通常の演出画像F2(
図10(d))を表示するものである。そして、特別遊技作動の満了後も、未消化の特別始動記憶を消化して図柄生成行程を実行するように、遊技動作を継続する。
【0061】
満杯検知OFFから満杯検知ONとなることにより満杯検知ON信号を主制御基板60が入力すると、
図6の満杯処理により、満杯フラグ=1として、特別遊技作動の実行中(特別遊技フラグ=1)であるか否かを確認し、特別遊技フラグ=1であれば特別満了フラグ=1とする。そして、特別遊技作動の実行中に満杯フラグ=1となっても、実行中の特別遊技作動を継続して実行制御すると共に、
図10(a)のように該特別遊技作動に応じて演出画像表示器14で表示している演出画像F1も継続して表示制御する。そのため、主制御基板60は、満杯フラグ=1となっても、特別遊技フラグ=1であれば、特別遊技作動に応じて表示されている演出画像F1を変更するような信号を、演出制御基板62へ送信しない。
【0062】
このように、特別遊技作動の実行中に下部球受皿8が満杯となっても、該特別遊技作動を継続することから、大入賞口25への入賞をカウントし、満杯フラグ=1に従って未払球数Nとしてカウントして記憶する。このため、新たな賞球が発生しない(
図5参照)。
【0063】
満杯フラグ=1は、満杯検知ON信号の入力が継続している間、継続する。そして、特別遊技作動が満了して特別遊技フラグ=0となると(
図9参照)、
図6の満杯処理により、満杯フラグ=1であることから擬似中断フラグ=1として擬似中断演出処理を実行する。この擬似中断演出処理では、擬似中断演出画像Gの表示を指示する信号が主制御基板60から演出制御基板62へ送信され、演出制御基板62は画像制御基板65を介して、予め設定されている擬似中断演出画像データに基づいて、一画面分の演出画像データを作成し、当該演出画像データに係る擬似中断演出画像Gを演出画像表示器14の表示画面に表出させる。ここで、擬似中断演出画像Gとして、
図10(b)のように「球受皿が満杯です!/遊技を中断しますので球を排出してください!」という画像を、演出画像表示器14の表示画面に大きく表示させる。このように擬似中断演出画像Gは、あたかも遊技動作が中断したと見せかけるような画像であることから、遊技者に遊技が中断したと思い込ませることができ、遊技者は余裕を持って球抜レバー34を操作して満杯解消することができる。
【0064】
尚、本実施例1では、特別遊技作動が満了すると、擬似中断演出画像Gを表示する擬似中断演出処理を実行することから、満杯フラグ=1の状態で特別遊技作動が満了する時点が、本発明に係る擬似中断タイミングとして設定されている。
【0065】
また、上記のように特別遊技作動の満了により特別遊技フラグ=0となると、
図7の特別図柄処理が実行される。この特別図柄処理により、特別始動記憶を記憶している場合には、未消化の特別始動記憶を消化して図柄生成行程を実行する。これにより、特別図柄表示器15ではLEDが点滅して特別図柄が変動する。しかし、図柄生成行程が実行されても、満杯フラグ=1(および擬似中断フラグ=1)であることから、変動演出態様選定処理により選定した変動演出パターンを記憶して、該変動演出パターンによる演出画像F2を演出画像表示器14で表示しない。すなわち、擬似中断フラグ=1の場合には、図柄生成行程に応じた演出画像F2よりも上記の擬似中断演出画像Gを優先して、演出画像表示器14で表示する(
図10(b)参照)。
【0066】
このように擬似中断演出画像Gを表示している状態で、遊技者による球抜レバー34(
図1参照)の操作によって満杯解消されると、満杯検知センサ38が、満杯検知ONを継続した状態から、満杯検知OFFとなる。これにより、満杯検知ON信号の入力が無くなることから、
図6の満杯処理により、満杯フラグ=0、擬似中断フラグ=0、および擬似再開フラグ=1として、擬似演出変遷処理を実行する。この擬似演出変遷処理では、擬似中断フラグ=0により擬似中断演出画像Gの表示中止を指示する信号と、擬似再開フラグ=1により擬似再開演出画像Hの表示を指示する信号とが、主制御基板60から演出制御基板62へ送信される。これに伴って、演出制御基板62は画像制御基板65を介して、演出画像表示器14で表示している擬似中断演出画像Gを消して表示中止すると共に、上記の特別図柄処理により時間消化している行程時間の残り時間に基づいて、擬似再開演出画像データを作成し、該擬似再開演出画像データに係る擬似再開演出画像Hを演出画像表示器14の表示画面に表出させる(
図10(c)参照)。ここで、擬似再開演出画像Hとしては、特別図柄の変動開始から停止までの一連の図柄生成行程があたかも実行されるように見せかけるためのものとしており、正規の図柄生成行程に応じた演出画像を擬似的に表示するものとなっている。そのため、
図10(c)のように、擬似再開演出画像Hが表示されていれば、図柄生成行程が実行されていることを遊技者に思い込ませることができる。ここで、擬似再開演出画像Hは、正規の図柄生成行程に応じた演出画像と見た目では区別できないようなものとしており(
図10(d)参照)、記憶した変動演出パターンに従って擬似再開演出画像データを作成している。そして、擬似再開演出画像Hにより、特別図柄の停止図柄態様に応じた演出用の停止図柄を表示するようにしている。さらに、この擬似再開演出画像Hは、前記のように行程時間の残り時間に基づいて作成されたデータによるものであることから、その表示時間が行程時間よりも短く、該表示時間の満了が正規で実行している図柄生成行程も満了とほぼ同期して生じる。
【0067】
この擬似再開演出画像Hを表示満了すると、上記の行程時間(および表示時間)が経過することから、擬似再開フラグ=0とし、擬似再開演出画像Hを消して通常の演出画像F2(
図10(d)参照)を復帰表示する演出画像復帰処理を行う。この演出画像復帰処理では、主制御基板60から演出制御基板62へ通常の演出画像F2を表示を指示する信号が送信され、これに伴って遊技動作に応じた通常の演出画像F2を表示するように処理する。尚、擬似再開演出画像Hは、上記のように、図柄生成行程の満了と同期して表示中止することから、該図柄生成行程の満了というキリの良いところで通常の演出画像F2へ変遷する。そのため、この変遷が比較的スムーズに行われ、演出画像表示器14を注視している遊技者であっても違和感を生じ難い。ここで、通常の演出画像F2としては、例えば、
図10(d)のように、未消化の特別始動記憶を消化して実行する図柄生成行程に応じた演出画像F2となる。
【0068】
また、本実施例1にあっては、満杯フラグ=1の状態で特別遊技作動が満了すると、ハズレ確定する特別始動記憶を優先して消化するように処理している。この処理としては、
図8の先読み処理により、最先に消化される未消化の特別始動記憶を読み込んで、その大当り乱数値を当落判定し、ハズレ判定した場合には
図7の特別図柄処理により当該特別始動記憶を消化する。一方、前記先読み処理では、当り判定すると、次に消化される未消化の特別始動記憶を読み込んで当落判定し、ハズレ判定であれば、前記のように当該特別始動記憶を消化する。このように先読み処理により、未消化の特別始動記憶を消化する順番に従って消化前に順に読み込んで当落判定し、ハズレ判定であればこの特別始動記憶を有効として特別図柄処理により消化し、当り判定であれば次の特別始動記憶を当落判定する。こうして、未消化の特別始動記憶を消化前に先読み判定し、ハズレ判定した特別始動記憶を優先的に消化するようにしている。これにより、擬似中断演出画像Gの表示中に、当り確定する図柄生成行程が実行されることを可及的に抑制している。ここで、当り確定する図柄生成行程では、リーチ演出等の遊技を盛り上げる演出画像が表示されて、遊技者の期待感を昂揚させる効果が著しく高いこと、および当り確定は遊技者が最も求めているものであることから、この図柄生成行程の演出画像F2を表示しなければ、遊技の興趣性を低減してしまう虞がある。そのため、ハズレ判定した特別始動記憶を優先消化して、前記興趣性の低減を抑制している。
【0069】
尚、この先読み処理では、未消化の特別始動記憶が一個であった場合や、未消化の特別始動記憶を全て当り判定した場合には、ハズレ判定する特別始動記憶を優先できないことから、最先に消化される未消化の特別始動記憶により図柄生成行程が実行される。但し、特別遊技作動の満了後では、通常、未消化の特別始動記憶が上限の個数まで記憶されていること、および当り確定する特別始動記憶に比してハズレ確定する特別始動記憶が多く発生することから、前記のような状態は極めて稀であり、ほとんどの場合でハズレ確定する特別始動記憶を優先して消化できる。
【0070】
いずれにせよ、本実施例の構成では、下部球受皿8が満杯となっても、特別遊技作動を継続し、未消化の特別始動記憶を消化し、賞球を発生し(未払球数Nにカウント)、遊技球を発射可能であることから、一連の遊技動作は継続する。そのため、下部球受皿8の満杯によって、遊技に要する時間がロスしてしまうこともなく、該時間的なロスによって生ずる遊技者の不利益を生じない。
【0071】
また、本実施例にあっては、特別遊技作動を実行していない状態(特別遊技フラグ=0)で、下部球受皿8が満杯となると、
図6の満杯処理の満杯エラー報知処理により、図示しない満杯エラー画像を演出画像表示器14で表示する。満杯エラー報知処理では、主制御基板60から演出制御基板62へ信号が送信されて、該演出制御基板62が画像制御基板65を介して、画像データを作成して「球受皿が満杯です!/球を排出して下さい!」という満杯エラー画像(図示せず)を、遊技動作に応じた演出画像に加えて表示する。その後、満杯解消されると、満杯エラー報知満了処理により、満杯エラー画像を消して、遊技動作に応じて通常の演出画像を表示する。尚、特別遊技作動を実行していない状態では、遊技動作を継続すると共に、満杯エラー画像による報知を行う。
【0072】
上述したように、本実施例1の構成によれば、特別遊技作動の実行中に下部球受皿8が満杯となると、当該特別遊技作動の満了後に擬似中断演出画像Gを演出画像表示器14で表出し、あたかも満杯解消するために遊技中断したように遊技者に見せかけることができる。これにより、遊技者は、実際は継続している遊技動作を気にすることなく、満杯を解消するための操作(球抜レバー34の操作)に集中でき、該操作を余裕を持って行うことができる。その後、満杯解消すると、満杯開始から解消までに発生した賞球を払い出すことから、遊技者の利益が確実に担保される。さらに、満杯解消に伴って、擬似再開演出画像Hを介して通常の演出画像F2へ復帰するようにしていることから、継続している遊技動作に従うように遊技の進行を再開し易く、かつ前記した見かけ上の遊技中断を実現したものと一層思い込ませ易い。したがって、満杯発生による操作ミス等の不利益が発生することを抑制できると共に、満杯解消後に、遊技者は遊技進行に集中できるため、遊技を十分に満喫できる。また、特別遊技作動の実行中に下部球受皿8が満杯となっても、当該特別遊技作動が継続し且つ該特別遊技作動に応じた演出画像F1も継続することから、遊技者は満杯であることを気にすることなく、特別遊技作動を満喫できる。
【0073】
尚、本実施例の構成にあって、
図6の満杯処理(擬似中断画像演出処理、擬似中断演出画像中止処理)により、本発明に係る擬似演出処理を実現できる。また、本発明に係る通常の演出画像として、特別遊技作動に応じた演出画像F1と図柄生成行程に応じた演出画像F2を備えている。また、
図8の先読み処理により、本発明に係る先読み処理を実現できると共に、
図7の特別図柄処理および
図8の先読み処理により、本発明に係る優先消化処理を実現できる。
【実施例2】
【0074】
実施例2の構成は、特別遊技作動の実行中に下部球受皿8が満杯となると、当該特別遊技作動の満了後に最初に実行される図柄生成行程の行程時間を延長し、擬似再開演出画像Hと最初の図柄生成行程とが同期して満了するようにしたものである。尚、図柄生成行程の行程時間を延長する処理以外は、上記した実施例1と同様であるため、重複した説明は省略している。
【0075】
図11の満杯処理により、特別遊技フラグ=1で満杯フラグ=1の状態で、特別遊戯フラグ=0となると、擬似中断フラグ=1として演出画像表示器14で擬似中断演出画像Gを表出すると共に、特別図柄処理により未消化の特別始動記憶を消化して特別図柄の図柄生成行程を実行する。ここで、
図12の特別図柄処理により、満杯フラグ=1であることから、延長フラグ=1として、延長変動演出態様選定処理を実行する。この延長変動演出態様選定処理により、消化した特別始動記憶を構成する各乱数値により定められる行程時間よりも長い延長行程時間を決定し、該延長行程時間に従って延長変動演出パターンを選定する。延長行程時間としては、特別始動記憶の乱数値により本来定まる行程時間よりも長い時間であり、例えば、該行程時間の1.5倍や2倍等のように設定しても良いし、行程時間に30秒や1分間等を加算して時間延長するように設定しても良い。こうして、特別図柄の図柄生成行程が延長行程時間により実行されることから、当該最初の図柄生成行程の実行中に球抜操作するための時間に余裕を持たせることができる。さらに、前記の延長フラグ=1は、
図11の満杯処理により満杯解消するまで継続する。そのため、
図12の特別図柄処理では、延長行程時間が経過した場合に延長フラグ=1であると、行程時間再設定処理を実行する。これは、最初の図柄生成行程の実行中に満杯解消されない場合に、さらに行程時間を延長するように延長行程時間を再設定するために行う。こうして、最初の図柄生成行程の実行中に満杯解消されるように、該図柄生成行程の行程時間を延長するようにしている。
【0076】
そして、
図11の満杯処理により満杯解消により満杯フラグ=0となると、上述した実施例1と同様に、擬似演出変遷処理により擬似再開演出画像Hを表示する。この擬似演出変遷処理では、時間消化している延長行程時間の残り時間に基づいて擬似再開演出画像データを作成して、擬似再開演出画像Hを演出画像表示器14で表示する。その後、延長行程時間の経過に伴って特別図柄の停止図柄態様が確定し、これと同期して擬似再開演出画像Hが表示中止する。これ以降では、遊技動作に応じた通常の演出画像が演出画像表示器14で表示される。
【0077】
このように、本実施例2の構成によれば、下部球受皿8が満杯となった特別遊技作動の満了後の最初の図柄生成行程を延長して実行し、該最初の図柄生成行程の満了までに満杯解消し且つ該満了後には遊技動作に応じた演出画像を表示するようにしている。そのため、擬似中断演出画像Gと擬似再開演出画像Hとを表示している期間には、最初の図柄生成行程が実行されるのみである。そして、擬似再開演出画像Hから通常の演出画像F2への変遷が、図柄生成行程の満了というキリの良い時点で行われるため、一層スムーズに画像変遷でき、遊技者に違和感を一層生じさせ難い。本実施例2は、該図柄生成行程の満了までに擬似中断演出画像Gと擬似再開演出画像Hとが最初の図柄生成行程の満了により表示中止するように、最初の図柄生成行程の行程時間を延長する処理以外は、上述した実施例1と同じであることから、該実施例1と同様の作用効果を奏する。
【0078】
一方、上述した実施例1,2の別例として、擬似中断タイミングを、特別遊技作動の満了から最初の図柄生成行程の満了までの間で設定した構成が提案される。例えば、実施例1の構成にあって、特別遊技作動の満了から所定時間経過した時点を擬似中断タイミングとして設定しても良い。この場合には、
図13の満杯処理のように、特別遊技作動の満了後に最初の図柄生成行程を実行している間で、擬似中断タイミングとなると、擬似中断演出画像処理によって擬似中断演出画像Gを演出画像表示器14で表出する。すなわち、特別遊技作動の実行中に下部球受皿8が満杯となった後に当該特別遊技作動を満了すると、予め設定された擬似時間を時間消化開始し、該擬似時間が経過すると、擬似中断フラグ=1として擬似中断演出処理を実行する。これにより、特別遊技作動の満了後に実行されている最初の図柄生成行程に応じた演出画像を表示中止して、擬似中断演出画像Gを優先表示する。その後、満杯解消されると、擬似中断演出画像中止処理により、擬似中断演出画像Gを表示中止して演出画像を復帰表示する。この構成では、擬似中断タイミングを、特別遊技作動の満了後に所定の擬似時間(例えば、5秒)経過した時点として設定している。かかる構成にあっても、上述した実施例1と同様の作用効果を奏し得る。尚、実施例2にあっても、同様に、特別遊技作動の満了から所定時間経過した時点を擬似中断タイミングとして設定することもできる。
【0079】
本発明にあっては、上述した実施例に限定されるものではなく、上述の実施例以外の構成についても本発明の趣旨の範囲内で適宜変更して実施可能である。