(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5689091
(24)【登録日】2015年2月6日
(45)【発行日】2015年3月25日
(54)【発明の名称】面実装マルチフェーズインダクタの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01F 41/04 20060101AFI20150305BHJP
H01F 41/02 20060101ALI20150305BHJP
H01F 37/00 20060101ALI20150305BHJP
【FI】
H01F41/04 B
H01F41/02 D
H01F37/00 A
H01F37/00 C
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-79239(P2012-79239)
(22)【出願日】2012年3月30日
(65)【公開番号】特開2013-211330(P2013-211330A)
(43)【公開日】2013年10月10日
【審査請求日】2013年6月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003089
【氏名又は名称】東光株式会社
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 公一
(72)【発明者】
【氏名】宗内 敬太
【審査官】
久保田 昌晴
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−245473(JP,A)
【文献】
特開平04−257208(JP,A)
【文献】
特開2006−100738(JP,A)
【文献】
特開平08−148367(JP,A)
【文献】
特開平08−306570(JP,A)
【文献】
特開2004−186550(JP,A)
【文献】
特開2004−221458(JP,A)
【文献】
国際公開第2004/019352(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 17/00−19/08、27/24−27/32、
H01F 30/00−38/12、38/16、38/42、
H01F 41/00−41/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成型金型を用いて主に樹脂と磁性粉末とからなる封止材で複数のコイルを封止した面実装マルチフェーズインダクタの製造方法において、
導線を両端部が外周に位置する様に巻回して形成された空芯コイルを、該封止材を平板形状の周縁部に柱状凸部を有する形状に予備成形して形成されたタブレットに載置し、該空芯コイルの引き出し端部を該タブレットの柱状凸部の外側側面に沿わせる工程と、
該空芯コイルが載置されたタブレットを、該成型金型内の1つのキャビティに対して複数組、対を構成する空芯コイルの引き出し端部が互いに反対方向に延在し、かつ、それぞれの空芯コイルの引き出し端部が該タブレットの柱状凸部の外側側面と該キャビティの内壁面との間に挟まれる様に配置する工程と、
該空芯コイルの引き出し端部が該タブレットの柱状凸部の外側側面と該キャビティの内壁面との間に挟まれた状態で複数の空芯コイルと該封止材を樹脂成形法もしくは圧粉成形法を用いて一体化させて複数の空芯コイルを内蔵するコア部を形成する工程と、
該コア部の表面に該空芯コイルの引き出し部の少なくとも一部が露出する部分と接続する外部電極を該コア部の表面または外周に設ける工程を有することを特徴とする面実装マルチフェーズインダクタの製造方法。
【請求項2】
成型金型を用いて主に樹脂と磁性粉末とからなる封止材で複数のコイルを封止した面実装マルチフェーズインダクタの製造方法において、
導線を両端部が外周に位置する様に巻回して形成された空芯コイルを、該封止材を平板形状の周縁部に柱状凸部を有する形状に予備成形して形成されたタブレットに載置し、該空芯コイルの引き出し端部を該タブレットの柱状凸部の外側側面に沿わせる工程と、
該空芯コイルが載置されたタブレットを、内壁に凸部が設けられた成型金型内の1つのキャビティに対して複数、互いの間に該内壁の凸部が位置し、かつ、それぞれのコイルの引き出し端部が該タブレットの柱状凸部の外側側面と該キャビティの内壁面との間に挟まれる様に配置する工程と、
該空芯コイルの引き出し端部が該タブレットの柱状凸部の外側側面と該キャビティの内壁面との間に挟まれた状態で複数の空芯コイルと該封止材を樹脂成形法もしくは圧粉成形法を用いて一体化させて複数の空芯コイルを内蔵し、少なくとも1つ以上の側面に凹部が設けられたコア部を形成する工程と、
該コア部の表面に該空芯コイルの両端部の少なくとも一部が露出する部分と接続する外部電極を該コア部の表面または外周に設ける工程を有することを特徴とする面実装マルチフェーズインダクタの製造方法。
【請求項3】
前記封止材において、
前記磁性粉末が金属磁性粉末からなり、封止材の透磁率が10〜30となるように前記封止材を調製した請求項1または請求項2に記載の面実装マルチフェーズインダクタの製造方法。
【請求項4】
前記外部電極を形成する工程において、
該外部電極に導電性ペーストを用いた請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の面実装マルチフェーズインダクタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は面実装マルチフェーズインダクタの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタル機器等の小型・薄型化に伴う高密度実装化が進んでおり、電子部品の小型化や低背化への要求が強まっている。そこで出願人は、先に出願した特許文献1において、平角導線をその端部の両方が外周に引き出されるように渦巻き状に巻回したコイルと予備成形されたタブレットを用いた小型の面実装インダクタとその製造方法を提案した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−245473
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
回路基板上に同特性のインダクタが複数個並列に実装できるような回路パターンになっている場合、単品を複数個実装するよりも複数個が1パッケージに内設される方が実装効率を高めることができる。そのため、複数個のインダクタが1パッケージ化された面実装マルチフェーズインダクタが求められている。
【0005】
そこで本発明では、面実装マルチフェーズインダクタの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の面実装マルチフェーズインダクタの製造方法は、成型金型を用いて主に樹脂と磁性粉末とからなる封止材で複数のコイルを封止し、以下の工程を有する。
(1)封止材を平板形状の周縁部に柱状凸部を有する形状に予備成形して複数のタブレットを形成する
(2)導線を巻回してコイルを形成する
(3)タブレットにコイルを載置し、コイルの両端部をタブレットの柱状凸部の外側側面に沿わせたものを成型金型内の1つのキャビティに対して複数配置する
(4)コイルの両端部がタブレットの柱状凸部の外側側面とキャビティの内壁面との間に挟まれた状態でコイルと封止材を樹脂成形法もしくは圧粉成形法を用いて一体化させてコア部を形成する
(5)コア部の表面にコイルの両端部の少なくとも一部が露出する部分と接続する外部電極をコア部の表面または外周に設ける
【発明の効果】
【0007】
本発明の面実装マルチフェーズインダクタの製造方法は、回路基板上の高密度実装を実現することができる。
【0008】
本発明の面実装マルチフェーズインダクタの製造方法では、タブレットを用いてそれぞれのコイルおよびその端部の位置だしが容易となる。そのため、コイルおよびその端部の位置ズレを防止する。そして、コイルとそれに対応するタブレットを複数用いることによって、コイルの巻回方向や個数、配置などの設計変更に柔軟に対応することができる。
【0009】
封止材として主に金属磁性粉末と樹脂を用い、その透磁率を10〜30となるように調製した封止材でタブレットを作製した場合には、コイル間の結合係数を0.1以下とした面実装マルチフェーズインダクタを作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】本発明の実施例で用いるコイルとタブレットと板状タブレットの配置を示す斜視図・
【
図3】本発明の第1の実施例のコイルとタブレットの成形金型での配置を示す上面図。
【
図4】本発明の第1の実施例の面実装マルチフェーズインダクタの製造工程の一部を示す
図3のA−B−C−D組合せ断面に対応する断面図。
【
図5】本発明の第1の実施例の面実装マルチフェーズインダクタの製造工程の一部を示す
図3のA−B−C−D組合せ断面に対応する断面図。
【
図6】本発明の第1の実施例の面実装マルチフェーズインダクタの製造工程の一部を示す
図3のA−B−C−D組合せ断面に対応する断面図。
【
図7】本発明の第1の実施例のコア部の構造を示す斜視図。
【
図8】本発明の第1の実施例の面実装マルチフェーズインダクタの斜視図。
【
図9】本発明の第1の実施例におけるその他の電極構成を有する面実装マルチフェーズインダクタの斜視図。
【
図10】本発明の第2の実施例のコイルとタブレットの成型金型での配置を示す上面図。
【
図11】本発明の第2の実施例のコア部の構造を示す斜視図。
【
図12】本発明の第2の実施例の面実装マルチフェーズインダクタの斜視図。
【
図13】本発明のその他の実施例の面実装マルチフェーズインダクタの構造を示す斜視図。
【
図14】本発明のその他の実施例の面実装マルチフェーズインダクタの構造を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、図面を参照しながら本発明の面実装マルチフェーズインダクタの製造方法について説明する。
【0012】
(第1の実施例)
図1〜
図9を参照しながら、本発明の第1の実施例の面実装マルチフェーズインダクタの製造方法について説明する。まず、本発明の実施例で用いるコイルについて説明する。
図1に本発明の実施例で用いるコイルの斜視図を示す。
図1に示すように、平角線を両端部1bが最外周となるように2段の外外巻きに巻回して巻回部1aを形成してコイル1を得る。端部1bは巻回部1aを挟んで対向するように引き出されるようにした。
【0013】
次に、本発明の実施例で用いる封止材について説明する。本実施例では封止材として、鉄系金属磁性粉末とエポキシ樹脂とを混合して粉末状に造粒したものを用いる。本実施例では封止材の透磁率が25となるように鉄系金属磁性粉末の充填量を調整した。この封止材を用いてタブレットを作成する。
図2に第1の実施例のコイルとタブレットと板状タブレットの配置関係を示す。タブレット2と板状タブレット3は加圧成型で作成する。本実施例ではタブレット2の強度を高めるために、さらに熱処理をして封止材を半硬化状態とした。
図2に示すように、タブレット2はコイル1を囲うように平面部の周縁に2つの柱状凸部2aを有する形状に形成する。コイル1の両端部1bは柱状凸部2aの外側側面に沿うように配置する。
【0014】
次に、第1の実施例の製造方法のコイルとタブレットを成型金型へ配置する工程を説明する。
図3と
図4に成型金型におけるコイルとタブレットの配置について示す。なお、
図4は
図3のA−B−C−D組み合わせ断面に対応する断面図である。
図3と
図4に示すように、第1の実施例では割型ダイ4aと割型ダイ4bとからなるダイ4と、下型6とを有する成型金型を用いる。ダイ4と下型6とを組み合わせることによってキャビティ5が形成される。キャビティ5にコイル1が配置されたタブレット2を2つを装填する。このようにコイル1とタブレット2を配置すれば、コイル1はタブレット2の平面部の厚みによって成型金型内で適正な高さに配置される。そして、コイル1の端部1bは、タブレット2の柱状凸部2aと割型ダイ4aの内壁面もしくはタブレット2の柱状凸部2aと割型ダイ4bの内壁面とで挟まれた状態となり、コイル1の両端部1bが適正な位置で固定される。
【0015】
次に、第1の実施例の製造方法のコア部を形成する工程を説明する。
図5と
図6に第1の実施例の製造方法のコア部の成形工程を説明する断面図を示す。なお、
図5と
図6の断面は
図3のA−B−C−D組み合わせ断面に対応する。
図5に示すように、コイル1とタブレット2の上に板状タブレット3を2つ配置し、その上にパンチ7をセットして、成型金型を予熱する。本実施例では成型金型を封止材の軟化温度以上に予熱しており、タブレット2と板状タブレット3は軟化状態となるようにした。
【0016】
次に、サンドブラスト処理を行いバリ取りと露出する両端部1bの被膜を除去し、磁性体コア8の4隅に導電性ペーストをディップ法で被覆し硬化させる。これにより導電性ペーストと内部のコイル1は導通する。最後に、めっき処理を行い導電性ペーストの表面上に外部電極9を形成し、
図8に示すような面実装マルチフェーズインダクタを得る。なお、めっき処理によって形成される電極は、Ni、Sn、Cu、Au、Pdなどから1つもしくは複数を適宜選択して形成すれば良い。また、印刷法を用いて導電性ペーストを転写塗布させて、
図9に示すようなL字状に外部電極9を形成してもよい。
【0017】
第1の実施例で作成した面実装マルチフェーズインダクタのコイル間の磁気結合係数を求めたところ0.03であり、コイル間の結合は認められなかった。そして、第1の実施例では2つのコイル1を点対称となるように配置した。そのように配置することで、左右の方向性のない構造となる。
【0018】
(第2の実施例)
図10〜
図12を参照しながら、本発明の面実装マルチフェーズインダクタの第2実施例を説明する。第2の実施例では、第1の実施例と同一構成のコイルと、封止材およびタブレットと、同様の成形金型を用いてコイルを3つ内包した面実装マルチフェーズインダクタを作成する。なお、第1実施例と重複する部分の説明は割愛する。
【0019】
図10に成型金型におけるコイルとタブレットの配置について示す。第2の実施例では第1の実施例と同様に割型ダイ11と割型ダイ12とからなるダイと、下型と、パンチを有する成型金型を用いる。ダイと下型を組み合わせることによってキャビティ13が形成される。第1の実施例と異なる点は、
図10に示すように割型ダイ11に凸部11aと割型ダイ12に凸部12aがそれぞれ2つずつ設けられている。キャビティ13にコイル1が配置されたタブレット2を3つを装填する。このとき、ダイの凸部11a、12aが隣り合うタブレット2同士の間になるようにタブレット2とコイルを配置する。このようにすると、凸部11a、12aによって複数のタブレット2の位置だし精度が向上するという効果を奏する。なお、本実施例では3つのコイルは同方向に並列するように配置した。
【0020】
次に、キャビティ13に秤量した封止材をさらに充填し、型締めした後パンチを用いて圧粉成形し、硬化して
図11に示すコア部14を得た。
図11に示すように、凸部11a、12aによって、コア部14のコイルの端部1bが露出する側面は凹部14aが2つずつ形成された状態となる。
【0021】
次に、サンドブラスト処理を行いバリ取りと露出する両端部1bの被膜を除去し、磁性体コア14に転写印刷法を用いて内部のコイル1と導通するように導電性ペーストを塗布し、硬化させる。さらに、めっき処理して外部電極15を形成して
図12に示すような面実装マルチフェーズインダクタを得る。
図12に示すように、コア部14の凹部14aによって容易に分割された外部電極15を形成することができる。これによって、内部のコイルはそれぞれに対応した外部電極を有する構成となる。本実施例では成形金型に凸部を設けてコア部の凹部を作成したが、コア部を切除するような加工を行って形成しても良い。
【0022】
第2の実施例で作成した面実装マルチフェーズインダクタのコイル間の磁気結合係数を求めたところ0.03であり、コイル間の結合は認められなかった。なお、本実施例ではコイルを3つ内包する面実装インダクタを作成したが、2つあるいは4つ以上であってもよく、適宜凹部の数を増減させればよい。
【0023】
(その他の実施例)
図13と
図14を参照しながらその他の実施例について説明する。
図13と
図14は1つの入力電極と複数の出力電極を有する構成の面実装マルチフェーズインダクタの斜視図を示す。1つの入力電極と複数の出力電極を有する面実装マルチフェーズインダクタを実現させるため、
図13に示すように、コア部22の一方の側面だけに任意の数の凹部22aを設けて、1つの入力電極23と複数の出力電極24を有する構成にする。もしくは、
図14に示すように、コイル31の端部を隣り合うようにコア部32に露出させ、隣り合うように露出するコイル31の端部の両方と導通するように電極を形成して入力電極33を形成し、他方のコイルの31の端部と導通するようにそれぞれ出力電極34を形成する。
【0024】
上記実施例では、封止材として磁性粉末に鉄系金属磁性粉末、樹脂にエポキシ樹脂を混合し、透磁率が25となるように調製したものを用いた。しかしながら、これに限らず例えば、磁性粉末としてフェライト系磁性粉末などや、絶縁皮膜形成や表面酸化などの表面改質を行った磁性粉末を用いても良い。また、ガラス粉末などの無機物を加えても良い。そして、樹脂としてポリイミド樹脂やフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂やポリエチレン樹脂やポリアミド樹脂などの熱可塑性樹脂を用いても良い。
【0025】
上記実施例では、コイルとして2段の渦巻き状に巻回したものを用いたが、これに限らず例えば、エッジワイズ巻きや整列巻きに巻回したものや、楕円形だけでなく円形や矩形や台形、半円状、それらを組み合わせた形状に巻回したものでもよい。
【0026】
上記実施例では、導電性ペーストの塗布方法について、転写法、ディップ法、ポッティング法など最適な方法を適宜選択すれば良い。
【0027】
上記実施例では、コイルの端部表面の皮膜を剥離する方法としてサンドブラスト処理を用いたが、これに限らず他の機械剥離等の方法を用いても可能である。また、コアを形成する前に予め端部の皮膜を剥離してもよい。
【0028】
第1の実施例において、板状タブレットを用いたが、板状に限ることなくT型やE型などの形状に予備成形しても良い。また、未硬化状態ではなく半硬化状態でも良い。そして、その成形方法も加圧成形法やシート状成形物から切り出すなど用途に合わせて適宜選択すれば良い。
【符号の説明】
【0029】
1:コイル(1a:巻回部、1b:端部)
2:タブレット
3:板状タブレット
4:ダイ(4a、4b:割型ダイ)
5:キャビティ
6:下型
7:パンチ
8:コア部
9:外部電極
11、12:割型ダイ(11a、12a:凸部)
13:キャビティ
14:コア部
14a:凹部
15:外部電極
21、31:コイル
22、32:コア部
22a:凹部
23、33:入力電極
24、34:出力電極