(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5689097
(24)【登録日】2015年2月6日
(45)【発行日】2015年3月25日
(54)【発明の名称】端子台
(51)【国際特許分類】
H01R 9/28 20060101AFI20150305BHJP
【FI】
H01R9/28
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-183723(P2012-183723)
(22)【出願日】2012年8月23日
(65)【公開番号】特開2014-41771(P2014-41771A)
(43)【公開日】2014年3月6日
【審査請求日】2014年4月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】512219404
【氏名又は名称】飯田電機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067758
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 綾雄
(72)【発明者】
【氏名】田辺 照夫
【審査官】
片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭54−118683(JP,U)
【文献】
実開平03−007265(JP,U)
【文献】
実開昭49−092490(JP,U)
【文献】
実開昭63−187279(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3179461(JP,U)
【文献】
特開2000−123891(JP,A)
【文献】
特開2000−341806(JP,A)
【文献】
特開2006−196407(JP,A)
【文献】
特開2009−212025(JP,A)
【文献】
特開2010−022080(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁ボード(40)の幅広側の一方の面側に、端子受け面と該端子受け面から突出するねじとからなる端子結合部を複数設けた端子台であって、前記絶縁ボード(40)の幅広側の一方の面に電極板(68)を配置し、前記各ねじを、前記絶縁ボード(40)と電極板(68)に垂直方向に貫通配置し、各ねじの端部を前記絶縁ボード(40)の他方の面側に係止し、軸方向の両端部に平坦面を有する端子受け用電極ナット(50)(52)(54)(56)を前記各ねじに螺合し、各端子受け用電極ナット(50)(52)(54)(56)の一方の平坦面を前記電極板(68)の平坦面に面接触させ、各端子受け用電極ナット(50)(52)(54)(56)の他方の平坦面を前記端子受け面とし、前記端子台に、各ねじ(42)(44)(46)(48)の前記絶縁ボード(40)に対する回転を阻止する回転止め機構を設け、各端子受け面から突出する前記ねじに電線の端子の嵌合部を挿入配置して、該端子の上から前記ねじにナット(58)(60)(62)(64)を螺合し、該端子の平坦面を、前記端子受け面に面接触させて圧着固定可能としたことを特徴とする端子台。
【請求項2】
前記回転止め機構は、前記絶縁ボード(40)の他方の面に裏板(66)を配置し、前記各ねじの端部を前記裏板(66)に溶接により固定した構成としたことを特徴とする請求項1に記載の端子台。
【請求項3】
前記電極板(68)の上に電極保護絶縁板(70)を脱着自在に配置したことを特徴とする請求項1に記載の端子台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の端子の接続(結線)を行うための端子台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電線の接続(結線)、分岐、中継に用いられる端子台として種々の構造のものが知られている(例えば特許文献1〜5参照)。
しかるに、イベント会場などの受送電の経路においては、従来、電源側ケーブル端子と複数の負荷側ケーブルの端子との接続(結線)を行うための端子台として、ベークライトからなる絶縁ボードを基盤として4端子を使用し、各展示場に送電するものが一般的に使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−123891号公報
【特許文献2】特開2000−341806号公報
【特許文献3】特開2006−196407号公報
【特許文献4】特開2009−212025号公報
【特許文献5】特開2010−22080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のベークライトを基盤として4端子を使用する構成の端子台は、R,S,Tの3相から成り、これらは1セットを構成し、互いに同一の構造となっている。各相の端子台は
図4,5に示すように、ベークライトから成る絶縁ボード2の裏側に電極板4が平行に配置されている。電極板4と絶縁ボード2には4本のボルト6,8,10,12がこれらに貫通して垂直に配置され、各ボルト6,8,10,12に螺合するナット14,16,18,20,22,24,26,28によって各ボルト6,8,10,12は、絶縁ボード2に固定されている。電極板4は、ボルト6,8,10,12の各頭部6a,8a,10a,12aと、これらと対を構成するナット16,20,24,28間に、スプリングワッシャやワッシャを介してボルト6,8,10,12に固定されている。
各ボルト6,8,10,12にはナット15,19,23,27が螺合し、ナット15の上方にワッシャ30,32が配置され、ナット19,23,27の上方にワッシャ36,38がそれぞれ配置されている。
【0005】
電源側の電線(ケーブル)の端子は、ワッシャ30,32間に挟まれるようにボルト6に挿入配置され、ナット34の締め付け力によってワッシャ30,32間に固定される。一方、負荷側の電線の端子は、選択した負荷側のボルトに配置されたワッシャ36,38間に挟まれるようにボルトに挿入され、ナット37の締め付け力によってワッシャ36,38間に固定される。電源側の電線から供給される電力は、ボルト6やワッシャを通じて電極板4に供給される。一方、負荷側の電線には、電極板4と、ボルト及びワッシャ36,38と端子を通じて電源側の電力が供給される。
【0006】
上記の従来の絶縁ボード2と電極板4との結合型構造の端子台を用いたイベント会場などの各展示場への送電において、端子台に接触不良と見られる焼損の痕跡が発見されたことがある。その原因の追及のために、本件出願人が上記従来構成の端子台の試験を行ったところ、
図6及び
図7の試験結果に示すように従来型の端子台では、所定の条件において所定レベル以上の発熱現象が発生することが確認された。
【0007】
これは、ボルトのねじ山と、これに螺合するナットのねじ山を介して通電が行われるため、接触抵抗が増加してしまい、これが発熱の原因となるものと考えられ、場合によっては焼損に至ることがあった。
尚、図中、R端子、S端子、T端子とあるは、R相、S相、T相の端子台を示し、M16,M12A,12B,M12は、端子結合部を示している。
【0008】
また、従来型の
図4に示す端子台では、ワッシャ30,32間、36,38間に端子を固定するためにナット34,37を締めると、ナット34,37の回転力がボルト6,8,10,12に伝わり、ボルト6,8,10,12が空回りすることがある。ボルトが空回りすると、これと連動する部材と電極板との接触面等にこすれによって炭化現象が生じ、これにより接触不良が生じてこれも発熱の原因となる。また、ボルトが空回りすると、電極板の固定に緩みが生じ、これも接触不良の原因となり、接触抵抗の増大の原因となる。
本発明は上記問題点を解消することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、フレーム(72)に支持される絶縁ボード(40)の幅広側の一方の面側に、端子受け面と該端子受け面から突出するねじとからなる端子結合部を複数設けた端子台であって、前記絶縁ボード(40)の幅広側の一方の面に電極板(68)を配置し、前記各ねじを、前記絶縁ボード(40)と電極板(68)に垂直方向に貫通配置し、各ねじの端部を前記絶縁ボード(40)の他方の面側に係止し、軸方向の両端部に平坦面を有する端子受け用電極ナット(50)(52)(54)(56)を前記各ねじに螺合し、各端子受け用電極ナット(50)(52)(54)(56)の一方の平坦面を前記電極板(68)の平坦面に面接触させ、各端子受け用電極ナット(50)(52)(54)(56)の他方の平坦面を前記端子受け面とし、前記端子台に、各ねじ(42)(44)(46)(48)の前記絶縁ボード(40)に対する回転を阻止する回転止め機構を設け、各端子受け面から突出する前記ねじに電線の端子の嵌合部を挿入配置して、該端子の上から前記ねじにナット(58)(60)(62)(64)を螺合し、該端子の平坦面を、前記端子受け面に面接触させて圧着固定可能としたものである。
また本発明は、前記ねじをボルト(42)(44)(46)(48)で構成したものである。
また本発明は、前記回転止め機構は、前記絶縁ボード(40)の他方の面に裏板(66)を配置し、前記各ボルト(42)(44)(46)(48)の端部を前記裏板(66)に溶接により固定した構成としたものである。
また本発明は、前記電極板(68)の上に電極保護絶縁板(70)を脱着自在に配置したものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、電源側の端子と電極ナット間及び電極ナットと電極板間を面接触としたので通電性能を向上させることができ、発熱による焼損を防止することができる。
また、絶縁ボードの端子結合部設置面側に電極板を配置したので作業者は、電極板上の面接触の点検や、緩みの点検を容易に行うことができる。また、面接触部の増し締めが容易にでき、安全確認を容易に行うことができる等の効果が存する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図10】端子台の温度上昇試験結果の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の実施の形態を添付した図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明に係る端子台39の断面図を示している。端子台39は、3相が用意され、
図1は3相の中の1相(R相)の端子台39が示されている。端子台39は絶縁ボード40と、これに装着された4本のボルト42,44,46,48からなるねじと、各ボルト42,44,46,48に螺合する端子受け用電極ナット50,52,54,56と、これらのボルト42,44,46,48に螺合する端子取り付けナット58,60,62,64と、裏板66と、電極板68と、電極保護絶縁板70とを備えている。
【0013】
端子台39の各相は、同一の構成から成り、互いに独立して構成され、それぞれに、R相、S相(あるいはN相)、T相と名称が付けられている。各相の端子台39は、端子ボックス(図示省略)のフレーム72の支承平面上に並列状に互いに近接して配置され、各端子台39がフレーム72の支承部に固定されている。本実施形態ではフレーム72に支持された3相の端子台が1セットを構成している。絶縁ボード40は、略直方体の細長板状のFRP(繊維強化プラスチック)からなり、4ヶ所に互いに所定の間隔を存して、ボルト挿入孔74,76,78,80が穿設されている。
【0014】
絶縁ボード40の長手方向の両端近傍は、ボルト82とナット84によりフレーム72に固定されている。絶縁ボード40の表面には、略長手方向全長に亘って、電極板配置用の凹入部86が形成され、該凹入部86に、細長板状の銅ニッケルメッキ材からなる電極板68が嵌合配置されている。凹入部86の深さと、電極板68の厚さは略同一の寸法に設定され、凹入部86内の電極板68の上面と、絶縁ボード40の上面は同一延長平面上に位置している。電極板68と、絶縁ボード40の裏面に配置されたステンレス製の裏板66には、前記絶縁ボード40のボルト挿入孔74,76,78,80に対応してこれらと上下方向に連通するようにボルト挿入孔が穿設されている。
【0015】
重ね合わされた裏板66と絶縁ボード40と電極板68とを垂直方向に貫通するように、これらの互いに上下方向に連通する各ボルト挿入孔には、それぞれステンレス製のボルト42,44,46,48の各軸部が嵌挿配置されている。各ボルト42,44,46,48の頭部42a,44a,46a,48aは裏板66の裏面に密着し、該各頭部42a,44a,46a,48aは、裏板66の裏面に溶接によって固定されている。各ボルト42,44,46,48の雄ねじが形成された軸部には、真鍮からなる、端子受け用の電極ナット50,52,54,56が螺合している。
【0016】
これらの端子受け用電極ナット50,52,54,56の、対応するボルト42,44,46,48に対する締め付け力により、絶縁ボード40と電極板68と裏板66は、端子受け用電極ナット50,52,54,56とボルト42,44,46,48の頭部42a,44a,46a,48aとで挟圧され、互いの平坦面が圧接し、各端子受け用電極ナット50,52,54,56の下部平坦面F2,f2は電極板68の平坦面からなる上面にこれと面接触して固定されている。各ボルト42,44,46,48の軸部は、対応する端子受け用電極ナット50,52,54,56の上部平坦面F1,f1から所定長さ突出し、これら突出した軸部に対して、ステンレス製の座金88,90,92,94の付いたステンレス製のナット58,60,62,64が用意されている。
【0017】
また、電源側のボルト42には、締め付け用のステンレス製ナット96が用意されている。フレーム72には、支持部72aが形成され、該支持部72aに各相の絶縁ボード40の両端が載置され、ボルト82とナット84により、各相の絶縁ボード40が、裏板66取り付け側を端子ボックス(図示省略)の底部に向けて、フレーム72に固定されている。
【0018】
真鍮から成る端子受け用電極ナット50,52,54,56は、
図3に示すように軸方向の両端部の平面形状が正六角形の角柱体から成り、角柱体の中心に軸方向にボルト用のねじ穴a,bが形成され、両端部には、軸方向に対して垂直な平坦面F1,f1,F2,f2が形成されている。FRPからなる電極保護絶縁板70は、電極板68の開放面側を被覆するために用意されたものである。電極保護絶縁板70はその裏面を電極板68の表面に対接できるように、端子受け用電極ナット50,52,54,56を避ける穴が穿設され、これらの穴を端子受け用電極ナット50,52,54,56に脱着自在に嵌合させることができるように構成されている。
上記端子受け用電極ナット50,52,54,56の平坦面F1,f1からなる端子受け面と、該端子受け面から突出するボルト42,44,46,48は、絶縁ボード(40)の幅広側の一方の面に、端子結合部を構成する。
【0019】
上記した構成において、端子台39の複数の端子結合部の中の1つの端子結合部に電源側の電線98を接続(結線)するには、電線98の端末の端子100に設けられている嵌合部を、ボルト42の軸部に挿入する。次に、座金88付きナット58を、座金88を下に向けてボルト42の軸部の雄ねじに螺合し、ナット58を締め付けて、座金88と電極ナット50の上部平坦受け面F1(端子受け面)とで電線98の、両面が平坦な端子100を挟圧し、電線98の端子100を、電極ナット50の上部の平坦受け面F1に面接触状態で圧着する。電線98の端子100を電極ナット50の平坦受け面F1に圧着固定した後、更に、ナット96を、ナット58の上からボルト42の軸部の雄ねじにねじ込んで、端子100の、電極ナット50に対する面接触固定が緩まないようにダブルナット構成とする。
【0020】
負荷側の電線(図示省略)の端末側端子を、端子結合部を構成する、負荷側電極ナット52,54,56の端子受け面に接続(結線)する場合も、同様に、選択したボルト44,46,48の雄ねじが形成された軸部に負荷側の電線の、両面に平坦面が形成された端末側端子の嵌合部を挿入し、しかる後にボルト44,46,48の軸部に座金付きナット60,62,64をねじ込んで負荷側の電線の端子の平坦な両面を、選択した負荷側電極ナット52,54,56の上部平坦面f1(端子受け面)と座金90,92,94とで挟圧し、負荷側の電線の端子を、選択した負荷側電極ナット52,54,56に面接触状態で圧着固定する。
【0021】
該状態において、電源側電線98と負荷側電線との間には、電源側電線98の端子100、平坦面F1が該端子100と面接触する端子受け用電極ナット50、該端子受け用電極ナット50の下部平坦面f2と面接触する電極板68、下部平坦面f2が該電極板68と面接触する選択された端子受け用電極ナット52,54,56、該端子受け用電極ナット52,54,56の上部平坦面f1と面接触する負荷側電線の端子とから成る通電路が形成され、該通電路を通じて、電源側から負荷側に電力が供給される。
【0022】
本実施形態では、電源側から負荷側に、電極ナットと、電線側端子との面接触接続(結線)及び電極ナットと電極板との面接触接続(結線)を通じて通電が行われるので、ボルトを通じて通電が行われる従来形製品に比し、固有抵抗及び接触抵抗が減少するとともに、電圧降下、電力損失が減少する。また、電源側の端子を電極ナットに固定する際、座金付きナットをボルトにきつくねじ込んでも、ボルトは裏板に固定されているのでボルトが空回りすることがない。
【0023】
本実施形態では、電極板68を絶縁ボード40の表面に配置し、充電部を露出させた構成を採用した関係から、端子接続(結線)作業終了と同時に電極板68上に絶縁保護板66を装着することで、工具及び多くの通電性物質が充電部に接触することにより生じる短絡事故を防止している。
図8乃至
図10は、本実施形態における端子台の、東京都立産業技術センターで行った温度上昇試験結果であり、本発明に係る端子台の温度上昇に関して満足すべき結果が得られた。
【符号の説明】
【0024】
2 絶縁ボード
4 電極板
6 ボルト
8 ボルト
10 ボルト
12 ボルト
14 ナット
16 ナット
18 ナット
20 ナット
22 ナット
24 ナット
26 ナット
28 ナット
30 ワッシャ
32 ワッシャ
34 ナット
36 ワッシャ
37 ナット
38 ワッシャ
39 端子台
40 絶縁ボード
42 ボルト
44 ボルト
46 ボルト
48 ボルト
50 電極ナット
52 電極ナット
54 電極ナット
56 電極ナット
58 端子取り付けナット
60 端子取り付けナット
62 端子取り付けナット
64 端子取り付けナット
66 裏板
68 電極板
70 電極保護絶縁板
72 フレーム
74 ボルト挿入孔
76 ボルト挿入孔
78 ボルト挿入孔
80 ボルト挿入孔
82 ボルト
84 ナット
86 凹入部
88 座金
90 座金
92 座金
94 座金
96 ナット
98 電線
100 端子