(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5689122
(24)【登録日】2015年2月6日
(45)【発行日】2015年3月25日
(54)【発明の名称】キャリア装置、このようなキャリア装置を含む構成、および少なくとも1つのセラミック層を含む積層をパターン形成する方法
(51)【国際特許分類】
H01L 23/13 20060101AFI20150305BHJP
H05K 3/46 20060101ALI20150305BHJP
【FI】
H01L23/12 C
H05K3/46 B
H05K3/46 N
H05K3/46 Q
【請求項の数】24
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-525985(P2012-525985)
(86)(22)【出願日】2010年8月11日
(65)【公表番号】特表2013-502734(P2013-502734A)
(43)【公表日】2013年1月24日
(86)【国際出願番号】EP2010061708
(87)【国際公開番号】WO2011023556
(87)【国際公開日】20110303
【審査請求日】2013年5月16日
【審判番号】不服2014-5967(P2014-5967/J1)
【審判請求日】2014年4月2日
(31)【優先権主張番号】102009038674.2
(32)【優先日】2009年8月24日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】300002160
【氏名又は名称】エプコス アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】EPCOS AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブルンナー,セバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】フッフス,ゲルハルト
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー,アネット
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー,マンフレット
(72)【発明者】
【氏名】ファイスタウアー,クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】パドミッヒ,ギュンター
(72)【発明者】
【氏名】ペイル,エトムント
(72)【発明者】
【氏名】ハッツル,ステファン・レオポルト
【合議体】
【審判長】
丹治 彰
【審判官】
酒井 朋広
【審判官】
関谷 隆一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−164577(JP,A)
【文献】
国際公開第2007/063692(WO,A1)
【文献】
特開2001−135922(JP,A)
【文献】
特開2008−091874(JP,A)
【文献】
特開2007−250564(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L23/12
H01L33/62
H05K1/03
H05K3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのセラミック層を含む積層をパターン形成する方法であって、
−少なくとも1つのめっきされたスルーホール(102)を有するセラミック層(101)を設けるステップと、
−セラミック層(101)の上に導電層(103)を付与するステップとを備え、導電層(103)は少なくとも1つのめっきされたスルーホール(102)に電気的に接続し、さらに、
−少なくとも1つのめっきされたスルーホールの領域において、ニッケルを含む層(104)を導電層(103)の上に電着させるステップと、
−少なくとも1つのめっきされたスルーホール(102)の領域の外で導電層(103)を局所的に除去するステップと、
−少なくとも1つの第一層(111)を、導電層(103)が付与される前にセラミック層(101)に付与するステップを備え、第一層(111)はエッチング液に対して耐性を有してエッチング止めとして作用し、少なくとも1つのめっきされたスルーホールの領域内に切り抜き部(112)を有し、さらに、
−第二導電層(113)を第一層(111)の切り抜き部(112)の領域内のセラミック層(101)に付与するステップを備え、第二導電層(113)を少なくとも1つのめっきされたスルーホール(102)に電気的に結合させる、方法。
【請求項2】
局所的に除去するステップにおいて、導電層(103)はニッケルを含む層(104)の領域内に残る、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
導電層(120)の選択性エッチングの際、ニッケルを含む層(104)はエッチングマスクとして使用される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
導電層(103)は、シアン化合物を含むエッチング液によりエッチングすることができる金属を含み、シアン化合物を含むエッチング液は導電層(103)を局所的に除去することに使用される、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
めっきされたスルーホール(102)は、セラミック層(101)の第一面(106)
と、第一面(106)と対向する第二面(107)とを電気的に結合する、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
方法であって、
−フォトレジスト(108)を導電層(103)に塗布するステップと、
−導電層(103)が除去されるフォトレジスト(108)の少なくとも1つの領域(109)を露光させるステップと、
−フォトレジストの少なくとも1つの露光されていない領域(110)を除去することにより、
−露光されていない領域(110)において導電層(103)を被覆されていない状態にして、
−フォトレジスト(108)を現像するステップと、
−ニッケルを含む層(104)を、露光されていない領域(110)の導電層(103)に生成させるステップとを備える、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
導電層(103)は、少なくとも1つの露光した領域(109)から除去される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
フォトレジスト(108)を導電層(103)に塗布する前に、銅層(114)を導電層(103)に電着させるステップを含む、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
銅層(114)は、少なくとも1つの露光した領域(109)から除去される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つのニッケルを含む層(104)を生成させた後、フォトレジストの少なくとも1つの露光した領域(109)を除去し、露光した領域(109)において導電層(103)は被覆されない状態にする、請求項6から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
第一層(111)をプリントによって付与する、請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
第一層(111)を付与するステップにおいて、ガラスを含む材料を付与する、請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
導電層(103)は銀を含む、請求項1から12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
ニッケルを含む層(104)の領域に少なくとも1つの第二銅層(115)を電着させる、請求項1から13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
少なくともニッケルを含む層(104)および導電層(103)を覆う第三導電層(116)をニッケルを含む層(104)に付与する、請求項1から14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
少なくとも1つの電子部品のためのキャリア装置であって、
少なくとも1つのめっきされたスルーホール(102)を有する少なくとも1つのセラミック層(101)を含む積層(100)と、
セラミック層(101)の上に付与され、少なくとも1つのめっきされたスルーホール(102)に電気的に接続され、少なくとも1つのめっきされたスルーホール(102)の領域の外で局所的に除去された導電層(103)と、
少なくとも1つのめっきされたスルーホール(102)の領域において導電層(103)の上に電着されたニッケルで構成された層(104)を有する少なくとも1つの接触部位(117)と、
導電層(103)が付与される前にセラミック層(101)に付与され、セラミック層(101)とニッケルで構成された層(104)との間に配置され、少なくとも1つのめっきされたスルーホールの領域内に切り抜き部(112)を有し、エッチング液に対して耐性を有してエッチング止めとして作用する第一層(111)と、
第一層(111)の切り抜き部(112)の領域内のセラミック層(101)に付与され、少なくとも1つのめっきされたスルーホール(102)に電気的に結合する第二導電層(113)とを含む、キャリア装置。
【請求項17】
ガラスを含む第一層(111)が、セラミック層の上の少なくとも1つの接触部位(117)の外に配置される、請求項16に記載のキャリア装置。
【請求項18】
少なくとも1つの第二接触部位(118)を備え、少なくとも1つの接触部位(117)および少なくとも1つの第二接触部位(118)は、積層(100)の層に平行な方向に、互いに100μm未満の距離(119)をあけて設けられる、請求項16または17に記載のキャリア装置。
【請求項19】
少なくとも1つの接触部位(117)および少なくとも1つの第二接触部位(118)は、積層(100)の層に平行な方向に互いに80μm未満の距離(119)をあけて設けられる、請求項18に記載のキャリア装置。
【請求項20】
キャリア装置は、少なくとも1つの電子部品を実装するように設計されている、請求項16から19のいずれか1項に記載のキャリア装置。
【請求項21】
構成であって、
−請求項16から20のいずれかに記載のキャリア装置(121)と、
−キャリア装置(121)の少なくとも1つの接触部位(117)に電気的かつ機械的に接続された電子部品(120)とを備える、構成。
【請求項22】
前記電子部品(120)は半導体部品を含む、請求項21に記載の構成。
【請求項23】
前記電子部品(120)は光電部品を含む、請求項21または22に記載の構成。
【請求項24】
前記電子部品(120)は発光ダイオードを含む、請求項21から23のいずれか1項に記載の構成。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミック層を含むキャリア装置、およびこのようなキャリア装置を含む構成に関する。さらに、本発明は少なくとも1つのセラミック層を含む積層をパターン形成するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品のためのセラミックキャリアの場合、スクリーン印刷法によってキャリアに接触部位を設けることができる。このため、スクリーン印刷マスクを介してキャリアに接触部位の材料が付与される。この方法は、接触部位間の距離について、所定の下限までにしか使用できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
費用効果的かつ可能な限り簡易にセラミックキャリア装置をパターン形成するために、少なくとも1つのセラミック層を含む積層をパターン形成する方法、キャリア装置、およびこのようなキャリア装置を含む構成を特定することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
これは、請求項1の特徴を含む方法、請求項
16の特徴を含むキャリア装置、および請求項
21の特徴を含む構成によって実現される。
【0005】
少なくとも1つのセラミック層を含む積層をパターン形成する方法は、少なくとも1つのめっきスルーホールを有するセラミック層を設けるステップを含む。導電層はセラミック層の上に付与され、これにより、導電層が少なくとも1つのめっきスルーホールに電気的に結合される。少なくとも1つの追加の層が、少なくとも1つのめっきスルーホールの領域内の導電層に電着される。追加の層はニッケルを含む。導電層は、少なくとも1つのめっきスルーホールの領域の外において局所的に除去される。ニッケル含有層は、エッチングマスクとして機能することができ、導電層を局所的に除去できるようにする。ニッケル含有層は、セラミック自体が影響を受けない、または影響を受けたとしても、その程度が少ない低アグレッシブエッチング方法によって導電層がパターン形成されるようにする。高感度セラミックの場合、簡易な方法で作成することができるエッチングストップ層を、これらのエッチング方法を行なう際に使用することができる。
【0006】
一実施例において、導電層が局所的に除去される際に、導電層は追加の層の領域内に残る。追加の層は、導電層を選択エッチングする際にエッチングマスクとして使用することができる。
【0007】
エッチングマスクとしてのニッケルを含む追加の層を利用することにより、めっきスルーホールに導電層が残るように導電層を局所的に除去することができる。
【0008】
導電層は、シアン化合物を含むエッチング液を使用してエッチングすることができる金属を含むことができる。シアン化合物を含むエッチング液は、導電層を局所的に除去するために使用することができる。
【0009】
めっきスルーホールは、セラミック層の第一面と第二面とを電気的に結合することができる。セラミック層の第一面は、第二面と対向して配置される。セラミック層は、多層構造の一部とすることもできる。めっきスルーホールは、多層構造の互いに対向して配置された面に電気的に結合することもできる。めっきスルーホールは、たとえば、多層構造において互いに隣接して配置された2つの層のような、多層構造のうちの個々の層を互いに電気的に結合させることもできる。
【0010】
一実施例において、本方法は、フォトレジストを導電層に付与するステップを含む。フォトレジストの少なくとも1つの領域が露光する。導電層が除去される領域に対応するフォトレジストの領域が露光する。フォトレジストが現像される。フォトレジストの少なくとも1つの露光していない領域が除去される。これにより、露光していない領域において、導電層が被覆されていない状態となる。追加の層は、露光していない領域の導電層に生成される。追加の層は、被覆されていない導電層の領域に生成される。
【0011】
しかし、現像後に露光した領域を除去し、露光していない領域を支持部の上に残す場合、ポジ型のフォトレジストを使用することもできる。
【0012】
ニッケルを含有するエッチングマスクが光パターン形成によって形成されるので、形成されるエッチングマスクは比較的微細な構造を有することができる。これにより、エッチング方法によって、比較的微細な構造を有する導電層も形成することができる。光パターン形成の際には、比較的安価な材料を使用することができる。したがって、安価なパターン形成またはキャリア装置の製造が可能となる。
【0013】
導電層は、少なくとも1つの露光した領域において除去される。ポジ型レジストの場合においては、逆の状態が対応して当てはまる。方法は、フォトレジストを塗布する前に導電層に銅層を無電解で付与するステップを含むことができる。後のステップにおいて、銅層は少なくとも1つの露光した領域において局所的に除去することができる。
【0014】
一実施例において、少なくとも1つの追加の層を生成させた後、フォトレジストの少なくとも1つの露光した領域が除去され、これにより、露光した領域において導電層は選択的に被覆されていない状態となる。一方で、露光していない領域は、追加の層によって覆われたままとなる。ポジ型レジストの場合においては、逆の状態が対応して当てはまる。
【0015】
一実施例において、本方法は、導電層が付与される前に少なくとも1つの第一層をセラミック層に付与するステップを含む。エッチング液に対する耐性を有するような第一層を選択することができる。第一層は、少なくとも1つのめっきスルーホールの領域に切り抜き部を有するように付与される。追加の導電層は、第一層の切り抜き部の領域でセラミック層に付与される。これにより、追加の導電層は、少なくとも1つのめっきスルーホールに電気的に結合される。
【0016】
この実施例において、導電層は、追加の導電層によってめっきスルーホールに電気的に結合される。第一層は、セラミック層に転写することができる。第一層を付与する際には、ガラスを含む材料を付与することができる。導電層および追加の導電層は、互いに独立して銀を含むことができる。
【0017】
少なくとも1つの追加の銅層を追加の層の領域に電着させることができる。少なくとも1つの別の追加の導電層は、追加の導電層に付与することができる。別の追加の導電層は、少なくとも追加の層および導電層を覆うことができる。
【0018】
キャリア装置は、少なくとも1つのセラミック層を有する積層を含む。キャリア装置は、ニッケルからなる層を有する、少なくとも1つの接触部位を含む。キャリア装置は、少なくとも1つの電子部品を実装するように設計することができる。
【0019】
一つの典型的な実施例において、キャリア装置は、ガラスを含む追加の層を有する。追加の層は、セラミック層の少なくとも1つの接触部位の外に配置される。
【0020】
一実施例において、キャリア装置は少なくとも1つの追加の接触部位を有する。少なくとも1つの接触部位と、少なくとも1つの追加の接触部位とは、積層の層と平行な方向に100マイクロメートルより小さい距離をおいて互いに離れている。一つの典型的な実施例において、少なくとも1つの接触部位と、少なくとも1つの追加の接触部位とは、80マイクロメートルより小さい距離をおいて互いに離れている。
【0021】
構成は、そのようなキャリア装置と、キャリア装置の少なくとも1つの接触部位に電気的かつ機械的に結合された電子部品とを備える。一実施例において、電子部品は、半導体部品を含む。しかし、電子部品は、受動部品、MEMS部品、または共通の基板に配置される電気部品および/または電子部品を同様に実装することができるモジュールであってもよい。モジュールは、複合回路、より特定的には、フィルタ回路を含むことができる。
【0022】
さらなる利点、特徴、および発展形態については、
図1から
図16と併せて説明される以下の例から明確となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】異なる製造ステップにおけるセラミック層のパターン形成を示す概略図である。
【
図2】異なる製造ステップにおけるセラミック層のパターン形成を示す概略図である。
【
図3】異なる製造ステップにおけるセラミック層のパターン形成を示す概略図である。
【
図4】異なる製造ステップにおけるセラミック層のパターン形成を示す概略図である。
【
図5】異なる製造ステップにおけるセラミック層のパターン形成を示す概略図である。
【
図6】異なる製造ステップにおけるセラミック層のパターン形成を示す概略図である。
【
図7】異なる製造ステップにおけるセラミック層のパターン形成を示す概略図である。
【
図8】異なる製造ステップにおけるセラミック層のパターン形成を示す概略図である。
【
図9】異なる製造ステップにおけるセラミック層のパターン形成を示す概略図である。
【
図10】異なる製造ステップにおけるセラミック層のパターン形成を示す概略図である。
【
図11】異なる製造ステップにおけるセラミック層のパターン形成を示す概略図である。
【
図12】異なる製造ステップにおけるセラミック層のパターン形成を示す概略図である。
【
図13】異なる製造ステップにおけるセラミック層のパターン形成を示す概略図である。
【
図14】異なる製造ステップにおけるセラミック層のパターン形成を示す概略図である。
【
図15】セラミックキャリア装置を含む構成の一実施例を示す概略図である。
【
図16】セラミック層をパターン形成する方法の一実施例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
同一の構成要素、同一のタイプの構成要素、および同一の動作を有する構成要素に対しては、図面内において同一の参照符号が付与される。
【0025】
図1は、2つのめっきスルーホール102を有するセラミック層101を示す。セラミック層101は、その主要な展開方向において、第一面106と、第一面に対向する第二面107とを有する。
【0026】
めっきスルーホール102は、層101を貫通する。めっきスルーホールは、第一面106を第二面107に電気的に結合させる。めっきスルーホール102は、層101の切り抜き部に挿入される導電材料を含む。セラミック層101は、2つよりも多くのめっきスルーホール、たとえば4つまたはそれ以上のめっきスルーホールを有することができる。
【0027】
セラミック層が多層構造の一部である場合、めっきスルーホールは、多層構造の互いに対向して配置された面に電気的に結合することもできる。めっきスルーホールは、たとえば、多層構造において互いに隣接して配置された2つの層のような、多層構造の個々の層を互いに電気的に結合させることもできる。
【0028】
一実施例において、セラミック層101は、低温同時焼成セラミック(LTCC)である。層101は、酸化亜鉛を含むことができる。更なる典型的な実施例において、層101は、酸化アルミニウムおよび/または1つもしくは複数のガラスを含む。更なる実施例において、層101は高温焼成セラミック(HTCC)を含む。層にめっきスルーホール102を形成するために、層をレーザにより切り抜く、または穿孔することができる。
【0029】
図2に示すように、第一層としてのガラス層101は、層101の面106に付与される。ガラス層111は、いずれの場合も、めっきスルーホール102の領域に切り抜き部112を有する。めっきスルーホール102は、面106上でガラス層111に被覆されていない。ガラス層は、例えばスクリーン印刷法により、層101に付与することができる。ガラス層111は、記載される方法のステップにおいて、層101を保護する。
【0030】
更なる実施例において、以下の方法のステップで、セラミック層101を保護および不活性化するのに適切な更なる材料を含む層を付与することができる。
【0031】
図3に示すように、ガラス層111の切り抜き部112において、導電層113はセラミック層101に付与される。一例として、導電層113は、スクリーン印刷法によって層111の切り抜き部112に導入される。導電層113は、めっきスルーホール102の領域内で層101の第一面106に付与される。導電層113は、層101の第一面106に接する。導電層113は、めっきスルーホール102に電気的に結合される。導電層113は、例えば銀を含む。導電層113は、ガラス層111を介してめっきスルーホール102との電気的な接触を実現する。
【0032】
図4に示すように、追加のガラス層122をガラス層111に付与することができる。追加のガラス層122は、層101のとは反対側のガラス層111の面に付与される。ガラス層111のように、ガラス層122をスクリーン印刷法によりガラス層111に付与することができる。ガラス層122は、めっきスルーホール102、導電層113、および切り抜き部112のそれぞれの領域において切り抜き部123を有する。
【0033】
更なる典型的な実施例において、記載の方法のステップで層の構造を保護および不活性化するのに適切であってガラスとは異なる材料を含む層を付与することができる。
【0034】
ガラス層111および122は、空気を含むまたは製造により決定づけられる他の誤差を有する可能性があるため、セラミック層を保護する、および不活性化させるための2つのガラス層が、層101の第一面106に付与される。これにより、層111で起こり得る誤差が層122により補われるため、セラミック層101の保護が向上する。
【0035】
図5は、追加の導電層124がガラス層122の切り抜き部123に注入されることを示す。導電層124を、たとえばスクリーン印刷により、切り抜き部123に注入することができる。導電層124は、層101とは反対側の導電層113の面に付与される。導電層124は、導電層113およびめっきスルーホール102に電気的に結合される。導電層124は、ガラス層122を介して、導電層113およびめっきスルーホール102との電気的接触を実現する。
【0036】
図6は、導電層103がガラス層122および導電層124に付与された状態を示す。導電層103は、ガラス層122および導電層124に接する。導電層103は、導電層101の全領域上に延在する。導電層103は、導電層124、導電層113、およびめっきスルーホール102に電気的に結合される。導電層103は、たとえば銀のような、導電性材料を含む。導電層103は、シアン化合物を含むエッチング液によりエッチングすることができる材料を含む。
【0037】
さらなる典型的な実施例において、導電層103は、層101およびめっきスルーホール102に直接的に付与される。これにより、導電層103は、層101の第一面106に接する。これは、層101の材料が層111のような不活性化層により保護されなくてもよい場合、および大きな損傷または機能的な特性の変化が起こることなく記載される方法に層101の材料が耐え得る場合である。
【0038】
さらなる典型的な実施例において、導電層103はガラス層111および導電層113に直接的に付与される。これにより、導電層103がガラス層111および導電層113に接触する。これは、特定的には、十分に品質の高いガラス層111が層101に付与され、これにより、層101がガラス層111によって十分に保護される場合である。
【0039】
導電層の数は、稼働中に導電層を介して放出される熱の量に応じて決めることもできる。より多くの熱を放出する必要がある場合、導電層113および124に相当する2つより多くの導電層、たとえば3つ以上の導電層を重ねて配置または作成することができる。放出する熱量が少ない場合、導電層103と導電層113とを合わせるだけで十分であり、導電層124は省くことができる。
【0040】
図7に示すように、銅層114は、無電解の態様により、層101とは反対側の導電層103の面に付与される。
【0041】
図8において、フォトレジスト108が銅層114に塗布される。銅層114は、層配列上のフォトレジストの接着を向上させる。
【0042】
さらなる典型的な実施例において、フォトレジスト108を導電層103に塗布することができる。これにより、フォトレジスト108は、フォトレジスト108と導電層103との接着が十分に強い場合、導電層103に接する。
【0043】
特定的には、露光することによって重合するネガ型フォトレジストが使用され、露光した領域は現像後に残る。
【0044】
さらなる実施例において、既に固形であるレジストが露光により再度溶解可能となる場合、ポジ型レジストを使用することができる。これにより、露光前にマスクによって保護されていた領域のみが現像後に残る。
【0045】
図9は、フォトレジスト108を露光するステップを示す。フォトマスク125は、フォトレジスト108の上に配置される。フォトレジストの溶解性は、光が入るフォトレジスト108の特定領域における光化学反応により変更される。フォトマスク125は、作成される構造に応じて、フォトレジスト108が露光されないように形成される。示される典型的な実施例において、めっきスルーホール102の上に位置する領域110は露光しない。領域109は、めっきスルーホール102の間に位置する。フォトマスク125の切り抜き部は、フォトレジスト108への光が通過し、例えば100マイクロメートルより小さい幅、特定的には、80マイクロメートルより小さい幅を有する。25ミクロンより小さい幅をパターン形成することもできる。しかし、フォトレジストは走査により露光させることもできる。
【0046】
フォトレジスト109は、その後に続く方法のステップで除去されない位置が露光する。これにより、フォトレジスト109が現像される。特定的には、フォトレジストに対応する場合、現像剤としての有機溶媒を省くことができる。
【0047】
図10は、現像後の層配列の上に設けられたフォトレジスト108を示す。領域110において、フォトレジストは銅層114から除去される。めっきスルーホール102、導電層113、および導電層124の上の領域110には、フォトレジストは配置されない。層103は、領域110において被覆されていない状態となる。
【0048】
図11に示すように、フォトレジスト108の無い領域110において、銅層114の上にニッケルが電気分解により付与される。更なる実施例において、フォトレジスト108の無い銅層114の領域に、ニッケルが化学的に付与される。ニッケルを含む層104は、銅層114に接触する。層101とは反対側の銅層114の面に対するニッケル層の生成は、フォトレジスト108の残りの領域109により横方向において制限される。
【0049】
銅層115は、領域110に追加で電着される。銅層115は、たとえば、より均一にニッケルを生成させるために、ニッケル層を生成させる前に付与することができる。さらに、層の熱伝導性は、銅層115により向上させることができる。電着された銅の厚みは、積層を介してどの程度の熱が放出されるかに応じて設定することができる。より多くの熱を放出させる必要がある場合は、銅層115は、より大きな厚みをもって生成される。少ない熱を放出させるときは、銅層115はより薄く生成される。
【0050】
図12に示すように、フォトレジスト108の残りの領域109が層配列から除去された後、エッチングマスクがニッケル層104を介して層配列に付与される。たとえば、シアン化合物の水溶液、より特定的には、カリウムシアン化合物KNCのようなエッチング液の補助により、銅層114および導電層103は部分的に除去することができる。エッチング液は、より特定的には、銀および/または銅を分解するよう設計されたアルカリ性の水溶液を含む。
【0051】
図13に示すように、銅層114および導電層103よりもエッチング液に対する耐性を有するニッケル層104の領域において、銅層114および導電層103が残る。ニッケル層104はエッチング液により損傷を受けず、ニッケル層104より下の層を保護することため、銅層114および導電層103は残る。ニッケル層104が配置されている領域、より特定的には、めっきスルーホール102の領域においては、導電層103および銅層114の残りの領域も配置される。
【0052】
選択性エッチングの後、エッチング液により除去されなかったガラス層122において、ニッケル層104が配置されていない領域は被覆されていない状態となる。ニッケルの無い領域では、ガラス層122の上にある層114および103が除去されている。ガラス層122およびガラス層111は、セラミック層101をエッチング液から保護する。ガラス層122とガラス層111は、セラミック層101がエッチング液により損傷しないようにするためのエッチング止めとしての役割を果たす。
【0053】
図14に示すように、端の部分が被覆されていない層103、114、および104の残りの領域は、追加の導電層116により被覆される。導電層116は、たとえば、金および/またはさらなる導電性材料を含む。
【0054】
図14は、部品が実装される前のキャリア装置121を示す。
図12から
図13への遷移に見られるように、導電層103および銅層104が部分的に除去される上記のエッチング処理の際に、ガラス層122および111はそれぞれセラミック層101を保護する。
【0055】
図15は、少なくとも1つの部品が実装された後のキャリア装置121を示す。キャリア装置121は、A−A′線に沿ったx方向の以下の順序で層を有する積層100を含む。
【0056】
典型的な積層100の構成は、めっきスルーホール102を有するセラミック層101から始まる。セラミック層101の上には、ガラス層111が配置され、導電層113は、ガラス層111の切り抜き部112に配置される。その後、追加のガラス層122がガラス層111の上に配置される。導電層113の上において、導電層124はガラス層122の切抜き部123の中に配置される。導電層103は、導電層124の上に配置される。銅層114は、導電層103の上に配置される。ニッケル層104は、銅層114の上に配置される。銅層115は、銅層とニッケル層104との間に配置することができる。ニッケル層104の上には、パラジウム層が配置され、その上には、金層116が配置される。金層116は、層104、114、および103の側面も覆う。パラジウム層は、無電解の態様で他の層に付与することができる。
【0057】
はんだ付けが可能な接触部位117および118は、この積層により形成される。接触部位は配線への適性、および/または接着、フリップチップ接着、熱圧着、ワイヤ接着(アルミニウムワイヤ接着、金ワイヤ接着、銅ワイヤ接着、およびプラチナワイヤ接着)のための接触部位としての適性を有している。接触部位は、さらなる形成法および/または結合法により処理されるように設計されている。電子部品120は、はんだ接合126により接触部位117および118に結合される。接触部位117は、接触部位118からy軸方向に距離119をおいて配置されている。
図1から
図14と併せて記載されるように、減法エッチングによって接触部位117および118が作成されるという事実により、距離119は比較的小さくすることができる。特定的には、距離119は120マイクロメートルより小さくすることができ、より特定的には、100マイクロメートルより小さくできる。一例として、距離119は80マイクロメートルより小さくすることができ、より特定的には60マイクロメートルより小さくすることができる。当然、120マイクロメートルより大きい距離119も記載される方法により形成することができる。キャリア装置121は、特定的に微細な、および微細さが低い接触部位または接触部位間の隙間を同時に形成することができ、記載の製造方法により特定的に良好に作成することができる。
【0058】
電子部品120は、特定的には、集積半導体部品を含む。一例として、電子部品120は、光電子部品、より特定的には、発光ダイオードを含む。部品120は、特定的には、たとえば増幅回路のような大量の熱を発する半導体回路を含むことができる。受動素子、またはマイクロエレクトロメカニカルシステムの部品(MEMS部品)も適する。稼働中に発生する電子部品120の熱は、積層100を介して良好に放出される。
【0059】
図16は、たとえばキャリア装置のような、セラミック層を含む層構造を作成またはパターン形成する方法のフローチャートを示す。第一の方法ステップ201では、少なくとも1つのめっきスルーホール102を有するセラミック層101が設けらる。ステップ202では、導電層103、より特定的には銀がセラミック層101に付与される。ステップ203では、ニッケル層104が導電層103に電着される。ステップ204では、導電層103がめっきスルーホール102の領域の外で除去され、これにより、導電層103は少なくとも1つのめっきスルーホールの領域に残る。
【0060】
ステップ203の前に、露光と現像により、フォトレジストが導電層103に塗布され、ニッケル層104のための付与マスクとして機能する。ステップ204において、たとえば銀を含む導電層103が、たとえばシアン化合物を含むエッチング液により、エッチングマスクとして使用されるニッケル層104の補助によりパターン形成される。
【0061】
記載された方法により、スパッタ処理によってクロムおよび/または銅により被覆された1つまたはそれ以上のポリイミド層を使用した光パターニングを省くことができる。特定的には、ガラス層を使用することによって、ポリイミドによる不活性化を省くことができる。さらに、フォトレジストの現像剤としての有機溶媒を省くことができる。
【符号の説明】
【0062】
参照符号
100 積層
101 セラミック層
102 めっきスルーホール
103 導電層
104 追加の層
106 第一面
107 第二面
108 フォトレジスト
109、110 領域
111,122 ガラス層
112、123 切り抜き部
113、116、124 導電層
114、115 銅層
117、118 接触部位
119 距離
120 部品
121 キャリア装置
125 フォトマスク
126 はんだ接合