【実施例】
【0025】
ここで、本発明の一実施形態による装置およびその構成要素を例示した
図1を参照する。装置10は、通常、光窓21と、GI管等の内腔内部からの画像を得るための撮像システムとを備えている。撮像システムは、白色LED等の照明源23と、画像を検出するCMOS撮像カメラ24と、CMOS撮像カメラ24上に画像の焦点を合わせる光学系22とを含む。照明源23は、光窓21を介して内腔の内部を照らす。装置10は、更に、CMOS撮像カメラ24のビデオ信号を送信するための送信器26およびアンテナ27と、装置10の電気的素子に電力を供給する酸化銀電池等の電力源25とを含む。
【0026】
本発明の装置およびシステムには、複数のCMOS撮像カメラを用いても良いことは認められよう。装置またはシステムの特定の要件に合わせて、各CMOS撮像カメラが、それ自身の光学系および1つまたはそれ以上の照明源を含むことができる。
【0027】
CMOSカメラ24によって得た画像は、データ処理ユニットも含むことができる受信システム(図示せず)に送信される。受信システムおよびデータ処理ユニットは、通常、患者の外部に配置する。
【0028】
装置10は、カプセルの形状をしており、容易に飲み込むことができ、自然なぜん動によって押されて、GI管全体を受動的に通過することができる。
【0029】
しかしながら、この装置は、内腔または体腔の内部への挿入および通過に適したいかなる形状とすることも可能であることは認められよう。更に、本発明の装置は、内視鏡、腹腔鏡、ステント、針、カテーテル等、内腔または体腔内に挿入する器具に取り付けるかまたは貼りつけることができる。
【0030】
このため、この装置は、飲み込むことにより、内視鏡装置を用い、手術等によって、内腔または体腔内に導入することができる。
【0031】
適切なCMOS撮像カメラ24は、例えば、Given Imaging Ltd.(Yokneam、Israel)によって規定され、Photobit Corporation(California、USA)によって設計された「チップ上カメラ」タイプのCMOS撮像装置であり、一体型能動画素および後処理回路(
図2を参照して更に述べる)を有する。単一のチップ・カメラによって、黒および白信号または色信号のいずれかを供給することができる。
【0032】
CMOS撮像カメラ24は、既知のCMOSカメラよりも赤色スペクトルの光に対する感度が低いように設計されている。
【0033】
光学系22は、少なくとも1枚のレンズおよび任意選択として鏡および/またはプリズムを備え、CMOS撮像カメラ24の画素上に送出光を集めると共に平行化する。通常、光学系は、非球面合焦レンズを備えている。適切なレンズは、例えば、特定の物体平面、ひずみ、および解像度のパラメータに応じた、Given Imaging Ltd.(Yokneam、Israel)によって設計されたレンズである。
【0034】
照明源23は、光窓21を介して、内腔の壁に光を送る。次いで、光学系22のレンズが、CMOS撮像カメラ24の画素上に送出光の焦点を合わせる。
【0035】
迷光を避けるため等の特定の撮像要件に合わせて、単一または複数の光源または特定の一体型光源を用い、配置することができる。また、光窓21は、装置の形状に合わせた、更に特定の撮像要件に合わせた位置および形状とすることができる。例えば、光窓21を楕円形状の半球を規定するように形成し、CMOS撮像チップ・カメラ・システム24および照明源23を、光半球によって規定される形状の焦点面の近くに配置した場合、最適な撮像条件が得られる。上述の撮像条件を得ることについては、WO 00/76391号に記載されており、これは、本発明の共通の譲受人に譲渡され、引用によりその全体がここに含まれるものとする。
【0036】
本発明において撮像されるインビボの部位は、通常、撮像装置に極めて近接している。例えば、小腸を通過し撮像する11x30ミリメートルのカプセルは、極めて短距離から小腸の壁を撮像する。従って、LED等の固体照明源を利用した撮像プロセスの照明要件を満たすことができる。
【0037】
本発明の一実施形態では、照明源は白色LEDである。白色LEDから発した白色光は、少量の赤色光と、更に少量のIR光とを有する。従って、白色LEDは、赤色光およびIR光に対するシリコンの感度のため、シリコン系の画像センサ(CMOS撮像カメラ等)と共に用いると有益である。
【0038】
本発明の、赤色スペクトルの光に対する感度が低いCMOS撮像カメラおよび白色LED照明源を含むシステムでは、IR排除フィルタ(明所視フィルタ)は不要である。
【0039】
適切な送信器は、CMOS撮像カメラからのビデオ信号(デジタルまたはアナログのいずれか)を受信する変調器、無線周波数(RF)増幅器、インピーダンス整合器およびアンテナを備えることができる。送信器については、
図4において更に例示する。
【0040】
このシステムの他の任意選択的な部分、ならびに消化器系内におけるシステムを含むカプセルの位置決めの方法は、米国特許第5,604,531号(これは、本発明の共通の譲受人に譲渡され、引用によりその全体がここに含まれるものとする)に記載されたものと同様とすれば良い。
【0041】
装置10は、更に、pH、温度、圧力等を測定するためのセンサ素子を含むことができる。これらのセンサ素子は、そのいくつかが従来技術において記載されており、内腔(例えば消化器系)に広く行き渡る状態を測定するのに適切な、装置に添付または装置内に包含することができるいずれかの素子とすれば良い。
【0042】
ここで
図2を参照すると、CMOS撮像カメラの概略的な構成が表されている。CMOS撮像カメラ200は、単一チップ上に能動画素および後処理回路を備えている。CMOS撮像カメラ200は、フォトセル202(CMOS撮像カメラの画素)と、相関二重サンプラ(CDS)204と、アナログ−デジタル(A/D)変換器206と、符号化およびランダム化ユニット208と、回路素子の制御および同期化のためのタイミング発生器210とを含む。
【0043】
光学系によって集められた光は、CMOS撮像カメラ200上に送出され、光がフォトセル202によって吸収されると、光子が電子に変換される。電子は電流に変換され、能動画素回路によってアナログ信号が生成される。アナログ信号は、オンチップ後処理回路によって更に処理するために送出される。信号は、CDS204によって更に処理される。CDS204は、ノイズ排除および信号整形のため、相関二重サンプリングを行い、その後、信号はA/D変換器206に送信される。A/D変換器206は、A/D変換した直列出力であり、信号の直列低電力送信を可能とする。信号はデジタル信号に変換され、更に符号化およびランダム化ユニット208に送信されて、フレームおよび行パラメータを規定し(符号化)、送信のため信号を用意する(ランダム化)。符号化およびランダム化ユニット208は、デジタル「0」および「1」の信号の発生をランダム化して、一方のタイプの信号の再発生によって送信が妨げられないようにする。
【0044】
CMOS撮像カメラ200は、インビボ撮像に合わせて調整した仕様に従って、Given Imaging Ltd.(Yokneam、Israel)によって規定され、Photobit Corporation(California、USA)によって設計される。CMOS撮像チップは、超低電力要件(3ミリワット未満)を有する。温度の関数としての、撮像カメラによって発生する暗電流の増大のダイナミクスは、当技術分野において既知の固体装置のものよりも小さく、37℃において、少量の出力ビデオ信号が暗電流である。更に、上述のように、撮像カメラは、赤色スペクトルの光に対して感度が低く、明所視フィルタの必要性が小さくなる。
【0045】
ここで
図3を参照すると、具体的な一体型光源を備えたインビボ撮像のための装置が例示されている。装置300は、CMOS撮像カメラ302と、CMOS撮像カメラ302上にインビボ画像を撮像するための光学系(図示せず)と、インビボの部位を照らすための一体型光源304とを備えている。装置300は、更に、撮像カメラ302から受信器(図示せず)にビデオ・データを送信するための送信器305を含む。送信器305は、光源304のための高電圧電流源を発生する。一体型光源304は、接続ワイヤ301を介して送信器305に接続されている。装置の電気的構成要素は、装置内に含まれる電池(図示せず)によって給電される。
【0046】
一体型光源304は、CMOS撮像カメラ302を囲む屈折クリスタル・マトリクスのストリップ306を備えている。屈折クリスタル・マトリクスのストリップ306内に封入された青色LEDチップ308が、ストリップ306に沿って配置されて、CMOS撮像カメラ302の周りの円環に照明を与えるようになっている。
【0047】
また、青色LEDチップ308をストリップ306全体に散在させて、ストリップ306全体が発光するようにすることも可能である。
【0048】
ここで
図4を参照すると、送信器のブロック図が例示されている。送信器400は、国際通信規格(FCC等)の基準を満たすように設計されたASIC(特定用途向け集積回路)であり、最小偏位変調(MSK)変調システム上で動作して、アンテナ426および427を介して無線周波数でデジタル信号の受信システムへの送信を実行する。また、送信器400は、本発明の装置の照明および撮像装置ならびに、スイッチの論理変換を(上述のように)制御する。送信器400は、外部プログラミング入力428と通信状態にあるワンタイム・プログラミング・ユニット408と、撮像装置と通信するための制御論理ブロック401と、変調器425と通信状態にある位相ロック・ループ(PLL)402と、任意選択的に、照明を制御するためのLED電力および制御ブロック403と、主発振器404と、内部電子スイッチ406を制御するスイッチ405とを含む。
【0049】
制御論理ブロック401は、撮像装置と通信し、予めプログラムされたパラメータを読み取り、プログラミング・モードにおいて、「外側」とのインタフェースを実行する。制御論理ブロック401は、主クロックを維持し、ビット・レート・データ412およびフレーム・レート413によって、撮像装置によって発生する制御411を介して同期化され、LED電力および制御ブロック403をトリガする。制御論理ブロック401は、更に、主クロック414および撮像装置停止415を制御する。
【0050】
停止の間、送信器は、ビーコン信号のみを送信する。停止によって、装置の電源を経済的に用いることができる。例えば、小腸を撮像するために設計された装置において、送信器400は、2時間の遅延を含むようにプログラムすることができ、その期間中、撮像装置および他の装置の電子機器回路の周期的な停止を実行する。2時間は、特に患者において、ほぼ、嚥下可能な装置が胃を通過して小腸に入るために要する時間である。このため、そういった患者では、装置が小腸に到達した時にのみ、画像を収集するために、装置は電池からの電力を利用する。
【0051】
PLL402は、送信周波数におけるドリフトを自動的に補正することを意図したフィードバック・システムである。PLL402は、チャネル周波数に依存しない高速分周のためのプリスケーラ424を含む。プリスケーラ424は、分周器421と通信状態にあり、分周器421は、発振器404の周波数を分割して、PLLのための基準周波数を実行する。分割値は、チャネルに依存する。また、PLL402は、PLLの周波数比較および位相比較を行うための位相周波数検出器(PED)422と、全ループのループ送信の整形を実行するためのチャージ・ポンプ423とを含む。
【0052】
LED電力および制御ブロック403は、外部コンデンサ431によって制御される高電圧源432を含む。また、LED電力および制御ブロック403は、高電流源433を含み、LEDのピーク電流値は、LedRes435に接続された抵抗によって制御される。
【0053】
送信器400は、外部磁気スイッチ405によって制御される。スイッチ405は、上述のように、外部磁石によって閉じたままとされる、常時開(NO)スイッチである。スイッチ405は、全ての装置のエレクトロニクスを制御する内部電子スイッチ406を制御する。電子スイッチ406は、NOスイッチ405の論理を「常時閉」(NC)論理に変換する低漏れ回路を含み、スイッチ405がNOスイッチであるにもかかわらず、これが閉じている間は送信器をイナクティブのままとするようにする。
【0054】
低漏れ回路は、1年当たり、電池電力の1%ないし3%を用いるだけであるので、内部電子スイッチ406は、この装置の電力方式において大きなファクタではない。
【0055】
本発明の一実施形態では、この装置は、光窓を有し、CMOS撮像カメラと、白色LEDと、光学系と、送信器と、電池とを備えた、嚥下可能カプセルである。嚥下可能カプセルは、PCT出願IL00/00752号(これは、本発明の共通の譲受人に譲渡され、引用によりその全体がここに含まれるものとする)に記載された磁気パッケージング等、磁石を有するパッケージ内に含まれている間はイナクティブのままである。用いる直前に、磁石を有するパッケージを除去してスイッチ405を開放可能とし、これによって送信器を作動させ、これと共に、撮像装置および照明動作を始動する。
【0056】
送信器400における情報の入力帯域幅は、毎秒1.35メガビットを超える。かかるビデオ・データ送信のための低電力高入力帯域幅の送信器は、当技術分野においていまだ示されていない。
【0057】
ここで
図5を参照すると、本発明の方法のブロック図が例示されている。インビボ撮像のための方法は、以下のステップを含む。すなわち、インビボの部位を照らす(502)、CMOS撮像カメラの画素上に送出光を集めて、これによってアナログ信号を発生する(504)、アナログ信号をデジタル信号に変換する(506)、デジタル信号をランダム化する(508)、デジタル信号を受信システムに送信する(510)、送信された信号を処理してインビボ部位の画像を得る(512)、である。
【0058】
照明するステップ(502)は、インビボの部位を照らすために白色LEDを用いて行うと好ましい。システムの特定の要件に合わせて、照明は、連続的または交番したものとすることができる。
【0059】
インビボの部位から送出された光を集めること(504)およびこれをCMOS撮像チップの画素上に向けることは、レンズを備え、更にいずれかの適切なコリメータを備えていても良い光学系を用いることによって、達成される。
【0060】
アナログ信号からデジタル信号への変換(506)は、直列で行うと好ましい。
【0061】
デジタル信号のランダム化(508)、すなわちデジタル信号(「0」および「1」)の発生のランダム化は、一方のタイプの信号の再発生によって送信が妨げられないように行う。
【0062】
信号の送信(510)は、患者の身体に取り付けた多数のアンテナに対して、毎秒2ないし8フレームのレートで、無線周波数(約432〜434Mhz)を用いて達成する。アンテナによって、画像の捕捉が可能となり、また、アンテナを用いて、患者の身体内の撮像装置の位置を算出して示す。患者の身体内における撮像装置の位置の算出および表示の一例は、上述の米国特許第5,604,531号に記載されている。
【0063】
信号の処理(512)は、適切なプロセッサおよびソフトウエアを用いることで実行可能である。例えば、RAPIDソフトウエア(Given Imaging Ltd.(Yokneam、Israel)によって開発され所有される所有ソフトウエア)を用いて、GI管内から捕捉した画像のビデオ・クリップを得る。撮像装置がGI管を通過する際に、撮像装置の経路にビデオ・クリップを同期させて、GI管内の装置の位置を突き止めることを可能とする。
【0064】
更に、複数の受信アンテナを用いて、これらを最善の受信条件を可能とする位置に動かすことができる。
【0065】
画像は、ベルトに搭載した小さい携帯用記録器に格納し、続いて分析および検索のためにダウンロードすることができる。更に、受信器を固定データ記録器に直接接続することも可能である。
【0066】
CMOS撮像チップ、小型プロセッサ、白色LED光源、短焦点距離レンズ、小型送信器およびアンテナを備えた11x30ミリメートルのカプセルによって実験を行った。カプセルは、酸化銀電池によって給電し、飲み込んで、胃腸管からの画像を5時間以上連続して記録することができた。
【0067】
歩行する犬で、6時間までの間、高品質のビデオ画像を生放送で送信した。
【0068】
倫理委員会の承認を得て、人のボランティアによる研究を行った。カプセルは容易に飲み込まれた。胃および小腸から、動画が得られた。苦痛はなかった。光窓は、全ての送信の間、透明なままであった。
【0069】
信号強度の三角分析によって、カプセル位置を連続的に監視することができた。小腸の撮像は、2時間で成功のうちに完了した。
【0070】
本発明は、先に具体的に図示し説明したものに限定されないことは、当業者には理解されよう。本発明の範囲は、特許請求の範囲によってのみ規定される。