(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0016】
(実施例1)
図1を参照すると、本実施例のスピーカー100は、フレーム10と、磁石11と、加強板12と、音声コイル13と、振動板14と、を含む。
【0017】
前記フレーム10は、円形の金属板をプレスして形成したものである。前記フレーム10は、上方板10aと、側壁10bと、縁部10cと、を含む。前記側壁10bは、前記上方板10aの周辺から延伸している。前記側壁10b及び上方板10aは、チャンバ101を形成している。該チャンバ101は、前記上方板10aに向ける開口(図示せず)を有する。前記縁部10cは、前記側壁10bの一方の周辺を囲むように、前記側壁10bに対して垂直に設けられている。空気を前記チャンバ101の中に入れるために、前記縁部10cに複数の換気口103を設けている。前記磁石11を設置するために、前記上方板10aと垂直に、その中央に固定柱104を設置する。
【0018】
前記磁石11は、中心孔11aを有するリング形のものであり、前記固定柱104は、前記磁石11の中心孔11aを貫通して固定されている。前記磁石11の外直径は、前記チャンバ101の内直径より小さい。前記磁石11の厚さは、前記固定柱104の長さより小さいので、前記加強板12によって前記固定柱104を固定させることができる。
【0019】
前記磁石11が前記固定柱104から脱離することを防止するために、前記加強板12を前記固定柱104の末端に固定させることが好ましい。前記加強板12は、衝撃吸収材料からなるので、前記磁石11の損傷を防止することができる。前記加強板12の外直径は、前記磁石11の外直径より少し大きく設けられている。前記加強板12と、前記上方板10aと、前記固定柱104と、により、前記磁石11を前記チャンバ101に固定させることができる。
【0020】
前記音声コイル13は前記スピーカー100を駆動する素子として、前記磁石11と前記側壁10bとの間に形成した隙間に設置されている。前記音声コイル13は導電ワイヤからなる。前記音声コイル13に電気信号を入力すると、前記音声コイル13によって磁界を発生できる。前記音声コイル13で生じた磁界及び前記磁石11の相互作用により、前記音声コイル13を振動させる。
【0021】
前記振動板14は、前記スピーカー100の発音素子として設置されている。前記振動板10の形状は、長方形、楕円形、円形、三角形などの形状に形成されている。大寸法のスピーカー100に応用する場合、前記振動板14は錐体に形成されている。小寸法のスピーカー100に応用する場合、前記振動板14は、平板状の円形又は長方形に形成されている。
【0022】
図2及び3を参照すると、前記振動板14は凸形の中心部142と、円形の縁部141と、を含む。前記縁部141の裏縁部は、前記中心部142の外周辺に接合され、前記縁部141の外周辺は、前記フレーム10の縁部10cに固定されているので、前記振動板14は前記フレーム10に固定されている。この場合、前記振動板14の中心部142の中心部142は、前記チャンバ101の開口を覆うことができる。さらに、前記音声コイル13は、前記振動板14の中心部142の外周に接合され、前記振動板14の中心部142及び縁部141の接合部に接合されていることができる。これにより、前記振動板14の中心部142及び縁部141は、前記音声コイル13と共に振動される。
【0023】
前記振動板14の縁部141は、布、紙、紙状のウール又はポリプロピレンである。前記振動板14の中心部142は、厚さが1μm〜1mmのカーボンナノチューブ複合構造体からなる。本実施例において、前記振動板14の中心部142は、基材及び該基材に複合されたカーボンナノチューブ構造体を含む。前記基材及びカーボンナノチューブ構造体の関係により、前記カーボンナノチューブ複合構造体を次の通りに分類することができる。
【0024】
第一種には、基材の材料がカーボンナノチューブ構造体に浸透されてカーボンナノチューブ複合構造体に形成されている。該カーボンナノチューブ複合構造体において、前記基材は、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ビチューメン、tenasco、フェノールファイバーポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、エポキシド樹脂、ポリエステルのいずれか一種のポリマーである。
【0025】
第二種には、基材は層状の構造体であり、カーボンナノチューブ構造体が該層状の基材の中に分散されている。前記基材は、布、紙又は紙状のウールであるか、又はセルロース、テレフタル酸ポリエチレン、ポリエチレン、スチレン樹脂、フェノール樹脂、エポキシド樹脂、ポリエステルのいずれか一種のポリマーである。
【0026】
図3を参照すると、一つの例として、前記振動板14の中心部142はカーボンナノチュー複合構造体である。前記振動板14の縁部141は、布、紙、紙状のウール又はポリプロピレンである。前記振動板14の縁部141は、接着剤で前記振動板14の中心部142の外周辺に接合されている。
【0027】
図4を参照すると、もう一つの例として、前記振動板14の中心部142は基材143及びカーボンナノチューブ構造体144を含む。該カーボンナノチューブ構造体144は、前記基材143の一つの表面に設置されている。前記基材143の一部は、前記カーボンナノチューブ構造体144に浸透されてカーボンナノチューブ複合構造体に形成されている。
【0028】
前記基材143及び前記振動板14の縁部141は、同じ材料からなることができる。この場合、前記材料を一体成型加工して一つの板状構造体を形成した後、前記カーボンナノチューブ構造体144を該板状構造体の中央部に設置する。最後に、前記カーボンナノチューブ構造体144及び前記板状構造体を熱プレスして、前記板状構造体の一部を前記カーボンナノチューブ構造体144に浸透させ、前記振動板14の中心部142を形成する。
【0029】
前記カーボンナノチューブ構造体144は、複数の孔を有し、複数のカーボンナノチューブを含む自立構造を有するものである。ここで、自立構造とは、支持体材を利用せず、前記カーボンナノチューブ構造体144を独立して利用することができるという形態のことである。すなわち、前記カーボンナノチューブ構造体144を対向する両側から支持して、前記カーボンナノチューブ構造体144の構造を変化させずに、前記カーボンナノチューブ構造体144を懸架させることができることを意味する。
【0030】
前記カーボンナノチューブ構造体144には、前記複数のカーボンナノチューブが均一に分散されている。前記複数のカーボンナノチューブは、配向し又は配向せずに配置されている。前記複数のカーボンナノチューブが配向せずに配置されている場合、カーボンナノチューブが異なる方向に沿って配置され、又は絡み合っている。前記複数のカーボンナノチューブが配向している場合、前記複数のカーボンナノチューブが同じ方向に沿って配列している。前記カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ又は多層カーボンナノチューブである。前記カーボンナノチューブが単層カーボンナノチューブである場合、直径は0.5nm〜50nmに設定され、前記カーボンナノチューブが二層カーボンナノチューブである場合、直径は1nm〜50nmに設定され、前記カーボンナノチューブが多層カーボンナノチューブである場合、直径は1.5nm〜50nmに設定される。
【0031】
本発明のカーボンナノチューブ構造体としては、以下の(一)〜(四)のものが挙げられる。
【0032】
(一)ドローン構造カーボンナノチューブフィルム
前記カーボンナノチューブ構造体は、少なくとも一枚のカーボンナノチューブフィルムを含む。このカーボンナノチューブフィルムは
図5に示すドローン構造カーボンナノチューブフィルム(drawn carbon nanotube film)であることができる。前記カーボンナノチューブフィルムは、超配列カーボンナノチューブアレイ(非特許文献1を参照)から引き出して得られたものである。単一の前記カーボンナノチューブフィルムにおいて、複数のカーボンナノチューブが同じ方向に沿って、端と端が接続されている。即ち、単一の前記カーボンナノチューブフィルムは、分子間力で長さ方向端部同士が接続された複数のカーボンナノチューブを含む。単一の前記カーボンナノチューブフィルムは、複数のカーボンナノチューブセグメントを含む。前記複数のカーボンナノチューブセグメントは、長さ方向に沿って分子間力で端と端が接続されている。それぞれのカーボンナノチューブセグメントは、相互に平行に、分子間力で結合された複数のカーボンナノチューブを含む。単一の前記カーボンナノチューブセグメントにおいて、前記複数のカーボンナノチューブの長さが同じである。前記カーボンナノチューブフィルムを有機溶剤に浸漬させることにより、前記カーボンナノチューブフィルムの靭性及び機械強度を高めることができる。有機溶剤に浸漬された前記カーボンナノチューブフィルムは、単位面積当たりの熱容量が低くなる。前記カーボンナノチューブフィルムの幅は100μm〜10cmに設けられ、厚さは0.5nm〜100μmに設けられる。
【0033】
前記カーボンナノチューブ構造体144は、積層された複数の前記カーボンナノチューブフィルムを含むことができる。この場合、隣接する前記カーボンナノチューブフィルムは、分子間力で結合されている。隣接する前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブは、それぞれ0°〜90°の角度で交差している。隣接する前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブが0°より大きな角度で交差する場合、前記カーボンナノチューブ構造体144に複数の微孔が形成される。又は、前記複数のカーボンナノチューブフィルムは、隙間なく並列されることもできる。
【0034】
前記カーボンナノチューブフィルムの製造方法は次のステップを含む。
【0035】
第一ステップでは、カーボンナノチューブアレイを提供する。該カーボンナノチューブアレイは、超配列カーボンナノチューブアレイ(Superaligned array of carbon nanotubes,非特許文献1を参照)であり、該超配列カーボンナノチューブアレイの製造方法は、化学気相堆積法を採用する。該製造方法は、次のステップを含む。ステップ(a)では、平らな基材を提供し、該基材はP型のシリコン基材、N型のシリコン基材及び酸化層が形成されたシリコン基材のいずれか一種である。本実施例において、4インチのシリコン基材を選択することが好ましい。ステップ(b)では、前記基材の表面に、均一に触媒層を形成する。該触媒層の材料は鉄、コバルト、ニッケル及びその2種以上の合金のいずれか一種である。ステップ(c)では、前記触媒層が形成された基材を700℃〜900℃の空気で30分〜90分間アニーリングする。ステップ(d)では、アニーリングされた基材を反応炉に置き、保護ガスで500℃〜740℃の温度で加熱した後で、カーボンを含むガスを導入して、5分〜30分間反応を行って、超配列カーボンナノチューブアレイ(Superaligned array of carbon nanotubes,非特許文献1)を成長させることができる。該カーボンナノチューブアレイの高さは100マイクロメートル以上である。該カーボンナノチューブアレイは、互いに平行し、基材に垂直に生長する複数のカーボンナノチューブからなる。該カーボンナノチューブは、長さが長いため、部分的にカーボンナノチューブが互いに絡み合っている。生長の条件を制御することによって、前記カーボンナノチューブアレイは、例えば、アモルファスカーボン及び残存する触媒である金属粒子などの不純物を含まなくなる。
【0036】
本実施例において、前記カーボンを含むガスとしては例えば、アセチレン、エチレン、メタンなどの活性な炭化水素が選択され、エチレンを選択することが好ましい。保護ガスは窒素ガスまたは不活性ガスであり、アルゴンガスが好ましい。
【0037】
本実施例から提供されたカーボンナノチューブアレイは、前記の製造方法により製造されることに制限されず、アーク放電法またはレーザー蒸発法で製造してもよい。
【0038】
第二ステップでは、前記カーボンナノチューブアレイから、少なくとも、一枚のカーボンナノチューブフィルムを引き伸ばす。まず、ピンセットなどの工具を利用して複数のカーボンナノチューブの端部を持つ。例えば、一定の幅を有するテープを利用して複数のカーボンナノチューブの端部を持つ。次に、所定の速度で前記複数のカーボンナノチューブを引き出し、複数のカーボンナノチューブセグメントからなる連続のカーボンナノチューブフィルムを形成する。
【0039】
前記複数のカーボンナノチューブを引き出す工程において、前記複数のカーボンナノチューブがそれぞれ前記ベースから脱離すると、分子間力で前記カーボンナノチューブセグメントが端と端で接合され、連続のカーボンナノチューブフィルムが形成される(
図5を参照)。
図5及び
図6を参照すると、単一の前記カーボンナノチューブフィルム143aは、複数のカーボンナノチューブセグメント143bを含む。前記複数のカーボンナノチューブセグメント143bは、長さ方向に沿って分子間力で端と端が接続されている。それぞれのカーボンナノチューブセグメント143bは、相互に平行に、分子間力で結合された複数のカーボンナノチューブ145を含む。単一の前記カーボンナノチューブセグメント143bにおいて、前記複数のカーボンナノチューブ145の長さが同じである。前記カーボンナノチューブフィルム143aを有機溶剤に浸漬させることにより、前記カーボンナノチューブフィルム143aの強靭性及び機械強度を高めることができる。有機溶剤に浸漬された前記カーボンナノチューブフィルムの単位体積当たりの熱容量が小さくなる。
【0040】
前記カーボンナノチューブ構造体の機械強度及び強靭性を高めるために、二枚以上の前記カーボンナノチューブフィルムを積層させて前記カーボンナノチューブ構造体を形成することができる。この場合、隣接する前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブは、0〜90°で交叉している。前記カーボンナノチューブ構造体の光透過率は、積層された前記カーボンナノチューブフィルムの枚数に関係する。即ち、積層された前記カーボンナノチューブフィルムの枚数は多いほど、前記カーボンナノチューブ構造体が厚くなり、その光透過率が低くなる。本実施例において、前記カーボンナノチューブ構造体の厚さは、0.5nm〜1mmである。前記カーボンナノチューブ構造体の厚さが、0.5nm〜99nmである場合、前記カーボンナノチューブ構造体の光透過率は86%〜95%に達することができる。
【0041】
(二)綿毛構造カーボンナノチューブフィルム
前記カーボンナノチューブ構造体144は、少なくとも一枚のカーボンナノチューブフィルムを含む。このカーボンナノチューブフィルムは綿毛構造カーボンナノチューブフィルム(flocculated carbon nanotube film)であることができる。
図7を参照すると、単一の前記カーボンナノチューブフィルムにおいて、複数のカーボンナノチューブは、絡み合い、等方的に配列されている。前記カーボンナノチューブ構造体においては、前記複数のカーボンナノチューブが均一に分布されている。複数のカーボンナノチューブは配向せずに配置されている。単一の前記カーボンナノチューブの長さは、100nm以上であり、100nm〜10cmであることが好ましい。前記複数のカーボンナノチューブは、分子間力で接近して、相互に絡み合って、カーボンナノチューブネット状に形成されている。前記複数のカーボンナノチューブは配向せずに配置されて、多くの微小な孔が形成されている。ここで、単一の前記微小な孔の直径が10μm以下になる。前記カーボンナノチューブ構造体におけるカーボンナノチューブは、相互に絡み合って配置されるので、該カーボンナノチューブ構造体は柔軟性に優れ、任意の形状に湾曲して形成させることができる。用途に応じて、前記カーボンナノチューブ構造体の長さ及び幅を調整することができる。前記カーボンナノチューブ構造体144の厚さは、0.5nm〜1mmである。
【0042】
前記カーボンナノチューブフィルムの製造方法は、下記のステップを含む。
【0043】
第一ステップでは、カーボンナノチューブ原料(綿毛構造カーボンナノチューブフィルムの素になるカーボンナノチューブ)を提供する。
【0044】
ナイフのような工具で前記カーボンナノチューブを前記基材から剥離し、カーボンナノチューブ原料が形成される。前記カーボンナノチューブは、ある程度互いに絡み合っている。前記カーボンナノチューブの原料においては、該カーボンナノチューブの長さは、100マイクロメートル以上であり、10マイクロメートル以上であることが好ましい。
【0045】
第二ステップでは、前記カーボンナノチューブ原料を溶剤に浸漬し、該カーボンナノチューブ原料を処理して、綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体を形成する。
【0046】
前記カーボンナノチューブ原料を前記溶剤に浸漬した後、超音波式分散、又は高強度撹拌又は振動などの方法により、前記カーボンナノチューブを綿毛構造に形成させる。前記溶剤は水または揮発性有機溶剤である。超音波式分散方法により、カーボンナノチューブを含む溶剤を10〜30分間処理する。カーボンナノチューブは大きな比表面積を有し、カーボンナノチューブの間に大きな分子間力が生じるので、前記カーボンナノチューブはそれぞれもつれて、綿毛構造に形成される。
【0047】
第三ステップでは、前記綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体を含む溶液をろ過して、最終的な綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体を取り出す。
【0048】
まず、濾紙が置かれたファネルを提供する。前記綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体を含む溶剤を濾紙が置かれたファネルにつぎ、しばらく放置して、乾燥させると、綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体が分離される。
図7を参照すると、前記綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体におけるカーボンナノチューブが互いに絡み合って、不規則的な綿毛構造となる。
【0049】
分離された前記綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体を容器に置き、前記綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体を所定の形状に展開し、展開された前記綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体に所定の圧力を加え、前記綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体に残留した溶剤を加熱するか、或いは、該溶剤が自然に蒸発すると、綿毛構造のカーボンナノチューブフィルムが形成される。
【0050】
前記綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体が展開される面積によって、綿毛構造のカーボンナノチューブフィルムの厚さと面密度を制御できる。即ち、一定の体積を有する前記綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体は、展開される面積が大きくなるほど、綿毛構造のカーボンナノチューブフィルムの厚さと面密度が小さくなる。
【0051】
また、微多孔膜とエアーポンプファネル(Air−pumping Funnel)を利用して綿毛構造のカーボンナノチューブフィルムが形成される。具体的には、微多孔膜とエアーポンプファネルを提供し、前記綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体を含む溶剤を、前記微多孔膜を通して前記エアーポンプファネルにつぎ、該エアーポンプファネルに抽気し、乾燥させると、綿毛構造のカーボンナノチューブフィルムが形成される。前記微多孔膜は、平滑な表面を有する。該微多孔膜において、単一の微小孔の直径は、0.22マイクロメートルにされている。前記微多孔膜は平滑な表面を有するので、前記カーボンナノチューブフィルムは容易に前記微多孔膜から剥落することができる。さらに、前記エアーポンプを利用することにより、前記綿毛構造のカーボンナノチューブフィルムに空気圧をかけるので、均一な綿毛構造のカーボンナノチューブフィルムを形成させることができる。
【0052】
(三)プレシッド構造カーボンナノチューブフィルム
前記カーボンナノチューブ構造体144は、少なくとも一枚のカーボンナノチューブフィルムを含む。このカーボンナノチューブフィルムは、
図8に示すプレシッド構造カーボンナノチューブフィルム(pressed carbon nanotube film)であることができる。単一の前記カーボンナノチューブフィルムにおける複数のカーボンナノチューブは、等方的に配列されているか、所定の方向に沿って配列されているか、または、異なる複数の方向に沿って配列されている。前記カーボンナノチューブフィルムは、押し器具を利用することにより、所定の圧力をかけて前記カーボンナノチューブアレイを押し、該カーボンナノチューブアレイを圧力で倒すことにより形成された、シート状の自立構造を有するものである。前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブの配列方向は、前記押し器具の形状及び前記カーボンナノチューブアレイを押す方向により決められている。
【0053】
単一の前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブが配向せずに配置されることができる。該カーボンナノチューブフィルムは、等方的に配列されている複数のカーボンナノチューブを含む。隣接するカーボンナノチューブが分子間力で相互に引き合い、接続する。該カーボンナノチューブ構造体が平面等方性を有する。該カーボンナノチューブフィルムは、平面を有する押し器具を利用して、カーボンナノチューブアレイが成長された基板に垂直な方向に沿って前記カーボンナノチューブアレイを押すことにより形成される。
【0054】
単一の前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブが配向して配列されることができる。該カーボンナノチューブフィルムは、同じ方向に沿って配列された複数のカーボンナノチューブを含む。ローラー形状を有する押し器具を利用して、同じ方向に沿って前記カーボンナノチューブアレイを同時に押す場合、基本的に同じ方向に配列されるカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブフィルムが形成される。また、ローラー形状を有する押し器具を利用して、異なる方向に沿って、前記カーボンナノチューブアレイを同時に押す場合、前記異なる方向に沿って、選択的な方向に配列されるカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブフィルムが形成される。
【0055】
前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブの傾斜の程度は、前記カーボンナノチューブアレイにかけた圧力に関係する。前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブと該カーボンナノチューブフィルムの表面とは、角度αを成し、該角度αは0°以上15°以下である。好ましくは、前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブが該カーボンナノチューブフィルムの表面に平行する。前記圧力が大きくなるほど、前記傾斜の程度が大きくなる。前記カーボンナノチューブフィルムの厚さは、前記カーボンナノチューブアレイの高さ及び該カーボンナノチューブアレイにかけた圧力に関係する。即ち、前記カーボンナノチューブアレイの高さが大きくなるほど、また、該カーボンナノチューブアレイにかけた圧力が小さくなるほど、前記カーボンナノチューブフィルムの厚さが大きくなる。これとは逆に、カーボンナノチューブアレイの高さが小さくなるほど、また、該カーボンナノチューブアレイにかけた圧力が大きくなるほど、前記カーボンナノチューブフィルムの厚さが小さくなる。
【0056】
(四)カーボンナノチューブワイヤ
前記カーボンナノチューブ構造体は少なくとも一本のカーボンナノチューブワイヤを含むことができる。一本の前記カーボンナノチューブワイヤの熱容量は、0(0は含まず)〜2×10
−4J/cm
2・Kであり、5×10
−5J/cm
2・Kであることが好ましい。一本の前記カーボンナノチューブワイヤの直径は4.5nm〜1cmである。
図9を参照すると、前記カーボンナノチューブワイヤは、分子間力で接続された複数のカーボンナノチューブからなる。この場合、一本のカーボンナノチューブワイヤ(非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤ)は、端と端とが接続された複数のカーボンナノチューブセグメント(図示せず)を含む。前記カーボンナノチューブセグメントは、同じ長さ及び幅を有する。さらに、各々の前記カーボンナノチューブセグメントに、同じ長さの複数のカーボンナノチューブが平行に配列されている。前記複数のカーボンナノチューブはカーボンナノチューブワイヤの中心軸に平行に配列されている。この場合、一本の前記カーボンナノチューブワイヤの直径は、1μm〜1cmである。
図10を参照すると、前記カーボンナノチューブワイヤをねじり、ねじれ状カーボンナノチューブワイヤを形成することができる。ここで、前記複数のカーボンナノチューブは前記カーボンナノチューブワイヤの中心軸を軸に、螺旋状に配列されている。この場合、一本の前記カーボンナノチューブワイヤの直径は、1μm〜1cmである。前記カーボンナノチューブ構造体は、前記非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤ、ねじれ状カーボンナノチューブワイヤ又はそれらの組み合わせのいずれか一種からなる。
【0057】
前記カーボンナノチューブワイヤを形成する方法は、カーボンナノチューブアレイから引き出してなるカーボンナノチューブフィルムを利用する。前記カーボンナノチューブワイヤを形成する方法は、次の三種がある。第一種では、前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブの長手方向に沿って、前記カーボンナノチューブフィルムを所定の幅で切断し、カーボンナノチューブワイヤを形成する。第二種では、前記カーボンナノチューブフィルムを有機溶剤に浸漬させて、前記カーボンナノチューブフィルムを収縮させてカーボンナノチューブワイヤを形成することができる。第三種では、前記カーボンナノチューブフィルムを機械加工(例えば、紡糸工程)してねじれたカーボンナノチューブワイヤを形成する。詳しく説明すれば、まず、前記カーボンナノチューブフィルムを紡糸装置に固定させる。次に、前記紡糸装置を動作させて前記カーボンナノチューブフィルムを回転させ、ねじれたカーボンナノチューブワイヤを形成する。
【0058】
前記カーボンナノチューブ構造体が複数のカーボンナノチューブワイヤを含む場合、前記複数のカーボンナノチューブワイヤは平行に並列され、又は交叉して織られ、又はねじれていることができる。
【0059】
前記カーボンナノチューブ構造体の機械強度及び強靭性を高めるために、二枚以上の前記カーボンナノチューブフィルムを積層させて前記カーボンナノチューブ構造体を形成することができる。しかし、前記カーボンナノチューブ構造体は厚すぎると、その比表面積が低くなり、その熱容量が高くなる。反対に、前記カーボンナノチューブ構造体は薄すぎると、その靭性が低くなり、その使用寿命が短くなる。従って、前記カーボンナノチューブ構造体の厚さは、0.5nm〜1mmに設定されることが好ましい。本実施例において、前記カーボンナノチューブ構造体は、四枚の前記カーボンナノチューブフィルムを積層させて形成したものであり、その厚さは、40nm〜100μmである。隣接する前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブは、平行して配列されている。
【0060】
(実施例2)
図11を参照すると、本実施例の振動板24は実施例1の振動板14と比べて、次の異なる点がある。前記振動板24は凸形の中心部242と、円形の縁部241と、を含む。前記振動板24の中心部242及び縁部241は、実施例1のカーボンナノチューブ複合構造体からなり、一体成型したものである。
【0061】
(実施例3)
図12を参照すると、本実施例の振動板34は実施例1の振動板14と比べて、次の異なる点がある。前記振動板34は凸形の中心部342と、円形の縁部341と、を含む。前記振動板34の中心部342は、実施例1のカーボンナノチューブ複合構造体を含む。前記振動板34の中心部342は、複数の実施例1のカーボンナノチューブフィルムを積層してなるものであり、その厚さは、1μm〜1mmである。