【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は請求項1の特徴による方法によって達成される。この方法のさらなる有益な実施形態は、従属の請求項において特定される。請求項において個々に特定される特徴は、任意の所望の技術的に有意義な方法において互いに組み合わされてもよく、発明の詳細な説明からの事実から補足されてもよく、本発明のさらなる構造的変形例が提示される。
【0011】
開口粒子分離器を再生するための本発明による方法は、少なくとも以下の工程:
a)開口粒子分離器の再生能力のための特徴的変数として少なくとも1つのパラメータを測定する工程と、
b)少なくとも1つのパラメータと、第1の閾値とを比較する工程と、
c)パラメータが第1の閾値に到達している間、比較時間の少なくとも1つの比率を測定する工程と、
d)比率と、比較時間における最小再生時間に対応する第1の最小比率とを比較する工程と、
e)パラメータに影響を与えるための手段を開始し、それによって、前記パラメータが、第1の最小比率に少なくとも対応して存在し、かつ、第1の閾値に到達し、および/または開口粒子分離器が再生される工程と、
を含む。
【0012】
本発明による方法は、特定の最小条件(その条件の下で、開口粒子分離器(部分流深さフィルタ(partial−flow depth filter)とも呼ばれる)が適切に再生される)が、作動時間の特定の比率で存在する場合、開口粒子分離器の完全な機能が確保されるという実現に基づく。例えば、250℃以上の温度が作動時間の40%で存在する場合、典型的な開口粒子分離器の完全な機能が確保される。
【0013】
従って、工程a)において、本発明の開口粒子分離器の再生能力を反映するパラメータが最初に測定される。これは、例えば粒子フィルタにわたる温度であってもよい。
【0014】
工程b)において、前記パラメータは、ここで、第1の閾値と比較される。温度の場合、ここで、例えば、比較温度(例えば250℃)より高いか、低いかをチェックする。
【0015】
工程c)において、その後、工程b)において測定された条件がどれほどの時間存在するかをチェックする。これは常に比較時間において行われる。前記比較時間は必要な場合、規定されてもよく、場合により、内燃エンジンの作動の直近の80分であってもよい。ここでは、例えば、直近の80分の作動時間のうちの50%の比率の間、粒子分離器において250℃以上の温度が存在すると定める。
【0016】
工程d)において、工程c)において測定された比率は、ここで、再生のために適切な第1の最小比率時間と比較され、それによって、必要な再生条件が存在するか否かを定める。例えば、直近の80分の作動時間のうちの50%の比率で、必要な最小比率が40%の場合、必要な再生能力が適切な長さの時間存在するので、さらなる手段が開始される必要はないと定められる。
【0017】
しかしながら、工程d)において必要な第1の最小比率に到達しなかった場合、工程e)においてパラメータに影響を与えるための手段が開始されることが定められる。これは、工程d)において要求される第1の最小比率に再び到達させることを目的とする。パラメータが温度の場合、例えば、開口粒子分離器のための加熱手段が開始される。
【0018】
開口粒子分離器の再生能力に関する特徴的変数としての「パラメータ」は、例えば、排ガスおよび/または開口粒子分離器の温度、排気システムにおける排ガスの圧力差、排ガスの体積流量率、酸化窒素濃度(No
x濃度)または加重した組み合わせパラメータであってもよい。これは、工程b)における閾値に対応して適用される。工程c)およびd)における比率および第1の最小比率として、通常、比較時間の比率の割合が利用される。しかしながら、絶対時間が互いに比較されてもよい。
【0019】
開口粒子分離器の温度がパラメータとして使用される場合、特に200〜300℃の温度、好ましくは約250℃が、従来の触媒的に活性なコーティングおよび場合により、排気システム(CRTプロセス)の上流に設けられる酸化触媒コンバータを有する現在の公知の開口粒子分離器の第1の閾値として考慮される。閾値に到達しなければならない間の必要な最小の比率として、特に30〜50%の比率時間、好ましくは約40%の比較時間が考慮される。
【0020】
このようなパラメータ、第1の閾値および比率の選択を用いて公知の開口粒子分離器の適切な再生を、本発明の範囲内の試験によって確立した。将来の開口粒子分離器に関して、適切な場合、前記値は、再生の必要性およびその再生能力に適合されなければならない。
【0021】
典型的な比較時間は、例えば5分〜5時間の長さであってもよい。一定の長さの比較時間が考慮されるだけではない。例えば、接続される内燃エンジンの直近の作動開始からの全作動時間が本発明による方法の範囲内で考慮されてもよい。開始後すぐに比較時間として直近の開始後からの作動時間が考慮されてもよく、内燃エンジンの特定の作動時間後、一定の長さに設定された比較時間が考慮されてもよい。開口粒子分離器の再生後、比較時間は再度、修正されてもよい。
【0022】
工程e)において開始される手段は2つの異なる目的を有し得る。第1の予定される目的は、工程b)およびd)において要求される条件(第1の最小比率に関する閾値)が満たされるようにパラメータに影響を与えることである。別のアプローチは、短時間で非常に集中的にパラメーに影響を与えることによって達成される開口粒子フィルタの即座の再生である。必要な場合、工程e)の両方の変数を互いに組み合わせることも可能である。
【0023】
考慮される比較時間の間の開口粒子フィルタのそのような短時間の再生により、比較時間の測定された比率について補正間隔が指定されてもよく、その補正間隔によって、前記比率は、本発明による方法の信頼性のある作動を確保し続けるために、工程c)と工程d)との間で補正される。
【0024】
この方法の範囲内で開示されている工程a)〜e)は、典型的に、ループ形式で一定間隔、繰り返し実施される。
【0025】
内燃エンジンの未処理の排出がさらに、本発明による方法の範囲内でモニターされてもよい。これは特に、内燃エンジンの排出口において直接、排ガスの汚染物質含有量(粒子負荷、一酸化炭素含有量および/またはNO
x濃度)をモニターすることを意味する。例えば、排ガス中の粒子の量が既に許容可能であると検出されている場合、工程e)におけるパラメータへの影響は、適切な場合、一時的に停止されてもよい。同様に、NO
2濃度が比較的高く存在する場合、遅延させた再生が、適切な場合、実施されてもよい。
【0026】
工程a)において測定されるパラメータまたは工程c)において測定される比率がバッファーに保存される場合、本発明による方法は特に利点がある。適切な場合、両方の値をバッファーに保存することも可能である。これは、一体化した回路で行われ得、この方法の工程d)において必要とされる比較の簡単な実施を可能にする。
【0027】
工程e)における手段が、電気エネルギーの供給によって、炭化水素の注入によって、または内燃エンジンの点火挙動の変化よって、少なくともパラメータに影響を与える場合、本発明による方法はまた、特に利点がある。適切な場合、その手段はまた、任意の所望の方法で互いに組み合わされてもよい。
【0028】
パラメータが温度の場合、前記温度は、記載した手段によって容易に高くされてもよい。例えば、粒子分離器自体および/または上流の加熱触媒コンバータの形態における電気加熱ユニットにより、温度を容易に増加させることができる。あるいは、炭化水素(燃料)の注入が、定期的な注入システムによって、排気ラインまたは内燃エンジンのいずれかにおいて開口粒子分離器の上流で行われてもよい。内燃エンジンの点火挙動を変化させることによって、未燃焼の炭化水素が、内燃エンジンから排気システム内、それによって開口粒子分離器内へ入り、それによって、排ガスは、前記粒子分離器または上流の酸化触媒コンバータにおいて発熱的に変換され、所望の反応熱が生成される状態を実現することが可能である。
【0029】
通常、工程e)においてパラメータに影響を与えるために、接続されている内燃エンジンの効率を低下させる手段がまた実施されてもよい。例えば、排ガスの流れの少なくとも部分的なスロットルが行われてもよい。内燃エンジンに供給される吸気のスロットルもまた、パラメータに影響を与えるのに適切である。
【0030】
工程b)におけるパラメータがさらに、第2の閾値と比較される場合、この方法はまた、利点があり、パラメータに影響を与えるための第1の手段によって第1の閾値に到達し得るか否かがチェックされ、第1の閾値に到達し得る場合のみ工程e)において前記第1の手段が開始される。
【0031】
この背景には、前記手段によって、前記パラメータが到達すべき第1の閾値に到達できない場合、パラメータに影響を与えるための手段を開始することが非経済的である場合があるからである。例えば、電気加熱ユニットは、内燃エンジンの排ガスの温度を約10℃増加できる。開口粒子分離器内の温度が再生に必要とされる温度より低く、10℃より高い状態にしなければならならない場合、記載される電気加熱ユニットによる加熱は成功しない。この理由のために、第2の閾値との比較によって、手段によって所望される目的に到達する可能性がチェックされ、それが確認された場合にのみ、その手段が工程e)において開始される。
【0032】
工程b)において導入される第2の閾値は固定値に対応してもよい。第1の閾値が250℃で、電気加熱装置が10℃まで排ガスの温度を増加させる能力がある場合、前記第2の閾値は240℃である。しかしながら、第2の閾値を動的に規定することも可能である。排ガス質量流量率に依存して、加熱ユニットの温度増加能力を変化させてもよい。従って、第2の閾値は、例えば、粒子分離器を通過する排ガス質量流量率に依存して決められてもよい。
【0033】
本発明による方法のさらなる変形例において、第2の閾値との比較はまた、工程e)における手段の開始が目的にかなっているか否かを定めるために、さらなるパラメータを用いて実施されてもよい。例えば、排ガスのNO
x濃度がモニターされてもよい。排ガスのNO
x濃度が、開口粒子フィルタを再生するのに十分でないと定められる場合、パラメータに影響を与えるためのエネルギー集約型の手段が工程e)において開始されるべきではない。
【0034】
また、工程b)において、パラメータに影響を与えるための第1の手段によって第1の閾値に到達できないと定められる場合、工程e)において、パラメータに影響を与えるための第2の手段が開始される場合、利点がある。
【0035】
例えば、電気加熱装置が、開口粒子分離器において所望の温度を達成できないことが定められる場合、排ガス温度に影響を与えるための異なるおよび/または追加の手段が開始されてもよい。ここで、炭化水素の注入を含む手段が特に好都合である。なぜなら、典型的に、そのような手段により、排ガスの高い温度増加を達成することが可能だからである。
【0036】
また、工程d)において、第2の最小比率との比較がさらに実施され、それによって、すぐに第1の最小比率に到達できないことが決定される場合、工程e)において、パラメータに影響を与えるための手段が、第1の最小比率に到達する前に、既に開始されることも利点がある。
【0037】
例えば、第1の閾値に到達すべき第1の最小比率が少なくとも40%と規定される場合、第2の最小比率の45%によって、例えば40%の必要とされる第1の最小比率が、例えば内燃エンジンのその時の負荷を考慮して、すぐに目標に到達しないかどうかをチェックすることが可能である。この場合、工程e)において、第1の最小比率が全く目標に到達しないことを防ぐために、パラメータに影響を与えるための手段が、目標に到達しない第2の最小比率の事象において既に開始されることが好都合である。パラメータに影響を与えるための特定の有効な可能性もまた、この方法で利用されてもよく、例えば、開口粒子分離器の温度は、必要とされる閾値の温度よりわずかに低い場合、予防的に増加させてもよい。
【0038】
少なくとも1つの内燃エンジンと、少なくとも1つの排気システムと、少なくとも1つの開口粒子分離器と、さらにパラメータを測定するための少なくとも1つのセンサと、パラメータに影響を与えるための少なくとも1つの再生手段と、センサによって測定されたデータを処理し、少なくとも1つの再生手段を制御するための少なくとも1つの制御装置とを備え、その制御装置は記載される方法を実施するように構成される、自動車も本発明の範囲内で特定される。
【0039】
センサは、例えば、温度センサ、圧力センサ、またはラムダプローブであってもよい。パラメータに影響を与えるための再生手段は、電気加熱ユニット、または排気システムにおける炭化水素についての注入装置であってもよい。制御装置は、典型的に、集積回路として具現化される。
【0040】
従って、本明細書で提案されるのは、特に、開口粒子分離器を再生するための装置および方法であり、少なくとも以下を適用する。
a)開口粒子分離器の再生能力(その時の周囲条件下での粒子変換能力)のための特徴的変数として少なくとも1つのパラメータ(例えば、温度および/または排ガス中の二酸化窒素画分など)を測定する工程、
b)少なくとも1つのパラメータと、第1の閾値(例えば、限界温度および/または排ガス中の窒素酸化物画分など)とを比較する工程、
c)パラメータが第1の閾値に到達する(特に閾値に到達しないか、または閾値を越える)間、比較時間(例えば、内燃エンジンの開始からの時間間隔および/または粒子分離器の直前の再生からの時間間隔および/またはその時点に基づいた一定の時間間隔など)の少なくとも1つの比率を測定する工程、
d)前記比率と、比較時間における最小再生時間(例えば、(連続的な)時間間隔における少なくとも1つのパラメータに関して存在する連続再生に好適な周囲条件)に対応する第1の最小比率とを比較する工程、
e)パラメータに影響を与えるための手段を開始し(例えば、排ガス、粒子トラップ中に熱を導入および/または生成し、ならびに/あるいは例えば、二酸化窒素画分を増加させることによって排ガス組成を変化させ)、それによって、前記パラメータは、第1の最小比率に少なくとも対応して存在し、第1の閾値に到達し(すなわち、特に比較時間の比率を増加させる)、および/または(例えば、予め規定した最小値に到達する粒子分離器にわたる圧力降下によって)開口粒子分離器が再生される。
【0041】
本発明および技術分野を、図面に基づいて以下により詳細に説明する。図面は、本発明の特定の好ましい変形例を示すことは留意されるべきであり、本発明を限定するものではない。