(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
変速機とモータとを有し且つ前記変速機の変速比の変化に応じて前記モータの駆動回転数とペダルの駆動回転数との第1の比が変化する電動アシスト車のモータ駆動制御装置であって、
前記変速機の変速比を取得する変速比取得部と、
前記変速比取得部により取得された前記変速比に応じて、ペダル入力トルクから前記モータの駆動トルクの目標値であるアシストトルクを算出する演算部と、
を有し、
前記演算部は、
前記変速比が最も低速側に設定された場合における、当該変速比と前記ペダル入力トルクの1サイクル平均を表す平均ペダル入力トルクに対する前記アシストトルクの1サイクル平均を表す平均アシストトルクの第2の比との積が、前記変速比が最も高速側に設定された場合における、当該変速比と前記第2の比との積よりも大きくなるように、前記第2の比を設定し、
前記第2の比によって前記アシストトルクを算出し、
前記変速比と前記第2の比との積について別途設定された上限値で、前記第2の比を制限する
モータ駆動制御装置。
変速機とモータとを有し且つ前記変速機の変速比の変化に応じて前記モータの駆動回転数とペダルの駆動回転数との第1の比が変化する電動アシスト車のモータ駆動制御装置であって、
前記変速機の変速比を取得する変速比取得部と、
前記変速比取得部により取得された前記変速比に応じて、ペダル入力トルクから前記モータの駆動トルクの目標値であるアシストトルクを算出する演算部と、
を有し、
前記演算部は、
前記変速比が最も低速側に設定された場合における、当該変速比と前記ペダル入力トルクの1サイクル平均を表す平均ペダル入力トルクに対する前記アシストトルクの1サイクル平均を表す平均アシストトルクの第2の比との積が、前記変速比が最も高速側に設定された場合における、当該変速比と前記第2の比との積よりも大きくなるように、前記第2の比を設定し、
前記第2の比によって前記アシストトルクを算出し、
前記変速比に反比例する第3の比と車速に応じた制限カーブとの積により、前記第2の比を制限する
モータ駆動制御装置。
変速機とモータとを有し且つ前記変速機の変速比の変化に応じて前記モータの駆動回転数とペダルの駆動回転数との第1の比が変化する電動アシスト車のモータ駆動制御装置であって、
前記変速機の変速比を取得する変速比取得部と、
前記変速比取得部により取得された前記変速比に応じて、ペダル入力トルクから前記モータの駆動トルクの目標値であるアシストトルクを算出する演算部と、
を有し、
前記演算部は、
前記変速比が最も低速側に設定された場合における、当該変速比と前記ペダル入力トルクの1サイクル平均を表す平均ペダル入力トルクに対する前記アシストトルクの1サイクル平均を表す平均アシストトルクの第2の比との積が、前記変速比が最も高速側に設定された場合における、当該変速比と前記第2の比との積よりも大きくなるように、前記第2の比を設定し、
前記第2の比によって前記アシストトルクを算出し、
周期的なトルク変動を含むペダル入力トルクによる車輪駆動力と前記アシストトルクによる車輪駆動力との合計駆動力における周期的変動の度合いを、前記変速比に応じて変化させる
モータ駆動制御装置。
変速機とモータとを有し且つ前記変速機の変速比の変化に応じて前記モータの駆動回転数とペダルの駆動回転数との第1の比が変化する電動アシスト車のモータ駆動制御装置であって、
ペダル入力トルクが0又は微小な値から増加し始めてから所定時間内であることを含む条件を満たす場合には中間より低い変速比を想定し、前記条件を満たさなくなった後においては前記中間又は当該中間より高い変速比を想定する制御部と、
想定された前記変速比に応じて、前記ペダル入力トルクから前記モータの駆動トルクの目標値であるアシストトルクを算出する演算部と、
を有するモータ駆動制御装置。
【背景技術】
【0002】
電動アシスト自転車の動力伝達系には、
図1乃至
図5に示すようなパターンが存在している。これらのパターンでは、後輪ギア(Rギアと呼ぶ)にはワンウェイクラッチが内蔵されているものとする。また、減速機については、モータのトルク及び速度特性に応じて設けられる場合もあれば設けられない場合もあるものとする。
【0003】
図1は、モータのトルクを後輪に伝達する伝達系とペダルのトルクを後輪に伝達する伝達系とで変速機を共有する第1のパターンを示している。第1のパターンでは、ペダルとモータとが同じフロントギア(Fギアと呼ぶ)を駆動する形になっており、前輪は駆動されない。
【0004】
図2は、モータのトルクを後輪に伝達する伝達系とペダルのトルクを後輪に伝達する伝達系とで変速機を共有する第2のパターンを示している。第2のパターンでは、ペダルで駆動されたチェーンの中間ギヤをモータでも駆動する形になっている。なお、本パターンでも、前輪は駆動されない。
【0005】
図3は、モータのトルクを後輪に伝達する伝達系とペダルのトルクを後輪に伝達する伝達系とで変速機を共有する第3のパターンを示している。第3のパターンでは、2本のチェーンを介してペダル及びモータにより後輪を駆動する形になっている。なお、本パターンでも、前輪は駆動されない。
【0006】
図4は、ペダルからの駆動ルートのみに変速機が挿入されている第1のパターンを示している。このパターンでは、後輪内蔵モータは変速機後の後輪ハブ(
図4における黒丸に相当)を駆動している。このパターンでは、Rギアに内蔵されるワンウェイクラッチより後輪側で後輪内蔵モータの駆動が行われるので、電磁ブレーキが使用可能である。なお、本パターンでも、前輪は駆動されない。
【0007】
図5は、ペダルからの駆動ルートのみに変速機が挿入されている第2のパターンを示している。このパターンでは、モータは前輪を駆動するようになっている。そして、前輪側にはワンウェイクラッチが無いため、電磁ブレーキが使用可能である。
【0008】
図1乃至
図3に示したパターンでは、ペダル入力トルク、モータによるアシストモータトルク共に変速機を通過して後輪を駆動しているため、変速ポジション、すなわち変速比が変わっても、ペダルが駆動輪(ここでは後輪)を駆動するトルクに対する、モータが駆動輪を駆動するトルクの比、すなわちアシスト比は変化しない。但し、これらのパターンでは全てペダル入力トルクもアシストモータトルクもRギヤを通っているため、Rギヤ内に設置されたワンウェイクラッチを通過している。そのため加速方向のトルクはモータから後輪に伝えられるが、逆方向トルクとなる電磁ブレーキ方向のトルクは伝えられない。すなわちこれらのパターンの場合は電力回生ブレーキを含めた電磁ブレーキをかけることができない。
【0009】
一方、
図4及び
図5に示したパターンでは、Rギヤに内蔵されたワンウェイクラッチの後に直接、又は前輪に直接モータのトルクが伝えられるため、電力回生ブレーキを含めた電磁ブレーキをかけることができる。しかしながら、これらのパターンの場合、以下のような不都合も生じてしまう。
【0010】
なお、以下、変速機は3速変速機であり、変速ポジションのHポジション(高速側)の変速比が4/3、Mポジション(標準)の変速比が1、Lポジション(低速側)の変速比が3/4であることを仮定して説明する。
【0011】
具体的には、変速比にかかわらず同じペダル入力トルクに対して同じアシストモータトルクを与えると、Hポジションではペダル入力トルクは標準に対して変速比4/3の逆数すなわち3/4倍として後輪に伝わるのに対し、アシストモータトルクは変速機を通らず直接前輪又は後輪を駆動しているため、標準のままとなる。そのためアシスト比は、標準の1/(3/4)=4/3倍となってしまう。一方、Lポジションでは、その逆に、アシスト比は、標準の1/(4/3)=3/4倍となってしまう。
【0012】
Lポジションを使う時こそ、発進加速時や登板時などの高負荷状態であるにもかかわらす、逆にアシスト比が低くなり、低負荷であることが多いHポジションの時に、逆にアシスト比が大きくなってしまう。
【0013】
また、法的規制などの理由で最大アシスト比が車速の関数として規定されている場合がある。例えば日本の法制では、
図6に示すような平均アシスト比(アシスト比にリップル変動サイクルがある場合には当該リップル変動サイクルにおける平均のアシスト比を表す)の制限がある。すなわち、最大平均アシスト比は時速10Kmまでは2であり、時速10Km以上時速24Km以下では、時速24Kmで最大平均アシスト比「0」となるまで線形に減少するカーブが規定されている。
【0014】
また、このような場合、アシスト比が大きくなってしまうHポジションを基準に、法的規制範囲内に収めることになり、Mポジション及びLポジションの時には、法的規制枠いっぱいまで利用することができない。
【0015】
この例ではHポジションとLポジションとの間の平均アシスト比の開きは、(3/4)/(4/3)=(9/16)倍となる。仮にHポジション時に最大許容平均アシスト比、すなわち「2」となるように設定した場合でも、Lポジションでは「9/8」(=2*9/16)となってしまい、法的規制枠の半分強程度までしか平均アシスト比を設定できない。
【0016】
図7に模式的に示すように、Mポジションの平均アシスト比が3/2である場合に、Hポジションの平均アシスト比が2となりLポジションの平均アシスト比が9/8となる。一方、Mポジションの平均アシスト比が1である場合には、Hポジションの平均アシスト比が4/3となりLポジションの平均アシスト比が3/4となる。
【0017】
このように利用者がLポジションに設定して大きなアシストモータトルクが望まれている場面であるのに、アシスト比が小さくなってしまいモータの駆動力を有効に使用できないという問題がある。
【0018】
なお、おおよそ
図1に示すようなパターンの動力伝達系のモータ付き乗り物において、変速機構を高速段に保持したまま低速で走行すると、モータの効率が悪い領域で使用されることになるということを問題視し、運転者に走行速度に適した変速段への変速を促すために、電動モータの人力駆動力に対する比率を、高速段で小さく低速段で大きくするように制御する技術が開示されている。これによれば、高速段にしたまま低速で走行しようとするとモータの補助率が小さくなり人力駆動が重くなる。すなわち、運転者に不都合を感じさせた上で変速を促して、実際に変速されると低速段で大きな比率の補助が得られるようになるというものである。また、
図1に示すようなパターンの動力伝達系を採用しているので、
図4及び
図5に示すようなパターンの動力伝達系でこのような比率設定を行うことは考察されていない。
【発明を実施するための形態】
【0031】
[実施の形態1]
図8は、本実施の形態におけるモータ付き自転車の一例を示す外観図である。このモータ付き自転車1は、例えば
図5のようなパターンの動力伝達系を有しており、クランク軸と後輪がチェーンを介して連結されている一般的な後輪駆動型のものである。なお、このモータ付き自転車1は、変速機とモータとを有し且つ変速機の変速比の変化に応じてペダル入力トルクとモータによる駆動トルクとの比が変化する電動アシスト車である。また、変速機とモータとを有し且つ変速機の変速比の変化に応じてモータの駆動回転数とペダルの駆動回転数との比が変化する電動アシスト車でもある。
【0032】
そして、モータ付き自転車1は、モータ駆動装置を搭載している。モータ駆動装置は、二次電池101と、モータ駆動制御器102と、トルクセンサ103と、ブレーキセンサ104と、モータ105と、操作パネル106と、ペダル回転センサ108とを有する。
【0033】
二次電池101は、例えば供給最大電圧(満充電時の電圧)が24Vのリチウムイオン二次電池であるが、他種の電池、例えばリチウムイオンポリマー二次電池、ニッケル水素蓄電池などであっても良い。
【0034】
トルクセンサ103は、クランク軸に取付けられたホイールに設けられており、搭乗者によるペダルの踏力を検出し、この検出結果をモータ駆動制御器102に出力する。同様に、ペダル回転センサ108も、トルクセンサ103と同様に、クランク軸に取付けられたホイールに設けられており、回転に応じた信号をモータ駆動制御器102に出力する。
【0035】
ブレーキセンサ104は、磁石と周知のリードスイッチとから構成されている。磁石は、ブレーキレバーを固定するとともにブレーキワイヤーが送通される筐体内において、ブレーキレバーに連結されたブレーキワイヤーに固定されている。ブレーキレバーは手で握られたときにリードスイッチをオン状態にするようになっている。また、リードスイッチは筐体内に固定されている。このリードスイッチの導通信号はモータ駆動制御器102に送られる。
【0036】
モータ105は、例えば周知の三相直流ブラシレスモータであり、例えばモータ付き自転車1の前輪に装着されている。モータ105は、前輪を回転させるとともに、前輪の回転に応じてローターが回転するように、ローターが前輪に連結されている。さらに、モータ105はホール素子等の回転センサを備えてローターの回転情報(すなわちホール信号)をモータ駆動制御器102に出力する。
【0037】
操作パネル106は、例えばアシストの有無に関する指示入力をユーザから受け付けて、当該指示入力をモータ駆動制御器102に出力する。なお、操作パネル106は、アシスト比(Mポジションのアシスト比。希望アシスト比とも呼ぶ。)の設定入力をユーザから受け付けて、当該設定入力をモータ駆動制御器102に出力する。また変速機などから、変速比を表す信号がモータ駆動制御器102に出力される場合もある。
【0038】
このようなモータ付き自転車1のモータ駆動制御器102に関連する構成を
図9に示す。モータ駆動制御器102は、制御器1020と、FET(Field Effect Transistor)ブリッジ1030とを有する。FETブリッジ1030には、モータ105のU相についてのスイッチングを行うハイサイドFET(S
uh)及びローサイドFET(S
ul)と、モータ105のV相についてのスイッチングを行うハイサイドFET(S
vh)及びローサイドFET(S
vl)と、モータ105のW相についてのスイッチングを行うハイサイドFET(S
wh)及びローサイドFET(S
wl)とを含む。このFETブリッジ1030は、コンプリメンタリ型スイッチングアンプの一部を構成している。
【0039】
また、制御器1020は、演算部1021と、ペダル回転入力部1022と、電流検出部1023と、車速入力部1024と、可変遅延回路1025と、モータ駆動タイミング生成部1026と、トルク入力部1027と、ブレーキ入力部1028と、AD入力部1029とを有する。
【0040】
演算部1021は、操作パネル106からの入力(例えばオン/オフ及び動作モード(例えばアシスト比))、ペダル回転入力部1022からの入力、電流検出部1023からの入力、車速入力部1024からの入力、トルク入力部1027からの入力、ブレーキ入力部1028からの入力、AD入力部1029からの入力を用いて以下で述べる演算を行って、モータ駆動タイミング生成部1026及び可変遅延回路1025に対して出力を行う。なお、演算部1021は、メモリ10211を有しており、メモリ10211は、演算に用いる各種データ及び処理途中のデータ等を格納する。さらに、演算部1021は、プログラムをプロセッサが実行することによって実現される場合もあり、この場合には当該プログラムがメモリ10211に記録されている場合もある。
【0041】
ペダル回転入力部1022は、ペダル回転センサ108からの入力をディジタル化して演算部1021に出力する。電流検出部1023は、FETブリッジ1030内のFETに流れる電流を検出する検出抵抗107で、電流に対応する電圧値をディジタル化して演算部1021に出力する。車速入力部1024は、モータ105が出力するホール信号から現在車速及び後輪の回転周期を算出して、演算部1021に出力する。トルク入力部1027は、トルクセンサ103からの踏力に相当する信号をディジタル化して演算部1021に出力する。ブレーキ入力部1028は、ブレーキセンサ104からのブレーキ力に相当する信号をディジタル化して演算部1021に出力する。AD(Analog-Digital)入力部1029は、二次電池101からの出力電圧をディジタル化して演算部1021に出力する。また、メモリ10211は、演算部1021とは別に設けられる場合もある。
【0042】
演算部1021は、演算結果として進角値を可変遅延回路1025に出力する。可変遅延回路1025は、演算部1021から受け取った進角値に基づきホール信号の位相を調整してモータ駆動タイミング生成部1026に出力する。演算部1021は、演算結果として例えばPWMのデューティー比に相当するPWM(Pulse Width Modulation)コードをモータ駆動タイミング生成部1026に出力する。モータ駆動タイミング生成部1026は、可変遅延回路1025からの調整後のホール信号と演算部1021からのPWMコードとに基づいて、FETブリッジ1030に含まれる各FETに対するスイッチング信号を生成して出力する。
【0043】
図10(a)乃至(l)を用いて
図9に示した構成によるモータ駆動の基本動作を説明する。
図10(a)はモータ105が出力したU相のホール信号HUを表し、
図10(b)はモータ105が出力したV相のホール信号HVを表し、
図10(c)はモータ105が出力したW相のホール信号HWを表す。このように、ホール信号はモータの回転位相を表している。なお、ここでは回転位相を連続値として得られるわけではないが、他のセンサ等により得られるようにしてもよい。以下でも述べるように、本実施の形態では、モータ105のホール素子を、ホール信号が
図10で示すように若干進んだ位相で出力されるよう設置して、可変遅延回路1025で調整可能なようにしている。従って、
図10(d)に示すようなU相の調整後ホール信号HU_Inが可変遅延回路1025からモータ駆動タイミング生成部1026に出力され、
図10(e)に示すようなV相の調整後ホール信号HV_Inが可変遅延回路1025からモータ駆動タイミング生成部1026に出力され、
図10(f)に示すようなW相の調整後ホール信号HW_Inが可変遅延回路1025からモータ駆動タイミング生成部1026に出力される。
【0044】
なお、ホール信号1周期を電気角360度として、6つのフェーズに分けられる。
【0045】
また、
図10(g)乃至(i)に示すように、U相の端子にMotor_U逆起電力、V相の端子にMotor_V逆起電力、W相の端子にMotor_W逆起電力という逆起電力電圧が発生する。このようなモータ逆起電力電圧に位相を合わせて駆動電圧を与えモータ105を駆動するためには、
図10(j)乃至(l)に示すようなスイッチング信号をFETブリッジ1030の各FETのゲートに出力する。
図10(j)のU_HSはU相のハイサイドFET(S
uh)のゲート信号を表しており、U_LSはU相のローサイドFET(S
ul)のゲート信号を表している。PWM及び「/PWM」は、演算部1021の演算結果であるPWMコードに応じたデューティー比でオン/オフする期間を表しており、コンプリメンタリ型であるからPWMがオンであれば/PWMはオフとなり、PWMがオフであれば/PWMはオンとなる。ローサイドFET(S
ul)の「On」の区間は、常にオンとなる。
図10(k)のV_HSはV相のハイサイドFET(S
vh)のゲート信号を表しており、V_LSはV相のローサイドFET(S
vl)のゲート信号を表している。記号の意味は
図10(j)と同じである。さらに、
図10(l)のW_HSはW相のハイサイドFET(S
wh)のゲート信号を表しており、W_LSはW相のローサイドFET(S
wl)のゲート信号を表している。記号の意味は
図10(j)と同じである。
【0046】
このようにU相のFET(S
uh及びS
ul)は、フェーズ1及び2でPWMのスイッチングを行い、U相のローサイドFET(S
ul)は、フェーズ4及び5でオンになる。また、V相のFET(S
vh及びS
vl)は、フェーズ3及び4でPWMのスイッチングを行い、V相のローサイドFET(S
vl)は、フェーズ6及び1でオンになる。さらに、W相のFET(S
wh及びS
wl)は、フェーズ5及び6でPWMのスイッチングを行い、W相のローサイドFET(S
wl)は、フェーズ2及び3でオンになる。
【0047】
このような信号を出力してデューティー比を適切に制御すれば、モータ105を所望のトルクで駆動できるようになる。
【0048】
次に、演算部1021の機能ブロック図を
図11に示す。演算部1021は、回生ブレーキ目標トルク演算部1201と、回生有効化部1202と、駆動トルク目標演算部1203と、アシスト有効化部1204と、加算部1206と、第1デューティー比換算部1211と、トルクスルーレート制限部1212と、第2デューティー比換算部1213と、速度スルーレート制限部1215と、加算部1216と、PWMコード生成部1217とを有する。
【0049】
車速入力部1024からの車速値及びトルク入力部1027からのペダルトルク値は、駆動トルク目標演算部1203に入力され、アシストトルク値が算出される。また、ペダル回転入力部1022からのペダル回転周期も、駆動トルク目標演算部1203に入力され、アシストトルク値を算出する際に用いられる。駆動トルク目標演算部1203の演算内容は、以下で詳しく述べる。
【0050】
また、回生ブレーキ目標トルク演算部1201は、車速入力部1024からの車速値に応じて、例えば予め設定されているカーブに従った回生ブレーキ目標トルク値を算出する。このカーブは、車速値とは逆極性で且つ車速値の絶対値の半分以下(「半分以下」は例えば数%程度「半分」を上回る場合も含む)となるような関係を表すカーブである。このようにすればどのような速度であってもある程度の効率で回生を行うことができるようになる。なお、この処理については、本実施の形態の主旨ではないので、これ以上述べない。
【0051】
本実施の形態では、ブレーキ入力部1028からブレーキ有りを表す入力信号が入力されると、回生有効化部1202は、回生ブレーキ目標トルク演算部1201からの回生ブレーキ目標トルク値を加算部1206に出力する。それ以外の場合には、0を出力する。一方、ブレーキ入力部1028からブレーキ無しを表す入力信号が入力されると、アシスト有効化部1204は、駆動トルク目標演算部1203からのアシストトルク値を出力する。それ以外の場合には、0を出力する。
【0052】
加算部1206は、回生有効化部1202からの回生ブレーキ目標トルク値の極性を反転して出力するか、アシスト有効化部1204からのアシストトルク値をそのまま出力する。以下、説明を簡略化するため、アシストトルク値及び回生ブレーキ目標トルク値を目標トルク値と略称するものとする。
【0053】
第1デューティー比換算部1211は、加算部1206からの目標トルク値に対して、換算係数d
tを乗じてトルクデューティーコードを算出し、トルクスルーレート制限部1212に出力する。トルクスルーレート制限部1212は、第1デューティー比換算部1211からの出力に対してよく知られたスルーレート制限処理を実施して、処理結果を加算部1216に出力する。
【0054】
また、第2デューティー比換算部1213は、車速値に対して換算係数d
sを乗じて車速デューティーコードを算出し、速度スルーレート制限部1215に出力する。速度スルーレート制限部1215は、第2デューティー比換算部1213からの出力に対してよく知られたスルーレート制限処理を実施して、処理結果を加算部1216に出力する。
【0055】
加算部1216は、トルクスルーレート制御部1212からのトルクデューティーコードと速度スルーレート制限部1215からの車速デューティーコードとを加算してデューティーコードを算出し、PWMコード生成部1217に出力する。PWMコード生成部1217は、デューティーコードに対して、AD入力部1029からのバッテリ電圧/基準電圧(例えば24V)を乗じてPWMコードを生成する。PWMコードは、モータ駆動タイミング生成部1026に出力される。
【0056】
本実施の形態に係る駆動トルク目標演算部1203は、例えば
図12に示すような機能を有する。すなわち、駆動トルク目標演算部1203は、乗算器3002と、変速比取得部3005と、実行アシスト比決定部3003と、変速比制御部3004とを有する。なお、駆動トルク目標演算部1203は、ペダル入力トルクを平滑化する平滑化部3001をさらに有する場合もある。
【0057】
変速比取得部3005は、ペダル回転周期と後輪の回転周期とから、ペダル回転周期/後輪の回転周期により変速比を算出し、当該変速比を変速比制御部3004に出力する。なお、変速機などから直接変速比を表す信号を受け取る場合には、当該変速比を変速比制御部3004に出力する。変速比制御部3004は、変速比取得部3005からの変速比から、アシスト比補正用の変速ポジション(例えばH、M又はL)を実行アシスト比決定部3003に出力する。なお、他の実施の形態では、変速比制御部3004は、車速を使用して変速ポジションを出力する場合もある。さらに、他の実施の形態では、変速比制御部3004は、アシスト比補正用の変速ポジションだけではなく、上限補正用の変速ポジションを別途出力する場合もある。
【0058】
実行アシスト比決定部3003は、運転者が指定した希望アシスト比と車速と変速ポジションとから実行アシスト比を決定して、乗算器3002に出力する。乗算器3002は、平滑化部3001が存在していれば平滑化されたペダル入力トルク又は平滑化部3001が存在していなければペダル入力トルクそのものと、実行アシスト比とを乗じてアシストトルク値を算出して出力する。
【0059】
本実施の形態に係る実行アシスト比決定部3003は、例えば
図13に示すような機能を有する。なお、本実施の形態及びこれ以外の実施の形態でも、変速機は3速変速機であり、変速ポジションのHポジション(高速側)の変速比が4/3、Mポジション(標準)の変速比が1、Lポジション(低速側)の変速比が3/4であることを仮定して説明する。
【0060】
実行アシスト比決定部3003は、制限関数出力部3301と、乗算器3302及び3303と、アシスト比補正係数セレクタ3304とを有する。制限関数出力部3301は、車速に応じて、例えば
図14に示すような法規制などに応じたディレーティング関数の値を出力する。
図14の例では、車速10Km/hまでは「1」を出力し、それより速い車速では24Km/hにおいて0になるまで線形に減少するカーブが用いられる。
【0061】
アシスト比補正係数セレクタ3304は、アシスト比補正用の変速ポジションが入力されると、その変速ポジションに応じた補正係数が出力される。本実施の形態では、Lポジションの場合には補正係数dが出力され、Mポジションの場合には補正係数eが出力され、Hポジションの場合には補正係数fが出力される。さらに具体的には、d=4/3であり、e=1であり、f=3/4である。これらの値は、変速比に反比例する値となっている。以下でも述べるが、これによって
図4及び
図5のようなパターンの動力伝達系を使用するモータ付き自転車1において、アシストモータトルク及びアシスト比に対する変速機の作用をキャンセルするための係数値が設定されている。
【0062】
また、乗算器3302は、希望アシスト比と制限関数出力部3301の出力との積を、乗算器3303に出力する。乗算器3303は、乗算器3302の出力とアシスト比補正係数との積を実行アシスト比として出力する。
【0063】
このような場合、
図15に示すような平均アシスト比が得られるようになる。例えば、車速10Km/hで希望アシスト比=1であるとすると、Hポジションの場合には、実行アシスト比は1×3/4=3/4となる。しかし、変速比の効果として実行アシスト比×変速比が平均アシスト比となるので、3/4×4/3=1となる。同様に、Lポジションの場合には、実行アシスト比は1×4/3=4/3となる。しかし、変速比の効果として実行アシスト比×変速比が平均アシスト比となるので、4/3×3/4=1となる。このように、変速ポジションによらず平均アシスト比は一定値「1」となる。車速を考慮すれば制限関数出力部3301の出力から、
図15のカーブ5002のようになる。また、希望アシスト比=2であれば、平均アシスト比は一定値「2」となる。車速を考慮すれば制限関数出力部3301の出力から、
図15のカーブ5001のようになる。
【0064】
このようにしてアシスト比を算出することで、変速ポジションによらず平均アシスト比を一定にして運転者の負荷を効果的に減じることができるようになる。
【0065】
[実施の形態2]
本実施の形態の構成は、基本的には、第1の実施の形態と同様である。但し、実行アシスト比決定部3003のアシスト比補正係数セレクタ3304に入力される補正係数d、e及びfの値が異なる。
【0066】
本実施の形態では、例えばLポジションの補正係数d=8/5、Mポジションの補正係数e=1、Hポジションの補正係数f=5/8のように設定する。第1の実施の形態では、変速比に反比例するような値を採用していたが、本実施の形態では、−1より小さいべき数を設定して、当該べき数を用いた変速比のべき乗に比例するような値を採用する例を示している。
【0067】
このような場合、
図16のM:1(Mポジションの平均アシスト比=1)に示すような平均アシスト比が得られるようになる。例えば、車速10Km/hで希望アシスト比=1であるとすると、Hポジションの場合には、実行アシスト比は1×5/8=5/8となる。しかし、変速比の効果として実行アシスト比×変速比が平均アシスト比となるので、(5/8)×(4/3)=5/6となる。同様に、Lポジションの場合には、実行アシスト比は1×8/5=8/5となる。しかし、変速比の効果として実行アシスト比×変速比が平均アシスト比となるので、(8/5)×(3/4)=6/5となる。このようにLポジションの方が、Hポジションよりもアシスト比が大きくなるように設定されている。
【0068】
同様に、希望アシスト比=5/3の場合には、
図16のM:5/3(Mポジションの平均アシスト比=
5/3)に示すような平均アシスト比が得られる。この場合も、Lポジションの方が、Hポジションよりもアシスト比が大きくなるように設定されている。
【0069】
このようにすれば、負荷が高い状態であると推定されるLポジションにおいてより大きなアシストをモータにより与えることができるようになる。
【0070】
[実施の形態3]
本実施の形態では、
図13の実行アシスト比決定部3003の代わりに、
図17に示すような実行アシスト比決定部3003bを用いる。なお、同じ機能については同じ参照番号が付されている。
【0071】
本実施の形態に係る実行アシスト比決定部3003bは、制限関数出力部3301と、アシスト比補正係数セレクタ3304と、乗算器3305と、アシスト比上限補正係数セレクタ3306と、最小値選択部3307と、乗算器3309とを有する。
【0072】
本実施の形態では、アシスト比補正係数セレクタ3304に入力される補正係数d、e及びfは、第2の実施の形態と同じであり、「8/5」、「1」及び「5/8」である。
【0073】
アシスト比上限補正係数セレクタ3306は、上限補正用の変速ポジションに応じて、Lポジションのアシスト比上限補正係数g、Mポジションの補正係数h又はHポジションの補正係数iのいずれかを選択して出力する。本実施の形態では、補正係数g=「4/3」であり、補正係数h=「1」であり、補正係数i=「3/4」である。このように変速比に反比例するような値が設定されている。なお、本実施の形態では、上限補正用の変速ポジションと、アシスト比補正用の変速ポジションは同じである。
【0074】
乗算器3305は、希望アシスト比とアシスト比補正係数セレクタ3304の出力との積を出力する。最小値選択部3307は、乗算器3305の出力とアシスト比上限補正係数セレクタ3306の出力とのうち小さい方を出力する。さらに、乗算器3309は、制限関数出力部3301の出力と最小値選択部3307の出力との積を、実行アシスト比として出力する。
【0075】
本実施の形態では、希望アシスト比が大きな値となる場合には、アシスト比上限補正係数セレクタ3306の出力により、
図15で示すように、どのような変速ポジションでも上限値となるような実行アシスト比となる。一方、希望アシスト比が小さな値に抑えられる場合には、できるだけ低速側のポジションLの方が平均アシスト比より大きな値となるように実行アシスト比が出力される。すなわち、
図18に示すように、希望アシスト比=2であれば、変速ポジションに拘わらず上限いっぱいのカーブ5001のようになる。一方、希望アシスト比=1であれば、第2の実施の形態と同様に、変速ポジションが低速側の方が高速側よりも大きな平均アシスト比となる。
【0076】
[実施の形態4]
本実施の形態では、
図13の実行アシスト比決定部3003の代わりに、
図19に示すような実行アシスト比決定部3003cを用いる。なお、同じ機能については同じ参照番号が付されている。
【0077】
本実施の形態に係る実行アシスト比決定部3003cは、制限関数出力部3301と、アシスト比補正係数セレクタ3304と、アシスト比上限補正係数セレクタ3306と、乗算器3305と、乗算器3308と、最小値選択部3307とを有する。基本的な構成要素はほとんど第3の実施の形態と同じであるが、Lポジションのアシスト比上限補正係数g=「8/3」、Mポジションの補正係数h=「2」、Hポジションのアシスト比上限補正係数i=「3/2」となっている。最大許容アシスト比が「2」であるから第3の実施の形態における値を2倍した値が用いられる。これは、接続の仕方が異なるためであり、その結果として、出力される実行アシスト比及び結果的に得られる平均アシスト比も異なることになる。
【0078】
本実施の形態では制限関数出力部3301の出力には、アシスト比上限補正係数セレクタ3306の出力が乗じられるようになっているため、この制限関数出力部3301の出力とアシスト比上限補正係数セレクタ3306の出力との積で規定される上限カーブを、希望アシスト比とアシスト比補正係数との積が超えない限り、希望アシスト比とアシスト比補正係数との積が維持される。特に、この例では時速10Km/hを超える部分においても、制限関数出力部3301の出力の影響を受けない部分が発生し、
図20に示すような平均アシスト比が得られるようになる。すなわち、上限カーブ5001を超えている場合には、変速ポジションに拘わらず上限カーブ5001に沿って平均アシスト比が変化するが、例えばMポジションの平均アシスト比が1の場合のように、上限カーブ5001に達するまでは、車両が10Km/hに達しても制限関数の影響を受けずに、一定の値が維持される。また、Lポジションの平均アシスト比の方がHポジションの平均アシスト比よりも大きくなるように、実行アシスト比も計算される。
【0079】
なお、変速ポジションによりアシスト比の補正係数等を選択するような例を述べたが、変速ポジションが存在しないCVT(Continuously Variable Transmission:無段変速機)などの場合にも適用できるように、変速ポジションによらず直接変速比の関数として補正係数を生成するような構成を採用するようにしても良い。これはこれ以外の実施の形態でも同様である。
【0080】
[実施の形態5]
本実施の形態では、上で述べた実施の形態とは異なる駆動トルク目標演算部1203bを用いる例を示す。本実施の形態では、変速比に応じて実行アシスト比を設定するだけではなく、変速比に応じてペダル入力トルクの平滑態様を決定するものである。
【0081】
本実施の形態に係る駆動トルク目標演算部1203bは、
図21に示すように、変速比取得部3005と、変速比制御部3004と、実行アシスト比決定部3003と、平滑率制御部3006とを有する。
【0082】
なお、変速比取得部3005は、第1の実施の形態と同様である。変速比制御部3004も、第1の実施の形態と同様である。さらに、実行アシスト比決定部3003は、第1乃至第4の実施の形態のいずれかと同様である。
【0083】
本実施の形態で導入された平滑率制御部3006は、ペダル入力トルクから、変速ポジションと実行アシスト比とに応じてアシストトルクを算出する。
【0084】
平滑率制御部3006は、例えば
図22に示すように、平滑率制御係数セレクタ3601と、ディレーティング部3602と、平滑化部3603と、加算器3605と、乗算器3606と、乗算器3604と、加算器3607とを有する。
【0085】
平滑率制御係数セレクタ3601は、変速ポジションに応じて、Lポジションであれば平滑率制御係数aを出力し、Mポジションであれば平滑率制御係数bを出力し、Hポジションであれば平滑率制御係数cを出力する。
【0086】
ディレーティング部3602は、平滑率制御係数セレクタ3601の出力と車速とに応じて、合計平滑率を出力する。
【0087】
例えば、Lポジションの平滑率制御係数a=1,Mポジションの平滑率制御係数b=1/2及びHポジションの平滑率制御係数c=0という設定の場合には、
図23に示すような合計平滑率が出力される。すなわち、Lポジションの場合、車速が0から所定の車速まで合計平滑率は「1」から線形に減少し、車速が所定の車速以上になると合計平滑率は0となる。また、Mポジションの場合、車速が0から所定の車速まで合計平滑率は「1/2」から線形に減少し、車速が所定の車速以上になると合計平滑率は0となる。さらに、Hポジションの場合、車速に拘わらず合計平滑率は0となる。
【0088】
一方、Lポジションの平滑率制御係数a=1,Mポジションの平滑率制御係数b=0及びHポジションの平滑率制御係数c=0という設定の場合には、例えば
図24に示すような合計平滑率が出力される。すなわち、Lポジションの場合、車速が0から所定の車速まで合計平滑率は「1」から線形に減少し、車速が所定の車速以上になると合計平滑率は0となる。また、Mポジション及びHポジションの場合、車速に拘わらず合計平滑率は0となる。
【0089】
ペダル入力トルクは平滑化部3603において平滑化され、平滑済みトルクが生成される。加算器3605では、(平滑済みトルク−ペダル入力トルク)により逆リップルトルクが算出される。そして、乗算器3606は、逆リップルトルクとディレーティング部3602の出力である合計平滑率との積を、合計リップル補正トルクとして生成する。一方、乗算器3604は、実行アシスト比と平滑済みトルクとの積を算出する。そして、加算器3607は、実行アシスト比と平滑済みトルクとの積と合計リップル補正トルクを加算することで、アシストトルクを算出する。
【0090】
Lポジションの時は登板などで大きなトルクを要する場合が多く、ペダルの上下死点でペダル入力トルクがほぼゼロまで落ち込むことが問題となる。トルクがゼロになった時大きな減速力が働き瞬時速度が落ち、急登板時には最悪では瞬時速度がゼロまでに落ち込む場合もある。速度低下は直立および直進安定性の低下を招き、回転が止まろうとするためペダルの次の一漕ぎも苦しくなる。
【0091】
このような不具合を回避するため、
図25に示すように、Lポジションの時は車速がおおよそ0で合計平滑率が「1」又はほぼ「1」であるから、人力によるペダル入力トルクqのリップルを無くすように、アシストトルクrを生成する。すなわち合計リップル補正トルクを大きな値のままで平滑済みトルクと実行アシスト比との積に加算している。このようにすれば、合計のトルクpが平坦になるため、登坂時でもスムーズに進むようになる。なお、
図25では、平均アシスト比=1になるような場合の例を示している。
【0092】
一方、例えば車速が少し上昇して例えばLポジションで合計平滑率=1/2となると、
図26に示すように、逆リップルトルクを半分にした合計リップル補正トルクを平滑済みトルクと実行アシスト比との積に加算することで得られるアシストトルクrは、ペダル入力トルクqとは逆位相であるから、合計のトルクpは、ペダル入力トルクqと同位相でややリップルを有するようになる。
【0093】
さらに、例えば車速がさらに上昇して例えばLポジションで合計平滑率=0となると、
図27に示すように、逆リップルトルクは0となって、アシストトルクrは、平滑済みトルクと実行アシスト比との積と同じになって、平坦なカーブを描くようになる。そうすると、合計のトルクpは、アシストトルクrだけペダル入力トルク
qが持ち上げられたようなカーブを描くようになる。
【0094】
上でも述べたように、
図23ではHポジション、
図24ではHポジション及びMポジションは常に、合計平滑率=0として、アシストトルクrを平坦化することで、モータや駆動用インバータのロス消費電力を最小化することができるようになる。
【0095】
上記車輪にかかるトルクの図を用いて、各ポジションにおけるペダル入力トルク
q、アシストトルクrおよび合計のトルクpの関係を説明したが、これらは、モータによる駆動輪とペダルによる駆動輪を同一の径の場合として説明した。モータによる駆動輪とペダルによる駆動輪が、同一の径でない場合、ペダル入力トルクによる車輪駆動力
q、アシストトルクによる車輪駆動力rおよび合計トルクの車輪駆動力pの関係としてとらえることができる。
【0096】
なお、上で述べた演算は一例であって、ペダル入力トルクと平滑化済みトルクとを任意の係数(正又は負)で重み付け加算するトルク混合部を設けることによって、上で述べたのと同様の結果を得ることができる。
【0097】
[実施の形態6]
変速ポジション出力が、変速機そのものから出力されている場合や、変速レバーや操作パネルから直接出力されている場合には、常に変速ポジションの情報が得られる。しかし、上で述べた変速比取得部3005が、ペダル回転周期と車輪回転周期の比率などから変速比又は変速ポジションを求めるようになっている場合、走行中にペダルを漕ぐのを止めた場合や停止中などでは一時的に変速ポジションが不明になる。再度連続的に漕ぎ始めるとペダル回転検出パルスの数パルス後(例えばペダル60度回転後)には変速比又は変速ポジションが検出される。
【0098】
図28に走行例を示す。
図28(a)に示す平均ペダル入力トルク及び
図28(b)に示すペダル回転数からすると、ペダルを漕いでいる期間は3つある。但し、
図28(c)に示す車速からすると、最初は停止しているが、漕いでいなくともモータ付き自転車1は走行していることが分かる。なお、
図28(d)は、実際の変速ポジションを示している。また、DC(Don't Care)を表し、この部分はペダル入力トルクがない状態であるから、アシストもなされておらず、変速比がどのように設定されていても実質的にはあまり影響がない部分である。
【0099】
このような場合、
図28(e)に示すように、停止して漕いでいない期間「不明1」(図では不1)、ペダル回転数が変化した直後「不明2」、漕いでいない期間「不明3」、漕ぎ始め直後の期間「不明4」、漕いでいない期間「不明5」、漕ぎ始め直後の期間「不明6」、ペダル回転数が変化した直後「不明7」、漕いでいない期間「不明8」が発生している。このうち一時的な不明となる不明期間は、「不明1」「不明2」「不明4」「不明6」「不明7」となる。
【0100】
このような場合本実施の形態では、変速比制御部3004は、変速比取得部3005から不明を表す出力を受け取ると、
図28(f)に示すようなアシスト比補正用の変速ポジションを出力し、
図28(g)に示すようなアシスト比上限補正用の変速ポジションを出力するものとする。
【0101】
例えば、第1乃至第5の実施の形態においては、LポジションよりもHポジションの方が実行アシスト比が低く設定されるので、
図28(g)に示すように、一時的に不明となる不明期間については、実行アシスト比の上限側に影響するアシスト比上限補正用の変速ポジションを、Hポジションに設定する。これによって法規制枠に対して過剰なアシストとなることを防止できるようになる。なお、その他の不明の期間についてもHポジションを想定しても良い。
【0102】
また、過渡的に漕ぎはじめ(ペダルトルク入力が0又は微小から増加し且つ車速が一定値以下という条件を満たす状態)から再度変速比が得られるまでの一時的な期間については、アシスト比補正用の変速ポジションについては、例えばLポジションを想定するようにしても良い。このような場合には、車速も低い漕ぎ初めを平均アシスト比が大きくなるように設定して、スムーズな漕ぎ出しを得られるようにする。例えば、「不明1」の期間の後尾部分が、このような想定が行われる部分である。
【0103】
さらに、車速が一定値以上で変速ポジションが不明となっている間などは、その直前の変速ポジションを維持するようにする。「不明2」の期間、「不明3」の期間、「不明4」の期間、「不明5」の期間、「不明6」の期間、「不明7」の期間及び「不明8」の期間が、これに該当する。漕いでいない間に変速していなければ特に問題がなく、漕いでいない間に変速していたとしても漕ぎ始めれば新たな変速比が得られるので、運転者に違和感を与えずにアシストができる。
【0104】
[実施の形態7]
これまでの実施の形態では変速比取得部を備えている場合を説明してきたが、変速比取得部が備えられていない場合もあり得る。このように恒久的に変速比が不明な電動アシスト車の場合、第1乃至第6の実施の形態で説明したような変速比に応じたアシストトルクの算出はできない。そのため、本実施の形態では、変速比が既知の範囲内(上で述べた例ではH、M、L)で任意に変わることを前提に以下で述べるような構成を採用して、以下で述べるような制御を行う。
【0105】
具体的には、本実施の形態に係る駆動トルク目標演算部1203cの構成例を
図29に示す。本実施の形態に係る駆動トルク目標演算部1203cは、平滑化部3101と、乗算器3102と、加算器3104と、乗算器3105と、加算器3103と、車速ディレーティング部3108と、乗算部3107と、制御部3106と、制限関数出力部3109と、最小値選択部3110とを有する。
【0106】
平滑化部3101は、ペダル入力トルクを平滑化して平滑済みトルクを算出する。また、加算器3104は、(平滑済みトルク−ペダル入力トルク)を算出して逆リップルトルクを出力する。乗算器3105は、逆リップルトルクと車速ディレーティング部3108からの出力(合計平滑率)との積を算出し、合計リップ補正トルクを出力する。一方、乗算器3102は、平滑済みトルクと最小値選択部3110の出力である実行アシスト比との積を算出し、出力する。そして、加算器3103は、平滑済みトルクと実行アシスト比との積と合計リップ補正トルクとの和をアシストトルクとして出力する。このような処理は、第5の実施の形態における平滑率制御部3006と同様の処理である。
【0107】
制御部3106は、ペダル入力トルクと車速とから、変速比を推測して、推測された変速比に対応する補正係数及び合計平滑率を出力する。具体的には、車速が所定速度より低い場合にはLポジションを想定する。また、こぎ始めから(ペダル入力トルクが0又は微小値から)一定時間内もLポジションを想定する。それ以外の部分については、Mポジションを想定する。但し、ペダル入力トルクがあり且つ車速が閾値以上であればHポジションを想定するようにしても良い。本実施の形態では、Lポジションが想定される場合には補正係数=8/5を出力し、Mポジションが想定される場合には補正係数=1と出力し、Hポジションが想定される場合には補正係数=5/8と出力する。但し、ポジション変更を推定して補正係数が変化する場合には、補正係数が連続的に変化するように補正係数を徐々に変化させつつ出力する。
【0108】
また、合計平滑率についての係数は、第5の実施の形態のように、Lポジションが想定される場合には「1」を、Mポジション又はHポジションが想定される場合には「0」を出力するようにしても良い。また、Lポジションが想定される場合には「1」を、Mポジションが想定される場合には「1/2」を、Hポジションが想定される場合には「0」を出力するようにしても良い。
【0109】
また、車速ディレーティング部3108は、第5の実施の形態におけるディレーティング部3602と同様に、
図23又は
図24に示すようなカーブに従い、車速に応じて上記係数に対応する合計平滑率を出力する。
【0110】
さらに、本実施の形態に係る制限関数出力部3109では、車速に応じて実行アシスト比の上限値を出力する。例えば
図30に示すような値を出力する。
図30の例では、車速が10Km/hまでであれば「3/2」を出力し、10Km/h以上24Km/hまでは線形に「0」まで減少する。なお、3/2は、Mポジションの希望アシスト比が2でHポジション(変速比4/3)を想定した場合の上限値であり、2/(4/3)=3/2と算出される。
【0111】
最小値選択部3110は、乗算器3107の出力(希望アシスト比と補正係数の積)と制限関数出力部3109の出力とのうち最小値を、実行アシスト比として乗算器3102に出力する。
【0112】
例えば
図31に示すような走行例を想定する。この走行例では、停止状態から漕ぎ出して、一度漕ぐのをやめた後停止せずに再度漕ぎ出すという例を示している。このことは
図31(a)の平均ペダル入力トルクと
図31(b)のペダル回転数と
図31(c)の車速から明らかである。
【0113】
本実施の形態では上で述べたように、車速が停止状態から所定速度まで又は漕ぎ出しから一定時間t
1の間は、アシスト比補正用の変速ポジションがLポジションであると想定する。従って、
図31(d)に示すように、1つ目のLポジション及び2つ目のLポジションと、一旦漕ぐのをやめた後に漕ぎだした後のLポジションがこのようなルールに従って想定される。さらに、それ以外の部分ではMポジションが想定される。そして、
図31(e)に示すように、この想定変速ポジションに応じて補正係数が決定される。なお、制限関数出力部3109は、
図31(f)に示すように、常にHポジションを想定して、実行アシストの上限値を出力する。さらに、車速ディレーティング部3108が出力する合計平滑率については、
図31(g)の期間T
1に示すように、Lポジションが想定され且つ車速が0又は微小である場合には「1」となるが、車速が増加すると次第に「0」になる。一方、Lポジションが想定されていても、期間T
2のように車速が大きい場合には、合計平滑率は「0」のままである。MポジションやHポジションが想定される場合には、合計平滑率は「0」のままである。
【0114】
このような処理を行うことで、変速比が恒久的に取得できない場合においても発進時や登坂時も可能な限りスムーズで楽に走行できるようにアシストできるようになる。さらに、許容アシスト比の上限値を超えないようにも設定されている。
【0115】
[他の実施の形態]
第1乃至第7の実施の形態では、駆動トルク目標演算部1203を、フィードフォワード制御に適用した例を示したが、フィードバック制御においても、本駆動トルク目標演算部1203を用いることができる。本実施の形態では、
図32に示すような演算部1021の構成を採用する。
【0116】
この演算部1021は、回生ブレーキ目標トルク演算部11201と、回生有効化部11202と、駆動トルク目標演算部11203と、アシスト有効化部11204と、加算部11206と、トルクスルーレート制限部11255と、相当トルク変換部11251と、加算部11252と、ループフィルタ部11253と、PWMコード生成部11254とを有する。
【0117】
車速入力部1024からの車速値及び車輪の回転周期、トルク入力部1027からのペダルトルク値及びペダル回転入力部1022からのペダル回転入力は、駆動トルク目標演算部11203に入力され、アシストトルク値が算出される。駆動トルク目標演算部11203の演算内容は、駆動トルク目標演算部1203と同様である。
【0118】
また、回生ブレーキ目標トルク演算部11201は、車速入力部1024からの車速値に応じて、例えば予め設定されているカーブに従った回生ブレーキ目標トルク値を算出する。このカーブは、車速値とは逆極性で且つ車速値の絶対値の半分以下(「半分以下」は例えば数%程度「半分」を上回る場合も含む)となるような関係を表すカーブである。このようにすればどのような速度であってもある程度の効率で回生を行うことができるようになる。なお、この処理については、本実施の形態の主旨ではないので、これ以上述べない。
【0119】
本実施の形態では、ブレーキ入力部1028からブレーキ有りを表す入力信号が入力されると、回生有効化部11202は、回生ブレーキ目標トルク演算部11201からの回生ブレーキ目標トルク値を加算部11206に出力する。それ以外の場合には、0を出力する。一方、ブレーキ入力部1028からブレーキ無しを表す入力信号が入力されると、アシスト有効化部11204は、駆動トルク目標演算部11203からのアシストトルク値を出力する。それ以外の場合には、0を出力する。
【0120】
加算部11206は、回生有効化部11202からの回生ブレーキ目標トルク値の極性を反転して出力するか、アシスト有効化部11204からのアシストトルク値をそのまま出力する。以下、説明を簡略化するため、アシストトルク値及び回生ブレーキ目標トルク値を目標トルク値と略称するものとする。
【0121】
トルクスルーレート制限部11255は、加算部11206からの目標トルク値に対してよく知られたスルーレート制限処理を実施して、処理結果を加算部11252に出力する。
【0122】
一方、相当トルク変換部11251は、電流検出部1023からのモータ電流に相当する値を、トルク相当値に変換する処理を実施し、処理結果を加算部11252に出力する。加算部11252は、トルクスルーレート制限部11255からの出力から相当トルク変換部11251からの出力を差し引き、演算結果をループフィルタ部11253に出力する。ループフィルタ部11253は、加算部11252からの出力に対して積分処理を実施して、処理結果をPWMコード生成部11254に出力する。PWMコード生成部11254は、ループフィルタ部11253からの出力に対して、AD入力部1029からのバッテリ電圧/基準電圧(例えば24V)を乗じてPWMコードを生成する。PWMコードは、モータ駆動タイミング生成部1026に出力される。
【0123】
このようにすれば、フィードバック制御において上で述べた駆動トルク目標演算部1203の効果をそのまま得ることができるようになる。
【0124】
以上本発明の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、上で述べた機能ブロック図は説明の都合上機能ブロック分けしており、実際の回路構成は異なる場合もある。また、プログラムで実現する場合にも、プログラムモジュール構成とは一致しない場合もある。さらに、上で述べた機能を実現する具体的な演算手法は複数存在しており、いずれを採用しても良い。
【0125】
また、演算部1021の一部については専用の回路で実現される場合もあれば、マイクロプロセッサがプログラムを実行することで上記のような機能が実現される場合もある。
【0126】
また、上で述べた3速変速機の例は一例であり、2速以上の変速機であればどのような変速機にも適用可能である。
【0127】
なお、本実施の形態に係るモータ駆動制御装置は、変速機とモータとを有し且つ変速機の変速比の変化に応じてモータの駆動回転数とペダルの駆動回転数との第1の比が変化する電動アシスト車のモータ駆動制御装置である。そして、このモータ駆動制御装置は、変速機の変速比を取得する変速比取得部と、変速比取得部により取得された変速比に応じて、ペダル入力トルクからモータの駆動トルクの目標値であるアシストトルクを算出する演算部とを有する。
【0128】
また、上で述べた電動アシスト車が、変速機の変速比が高速側に変化すると第1の比が高くなり変速比が低速側に変化すると第1の比が低くなる電動アシスト車である場合には、上で述べた演算部は、アシストトルクに応じて駆動されるモータの駆動トルクに対する変速機の作用を変速比に応じて逆方向に織り込んでアシストトルクを算出するようにしてもよい。このようにすれば、上記のような電動アシスト車における変速機の影響を考慮した上で適切なモータ駆動トルクを発揮できるようになる。
【0129】
また、上で述べた演算部は、変速比が高速側に設定されると、ペダル入力トルクの1サイクル平均を表す平均ペダル入力トルクに対するアシストトルクの1サイクル平均を表す平均アシストトルクの第2の比が、変速比が低速側に設定された場合に比して低くなるように設定し、当該第2の比によってアシストトルクを算出するようにしても良い。このようにすれば、よりアシストが求められる状態、例えば低速側の変速比の場合に、より多くのアシストを与えることができるようにアシストトルクを算出できるようになる。
【0130】
上で述べた演算部は、上記第2の比を、−1以下のべき数によって変速比をべき乗した値に比例するように設定するようにしても良い。このようにすることで、よりアシストが求められる状態に適したアシストを与えることができるようになる。
【0131】
また、上で述べた演算部は、上記第2の比について別途設定された第2の比の上限値で、第2の比を制限するようにしても良い。法令などによる制限に対処するためである。
【0132】
さらに、上で述べた演算部は、上記第2の比を、−1より小さいべき数によって変速比をべき乗した値に比例するように設定し、変速比に反比例する第3の比と車速に応じた制限値との積(すなわち上限)により、第2の比を制限するようにしても良い。このようにすれば、どの変速比の場合においても、上限まで上記第2の比によりアシストトルクを算出できるようになる。
【0133】
また、上で述べた演算部が、周期的なトルク変動を含むペダル入力トルクによる車輪駆動力とアシストトルクによる車輪駆動力との合計駆動力における周期的変動の度合いを、上記変速比に応じて変化させるようにしても良い。例えば変速比によって推定される負荷に応じて適切なアシストができるようになる。
【0134】
また、上で述べた演算部が、ペダル入力トルクを平滑化した平滑化ペダル入力トルクとペダル入力トルクとの差に対して乗ずる係数を変速比に応じて決定し、上記差と上記係数との積と、平滑化ペダル入力トルクと第2の比との積との和によりアシストトルクを算出するようにしても良い。このようにすれば、ペダル入力トルクのリップルを考慮に入れた、適切なアシストトルクを算出できるようになる。すなわち、ペダル入力トルクのリップルの影響を受けやすい登坂時などに変速比に応じて有効にアシストできるようになる。
【0135】
また、上で述べた係数は、変速比が高速側に設定されると、変速比が低速側に設定された場合に比して低くなるように設定されるようにしても良い。このようにすれば、登坂時などアシストが求められる状態で、変速比に応じた係数が設定されるようになる。
【0136】
また、変速比取得部が変速比を取得できない状態(例えば一時的な又は過渡的な状態)において、上記上限値を、最も高速な場合における変速比に基づき設定するか、又は、第3の比を算出する際の上記変速比を、最も高速な場合における変速比に基づき設定するようにしても良い。このようにすれば、安全を見て法的制約などを満たすことができるようになる。
【0137】
さらに、上で述べた演算部は、変速比取得部が変速比を取得できない場合、停止時又は車速が所定値未満であり、且つペダル入力トルクが0又は微小な値から増加し始めた状態では、中間又は当該中間よりも低い所定の変速比であるものとしてアシストトルクを算出するようにしても良い。このような状態はアシストを比較的多く求められる状態になるためである。
【0138】
また、上で述べた演算部は、変速比取得部が変速比を取得できない状態において、直前に取得された変速比を継続して使用するようにしても良い。例えば走行中であれば、このようにすれば運転者にも違和感なくアシストできるようになる。