(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5690010
(24)【登録日】2015年2月6日
(45)【発行日】2015年3月25日
(54)【発明の名称】ケーブル式道路防護柵用視線誘導標
(51)【国際特許分類】
E01F 9/015 20060101AFI20150305BHJP
E01F 15/06 20060101ALI20150305BHJP
【FI】
E01F9/015
E01F15/06 A
【請求項の数】1
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-128088(P2014-128088)
(22)【出願日】2014年6月23日
【審査請求日】2014年8月5日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】301031392
【氏名又は名称】独立行政法人土木研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】595015258
【氏名又は名称】野原産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130476
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 昭穂
(72)【発明者】
【氏名】平澤 匡介
(72)【発明者】
【氏名】三品 裕志
【審査官】
石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】
特許第5156845(JP,B2)
【文献】
特開2012−097485(JP,A)
【文献】
特開2001−026912(JP,A)
【文献】
実開平02−062910(JP,U)
【文献】
特開2012−052322(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 9/015
E01F 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端に開口する一対のスリットを有する支柱と、上下方向で間隔をおいて前記スリットを横通して張設されるケーブルと、を備えるケーブル式道路防護柵用視線誘導標において、
反射体と、反射体を保持する反射体保持部と、支柱の上端部に嵌め込まれる嵌込み部と、反射体保持部と嵌込み部とを連結する連結部とを備え、
反射体保持部、嵌込み部、及び連結部はそれぞれ弾性体からなる連続体であり、
連結部は、所定の連結幅を有して反射体保持部と嵌込み部とを接続する中空の筒体であり、
嵌込み部は、所定の嵌込み長さを有して支柱の上端部に嵌込まれる筒体であり、嵌め込まれる支柱に張設されたケーブルに巻き付けられる結束バンドを貫通させる貫通孔を有し、車輌が衝突した場合には結束バンドを介してケーブル式道路防護柵に保持されることを特徴とするケーブル式道路防護柵用視線誘導標。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブル式道路防護柵用視線誘導標に係り、特に、支柱及び支柱間に張設されるケーブルからなるケーブル式道路防護柵に設けられる視線誘導標に関する。
【背景技術】
【0002】
視線誘導標とは、道路の側方部又は中央部などに沿って設けられ、道路を走行する車輌の運転者に対して道路の線形を明示する、すなわち視線を誘導する施設であり、「デリネーター」或いは「デリニエーター」とも称される。この視線誘導標は、例えば、車輌速度が速い区間、車線数や車道幅員が変化する区間、急カーブ、或いは急カーブに接続する区間などに設置され、車輌の運転者に注意を促す施設である。また、一般的に、高速道路では50m間隔で設置されており、これにより車輌の運転手は車間距離の確認にも用いることができる。さらに、寒冷地では、この視線誘導標がスノーポールにも兼用され、積雪時の車輌事故の防止又は低減に役立っている。
【0003】
図6に、この視線誘導標が取り付けられる従来の道路防護柵30の実施例を側面図で示す。この道路防護柵30は道路の側方部又は中央部に所定の間隔で設けられ、支柱31同士をビームパイプ32が接続ブロック35を介して接続される。そして、支柱31の最上部には金属製キャップ33が取り付けられ、視線誘導標はこの金属製キャップ33に嵌め込まれる。さらに、ビームパイプ32の端末には端末キャップ34が設けられる。
【0004】
視線誘導標は、基本的に、車輌の前照灯による光線を再起反射する反射体、反射体を固定する反射体取付け部、及び、反射体と反射体取付け部とを支持し、道路防護柵に設けられたキャップなどに固定される支柱、から構成されるのが一般的である。また、反射体は、例えばアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂などの合成樹脂からなる両面レンズが一般的に用いられる。さらに、反射体取付け部及び支柱は、例えばダイキャスト製のアルミ合金鋼などの金属が一般的に用いられる。
【0005】
特許文献1には、視線誘導標の誘導標本体へ反射体を容易に取り付け可能な反射体の取付構造、及び取付金具が開示されている。ここでは、誘導標本体において前方に開口する凹部を形成させてこの凹部に嵌合部を形成させること、及び反射体には取付金具を取り付けてこの取付金具には反射体を支持固定する支持部を前方へ突出させて形成させること、が記載されている。これらの構成により誘導標本体に反射体を強固に固定させることができる。そして、視線誘導標の頭部には、外周面にリブを備えた円筒形状に形成されて下方に突出する挿入部が備えられ、この挿入部を円筒形状の支柱に上方から挿入させて、道路脇などに立設可能な視線誘導標を形成することが記載されている。
【0006】
特許文献2には、道路防護柵支柱用反射キャップが開示されている。ここでは、支柱頭部に被せて弾性により取り付けられる弾性材料製の反射体が記載されている。そして、支柱に被せられる弾性材料キャップの内側にもどり止め突部が設けられ、このもどり止め突部が鋼製キャップの外縁端に当たり固定される。また、もどり止め突部のない形式では弾性材料キャップが弾性により外縁部に当たり固定される。すなわち、これらの弾性材料製により鋼製キャップが外れないように支柱頭部に固定する技術が記載されている。
【0007】
特許文献3には、従来のケーブル式道路防護柵40が開示されている。
図7(a)にこのケーブル式道路防護柵40の構成を示す。また、
図7(b)及び
図7(c)にケーブル式道路防護柵40に車輛45が衝突した際の支柱41とガードケーブル42の挙動を示す。このケーブル式道路防護柵40には、上述した
図6の防護柵30におけるビームパイプ32に代替し、例えばワイヤーロープなどのガードケーブル42が設置される。そして、このケーブル式道路防護柵40は、車輛衝突時に支柱41が折れながらも、ガードケーブル42の高さを保持することにより、ガードケーブル42の張力が車輛45を跳ね返し、車輛45が車線から逸脱することを防止するという特徴を有する。
【0008】
すなわち、
図7(a)に示すように、支柱41の道路と平行な左右の面に、上端に開口する一対のスリット44が設けられ、4本のガードケーブル42a〜42dが支柱41のスリット44を貫通し、それぞれ支柱41内に配した間隔材47を介して等間隔で張設されている。支柱41の頭部には金属製キャップ43が被せてあり、また、最上段のガードケーブル42aの下の支柱41の外周にストラップ46が巻かれている。
【0009】
また、
図7(b)に示すように、車輌45がガードケーブル42に衝突すると、ガードケーブル42には車道より外側方向を向いた衝撃力が加わり、スリット44の口開きを伴う支柱41を外側に曲げる力が働く。このガードケーブル42は伸びることで衝突エネルギーを吸収するが、衝撃力が大きいと支柱41の曲がりも大きくなり、最上段のガードケーブル42aは、ストラップ46による「たが効果」が働かず、そのためにスリット44内を上方に滑り、金属製キャップ43を跳ね飛ばして支柱41から外れる。
【0010】
さらに、
図7(c)に示すように、ガードケーブル42に大きな衝撃力が加わると、支柱41が大きく曲がりスリット44が口を開く。それにより、ストラップ46が破断して支柱41から脱落し、拡大したスリット44から2段目のガードケーブル42bが外れて伸びることにより衝撃エネルギーを吸収しながらガードケーブル42に沿うように車輌を誘導する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2012−97485号公報
【特許文献2】実開平2−62910号公報
【特許文献3】特許第5156845号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
図7のケーブル式道路防護柵に従来の視線誘導標を設置した場合、すなわち、ケーブル式道路防護柵の支柱頭部に設けられている金属製キャップに代えて視線誘導標を設置すると、その視線誘導標が車輌衝突時にケーブル式道路防護柵の支柱スリットの口開きを妨げてしまいケーブル式道路防護柵の支柱が倒壊してしまうという虞がある。このため、ガードケーブルの張力が車輛を跳ね返し、車輛が車線から逸脱することを防止するという機能が発揮されないという問題がある。
【0013】
また、車輌衝突事故が発生した場合、飛散した視線誘導標により対向車線の車輌などに二次災害が発生する虞がある。すなわち、「車輛の運転手に対して道路の線形を明示する。」という車輌の交通安全性を高める目的で備えられた視線誘導標により、例えばその車輛が直接災害を被ったり、例えば他の車輌などへの二次災害が引き起こされてしまうという問題がある。
【0014】
本願の目的は、かかる課題を解決し、車輛の運転手に対して道路の線形を明示しつつ、防護柵に車輌が衝突してもケーブル式道路防護柵により車輛の安全を確保し、視線誘導標の飛散による直接災害や二次災害を最小限に制御するケーブル式道路防護柵用視線誘導標を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため、本発明に係るケーブル式道路防護柵用視線誘導標は、上端に開口する一対のスリットを有する支柱と、上下方向で間隔をおいて前記スリットを横通して張設されるケーブルと、を備えるケーブル式道路防護柵用視線誘導標において、反射体と、反射体を保持する反射体保持部と、支柱の上端部に嵌め込まれる嵌込み部と、反射体保持部と嵌込み部とを連結する連結部とを備え、反射体保持部、嵌込み部、及び連結部はそれぞれ弾性体からなる連続体であり、
連結部は、所定の連結幅を有して反射体保持部と嵌込み部とを接続する中空の筒体であり、嵌込み部は、所定の嵌込み長さを有して支柱の上端部に嵌込まれる筒体であり、
嵌め込まれる支柱に張設されたケーブルに巻き付けられる結束バンドを貫通させる貫通孔を有し、車輌が衝突した場合には結束バンドを介してケーブル式道路防護柵に保持されることを特徴とする。
【0016】
上記構成により、ケーブル式道路防護柵用視線誘導標は、支柱の上端部に弾性体からなり所定の嵌込み長さを有する嵌込み部を嵌め込むことで、通常はその弾性力により支柱から外れ難くし、車輛が衝突した際には一対のスリットの開口に対して柔軟に変形して追従し、視線誘導標を支柱から抜け易くすることができる。ケーブル式道路防護柵は、車輛が衝突した際にガードケーブルの取り付け高さを保持し、ケーブルの張力により車輛を跳ね返すという機能を発揮する。そのためには、車輛の衝突の際に最上段のガードケーブルがスリット内を上方に滑り、視線誘導標を跳ね飛ばして支柱から外さなければならない。しかし、嵌込み部が非弾性体であり周方向にほとんど変形せずに追従しない場合には、一対のスリットの開口を抑え込んでしまい視線誘導標が支柱から抜けるのを阻害してしまう。その結果、支柱は車輛の衝突時にそのまま倒壊してしまう虞がある。これに対し、嵌込み部が所定の嵌込み長さを有する弾性体であることで、通常時には支柱と嵌込み部との間に適度な摩擦力を保持し、かつ、車輛が衝突した際には支柱に設けられた一対のスリットの開口により摩擦力が切れて、支柱を倒壊させることなく視線誘導標を支柱から抜け易くすることができる。
【0017】
また、上記構成により、ケーブル式道路防護柵用視線誘導標は、反射体保持部と嵌込み部との間に、所定の連結幅を有する弾性体である筒状の連結部を設けることで、車輛が衝突した際に、支柱に嵌め込んだ嵌込み部を支柱の上端部から容易に外すことができる。すなわち、ケーブル式道路防護柵に車輛が衝突した際に、視線誘導標には横方向に押す衝撃力が発生する。連結部は、車輛が衝突した際にこの横向きの衝撃力により大きく曲げ変形する。そうすると、連結部の一部が浮き上がる方向に変形して嵌込み部を引き上げ、支柱を倒壊させることなく視線誘導標を支柱から抜け易くすることができる。
【0018】
さらに、上記構成により、ケーブル式道路防護柵用視線誘導標は、反射体保持部、嵌込み部、及び連結部が連続体として一体化されていることから、車輛が衝突した際に支柱から抜けた場合であっても分離して飛散することがない。さらに、反射体保持部、嵌込み部、及び連結部はそれぞれ弾性体からなることから、視線誘導標の飛散による二次災害を最小限に食い止めることができる。
【0019】
さらに、上記構成により、ケーブル式道路防護柵に設けられた視線誘導標は、車輌が衝突した際に結束バンドを介してガードケーブルに繋ぎ止められて飛散することが防止される。そのため、視線誘導標の飛散による直接災害や二次災害を最小限に制御することができる。
【0020】
また、ケーブル式道路防護柵用視線誘導標は、嵌込み部が張設された最上段のケーブルにおけるスリット近傍を上部から覆うように支柱の上端部に嵌込まれることが好ましい。これにより、車輌が衝突した際に、最上段のガードケーブルがスリット内を上方に滑り、視線誘導標の嵌込み部に掛止して視線誘導標を容易に跳ね飛ばすことができる。さらに、当該嵌込み部に切込み部を設けてガードケーブルによる跳ね飛ばしを確実に行えるようにすることが好ましい。
【0021】
また、ケーブル式道路防護柵用視線誘導標は、連結部が傾斜した帯状の円環である絞り部を介して連結部の外径より大きな外径を有する嵌込み部に接続されることが好ましい。これにより、車輛が衝突した際に、傾斜した帯状の円環である絞り部により、視線誘導標を支柱から外れ易く誘導することができる。
【0022】
さらに、ケーブル式道路防護柵用視線誘導標は,反射体保持部又は連結部の内面には、ケーブルが張設される方向に突出する補強材が設けられることが好ましい。これにより、強風や車輛振動などによる反射体の揺れを減少させることができる。
【発明の効果】
【0023】
以上のように、本発明に係るケーブル式道路防護柵用視線誘導標によれば、車輛の運転手に対して道路の線形を明示しつつ、防護柵に車輌が衝突してもケーブル式道路防護柵により車輛の安全を確保し、視線誘導標の飛散による直接災害や二次災害を最小限に制御するケーブル式道路防護柵用視線誘導標を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明に係るケーブル式道路防護柵用視線誘導標の1つの実施形態の概略構成を示す、正面から見た断面図である。
【
図2】
図1のケーブル式道路防護柵用視線誘導標を示す、側面から見た断面図である。
【
図3】本発明に係る視線誘導標が設けられたケーブル式道路防護柵における実施形態の概略構成を示す側面図である。
【
図4】
図3のケーブル式道路防護柵を示す正面図である。
【
図5】本発明に係る視線誘導標が設けられたケーブル式道路防護柵に車輛が衝突した際のケーブル式道路防護柵及び視線誘導標の挙動を示す説明図である。
【
図6】視線誘導標が取り付けられる一般的な道路防護柵の実施例を示す側面図である。
【
図7】ケーブル式道路防護柵の構成、及びケーブル式道路防護柵に車輛が衝突した際の支柱とケーブルの挙動を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、図面を用いて本発明に係るケーブル式道路防護柵用視線誘導標1の実施形態につき、詳細に説明する。
図1に、本発明に係るケーブル式道路防護柵用視線誘導標1の1つの実施形態の概略構成を正面から見た断面図により示す。また、
図2に、
図1のケーブル式道路防護柵用視線誘導標を側面から見た断面図により示す。
【0026】
ケーブル式道路防護柵10を道路中央などに設置する場合に視線誘導標1が必要となる。特に、積雪地では道路面から高さ1.2mに反射体2を設置しなければならない。ケーブル式道路防護柵10の支柱7の一般的な高さは約1.0mなので、道路防護柵10の支柱上端部8に視線誘導標1を設置するか、或いは視線誘導標用支柱を別途設置する必要がある。本発明に係るケーブル式道路防護柵用視線誘導標1は、視線誘導標1をこの式道路防護柵10の支柱上端部8に直接設置することで、「道路面から高さ1.2mに反射体2を設置する」という基準を満たすことができる。また、車輌の運転者に対し、例えば、車輌速度が速い区間、車線数や車道幅員が変化する区間、急カーブ、或いは急カーブに接続する区間であることなどの注意を促すとともに、車間距離を確認させる役割を果たす。
【0027】
(ケーブル式道路防護柵用視線誘導標の構成)
図1及び
図2に示すように、ケーブル式道路防護柵用視線誘導標1は、反射体2、反射体保持部3、嵌込み部4、及び連結部5から構成される。反射体2は、視線誘導標1の本体であり、車輌の前照灯による光源を再帰反射する部分である。本実施形態では、反射体2は視線誘導標1の表面に設けられた第1反射体2a、及び視線誘導標1の裏面に設けられた第2反射体2bから構成される。この反射体2a,2bの形状は原則として丸形であり、直径70mm以上100mm以下であることが規定されている。この反射体2の材料には、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂などの合成樹脂で容易に反射性能の低下、変色、破損が生じない材料が採用される。
【0028】
反射体保持部3は、反射体2を着脱自在に嵌め込んで保持する。そのため、この反射体保持部3は反射体2が嵌め込み可能な素材からなる。また、
図1及び
図2に示すように、反射体保持部3から反射体補強材14が突出して内側から第1反射体2a及び第2反射体2bの間隔を保持する。また、第1反射体2a,第2反射体2b及び反射体保持部3により囲まれた内部は軽量化のため中空となっている。さらに、反射体保持部3の下部には反射体保持部揺れ防止補強材15が設けられている。これは、反射体2などが軽量化されて強風や車輛振動などにより反射体2が揺れ易くなるのを防止するためである。この反射体保持部3の素材は、従来は主にアルミニウム合金鋼が用いられていたが、本発明では、例えば合成ゴムなどの弾性体が用いられる。この合成ゴムは、例えば、エチレン・プロピレンゴム(EPDM)等が用いられるが、これに限らず、所望の弾性を発揮する合成ゴムであれば良い。
【0029】
嵌込み部4は、所定の嵌込み長さ(La)を有して支柱上端部8に嵌込まれる中空の筒
体であり、本実施形態では円筒である。
図6に示す従来の道路防護柵30では、支柱31の上端部には金属製キャップ33が設けられ、
図7に示す従来のケーブル式道路防護柵40においても支柱41の上端部には金属製キャップ43が設けられるのが一般的であった。本発明に係るケーブル式道路防護柵用視線誘導標1では、嵌込み部4は弾性体からなり、支柱7の上部端8を覆うように嵌込まれ、視線誘導標1を支柱7に定着させる。さらに、
図1に示すように、本実施形態ではケーブル式道路防護柵10の最上段のガードケーブル6aに対して破線で示す切込み部24が設けられる。
図1に示す切込み部24の形状は長方形であるが、これに限らず、例えば、円形、楕円形などであっても良い。さらに、嵌込み部4には結束バンド貫通孔12が設けられる。この結束バンド貫通孔12には結束バンド11が貫通し、ケーブル式道路防護柵10の最上段のガードケーブル6aに結束される。
【0030】
連結部5は、弾性体からなり、所定の連結幅(Lb)を有して反射体保持部3と嵌込み部4とを連結する。この連結幅(Lb)により、ケーブル式道路防護柵10の支柱7の高さ(約1.0m)と上述した積雪地で規定されている反射体2の道路面から高さ(1.2m)との高さの差が調整できる。また、連結部5は中空の円筒であるが、内側に揺れ防止のための連結部揺れ防止補強材13が設けられている。これにより、強風や車輛振動などによる反射体2の揺れを減少させることができる。
【0031】
(視線誘導標付きケーブル式道路防護柵の概要)
図3に、本発明に係る視線誘導標1が設けられたケーブル式道路防護柵10における実施形態の概略構成を示す側面図で示す。また、
図4に、
図3のケーブル式道路防護柵10を正面図で示す。
図4(a)には、ケーブル式道路防護柵10を正面図で示し、
図4(b)には、支柱7上端のスリット23部分を拡大した正面図で示す。さらに、
図4(c)には、
図4(b)に示す支柱7上端のスリット23を
図4(b)のA−A断面で示す。
【0032】
ケーブル式道路防護柵10は支柱7及びガードケーブル6から構成される。本実施形態では、支柱7は円形の鋼管であり、例えば、φ89.1×3.2などのサイズの鋼管が用いられる。この支柱7は、地中に垂直状に埋設された円筒状のスリーブ16に挿入される。このスリーブ16は、底部に底蓋18が設けられ、上部は地表面と略同等の高さとなるように埋設される。そして、支柱7の下端部はスリーブ16を貫通する位置決めボルト19により位置決めされて支持される。また、スリーブ16は、底部に水抜き孔25を有し、上部にはスリーブ16と支柱7との隙間を密閉するために上蓋17が設置される。
【0033】
図4(b)及び
図4(c)に示すように、支柱7の上部には上端に開口する一対のスリット23が支柱7の対向する2箇所に設けられる。そして、スリット23のケーブル貫通部26には、4段のガードケーブル6a〜6dが貫通する。このガードケーブル6a〜6dの高さ方向の位置は、ケーブル間隔保持材21により保持される。なお、
図4(b)は、ケーブル間隔保持材21を取り除いた場合の側面を示す。
【0034】
ガードケーブル6は、例えば、直径が18mmのワイヤーロープ(3×7)が用いられるが、このサイズに限らない。また、ガードケーブル6は、腐食を防止するため亜鉛めっきされているが、亜鉛めっきの表面にはさらに塗装をしてもよい。ガードケーブル6は、支柱7の上下方向にスリット23を横通して張設される。
図3及び
図4では、ガードケーブル6の段数は4段であるが、この段数に限らない。さらに、支柱7には、鋼管の外周にストラップ20が巻き付けられる。このストラップ20は、例えば、円形に丸められたステンレス製の帯板などである。
【0035】
(車輛が衝突した際のケーブル式道路防護柵及び視線誘導標の挙動)
図5に、視線誘導標1が取り付けられたケーブル式道路防護柵10に車輛22が衝突した際のケーブル式道路防護柵10及び視線誘導標1の挙動を示す。
図5(a)には、ケーブル式道路防護柵10に車輛22が衝突する前の状態を示す。
図5(b)には、ケーブル式道路防護柵10に車輛22が衝突し、最上段のガードケーブル6aが支柱7のスリット23から外れた状態を示す。
図5(c)には、ケーブル式道路防護柵10に車輛22が衝突した後に、さらに第2段目のガードケーブル6bが支柱7のスリット23から外れた状態を示す。
【0036】
図5(b)及び
図5(c)に示すように、支柱7の上端部には、開口する一対のスリット23が設けられ、4段のガードケーブル6a〜6dが鋼管からなる支柱7のスリット23を貫通し、それぞれ支柱7内に配したケーブル間隔保持材21を介して等間隔で張設されている。そして、支柱7の先端部には、道路の走行方向に反射体2が向けられた視線誘導標1が取り付けられている。弾性体からなる視線誘導標1の嵌込み部4は、支柱7に所定の嵌込み長さ(La)を有して支柱上端部8に嵌込まれる。従って、嵌込み部4は、弾性体による適切な摩擦力により支柱上端部8から外れずに取り付いている。また、本実施形態では、最上段のガードケーブル6aの下の支柱7の外周にストラップ20が巻かれている。
【0037】
図5(b)に示すように、車輌22がガードケーブル6に衝突すると、ガードケーブル6には、
図1に示す衝撃力(F)が作用する。支柱7は、車輛の衝突の際に道路の外側に曲げられる。そのため、視線誘導標1自体からみると衝撃力(F)は斜め上の方向に向かって作用する。つまり、この衝撃力(F)は、
図1に示すように水平方向の衝撃力(F
H)及び垂直方向の衝撃力(F
V)の成分に分力できる。この垂直方向の衝撃力(F
V)は、最上段のガードケーブル6aに対してスリット23内を上方に滑らせるように作用する。これは、
図1に示すように、嵌込み部4が、支柱7に張設された最上段のガードケーブル6aにおけるスリット23近傍を上部から覆うように支柱7の上端部8に嵌込まれていることによる。つまり、ガードケーブル6aは、視線誘導標1の嵌込み部4を係止して上方に押し上げる。そして、嵌込み部4には切込み部24が設けられ、車輛22の衝突の際にガードケーブル6aは嵌込み部4を確実に係止できる。
【0038】
一方、スリット23は上方に「ハ」の字のように開口する。嵌込み部4は弾性体からなるためこの開口に追従して変形する。また、支柱上端部8と嵌込み部4との摩擦力は開口による変形で相互の接触面積が減少して切れてしまう。これにより、最上段のガードケーブル6aが嵌込み部4を引っ掛けて上方に押し上げようとする動作に対する抵抗要素がなくなり、視線誘導標1は跳ね飛ばされて支柱7から外れる。しかし、視線誘導標1は、結束バンド11によりケーブル式道路防護柵10から飛散することなく保持される。
【0039】
また、
図1に示す垂直方向の衝撃力(F
V)により視線誘導標1の連結部5は曲げモーメントを受け道路の外側に曲げ変形をする。そうすると、環状の連結部5はその断面が歪み、特に嵌込み部4と接続する近傍では、環の一部が浮き上がる方向に変形する。そして、この変形により連結部5と一体となっている嵌込み部4は引き上げられ、支柱7を倒壊させることなく視線誘導標1を支柱7から抜け易くすることができる。
【0040】
さらに、連結部5は、傾斜した帯状の円環である絞り部9を介して連結部5の外径より大きな外径を有する嵌込み部4に接続される。この形状により、嵌込み部4を容易に支柱7から外すことができる。このように、弾性体からなり一体となっている連結部5、嵌込み部4、及び絞り部9は、協同して支柱7の支柱上端部8から外れることができる。嵌込み部4の嵌込み長さ(La)及び連結部5の連結幅(Lb)は、車輛22の衝突時に協同して支柱7の支柱上端部8から外れやすいようにそれぞれの長さが調整される。
【0041】
図5(c)に示すように、ガードケーブル6にさらに大きな衝撃力が加わると、支柱7が大きく曲がりスリット23も大きく口を開く。それにより、ストラップ20が破断して支柱7から脱落し、拡大したスリット23から2段目のガードケーブル6bが外れて伸びることにより衝撃エネルギーを吸収しながらガードケーブル6に沿うように車輌を誘導する。この際に、視線誘導標1は、結束バンド11を介してケーブル式道路防護柵10のガードケーブル6aからぶら下がっている。
【符号の説明】
【0042】
1 ケーブル式道路防護柵用視線誘導標又は視線誘導標、2 反射体,2a 第1反射体,2b 第2反射体、3 反射体保持部、4 嵌込み部、5 連結部、6,42 ガードケーブル,6a 最上段のガードケーブル、6b 2段目のガードケーブル,6c 3段目のガードケーブル,6d 最下段のガードケーブル、7,31,41 支柱、8 支柱上端部、9 絞り部、10 視線誘導標付きケーブル式道路防護柵、11 結束バンド、12 結束バンド貫通孔、13 連結部揺れ防止補強材、14 反射体補強材、15 反射体保持部揺れ防止補強材、16 スリーブ、17 上蓋、18 底蓋、19 位置決めボルト、20,46 ストラップ、21,47 ケーブル間隔保持材、22,45 車輛、23,44 スリット、24 切込み部、25 水抜き孔、26 ケーブル貫通部、30 防護柵、32 ビームパイプ、33,43 金属製キャップ、34 端末キャップ、35 接続ブロック、40 ケーブル式道路防護柵、F 衝撃力、F
H 水平方向の衝撃力、F
V 垂直方向の衝撃力、La 嵌込み長さ、Lb 連結幅。
【要約】
【課題】車輛の運転手に対して道路の線形を明示しつつ、防護柵に車輌が衝突してもケーブル式道路防護柵により車輛の安全を確保し、視線誘導標の飛散による直接災害や二次災害を最小限に制御するケーブル式道路防護柵用視線誘導標を提供する。
【解決手段】ケーブル式道路防護柵用視線誘導標1は、反射体2と、反射体2を保持する反射体保持部3と、支柱上端部8に嵌め込まれる嵌込み部4と、反射体保持部3と嵌込み部4とを連結する連結部5を備え、反射体保持部3、嵌込み部4、及び連結部5はそれぞれ弾性体からなる連続体であり、嵌込み部4は、所定の嵌込み長さ(La)を有して支柱上端部8に嵌込まれる中空の円筒であり、連結部5は、所定の連結幅(Lb)を有して反射体保持部3と嵌込み部4とを接続する中空の円筒である。
【選択図】
図2