特許第5690025号(P5690025)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5690025
(24)【登録日】2015年2月6日
(45)【発行日】2015年3月25日
(54)【発明の名称】シール装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 51/10 20060101AFI20150305BHJP
【FI】
   B65B51/10 A
   B65B51/10 K
   B65B51/10 Z
   B65B51/10 F
   B65B51/10 C
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-532750(P2014-532750)
(86)(22)【出願日】2014年2月7日
(86)【国際出願番号】JP2014052871
(87)【国際公開番号】WO2014126009
(87)【国際公開日】20140821
【審査請求日】2014年7月9日
(31)【優先権主張番号】特願2013-27965(P2013-27965)
(32)【優先日】2013年2月15日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000236964
【氏名又は名称】富士インパルス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 和邦
(72)【発明者】
【氏名】片岡 裕一郎
(72)【発明者】
【氏名】▲樽▼本 和好
(72)【発明者】
【氏名】原 健治
(72)【発明者】
【氏名】岩元 俊一
【審査官】 長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−249111(JP,A)
【文献】 特開2010−280446(JP,A)
【文献】 実開昭50−123673(JP,U)
【文献】 特許第3625855(JP,B2)
【文献】 特開2007−099339(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 51/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を挟んで圧着する圧着部を有する一対のシール部と、
前記一対のシール部のうち少なくとも一方のシール部に向けて、熱媒体を送る媒体経路部とを備え、
前記少なくとも一方のシール部は、前記圧着部と熱媒体との間で熱交換をするように、熱媒体を流通させる流通部を備え、
前記媒体経路部は、前記少なくとも一方のシール部の前記圧着部を加熱させるために、前記流通部に向けて加熱媒体を送るための加熱媒体経路部と、前記少なくとも一方のシール部の前記圧着部を冷却させるために、前記流通部に向けて冷却媒体を送るための冷却媒体経路部と、前記加熱媒体経路部及び前記流通部間が通ずる状態と前記冷却媒体経路部及び前記流通部間が通ずる状態とを切り替える経路切替部とを備え、
前記冷却媒体は、液体であって、
前記媒体経路部は、前記流通部に向けて圧縮気体を送るための圧縮気体経路部を備え、
前記経路切替部は、前記流通部に冷却媒体を送る際に、前記流通部に圧縮気体も合わせて送るように切り替えるシール装置。
【請求項2】
記媒体経路部は、各媒体を前記流通部から装置外部へ排出させるために、前記流通部及び装置外部間を開閉する排出経路部を備え、
前記加熱媒体は、蒸気であって、
前記排出経路部は、前記経路切替部が前記加熱媒体経路部及び前記流通部間が通ずる状態に切り替える際に、前記流通部及び装置外部間を開放しており、前記加熱媒体経路部及び前記流通部間が通ずる状態となって所定時間経過した後に、前記流通部及び装置外部間を閉鎖する請求項1に記載のシール装置。
【請求項3】
前記一方のシール部は、前記圧着部を支持するシール本体をさらに備え、
前記圧着部は、前記シール本体から突出するように配置され、
前記圧着部の少なくとも側端部は、前記シール本体からの突出量が端に向かって小さくなるように、構成される請求項1又は2に記載のシール装置。
【請求項4】
前記加熱媒体は、気体であって
記経路切替部は、前記流通部に加熱媒体を送る前に、前記流通部に圧縮気体を送るように切り替える請求項1〜3の何れか1項に記載のシール装置。
【請求項5】
前記流通部は、少なくとも下方側の内面が円弧状となるように形成される請求項4に記載のシール装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物を挟んで圧着する一対の圧着部を備えるシール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、対象物を挟んで圧着する一対の圧着部を備えるシール装置が知られている(例えば、特許文献1)。該シール装置においては、一方の圧着部がパイプの一部で構成されており、該パイプの内部に熱水が流通されている。これにより、一方の圧着部が加熱されるため、一対の圧着部が対象物(例えば、袋の開口部)を挟んで圧着する。
【0003】
ところで、対象物が圧着された直後に、対象物のシールされた被シール部分が動かされた場合、溶融された被シール部分のシール状態が不十分になる(例えば、袋の内部が密封できない)。これにより、該シール装置においては、対象物が圧着された後、溶融された被シール部分が凝固するまで、対象物を保持する必要がある。その結果として、処理速度が低下したり、装置が大型化したりするため、効率が低下している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】日本国特開2006−335431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
よって、本発明は、斯かる事情に鑑み、効率を向上することが図れるシール装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るシール装置は、対象物を挟んで圧着する圧着部を有する一対のシール部と、前記一対のシール部のうち少なくとも一方のシール部に向けて、熱媒体を送る媒体経路部とを備え、前記少なくとも一方のシール部は、前記圧着部と熱媒体との間で熱交換をするように、熱媒体を流通させる流通部を備え、前記媒体経路部は、前記少なくとも一方のシール部の前記圧着部を加熱させるために、前記流通部に向けて加熱媒体を送るための加熱媒体経路部と、前記少なくとも一方のシール部の前記圧着部を冷却させるために、前記流通部に向けて冷却媒体を送るための冷却媒体経路部と、前記加熱媒体経路部及び前記流通部間が通ずる状態と前記冷却媒体経路部及び前記流通部間が通ずる状態とを切り替える経路切替部とを備え、前記冷却媒体は、液体であって、前記媒体経路部は、前記流通部に向けて圧縮気体を送るための圧縮気体経路部を備え、前記経路切替部は、前記流通部に冷却媒体を送る際に、前記流通部に圧縮気体も合わせて送るように切り替える。
また、本発明に係るシール装置において、前記媒体経路部は、各媒体を前記流通部から装置外部へ排出させるために、前記流通部及び装置外部間を開閉する排出経路部を備え、前記加熱媒体は、蒸気であって、前記排出経路部は、前記経路切替部が前記加熱媒体経路部及び前記流通部間が通ずる状態に切り替える際に、前記流通部及び装置外部間を開放しており、前記加熱媒体経路部及び前記流通部間が通ずる状態となって所定時間経過した後に、前記流通部及び装置外部間を閉鎖する、という構成でもよい
【0007】
本発明によれば、経路切替部が、加熱媒体経路部及び流通部間を通じる状態に切り替えることで、加熱媒体が加熱媒体経路部から流通部に向けて送られる。これにより、少なくとも一方のシール部の圧着部が加熱されるため、一対の圧着部が対象物を挟んで圧着する。このとき、対象物の被シール部分は、溶融している。
【0008】
そして、経路切替部が、冷却媒体経路部及び流通部間を通じる状態に切り替えることで、冷却媒体が冷却媒体経路部から流通部に向けて送られる。これにより、少なくとも一方のシール部の圧着部が冷却されるため、溶融された被シール部分が凝固する。これにより、対象物をシールすることができる。
【0009】
また、本発明に係るシール装置においては、前記一方のシール部は、前記圧着部を支持するシール本体をさらに備え、前記圧着部は、前記シール本体から突出するように配置され、前記圧着部の少なくとも側端部は、前記シール本体からの突出量が端に向かって小さくなるように、構成される、という構成でもよい。
【0010】
斯かる構成によれば、圧着部は、シール本体から突出するようにして、シール本体に支持されている。そして、圧着部の少なくとも側端部において、圧着部のシール本体からの突出量が端に向かって小さくなっているため、一対の圧着部で圧着される対象物の被シール部分において、厚みが端に向かって次第に厚くなる。これにより、対象物の被シール部分の端部が破断し難いように、対象物をシールすることができる。
【0011】
また、本発明に係るシール装置においては、前記加熱媒体は、気体であって、前記経路切替部は、前記流通部に加熱媒体を送る前に、前記流通部に圧縮気体を送るように切り替える、という構成でもよい。
【0012】
斯かる構成によれば、経路切替部が切り替えることにより、気体である加熱媒体が加熱媒体経路部から流通部に向けて送られる前に、圧縮気体が圧縮気体経路部から流通部に向けて送られる。これにより、加熱媒体が流通部に送られる際には、液体(例えば、加熱媒体が凝固した液体や、冷却媒体等)が流通部の内部に残留することを防止できる。したがって、加熱媒体の熱をそのような液体に奪われることが防止できるため、加熱媒体の熱を圧着部の加熱に効果的に利用することができる。
【0013】
また、本発明に係るシール装置においては、前記流通部は、少なくとも下方側の内面が円弧状となるように形成される、という構成でもよい。
【0014】
斯かる構成によれば、流通部の少なくとも下方側の内面が円弧状であるため、流通部の内部に残留する液体(例えば、加熱媒体が凝固した液体や、冷却媒体等)は、円弧状である流通部の下方側に集まる。これにより、圧縮気体が圧縮気体経路部から流通部に送られることで、そのような液体は、流通部の内部から確実に排出される。したがって、加熱媒体が流通部に送られる際には、そのような液体が流通部の内部に残留することを確実に防止できる。
【0015】
また、本発明に係るシール装置は、前記冷却媒体は、液体であって、前記媒体経路部は、前記流通部に向けて圧縮気体を送るための圧縮気体経路部を備え、前記経路切替部は、前記流通部に冷却媒体を送る際に、前記流通部に圧縮気体も合わせて送るように切り替える、という構成である
【0016】
斯かる構成によれば、経路切替部が切り替えることにより、液体である冷却媒体が冷却媒体経路部から流通部に向けて送られる際に、圧縮気体が圧縮気体経路部から流通部に向けて合わせて送られるため、冷却媒体が圧縮気体と混合する。これにより、例えば、冷却媒体が霧状となることで、その気化熱(潜熱)が圧着部の温度低下に有効に作用する。また、例えば、冷却媒体が流通部の内部で乱流することで、撹拌効果により、冷却媒体の温度の均一化が図れるため、冷却媒体及び圧着部間の熱交換が効果的に行われる。
【発明の効果】
【0017】
以上の如く、本発明に係るシール装置によれば、効率を向上することが図れるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るシール装置の要部側面図を示す。
図2図2は、同実施形態に係るシール装置の要部正面図を示す。
図3図3は、同実施形態に係る一対のシール部の要部縦断面図を示す。
図4図4は、同実施形態に係るシール装置のブロック図を示す。
図5図5は、同実施形態に係る一対のシール部の動作を説明する図であって、要部縦断面図を示す。
図6図6は、同実施形態に係る一対のシール部の動作を説明する図であって、要部縦断面図を示す。
図7図7は、同実施形態に係るシール装置のフローチャートを示す。
図8図8は、同実施形態に係るシール装置のタイムチャートを示す。
図9図9は、本発明の他の実施形態に係るシール部の要部縦断面図を示す。
図10図10は、本発明のさらに他の実施形態に係るシール部の要部縦断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係るシール装置における一実施形態について、図1図8を参酌して説明する。
【0020】
図1図4に示すように、本実施形態に係るシール装置1は、装置本体2と、装置本体2に対して可動する可動体3とを備えている。また、シール装置1は、対象物(例えば、袋の開口部等)を挟んでシールすべく、互いに接離する第1シール部4及び第2シール部5と、第1シール部4に向けて、熱媒体を供給する媒体供給部6とを備えている。
【0021】
そして、シール装置1は、可動体3を可動させる駆動部7と、装置本体2に固定され、載置される対象物を支持する支持部8と、一対のシール部4,5が対象物を押圧する圧力を変更させる圧力変更部9とを備えている。さらに、シール装置1は、指示及び情報を入力する入力部10と、各制御を行う制御部11とを備えている。
【0022】
装置本体2は、第1シール部4を固定している。また、可動体3は、長尺に形成されている。そして、可動体3の基端部は、装置本体2に回転可能に取り付けられていると共に、可動体3の先端部は、第2シール部5を固定している。したがって、駆動部7により、可動体3が基端部を中心にして回動することで、一対のシール部4,5が接離する。
【0023】
第1シール部4は、装置本体2の上端部に連結される長尺な第1シール本体41を備えている。また、第1シール部4は、第2シール部5とで対象物を挟んで圧着する第1圧着部42と、第1圧着部42と熱媒体との間で熱交換をするように、熱媒体を流通させる流通部43とを備えている。本実施形態においては、第1シール部4は、導管44を備えており、該導管44の一部で第1圧着部42を構成し、該導管44の内部で流通部43を構成している。
【0024】
第1シール本体41は、装置本体2に連結されるベース部41aと、ベース部41aと導管44との間に配置される断熱部41bとを備えている。本実施形態においては、ベース部41aは、金属(例えば、アルミニウム等)で形成されており、断熱部41bは、耐熱性を有する硬質樹脂(例えば、フェノール樹脂やポリフェニレンサルファイド樹脂等)で形成されている。
【0025】
ベース部41aは、上方側を開放する凹部を上部に備え、その凹部に断熱部41bを嵌め込むことで、断熱部41bを固定している。また、断熱部41bは、上方側を開放する凹部を備え、その凹部に導管44を収容することで、導管44を支持している。このようにして、第1シール本体41は、第1圧着部42を支持している。
【0026】
第1圧着部42は、平面状に形成される中央部42aと、湾曲状に形成される側端部42b,42bとを備えている。また、第1圧着部42は、第1シール部4の上端部に配置されている。そして、第1圧着部42は、第1シール本体41から突出するように配置されている。具体的には、第1圧着部42は、導管44における第1シール部41から上方側に突出する部分で構成されている。
【0027】
導管44は、円筒状の管の一部が扁平状に加工されることで、形成されている。導管44における該扁平状の部分は、上方側に位置している。そして、該扁平状の部分は、第1シール本体41から突出するように配置されることで、第1圧着部42の中央部42aを構成している。
【0028】
これにより、第1圧着部42において、幅方向の中央部42aにおけるシール本体41からの突出量W1は、同じであり、幅方向の各側端部42bにおけるシール本体41からの突出量W1は、幅方向の端に向かって小さくなっている。また、長手方向と直交する断面において、流通部43の上方側の内面は、平面状に形成されており、流通部43の側方側及び下方側の内面は、円弧状に形成されている。本実施形態においては、導管44は、熱伝導率の高い金属(例えば、銅等)で形成されている。
【0029】
第2シール部5は、可動体3の先端部に連結される長尺な第2シール本体51と、第1圧着部42とで対象物を挟んで圧着する第2圧着部52とを備えている。本実施形態においては、第2シール本体51は、金属(例えば、アルミニウム等)で形成されており、第2圧着部52は、樹脂(例えば、シリコーンゴム等)で形成されている。
【0030】
第2圧着部52は、第2シール部5の下端部に配置されている。具体的には、第2圧着部52は、第2シール本体51の下端部に連結されている。また、第2圧着部52は、全体的に平面状に形成されている。そして、第2圧着部52は、第1圧着部42とで対象物を押圧する際に弾性変形できるように、弾性を有して形成されている。
【0031】
媒体供給部6は、加熱媒体を供給する加熱媒体供給部61と、冷却媒体を供給する冷却媒体供給部62と、圧縮気体を供給する圧縮気体供給部63とを備えている。また、媒体供給部6は、第1シール部4に向けて各媒体及び圧縮気体を送る媒体経路部64を備えている。
【0032】
加熱媒体供給部61は、加熱媒体源61aと、加熱媒体源61aから加熱媒体を媒体経路部64に送る供給路61bとを備えている。本実施形態においては、加熱媒体は、気体であり、具体的には、蒸気である。即ち、本実施形態においては、加熱媒体源61aは、ボイラとしている。なお、加熱媒体供給部61は、加熱媒体の圧力を検出(測定)する圧力検出部(例えば、圧力計)61cを備えている。
【0033】
冷却媒体供給部62は、冷却媒体源62aと、冷却媒体を貯留するタンク62bと、タンク62bから媒体経路部64に冷却媒体を送る供給路62cとを備えている。本実施形態においては、冷却媒体は、液体であり、具体的には、冷水である。なお、冷却媒体供給部62は、冷却媒体源62aの冷却媒体をタンク62bへ供給する際に開放されるバルブ62dを備えている。
【0034】
圧縮気体供給部63は、圧縮気体源63aと、圧縮気体源63aから媒体経路部64に圧縮気体を送る供給路63bと、冷却媒体供給部62のタンク62bを加圧すべく、タンク62bに圧縮気体を送る加圧路63cとを備えている。本実施形態においては、圧縮気体は、圧縮空気であり、圧縮気体源63aは、コンプレッサである。
【0035】
また、圧縮気体供給部63は、供給路63bと加圧路63cとの圧力をそれぞれ個別に変更可能にする圧力変更部(例えば、ゲージ付きレギュレータ等)63d,63eを備えている。一対の圧力変更部63d,63eが変更されることにより、流通部43に送られる冷却媒体と圧縮気体との混合比(即ち、冷却媒体の流量)が変更できる。
【0036】
媒体経路部64は、第1シール部4の流通部43に向けて加熱媒体を送るための加熱媒体経路部64aと、流通部43に向けて冷却媒体を送るための冷却媒体経路部64bと、流通部43に向けて圧縮気体を送るための圧縮気体経路部64cとを備えている。また、媒体経路部64は、各経路部64a〜64cと流通部43とを接続させる共通経路部64dを備えている。
【0037】
そして、媒体経路部64は、各経路部64a〜64c及び流通部43間が共通経路部64dを経由して通じる状態となるように切り替える経路切替部64eを備えている。さらに、媒体経路部64は、各媒体を流通部43から排出させるための排出経路部64fを備えている。
【0038】
経路切替部64eは、加熱媒体供給部61と加熱媒体経路部64aとの間を開閉する加熱媒体弁64gと、冷却媒体供給部62と冷却媒体経路部64bとの間を開閉する冷却媒体弁64hと、圧縮気体供給部63と圧縮気体経路部64cとの間を開閉する圧縮気体弁64iとを備えている。また、排出経路部64fは、流通部43と装置1の外部との間を開閉する排出弁64jを備えている。
【0039】
入力部10は、第1圧着部42の温度を検出する温度検出部10aと、作業者がシールを指示する際に操作される操作部10bとを備えている。また、温度検出部10aで検出した情報及び操作部10bで操作された情報は、制御部11に送られている。そして、制御部11は、温度検出部10a及び操作部10bからの情報に基づいて、各弁64g〜64jの開閉制御を行う。
【0040】
本実施形態に係るシール装置1の構成については以上の通りであり、次に、本実施形態に係るシール装置1のシール方法について、図5及び図6を参酌して説明する。
【0041】
対象物100が一対のシール部4,5間に挿入された後に、操作部10bが操作されることにより、図5に示すように、第2シール部5が下降して第1シール部4に接近する。そして、一対の圧着部42,52が対象物100を押圧した状態で、第1圧着部42は、加熱されて、その後、冷却される。これにより、対象物100の第1部分100aと第2部分100bとが、被シール部分100c(図5及び図6の網掛け領域)で溶融した後にさらに凝固するため、対象物100は、被シール部分100cでシールされる。
【0042】
その後、第2シール部5が上昇して第1シール部4から離反するため、対象物100が一対のシール部4,5から抜き出される。被シール部分100cの中央部100dは、平面状である第1圧着部42の中央部42aと平面状である第2圧着部52とによりシールされたため、同じ厚みで所定の幅を有している。また、被シール部分100cの側端部100eは、湾曲状である第1圧着部42の側端部42bと平面状である第2圧着部52とによりシールされたため、端に向かって次第に厚くなっている。
【0043】
次に、本実施形態に係るシール装置1の第1圧着部42の温度制御方法について、図7及び図8を参酌して説明する。
【0044】
操作部10bが時間T1で操作されてシールの指示を受けると(S11の「Y」)、排出工程(S12)が開始されるため、圧縮気体弁64iと排出弁64jとが開放される。これにより、圧縮空気が圧縮気体経路部64c及び共通経路部64dを経由して流通部43に送られるため、第1シール部4の流通部43に残留している水(蒸気が凝固した水、冷水)が流通部43から排出される。
【0045】
時間T2になると、第1加熱工程(S13)が開始されるため、加熱媒体弁64gが開放され、圧縮気体弁64iが閉鎖される。これにより、蒸気が加熱媒体経路部64a及び共通経路部64dを経由して流通部43に送られるため、第1圧着部42が蒸気により加熱される。このとき、排出弁64jが開放されたままであるため、第1圧着部42に熱を奪われた蒸気(及び凝固した水)は、流通部43から排出される。
【0046】
時間T3になると、第2加熱工程(S14)が開始されるため、排出弁64jが閉鎖される。これにより、流通部43の内部の圧力が上昇すると共に、第1圧着部42の温度が上昇する。そして、時間T4で、第1圧着部42が設定された加熱温度に到達したことを、温度検出部10aが検出する(S15の「Y」)ことにより、加熱媒体弁64gが閉鎖される。
【0047】
時間T5になると、冷却工程(S16)が開始されるため、冷却媒体弁64h、圧縮気体弁64i及び排出弁64jが開放される。これにより、冷水が冷却媒体経路部64b及び共通経路部64dを経由して流通部43に送られると共に、圧縮空気も、冷水に合わせて流通部43に送られる。そして、第1圧着部42が冷水により冷却され、冷水及び圧縮空気が流通部43から排出される。
【0048】
時間T6で、第1圧着部42が設定された冷却温度に到達したことを、温度検出部10aが検出する(S17の「Y」)ことにより、排出工程(S18)が開始されるため、冷却媒体弁64hが閉鎖される。これにより、圧縮空気のみが流通部43に送られるため、流通部43の内部の冷水が流通部43から排出される。その後、時間T7になることにより、圧縮気体弁64iが閉鎖され、時間T8になることにより、排出弁64jが閉鎖される。このようにして、第1圧着部42が加熱及び冷却される。
【0049】
以上より、本実施形態に係るシール装置1によれば、経路切替部64eが、加熱媒体経路部64a及び流通部43間を通じる状態に切り替えることで、加熱媒体が加熱媒体経路部64aから流通部43に向けて送られる。これにより、第1圧着部42が加熱されるため、一対の圧着部42,52が対象物100を挟んで圧着する。このとき、対象物100の被シール部分100cは、溶融している。
【0050】
そして、経路切替部64eが、冷却媒体経路部64b及び流通部43間を通じる状態に切り替えることで、冷却媒体が冷却媒体経路部64bから流通部43に向けて送られる。これにより、第1圧着部42が冷却されるため、溶融された被シール部分100cが凝固する。これにより、対象物100をシールすることができる。
【0051】
このようにして、本実施形態に係るシール装置1によれば、効率を向上することが図れる。しかも、一対のシール部4,5においては、電気が流れる部材を使用していないため、本実施形態に係るシール装置1によれば、防爆仕様のシール装置1としても使用することもできる。
【0052】
また、本実施形態に係るシール装置1によれば、第1圧着部42は、第1シール本体41から突出するようにして、第1シール本体41に支持されている。そして、第1圧着部42の側端部42bにおいて、第1圧着部42の第1シール本体41からの突出量W1が端に向かって小さくなっているため、一対の圧着部42,52で圧着される対象物100の被シール部分100cにおいて、側端部100eの厚みが端に向かって次第に厚くなる。これにより、被シール部分100cの側端部100eが破断し難いように、対象物100をシールすることができる。
【0053】
また、本実施形態に係るシール装置1によれば、経路切替部64eが切り替えることにより、気体である加熱媒体が加熱媒体経路部64aから流通部43に向けて送られる前に、圧縮気体が圧縮気体経路部64cから流通部43に向けて送られる。これにより、加熱媒体が流通部43に送られる際には、液体(例えば、加熱媒体が凝固した液体や、冷却媒体等)が流通部43の内部に残留することを防止できる。したがって、加熱媒体の熱をそのような液体に奪われることが防止できるため、加熱媒体の熱を第1圧着部42の加熱に効果的に利用することができる。
【0054】
また、本実施形態に係るシール装置1によれば、流通部43の下方側の内面が円弧状であるため、流通部43の内部に残留する液体(例えば、加熱媒体が凝固した液体や、冷却媒体等)は、円弧状である流通部43の下方側に集まる。これにより、圧縮気体が圧縮気体経路部64cから流通部43に送られることで、そのような液体は、流通部43の内部から確実に排出される。したがって、加熱媒体が流通部43に送られる際には、そのような液体が流通部43の内部に残留することを確実に防止できる。
【0055】
また、本実施形態に係るシール装置1によれば、経路切替部64eが切り替えることにより、液体である冷却媒体が冷却媒体経路部64bから流通部43に向けて送られる際に、圧縮気体が圧縮気体経路部64cから流通部43に向けて合わせて送られるため、冷却媒体が圧縮気体と混合する。これにより、例えば、冷却媒体が霧状となることで、その気化熱(潜熱)が第1圧着部42の温度低下に有効に作用する。また、例えば、冷却媒体が流通部43の内部で乱流することで、撹拌効果により、冷却媒体の温度の均一化が図れるため、冷却媒体及び第1圧着部42間の熱交換が効果的に行われる。
【0056】
なお、本発明に係るシール装置は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。本発明に係るシール装置は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0057】
上記実施形態に係るシール装置1においては、第1圧着部42の側端部42bは、第1シール本体41からの突出量W1が端に向かって小さく形成される、という構成である。しかしながら、本発明に係るシール装置1は、斯かる構成に限られない。例えば、本発明に係るシール装置1においては、図9に示すように、第1圧着部42は、全体的に、第1シール本体41からの突出量W1が端に向かって小さく形成される、という構成でもよく、また、図10に示すように、第1圧着部42は、全体的に、第1シール本体41からの突出量W1が同じに形成される、という構成でもよい。
【0058】
また、上記実施形態に係るシール装置1においては、第1圧着部42の側端部42bは、湾曲状に形成される、という構成である。しかしながら、本発明に係るシール装置1は、斯かる構成に限られない。例えば、本発明に係るシール装置1においては、第1圧着部42の側端部42bは、平面状に形成され、中央部42aに対して傾斜して交差する、という構成でもよい。
【0059】
また、上記実施形態に係るシール装置1においては、流通部43は、第1シール部4にのみ備えられている、という構成である。しかしながら、本発明に係るシール装置1は、斯かる構成に限られない。例えば、本発明に係るシール装置1においては、流通部43は、一対のシール部4,5の両方に備えられる、という構成でもよい。
【0060】
また、上記実施形態に係るシール装置1においては、流通部43は、第1シール部4に一つのみ備えられ、加熱媒体及び冷却媒体の両方の媒体を流通される、という構成である。しかしながら、本発明に係るシール装置1は、斯かる構成に限られない。例えば、本発明に係るシール装置1においては、流通部43は、複数備えられる、という構成でもよく、しかも、各流通部43は、加熱媒体又は冷却媒体の一方のみを流通される、という構成でもよい。
【0061】
また、上記実施形態に係るシール装置1においては、流通部43は、下方側及び側方側の内面が円弧状となるように形成される、という構成である。しかしながら、本発明に係るシール装置1は、斯かる構成に限られない。例えば、本発明に係るシール装置1においては、流通部43は、下方側の内面のみが円弧状となるように形成される、という構成でもよく、また、流通部43は、下方側の内面が平面状となるように形成される、という構成でもよい。
【0062】
また、上記実施形態に係るシール装置1においては、加熱媒体は、気体(蒸気)である、という構成である。しかしながら、本発明に係るシール装置1は、斯かる構成に限られない。例えば、本発明に係るシール装置1においては、加熱媒体は、液体である、具体的には、熱水である、という構成でもよい。
【0063】
また、上記実施形態に係るシール装置1においては、冷却媒体は、液体(冷水)である、という構成である。しかしながら、本発明に係るシール装置1は、斯かる構成に限られない。例えば、本発明に係るシール装置1においては、冷却媒体は、気体である、という構成でもよい。
【0064】
また、上記実施形態に係るシール装置1においては、第2シール部5のみが可動である、という構成である。しかしながら、本発明に係るシール装置1は、斯かる構成に限られない。例えば、本発明に係るシール装置1においては、第1シール部4のみが可動である、という構成でもよく、また、一対のシール部4,5の両方が可動である、という構成でもよい。
【0065】
また、本発明に係るシール装置1は、待機中に、第1圧着部42の温度が所定の温度に低下した際に所定の温度まで上昇させるべく、プレ加熱工程を備えている、という構成でもよい。プレ加熱工程においては、全ての弁64g〜64jが閉鎖された状態から、加熱媒体弁64gと排出弁64jとが開放され、所定時間経過後、加熱媒体弁64gが閉鎖され且つ圧縮気体弁64iが開放され、所定時間経過後、圧縮気体弁64iが閉鎖され、さらに所定時間経過後、排出弁64jが閉鎖される。
【0066】
また、本発明に係るシール装置1は、何れのシール装置でも適用できる。要するに、本発明に係るシール装置1は、対象物100を挟んで圧着する圧着部42,52を有する一対のシール部4,5を備えるシール装置であればよい。
【符号の説明】
【0067】
1…シール装置、2…装置本体、3…可動体、4…第1シール部、5…第2シール部、6…媒体供給部、7…駆動部、8…支持部、9…圧力変更部、10…入力部、10a…温度検出部、10b…操作部、11…制御部、41…第1シール本体、41a…ベース部、41b…断熱部、42…第1圧着部、42a…中央部、42b…側端部、43…流通部、44…導管、51…第2シール本体、52…第2圧着部、61…加熱媒体供給部、61a…加熱媒体源、61b…供給路、61c…圧力検出部、62…冷却媒体供給部、62a…冷却媒体源、62b…タンク、62c…供給路、62d…バルブ、63…圧縮気体供給部、63a…圧縮気体源、63b…供給路、63c…加圧路、63d…圧力変更部、63e…圧力変更部、64…媒体経路部、64a…加熱媒体経路部、64b…冷却媒体経路部、64c…圧縮気体経路部、64d…共通経路部、64e…経路切替部、64f…排出経路部、64g…加熱媒体弁、64h…冷却媒体弁、64i…圧縮気体弁、64j…排出弁、100…対象物、100a…第1部分、100b…第2部分、100c…被シール部分、100d…中央部、100e…側端部、W1…突出量
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10