(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係るロータリエンコーダの実施形態について、
図1〜
図16を参照して説明する。
【0022】
図1に示すように、本実施形態におけるロータリエンコーダ1は、回転体を構成する円環状のロータリスケール2を有しており、このロータリスケール2は、その中心にとられた
図1における縦方向に長尺な回転軸3を中心として回転可能に保持されている。
【0023】
また、図示はしないが、ロータリスケール2には、このロータリスケール2に回転軸3を中心とした回転力を付与するギア等の回転力付与手段が連結されている。このロータリスケール2は、金属材料からなるものであってもよい。
そして、本実施形態におけるロータリエンコーダ1は、このようなロータリスケール2の回転角度の変動を光学的に検出可能とされている。
【0024】
すなわち、まず、ロータリエンコーダ1は、光を出射する光源としてのレーザ4を有しており、ロータリスケール2は、このレーザ4に対する光の出射側の位置に配置されている。なお、レーザ4から出射される光の中心軸は、ロータリスケール2の回転軸3に一致している。また、レーザ4は、半導体レーザ、固体レーザまたはガスレーザであってもよい。さらに、レーザ4の替わりに光源としてLEDを配置してもよい。
【0025】
また、
図1に示すように、ロータリスケール2は、その中央部に、回転軸3と同心の円形の開孔5を有しており、この開孔5の内側には、円板状の計算機合成ホログラム6が、その外周面を開孔5の内周面に接触させるように配設されている。さらに、計算機合成ホログラム6は、接着剤等の固定手段によってロータリスケール2に固定されている。このようにして、計算機合成ホログラム6は、ロータリスケール2とともに回転体を構成し、ロータリスケール2と一体的に回転するようになっている。以下、便宜上、必要に応じてロータリスケール2と計算機合成ホログラム6とを回転体2、6と称することとする。
【0026】
計算機合成ホログラム6には、レーザ4から出射された光が入射するようになっている。そして、計算機合成ホログラム6は、レーザ4側から入射した光を、計算機合成ホログラム6に対して光の出射側(
図1における下側)に所定の距離だけ離間した位置(すなわち、計算機合成ホログラム6に対する光の出射側の所定の位置)に設定された像面に、所定の形状の光として投射(結像)するようになっている。ただし、計算機合成ホログラム6の像面は、ロータリスケール2の回転軸3に垂直とされている。
【0027】
ここで、一般に、計算機合成ホログラムという素子は、コヒーレントな光源の光を、回折現象を用いることによって最初に目標として設定した特定の電界強度分布の光に変換する素子として知られている。このような計算機合成ホログラムは、通常は、反復フーリエ法(IFTA:Iterative Fourier Transform Algorithm)と呼ばれる手法で設計することが可能である。なお、反復フーリエ法とは、計算機合成ホログラムの最適計算を行うアルゴリズムの総称であり、具体的にはGerchBerg-Saxton法、Direct Binary Search法または遺伝子アルゴリズムなどのアルゴリズムが用いられることが多い。
【0028】
一方で、波動光学的な領域においては、光の伝播も光線追跡とは異なり、角スペクトル伝搬法、フーリエ伝搬法、フレネル伝搬法またはレーリー・ゾンマーフェルト法などを用いて計算できることが知られている。どの計算法を用いるのが適当かは計算容量や光の伝搬距離に依存することになる。
【0029】
ここで、
図2に示すような開口面Sを仮定するとともに、この開口面Sの中の一点P(x
0、y
0、0)を仮定する。また、この開口面Sからz離れた距離のxyz平面上に点Q(x
i、y
i、z)を仮定する。そして、点Pを通る光が点Qに作る光の強度は、ホイヘンス−フレネルの式から(1/jλ)・E(x
0,y
0)exp(−jkr/r)となる。但し、r=z〔1+(x
i−x
0)/z)
2+(y
i−y
0)/z)
2〕
0.5≒z+(1/2z)・〔(x
i−x
0)
2 + (y
i−y
0)
2]−(1/8z
3)・〔(x
i−x
0)
2+(y
i-y
0)
2〕
2=z+(x
i2+y
i2)/2z−(x
ix
0+y
iy
0)/z+(x
02+y
02)/2z−・・・・である。そして、開口面S全体を通る光が点Qに作る光の強度E(x
i,y
i)は、点Pを通る光が点Qに作る光の強度を開口面Sの全領域にわたって積分すればよい。この積分の結果は次の(1)式のようになる。
【0030】
E(x
i,y
i)=(1/jλ)・∬E(x
0,y
0)exp(-jkr/r)dx
0dy
0 (1)
【0031】
ただし、伝搬距離Z<D/λの領域においては、フレネル伝搬式と称される次の(2)式が成立することが知られている。
【0032】
E(x
i,y
i)=exp(jkz)/(jkz)exp(jk(x
i2+y
i2/(2z))・∬E(x
0,y
0)exp(jπ/λz(x
02+y
02)exp((−j2π/λz)x
0x
i+y
0y
i) dx
0dy
0 (2)
【0033】
一方で、伝搬距離Z>D/λの領域においては、フーリエ伝搬式と称される次の(3)式が成立することが知られている。
【0034】
E(x
i,y
i)=(exp(jkz)/(jλz))exp(jk/2z )(x
i2+y
i2)∬E(x
0,y
0)exp(−2πj/λz)(x
0x
i+y
0y
i)dx
0dy
0 (3)
【0035】
以上のフーリエ光学系に関する定式化はGoodman著のIntroduction to Fourier Optics (Roberts & Co., 第3版)に詳しく記述されている。
【0036】
次に、反復フーリエ法とよばれるホログラムの計算手法について述べる。
【0037】
一般に、レーザーなどのコヒーレントな光源においては、特に横モードがシングルモードである場合に、シングルモードガウシアンと称される次の(4)式に示す電界強度分布が形成されることが知られている。
【0038】
E(x,y)=exp(−(x
2+y
2/w
0))
2 (4)
【0039】
そして、このようなガウシアンの直後に位相分布のみからなる回折素子が置かれたと仮定する。さらに、その光源から距離f離れた距離に像面があると仮定し、なおかつ像面において目標とする電界強度分布が実現されると仮定する。この様子を
図3に示す。
図3においては、入射光源の存在する物体面での光の電界強度分布がu(x、y)とされている。ただし、uは、一般に複素数で表されるようになっている。
【0040】
さらに、
図3の回折素子の位相をφ(x、y)とすると、この回折素子を出た直後の光の電界はu(x、y)=|u(x,y)|・exp(φ(x,y))|と表される。ただし、u(x、y)の電界強度は、回折素子に入射するレーザ光の振幅分布I
in(x、y)の平方根となる。また、
図3においては、回折素子の物体側の面(以下、DOE面と称する)が光源とz軸方向における同じ位置に置かれていると仮定している。そして、回折素子を出た光は、光源から距離f離れた像面に、フーリエ変換された光として結像されることになる。この像面における光(フーリエ変換された光)の強度分布Uは、U(x,y)=|U(u,v)|・exp(i・φ(u,v))と表すことができる。
【0041】
さらにまた、像面(フーリエ面)においても、目標とする像面の電界強度分布をI
obj(u、v)と仮定する。
【0042】
ここで、反復フーリエ法における繰り返し計算(反復計算)の中で、U(u,v)は、最終的にはI
obj(u、v)に収束するはずである。ただし、u(x、y)とU(u、v)は、お互いにフーリエ変換の関係になる。
【0043】
そして、以上のような仮定を前提として、反復フーリエ法による反復計算によって回折素子の位相φ(x、y)の最適な最終解を求める。
【0044】
この反復フーリエ法による反復計算のフローチャートは
図4に示す通りとなる。すなわち、
図4に示すように、反復計算のアルゴリズムは、初期位相φ
0(x,y)から出発する(
図4のSTEP1参照)。また、入射光の設定からRe(u(x,y))=√I
in(x,y)となる。ただし、Reは、関数の実数成分である。さらに、I
in(x,y)は、回折素子に入射するレーザ光の強度分布である。
【0045】
一方で、回折素子の透過直後においては、U(x、y)=|(U(x,y))|・exp(φ(x,y))となる。ただし、一般に、U(x、y)は、複素数の関数となる。
【0046】
さらに、u(x,y)にフーリエ変換を行うことにより、伝搬後の像面が得られてU(u,v)・exp(φ(u,v))となる(
図4のSTEP2参照)。
【0047】
ここで、(u,v)のフーリエ面において、U(u、v)を、目標とする電界強度分布U‘(u,v)=√I(u,v)で置換する(
図4のSTEP3参照)。この後でメリット関数で目標とする像面にどの程度近ずいたかの評価を行った後に、フーリエ逆変換を行うことにより、DOE面での関数u(x,y)・exp(iφ(x、y))が求まることになる。DOE面においても、u(x、y)・exp(iφ(x,y))のu(x、y)をu’(x、y)=√I
in(x、y)で置換する(STEP5)。この計算ループにおいては、DOE面と像面の両方において置換による束縛条件を課すことになる。この繰り返し計算を行い、DOE面上のU‘(u、v)が目標とする電界強度分布を示す関数√I(u,v)に十分に近づいたと判断した場合に計算は終了することになる。
【0048】
√I(u,v)とU’(u、v)とがどの程度近づいたかを評価するために、一般には、これら2つの関数の誤差値を表す評価関数を設定し、設定された評価関数によって表される誤差値が予め設定された設定値より小さくなった場合に計算を終了することになる。この計算にあたって、2つの関数の誤差が依然として大きい場合には、さらに、U‘(x、y)・exp(iφ’(u,v))に逆フーリエ変換を行って再びu(x,y)・exp(iφ(x,y))を求めた後に、強度分布を表すu(x,y)を入射光の強度√I
inで置き換える。このようにして繰り返し計算を連続的に行う。
【0049】
そして、
図4に示すようなループを何十回と回転させることにより、目標とする位相分布φ(x、y)を求めることができる(STEP6)。
【0050】
この
図4に示すようなアルゴリズムは、Gerchberg-Saxtonアルゴリズムとして知られている。このようなGerchberg-Saxton アルゴリズムはOSAが発行するApplied Optics の July 1989 Vol 28.NO13. p2641-2650に記述されている。
【0051】
以上述べたように、像面において目標とする電界強度分布を実現することができる最適な位相分布解は、Gerchberg-Saxtonアルゴリズムによって求めることができる。このような位相分布解が具現化された計算機合成ホログラムを実際に製造する方法としては、例えば、薄い透光性の基板に、屈折率が場所によって局所的に変化するような屈折率分布を形成する方法や、透明基板の表面に凹凸形状を形成する方法等が知られている。
【0052】
ここで、前述した最適な位相分布解を透明基板の表面に凹凸形状を形成することによって実現するタイプの計算機合成ホログラムでは、次の(5)式で表される関係式が成立する。
【0053】
h=(λ/2π)×ψ/(n−1) (5)
【0054】
但し、(5)式におけるhは、計算機合成ホログラムの凹凸形状における凹部の基準平面からの物理深さ〔μm〕である。また、(5)式におけるλは、計算機合成ホログラムを通る光の波長〔μm〕である。さらに、(5)式におけるψは、計算機合成ホログラムの位相〔rad〕である。さらにまた、(5)式におけるnは、計算機合成ホログラムを構成する基板媒質の屈折率である。
【0055】
そして、このような計算機合成ホログラムを基板表面に凹凸を形成することによって製造する方法としては、石英基板の表面にフォトレジストまたは電子ビーム露光用レジストを塗布した上で、i線のステッパーなどのUV光を用いた露光装置によってマスク露光を行う方法や、EB描画装置によって露光した後に現像を行うことにより、レジストからなる特定のパターンを形成する方法等がある。
【0056】
なお、計算から得られる位相解としては、連続的に0〜2πの範囲内でなだらかに位相が変化しているような曲面からなるアナログ解の位相解が一般的であるが、このような位相解を実現するのは技術的に困難である。このため、実際には、計算によって得られた位相解を、xy平面で正方形のピクセルに分解しつつz方向の高さも8段、16段といった2
nの段数で代表して置換した形状近似がしばしば行われる。このようなピクセルで構成されるホログラム(計算機合成ホログラム)は、アナログ型ホログラムと対比してデジタル型のホログラムと呼ばれている。このようなデジタルホログラムを実際に製造した例を
図5に示す。
【0057】
図5に示すデジタルホログラムは、
図5における縦方向および横方向に整列された互いに隣位する平面正方形状の複数のピクセルpによって構成されている。なお、
図5において互いに隣位するピクセルp同士の間に明度の差や境界が表われている箇所には、ピクセルp同士の間に段差が生じている。
【0058】
このような計算機合成ホログラムは、石英基板上へのリソグラフィー技術およびドライエッチング技術などを組み合わせた半導体加工技術によって実現することができる。このようにして作製された石英製の計算機合成ホログラムは、それ自身も製品として使用することもできるが、この作製されたホログラムをマスターとして、ナノインプリントやホットエンボシングプロセスによる高速な転写技術により、樹脂基板上へも大量に複製を作製することもできる。このような方法は、安価なコストで大量にホログラムを作る方法として有効な方法である。なお、凹凸形状(ミクロ構造)を最初に形成する基板としては、前述のように石英やSiを用いることが一般的であるが、これら以外にも、透明な誘電体材質であればガラスやセラミックスなどを使用してもよい。
【0059】
図1に戻って、さらに、本実施形態において、計算機合成ホログラム6に対する光の出射側の位置には、計算機合成ホログラム6から出射された光を受光して検出する受光装置7が配設されており、この受光装置7は、その受光面8が、像面に相当する位置に像面と同一面状に配置されている。また、受光装置7は、受光面8において、計算機合成ホログラム6によって像面に投射される光の少なくとも一部を受光するようになっている。ここで、受光装置7としては、受光面8がCCD、CMOSまたはSi等の受光素子によって形成されたものを用いることができる。また、受光装置7の受光面8は、計算機合成ホログラム6によって像面に投射される光のすべてを受光する大きさおよび形状を有するものであってもよいし、計算機合成ホログラム6によって像面に投射される光の一部を受光する大きさおよび形状を有するものであってもよい。
【0060】
さらにまた、本実施形態において、計算機合成ホログラム6によって像面に投射される光(投射パターン)の形状(所定の形状)は、回転体2、6の回転にともなって計算機合成ホログラム6によって像面に投射される光についての受光面8における受光状態が変化するような形状とされている。
【0061】
また、
図1に示すように、受光装置7には、検出部10が接続されており、この検出部10は、計算機合成ホログラム6によって像面に投射される光の受光面8における受光状態の変化に基づいて、回転体2、6の回転角度の変動を検出するようになっている。
【0062】
上記構成に加えて、さらに、本実施形態において、計算機合成ホログラム6によって像面に投射される光の形状は、回転体2、6の回転軸3を対称の中心とした点対称形状とされていてもよい。この点対称形状の具体例としては、
図6に示すように、鋭角を有する頂部が周方向に等角間隔ごとに表われるような星型形状(
図6においては略星型正八角形状)や、
図7に示すように、直線パターンを等角間隔を設けるようにして放射状に配置してなる点対称な形状等を挙げることができる。その他、計算機合成ホログラム6によって像面に投射される光の形状は、回転体2、6の回転を受光装置7側で認知することができるような形状であればよく、例えば、点対称であって、なおかつ回転対称ではないような形状であってもよい。
【0063】
ここで、
図8は、受光装置7として、その受光面8が回転体2、6の回転軸3の長手方向に直交する方向(すなわち径方向)に長尺状に形成されたラインセンサを用いるとともに、このラインセンサの受光面8と同一面上の像面に対して
図6と同様の形状の光を投射する計算機合成ホログラム6を用いたロータリエンコーダ1の構成例を示すものである。
【0064】
図8の構成においては、ラインセンサの受光面8が長尺な長方形状に形成されており、この受光面8の中心点は、回転体2、6の回転軸3上に位置されている。また、
図8において、受光面8は、計算機合成ホログラム6によって像面に投射される光の一部を受光するようになっている。
【0065】
そして、
図8の構成において、回転体2、6が回転すると、計算機合成ホログラム6によって像面に投射される光(投射パターン)も回転することになり、これにともなって、受光面8において受光される光の光量が変化することになる。この受光面8における受光量と回転体2、6の回転角度とは、
図9に示すような相関関係を有している。ここで、
図9における縦軸の値は、
図8の受光面8において受光される光の光量を示すラインセンサの電気的な出力〔mW〕である。また、
図9における横軸の値は、回転体2、6の回転方向における所定の基準位置0〔°〕からの回転角度〔°〕である。
【0066】
このような
図8の構成によれば、回転体2、6の回転にともなう受光面8における受光量の変化(受光状態の変化の一例)に基づいて、回転体2、6の回転角度の変動を検出することができる。すなわち、
図8の構成において、計算機合成ホログラム6によって像面に投射される光の形状(所定の形状)は、回転体2、6の回転にともなって計算機合成ホログラム6によって像面に投射される光についての受光面8における受光量が変化するような形状となる。
【0067】
なお、
図8に示したもの以外の構成として、例えば、計算機合成ホログラム6によって像面に投射される光のすべてを受光する受光面を備えたCCDセンサやCMOSセンサを受光装置として採用する場合には、回転体2、6の回転にともなう計算機合成ホログラム6によって投射される光の回転を画像認識によって検出し、この検出結果に基づいて回転体2、6の回転角度の変動を検出すればよい。この場合には、受光面8における受光状態の変化は、受光面8において認識される画像の回転変位として検出されることになる。
【0068】
また、計算機合成ホログラム6を設計するに際しては、計算機合成ホログラム6から
図6や
図7に示した特定の形状の投射パターンが実現される像面までの距離をできるだけ短くするように設計すれば、ロータリエンコーダ1全体を小型化することができる。さらに、このようにすれば、受光面8のサイズも小さくすることができる。
【0069】
また、上記構成以外にも、例えば、レーザ4と計算機合成ホログラム6との間にコリメーションレンズを配設してもよい。この場合、コリメーションレンズは、レーザ4から出射された光を平行光に変換した上で計算機合成ホログラム6に入射させることができるものであれば、球面レンズまたは非球面レンズのいずれであってもよい。
【実施例1】
【0070】
次に、本発明の第1の実施例として、計算機合成ホログラム6の第1の設計例について説明する。
【0071】
本実施例においては、
図10に示すようなロータリエンコーダ1を構成することを狙って計算機合成ホログラム6を設計した。
【0072】
すなわち、本実施例において、光源は、ほぼ理想的なガウシアンビームとみなすことができる光を出射させる横モードがTE
00のシングルモードのレーザ4と仮定した。本実施例におけるレーザ4としては、固体レーザまたはガスレーザを仮定した。また、本実施例においては、レーザ4から出射される光の波長λ=628nm、ガウシアンのモードフィールド半径=500μmと仮定した。
【0073】
さらに、本実施例においては、このようなレーザ4の直後に配置される計算機合成ホログラム6として、その出射側の表面から10mm離れた位置を像面とした計算機合成ホログラム6を設計した。
【0074】
さらに、本実施例においては、計算機合成ホログラム6によって像面に投射される光(投射パターン)の形状を
図11に示すような略星型正八角形と仮定し、このような投射パターンの形状を目標として計算機合成ホログラム6を設計した。
【0075】
さらにまた、本実施例においては、計算機合成ホログラム6の1ピクセルを5×5ミクロン、ピクセルの配列を縦512×横512個、各ピクセルの最大段差を8段と仮定して、gerchberg-saxtonアルゴリズムを用いた反復フーリエ法で50回の繰り返し計算を行った。
【0076】
このようにして設計された計算機合成ホログラム6の位相分布解を
図12に示した。なお、この
図12の位相分布解を拡大すれば、
図5に示したようなピクセルが表われることになる。この
図12の解に対応する受光面での光の分布は、シミュレーションによって
図13に示す通りとなった。ただし、この
図13の画像全体の大きさは2.56mm角のサイズである。また、位相分布解の回折効率は96%、SNRは18dBであった。
【0077】
ここで、
図13は図
11と比べると若干のノイズ光がバックグラウンドに見られるが、ほぼ狙い取りの投射パターンを実現することができた。
【実施例2】
【0078】
次に、本発明の第2の実施例として、計算機合成ホログラム6の第2の設計例について説明する。
【0079】
本実施例においては、
図14に示すようなロータリエンコーダ1を構成することを狙って計算機合成ホログラム6を設計した。
【0080】
すなわち、本実施例において、レーザ4は、ND=0.3、使用波長λ=650nmの半導体レーザ(LD)と仮定した。
【0081】
また、本実施例においては、レーザ4の直後に非球面レンズからなるコリメーションレンズ12を配置し、さらに、このコリメーションレンズ12から1mm離間した位置に計算機合成ホログラム6を配置し、さらに、計算機合成ホログラム6の像面を計算機合成ホログラム6の出射側の表面から10mm離れた位置にとると仮定した。
【0082】
さらに、本実施例においては、コリメーションレンズ12の曲率を1.39mm、厚さを1mm、材質をBK7であると仮定した。
【0083】
さらにまた、本実施例においては、計算機合成ホログラム6によって像面に投射される光の形状を
図11と同様の略星型正八角形と仮定し、このような光の形状を目標として計算機合成ホログラム6を設計した。
このようにして設計された計算機合成ホログラム6の位相分布解を
図15に示した。この
図15の解に対応する受光面での光の分布は、シミュレーションによって
図16に示す通りとなった。この
図16の画像全体の大きさは2.56mm角のサイズである。
【0084】
図16に示すように、本実施例においても、第1実施例と同様に、ほぼ狙い通りの投射パターンを実現することができた。
【0085】
以上述べたように、本発明によれば、計算機合成ホログラム6によって像面に投射される光の受光面8における受光状態の変化に基づいて回転体2、6の回転角度の変動を検出することができるので、部品点数および製造コストを削減することができ、また、光のパワーの損失を抑制することができ、さらに、小型軽量化を図ることができる。
【0086】
なお、本発明は、前述した実施の形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々変更することが可能である。
【0087】
例えば、前述した実施形態においては、ロータリスケール2および計算機合成ホログラム6が回転体を構成していたが、計算機合成ホログラム6を不動体とし、受光装置7を回転体としてもよい。
【0088】
また、計算機合成ホログラム6によって像面に投射される光を略星型正多角形状にする場合に、角数(但し、点対称となるような角数)が多いほど、ロータリエンコーダ1の角度分解能を高めることができる。