特許第5690069号(P5690069)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5690069加工物を機械加工するための方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5690069
(24)【登録日】2015年2月6日
(45)【発行日】2015年3月25日
(54)【発明の名称】加工物を機械加工するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/36 20140101AFI20150305BHJP
   B23K 26/082 20140101ALI20150305BHJP
   B23K 26/04 20140101ALI20150305BHJP
【FI】
   B23K26/36
   B23K26/082
   B23K26/04
【請求項の数】12
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2009-553959(P2009-553959)
(86)(22)【出願日】2008年3月17日
(65)【公表番号】特表2010-521313(P2010-521313A)
(43)【公表日】2010年6月24日
(86)【国際出願番号】EP2008002104
(87)【国際公開番号】WO2008113534
(87)【国際公開日】20080925
【審査請求日】2011年1月28日
(31)【優先権主張番号】102007012815.2
(32)【優先日】2007年3月16日
(33)【優先権主張国】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】509260592
【氏名又は名称】ザウエル ゲーエムベーハー レーザーテック
【氏名又は名称原語表記】SAUER GMBH LASERTEC
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】クール、ミハエル
(72)【発明者】
【氏名】ヒルデブランド、ペーテル
(72)【発明者】
【氏名】ライザッシェル、マルティン
【審査官】 青木 正博
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2004/105661(WO,A1)
【文献】 特開2006−043747(JP,A)
【文献】 特開2005−034859(JP,A)
【文献】 特開2005−103630(JP,A)
【文献】 特開2003−136270(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00−26/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビームガイドによって、パルス周波数fLでパルス状に脈動するレーザビームを加工物上にガイドし、もって、加工物を機械加工するための方法において、
前記レーザビームは、その前記加工物上の軌道速度vBが以下の条件に従ってガイドされ:
vB>n*dS*fL
ここで、nは、0.2の比例係数であり、dSは前記加工物平面でのビーム直径であり、そして、前記パルス周波数が100kHz以上であり、
レーザビームガイドは、それ自身のレーザビームのガイダンスを、前記加工物の表面上のレーザスポットの第1の軌道速度で行う第1のガイドを備えており、そして、
前記レーザビームガイドは、前記第1のガイドと同時に作動する第2のガイドを備えており、当該第2のガイドは、それ自身のレーザビームのガイダンスを、前記第1の軌道速度よりも高速の、前記加工物の表面上のレーザスポットの第2の軌道速度で行い、
記第1のガイドの振幅は、前記第2のガイドの振幅よりも大きいことを特徴とする加工物を機械加工するための方法。
【請求項2】
前記請求項1に記載した加工物を機械加工するための方法において、前記第1のガイド、及び/又は、前記第2のガイドは、レーザビームを、前記加工物の表面を二次元に沿って移動することを特徴とする加工物を機械加工するための方法。
【請求項3】
前記請求項1又は2の何れか一に記載した加工物を機械加工するための方法において、レーザ光の伝播方向で見た場合、最初に前記第2のガイドが、それから第1のガイドが前記レーザビームに影響をすることを特徴とする加工物を機械加工するための方法。
【請求項4】
前記請求項1〜3の何れか一に記載した加工物を機械加工するための方法において、前記第2のガイドは、電気光学、音響光学、又は、圧電によるものであることを特徴とする加工物を機械加工するための方法。
【請求項5】
前記請求項1〜4の何れか一に記載した加工物を機械加工するための方法において、前記第2のガイドは、任意に決定された方法でレーザビームをガイドすることを特徴とする加工物を機械加工するための方法。
【請求項6】
前記請求項1〜5の何れか一に記載した加工物を機械加工するための方法において、前記第2のガイドは、前記レーザビームを、前記第1のガイドのガイド方向とは異なる方向に、ガイドすることを特徴とする加工物を機械加工するための方法。
【請求項7】
前記請求項1〜6の何れか一に記載した加工物を機械加工するための方法において、前記第1及び第2のガイドは、重畳されていることを特徴とする加工物を機械加工するための方法。
【請求項8】
前記請求項1〜7の何れか一に記載した加工物を機械加工するための方法は、表面を機械加工し、又は、空洞を形成するために設計されたものであることを特徴とする加工物を機械加工するための方法。
【請求項9】
前記請求項1〜8の何れか一に記載した加工物を機械加工するための方法において、前記パルス状に脈動するレーザビームのパルスは、材料の除去に適していることを特徴とする加工物を機械加工するための方法。
【請求項10】
前記請求項1に記載した方法を実行するための、加工物を機械加工するための装置であって、
パルス状に脈動するレーザビームを発生するためのレーザ光源と、そして、
前記加工物表面で前記レーザビームをガイドするためのビームガイドとを備えており、
前記レーザ光源は、少なくとも100kHzのパルス周波数で前記レーザビームを発生し、そして、
前記ビームガイドは、前記レーザビームを、前記加工物表面での軌道速度vBが以下の条件に従うよう、ガイドし、
vB>n*dS*fL
ここで、nは、0.2の比例係数であり、dSは前記加工物平面でのビーム直径であり、そして、fLは前記レーザビームの作動パルスのパルス周波数であり、更に、
パルス状に脈動するレーザビームを発生するためのレーザ光源と、そして、
前記レーザビームガイドは、それ自身のレーザビームのガイダンスを、前記加工物の表面上のレーザスポットの第1の軌道速度で行う第1のガイドを備えており、そして、
前記レーザビームガイドは、前記第1のガイドと同時に作動する第2のガイドを備えており、当該第2のガイドは、それ自身のレーザビームのガイダンスを、前記第1の軌道速度よりも高速の、前記加工物の表面上のレーザスポットの第2の軌道速度で行い、
前記第1のガイドの振幅は、前記第2のガイドの振幅よりも大きいことを特徴とする加工物を機械加工するための装置。
【請求項11】
前記請求項10に記載した加工物を機械加工するための装置であって、前記第2のガイド手段は、
電気光学素子、
音響光学素子、
並進的又は回転的に調整可能な光学素子のうち、
一つ又はそれ以上を備えていることを特徴とする加工物を機械加工するための装置。
【請求項12】
前記請求項10又は11に記載した加工物を機械加工するための装置であって、前記第1のガイドは、ビームの軌道において、前記第2のガイドの下流にあることを特徴とする加工物を機械加工するための装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工物(ワークピース:workpiece)を機械加工(machining:以下、単に、「加工」とも言う)するための、特に、パルス状に脈動する(pulsating)レーザビーム(光)によって加工物を機械加工するための方法及び装置に関する。添付の図1a〜1gは、レーザビームによって加工物を機械加工するための既に公知の特徴を示す。
【背景技術】
【0002】
図1aは、レーザ加工装置の側面を図式的に示している。符号1は加工物(ワークピース)である。4は、その上に加工物1を載せるワークピーステーブルを示す。5はビームガイド2によって所定のエリア内にガイドされた加工用のレーザビームを記号的に示している。3は、レーザ光を出射するレーザ光源であり、レーザ光は、その後、ビームガイド2を通り、それによってワークピース1上に向けられる。6は、プロセスデータを受け取ることができ、そして、少なくともビームガイド2及びレーザビーム源3を駆動する制御装置である。この制御装置は上位の制御装置7に接続することもできる。設計にもよるが、制御装置は上位の制御タスクを実行することもでき、そして、例えば、それに従って上記ワークピースが機械加工される、空洞(キャビティ:cavity)データや製造データを保持するメモリ7に接続することもできる。
【0003】
座標系が図式的に描かれており、x−方向は投射面において水平に伸びており、y−方向は投射面において垂直でかつ後方に伸び、そして、z−方向は投射面に対して垂直に伸びている。
【0004】
図1aの装置は、複数の層内における層状の材料を除去することによって空洞(キャビティ)を形成することと、そして、本来は重大な体積除去(voluminous removal)を伴わないが、しかし、主として所定の表面特性を創造することを含め、これら両者に利用することができる。このことは、少ない幾つかのサイクル(又は、層)内において実現することができる。極端な場合には、表面上の加工すべきそれぞれの点を一回だけ通過すること(x/y−方向において)だけが必要となる。
【0005】
図1b及びcは、空洞(キャビティ)が形成される、即ち、材料の体積除去を伴うときの状態を示している。図1bは、ワークピースの平面図であり、図1cは、ワークピースの断面図である。曲りくねったカーブ8aは、ワークピース表面でのレーザビームの移動を示している。これに関し、レーザビームは、ワークピース表面上では所定の直径と、加工物表面上での衝撃(impact)の幅(即ち、加工物面内において、移動方向と直交する方向)を有しており、この直径にも相互に関係することが指摘される。典型的なビーム径は5〜50μmの範囲にある。これに関しては、個別の曲りくねった距離は、互いに対応して相互に関連付けられている。往復する曲りくねりに代えて、例えば、螺旋、又は、加工線をライン毎に調整して横断させることもまた可能である。参照符号9aは、それぞれの層における機械加工の限界を示している。レーザビーム5は、この加工限界内において活性化され、そして、その外部では不活性化され、その結果、その(不活性な)トラックは、理論的には、外側に位置する領域内でのみ存在する。レーザビームは、限界9aの内部で除去を達成するが、しかし、その外側では達成しない。加工限界の外側で非活性化することに代え、強いデフォーカスを選択することによって、単位面積当たりのエネルギ供給がもはや加工物(ワークピース)を機械加工するには十分でないものとし、そして、レーザを同時に、かつ、連続的に運転するようにすることも可能である。図1bによれば、一つの層が除去される。その後、異なる加工限界9aが適用される他の層がこれに続く。このようにして、空洞(キャビティ)が、図1cに示す深さにまで形成される。1aは現状での一時的なキャビティの底部を形成しており、即ち、図1bに示す一時的なキャビティの表面である。水平方向の破線は、個々の除去された層を図式的に示している。加工限界9aは、各層毎に、即ち、深さ方向(負のz−方向)において異なっており、それ故、正確に規定された形状を有するキャビティがこのようにして形成される。これは、例えば、金型設計などに関連する。1cは、完成したキャビティの底部を表している。それは、未だ製造(完成)されていないが、しかしながら、層内における領域に亘って材料を取り除く手順によれば、所定の時間の後には、露出されることとなろう。
【0006】
図1dは、表面を機械加工する手順を示しており、ワークピース表面の平面図である。ここでは、一又は幾つかの個別のトラックが使用される。機械加工は、必ずしもそうではないが、全体の領域に亘って実行される。並列トラック8b、8c、8dが設けられてもよい。このようにして、所定の視覚的又は機械的な特性を備えた表面を製造することが可能である。図1bのように、図1dでは、それぞれのトラックを、図1aのビームガイド2によって導入している。これに関しては、レーザビームは、所定の時間Δtにおいてワークピース表面上を所定の距離Δxだけ後戻りし、それ故、それに対応して、ワークピース表面上のレーザビームの軌道速度(path speed)vBは、Δx/Δtとして規定することが出来る。共通の軌道速度は100〜300mm/sである。それらは、上昇する速度に伴って低下する精度の調整によって、その上限が制限されている。
【0007】
図1eは、時間に亘る加工レーザビームの特性を示している。特定の光出力が示されている。レーザビームの断面領域が一定であれば、時間的な推移に、即ち、単位面積に基づくエネルギ供給に対応する。レーザビームは、好ましくは、一定の間隔でパルス状に脈動する(pulsate)。時間t1、t2、t3におけるパルスのピークが、一定の時間差tLが確保されるように与えられる。これは、レーザパルス周波数fLに対応する。即ち、以下の関係が適用される。
tL=1/fL
【0008】
典型的なレーザパルス周波数fLは、10kHzと100kHzとの間に在る。しかしながら、近年、また、明らかに、より高いレーザパルス周波数fLに向かう傾向が見られる。一方、略1MHz又はそれ以上で略2MHz、また、5MHz以上で100MHzまで、又はそれ以上のパルス周波数を持つ機械加工のレーザが提供されている。かかるレーザは、より高いパルス周波数にも拘わらず、関連して除去を決定し、かつ、より低い周波数を有するレーザの出力に対応し、又は、それをも強く超えるパルスピーク出力を有していることから、これを使用することは好ましい。説明を目的とした計算の一例を以下に述べる。パルス周波数が80kHzの時、従来の10Wの平均レーザ出力は125μJのパルスエネルギとなる。10nsのパルス期間では、これは1250Wのパルスピーク出力を生じる。
【0009】
しかしながら、新たなシステムにおいては、10Wの平均レーザ出力は、1MHzによってパルス状に供給することができる。ここで、パルス期間は、明らかに短く、例えば、10psである。これは、1MWのパルスピーク出力となる。
【0010】
図1fは、他の時間ダイアグラムを示している。それはパルス状に脈動するレーザビームによって加工物(ワークピース)を機械加工する特別の場合を示しており、そこでは、ウォーミングパルスが実際の加工パルス(working pulse)に先行している。この場合、考慮されるべきパルス周波数は、図1fに示すように、加工パルスの間で計測されなければならない。
【0011】
ビームガイド2は、所定の有限の調整速度を備えている。それは、理論では非常に早く動き得るが、これは、しかしながら、調整精度、及び、即ち、表面の機械加工やワークピース上のキャビティの形成の精度に影響を及ぼす。これにより、図1を参照して説明する状態となる。図1は、ワークピース表面の平面図である。8fは、ワークピース表面上のレーザビームの瞬時的な軌道を示している。ワークピース表面上のレーザビームの軌道速度vB、ワークピース表面レベルでのレーザビームのビーム径dSとレーザパルス周波数fLによって、パルスは重なってもよい。例えば、パルス周波数fLを100kHz、そして、ビーム径dSを10μmとすれば、レーザ光の衝突点が全く重ならないことが望まれる場合には、1m/sの軌道速度vBは、以下の式に従うこととなる。
vB=dS/tL=dS×fL
しかしながら、通常、可動な鏡から構成される今日のビームガイドでは、ワークピース表面上でのガイド速度は、約500mm/s又は1000mm/sに制限される。このことは、仮定された数値では既にビーム径dSの略50%が重なることを意味する。いま、入力されるレーザパルスが材料を溶融して蒸発するために加熱すると仮定した場合(そこでは、液相は非常に速く経過する)、その結果は、いずれにしても、続くレーザパルスが、先のレーザパルスが直前までなお有効であった点の上に衝突することとなる。
【0012】
このことが種々の好ましくない効果を導く。その結果、ワークピースは、先のパルスによって以前に衝突されたと同じ吸収領域内への単位時間当たりの過剰なエネルギの導入によって加熱され、また、レーザビーム限界を大きく越え、即ち、ビーム径を超え、そして、より大きな領域で溶融されてしまい、好ましくない溶融部の増大ともなる。このことは、同様に、レーザビームとワークピース表面との間の相互作用に関する限りにおいて、条件がもはや正確に規定されていない状況へと導く。即ち、材料の除去は一様ではなくなり、そして、正確に予測することは不可能となる。
【0013】
かかる課題は、最初に述べた増大するパルス周波数と共に、より悪化している。上記に指摘した数字の例は、レーザガイド2の調整速度を考慮すれば、比較的に低いパルス周波数(100kHz)では、既に、重なりが生じていることを示している。このことは、パルス周波数が100kHzではなく、例えば、しかし1MHz又はそれ以上であり、例えば100MHzまでの場合には、なお一層のことであろう。ある方法によれば、レーザビームの径を減少して調整速度を向上するという試みは可能である。しかしながら、図1gに示すように、今日の技術では、ワークピース表面での個々のパルスの著しい重なりを避けることは出来ない。500kHz及びそれ以上の高いパルス周波数の場合には、従来の技術では、ワークピース表面では、重なりがビーム径の50%以上に、そして、多分、ビーム径の80%以上になってしまうことが推測される。このことは、除去出力についての不正確さが一層増大することともなる。
更なる従来技術は、以下の通りである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】ドイツ特許公開公報102005039833号
【特許文献2】ドイツ特許公開公報102004051180号
【特許文献3】ドイツ特許第10392185
【特許文献4】欧州特許第0536625号
【特許文献5】ドイツ特許公開公報10309157号
【特許文献6】米国特許第5837962号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、高パルス周波数であっても、安定でかつ予測可能な制御と除去出力の調整を可能とする、加工物(ワークピース)を機械加工するための方法及び装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の実施例によれば、加工物(ワークピース)表面上でレーザビームをガイドする軌道速度vBが、適切な技術手段によって、レーザパルス周波数fLとビーム径dSを考慮して調整され、以下の条件を生じるように調整される。
vB>n×dS×fL
ここで、nは、0.5又は0.7又は1又は1以上となり得る比例係数である。軌道速度が時間を跨いで変化した場合には、平均軌道速度又は最大軌道速度を利用することができる。同様のことがレーザ周波数fLにも適用される。
【0017】
例えば、速い軌道速度vBを適切に調整することができ、それによれば、任意のより小さな振幅のより速い更なる移動が、従来技術のビームガイドによって達成される移動に重畳される。その結果、二つのガイドが提供され、その一方は図1aを参照して示したような従来のビームガイドであり、他方はレーザビームの重畳されたガイドを生成する他のビームガイドである。
【0018】
加工物(ワークピース)を機械加工するための装置は、上述した方法及び/又はこれに関連して記載された変形及び以下に述べるものの一つを実行するように設計できる。
【発明の効果】
【0019】
加工される加工物(ワークピース)は、金属材料であり又はそれを備えたもの、又は、半導体材料又はセラミックス又はガラス又はプラスチックでもよい。機械加工は、視覚的な外観、又は、表面の粗さに影響する表面加工でもよく、或いは、材料が層内で除去されて正確に規定された側壁及び正確に規定された底部を有する空洞(キャビティ)を層状に創造するような、空洞(キャビティ)の形成であってもよい。空洞(キャビティ)が形成されると、精度は100μmの製造精度よりも良好で、好ましくは、50又は10μmよりも良好なものとなろう。
【0020】
各パルスは、衝突点において材料を溶融し又は蒸発するに十分なエネルギを有することができる。図1fの実施例では、これは実際の加工パルスに適用されており、そして、決して先行するウォーミングパルスには適用されていない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明の実施例は、図面を参照しながら以下に述べる。
図1a】従来技術を図解する図である。
図1b】従来技術を図解する図である。
図1c】従来技術を図解する図である。
図1d】従来技術を図解する図である。
図1e】従来技術を図解する図である。
図1f】従来技術を図解する図である。
図1g】従来技術を図解する図である。
図2】本発明の効果を図解説明するための図である。
図3】本発明になる実施例を示す図である。
図4】本発明になる他の実施例を示す図である。
図5】本発明になる装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図2は、本発明になる条件を示す。参照番号8aは、レーザビームの瞬時的な軌道を示しており、それは湾曲していてもよい。21と22は、レーザ光の二つの連続する加工パルス(working pulse)が衝突する二つの連続する点である。それらの仮想中心は、それぞれ、21aと22aである。円21bと22bは、各場合におけるレーザ光ビームの直径を表している。両中心21aと22aの間の距離wLは、レーザビームが二つの作動パルスの間を移動する距離である。これらの条件は、重なりが、所定の値よりも小さく、特に、30%又は50%よりも小さくなるように、調整される。一般に、これらの条件は、以下の式により記述することが出来、
vB>n*dS*fL
ここで、vBは加工物(ワークピース)表面上のパルス状に脈動するレーザビームの軌道速度であり、dSは加工物(ワークピース)表面レベルにおけるビーム直径であり、そして、fLはパルス状に脈動するレーザ光の作動パルスのパルス周波数である。これに関連し、パルス周波数は、100kHz以上であってもよく、好ましくは、1MHz以上であり、より好ましくは、10MHz以上である。値nは、0.3又は0.5、或いは、1又は1以上の比例係数である。重なり(比例係数nに対応する)は、所望の条件に従って調整することができる。
【0023】
軌道速度は、二つのパルス間をまたがる軌道(wL)が距離(tL=1/fLに対応)に対して要求される時間で割り算された時に結果として生じる速度として決定される。速度が可変である場合には、平均値を、又は、各場合においては、それぞれ他の変数の瞬時値と共に、瞬時の値を使用することが出来る。
【0024】
要求される軌道速度は、従来のガイド上に重畳されたガイドに移動を発生することによって生成することが出来る。一方では、レーザビームは従来のビームガイドによって、そして、他方では、より速い移動を発生する他のビームガイドによってガイドすることができる。ここでは、従来のビームガイド(図1aにおける参照番号2)は、本発明によって付加されたビームガイドの振幅よりも大きな振幅(最大偏差:maximum deflection)を有することも可能である。付加されたビームガイドは、従来のビームガイド2によって発生された移動を横断する成分を有する偏差(deflection)を発生することもできる。その付加的なガイドは、往復移動を利用し、又は、ワークピース表面の両次元において重畳された移動を利用してもよい。その振幅は、従来のビームガイドの最大偏向(maximum deflection)のそれよりも小さくてもよい。付加されたビームガイドによって往復移動又は幾つかの点で周期的な移動が発生される限りにおいては、その周波数は、レーザ作動パルスの周波数の分数、即ち、レーザパルス周波数の5%以上、又は、10%以上、又は、1/n(n=整数)となってもよい。レーザビームの幾つかの加工パルスは、付加的な移動の周期毎に生成される。
【0025】
図3は、種々の実施例において、好ましい移動が如何にして発生されるかを示している。図3の移動のパターンは、加工物(ワークピース)表面の平面、即ち、x/y平面内におけるレーザビームガイドを表している。
【0026】
3a、3b、3cは、従来のビームガイドによって発生することができるビームガイドを示す。かかる状況において、図3は、少なくとも一領域毎に、図1dのビームガイドに対応しており、そして、図3は、図1bのビームガイドに対応している。図3は、従来のビームガイドによって連続して調整され、そして/あるいは、交差する二つの規定された軌道8h、8iを示している。
【0027】
図3d、3e、3fは、他のビームガイドによって調整し、そして、従来のビームガイドによって発生された、移動上に重畳することができる移動パターンを示している。パターン31は、その期間中に幾つかのレーザパルスが周期的に発生する垂直な上下移動を示している。例えば、図3の移動の期間において、もしも10個(一般的には:n)の加工パルスが生じる場合には、当該移動の周期はレーザパルス周波数の10分の1(一般的には:1/n)となる。偏位2a(二倍の振幅A)が、ビーム径dSに従って、選択される。それは、レーザビーム径の倍数であり、例えば、2倍以上、10倍以上、又は、50倍以上である。他方、偏位2aは、加工物(ワークピース)の平面では、レーザビーム径dSの10倍以下であってもよく、又は、5倍以下でもよい。一般的には、技術的に可能な第2のガイドの偏位範囲を用いることができる。例えば、±1°と200mmの軌道長によれば、ほぼ7mmの偏位となる。境界効果を避けるために、先端部を使用することは避ける。
【0028】
図3は、従来の移動に重畳される円状の動きが導入された他のパターンを示す。1サイクル内に幾つかの加工パルスが発生する。周期についての考慮は、図3についてのそれと同様である。
【0029】
図3の移動は、振動方向を変更するために、変更してもよい。例えば、従来のビームガイドによって導入される移動の方向に対し、常に、少なくとも1の所定の最小角度(例えば、20°又は40°)が残っているという具合である。例えば、垂直振動(図3)と水平振動との間で切り替えて、それに対して90°だけ回転することも可能である。図3は、重畳されたビームガイドがランダム又は半ランダムである実施例を示す。これによれば、従来のビームガイドのガイド方向とそれに垂直な移動成分を持つことができる。例えば、矩形又は正方形のグリッドパターンにおいて、個々の位置は、半ランダムに、なお所定の方法で、グリッドパターンの全ての位置に一旦は達するまで、駆動することができる。その後、パターンは繰り返される。
【0030】
図4は、例えば、図3のラインに従った従来のガイドと、そして、図3の円形の追加ガイドとの重畳の結果を示している。その結果は、スキューされた螺旋(skewed spiral)となる。23は、重畳された移動を理由に、それに沿ってレーザビームがガイドされる軌道を示している。点41、42、43、44、45…は、レーザ光の個々の加工パルスの衝突位置の中心を示している。中心41、42に加え、それぞれのレーザビーム径41a、42aもまた描かれている。その描画では、連続するパルスの個々の衝突点が丁度接している。しかしながら、その寸法は、図面において、それらがより強く重なり、又は、互いにより遠く離れるようにすることも可能である。一定の加工レーザパルス周波数fLと所与の従来のガイドによれば、一方では、レーザパルス周波数fLに対する合理的な周波数制御によって、そして、他方では、重畳される移動の振幅制御によって、これを達成することが出来る。
【0031】
それ自体の軌道速度については、重畳された移動は、通常、従来のガイドにより駆動される移動の速度よりも著しく高速である。しかしながら、その振幅(可能な最大偏位)は、通常、より小さい。この重畳された移動は、レーザビームが領域上を横切る際、レーザビームがワークピース上の点に二回又は数回命中(hit)るようになっている。他方、パラメータも、また、その表面をスキミングする際、領域全体を、信頼可能で、かつ、重畳された移動によって加工されるワークピース表面の全ての点に亘って唯一回横切るように調整することができる。例えば、これは、重畳された移動の偏位の振幅、ステップ幅、そして周波数を適切に選択することによって達成することが出来る。
【0032】
一般に、重畳されたガイドの結果では、微視的な観点からは、そのガイドは、ワークピース全体に亘る大きな移動が、通常、従来のガイドによって前もって決定される限りにおいては、従来のガイドと同様であろう。しかしながら、移動した軌道は、より多くからのより幅の広いトラックを有し、又は、従来例の技術に比較してより少ない隣接する作動点を有するような横方向の付加的な偏位によって、より広くなることができる。それに相応し、従来のガイドは、更に遠く離れて隔てられたトラックを導入することができる。
【0033】
図5は、本発明になる加工装置を図式的に示している。図1aにおけるそれらと同じ参照番号は、同一の構成を示している。5aと5bは、破線において、ビームガイド2によって生じることのできるレーザビームの可能な最大偏位を示している。それに相応して、それらは加工物(ワークピース)表面に加工ウィンドウ(working window)を規定する。
【0034】
更なるビームガイド51が、従来のビームガイド2上流のビームの軌道内において設けられている。それは、また、レーザビームの角度偏位を発生し、その最大限度が破線5cと5dにより示される。付加的なビームガイド装置51のより小さな振幅によれば、移動の可能な最大角度は、従来のビームガイド2のそれよりも小さくすることができる。しかしながら、付加的なビームガイド装置51は、また、従来のビームガイド2と共に、例えば、従来のビームガイド装置の鏡をその内部でもう一度調整する等によって同様に設けられることもできる。この付加的なビームガイド装置51は、また、制御装置6により駆動することもできる。要求に応じ、個別に、作動し又は非作動とすることもでき、それ故、付加的なビームガイド装置は、適切に、従来のビームガイドに追加することができる。
【0035】
第2のビームガイド装置51への駆動信号は、所望のガイドパターン、特に、図3d、3e、3fのそれらの一つを形成するように発生される。第2のガイドは、加工物(ワークピース)の表面の両次元(x,y)において、レーザビームの偏差を達成することができる。しかしながら、他の実施例では、一次元の偏位だけが調整できる。
【0036】
第2のビームガイド51は、例えば、与えられた音響又は電気信号の周波数に従って偏位を決定する、一又は幾つかの音響光学素子又は電気光学素子を備えてもよい。それは、また、一又は幾つかの圧電素子(ピエゾエレクトリック素子)を備えてもよい。それは、機械的に振動する素子であればよく、例えば、ビーム軌道内に配置され、異なる方向特性を有する、回転する透光性の又は反射性の円盤(ディスク)でもよい。二つの次元(寸法:加工物(ワークピース)表面上のxとyに対応)に沿って偏差を達成するため、それらの有効方向に交差する要素(エレメント)を適切な位置に設けることができる。
【0037】
第2のガイドが周期的に作動すると、その作動期間は、レーザパルス周波数fLに対して、即ち、第2のガイドの作動周波数が、好ましくは、レーザパルス周波数fLの整数分数となるように、調整することができる。他方、周波数及び/又は周期継続期間の正確な調整も、また、以下の関係が、第2のガイドの周期継続期間T2に対して適用されるよう、提供される:
1/f2=T2=n*tL+tR
ここで、nは、第2のガイドの期間当たりの作動パルスの数であり、tRは、第2のガイドが戻るために必要とされる期間とその他の中断時間である。
【0038】
第2のガイドのガイド方向は、一の方向(往復)において永続するものでもよい。しかしながら、この一方向は、時間において可変であってもよい。更に、加工レーザビームは、また、加工物(ワークピース)表面上でその二つの次元(x,y)に偏向されるよう、対称に偏向することもできる。この偏向は、互いに一直線に並べられ、又は、直交させ、又は、所定の角度範囲にすることによって、第1のガイドによって発生される移動の瞬時的な方向に対し、常に、所定の角度関係を有するように、調整することができる。
【0039】
本発明は、表面加工及び空洞(キャビティ)の形成の両方に適している。表面を機械加工する場合、加工される全表面領域の一度のスキミング(skimming)で十分である。空洞(キャビティ)を形成する場合には、通常、x−y平面において、所定の領域が数回に渡って取り除かれ、その都度、所定の厚さの材料が除去される。除去されることにより、複数の層が空洞内へ徐々に深く突出してゆく。
【0040】
これに関連し、1パルス当たりの層の厚さ又は貫通深さは10μmでもよく、好ましくは2以下又は1μmとしてもよく、より好適には、0.25μmである。
【0041】
第1のガイドだけによって生じる起動速度の下限は、20又は50又は100mm/sでもよい。その上限は、100mm/s又は200mm/s又は500mm/sでもよい。
【0042】
加工物(ワークピース)表面レベルにおける考慮されたビーム直径は、50μm又は20μmの上限、そして、2μm又は5μm又は10μmの下限を有する。
【0043】
第2のガイドにより生じる偏向の振幅(大きさ)は、上方において、2mm又は1mm又は50μmに制限される。それは、また、上方において、加工物(ワークピース)表面上のレーザビーム直径の200倍又は100倍又は50倍までに制限される。振幅(大きさ)は、下方において、5μm又は10μmに、また、加工物(ワークピース)表面上のレーザビーム直径の2倍に制限される。
【0044】
第2のガイドの周波数f2(継続期間t2の逆数)は、n倍のレーザ周期tLであってもよく、このnは3又は5又は7である。
【0045】
第2のガイドによりビームガイドが導入されると、その加工位置(working position)もまた追跡することができ、その結果、レーザビームの実際の加工位置(第1と第2のガイドの効果によって生じる)を追跡して記録し、そして、それらの記録によって、第2のガイドの更なる駆動を行って、特に、それまで命中していな領域に命中(hit)するようすることが出来る。これに対応して、加工物(ワークピース)表面上の既に加工された位置のための検出装置を、その検出の結果を格納するためのメモリと共に設け、そして、これを、その後の評価のために供することもできる。ワークピース表面上のレーザビームの直径は、その断面が明確に規定されていない場合には、中央強度との比較により直径を決定するための強度値にフォーカスすることによって、例えば、50%に、又は、中央強度の1/e又は1/eの値に決定することができる。この時、規格ISO11146が考慮することもできる。
【符号の説明】
【0046】
2…第1のガイド、3…レーザ光源、5…レーザビーム、5c、5d…レーザビームの角度偏位、51…第2のガイド、6…制御装置。
図1a
図1b
図1c
図1d
図1e
図1f
図1g
図2
図3
図4
図5