特許第5690083号(P5690083)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5690083
(24)【登録日】2015年2月6日
(45)【発行日】2015年3月25日
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
   G11C 11/407 20060101AFI20150305BHJP
   H01L 27/10 20060101ALI20150305BHJP
   H01L 21/8242 20060101ALI20150305BHJP
   H01L 27/108 20060101ALI20150305BHJP
【FI】
   G11C11/34 354E
   H01L27/10 481
   H01L27/10 681F
【請求項の数】14
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2010-115338(P2010-115338)
(22)【出願日】2010年5月19日
(65)【公開番号】特開2011-243258(P2011-243258A)
(43)【公開日】2011年12月1日
【審査請求日】2013年3月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】513192281
【氏名又は名称】ピーエスフォー ルクスコ エスエイアールエル
【氏名又は名称原語表記】PS4 Luxco S.a.r.l.
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(74)【代理人】
【識別番号】100119415
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 充
(72)【発明者】
【氏名】北山 誠
【審査官】 堀田 和義
(56)【参考文献】
【文献】 特開平2−143985(JP,A)
【文献】 特開昭59−60794(JP,A)
【文献】 特開昭60−167193(JP,A)
【文献】 特開2000−268563(JP,A)
【文献】 特開2002−269984(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 11/407
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ第1の方向に延伸する複数のワード線を備え、各ワード線は第1の端部と第2の端部を含み、前記複数のワード線は前記第1の方向と交差する第2の方向に配置され、第1のエッジワード線と第2のエッジワード線と前記第1および第2のエッジワード線の間の1または2以上の中間ワード線とを含み、
前記複数のワード線のうちの対応するワード線の前記第1の端部にそれぞれ接続された複数のドライバを備え、前記複数のドライバのうちの選択されたドライバは前記複数のワード線のうちの選択されたワード線を活性レベルに駆動すると共に、前記複数のドライバの残りのドライバは前記複数のワード線の残りのワード線を非活性レベルに駆動し、
前記複数のワード線のうちの対応するワード線の前記第2の端部にそれぞれ接続された複数のトランジスタを備え、前記複数のトランジスタは、前記複数のワード線のうちの前記選択されたワード線に接続された一のトランジスタが非導通状態とされ、前記複数のワード線のうちの前記選択されたワード線に隣り合う残りのワード線の少なくとも一のワード線に接続された残りのトランジスタの少なくとも一のトランジスタが導通状態とされるように制御され、
前記複数のドライバは第1および第2のグループに分けられ、前記複数のトランジスタは第3および第4のグループに分けられ、前記第1のグループに属するドライバはそれぞれ前記複数のワード線の奇数番目のワード線に接続され、前記第2のグループに属するドライバはそれぞれ前記複数のワード線の偶数番目のワード線に接続され、前記第3のグループに属するトランジスタはそれぞれ前記複数のワード線の偶数番目のワード線に接続され、前記第4のグループに属するトランジスタはそれぞれ前記複数のワード線の奇数番目のワード線に接続され、前記第3のグループに属するトランジスタはそれぞれ前記第1のグループに属する一のドライバが前記複数のワード線のうちの対応する奇数番目のワード線を駆動する際に導通状態とされ、前記第4のグループに属するトランジスタはそれぞれ前記第2のグループに属する一のドライバが前記複数のワード線のうちの対応する偶数番目のワード線を駆動する際に導通状態とされ、
前記複数のトランジスタはそれぞれ前記複数のワード線のうちの対応するワード線と前記非活性レベルが供給されるポテンシャル線に接続され、導通状態とされると、前記非活性レベルを前記複数のワード線の対応するワード線に供給し、前記複数のワード線の残りのワード線はそれぞれ前記残りのドライバの対応するドライバと前記複数のトランジスタの対応するトランジスタにより前記非活性レベルに駆動され、
第1および第2の信号生成回路をさらに備え、前記第1の信号生成回路は第1の制御信号を生成して前記第3のグループに属するトランジスタをそれぞれ導通状態とし、前記第2の信号生成回路は第2の制御信号を生成して前記第4のグループに属するトランジスタをそれぞれ導通状態とし、
複数の付加トランジスタをさらに備え、前記複数の付加トランジスタは第5および第6のグループに分けられ、前記第5のグループに属する付加トランジスタはそれぞれ前記複数のワード線のうちの異なる2本の偶数番目のワード線の間に接続されると共に前記第1の制御信号に応じて導通状態とされ、前記第6のグループに属する付加トランジスタはそれぞれ前記複数のワード線のうちの異なる2本の奇数番目のワード線の間に接続されると共に前記第2の制御信号に応じて導通状態とされる、
ことを特徴とする半導体記憶装置。
【請求項2】
それぞれ前記第2の方向に延伸する複数のビット線を備え、前記複数のビット線は前記第1の方向に配置され、第1のエッジビット線と第2のエッジビット線と前記第1および第2のエッジビット線の間に1または2以上の中間ビット線とを含み、
前記複数のワード線の対応するワード線と前記複数のビット線の対応するビット線にそれぞれ結合される複数のメモリセルを備え、
前記複数のトランジスタのうちの前記複数のワード線の奇数番目のワード線に接続されたトランジスタは前記第2の方向に前記第1のエッジビット線に沿って配置され、前記複数のトランジスタのうちの前記複数のワード線の偶数番目のワード線に接続された残りのトランジスタは前記第2の方向に前記第2のエッジビット線に沿って配置されている、
ことを特徴とする、請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記複数のドライバのうちの前記複数のワード線の奇数番目のワード線に接続されたドライバは前記第2の方向に前記第2のエッジビット線に沿って配置され、前記複数のドライバのうちの前記複数のワード線の偶数番目のワード線に接続されたドライバは前記第2の方向に前記第1のエッジビット線に沿って配置されている、
ことを特徴とする、請求項2に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記複数のビット線の対応するビット線にそれぞれ接続された複数のセンスアンプをさらに備え、前記複数のセンスアンプのうちの前記複数のビット線の奇数番目のビット線にそれぞれ接続されたセンスアンプは前記第1の方向に前記第1のエッジワード線に沿って配置され、前記複数のセンスアンプのうちの前記複数のビット線の偶数番目のビット線にそれぞれ接続されたセンスアンプは前記第1の方向に前記第2のエッジワード線に沿って配置されている、
ことを特徴とする、請求項3に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
接地電位よりも低い負電圧が供給される電圧線をさらに備え、前記複数のトランジスタはそれぞれ前記複数のワード線の対応するワード線と前記電圧線との間に接続され、導通状態とされると、前記複数のワード線の対応するワード線に前記負電圧を供給する、
ことを特徴とする、請求項3に記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記複数のドライバはそれぞれ前記複数のワード線の対応するワード線と前記電圧線との間に接続された駆動トランジスタを含み、前記複数のドライバの前記残りのドライバのそれぞれに含まれる前記駆動トランジスタは前記複数のワード線の前記残りのワード線のそれぞれに前記非活性レベルとして前記負電圧を供給する、
ことを特徴とする、請求項5に記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
接地電位よりも低い負電圧が供給される電圧線をさらに備え、前記複数のトランジスタはそれぞれ前記複数のワード線の対応するワード線と前記電圧線との間に接続され、導通状態とされると、前記複数のワード線の対応するワード線に前記負電圧を供給する、
ことを特徴とする、請求項4に記載の半導体記憶装置。
【請求項8】
前記複数のドライバはそれぞれ前記複数のワード線の対応するワード線と前記電圧線との間に接続された駆動トランジスタを含み、前記複数のドライバの前記残りのドライバのそれぞれに含まれる前記駆動トランジスタは前記複数のワード線の前記残りのワード線のそれぞれに前記非活性レベルとして前記負電圧を供給する、
ことを特徴とする、請求項7に記載の半導体記憶装置。
【請求項9】
接地電位よりも低い負電圧が供給される電圧線をさらに備え、前記複数のトランジスタはそれぞれ前記複数のワード線の対応するワード線と前記電圧線との間に接続され、導通状態とされると、前記複数のワード線の前記対応するワード線に前記負電圧を供給する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項10】
それぞれ第1の方向に延伸する複数のワード線を備え、前記複数のワード線は前記第1の方向と交差する第2の方向に配置され、奇数番目のワード線と偶数番目のワード線を含み、
前記第2の方向に延伸する複数のビット線を備え、前記複数のビット線は前記第1の方向に配置され、第1のエッジビット線と第2のエッジビット線と前記第1および第2のビット線の間の1または2以上の中間ビット線とを含み、
前記奇数番目および偶数番目のワード線の対応するワード線と前記複数のビット線の対応するビット線にそれぞれ結合される複数のメモリセルを備え、
複数の第1のドライバを含む第1のドライバアレイおよび複数の第2のドライバを含む第2のドライバアレイを備え、前記第1のドライバは前記奇数番目のワード線にそれぞれ接続される共に前記第2の方向に前記第1のエッジビット線に沿って配置され、前記第2のドライバは前記偶数番目のワード線にそれぞれ接続されると共に前記第2の方向に前記第2のエッジビット線に沿って配置され、前記第1および第2のドライバは、前記第1および第2のドライバの一のドライバが前記奇数番目および偶数番目のワード線の対応するワード線を活性レベルに駆動し、前記第1および第2のドライバの残りのドライバが前記奇数番目および偶数番目のワード線の残りのワード線をそれぞれ非活性レベルに駆動するように制御され、
前記第1のドライバアレイと前記第1のエッジビット線との間に配置され第1の制御信号がゲート端子に共通に供給される複数の第1のトランジスタを備え、前記第1の制御信号は、前記複数の第1のドライバの一のドライバが前記奇数番目のワード線の対応するワード線を駆動する際に前記複数の第1のトランジスタをそれぞれ導通状態とし、前記複数の第1のトランジスタはそれぞれ前記偶数番目のワード線の対応する2本のワード線の間に接続され、前記偶数番目のワード線の前記対応する2本のワード線の一方のワード線は前記奇数番目のワード線の一のワード線に隣り合うように配置され、前記偶数番目のワード線の前記対応する2本のワード線の他方のワード線は前記奇数番目のワード線の前記一のワード線に隣り合うことなく前記奇数番目のワード線の他のワード線に隣り合うように配置され、
前記第2のドライバアレイと前記第2のエッジビット線との間に配置され第2の制御信号がゲート端子に共通に供給される複数の第2のトランジスタを備え、前記第2の制御信号は、前記複数の第2のドライバの一のドライバが前記偶数番目のワード線の対応するワード線を駆動する際に前記複数の第2のトランジスタをそれぞれ導通状態とし、前記複数の第2のトランジスタはそれぞれ前記奇数番目のワード線の対応する2本のワード線の間に接続され、前記奇数番目のワード線の前記対応する2本のワード線の一方のワード線は前記偶数番目のワード線の一のワード線に隣り合うように配置され、前記奇数番目のワード線の前記対応する2本のワード線の他方のワード線は前記偶数番目のワード線の前記一のワード線に隣り合うことなく前記偶数番目のワード線の他のワード線に隣り合うように配置されている、
ことを特徴とする、半導体記憶装置。
【請求項11】
前記非活性レベルが供給されるポテンシャル線を備え、
前記第1のドライバアレイと前記第1のエッジビット線との間に配置され前記第1の制御信号がゲート端子に共通に供給される複数の第3のトランジスタを備え、前記第1の制御信号は、前記複数の第1のドライバの一のドライバが前記奇数番目のワード線の対応するワード線を駆動する際に、前記複数の第3のトランジスタをそれぞれ導通状態とし、前記複数の第3のトランジスタはそれぞれ前記偶数番目のワード線の対応するワード線と前記ポテンシャル線との間に接続され、
前記第2のドライバアレイと前記第2のエッジビット線との間に配置され前記第2の制御信号がゲート端子に共通に供給される複数の第4のトランジスタを備え、前記第2の制御信号は、前記複数の第2のドライバの一のドライバが前記偶数番目のワード線の対応するワード線を駆動する際に、前記複数の第4のトランジスタをそれぞれ導通状態とし、前記複数の第4のトランジスタはそれぞれ前記奇数番目のワード線の対応するワード線と前記ポテンシャル線との間に接続されている、
ことを特徴とする、請求項10に記載の半導体記憶装置。
【請求項12】
前記第1および第2のドライバは、
前記活性レベルが作動可能となるように供給される信号線と、
前記信号線と前記奇数番目および偶数番目のワード線の対応するワード線との間に接続された第5のトランジスタと、
前記ポテンシャル線と前記奇数番目および偶数番目のワード線の前記対応するワード線との間に接続された第6のトランジスタと、
前記ポテンシャル線と前記奇数番目および偶数番目のワード線の前記対応するワード線との間に前記第6のトランジスタと並列に接続された第7のトランジスタと、を備え、
前記第5のトランジスタを導通状態とすると共に前記第6および第7のトランジスタをそれぞれ非導通状態とすることで、前記奇数番目および偶数番目のワード線の前記対応するワード線を前記活性レベルに駆動し、
前記第5のトランジスタを非導通状態とすると共に少なくとも前記第7のトランジスタを導通状態とすることで、前記奇数番目および偶数番目のワード線の前記対応するワード線を前記非活性レベルに駆動する、
ことを特徴とする、請求項11に記載の半導体記憶装置。
【請求項13】
前記活性レベルは接地電位よりも高い正電位であり、前記非活性レベルは前記接地電位よりも低い負電位である、
ことを特徴とする、請求項12に記載の半導体記憶装置。
【請求項14】
前記複数の第1のトランジスタはそれぞれ第1のソース・ドレイン領域と第1のゲート電極を含み、前記第1のソース・ドレイン領域は前記偶数番目のワード線の前記対応する2本のワード線にそれぞれ接続され、前記第1のソース・ドレイン領域の間に第1のチャネル領域を規定し、前記第1のゲート電極は前記第1のチャネル領域上に形成され前記第1の制御信号が供給され、前記偶数番目のワード線の前記一方のワード線および前記偶数番目のワード線の前記他方のワード線のいずれとも異なる偶数番目のワード線の下に設けられ、
前記複数の第2のトランジスタはそれぞれ第2のソース・ドレイン領域と第2のゲート電極を含み、前記第2のソース・ドレイン領域は前記奇数番目のワード線の前記対応する2本のワード線にそれぞれ接続され、前記第2のソース・ドレイン領域の間に第2のチャネル領域を規定し、前記第2のゲート電極は前記第2のチャネル領域上に形成され前記第2の制御信号が供給され、前記奇数番目のワード線の前記一方のワード線および前記奇数番目のワード線の前記他方のワード線のいずれとも異なる奇数番目のワード線の下に設けられている、
ことを特徴とする、請求項10に記載の半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体記憶装置に関する。特に、DRAMセルを備えた半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
微細加工技術やセル構造の工夫によってDRAMを初めとするメモリセルの1セル当たりの面積は益々小さくなり大容量の半導体記憶装置の実現が可能になって来ている。特に4F2セルを用いたDRAM(ダイナミックランダムアクセスメモリ)では、半導体基板の表面に柱状突起を設け、柱状突起の頂上にセル容量を接続し、柱状突起の側壁に設けたセルトランジスタを介して柱状突起の裾に設けた埋め込みビット線に接続する立体構造を用いてDRAMセルの面積を小さくすることが提案されている。
【0003】
また、特許文献1には、SRAM等のフリップフロップ型メモリセルを備えた半導体集積回路において、ワード線の活性状態の時にそのワード線の電圧を電源電圧以下にするプルダウン回路を設け、活性状態のときのワード線の電圧が上昇し過ぎないように抑制し、スタティックノイズマージン特性の改善を図る半導体集積回路が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−262637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以下の分析は本発明により与えられる。微細加工の技術が進むにつれて、選択するワード線とそのワード線に隣接する非選択のワード線との相対的な寄生容量が大きくなりワード線間の寄生容量により選択ワード線に隣接する非選択ワード線の電位が影響を受けるようになって来ている。たとえばDRAMであれば、非選択ワード線の電位が影響を受けるとDRAMセルの保持特性(リフレッシュ特性)が劣化する。特に4F2セルを用いたDRAMの場合、セルの構造上、ワード線間の寄生容量が(グランド電位等他の電位との容量に比べて)相対的に大きくなるので、何らかの対策が必要になる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の側面による半導体記憶装置は、第1の方向に配線された複数のワード線と、前記複数のワード線を駆動するワード線ドライバと、前記複数のワード線それぞれの末端に接続され、当該ワード線に隣接するワード線が選択されるときに導通して当該ワード線を安定化電位に接続し、当該ワード線が選択されるときに非導通となる複数のワード線電位安定化トランジスタと、を備える。
【0007】
本発明の第2の側面による半導体記憶装置は、第1の方向に配線された複数のワード線と、前記第1の方向と交差する第2の方向に配線された複数のビット線と、前記複数のワード線と前記複数のビット線との交点に対応して設けられた複数のDRAMセルを備えるメモリセルアレイと、前記複数のワード線を駆動するワード線ドライバと、前記複数のワード線それぞれに接続され、前記メモリセルアレイを間に挟んで、前記ワード線ドライバに対して前記第1の方向の反対側に配置され、当該ワード線に隣接するワード線が選択されるときに導通して当該ワード線を非選択電位に接続し、当該ワード線が選択されるときに非導通となる複数のワード線電位安定化トランジスタと、を備える。
【0008】
本発明の第3の側面による半導体記憶装置は、第1の方向に配線された複数のワード線と、前記複数のワード線を駆動するワード線ドライバと、前記複数のワード線それぞれの末端に接続され、データの読み出し時に、当該ワード線に隣接するワード線が選択されるときに導通して当該ワード線を安定化電位に接続し、当該ワード線が選択されるときに非導通となる複数のワード線電位安定化トランジスタと、を備える。
本発明の第4の側面による半導体記憶装置は、
それぞれ第1の方向に延伸する複数のワード線を備え、各ワード線は第1の端部と第2の端部を含み、前記複数のワード線は前記第1の方向と交差する第2の方向に配置され、第1のエッジワード線と第2のエッジワード線と前記第1および第2のエッジワード線の間の1または2以上の中間ワード線とを含み、
前記複数のワード線のうちの対応するワード線の前記第1の端部にそれぞれ接続された複数のドライバを備え、前記複数のドライバのうちの選択されたドライバは前記複数のワード線のうちの選択されたワード線を活性レベルに駆動すると共に、前記複数のドライバの残りのドライバは前記複数のワード線の残りのワード線を非活性レベルに駆動し、
前記複数のワード線のうちの対応するワード線の前記第2の端部にそれぞれ接続された複数のトランジスタを備え、前記複数のトランジスタは、前記複数のワード線のうちの前記選択されたワード線に接続された一のトランジスタが非導通状態とされ、前記複数のワード線のうちの前記選択されたワード線に隣り合う残りのワード線の少なくとも一のワード線に接続された残りのトランジスタの少なくとも一のトランジスタが導通状態とされるように制御され、
前記複数のドライバは第1および第2のグループに分けられ、前記複数のトランジスタは第3および第4のグループに分けられ、前記第1のグループに属するドライバはそれぞれ前記複数のワード線の奇数番目のワード線に接続され、前記第2のグループに属するドライバはそれぞれ前記複数のワード線の偶数番目のワード線に接続され、前記第3のグループに属するトランジスタはそれぞれ前記複数のワード線の偶数番目のワード線に接続され、前記第4のグループに属するトランジスタはそれぞれ前記複数のワード線の奇数番目のワード線に接続され、前記第3のグループに属するトランジスタはそれぞれ前記第1のグループに属する一のドライバが前記複数のワード線のうちの対応する奇数番目のワード線を駆動する際に導通状態とされ、前記第4のグループに属するトランジスタはそれぞれ前記第2のグループに属する一のドライバが前記複数のワード線のうちの対応する偶数番目のワード線を駆動する際に導通状態とされ、
前記複数のトランジスタはそれぞれ前記複数のワード線のうちの対応するワード線と前記非活性レベルが供給されるポテンシャル線に接続され、導通状態とされると、前記非活性レベルを前記複数のワード線の対応するワード線に供給し、前記複数のワード線の残りのワード線はそれぞれ前記残りのドライバの対応するドライバと前記複数のトランジスタの対応するトランジスタにより前記非活性レベルに駆動され、
第1および第2の信号生成回路をさらに備え、前記第1の信号生成回路は第1の制御信号を生成して前記第3のグループに属するトランジスタをそれぞれ導通状態とし、前記第2の信号生成回路は第2の制御信号を生成して前記第4のグループに属するトランジスタをそれぞれ導通状態とし、
複数の付加トランジスタをさらに備え、前記複数の付加トランジスタは第5および第6のグループに分けられ、前記第5のグループに属する付加トランジスタはそれぞれ前記複数のワード線のうちの異なる2本の偶数番目のワード線の間に接続されると共に前記第1の制御信号に応じて導通状態とされ、前記第6のグループに属する付加トランジスタはそれぞれ前記複数のワード線のうちの異なる2本の奇数番目のワード線の間に接続されると共に前記第2の制御信号に応じて導通状態とされる。
本発明の第5の側面による半導体記憶装置は、
それぞれ第1の方向に延伸する複数のワード線を備え、前記複数のワード線は前記第1の方向と交差する第2の方向に配置され、奇数番目のワード線と偶数番目のワード線を含み、
前記第2の方向に延伸する複数のビット線を備え、前記複数のビット線は前記第1の方向に配置され、第1のエッジビット線と第2のエッジビット線と前記第1および第2のビット線の間の1または2以上の中間ビット線とを含み、
前記奇数番目および偶数番目のワード線の対応するワード線と前記複数のビット線の対応するビット線にそれぞれ結合される複数のメモリセルを備え、
複数の第1のドライバを含む第1のドライバアレイおよび複数の第2のドライバを含む第2のドライバアレイを備え、前記第1のドライバは前記奇数番目のワード線にそれぞれ接続される共に前記第2の方向に前記第1のエッジビット線に沿って配置され、前記第2のドライバは前記偶数番目のワード線にそれぞれ接続されると共に前記第2の方向に前記第2のエッジビット線に沿って配置され、前記第1および第2のドライバは、前記第1および第2のドライバの一のドライバが前記奇数番目および偶数番目のワード線の対応するワード線を活性レベルに駆動し、前記第1および第2のドライバの残りのドライバが前記奇数番目および偶数番目のワード線の残りのワード線をそれぞれ非活性レベルに駆動するように制御され、
前記第1のドライバアレイと前記第1のエッジビット線との間に配置され第1の制御信号がゲート端子に共通に供給される複数の第1のトランジスタを備え、前記第1の制御信号は前記複数の第1のトランジスタの一のトランジスタが前記奇数番目のワード線の対応するワード線を駆動する際に前記複数の第1のトランジスタをそれぞれ導通状態とし、前記複数の第1のトランジスタはそれぞれ前記偶数番目のワード線の対応する2本のワード線の間に接続され、前記偶数番目のワード線の前記対応する2本のワード線の一方のワード線は前記奇数番目のワード線の一のワード線に隣り合うように配置され、前記偶数番目のワード線の前記対応する2本のワード線の他方のワード線は前記奇数番目のワード線の前記一のワード線に隣り合うことなく前記奇数番目のワード線の他のワード線に隣り合うように配置され、
前記第2のドライバアレイと前記第2のエッジビット線との間に配置され第1の制御信号がゲート端子に共通に供給される複数の第2のトランジスタを備え、前記第2の制御信号は前記複数の第2のトランジスタの一のトランジスタが前記偶数番目のワード線の対応するワード線を駆動する際に前記複数の第2のトランジスタをそれぞれ導通状態とし、前記複数の第2のトランジスタはそれぞれ前記奇数番目のワード線の対応する2本のワード線の間に接続され、前記奇数番目のワード線の前記対応する2本のワード線の一方のワード線は前記偶数番目のワード線の一のワード線に隣り合うように配置され、前記奇数番目のワード線の前記対応する2本のワード線の他方のワード線は前記偶数番目のワード線の前記一のワード線に隣り合うことなく前記偶数番目のワード線の他のワード線に隣り合うように配置されている。
本発明の第6の側面による半導体記憶装置は、
それぞれ第1の方向に延伸する複数のワード線を備え、前記複数のワード線は前記第1の方向と交差する第2の方向に配置され、奇数番目のワード線と偶数番目のワード線を含み、
それぞれ前記第2の方向に延伸する複数のビット線を備え、前記複数のビット線は前記第1の方向に配置され、第1のエッジビット線と第2のエッジビット線と前記第1および第2のビット線の間に1または2以上の中間ビット線を含み、
前記奇数番目および偶数番目のワード線の対応するワード線と前記複数のビット線の対応するビット線にそれぞれ結合される複数のメモリセルを備え、
複数の第1のドライバを含む第1のドライバアレイおよび複数の第2のドライバを含む第2のドライバアレイを備え、前記第1のドライバは前記奇数番目のワード線にそれぞれ接続される共に前記第2の方向に前記第1のエッジビット線に沿って配置され、前記第2のドライバは前記偶数番目のワード線にそれぞれ接続されると共に前記第2の方向に前記第2のエッジビット線に沿って配置され、前記第1および第2のドライバは、前記第1および第2のドライバの一のドライバが前記奇数番目および偶数番目のワード線の対応するワード線を活性レベルに駆動し、前記第1および第2のドライバの残りのドライバが前記奇数番目および偶数番目のワード線の残りのワード線をそれぞれ非活性レベルに駆動するように制御され、
前記活性レベルが供給されるポテンシャル線を備え、
前記第1のドライバアレイと前記第1のエッジビット線の間に配置された複数の第1のトランジスタを備え、前記複数の第1のトランジスタはそれぞれ前記偶数番目のワード線の対応するワード線と前記ポテンシャル線の間に接続され、前記偶数番目のワード線の前記対応するワード線に隣り合う奇数番目のワード線の対応するワード線に接続されたゲート端子を有し、前記奇数番目のワード線の前記対応するワード線が前記複数の第1のドライバの対応するドライバにより前記活性レベルに駆動されると、前記偶数番目のワード線の前記対応するワード線は前記複数の第1のトランジスタおよび前記複数の第2のトランジスタの対応するトランジスタにより前記非活性レベルが供給され、
前記第2のドライバアレイと前記第2のエッジビット線の間に配置された複数の第2のトランジスタを備え、前記複数の第2のトランジスタはそれぞれ前記奇数番目のワード線の対応するワード線と前記ポテンシャル線の間に接続され、前記奇数番目のワード線の前記対応するワード線に隣り合う偶数番目のワード線の対応するワード線に接続されたゲート端子を有し、前記偶数番目のワード線の前記対応するワード線が前記複数の第2のドライバの対応するドライバにより前記活性レベルに駆動されると、前記奇数番目のワード線の前記対応するワード線は前記複数の第2のトランジスタおよび前記複数の第1のトランジスタの対応するトランジスタにより前記非活性レベルが供給される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、当該ワード線に隣接するワード線が選択されるときに導通し、当該ワード線を安定化電位に接続するワード線電位安定化トランジスタをワード線ドライバから見てワード線の末端、または、メモリセルアレイを隔ててワード線ドライバとは反対側に配置するので、ワード線間の寄生容量が相対的に大きくても非選択のワード線の電位を安定化できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施例1による半導体記憶装置のメモリセルアレイ部のブロック図である。
図2】実施例1による(a)半導体記憶装置全体のブロック図と、(b)メモリバンクの内部構成を示すブロック図である。
図3】実施例1による(a)ワード線電位安定化回路の一部の回路配置例を示すレイアウト図と(b)その等価回路図である。
図4】実施例1によるメモリセルアレイの構造を示す平面図である。
図5図4のメモリセルアレイの(a)A−A断面図と、(b)B−B断面図である。
図6】実施例1による効果を示すシミュレーション波形図である。
図7】実施例2による(a)ワード線電位安定化回路の一部の回路配置例を示すレイアウト図と(b)その等価回路図である。
図8】実施例3による(a)ワード線電位安定化回路の一部の回路配置例を示すレイアウト図と(b)その等価回路図である。
図9】実施例4によるワード線電位安定化回路の一部の回路の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態の概要について説明する。一実施形態では、ワード線ドライバにより駆動されるワード線の末端にワード線電位安定化トランジスタを設け、当該ワード線に隣接するワード線が選択されるときに当該ワード線の電位を安定化電位(非選択レベル)に接続する。ワード線ドライバは、非選択のとき、当該ワード線を非選択レベルに設定するが、ワード線間の寄生容量によって隣接する選択ワード線の電位変動の影響を受けて非選択ワード線の電位が浮き上がる。この電位の浮き上がりは、ワード線ドライバの近傍よりワード線の末端での浮き上がりが顕著になる。非選択ワード線の電位の上昇は、半導体記憶装置がDRAMの場合、セルVt性のリークが生じ、リフレッシュ特性を悪化させる。また、半導体記憶装置がSRAMの場合、動作マージンを減少させる。
【0012】
特に、メモリセルの最小寸法をFとしたときに、セルのX方向とY方向の寸法が共に2Fでありメモリセル1個当たりの面積SがS=4×Fとなる4F2構造のDRAMセルを用いたDRAMの場合、隣接するワード線(サブワード線)間に、従来のDRAMセル構造(6F2セルや8F2セル)のようなコンタクトを配置しない。隣接するワード線(サブワード線)は層間膜を介するだけでメモリセルアレイ(MAT)の長さ分並行して配線される。また、ワード線は半導体基板に形成するピラー(柱、縦型MOSトランジスタのチャネルができるところ。図4図5の71P参照。詳しくは実施例で説明。)を挟み込む構造のため、ワード線間のピッチである「2F」に対してワード線幅の割合が大きく、ワード線間の間隔が狭い(図4図5(b)のd参照)。
【0013】
このため、4F2構造のDRAMセルを用いる場合、ワード線の全容量成分における隣接ワード線とのカップル容量成分が従来セル構造に対して桁違いに大きくなる。したがって、活性ワード線に隣接する非活性ワード線は隣接するワード線の活性化時に、隣接する選択ワード線からノイズを受け非選択レベルに固定されるべきであるワード線の電位が浮いてしまう。ワード線が浮かないようにするには、ワード線の抵抗を下げることが有効であるが、ワード線の配線幅や厚さを増やすことによりワード線の抵抗を下げようとすると、却ってワード線間の寄生容量を増加させてしまう。
【0014】
この問題に対して、一実施形態の半導体記憶装置は、ワード線ドライバに接続されるワード線の末端にワード線電位安定化トランジスタを接続し、隣接するワード線が選択されるときに、ワード線電位安定化トランジスタを導通させ、当該ワード線の電位を安定化電位(非選択レベル電位)に固定する。また、ワード線電位安定化トランジスタは当該ワード線が選択されるときは非導通になるように制御される。
【0015】
以下、本発明の実施例について、図面を参照してさらに詳しく説明する。
【実施例1】
【0016】
図2(a)は、実施例1の半導体記憶装置全体のチップ配置を示すブロック図である。
図2(a)の半導体記憶装置10はDRAM(ダイナミックランダムアクセスメモリ)であり、半導体記憶装置10の全体の構成は、制御回路(CNTL)11と、入出力回路(DQC)12とメモリバンク(BANK)20とに大きく分けられる。また、それらの外側の半導体チップの周辺には、外周部13が設けられる。
【0017】
制御回路(CNTL)11には、クロック、アドレス、制御信号が半導体記憶装置10外から入力され、半導体記憶装置10全体の動作モードの決定やアドレスのプリデコード等が行われる。
【0018】
入出力回路(DQC)12は、入出力バッファ等を備え、半導体記憶装置10外部からライトデータが入力され、半導体記憶装置10外部へリードデータを出力する。
【0019】
メモリバンク(BANK)20には、図2(b)に示すように複数のメモリセルアレイ部30がマトリクス状に配置される。後で詳しく説明するようにメモリセルアレイ部30には、メモリセルアレイそのものの他、メモリセルアレイ毎に設けられるサブワード線デコーダ、サブワード線安定化回路、センスアンプ部、クロスエリア等の周辺回路が含まれる。メモリバンク20内にマトリクス状に設けるメモリセルアレイ部30の行と列の数については、必要なメモリ容量に合わせて必要なだけの数の行と列が設けられる。
【0020】
また、メモリバンク(BANK)20内のY方向(横軸方向)の外周部には、Xデコーダ(行デコーダ)及びアクセス制御回路(XDEC、ACC)21が設けられる。Xデコーダ及びアクセス制御回路21から各Y方向に配置された複数のメモリセルアレイ部30へ複数のメインワード線24が配線されている。図2(b)には、一部のメインワード線のみを図示している。Xデコーダ及びアクセス制御回路21は、外部から与えられたロウアドレスに基づいて、複数のメインワード線24の中から選択されたメインワード線を活性化する。また、メインワード線24の活性化は、アクセス制御回路の制御の基に行われる。
【0021】
また、メモリバンク(BANK)20内のX方向(縦軸方向)の外周部には、列デコーダ(YDEC)22及びメインアンプ列(MAA)23が設けられる。列デコーダ(YDEC)22は外部から与えられたカラムアドレスに基づいて、選択されたメモリバンクとの間でデータのリードライトを制御する。また、メインアンプ列は、外部からメモリセルアレイ部30にライトするデータを増幅してメモリセルアレイ部30に伝えると共に、メモリセルアレイ部30から読み出したデータを増幅して外部へ出力する。
【0022】
次に、図1を用いて、メモリセルアレイ部30の内部の構成と動作について説明する。各メモリセルアレイ部30は、メモリセルアレイ31とその周辺回路により構成される。周辺回路には、メモリセルアレイ31のY方向(横軸方向)の両脇に配置されたサブワード線ドライバ部32L、32Rと、サブワード線電位安定化回路33L、33Rと、X方向(縦軸方向)の両脇に配置されたセンスアンプ部34U、34Dが含まれる。さらに、周辺回路には、Y方向に配置されたサブワード線ドライバ部32L、32R及びサブワード線電位安定化部33L、33Rと、X方向に配置されたセンスアンプ部34U、34Dに挟まれたコーナーには、クロスエリア36が含まれる。なお、センスアンプ部34U、34Dは、マトリクス状に配置された複数のメモリセルアレイ部のうち、当該センスアンプ部を挟んでX方向に隣接して配置された他のメモリセルアレイ部と共有される。
【0023】
メモリセルアレイ31内にはY方向に複数のサブワード線SWLX、SWL0〜SWL4が配線されている。また、各サブワード線と交差するX方向には、複数のビット線Bk−2〜Bk+3が配線されている。1つのメモリセルアレイ当たりのサブワード線の数とビット線の数は、必要とするメモリ容量に合わせて決めることができる。図1には、一部のサブワード線と一部のビット線のみを図示する。
【0024】
この複数のサブワード線SWLX、SWL0〜SWL4と複数のビット線Bk−2〜Bk+3との交点には、セルトランジスタ41a〜41dとセル容量42a〜42dから構成されるDRAMセルがそれぞれ接続されている。各メモリセルトランジスタ41a〜41dのソースドレイン端の一端は、対応するビット線に接続され、ソースドレイン端の他端は、一端が基準電位に接続されたセル容量の他端に接続される。また、各メモリセルトランジスタ41a〜41dのゲートは対応するサブワード線に接続される。なお、実際には、各サブワード線SWLX、SWL0〜SWL4等と各ビット線Bk−2〜Bk+3等との各交点に対応してDRAMセルが設けられるが、図1では、サブワード線SWL1、SWL2と、ビット線Bk、Bk+1との交点にそれぞれ対応して設けられる4つのDRAMセルのみを記載し、その他のサブワード線とビット線との交点に対応して設けられるDRAMセルは記載を省略している。
【0025】
メモリセルアレイ31のY方向の両脇には、サブワード線ドライバ部32L、32Rが設けられる。メモリセルアレイ31に配線された複数のサブワード線SWLX、SWL0〜SWL4は、一本ずつ交互にサブワード線ドライバ部32Lまたは32Rに接続される。したがって、サブワード線ドライバ部32Lに接続されたサブワード線(例えばSWL2)に隣接して配置されたサブワード線(例えばSWL1とSWL3)はサブワード線ドライバ部32Lには接続されず、サブワード線ドライバ部32Rに接続される。同様に、サブワード線ドライバ部32Rに接続されたサブワード線(例えばSWL1)に隣接して配置されたサブワード線(例えばSWL0とSWL2)はサブワード線ドライバ部32Lには接続されず、サブワード線ドライバ部32Rに接続される。
【0026】
サブワード線ドライバ部32L、32Rは、それぞれサブワード線毎に設けられたサブワード線ドライバを備えている。図1には、サブワード線SWL2に接続されるサブワード線ドライバと、サブワード線SWL1に接続されるサブワード線ドライバのみを図示する。サブワード線ドライバ内部の回路構成をサブワード線SWL2に接続されたサブワード線ドライバを例に説明すると、ゲートが反転メインワード線MWLBに、ソースがサブワード選択線FX2に、ドレインがサブワード線SWL2に接続されたP型MOSトランジスタ51Lと、ゲートが反転メインワード線MWLBにソースが電源VKKにドレインがサブワード線SWL2に接続されたN型MOSトランジスタ52Lと、ゲートがサブワード選択線FX2Bにソースが電源VKKにドレインがサブワード線SWL2に接続されたN型MOSトランジスタ53Lにより構成される。なお、サブワード選択線FX2Bは、サブワード選択線FX2の反転信号である。また、反転メインワード線MWLBは選択されたときにロウレベルとなり非選択のときハイレベルとなるメインワード線である。このサブワード線ドライバは、反転メインワード線MWLBがロウレベルでサブワード選択線FX2がハイレベルのときにサブワード線SWL2を活性化してハイレベルにする。それ以外のときは、サブワード線SWL2をVKKレベルに非活性化する。なお、VKKは、外部から与えられる電源である低電源電圧VSSよりさらに低い電圧の電源(たとえば、−0.4V)であり、半導体記憶装置10の内部で生成される電源である。
【0027】
また、サブワード線ドライバ部32Rに配置されたサブワード線SWL1を駆動するサブワード線ドライバも上記サブワード線SWL2を駆動するサブワード線ドライバと同様な構成である。サブワード線ドライバ部32Lと32Rが駆動する複数のサブワード線には、それぞれサブワード線SWLX、SWL0〜SWL4等に対応してそれぞれサブワード線ドライバが設けられる。その回路構成はすべて同一であるが、各サブワード線ドライバは、反転メインワード線MWLBまたは、サブワード選択線(FX1、FX2等)のどちらの入力信号がそれぞれ異なっており、1つのメモリセルアレイ31に対して設けられた複数のサブワード線ドライバ(サブワード線ドライバ部32Lまたは32R内のサブワード線ドライバ)のうち、同時に活性化するのは、一つのサブワード線トライバであり、同時に選択されるサブワード線は、1本である。
【0028】
また、メモリセルアレイ31とサブワード線ドライバ部32L及び32Rの間には、サブワード線電位安定化回路33L、33Rが設けられている。サブワード線ドライバ32Lに一端が接続されたサブワード線の末端はメモリアレイ31を横切ってサブワード線電位安定化回路33Rまで延びており、サブワード線電位安定化回路33R内に設けられたサブワード線電位安定化トランジスタのドレインに接続されている。例えば、サブワード線ドライバ部32Lに接続されたサブワード線SWL2は、メモリセルアレイ31を横切ってサブワード線電位安定化回路33Rまで延び、サブワード線電位安定化トランジスタ54Rのドレインに接続されている。サブワード線電位安定化トランジスタ54Rのソースは、電源VKKに接続され、ゲートは、クロスエリア36に配置された安定化回路制御信号生成回路55Rが出力する制御信号PDEに接続される。サブワード線電位安定化トランジスタ54RはN型MOSトランジスタであり、制御信号PDEがハイレベルのとき、導通し、対応するサブワード線SWL2を電源VKKにプルダウンする。サブワード線電位安定化トランジスタ54Rは制御信号PDEがロウレベルのときは非導通となる。
【0029】
同様に、サブワード線ドライバ32Rに一端が接続されたサブワード線の末端はメモリアレイ31を横切ってサブワード線電位安定化回路33Lまで延びており、サブワード線電位安定化回路33L内に設けられたサブワード線電位安定化トランジスタのドレインに接続されている。例えば、サブワード線ドライバ部32Rに接続されたサブワード線SWL1は、メモリセルアレイ31を横切ってサブワード線電位安定化回路33Lまで延び、サブワード線電位安定化トランジスタ54Lのドレインに接続されている。サブワード線電位安定化トランジスタ54Lのソースは、電源VKKに接続され、ゲートは、クロスエリア36に配置された安定化回路制御信号生成回路55Lが出力する制御信号PDOに接続される。サブワード線電位安定化トランジスタ54LはN型MOSトランジスタであり、制御信号PDOがハイレベルのとき、導通し、対応するサブワード線SWL1を電源VKKにプルダウンする。サブワード線電位安定化トランジスタ54Lは制御信号PDOがロウレベルのときは非導通となる。
【0030】
メモリセルアレイ31のビット線方向(X方向)の端には、それぞれセンスアンプ部34U、34Dが設けられている。センスアンプ部34U、34Dには、それぞれ対応するビット線Bk−2〜Bk+3等に接続された複数のセンスアンプを備えている。図1では、ビット線Bk+1に接続されたセンスアンプ35Uとビット線Bkに接続されたセンスアンプ35Dのみを図示する。なお、各ビット線Bk−2〜Bk+3は1本毎に交互にビット線方向の両端に設けられたセンスアンプ部34Uと34Dに設けられたセンスアンプ(35U、35D等)に接続されている。
【0031】
センスアンプ35Uは、メモリセルアレイ31のビット線Bk+1以外にセンスアンプ部34Uを挟んでメモリセルアレイ31とは反対型に配置された別のメモリセルアレイのビット線BUにも接続されている。同様に、センスアンプ35Dは、メモリセルアレイ31のビット線Bk以外にセンスアンプ部34Dを挟んでメモリセルアレイ31とは反対型に配置された別のメモリセルアレイのビット線BDにも接続されている。
【0032】
クロスエリア36には、サブワード線電位安定化回路33L、33Rをそれぞれ制御する安定化回路制御信号生成回路55L、55Rが設けられる。安定化回路制御信号生成回路55Lは、サブワード線ドライバ部32Lに入力されるサブワード選択線(FX2等)、メインワード線等をデコードし、サブワード線ドライバ部32Lがいずれかのサブワード線を活性化するときに制御信号PDOとしてハイレベルを出力し、サブワード線ドライバ部32Lがいずれのサブワード線も活性化しないときは、制御信号PDOとしてロウレベル(VKKレベル)を出力する。すなわち、サブワード線ドライバ部32Lがいずれかのサブワード線を活性化させるときに、活性化されるサブワード線に隣接して配置されるサブワード線を含めて、サブワード線ドライバ部32Lとはメモリセルアレイ31を間に挟んで反対側に配置されているサブワード線ドライバ部32Rに接続されている複数のサブワード線(SWLX、SWL1、SWL3等)の末端を一斉にプルダウンするようにサブワード線電位安定化回路33Lを制御する。
【0033】
同様に、安定化回路制御信号生成回路55Rは、サブワード線ドライバ部32Rに入力されるサブワード選択線(FX1等)、メインワード線等をデコードし、サブワード線ドライバ部32Rがいずれかのサブワード線を活性化するときに制御信号PDEとしてハイレベルを出力し、サブワード線ドライバ部32Rがいずれのサブワード線も活性化しないときは、制御信号PDEとしてロウレベル(VKKレベル)を出力する。すなわち、サブワード線ドライバ部32Rがいずれかのサブワード線を活性化させるときに、活性化されるサブワード線に隣接して配置されるサブワード線を含めて、サブワード線ドライバ部32Rとはメモリセルアレイ31を間に挟んで反対側に配置されているサブワード線ドライバ部32Lに接続されている複数のサブワード線(SWL0、SWL2、SWL4等)の末端を一斉にプルダウンするようにサブワード線電位安定化回路33Rを制御する。
【0034】
次に、図1のメモリセルアレイ部30の動作について説明する。外部からロウアドレスが与えられる前は、メモリセルアレイ31のすべてのサブワード線は非選択となり、電源VKKと同一電圧に設定される。この状態では、メモリセルアレイ31の各メモリセルの容量に蓄えられた電荷は保持される。
【0035】
外部から与えられるロウアドレスが確定し、特定のサブワード線(たとえばSWL2)がサブワード線ドライバ部32R、32Lにより選択されたとする。そうすると選択されたサブワード線(SWL2)が活性化しハイレベルを出力する。このとき、サブワード線安定化回路を設けない場合は、活性化されるサブワード線(SWL2)に隣接するサブワード線(SWL1とSWL3)はサブワード線間の寄生容量により、選択されたサブワード線(SWL2)の活性化に伴いサブワード線の電位が浮き上がる。
【0036】
しかし、サブワード線安定化回路33L、33Rを設けることにより、サブワード線安定化回路33L、33Rは、活性化するザブワード線(SWL2)に隣接するサブワード線(SWL1、SWL3)の末端の電位をVKK電位に固定する。なお、実施例1では、サブワード線安定化回路33L、33Rの回路を簡単化するため、安定化回路制御信号生成回路55L、55Rにより、サブワード線トライバ部32Lがいずれかのサブワード線を活性化する場合には、安定化回路制御信号生成回路55Lは、制御信号PDOを活性化し、サブワード線の末端がサブワード線安定化回路33Lに接続されている複数のサブワード線を一斉にVKK電位に固定する。また、逆に、サブワード線トライバ部32Rがいずれかのサブワード線を活性化する場合には、安定化回路制御信号生成回路55Rは、制御信号PDEを活性化し、サブワード線の末端がサブワード線安定化回路33Rに接続されているサブワード線を一斉にVKK電位に固定する。上記制御によれば、活性化するサブワード線に隣接しないサブワード線の末端もVKK電位に固定されるが、元々活性化するサブワード線以外のサブワード線の電位はVKKであるので、特に問題は生じない。上記回路構成により、比較的簡単な回路の追加で、選択サブワード線に隣接する非選択サブワード線の(サブワード線ドライバから最も離れた)末端の電位を固定化する。
【0037】
図3(a)は、サブワード電位安定化回路33Lの一部の回路配置を示すレイアウト図である。また、図3(b)はその等価回路図である。図3(a)において、サブワード線SWL0〜SWL7に沿って図の範囲外の右側には、メモリセルアレイ31が配置され、図の範囲外の左側には、サブワード線ドライバ32Lが配置され、サブワード線電位安定化回路33Lは、メモリセルアレイ31とサブワード線ドライバ32Lとの間に配置されている。サブワード線SW0〜SWL7はそれぞれメモリセルアレイ31に接続される。また、順番に配線されたサブワード線SW0〜SWL7のうち、1個おきのSWL0、SWL2、SWL4、SWL6は図示しないサブワード線ドライバ32Lに接続されている。残りのサブワード線SWL1、SWL3、SWL5、SWL7はメモリセルアレイ31
を挟んで反対側に配置されるサブワード線ドライバ32Rに接続されている
【0038】
サブワード線SWL0〜SWL7と交差する方向にワード線電位安定化トランジスタ制御信号線PDOa、PDOb及び電源配線VKKが配線されている。制御信号線PDOaとPDObは、共に安定化回路制御信号生成回路55Lが出力する同電位の信号線である。また、この制御信号線PDOa、PDOb及び電源配線VKKはゲート電極と同一配線層の配線である。
【0039】
また、制御信号線PDObとサブワード線SWL1とSWL5とが交差する周辺の半導体基板の表面、制御信号線PDOaとサブワード線SWL3とSWL7とが交差する周辺の半導体基板の表面には、N型の相対的に高濃度な拡散層であるN+拡散層が形成されている。
【0040】
さらにサブワード線SWL1及びSWL5と交差する制御信号線PDObの直下には、トランジスタT1とT5のチャンネルが形成されている。同様に、サブワード線SWL3及びSWL7と交差する制御信号線PDOaの直下には、トランジスタT3とT7のチャンネルが形成されている。上記N+拡散層のうち、制御信号線PDObよりメモリセルアレイ31側の領域61Rには、トランジスタT1とT5のそれぞれドレイン領域が形成され、制御信号線PDOaと電源配線VKKに挟まれる領域61Lには、トランジスタT3とT7のそれぞれドレイン領域が形成されている。さらに、制御信号線PDOaと制御信号線PDObとの間の領域62は、トランジスタT1、T3、T5、T7のソース領域62が形成されている。ソース領域62とVKK配線は、コンタクト63と配線を介して接続されている。また、メモリセルアレイ31方向から配線されるサブワード線SWL1、SWL3、SWL5、SWL7の末端は、コンタクト63を介してそれぞれトランジスタT1、T3、T5、T7のドレインへと接続されている。なお、安定化制御信号生成回路55Lの構成によっては、制御信号線PDOa、PDObが、それぞれ別な制御信号線であってもよい。
【0041】
図4は、実施例1によるメモリセルアレイ31の一部の領域を示す平面図であり、図5(a)はそのA−A断面図であり、図5(b)はそのB−B断面図である。実施例1のDRAMセルの構造について、図4図5を用いて説明する。P型半導体基板71に、埋め込みビット線73が形成されている。埋め込みビット線73は熱酸化膜74によりP型半導体基板71とは絶縁して形成されている。P型半導体基板の表面には一部が突出した半導体ピラーが設けられ、その先端は図示しない容量電極へと接続されている。また、埋め込みビット線73と半導体ピラー71Pとの間にはシリサイドからなる埋め込みビット線接続部77が設けられ、半導体ピラー71Pを対応する埋め込みビット線73に接続している。埋め込みビット線の表面にはHDPからなる絶縁膜78が形成されている。さらに、絶縁膜78のさらに上部の半導体ピラー71Pの側壁にはゲート酸化膜を隔ててセルトランジスタのゲート電極となるサブワード線79U、79Dが配線されている。
【0042】
上記DRAMセルは、ビット線間及びワード線間が最小間隔2Fで配置することが可能ないわゆる4F2セルの構造である。上記構成によれば、各半導体ピラーの側壁に形成されるサブワード線79U、79Dは短い間隔を置いて(図4図5(b)のdを参照。)並走するので、サブワード線間にセルコンタクトを配置する従来の6F2セルや8F2セルのレイアウト構造と比べるサブワード線間の距離は小さい。したがって、サブワード線間の寄生容量が大きくなることは避けられない。たとえば、表1に示すように、6F2セルを用いたレイアウトでは、サブワード線の寄生容量全体のうちで隣接するサブワード線との寄生容量の比率が1%以下であるのに対して、実施例1のように4F2セルを用いたレイアウトでは、サブワード線の寄生容量全体のうちで隣接するサブワード線との寄生容量の比率が15〜20%にも及ぶ。
【0043】
【表1】
【0044】
したがって、実施例1のように4F2構造のDRAMセルを用いてレイアウトする場合には、面積が小さくなる4F2セルを用いるレイアウトの利点を生かしたまま、隣接するサブワード線による影響を効果的に抑制する効果が得られる。
【0045】
次に実施例1の効果について説明する。図6は、図4図5のような4F2のDRAMセルを用いた場合において、サブワード線電位安定化トランジスタを設けない場合と、実施例1のようにサブワード線電位安定化トランジスタを設けた場合の選択サブワード線に隣接するサブワード線電位のシミュレーション波形の比較図である。図6に示すとおり、安定化トランジスタを設けない場合は、選択サブワード線が活性化すると、選択サブワード線に隣接する非選択サブワード線の電位は、ピーク値で約254mV、VKK電位(−0.4V)から浮き上がる。それに対して、実施例1のようにサブワード線電位安定化トランジスタを設けることにより、選択サブワード線に隣接する非選択サブワード線の電位のVKK電位からの浮き上がりを、ピーク値で約109mVに抑えることができる。これにより、非選択ワード線の浮き上がりによるセル容量のリーク電流を抑制することができ、メモリセルのデータ保持時間、リフレッシュ特性を改善することができる。
【0046】
なお、実施例1では、半導体記憶装置10の内部に複数のメモリバンク20を設け、各メモリバンクがマトリクス状に構成された複数のメモリセルアレイ部30により構成されている記憶容量の大きな半導体記憶装置の例を示したが、たとえば、全体でメモリセルアレイが一つしかない小容量の半導体記憶装置に適用することも可能である。その場合、メモリセルアレイ毎にメインワード線をサブワード線に分割する必要はないので、実施例1のサブワード線をそのままワード線に適用することができる。
【実施例2】
【0047】
図7は、実施例2による半導体記憶装置の(a)ワード線電位安定化回路の一部の回路配置例を示すレイアウト図と(b)その等価回路図である。実施例2の半導体記憶装置の構成は、サブワード線電位安定化回路の内部構成とレイアウトを除いては、実施例1の構成と同一であるので、実施例1と異なる部分のみを説明し、実施例1とほぼ同一である部分について、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0048】
図7に示す実施例2の半導体記憶装置では、制御信号線PDOb(ゲート電極と同一配線層の配線)がドレイン領域61Rのサブワード線SWL3の下まで延びており、サブワード線SWL1に接続されたトランジスタT1のドレイン領域とサブワード線SWL5に接続されたトランジスタT5のドレイン領域との間に新たに設けたN型MOSトランジスタT15のチャンネルが形成されている。
【0049】
同様に、制御信号線PDOaのゲート電極と同一配線層の配線がドレイン領域61Lのサブワード線SWL4とSWL6との間の領域まで延びており、サブワード線SWL3に接続されたトランジスタT3のドレイン領域とサブワード線SWL7に接続されたトランジスタT7のドレイン領域との間に新たに設けたN型MOSトランジスタT37のチャンネルが形成されている。
【0050】
上記実施例2によれば、特定のサブワード線(例えばSWL2)が活性化するときに、その特定のサブワード線(SWL2)に隣接するサブワード線(SWL1とSWL3)はいずれも特定のサブワード線(SWL2)に隣接しないサブワード線(SWL5とSWL7)とサブワード線電位安定化トランジスタ(T15、T37)により接続されるので、選択サブワード線に隣接するサブワード線の電位を非選択電位により安定化させることができる。また、実施例1の図3と実施例2の図7を比較して理解できるように、実施例1に対して、サブワード線電位安定化トランジスタT15、T37がさらに追加になっているが、サブワード線電位安定化トランジスタT15、T37の追加によるレイアウト面積の増加はない。
【実施例3】
【0051】
図8は、実施例3による半導体記憶装置の(a)ワード線電位安定化回路の一部の回路配置例を示すレイアウト図と(b)その等価回路図である。実施例3の半導体記憶装置の構成は、サブワード線電位安定化回路の内部構成とレイアウトを除いては、実施例1の構成と同一であるので、実施例1と異なる部分のみを説明し、実施例1とほぼ同一である部分について、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0052】
実施例1では、各サブワード線電位安定化トランジスタT1、T3、T5、T7は、対応するサブワード線(SWL1、SWL3、SWL5、SWL7)を電源VKKに接続していた。それに対して実施例3のサブワード線電位安定化トランジスタT3U、T15、T37、T5Dは、選択サブワード線に隣接する非選択のサブワード線を選択サブワード線に隣接しない他のザブワード線に接続している。そのように接続することによりサブワード線電位安定化回路33L、33Rへの電源VKKの配線を不要としている。図8(a)に示すように、図3(a)と対比して電源VKKの配線が不要になった分、サブワード線電位安定化回路33L、33Rのレイアウト面積を小さくすることができる。
【0053】
実施例3では、例えば、サブワード線ドライバ部32Lがいずれかのサブワード線を選択して活性化させる場合は、クロスエリア36に配置された安定化制御信号生成回路55Lは、制御信号線PDOを活性化させる。制御信号線PDOが活性化されると、図8(b)のサブワード線電位安定化トランジスタT3U、T37、T15、T5Dはいずれも導通する。
【0054】
例えば、サブワード線ドライバ部32Lがサブワード線SWL4を選択した場合、サブワード線SWL4に隣接するサブワード線SWL3は、サブワード線電位安定化トランジスタT3U、T37が導通することにより、サブワード線SWL3をサブワード線SWL4に隣接しないサブワード線SWL7および図示しない非選択サブワード線に接続する。非選択サブワード線のサブワード線ドライバ部32Rはサブワード線を電源電圧VKKに接続しているので、サブワード線SWL3は安定化電位(電源VKKの電位)に固定される。同様に選択サブワード線SWL4に隣接するもう一つのサブワード線SWL5もサブワード線電位安定化トランジスタT15、T5Dにより安定化電位(電源VKKの電位)に固定される。
【0055】
以上、述べたように実施例3では、実施例1と同様な効果を実施例1よりレイアウト面積が小さくできる回路で実現できる。
【実施例4】
【0056】
図9は、実施例4によるワード線電位安定化回路の一部の回路の構成を示すブロック図である。実施例1乃至3では、ワード線電位安定化回路を制御する制御信号線(PDO、PDE等)をクロスエリア36(図1参照)に配置した安定化回路制御信号生成回路55L、55Rによりサブワード選択線等をデコードすることにより生成していた。しかし、クロスエリア36の大きさは、ワードドライバのレイアウト幅とセンスアンプのレイアウト幅によって決定される。クロスエリア36には、安定化回路制御信号生成回路55L、55R以外にも他の回路を配置する必要があり、安定化回路制御信号生成回路55L、55Rを配置する余裕がない場合もある。実施例4は隣接するサブワード線によりワード線電位安定化トランジスタ(図9のT1、T3参照)の導通、非導通を直接制御する。このような回路構成を取ることにより、サブワード線ドライバ、サブワード線電位安定化回路全体のレイアウト面積をさらに小さなものとすることができる。
【0057】
なお、実施例4でも実施例2、3と同様にサブワード線電位安定化トランジスタにより選択サブワード線に隣接するサブワード線を選択サブワード線に隣接しない非選択サブワード線に接続する構成としたり、サブワード線電位安定化回路を電源VKKを用いない構成とすることもできる。
【0058】
なお、本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素の多様な組み合わせ乃至選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、大容量のDRAMに用いることができるだけでなく、比較的少容量のDRAMやSRAM等の半導体記憶装置にも用いることができる。特に、図4図5に示した4F2タイプのDRAMセルは、本発明の効果が得られるメモリセルの構造の一例を示したものに過ぎず、ワード線間の寄生容量が相対的に大きくなる半導体記憶装置に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0060】
10:半導体記憶装置
11:制御回路(CNTL)
12:入出力回路(DQC)
13:外周部
20:メモリバンク(BANK)
21:Xデコーダ、アクセス制御回路(XDEC、ACC)
22:列デコーダ(YDEC)
23:メインアンプ列(MAA)
24:メインワード線
30:メモリセルアレイ部(ARY)
31:メモリセルアレイ
32L、32R:[サブ]ワード線ドライバ部
33L、33R:[サブ]ワード線電位安定化回路
34U、34D:センスアンプ部
35U、35D:センスアンプ
36:クロスエリア
41a〜41d:セルトランジスタ
42a〜42d:セル容量
51L、51R:トランジスタ(N型MOSトランジスタ)
52L、52R、53L、53R:トランジスタ(P型MOSトランジスタ)
55L、55R:安定化回路制御信号生成回路
54L、54R、T1〜T7、T15、T37、T3U、T5D:ワード線電位安定化トランジスタ(N型MOSトランジスタ)
61L、61R:ドレイン領域(ドレイン拡散層、N+領域)
62:ソース領域(ソース拡散層、N+領域)
63:コンタクト
71:P型半導体基板(P型ウェル)
71P:半導体ピラー(P型半導体基板突出部)
73:埋め込みビット線
74:ゲート酸化膜(熱酸化膜)
75:層間膜
77:埋込ビット線接続部(シリサイド層)
78:絶縁膜
79U、79D、SWLX、SWL0〜SW7:[サブ]ワード線
Bk−2〜Bk〜Bk+3:ビット線
PDO、PDE:ワード線電位安定化トランジスタ制御線
FX1、FX1B、FX2、FX2B:サブワード選択線
MWLB:[反転]メインワード線
VBB:基板電位
VKK:サブワード線ドライバ及びワード線電位安定化トランジスタ電源電圧
VPP:昇圧電圧
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9