特許第5690104号(P5690104)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5690104
(24)【登録日】2015年2月6日
(45)【発行日】2015年3月25日
(54)【発明の名称】ガスコンロ
(51)【国際特許分類】
   F24C 3/08 20060101AFI20150305BHJP
   F24C 3/02 20060101ALI20150305BHJP
【FI】
   F24C3/08 R
   F24C3/02 J
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2010-208421(P2010-208421)
(22)【出願日】2010年9月16日
(65)【公開番号】特開2012-63093(P2012-63093A)
(43)【公開日】2012年3月29日
【審査請求日】2013年8月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】301071893
【氏名又は名称】株式会社ハーマン
(74)【代理人】
【識別番号】100087767
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 惠清
(74)【代理人】
【識別番号】100155745
【弁理士】
【氏名又は名称】水尻 勝久
(74)【代理人】
【識別番号】100143465
【弁理士】
【氏名又は名称】竹尾 由重
(74)【代理人】
【識別番号】100155756
【弁理士】
【氏名又は名称】坂口 武
(74)【代理人】
【識別番号】100161883
【弁理士】
【氏名又は名称】北出 英敏
(74)【代理人】
【識別番号】100167830
【弁理士】
【氏名又は名称】仲石 晴樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136696
【弁理士】
【氏名又は名称】時岡 恭平
(74)【代理人】
【識別番号】100162248
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 豊
(72)【発明者】
【氏名】作田 寛和
(72)【発明者】
【氏名】福田 孝之
【審査官】 長浜 義憲
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−281062(JP,A)
【文献】 特開平09−273719(JP,A)
【文献】 特開2008−267674(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 3/08
F24C 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナ本体の炎孔が形成される部分の下方に混合室が形成されると共に、前記混合室から側方に突出するように混合管が連通接続されるコンロバーナと、ガス導管と、をコンロ本体内に備え、前記コンロ本体に固定された前記ガス導管の先端のガスノズルが空気供給用間隙を介して前記混合管の流入開口内に挿入されるように前記バーナ本体を前記コンロ本体に固定するガスコンロであって、前記コンロ本体における前記ガスノズルの噴射方向に隔たる二箇所のうちの噴射方向上流側であって且つ前記ガスノズルの下流端よりも上流側の箇所に、前記混合管における前記混合室からの突出方向に隔たる二箇所のうちの先端側の箇所の上面が下方より当接して前記混合管の上方への移動を規制する上方向規制部を設け、前記コンロ本体の前記二箇所のうちの噴射方向下流側の箇所に、前記混合管の前記二箇所のうちの基端側の箇所の下面が上方より当接して前記混合管の下方への移動を規制する下方向規制部を設けて成ることを特徴とするガスコンロ。
【請求項2】
複数の前記混合管を複数の異なるピッチで設けることが可能なように、各ピッチで用いられる前記複数の混合管に対応する上方向規制部及び下方向規制部を全ピッチ分形成したバーナ固定具を備えて成ることを特徴とする請求項1記載のガスコンロ。
【請求項3】
上方向規制部は、上方向当接部の上側にのみ存在してガス導管の上側の部分は欠損するように形成されることを特徴とする請求項1又は2記載のガスコンロ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスコンロに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のガスコンロは、コンロバーナがその混合室や混合管から略水平に連設される平坦部を備え、混合管が突出されていない側の平坦部は、コンロ本体に固定される取付金具を介して取り付けられる。取付金具には、上方に起立するガイドが設けられており、コンロバーナの平坦部に形成された上下に貫通する孔に前記ガイドが挿入される。また混合管の先端は、前述した取付金具のような部材により固定されるのではなく、ガス供給管の先端に設けられた流量調節部により支持されているだけである(例えば特許文献1参照)。
【0003】
そのため、天板上に露出するバーナ本体やバーナキャップに外部からの力が作用して、取付金具近傍を中心として混合管に回転力がかかってしまうと、流量調節部やガス供給管に上下方向の力が作用する惧れがあるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−14569公報(第2頁、図3乃至図5
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、天板上に露出するバーナ本体やバーナキャップに外部からの力が作用して、取付金具近傍を中心とする回転力が混合管にかかっても混合管が回転しないように、混合管の先端近傍の平坦部を、上述した取付金具を介してコンロ本体に固定することが考えられるが、この場合、以下のように支障をきたすものであった。
【0006】
すなわち、コンロバーナの平坦部に形成した孔に取付金具のガイドを挿入する必要があるが、その際、コンロバーナを上から略真下方向に下降させる必要がある。しかしながら、混合管の先端の空気の流入開口には、横方向にガス供給管の先端が挿入される必要があり、コンロバーナを上から略真下方向に下降させるとガス供給管と混合管とが干渉してしまうため、コンロバーナを上から略真下方向に下降させて取り付けることはできないものであった。
【0007】
本発明は上記従来の問題点に鑑みて発明したものであって、その目的とするところは、混合管の流入開口にガス導管を挿入し易いと共に、混合管の先端が上下に移動するのを規制することができるガスコンロを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、バーナ本体1の炎孔13が形成される部分の下方に混合室11が形成されると共に、前記混合室11から側方に突出するように混合管12が連通接続されるコンロバーナBと、ガス導管3と、をコンロ本体2内に備え、前記コンロ本体2に固定された前記ガス導管3の先端のガスノズル30が空気供給用間隙を介して前記混合管12の流入開口12b内に挿入されるように前記バーナ本体1を前記コンロ本体2に固定するガスコンロであって、前記コンロ本体2における前記ガスノズル30の噴射方向に隔たる二箇所のうちの噴射方向上流側であって且つ前記ガスノズル30の下流端よりも上流側の箇所に、前記混合管12における前記混合室11からの突出方向に隔たる二箇所のうちの先端側の箇所の上面14が下方より当接して前記混合管12の上方への移動を規制する上方向規制部61を設け、前記コンロ本体2の前記二箇所のうちの噴射方向下流側の箇所に、前記混合管12の前記二箇所のうちの基端側の箇所の下面15が上方より当接して前記混合管12の下方への移動を規制する下方向規制部62を設けて成ることを特徴とする。
【0009】
これにより、混合管12の先端が下側となるように傾けながら、混合管12の先端を、ガスノズル30の噴出方向下流側から上流側に向けてガス導管3の下側に挿入し、流入開口12b内にガスノズル30を挿入させて、混合管12の先端を上方向規制部61の下側に位置させ、混合管12が水平となる方向に回動し、上方向当接部14を上方向規制部61に当接させると共に、下方向当接部15を下方向規制部62に当接させることができるため、混合管12の先端の流入開口12bに横方向からガス導管3を挿入し易いと共に、混合管12が上下に移動するのを規制することができる。
【0010】
また請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、複数の前記混合管12を複数の異なるピッチで設けることが可能なように、各ピッチで用いられる前記複数の混合管12に対応する上方向規制部61及び下方向規制部62を全ピッチ分形成したバーナ固定具6を備えて成ることを特徴とする。
【0011】
これにより、混合管12の複数種類のピッチに対応する上方向規制部61及び下方向規制部62を、同一のバーナ固定具6を取り付けるだけで形成することができ、バーナ固定具6を製造するための金型が共用できてコスト低減を図ることができる。
【0012】
また請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る発明において、上方向規制部61は、上方向当接部14の上側にのみ存在してガス導管3の上側の部分は欠損するように形成されることを特徴とする。
【0013】
これにより、ガス導管3と上方向規制部61とが干渉しないため、取り付けの際に邪魔になることがない。
【発明の効果】
【0014】
本発明においては、バーナ本体のコンロ本体への装着を容易に行うことができ、かつ、バーナ本体をコンロ本体に堅固に固定でき、天板上に露出するバーナ本体のバーナキャップ載置部やバーナキャップに外部から種々の力が作用した場合でも、バーナ本体がずれるなどの不都合が生じない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態のガスコンロの全体斜視図である。
図2】同上のガスコンロ(第1位置機種)の天板及び向かって右側のコンロバーナを除いた斜視図である。
図3】同上のガスコンロの燃料ガスの流路構成を示す説明図である。
図4】同上のコンロバーナを示し、(a)はバーナ本体を上方より見た斜視図であり、(b)はバーナキャップを上方より見た斜視図であり、(c)はバーナキャップを下方より見た斜視図である。
図5】同上においてコンロバーナをコンロ本体へ取り付ける前の状態を上斜め後方より見た要部斜視図である。
図6】同上においてコンロバーナをコンロ本体へ取り付けた後の状態を上斜め後方より見た要部斜視図である。
図7】同上においてコンロバーナをコンロ本体へ取り付けた後の状態を上斜め前方より見た要部斜視図である。
図8】バーナ固定具を示し、(a)は平面図であり、(b)は正面図であり、(c)は背面図である。
図9】第2位置機種のガスコンロの天板及び向かって右側のコンロバーナを除いた斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。本実施形態においては、ガスコンロとして一般的に広く利用されているグリル付きコンロについて説明するが、グリルを備えていないガスコンロであってもよい。また、キッチンカウンターにビルトインされるもの、されないもののいずれであってもよい。
【0017】
ガスコンロは、図1図2に示すように、少なくとも上方に開口する箱状をした筐体からなるコンロ本体2と、コンロ本体2の上方への開口を閉塞しガスコンロの天面部となるガラス製の天板20と、で外殻が構成される。
【0018】
天板20にはコンロバーナBを備えた加熱部が複数設けてある。図1に示す実施形態では、手前の左側の高火力コンロバーナB1、中央の奥の小火力コンロバーナB2、手前の右側の高火力コンロバーナB3をそれぞれ備えた計三個の加熱部が設けてある。コンロバーナBについては後述する。
【0019】
ガスコンロ内にはグリルバーナを備えたグリル庫が設けてあり、グリル庫の前開口は、ガスコンロの前面に設けたグリル扉21によって開閉自在に閉塞される。
【0020】
ガスコンロの前面部を構成する前面パネル22には、各加熱部を操作するための操作部23が設けてある。便宜上、前面パネル22が設けられている方を前方とし、左右はそれぞれ前方より後方を見た時の左右とする。
【0021】
各操作部23は、対応するコンロバーナBの点火及び消火の切り替えや火力調節を指令するものであり、これを受けて制御部が各コンロバーナBの点消火の切り替えや火力調節を行うと共に、コンロバーナB毎に、調理タイマーモード、湯沸しモード、炊飯モード等の自動調理モードを設定できるようになっている。
【0022】
制御部は、マイクロコンピュータからなるもので、各バーナ(コンロバーナB、グリルバーナ)に設けてある燃焼検出手段としての熱電対43(図3参照)の起電力が入力され、制御部は入力された起電力が所定値(例えば3.5mV)以上になったときに、燃焼を認識する。
【0023】
図3に示すように、都市ガス等の燃料ガスを供給するガス供給路4から、各コンロバーナB及びグリルバーナに燃料を供給するためのガス導管3が分岐されている。
【0024】
各ガス導管3には、通電により開弁が保持され、通電が止まると閉弁する元電磁弁41が設けられると共に、通過する燃料の量を制御する流量制御弁42と、前記流量制御弁42を駆動する駆動手段が設けられる。駆動手段としては、開度位置の微調整が可能なステッピングモータが好適に用いられるが、特に限定されない。また各ガス導管3には、先端にシール材を介してガスノズル30が螺着等により設けられる。
【0025】
操作部23を操作して制御部に点火の指令を送ると、指令を受けた制御部は、ガス導管3の元電磁弁41を開き、且つ任意のコンロバーナB又はグリルバーナに対応する流量制御弁42を所定開度で開くと共に点火プラグ45をスパークさせ、コンロバーナB又はグリルバーナを点火する。これにより、コンロバーナBの炎により加熱部上に載置した被加熱物を加熱したり、グリルバーナの炎によりグリル庫内の肉や魚を焼くことができる。
【0026】
コンロバーナBについて図2図4等に基づいて説明する。コンロバーナBは、バーナ本体1内に形成される略円環状をした混合室11の上にバーナキャップ10を着脱自在に載置して主体が構成されている。バーナ本体1は、本実施形態では、SUS鋼板を絞り加工して、外筒と内筒とその間の底部とで囲まれる平面視略円環状をした空間(この上に載置されるバーナキャップ10により閉塞されて混合室11となる)を形成してあるが、バーナ本体1をアルミダイキャストや一般的な鋳造により形成してもよい。
【0027】
図4に示すように、バーナキャップ10は、下面に放射状に複数の炎孔用溝10aを凹設してあり、バーナキャップ10をバーナ本体1の上端のバーナキャップ載置部上に載置することにより、バーナ本体1の上端面と炎孔用溝10aとで囲まれる炎孔13(図2等参照)が形成されるようになっている。炎孔13には、炎孔13の周囲の空気が燃焼用の二次空気として供給される他、バーナ本体1の中央の透孔を通っても燃焼用の二次空気が供給されるようになっている。
【0028】
このコンロバーナBは、天板20に形成された開口を介して天板20上に露出させてあり、バーナ本体1と天板20の前記開口縁との間に円環状のバーナリングR(図1参照)が介装してあり、天板20から煮汁等が下に落ちるのを防止している。コンロバーナBは、加熱部に載置される被加熱物としての調理用鍋の鍋底に当接して温度を検知する温度センサ46を具備しており、バーナ本体1の中央の透孔から上方に露出している。
【0029】
バーナ本体1は、混合管12を一体的に有するものである。本実施形態では、混合室11を形成する外筒から管本体12aを突出すると共に、混合室11の側面及び管本体12aの長手方向略全長に亘る両側面から略水平な板状をした平坦片16を連設し、更に、該平坦片16から管本体12aよりも先端側に別部材からなる略水平な板状をした平坦部材50をかしめや溶接等により固定して一体的に延設し、平坦片16と平坦部材50とで概ね連続する平坦部5を構成している。なお、本実施形態のように平坦片16と該平坦片16とは別の平坦部材50をかしめや溶接により固定して一体的な平坦部5を構成するのではなく、一部材で平坦部5を形成してもよい。
【0030】
管本体12aの先端(上流端)には、流入開口12b(図5参照)が形成され、この流入開口12bに一次空気が挿通可能な空気供給用間隙12c(図6参照)をあけてガスノズル30が挿入される。平坦部材50は、管本体12aよりも先端側に位置しているが、前記流入開口12bに対応する箇所から管本体12aの上流側に、ガス導管3が没入可能なようにガス導管3の径と略同径かあるいは若干大きい径のガス導管没入用凹溝51が形成してある。更に、ガス導管没入用凹溝51には、長手方向(没入されるガス導管3の長手方向)の一部に周方向に長い長穴状の開口52が形成してあり、ガス導管没入用凹溝51と長穴状の開口52とでガス導管固定部が構成される。また、図2図5に示すように、ガス導管3の流れ方向の一部の周方向に前記長穴状の開口52に嵌入される位置決め用突条31が形成されている。
【0031】
コンロ本体2には、図5図6に示すように、バーナ本体1の混合管12を支持して固定するバーナ固定具6と、バーナ本体1の混合室11を支持して固定するバーナ受け桟7とが設けられる。
【0032】
バーナ固定具6は、図8に示すように、固定具本体60と、該固定具本体60に設けられる、混合管12の上方への移動を規制する上方向規制部61と、混合管12の下方への移動を規制する下方向規制部62と、を備えている。固定具本体60は、コンロ本体2にかしめや溶接やビス留め等により固定されるもので、本実施形態ではコンロ本体2をなす筐体の対向する内側面に架設されている。上方向規制部61と下方向規制部62は、コンロ本体2においてガスノズル30の噴射方向に隔たる二箇所に設けられるもので、上方向規制部61は、前記二箇所のうちの噴射方向上流側の箇所に設けられ、下方向規制部62は、前記二箇所のうちの噴射方向下流側の箇所に設けられる。本実施形態では、固定具本体60から上方に立設片63が突設されると共に、立設片63から側方に当接片64が連設され、この当接片64の下面が上方向規制部61となる。また、固定具本体60から上方に立設片65が突設され、この立設片65の上面が下方向規制部62となる。上方向規制部61と下方向規制部62は、混合管12の前記混合室11からの突出方向に隔たる二箇所にそれぞれ当接するもので、本実施形態では、前記二箇所のうち突出方向先端側の箇所の上面14である上方向当接部(以下、上方向当接部14とする)が上方向規制部61に当接し、前記二箇所のうち突出方向基端側の箇所の下面15である下方向当接部(以下、下方向当接部15とする)が下方向規制部62に当接する。また、図4乃至図6に示すように、平坦部5(本実施形態では平坦部材50)の上方向当接部14の側方の角部には切欠53が形成されている。
【0033】
バーナ受け桟7は、コンロ本体2にかしめや溶接やビス留め等により固定されるもので、本実施形態ではコンロ本体2をなす筐体の対向する内側面に架設されている。そして、混合室11がバーナ受け桟7に支持されて固定されるもので、固定は、図6に示すように、混合室11の側面から連設される平坦片16の混合室11の両側の所定位置に形成された二つのねじ挿通孔17にそれぞれねじ部材18を挿通してバーナ受け桟7に形成された螺着孔71(図5参照)に螺着するものである。この時、点火プラグ45及び温度センサ46が取り付けられる取付金具81をバーナ受け桟7と平坦片16との間に挟持して固定する。また、熱電対43が取り付けられる取付金具82をかしめや溶接等により平坦片16に固定する。
【0034】
本実施形態では、バーナ固定具6は、三個のコンロバーナBのうち、両側の二個のコンロバーナB(高火力コンロバーナB1、B3)を固定するようになっており、この二個のコンロバーナBそれぞれに対応する上方向規制部61及び下方向規制部62が設けられる。この二個のコンロバーナBは第1のピッチ(混合管12の中心間距離の300mm)又は第2のピッチ(混合管12の中心間距離の350mm)のいずれかのピッチで設けられるようになっており、バーナ固定具6における上方向規制部61及び下方向規制部62は前記第1のピッチ及び第2のピッチで設けられる。便宜上、二個のコンロバーナBが第1のピッチで設けられる機種を第1位置機種とすると共に、第2のピッチで設けられる機種を第2位置機種とし、図2に示すように、第1位置機種用の上方向規制部61a及び下方向規制部62aが第1のピッチで、第2位置機種用の上方向規制部61b及び下方向規制部62bが第2のピッチで、それぞれ設けられる。また、図4に示すように、第1位置機種用の上方向当接部14a及び下方向当接部15a、第2位置機種用の上方向当接部14b及び下方向当接部(図示せず)がそれぞれ設けられる。
【0035】
以下、第1位置機種におけるコンロバーナBのコンロ本体2への取り付けについて図5乃至図7に基づいて説明する。コンロ本体2には、コンロバーナBの取り付けに先立って、上述したバーナ固定具6、バーナ受け桟7、ガス導管3が所定位置に取り付けられる。
【0036】
そして、コンロバーナBを組み込んで固定するには、まず、図5に示すように、混合管12の先端(本実施形態では平坦部材50の上方向当接部14a側の端部)が下側となるように傾けながら、混合管12の先端を、ガスノズル30の噴出方向下流側から上流側に向けてガス導管3の下側に挿入する。そして、混合管12の先端を当接片64の下側に位置させ、切欠53の端縁を当接片64に当接させ、この部分を中心軸として回動させて、図6図7に示すように、ガス導管3をガス導管没入用凹溝51に没入させると共に長穴状の開口52に位置決め用突条31を嵌入させ、上方向当接部14aを上方向規制部61aに当接させ、下方向当接部15aを下方向規制部62aに当接させる。この状態において、混合管12の上方への移動及び下方への移動が規制される。ガス導管3は、ガス導管没入用凹溝51に没入するため、ガス導管3の平坦部5に対する左右方向への相対的な移動が規制され、位置決め用突条31が長穴状の開口52に嵌入するため、ガス導管3の平坦部5に対する前後方向への相対的な移動が規制される。
【0037】
なお、図8に示すように、バーナ固定具6の第1位置機種用の上方向規制部61aと第2位置機種用の上方向規制部61bとの間であれば、バーナ本体1は左右方向に移動可能である。
【0038】
そして、ねじ挿通孔17にねじ部材18を挿通してバーナ受け桟7に形成された螺着孔71に螺着し、平坦部5をバーナ受け桟7に固定する。またガス導管3は、平坦部5に帯状金属板や金属線材等の固定バンド(図示せず)により固定することで、平坦部5に対する上方向への相対的な移動が規制される。また、ガスノズル30は、混合管12の流入開口12bに空気供給用間隙12cをあけて挿入された状態となる。
【0039】
以下、天板20上に露出したバーナ本体1に力が作用する場合について説明する。
(1)天板20上に露出したバーナ本体1に左右方向の力が作用した場合、バーナ本体1の平坦部5の混合室11の左右両側の二箇所がねじ部材18により固定されているため、バーナ本体1は動かずその位置が維持される。
(2)天板20上に露出したバーナ本体1に前後方向の力が作用した場合、バーナ本体1の平坦部5のねじ部材18により固定されている二箇所を中心として、天板20上に露出したバーナ本体1を前倒し、又は、後倒しに回動させようとするモーメントが生じるが、前倒しに回動させようとするモーメントが生じても上方向規制部61によりバーナ本体1の平坦部5の上側への移動が規制されているからバーナ本体1は動かずその位置が維持され、また、後倒しに回動させようとするモーメントが生じても下方向規制部62によりバーナ本体1の平坦部5の下側への移動が規制されているからバーナ本体1は動かずその位置が維持される。
(3)天板20上に露出したバーナ本体1に平面視における回動力が作用した場合、バーナ本体1の平坦部5の混合室11の左右両側の二箇所がねじ部材18により固定されているため、バーナ本体1は動かずその位置が維持される。
【0040】
また本実施形態では、図6図7に示すように、上方向規制部61aは、上方向当接部14aの上側にのみ存在してガス導管3の上側の部分は欠損するように構成されているため、ガス導管3と上方向規制部61とが干渉しないため、ガス導管3や上方向規制部61(すなわちバーナ固定具6)をコンロ本体2に取り付ける際に邪魔になることがない。
【0041】
また、図9に示す第2位置機種の場合も、上記第1位置機種用の上方向当接部14a、下方向当接部15a、上方向規制部61a、下方向規制部62aの代わりにそれぞれ第2位置機種用の上方向当接部14b、下方向当接部15b、上方向規制部61b、下方向規制部62bを用いることで、第1位置機種の場合と同様に取り付けることができる。
【0042】
なお、本実施形態においては、混合管12のピッチは第1位置機種では300mm、第2位置機種では350mmであるが、特に数値は限定されないものである。また、ピッチの種類が2種類以上あってもよい。このように、混合管12を複数の異なるピッチで設けることが可能なように、各ピッチの場合に用いられる上方向規制部61及び下方向規制部62をバーナ固定具6に全ピッチ分形成することで、一種類のバーナ固定具6を製造すれば全ピッチに対応することができて、バーナ固定具6を製造するための金型が共用できてコスト低減を図ることができる。
【0043】
また、本実施形態においては左右の高火力コンロバーナB1、B3は、ガス燃料の上流側が背方、下流側が前方となり、中央の小火力コンロバーナB2は、ガス燃料の上流側が前方、下流側が背方となっているが、向きは特に限定されず、斜めに配置されていてもよい。
【0044】
上記構成とすることで、混合管12の先端の流入開口12bに横方向からガス導管3を挿入し易いと共に、混合管12が上下に移動するのを規制することができる。これにより、バーナ本体1のコンロ本体2への装着を容易に行うことができ、かつ、バーナ本体1をコンロ本体2に堅固に固定でき、天板20上に露出するバーナ本体1のバーナキャップ載置部やバーナキャップ10に外部から種々の力が作用した場合でも、バーナ本体1がコンロ本体2に対してずれるなどの不都合が生じない。
【符号の説明】
【0045】
1 バーナ本体
10 バーナキャップ
11 混合室
12 混合管
12a 管本体
12b 流入開口
13 炎孔
14 上方向当接部
15 下方向当接部
16 平坦片
2 コンロ本体
3 ガス導管
30 ガスノズル
31 位置決め用突条
43 熱電対
45 点火プラグ
46 温度センサ
5 平坦部
50 平坦部材
6 バーナ固定具
60 固定具本体
61 上方向規制部
62 下方向規制部
7 バーナ受け桟
B コンロバーナ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9