(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
公共交通機関である鉄道等の駅の施設内に設置されている券売機や精算機等の端末機械では、公共交通利用者による操作上の不具合やその他の問題が生じたときには駅係員を呼び出すための呼出ボタンが備えられている。この呼出ボタンは、通常、端末機械の正面部に設けられているが、その配置位置は分かりづらい位置であり、利用者には使いづらいものであった。また呼出ボタンによれば、当該呼出ボタンを押し操作すると、駅係員がその場所に来るまでの間の所要の待ち時間が発生し、その後に駅係員の対応によるサービスを受けることになる。呼出ボタンの押し操作と駅係員の対応との間には一定の時間が存在するので、悪戯を許す環境を作ることになり、他方で、また駅係員にとっては作業効率が悪いという問題が提起される。
また従来の券売機等における駅係員呼出ボタンおよび呼び出される駅係員という構成の代わりに、自律移動可能なロボットを設置し、必要に応じて当該ロボットを呼び出すようにしたシステムによれば、駅員の負担を軽減し作業効率を高めることができる。しかしながら、他方で、実際上の問題として、システム面で、案内サービス等の提供を求めて呼び出す利用者と、利用者の所在位置に移動するロボットとの間で、相互にサービス提供授受に関する承認がきちんと行われるように構成されることが重要になる。
この観点で、前述した従来のロボット誘導システムは、ロボットを利用者の居場所まで自律的に移動することができるシステム構成を有しているが、出会った利用者とロボットの間においてお互いにサービスを受けかつサービスを提供するという相互承認のシステム構成を有するものではなかった。
【0005】
本発明の目的は、上記の課題に鑑み、公共交通機関の駅等に設けられた券売機等の端末機械において利用者によるサービス要求の呼出行為に応じて駅係員の代わりに自律移動のサービスロボットが利用者との間の相互承認手続き(本人照合)を通して迅速に対応し、作業効率を高め、かつサービスの品質を高めることができるようにした自律移動サービス提供システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る自律移動サービス提供システムは、上記の目的を達成するため、次のように構成される。
【0007】
第1の自律移動サービス提供システム(請求項1に対応)は、
利用者の要望に応じて利用者との間で音声会話または表示情報を介して通信を行う手段、利用者
の音声または画像のデータを取得する手段、
音声または画像のデータと利用者の位置データを送信する手段を備えるサービス要求端末(専用端末等)と、
位置データに基づいて利用者の居場所までの移動経路を自動生成する手段、
利用者が視覚障害者のときには音声会話に基づき、利用者が聴覚障害者のときには表示情報に基づき、相互承認手続きによる本人照合を行う手段、利用者の要求する案内サービスを提供する手段を備える自律移動ロボットと、
から構成されている。
【0008】
上記の自律移動サービス提供システムでは、専用のサービス要求端末で、案内サービスを必要とする利用者の
音声または画像のデータをその位置データと共に自律移動ロボット側に送信する。自律移動ロボットは、位置データに基づき移動経路を計算し、自身で移動して利用者の居る場所まで移動し、さらに利用者との間で
、利用者が視覚障害者のときには音声会話に基づき、利用者が聴覚障害者のときには表示情報に基づき、相互承認手続きによって利用者が真に案内サービスを必要とする本人であるか否かの本人照合を行う。本人照合を行った後に、案内サービスを実行する。
【0009】
第2の自律移動サービス提供システム(請求項2に対応)は、上記の構成において、好ましくは、サービス要求端末と自律移動ロボットの間の通信は監視センタを介して行われることを特徴とする。
【0010】
第3の自律移動サービス提供システム(請求項3に対応)は、上記の構成において、好ましくは、サービス要求端末は既設の処理実行自動装置(券売機、精算機等)または案内装置に付設されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、サービス要求端末の側で案内サービスを必要とする利用者に係る
音声または画像のデータを取得し、当該音声データまたは画像データを利用者の位置データと共に自律移動ロボット側に送信し、自律移動ロボットでは位置データに基づき移動経路を自動生成し、かつ利用者の居場所に移動し、そこで
利用者が視覚障害者のときには音声会話に基づき、利用者が聴覚障害者のときには表示情報に基づき、相互承認手続きによって利用者の本人照合を行うようにしたため、案内サービスを確実にかつ迅速に実行することができ、サービスの質を高めると共に、駅係員等の作業を負担を軽減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の好適な実施形態(実施例)を添付図面に基づいて説明する。
【0015】
図1は、本発明の代表的な実施形態に係る自律移動サービス提供システムの全体的な構成を示している。この自律移動サービス提供システムが適用されるサービス提供場所は、例えば、駅構内における券売機や精算機等が設置された切符売り場または改札口周辺の場所である。本実施形態に係る自律移動サービス提供システムでは、一例として、切符売り場に設置された券売機100に対して専用端末200が付設されるように構成されている。なお本発明の自律移動サービス提供システムが適用されるサービス提供場所は、切符売り場には限定されず、一般的な公共施設または民間施設等における同様なサービスが要求される任意な場所を想定することができる。サービス提供場所の他の例としては例えば既設の案内装置(案内板等)の設置場所である。この既設の案内装置に上記の専用端末200を付設するように構成されることになる。
【0016】
切符売り場には、例えば複数台の自動の券売機100が設置されている。
図1では1台の券売機100のみを示している。券売機100には、
図1および
図2に示されるように、通常的な構成として、機器正面部に表示部11と選択操作部12と決済入力部13と呼出ボタン14等が設けられ、機器内部には機器各部の動作を制御する動作制御部15、入力操作処理および出力処理に関係する信号・データ等を処理する情報処理部16、外部の管理用上位サーバや内部に常駐する駅員等との間で通信を行う通信部17、つり銭処理機構部18等が設けられている。
【0017】
表示部11には、利用者300がその目的地の切符を購入するための路線および行先駅(降車駅)等が表示される。選択操作部12は、利用者300が路線や行先駅(降車駅)等を選択する時に操作される操作部である。決済入力部13は、紙幣や硬貨等の投入部およびつり銭排出部、磁気カード投入・読取り部、またはタッチ式の無線ICカードのカードリーダライタである。呼出ボタン14は、利用者300が券売機100を利用している際に問題等が生じたときに駅係員を呼び出すための操作手段である。券売機100の上記の要素は、通常の健常者のための構成要素である。券売機100において、切符販売が行われると、切符販売に係る処理情報は通信部17および通信回線19を経由して管理用上位サーバを備える管理センタ20に送信される。
【0018】
上記の表示部11と選択操作部12は、タッチ機能付き液晶パネル表示部によって1つの要素として構成することもできる。
【0019】
呼出機能を備えた上記の券売機100に対しては、さらに
図1に示すように、上記の専用端末200が付設されている。この専用端末200は、この実施形態では、券売機200に対して後付けで設けられている。但し、専用端末200と同等の構成および機能を有する要素を最初から券売機100の内部に部品要素として内蔵式で設けるように構成することもできる。なお
図1において、専用端末200は、説明の便宜上、誇張して描かれており、形状や大きさは任意である。
【0020】
上記専用端末200は、券売機100を利用しようとする利用者300が、自律移動サービス提供システムに基づくサービスの提供を受けるための端末装置である。この専用端末200を介して自律移動ロボット400のサービスを受けることが可能となる。自律移動ロボット400が提供するサービスの内容は、主に、駅構内において利用者300を乗り場等の移動目的場所への案内すること、あるいは券売機100の操作の仕方について案内すること等である。
【0021】
専用端末200は、
図3に示すように、入力操作部21と、人間検知センサ22、表示部23と、音声会話部(スピーカおよびマイクロホン等)24と、撮像部25と、情報処理制御部26と、記憶部27と、通信部28を備えている。さらに情報処理部26は、機能要素として、案内サービス要否判定部31と、音声案内サービス・通話実行部32および音声認識部33と、画像登録部34と、表示内容制御部35を有している。
【0022】
表示部23は、例えば利用者300が聴覚障害者である場合に、当該聴覚障害者に対して案内サービス情報を提供するための表示画面である。撮像部25は、券売機100の正面位置に立つ利用者300を撮影するカメラを含んでいる。撮像部25は、好ましくは、券売機100の正面の所定位置に利用者300が来た場合において人間検知センサ22が当該利用者300を検知したとき、その検知情報に基づいて撮影動作を行う。撮像部25の撮影で得られた画像データ36は記憶部27に保存される。人間検知センサ22は、例えば反射型の光学式センサである。
【0023】
案内サービス要否判定部31は、記憶部27に保存された上記の画像データ36に基づいて、利用者300に対して、音声または画像による案内サービスが必要であるか否かを判断する機能手段である。この場合には、原則的に、専用端末200の側に用意された案内サービス要否判定部31による判定機能に基づいて案内サービスの要否の判定が行われる。例えば、案内サービス要否判定部31が画像データ36に基づいて利用者300は視覚障害者であると判定した場合には、情報処理制御部26は、音声発生部24、音声案内サービス・通話実行部32、および音声認識部33を動作させ、利用者300に対して音声サービスを提供する。他方、案内サービス要否判定部31が画像データ36に基づいて利用者300は聴覚障害者であると判定した場合には、情報処理制御部26は、表示部23、画像登録部34、表示内容制御部35、および撮像部25を動作させ、利用者300に対して画像サービスを提供する。
【0024】
以上の通り、専用端末200における音声案内サービス・通話実行部32および音声認識部33等は、主に、利用者300が視覚障害者である場合に動作させるための機能要素である。また専用端末200における画像登録部34および表示内容制御部35等は、主に、利用者300が聴覚障害者である場合に動作させるための機能要素である。
【0025】
利用者300が視覚障害者である場合に、音声案内サービス・通話実行部32および音声認識部33が利用者300との通話で取得した音声データは、記憶部27に登録保存される。また撮像部25の撮影動作によって取得された利用者300の画像データも記憶部27に登録される。
【0026】
他方、利用者300は、自分の意思によって入力操作部21を操作することによって、上記の音声サービスまたは画像サービスを受けることも可能である。入力操作部21には、音声サービスまたは画像サービスを受けるための選択ボタンが設けられている。従って通常の人(健常者)であっても、入力操作部21の選択ボタンを操作することによって音声サービスまたは画像サービスを受けることができる。
【0027】
専用端末200は、前述した通り、券売機100を利用しようとする利用者300が、自律移動ロボット400のサービスを受ける目的でこの自律移動ロボット400を呼び出すための端末である。利用者300は、専用端末200を利用することによって自律移動ロボット400を自分がいる場所(所在位置)まで呼び出し、かつそのサービスを受けることができる。
【0028】
図1において符号500は監視センタを指している。監視センタ500は、専用端末200の通信部28との間で有線または無線の通信回線41を介して通信可能に接続されていると共に、自律移動ロボット400に内蔵された通信部との間で無線42により情報の送受を行えるように通信可能に接続されている。監視センタ500は、専用端末200から送られてくる利用者300に関する画像データおよび/または音声データと位置データとを受信し、記録管理し、さらに利用者300が自律移動ロボット400によるサービスの提供を必要としていることを条件として、これらのデータと制御指令等を自律移動ロボット400に送信する。自律移動ロボット400は、監視センタ500から与えられる管理および制御の指令および各種のデータ(位置データ、音声データ、画像データ等)に基づいてサービス動作を開始する。自律移動ロボット400は、監視センタ500から動作開始の指令を受けない場合には、通常、予め定められた場所で待機している。
【0029】
自律移動ロボット400は、例えば人間型のロボットである。従って、
図4に示すように、自律移動ロボット400の外観は人間の形状に似せて作られており、移動機能を有する脚部、胴体部、頭部を有している。自律移動ロボット400は、少なくとも、複数の駆動輪と駆動部とから成る移動機構51と、動作制御機能および知能機能を有するコンピュータ52と、地図案内や目標場所に応じた移動経路等および監視センタ500から提供される各種データ等の情報を格納する記憶部53と、カメラ等の視覚機能を備えて上記の画像データに基づき利用者300等を視認できる機能を有する外部環境認識機能部54と、利用者300との間で音声会話を行える音声会話機能部55、無線通信を行う通信部56と、表示部57を備えている。表示部57は、自律移動ロボット400の外観を形成する部分の任意の箇所に設けることができる。
【0030】
次に、
図5のフローチャートを参照して、上記の利用者300が視覚障害者である場合の案内サービスを説明する。
【0031】
最初の判断ステップS11では、券売機100を利用する利用者300が、自律移動ロボット400の案内サービスを必要するか否かを判断する。この判断ステップS11では、その前提として、前述した人間検知センサ22によって券売機100の正面位置に居る利用者300の存在を検知し、利用者300の存在の検知に基づいて撮像部25で利用者300を撮影し、この撮影で得た画像データ36に基づいて利用者300の状況をチェックする。この利用者300の状況チェックに基づいて利用者300が視覚障害者であるか否かを判断する。視覚障害者と判断されたときに、判断ステップS11では、案内サービスが必要であると判断する。以上の検知、動作制御、データ処理、および判断ステップS11を含む判断は、専用端末200に設けられた上記の案内サービス要否判定部31に基づいて実行される。判断ステップS11でYESと判断されると、次のステップS12に移行する。
【0032】
ステップS12では、音声による案内が開始される。音声による案内は、専用端末200内の音声案内サービス・通話実行部32および音声認識部33が実行する。ステップS12の音声による案内では、先ず、専用端末200に設けられた音声会話部24から音声ガイダンスが流れる。この音声ガイダンスによれば、視覚障害のある利用者300に対して話かけ、会話応答を求める。利用者300は、音声ガイダンスに応じて専用端末200の音声会話部24に対して音声応答を行う。専用端末200は、音声会話部24で利用者300の音声を取得すると、音声認識部33によって音声分析を行い、音声分析で得た利用者300の音声データを記憶部27に登録する(ステップS13)。登録された音声データは、利用者300を特定するためのデータとして用いられる。
【0033】
また専用端末200については、予め付設された券売機100の設置位置に係る位置データを記憶部27に登録している。登録されたこの位置データは、利用者300の居る場所の位置データとして利用される。
【0034】
次のステップS14においては、専用端末200は、利用者300に関する上記の音声データおよび位置データを、案内サービス要求指令信号と共に、通信部28および通信回線41を経由して監視センタ500の側へ送信する。監視センタ500では、専用端末200から送られてきた案内サービス要求指令信号、音声データおよび位置データをその記憶装置に保存すると共に、無線42を介して自律移動ロボット400に転送する。
【0035】
自律移動ロボット400は、監視センタ500から送られた案内サービス要求指令信号、音声データおよび位置データを通信部56によって受信すると、そのコンピュータ52で位置データに基づいて移動経路を計算し、移動機構51および外部環境認識機能部54とに基づいて当該移動経路に従って利用者300の居る場所に自律的に移動する(ステップS15)。この自律移動の状態を
図1に示す。
【0036】
利用者300の居る場所に到達した自律移動ロボット400は、利用者300に対して音声会話機能部55によって音声案内を実行する(ステップS16)。この音声案内に基づく利用者300との会話を通して、自律移動ロボット400は利用者300の音声を取得し、当該音声の分析し、その音声データが監視センタ500から転送された音声データと一致するか否かを判断し、本人照合を行う(判断ステップS17)。判断ステップS17で、利用者300が本人であると照合されたとき(「本人」の場合)には案内サービスが開始され(ステップS18)、本人でないと判断されたとき(「別人」の場合)には案内サービスを中止して(ステップS19)、処理を終了し、自律移動ロボット400は元の場所に戻ることになる。
【0037】
案内サービスが開始されると、利用者300との音声会話を通して利用者300の要望に沿って利用者300の移動目的地に案内する。移動目的地としては、例えば
図1に示される改札口・乗り場61である。改札口・乗り場61への移動経路62、予め自律移動ロボット400の記憶部53に保存されている。その他の移動目的地としては、
図1に示すように、トイレ63あるいは他の目的場所64が存在する。
【0038】
上記のごとくして、視覚障害を有する利用者300は、券売機100に付設された専用端末200を通して自律移動ロボット400による案内サービスを受けることができる。自律移動ロボット400による案内サービスを提供することができるので、利用者300は迅速にサービスの提供を受けることができ、また駅係員の作業負担を軽減することができる。
【0039】
さらに次に、
図6のフローチャートを参照して、上記の利用者300が聴覚障害者である場合の案内サービスを説明する。
【0040】
この場合にも、最初の判断ステップS21において、券売機100を利用する利用者300が、自律移動ロボット400の案内サービスを必要するか否かを判断する。この判断ステップS21でも、判断ステップ11と同様に、専用端末200に設けられた上記の案内サービス要否判定部31に基づき、人間検知センサ22によって券売機100の正面位置に居る利用者300の存在を検知し、利用者300の存在の検知に基づいて撮像部25で利用者300を撮影し、この撮影で得た画像データ36に基づいて利用者300の状況をチェックし、この状況チェックに基づいて利用者300が聴覚障害者であるか否かを判断する。聴覚障害者と判断されたときに、判断ステップS21では、案内サービスが必要であると判断する。判断ステップS21でYESと判断されると、次のステップS22に移行する。
【0041】
ステップS22では、表示による案内が開始される。表示による案内は、専用端末200内の表示内容制御部35が実行する。ステップS22の表示による案内では、表示部23において表示によるガイダンスが与えられる。この表示ガイダンスによれば、聴覚障害のある利用者300に対して「撮影開始」の入力応答を求める。利用者300は、表示ガイダンスに応じて専用端末200の入力操作部21で「撮影開始」の入力操作を行う。その結果、次の判断ステップS23でYESと判断され、次のステップS24が実行される。ステップS24では、撮像部25を作動させ、利用者300の画像データを取得し、利用者300の画像データを画像登録部34に登録する。登録された画像データは、利用者300を特定するためのデータとして用いられる。
【0042】
また専用端末200については、前述した通り、予め付設された券売機100の設置位置に係る位置データを記憶部27に登録しており、この位置データは、利用者300の居る場所の位置データとして利用される。
【0043】
次のステップS25においては、専用端末200は、利用者300に関する上記の画像データおよび位置データを、案内サービス要求指令信号と共に、通信部28および通信回線41を経由して監視センタ500の側へ送信する。監視センタ500では、専用端末200から送られてきた案内サービス要求指令信号、画像データおよび位置データをその記憶装置に保存すると共に、無線42を介して自律移動ロボット400に転送する。
【0044】
自律移動ロボット400は、監視センタ500から送られた案内サービス要求指令信号、画像データおよび位置データを通信部56によって受信すると、そのコンピュータ52で位置データに基づいて移動経路を計算し、移動機構51および外部環境認識機能部54とに基づいて当該移動経路に従って利用者300の居る場所に自律的に移動する(ステップS26)。
【0045】
利用者300の居る場所に到達した自律移動ロボット400は、利用者300に対してコンピュータ52の表示内容制御機能によって表示部57を介して表示案内を実行する(ステップS27)。この表示案内に基づく利用者300との通信を通して、表示部57に表示された「認証」に係る操作部が操作されるか否かを判断する(ステップS27)。判断ステップS27でYESと判断されたときには、本人照合が行われる(ステップS29)。利用者300が本人であると照合されたときには案内サービスが開始される(ステップS30)。判断ステップS28でNOである場合には、本人照合は行われず、案内サービスを中止して(ステップS31)、処理を終了し、自律移動ロボット400は元の場所に戻ることになる。開始された案内サービスの内容は前述した通りである。
【0046】
上記のごとくして、聴覚障害を有する利用者300は、券売機100に付設された専用端末200を通して自律移動ロボット400による案内サービスを受けることができる。自律移動ロボット400による案内サービスを提供することができるので、利用者300は迅速にサービスの提供を受けることができ、また駅係員の作業負担を軽減することができる。
【0047】
以上の実施形態で説明された構成および配置関係については本発明が理解・実施できる程度に概略的に示したものにすぎない。従って本発明は、説明された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。
例えば、上記の実施形態のシステム構成では監視センタ500を備えたが、当該監視センタ500を省略し、専用端末200から直接的に自律移動ロボット400に通信を行うように構成することもできる。
また自律移動ロボット400の呼出しには利用者の携帯電話等を利用することもでき、その際に利用者の位置データについては、例えば携帯電話のGPS機能で得られる位置データを用いることもできる。