(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について
図1ないし
図4を参照して説明する。
【0016】
本発明の第1の実施形態に係る基板洗浄装置1(
図1参照)は、表示装置である液晶ディスプレイを製造する製造装置の一部として設けられており、この表示装置の製造装置は、基板W上に液晶駆動用のTFT回路及び電極パターンを作製する製造装置(図示せず)、TFT回路及び電極パターンなどが形成された基板W上に配光膜を形成する配光膜形成装置(図示せず)、配向膜が形成された基板W上に各セル単位の表示領域を囲む枠状のシールを形成するシール形成装置(図示せず)、シールが形成された基板Wの各セル単位の表示領域上に液晶材料を滴下させる液晶供給装置(図示せず)、液晶材料が滴下された基板Wと他の基板とを貼り合わせる基板貼り合わせ装置(図示せず)、基板を貼り合わせた後にシールを硬化させるシール硬化装置(図示せず)などを備えており、さらに、各製造装置内及び装置間の基板移動工程の必要個所において洗浄を行う基板洗浄装置1を備えている。
【0017】
図1に示すように、第1の実施形態に係る基板洗浄装置1は、基板Wを搬送する搬送部2と、その搬送部2により搬送される基板Wの被洗浄面Sに洗浄液を供給する供給ノズル3と、洗浄液に気体を溶解させる加圧溶解部4と、送液用のポンプ5と、洗浄液を供給する液体供給部6と、気体を供給する気体供給部7と、各部を制御する制御部8とを備えている。
【0018】
搬送部2は、互いに平行に一列に並ぶ複数のローラ2a及びそれらのローラ2aを回転させる駆動源である回転モータ2bなどを有している。各ローラ2aはそれぞれ回転可能に設けられており、等間隔で並んでいる。回転モータ2bは制御部8に電気的に接続されており、その駆動が制御部8により制御される。この搬送部2は、回転モータ2bにより各ローラ2aを回転させ、それらのローラ2a上に載置された矩形状の基板Wを
図1中の矢印Aの方向に移動させる。
【0019】
供給ノズル3は、搬送部2の上方に設けられており、搬送部2により移動する基板Wの被洗浄面Sに向けて洗浄液を噴射し、その被洗浄面S上に供給する。この供給ノズル3としては、例えば、洗浄液を噴射する一流体ノズル(一流体用の噴射ノズル)が用いられる。
【0020】
加圧溶解部4は、液体供給流路となる配管11により供給ノズル3に接続されており、高圧下で洗浄液中に気体を溶解させ、その気体が溶解した洗浄液を供給ノズル3に配管11を介して供給する。この加圧溶解部4は、洗浄液に気体を溶解させる溶解部として機能する。
【0021】
配管11には、流量を調整するバルブ11aが供給ノズル3の近傍に位置付けられて設けられている。このバルブ11aは制御部8に電気的に接続されており、その駆動が制御部8により制御される。また、配管11には、流量を計測する流量計11bが設けられている。この流量計11bは制御部8に電気的に接続されており、その計測結果が制御部8に入力される。
【0022】
ここで、バルブ11aが開かれると、溶存気体を含む洗浄液は供給ノズル3から噴射される。このとき、洗浄液が大気圧まで圧力解放され、圧力解放された洗浄液は溶存気体に対して過飽和状態となるため、その洗浄液中には微小気泡が大量に発生する。したがって、供給ノズル3は、移動する基板Wの被洗浄面Sに向けて洗浄液を噴射し、その被洗浄面S上に微小気泡を含む洗浄液を供給することになる。
【0023】
なお、微小気泡は、マイクロバブル(MB)やマイクロナノバブル(MNB)、ナノバブル(NB)などの概念を含む微細気泡である。例えば、マイクロバブルは10μm〜数十μmの直径を有する気泡であり、マイクロナノバブルは数百nm〜10μmの直径を有する気泡であり、ナノバブルは数百nm以下の直径を有する気泡である。
【0024】
ポンプ5は、液体供給流路において加圧溶解部4よりも上流側に設けられており、供給ノズル3に洗浄液を供給する駆動源となる。このポンプ5は制御部8に電気的に接続されており、その駆動が制御部8により制御される。
【0025】
液体供給部6は、液体供給流路となる配管12によりポンプ5を介して加圧溶解部4に接続されており、その加圧溶解部4に液体を供給する。ここで、液体としては、酸化膜除去可能な液体、例えば、希フッ酸(DHF)溶液が用いられる。この他にも、界面活性剤などを用いることが可能である。
【0026】
気体供給部7は、気体供給流路となる配管13により液体供給流路の配管12の途中に接続されており、その配管12を通過する洗浄液に気体を供給して含ませる。ここで、気体としては、酸化性ガス、例えば、オゾン(O
3)が用いられる。
【0027】
配管13には、流量を調整するバルブ13aが設けられている。このバルブ13aは制御部8に電気的に接続されており、その駆動が制御部8により制御される。また、配管13には、流量を計測する流量計13bが設けられている。この流量計13bは制御部8に電気的に接続されており、その計測結果が制御部8に入力される。
【0028】
制御部8は、各部を集中的に制御するマイクロコンピュータと、基板洗浄に関する基板洗浄情報や各種プログラムなどを記憶する記憶部とを備えている。この制御部8は、基板洗浄情報や各種プログラムに基づいて、搬送部2により基板Wを搬送させながら、供給ノズル3により移動中の基板Wの被洗浄面Sに向けて洗浄液を噴射し、その被洗浄面S上に多数の微小気泡を含む洗浄液、詳しくは、酸化膜除去可能な液体である希フッ酸溶液中に酸化性ガスであるオゾンを溶存状態および微小気泡状態で有する洗浄液を供給する基板洗浄を行う。なお、微小気泡の発生量は、制御部8によりバルブ13aの開口度を調整し、洗浄液に供給する気体量を調整することで変更可能である。
【0029】
前述の洗浄液が基板Wの被洗浄面S上に供給されると、
図2に示すように、洗浄液中の溶存気体であるオゾンO
3により被洗浄面S上の有機物F1が除去され、同時に、そのオゾンO
3により被洗浄面Sが改質され、その被洗浄面Sに酸化膜F2が形成される。これによって、有機物F1に覆われていた汚染粒子Mは酸化膜F2に覆われ、有機物F1上に存在していた汚染粒子Mは、オゾンO
3によって酸化され、酸化メタルMaになる。さらに、
図3に示すように、洗浄液中のフッ化水素HFにより被洗浄面S上の酸化膜F2が除去される。これにより、酸化膜F2に覆われた汚染粒子Mおよび酸化メタルMaが被洗浄面S上から除去される。なお、オゾンO
3が有機物F1と反応し、分解されることにより、CO
2、CO、H
2Oが発生する。
【0030】
また、
図4に示すように、マイナス電位の微小気泡はプラス電位の汚染粒子(例えば、アルミ粒子)Mに複数個付着し、その汚染粒子Mを取り囲む。このとき、基板Wがプラス電位である場合には、マイナス電位の微小気泡が基板Wの被洗浄面S上に複数個付着する。これにより、汚染粒子Mを取り囲む多数の微小気泡が基板Wの被洗浄面S上の多数の微小気泡と電位反発することになり、一度除去された汚染粒子Mが基板Wの被洗浄面Sに再付着することが防止される。なお、基板Wがマイナス電位であった場合でも、汚染粒子Mを取り囲む微小気泡は基板Wの被洗浄面Sと電位反発することになるので、基板Wの被洗浄面Sに対する汚染粒子Mの再付着は防止される。
【0031】
このような三つの現象(
図2、
図3及び
図4に示すような現象)が順次基板Wの被洗浄面S上の各所で生じることになる。これにより、オゾンによる有機物除去及び酸化膜形成、並びに、希フッ酸溶液による酸化膜除去が同時に行われるので、洗浄工程数を削減することができる。さらに、複数個の微小気泡が汚染粒子Mに付着してその汚染粒子Mを取り囲むので、一度除去された汚染粒子Mが基板Wの被洗浄面Sに再付着することを防止することができる。
【0032】
ここで、微小気泡を含む洗浄液により基板Wの被洗浄面Sを洗浄する洗浄性能を向上させるためには、供給ノズル3から噴射された洗浄液に含まれる微小気泡が、基板Wの被洗浄面Sに到達した後、そのサイズ変化を抑えつつ、例えば直径を維持しつつ基板Wの外縁まで到達することが重要となる。被洗浄面S上の微小気泡は他の微小気泡と結びついて大きくなったり、あるいは、時間経過とともに消滅したりすることがあるため、その直径を維持したまま被洗浄面Sの外縁まで到達しないことがある。この場合には、前述の再付着の防止効果が不十分となり、洗浄能力が低下することになる。また、前述の三つの現象による洗浄能力をより向上させるためには、基板Wの被洗浄面S上の洗浄液を順次置換する必要がある。
【0033】
例えば、円形状の基板Wをステージに載せ、そのステージの中央を回転中心としてステージを回転させながら、ステージ上の基板Wに洗浄液を供給するタイプの洗浄装置を用いた場合には、基板W上に供給された洗浄液は基板Wの回転による遠心力により基板Wの外縁に向かって広がっていく。このような場合には、洗浄液は単純に基板Wの被洗浄面Sの中央付近に供給されれば良いが、本発明の第1の実施形態のように基板Wを一方向に搬送する場合には、基板Wの被洗浄面Sにおける洗浄液の広がりに着目する必要がある。
【0034】
そこで、本発明の第1の実施形態では、供給ノズル3により噴射された洗浄液の流速は、基板Wの被洗浄面S上に到達した微小気泡がサイズ変化を抑えつつ、すなわち許容範囲内のサイズである許容サイズを維持しつつ基板Wの外縁まで移動する流速に設定されている。例えば、その流速は、微小気泡の直径を維持しつつ基板Wの外縁まで移動する流速に設定されている。この流速を実現するための設定値としては、あらかじめ実験によって求められたものが、制御部8が備える記憶部に記憶されており、制御部8はその設定値に基づく開口度までバルブ11aを開く。これに応じて、供給ノズル3は前述の流速で洗浄液を噴射することになる。なお、バルブ11aを設定値まで開口することによる流速の調整が不十分である場合には、流量計11bにより計測された流量に応じて制御部8によりバルブ11aの開口度に加えポンプ5による送液力などを調整し、前述の設定値に流速を合わせることが可能である。
【0035】
前述の流速で洗浄液が供給ノズル3から噴射されると、その洗浄液中の多数の微小気泡はそれぞれ基板Wの被洗浄面S上に到達し、その後、直径を維持しつつ基板Wの外縁まで到達する。その結果、多数の微小気泡は、被洗浄面S上から除去された汚染粒子Mを確実に取り囲むことが可能になるので、一度除去された汚染粒子Mが基板Wの被洗浄面Sに再付着することを確実に防止することができる。加えて、多数の微小気泡が直径を維持しつつ基板Wの外縁まで到達することは、被洗浄面S上の洗浄液の置換を確実に行うことが可能な流速を得ることにつながるため、被洗浄面S上の各所で生じる前述の三つの現象を促進し、洗浄能力を向上させることができる。
【0036】
以上説明したように、本発明の第1の実施形態によれば、洗浄液は、酸化膜除去可能な液体である希フッ酸溶液中に、酸化性ガスであるオゾンを溶存状態および微小気泡状態で有することになり、この洗浄液が供給ノズル3により基板Wの被洗浄面Sに供給される。これにより、オゾンによる有機物除去及び酸化膜形成、並びに、希フッ酸溶液による酸化膜除去が同時に行われるので、洗浄工程数を削減することができる。また、供給ノズル3により、基板Wの被洗浄面S上に到達した微小気泡がサイズ変化を抑えつつ、例えば直径を維持しつつ基板Wの外縁まで移動する流速で洗浄液を噴射し、基板Wの被洗浄面S上に洗浄液を供給することから、被洗浄面S上から除去された汚染粒子Mが多数の微小気泡により確実に取り囲まれるので、一度除去された汚染粒子Mが基板Wの被洗浄面Sに再付着することを確実に防止することができる。
【0037】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態について
図5及び
図6を参照して説明する。
【0038】
本発明の第2の実施形態は基本的に第1の実施形態と同様である。第2の実施形態では、第1の実施形態との相違点について説明し、第1の実施形態で説明した部分と同一部分は同一符号で示し、その説明も省略する。
【0039】
本発明の第2の実施形態に係る基板洗浄装置1では、
図5に示すように、供給ノズル3が複数個設けられている。これらの供給ノズル3は、基板Wの被洗浄面Sに沿って基板Wの搬送方向(
図5中の矢印Aの方向)に交差する方向、例えば搬送方向に直交する方向に一列に並べて設けられており、さらに、基板Wの被洗浄面Sに平行な平面内において基板Wの搬送方向に対してそれぞれ同じ方向に傾けられている。さらに、各供給ノズル3は、
図6に示すように、基板Wの被洗浄面Sに対してそれぞれ同じ方向に傾けられている。このとき、各供給ノズル3において、洗浄液を供給する供給口は搬送方向の下流側に向けられている。
【0040】
ここで、基板Wは今後も大型になる傾向であり、その大型化に伴って前述のように供給ノズル3が複数個設けられる。ただし、前述の第1の実施形態で説明したように、基板Wの被洗浄面Sにおける洗浄液の広がりに着目する必要があり、単純に供給ノズル3を複数個設けただけでは、隣接する供給ノズル3から噴射された洗浄液同士が互いに干渉し合うため、基板Wの被洗浄面Sに到達した微小気泡はそのサイズ変化を抑えつつ基板Wの外縁まで到達し難くなり、基板Wの被洗浄面Sに対する汚染粒子Mの再付着を防止することが困難になる。
【0041】
そこで、前述のように各供給ノズル3は、基板Wの被洗浄面Sに沿って基板Wの搬送方向(
図5中の矢印Aの方向)に直交する方向に一列に並べて設けられており、基板Wの被洗浄面Sに平行な平面内において基板Wの搬送方向に対してそれぞれ同じ方向に角度θ1だけ傾けられており、さらに、基板Wの被洗浄面Sに対してそれぞれ同じ方向に角度θ2だけ傾けられている。これにより、隣接する供給ノズル3から噴射された洗浄液同士は基板Wの被洗浄面S上において同じ方向に流れ、洗浄液同士が互いに干渉し合うことが抑止されるので、基板Wの被洗浄面Sに到達した微小気泡はそのサイズ変化を抑えつつ基板Wの外縁まで到達しやすくなり、基板Wの被洗浄面Sに対する汚染粒子Mの再付着を抑止することができる。
【0042】
なお、被洗浄面Sに平行な平面内において基板Wの搬送方向に対する傾斜角度θ1は、隣接する供給ノズル3から噴射された洗浄液同士が基板Wの被洗浄面S上において基板Wの搬送方向に対してそれぞれ同じ方向に角度θ1だけ傾くように設定されている。この角度θ1は、供給ノズル3から噴射された洗浄液が被洗浄面Sに直接あたる供給範囲の大きさに応じて設定されている。なお、供給ノズル3から噴射された洗浄液は円錐状に広がるため、供給範囲は供給ノズル3と基板Wとの離間距離に影響されることになるので、その離間距離も考慮されている。
【0043】
以上説明したように、本発明の第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。加えて、各供給ノズル3が前述のように基板Wの被洗浄面Sに沿って基板Wの搬送方向に交差する方向に並べて設けられており、基板Wの被洗浄面Sに平行な平面内において基板Wの搬送方向に対してそれぞれ同じ方向に傾けられており、さらに、基板Wの被洗浄面Sに対してそれぞれ同じ方向に傾けられている。これらの供給ノズル3により基板Wの被洗浄面Sに洗浄液が供給されると、隣接する供給ノズル3から噴射された洗浄液同士は基板Wの被洗浄面S上において同じ方向に流れ、洗浄液同士が互いに干渉し合うことが抑止されるので、基板Wの被洗浄面Sに到達した微小気泡はそのサイズ変化を抑えつつ基板Wの外縁まで到達しやすくなり、基板Wの被洗浄面Sに対する汚染粒子Mの再付着を抑止することができる。
【0044】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態について
図7(a)ないし(c)、
図8(a)ないし(c)さらに
図9(a)及び(b)を参照して説明する。
図7ないし
図9はアモルファスシリコン薄膜トランジスタ(TFT)の製造方法の一例を製造工程順に示す断面図であり、本発明の第3の実施形態では、第1の実施形態に係る基板洗浄装置1による基板洗浄方法をアモルファスシリコン薄膜トランジスタの製造方法に適用した適用例について説明する。
【0045】
先ず、
図7(a)に示すように、ガラス基板111上にゲート電極112を形成する。ゲート電極112は、上記ガラス基板111上に、スパッタ法あるいは蒸着法を用いて低抵抗の導電材料(電極材料)を堆積させて導電層を形成し、その後、上記導電層上に、レジストパターン膜を形成し、このレジストパターン膜をマスクとするフォトリソグラフィにより上記導電層をパターニングすることによって形成することができる。上記ゲート電極112は例えば島状にパターン形成される。
【0046】
なお、上記TFTを備えた薄膜トランジスタ基板(TFT基板)としてアクティブマトリクス基板を製造する場合、上記導電層をパターニングすることで、ゲートラインおよびゲート電極112を同時にパターン形成することができる。
【0047】
上記導電性材料としては、アルミニウム、チタン、タンタル、モリブデン、インジウム錫酸化物、酸化錫、タングステン、銅およびクロムなどの低抵抗の金属およびその合金が挙げられるが、これに限定されるものではない。また、上記ゲートラインおよびゲート電極112は、単層で形成されていてもよく、上記導電材料からなる層を複数組み合わせた積層構造をしていてもよい。
【0048】
また、上記パターニングには、ドライエッチングあるいはウェットエッチングのどちらを用いてもよい。
【0049】
次に、
図7(b)に示すように、上記ゲート電極112を覆うように、例えばプラズマCVD法あるいはスパッタ法などにより、窒化シリコンなどからなるゲート絶縁層113、アモルファスシリコン層114、リンなどのn型不純物をドーピングしたn
+シリコンからなるオーミックコンタクト層115を、ガラス基板111側からこの順に連続成膜する。
【0050】
その後、
図7(c)に示すように、上記アモルファスシリコン層114およびオーミックコンタクト層115をエッチングする。
【0051】
なお、上記アモルファスシリコン層114およびオーミックコンタクト層115のエッチングは、例えば、塩素ガス、あるいは、塩化水素および六フッ化硫黄系ガスなどをドライエッチング法、または、フッ酸(HF)と硝酸(HNO
3)の混酸を水(H
2O)或いは酢酸(CH
3COOH)で希釈した水溶液をエッチング液に用いたウェットエッチング法でも行うことができる。
【0052】
また、上記エッチングに用いたレジストマスクは、上記エッチング後に、有機アルカリを含む剥離液などを用いて剥離除去される。
図7(c)は、上記アモルファスシリコン層114およびオーミックコンタクト層115の2層を島状にパターニングした後、上記レジストマスクを除去した状態を示している。
【0053】
次に、
図8(a)に示すように、上記ゲート絶縁層113並びにアモルファスシリコン層114、およびオーミックコンタクト層115上に、スパッタ法あるいは蒸着法を用いて低抵抗の導電材料(電極材料)を堆積させて、ソース電極116aおよびドレイン電極116b(
図8(b)参照)となる導電層116を形成し、その上にレジストマスクを形成する。
【0054】
次いで、上記レジストマスクに設けられた開口部における上記導電層116をエッチング除去することにより、
図8(b)に示すように、ソース/ドレイン電極分離パターニングが行われる。これにより、上記導電層116からなるソース電極116aおよびドレイン電極116bが形成される。
【0055】
その後、
図8(c)に示すように、引続きエッチングを行って、上記オーミックコンタクト層115をエッチングする。
【0056】
その後、さらに、
図9(a)に示すように、上記アモルファスシリコン層114も部分的にエッチングされ、チャネル部の厚みを調整するチャネルエッチ処理が行われる。
【0057】
上記チャネルエッチ処理後、上記レジストマスクは、有機アルカリを含む剥離液などを用いて剥離除去される。
【0058】
なお、上記チャネルエッチ処理後、上記アモルファスシリコン層114の表面は疎水化しているため、上記レジストマスクの剥離後に、上記アモルファスシリコン層114の表面に、導電層の材料である金属、シリコン、窒化シリコン並びにレジストなどからなる微細な汚染物(第1の実施形態に係る汚染粒子Mに相当する)などを吸着し易い状態になっているため、上記のレジストマスク剥離後は、多種の微細汚染物が付着しており、不良発生及び特性低下の原因となっている。これらの汚染物質を除去するため、従来は、O
3水処理の後にDHF(希フッ酸)処理を行う工程が用いられてきたが、O
3MNBをDHFに溶解させる効果として、バブルの圧壊により、汚染物とアモルファスシリコン表面の隙間に入り込む除去効果が改善される。
【0059】
そのため、上記レジストマスク剥離後の洗浄処理として、酸化膜除去可能な液体であるフッ酸溶液中に酸化性ガスであるオゾンを溶存状態および微小気泡状態で有する洗浄液を供給して、上記アモルファスシリコン層114の表面を含む基板(第1の実施形態に係る基板Wに相当する)全体の洗浄を行うことにより、アモルファスシリコン層114の表面に存在する汚染物などが除去され、再付着することも防止される。そのため、基板表面が清浄に保たれるため、汚染物の再付着に伴い発生する歩留り低下の低減及びTFT特性の向上に寄与することができる。
【0060】
その後、
図9(b)に示すように、ガラス基板111上側全面に、窒化シリコンなどのパッシベーション膜(保護膜)117をプラズマCVD法あるいはスパッタ法などにより形成する。
【0061】
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態について
図10(a)ないし(c)、
図11(a)ないし(c)及び
図12を参照して説明する。
図10ないし
図12はポリシリコン薄膜トランジスタの製造方法の一例を製造工程順に示す断面図であり、本発明の第4の実施形態では、第1の実施形態に係る基板洗浄装置1による基板洗浄方法をポリシリコン薄膜トランジスタの製造方法に適用した適用例について説明する。
【0062】
図10(a)に示すように、プラズマCVD法により、ガラス基板211上に、下地絶縁膜としてシリコン窒化膜212を50nm、シリコン酸化膜213を200nmの厚さに形成する。続けて、シリコン酸化膜213の上にアモルファスシリコン膜214を50nmの厚さに形成する。次に、アモルファスシリコン膜214中の水素を低減するために、450℃の温度でアニールする。そして、アモルファスシリコン膜214にエキシマレーザを照射して、アモルファスシリコン膜214をポリシリコン膜に変化させる。
【0063】
次に、ポリシリコン膜の上にフォトレジストを塗布し、選択露光および現像工程を経て、所定のレジストパターンを形成する。そして、このレジストパターンをマスクにして、ポリシリコン膜をドライエッチングし、
図10(b)に示すように、所定の領域にのみポリシリコン膜215を残す。その後、レジストパターンを除去する。
【0064】
次に、酸化膜除去可能な液体であるフッ酸溶液中に酸化性ガスであるオゾンを溶存状態および微小気泡状態で有する洗浄液を供給して、ポリシリコン膜215を含む基板(第1の実施形態に係る基板Wに相当する)表面の洗浄を行う。基板表面の汚染粒子(第1の実施形態に係る汚染粒子Mに相当する)およびエキシマレーザを照射してアモルファスシリコン膜214をポリシリコン膜に変化させる場合に生じた結晶粒界に存在する異物(第1の実施形態に係る汚染粒子Mに相当する)なども同時に除去され、それらが再付着することも防止される。そのため、基板表面の清浄性および平滑性が確保され、次の工程のシリコン酸化膜の機能を有効に活用することができる。
【0065】
次に、
図10(c)に示すように、プラズマCVD法により、ガラス基板211上側全面にシリコン酸化膜216を30nmの厚さに成膜する。そして、スパッタ法によりシリコン酸化膜216の上にAl−Nd(アルミニウム−ネオジウム:Nd含有率は2atm%)膜を300nmの厚さに成膜する。その後、フォトレジストを使用して、Al−Nd膜の上に所定のレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクにして、Al−Nd膜をドライエッチングして、金属パターン217を形成する。その後、レジストパターンを除去する。そして、金属パターン217をマスクとし加速電圧が25kV、注入量が7×10
14cm
−2の条件でポリシリコン膜215にP(リン)をイオン注入し、n型TFTのソースおよびドレインとなるn型不純物領域218を形成する。次に、エキシマレーザでガラス基板211の上面全面を照射し、注入されたPを電気的に活性化する。
【0066】
次に、
図11(a)に示すように、金属パターン217をウェットエッチングで除去する。
【0067】
次に、
図11(b)に示すように、プラズマCVD法により、シリコン酸化膜216の上にシリコン酸化膜219を90nmの厚さに成膜する。そして、スパッタ法によりシリコン酸化膜219の上にAl−Nd(アルミニウム−ネオジウム:Nd含有率は2atm%)膜を300nmの厚さに成膜する。その後、フォトレジストを使用して、Al−Nd膜の上に所定のレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクにして、Al−Nd膜をドライエッチングして、ゲート電極220を形成する。
【0068】
このとき、TFT形成領域では、上から見たときに、ゲート電極220のエッジ部分とソース側不純物領域218との間にはLDD(Lightly Doped Drain)領域221となる領域が設けられるようにする。
【0069】
次に、ゲート電極220をマスクとし加速電圧が25kV、注入量が7×10
14cm
−2の条件でポリシリコン膜215にP(リン)をイオン注入し、ソース側およびドレイン側の不純物領域218の隣にLDD領域221を形成する。その後、400℃の温度でアニールして、LDD領域221に注入されたP(リン)を電気的に活性化する。
【0070】
次に、
図11(c)に示すように、プラズマCVD法により、シリコン酸化膜219およびゲート電極220の上にシリコン窒化膜222を350nmの厚さに形成する。その後、400℃の温度でアニールして、LDD領域221に注入されたP(リン)を電気的に活性化するとともにシリコン窒化膜222中の水素により、チャネル領域とゲート酸化膜との界面などにある欠陥を水素化し、TFT特性を改善する。
【0071】
次に、フォトレジストを使用して、シリコン窒化膜222上にコンタクトホール形成用開口部を有するレジスト膜を形成する。そして、このレジスト膜をマスクにしてシリコン窒化膜222、シリコン酸化膜219及びシリコン酸化膜216をドライエッチングして、
図12に示すように、TFTの不純物領域218に通じるコンタクトホールを形成する。
【0072】
続いて、スパッタ法により、基板211の上側全面に、Tiを100nm、Alを20nm、Tiを50nmの厚さに順次堆積し、これらの金属でコンタクトホールを埋めこむとともにシリコン窒化膜222上に金属膜を形成する。その後、フォトリソグラフィによりマスクパターンを形成し、金属膜をドライエッチングして、
図12に示すように、TFTのソースおよびドレインに電気的に接続した電極223を形成する。
【0073】
(他の実施形態)
なお、本発明に係る前述の実施形態は例示であり、発明の範囲はそれらに限定されない。前述の実施形態は種々変更可能であり、例えば、前述の実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素が削除されても良く、さらに、異なる実施形態に係る構成要素が適宜組み合わされても良い。
【0074】
前述の実施形態においては、微小気泡の発生方法として加圧溶解を用いているが、これに限るものではなく、例えば、微小気泡生成部などによりあらかじめ微小気泡を含む洗浄液を生成し、その洗浄液を供給ノズル3から噴射するようにしても良く、あるいは、供給ノズル3の内部などで洗浄液の渦流の中に気体を巻き込んで微小気泡を生成し、その微小気泡を含む洗浄液を供給ノズル3から噴射するようにしても良い。
【0075】
また、前述の実施形態においては、基板のWの被洗浄面S上に到達した微小気泡がサイズ変化を抑えつつ、基板Wの外縁まで移動するようにするために洗浄液を噴射する流速を制御していたが、これに代えて洗浄液を噴射する圧力を制御するようにしても良い。
【0076】
また、前述の実施形態においては、供給ノズル3として一流体ノズルを用いているが、これに限るものではなく、高圧ノズルや超音波ノズルあるいは二流体ノズルを用いるようにしても良い。特に、高圧ノズルや二流体ノズルを使用して、ノズルから噴射される洗浄液の流速や噴射圧力をより高めることで、洗浄液の置換性がさらに良くなるため、洗浄効率を向上させることができる。
【0077】
また、前述の実施形態においては、基板Wの被洗浄面Sはプラス電位及びマイナス電位のどちらに帯電していても良いが、例えば、帯電装置を用いて基板Wの被洗浄面Sをマイナス電位に帯電させるようにしても良い。この場合には、基板Wの被洗浄面Sがプラス電位である場合に比べ、マイナス電位の微小気泡が汚染粒子Mに付着するだけで、基板Wの被洗浄面Sに対する汚染粒子Mの再付着を防止することができる。特に、基板Wの被洗浄面S上に付着させる微小気泡が不要となるので、その分だけ洗浄液の流速調整を容易にすることができる。
【0078】
また、前述の実施形態においては、基板Wを水平状態で搬送しているが、これに限るものではなく、基板Wを傾けて搬送するようにしても良い。この場合には、水平状態の基板Wに比べ、基板Wの被洗浄面S上での洗浄液の流速が上昇するので、被洗浄面S上の洗浄液の置換を促進することができる。なお、洗浄液は、傾斜状態の基板Wの上端部に向けて供給される。
【0079】
また、前述の実施形態においては、酸化性ガスとしてオゾン(O
3)を例にあげたが、O
2(酸素)及びO
3(オゾン)の少なくとも1つのガスを含む酸化性ガスを用いることができる。また、酸化膜除去可能な液体としては、DHF(希フッ酸)、NH
4F(フッ化アンモニウム)およびH
2O
2(過酸化水素)の少なくとも1つの液体を含む酸化膜除去可能な液体を用いることができる。
【0080】
また、用途に応じて、例えば、基板Wとしては、薄膜トランジスタを形成するための絶縁性基板あるいは単結晶Si基板を用いることができる。この場合には、さらに基板Wが、酸化膜除去可能な液体の処理により疎水性を示すもの、あるいは、酸化性ガスの処理により親水性を示すものを用いることができる。さらに加えて、基板Wが、その少なくとも一部分がSiを主成分とする材料であるものであっても良く、このとき、基板Wの少なくとも一部分が非晶質あるいは結晶性のSiである基板Wを用いることができる。この場合には、そのSiを非晶質あるいは結晶性のPドープ(注入)Siとしても良い。