(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置では、観察者の側に配置される透明基板と、この透明基板に対向して観察者とは反対側に配置される透明基板との間に、液晶層が挟持されており、各基板の内面に設けられた電極間に印加される電界に応じて、液晶層を透過する光の偏光状態が制御される。また、2枚の基板を挟んで、観察者の側とその反対側に一対の偏光板が配置される。
【0003】
液晶表示装置は、液晶層の初期配向状態並びに電圧印加時の動作状態および配向状態などから、いくつかのモードに分類される。例えば、液晶テレビや、自動車などの車両のインストルメントパネルなどいわゆる車載用に利用される液晶表示装置には、VA(Vertical Alignment)モードが用いられる(例えば、特許文献1および2参照。)。VAモードは、正面から見たときのコントラスト比が高く、また、視野角が広いことから、視認性に優れたモードである。
【0004】
VAモードでは、基板間に挟持されるのは、初期配向状態が基板と概ね垂直(垂直配向)な負の誘電率異方性(Δε)を有するネマチック液晶層である。液晶層を挟んで、通常はクロスニコルを構成するように一対の偏光板が配置される。電極を介して液晶層に電圧を印加すると、液晶の配向が変化し、液晶分子が電界に対して垂直、すなわち、液晶の配向方向が基板と平行になるように電界強度に応じて傾斜する。これにより、電圧を印加した部分と印加していない部分とで、液晶の屈折率異方性(Δn)と液晶層の厚み(d)との積(Δn・d)によって定まる光の透過特性、特に、色味に違いが生じる。液晶表示装置では、こうした性質を利用して所望とする表示が行われる。
【0005】
上述したように、VAモードでは、液晶層が負の誘電率異方性を有する。したがって、液晶には負の誘電率異方性を示すものが用いられる。かかる液晶としては、例えば、分子構造にシアノ基を有するものが知られている。しかし、この液晶は、粘性が高いために、液晶表示装置の駆動時における液晶の応答速度を著しく遅くするという問題がある。また、信頼性が低く、耐熱性にも乏しいことや、不純物の除去が困難であるために、液晶の性能および安定性の低下をもたらし易いなどの問題もある。一方、分子構造にフッ素原子を有する液晶も負の誘電率異方性を示すことが知られている。この液晶は、粘性が低いので、液晶表示装置の駆動時における液晶の応答速度を速くすることができる。また、信頼性が高く、耐熱性にも優れていることや、精製が容易であるなどの利点を有している。このため、VAモードでは、含フッ素型の液晶を選択し、これを用いて液晶層を構成するのが一般的となっている。
【0006】
ところで、液晶表示装置の表面に設けられた保護用の樹脂フィルムを剥がしたり、帯電した使用者が液晶表示装置に触れたりすると、液晶表示装置の表面に静電気が生じる。すると、静電気により液晶層に電圧が印加されて液晶の配向が変化し、本来表示したい部分とは異なる部分が表示される現象(以下、表示不良と称す。)が起こる。特に、含フッ素液晶を用いて構成された液晶層では、液晶が高純度であるために比抵抗が高くなり、液晶層を通して静電気を逃がすことが困難である。このため、液晶表示装置における表示不良が顕著となる。
【0007】
表示不良は、液晶表示装置の電極パターンによっても影響される。
【0008】
例えば、アクティブマトリクス型の液晶TVなどでは、ドットマトリクス構造が使用されるが、この構造は、開口率が比較的高く、表示部で電極が密に配置される。したがって、液晶表示装置の表面に静電気が発生しても、電極を介してこれを分散させることが比較的容易である。また、カラーフィルタのブラックマスクによって、異常点灯した部分、すなわち、本来表示されるべきではない部分が隠されるので、表示不良を観察者に見え難くすることもできる。
【0009】
これに対して、キャラクター表示を行うことのできるパッシブマトリクス型の液晶表示装置では、静電気による表示不良の問題が顕在化しやすい。キャラクター表示では、電極構造が密なドットマトリクス構造ではなく、表示部の開口率が70%以下であり、表示部内で電極の形成されていない部分の面積が大きい構造となっている。したがって、電極を利用して静電気を分散させることが困難であり、直流電荷が局在化して異常点灯による表示不良を引き起こす。観察者にとっては、本来表示されるべき部分と、表示されるべきではない部分とがどちらも画面上に点灯されることになるので、表示機能の低下をもたらすことになる。
【0010】
また、パッシブマトリクス型の液晶表示装置は、カラーフィルタを使用しない構造のものが多い。このため、本来表示されるべきではない部分の異常点灯を隠すためには、新たにブラックマスクを設ける必要があり、製造コストを大幅に上昇させてしまうという問題もある。
【0011】
一方、こうした表示不良を抑制する方法の1つとして、液晶にその比抵抗を低下させる物質を添加することが考えられる。しかしながら、この方法では、表示不良の十分な抑制を期待できないことが分かっている。
【0012】
また、液晶表示装置の一方の基板の外面に外部ITO(Indium Tin Oxide)電極を設けて、液晶層に静電気による電圧が印加されないようにすることも考えられる。例えば、液晶表示装置の外縁にメタルフレームを設け、導電性弾性体を介して外部ITO電極とメタルフレームを電気的に接続する。メタルフレームを接地することにより、上記一方の基板の側に静電気が発生したとしても、静電気は、外部ITO電極から導電性弾性体とメタルフレームを通じて放電される。
【0013】
しかし、外部電極を設ける構造の場合、外部接続する電位と、液晶の駆動波形の平均電位との間に相違があると、外部電極と液晶表示装置を構成する基板の内面に設けられた電極との間に電位差が発生する。すると、液晶表示装置の長時間の使用によって、液晶中のイオン性物質が移動して内部分極を生じ、静電気による電圧印加がなくても表示不良が起こるようになる。かかる表示不良は高温下で顕著である。
【0014】
また、液晶表示装置の外縁であるメタルフレームが、上述の外部ITO電極と電気的に接続している構造について好ましくないとされる場合もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、こうした点に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明は、外部接続する電位と、液晶の駆動波形の平均電位との間に相違がある構成であっても、表示不良の発生を抑制することのできる液晶表示装置の製造方法を提供することにある。
【0017】
本発明の他の目的および利点は、以下の記載から明らかとなるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の第1の態様は、互いに対向する一対の基板と、
一対の基板の間に挟持された液晶層と、
前記液晶層を介して互いに対向する一対の電極と、
一対の電極のそれぞれに接続する駆動回路と、
一対の基板の少なくとも一方で前記液晶層の側とは反対の側に設けられた外部電極とを備えた液晶表示装置であって、
外部電極に接続するコンデンサを有し、
外部電極はそのコンデンサを介してグラウンドに接続することを特徴とするものである。
【0019】
本発明の第1の態様において、外部電極に接続するコンデンサの静電容量の大きさは、一対の電極と外部電極との間の静電容量以上であることが好ましい。
【0020】
本発明の第1の態様において、コンデンサの静電容量の大きさは、一対の電極と外部電極との間の静電容量の10倍以上であることが特に好ましい。
【0021】
本発明の第1の態様において、外部電極に接続するコンデンサと並列に接続するアレスタを有することが好ましい。
【0022】
本発明の第2の態様は、互いに対向する一対の基板と、
一対の基板の間に挟持された液晶層と、
液晶層を介して互いに対向する一対の電極と、
一対の電極のそれぞれに接続する駆動回路と、
一対の基板の少なくとも一方で前記液晶層の側とは反対の側に設けられた外部電極とを備えた液晶表示装置であって、
外部電極に接続するアレスタを有し、
外部電極はそのアレスタを介してグラウンドに接続することを特徴とするものである。
【0023】
本発明の第3の態様は、互いに対向する一対の基板と、
一対の基板の間に挟持された液晶層と、
液晶層を介して互いに対向する一対の電極と、
一対の電極のそれぞれに接続する駆動回路と、
一対の基板の少なくとも一方で前記液晶層の側とは反対の側に設けられた外部電極とを備えた液晶表示装置であって、
外部電極にそれぞれ接続するコンデンサとツェナーダイオードを含む構成とされた回路部を有し、
そのコンデンサはグランドに接続することを特徴とするものである。
【0024】
本発明の第3の態様において、そのコンデンサの静電容量の大きさは、一対の電極と外部電極との間の静電容量以上であることが好ましい。
【0025】
本発明の第3の態様において、回路部に第1のツェナーダイオードと第2のツェナーダイオードが備えられ、
第1のツェナーダイオードは、コンデンサと並列に接続され、
第2のツェナーダイオードは、外部電極と駆動回路の電源との間にあって、外部電極と電源とを接続することが好ましい。
【0026】
本発明の第3の態様において、回路部の第1のツェナーダイオードおよび第2のツェナーダイオードの降伏電圧はそれぞれ、駆動回路から供給される液晶層の駆動波形の平均電圧の値に設定され、
第1のツェナーダイオードは、アノードがグラウンドに接続され、カソードが外部電極に接続されるよう配設され、
第2のツェナーダイオードは、カソードが駆動回路の電源に接続され、アノードが外部電極に接続されるよう配設されることが好ましい。
【0027】
本発明の第3の態様において、一対の基板のうちの一方に外部電極が配設され、他方の基板の液晶層の側の端部には、電源に接続するための第1の電極パッドと、グラウンドに接続するための第2の電極パッドとが設けられ、その第1の電極パッドおよび第2の電極パッドと外部電極との間にはそれらの間を接続するフレキシブルプリント基板が配設され、
回路部はフレキシブルプリント基板上に搭載されることが好ましい。
【0028】
本発明の第3の態様において、回路部はフレキシブルプリント基板の第1の面に搭載され、フレキシブルプリント基板は第1の面を裏面として各電極パッドの側および外部電極の側に向け、第1の電極パッドおよび第2の電極パッドと外部電極との間を接続するよう構成されたものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、外部接続する電位と、液晶の駆動波形の平均電位との間に相違がある構成であっても、表示不良の発生を抑制することのできる液晶表示装置が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本実施の形態における液晶表示装置は、パッシブマトリクス構造である。すなわち、画像表示を構成する各画素部分には、TFT等のスイッチング素子が設けられておらず、電極層を用いたパッシブ駆動によって目的の画像が表示される。また、本実施の形態では、VAモードの液晶表示装置を例にとり説明するが、他のモードの液晶表示装置であってもよい。
【0032】
図1(a)は、セグメント電極の駆動波形を示したものである。この例では、平均電位は3.15Vとなっている。一方、
図1(b)は、後述する外部ITO電極の電位を示したものであり、ESD(Electrostatic Discharge)対策としては一般に接地するので、通常は0Vである。このように、セグメント電極の駆動波形は、常に接地電位より高い電位にある。このため、例えば、
図1(a)および(b)の場合、平均電位で3.15Vの電圧が液晶層に常時印加されることになる。
【0033】
図2(a)および(b)は、液晶表示装置の部分断面図である。これらにおいて、符号201a、201bは基板を、符号202a、202bは偏光板を、符号203はコモン電極を、符号204はセグメント電極を、符号205a、205bは配向膜を、符号206は液晶層を、符号207は外部ITO電極をそれぞれ示している。
【0034】
図2(a)は、液晶を駆動させるための通電をした直後の電荷の様子を示す模式図である。液晶中には、微量な不純物として正の電荷のイオン性物質208と負の電荷のイオン性物質209とが含まれている。これらは、液晶層206に電圧を印加しない状態では液晶中に分散している。一方、液晶層206に電圧を印加すると、液晶中に含まれるイオン性物質が外部ITO電極207とセグメント電極204の間の直流電界に応じて移動する。すなわち、
図2(a)に示すように、正の電荷のイオン性物質208は、コモン電極203のない配向膜205aの方に移動し始め、負の電荷のイオン性物質209は、セグメント電極204の方へ移動し始める。これは、コモン電極203とセグメント電極204によって液晶層206に電圧を印加し液晶を駆動させると、
図1で説明したように、外部ITO電極207とセグメント電極204の間に平均電位3.15Vの電圧が印加されるためである。
【0035】
図2(b)は、通電開始から所定時間を経過した後の電荷の様子を示す模式図である。液晶層206への連続通電により、コモン電極203のない配向膜205aの表面には、正の電荷のイオン性物質208が集まる。一方、セグメント電極204の表面には、負の電荷のイオン性物質209が集まる。かかる液晶中での内部分極が液晶の閾値電圧を超えると、コモン電極203のない配向膜205aと、セグメント電極204との間でいわゆる異常点灯が起こる。すなわち、本来表示したい部分とは異なる領域で点灯が起こるため、液晶表示装置における表示不良となる。かかる現象は特に高温下で発生し易い。これは、高温下では液晶の粘度が低下し、不純物が液晶中で移動し易くなるためと推察される。また、高温下では、液晶を駆動する最適電圧が低下することにより、異常点灯が発生する閾値電圧も低下する。このため、温度にかかわらず液晶表示装置の駆動回路からの供給電圧が一定であれば、高温下の方が表示不良は発生し易くなる。
【0036】
次に、本発明の実施形態の液晶表示装置の構成について述べる。
【0037】
<実施の形態1>
図3は、本発明の第1実施形態の液晶表示装置100の模式的な断面図である。液晶表示装置100は、VAモードの液晶表示装置である。但し、本実施の形態においては、TN(Twisted Nematic)モードやSTN(Super−Twisted Nematic)モードなどであってもよく、特に限定されるものではない。
【0038】
図3に示すように、液晶表示装置100は、一対の透明なガラス製の基板101a、101bと、これらの基板に挟持されて複数の液晶からなる液晶層106と、各基板の液晶層106とは反対側の面に配置された一対の偏光板102a、102bとを有する。
【0039】
ガラス基板の例としては、アルカリガラス、無アルカリガラスおよび石英ガラスなどからなる無機ガラス基板が挙げられる。尚、基板101a、101bは、ガラス基板に限られるものではなく、可視光に対する透過率が高い他の材料からなる基板を用いることも可能である。例えば、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリビニルアルコールおよびポリフッ化ビニルなどのフッ素含有ポリマーなどの透明樹脂からなる基板が挙げられる。但し、耐熱温度や剛性が高い点で、無機ガラスからなる基板を用いることが好ましい。
【0040】
基板101a、101bの厚みは、特に限定されないが、通常は0.2mm〜1.5mmとすることができ、好ましくは0.3mm〜1.1mmである。この基板101a、101bには、必要に応じて、アルカリ溶出防止、接着性向上、反射防止またはハードコートなどを目的とした、無機物または有機物などからなる表面処理層が設けられていてもよい。
【0041】
基板101aにはコモン電極103が設けられており、基板101bにはセグメント電極104が設けられている。コモン電極103とセグメント電極104は、いずれもITO電極であり、所望の画像表示ができるようパターニングされている。また、コモン電極103とセグメント電極104は、いずれも外部の駆動回路120と接続している。尚、基板101aにセグメント電極が設けられ、基板101bにコモン電極が設けられる構成であってもよい。
【0042】
また、基板101a、101bには、それぞれ他方の基板との対向面に配向膜105a、105bが設けられている。これらの配向膜は垂直配向性である。液晶は、負の誘電率異方性を有しており、初期配向状態として基板101a、101bに対し垂直に配向する。この液晶表示装置100においては、コモン電極103とセグメント電極104によって液晶層106に電圧を印加し、液晶が基板101a、101bと平行になるように傾斜させると、液晶層106の光学異方性が変化して画像が表示される。
【0043】
配向膜105a、105bは、例えば、チッソ株式会社製の配向膜材料(商品名:A−8530)をフレキソ印刷法にて基板上に成膜し、180℃で焼成することで形成される。配向膜105a、105bの厚さは適宜設定可能であるが、例えば600Å程度の厚さとすることができる。配向膜105a、105bの表面にソフトラビング処理を施すことで、電界印加時の液晶の動作方向が定められる。
【0044】
尚、配向膜は、液晶を配向させる機能を有するものであればよく、上記例以外のものを用いることも可能である。具体的には、液晶表示装置の仕様に応じて適宜選択することができる。例えば、ポリイミド、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルシンナメートおよびポリスチレンなどの有機材料、または、SiO
2およびAl
2O
3などの無機材料などが挙げられる。配向処理には、ラビング法以外にも、SiOの斜め蒸着法、イオンビーム法または光配向法などを用いることができる。
【0045】
基板101aの観察者側の面には、外部ITO電極107が設けられている。外部ITO電極107は、基板101aの観察者側の面全体に設けることができる。また、本発明の第1の実施形態である液晶表示装置100では、外部にコンデンサ121を有している。そして、基板101a上に設けられた外部ITO電極107は、このコンデンサ121を介してグラウンドに接続する。
【0046】
偏光板102aは、外部ITO電極107の上に、外部ITO電極107の全面を被覆しない大きさで設けられる。外部ITO電極107の上で偏光板102aが設けられていない領域には、絶縁性スペーサ108が設けられている。また、基板101a、101b等の構成部材の周囲にはベゼル109が設けられている。ベゼル109は、液晶表示装置100の外縁をなす。
【0047】
偏光板102aとしては、株式会社ポラテクノ製の偏光板(商品名:SHC−13UL2SZ9)を用いることができ、偏光板102bとして、同社製の別の偏光(商品名:000R220N−SH38L2S)を用いることができる。この場合、観察者側から見たときの基準軸から偏光板102aの吸収軸までの反時計回りの角度θ1が45°となるようにするとともに、上記基準軸から偏光板102bの吸収軸までの反時計回りの角度θ2が135°となるように配置する。その後、偏光板102a、102bの上に、それぞれ保護用の樹脂フィルム(図示せず)を設ける。
【0048】
本実施の形態の液晶表示装置100は、上述したようにコンデンサ121を有する。そして、外部ITO電極107は、このコンデンサ121を介してグラウンドに接続する。コンデンサ121を有することにより、液晶表示装置100の駆動によって液晶層106中に発生した内部分極を低減することができる。また、ESD(Electrostatic Discharge)により誘起された電荷を分流することができる。
【0049】
セグメント電極104とコモン電極103は、駆動回路120を介してグラウンドに接続している。これにより、外部ITO電極107と、基板101b上のセグメント電極104との間には、コンデンサ構造が形成されることになる。そして、コンデンサ121は、この実質的なコンデンサ構造に対して並列に接続する。よって、液晶表示装置100においては、外部ITO電極107と基板101b上のセグメント電極104との間で構成されるコンデンサに蓄積された電荷をコンデンサ121で分配することができる。その結果、液晶表示素子100に発生した液晶層106中の内部分極が低減され、液晶表示素子100の異常点灯を最小限に抑えることができる。
【0050】
液晶表示素子100の有するコンデンサ121の容量については、上述した外部ITO電極107とセグメント電極104との間で構成されるコンデンサと等しい容量か、または、それ以上の大きさの容量であることが好ましい。そしてさらに、コンデンサ121の容量は、外部ITO電極107とセグメント電極104との間で構成されるコンデンサの容量の10倍以上であることがより好ましい。
【0051】
コンデンサ121の望ましい容量について概算する。外部ITO電極107は、基板101aの観察者側の面全体に設けられているとする。セグメント電極104は、外部ITO電極107と同じ面積であるとして大きさを10cm
2とする。基板101aは、ガラス基板であって厚さが0.7mmであるとする。以上の場合、外部ITO電極107とセグメント電極104との間で構成されるコンデンサの容量は、約60pFと概算することができる。
【0052】
したがって、外部ITO電極107とセグメント電極104との間で構成されるコンデンサの容量に対し、コンデンサ121の容量を10倍にすると、外部ITO電極107と基板101b上のセグメント電極104との間で誘起される電界は、コンデンサ121を有しない場合の1/10以下にすることができる。具体的には、コンデンサ121の容量を、上記した概算値の10倍である600pFとすることが可能である。このようにすることで、液晶表示素子100では、液晶層106内の内部分極の程度をコンデンサ121が無い場合の1/10以下にすることができる。
【0053】
図3の例では、基板101aの観察者側の面に外部ITO電極107を設けている。しかし、本発明では、一対の基板の両外側に外部ITO電極を設けてもよい。
図4を用いてこの構成の液晶表示装置について説明する。
【0054】
図4は、本発明の第1実施形態の液晶表示装置の別の例である。尚、
図4において、
図3に示したものと同様の構成要素については、
図3と同一の符号を付し、説明を省略する。
【0055】
図4に示す液晶表示装置300では、基板101bと偏光板102bとの間に外部ITO電極322が設けられている。外部ITO電極322は、基板101a側の外部ITO電極107と接続しており、コンデンサ121を介してグラウンドと接続する。
【0056】
このように、基板101b上に外部ITO電極322を設けることにより、基板101a上の外部ITO電極107と、基板101b上の外部ITO電極322とが等電位となるので、基板101aと基板101bで挟持された液晶層106で異常点灯が発生するのを防止できる。また、コンデンサ121と接続することにより、外部ITO電極107、322と、基板101a上のコモン電極103や基板101b上のセグメント電極104との間に蓄積された電荷をコンデンサ121で分配することができる。
【0057】
<実施の形態2>
図5は、本発明の第2実施形態の液晶表示装置である。
【0058】
図5に示す液晶表示装置400は、
図3に示す液晶表示装置100と同様にコンデンサ121を有する。そして、外部ITO電極107がコンデンサ121を介してグラウンドと接続する。また、液晶表示装置400では、ESD対策部品であるアレスタ(Arrester)401を有している。アレスタ401は、コンデンサ121と並列に接続している。以下、
図5において、
図3に示したものと同様の構成要素については、
図3と同一の符号を付し、説明を省略する。
【0059】
液晶表示装置400において、アレスタ401は、過渡的な異常高電圧によって回路が損傷されるのを防止する電子部品である。すなわち、アレスタ401は、回路中に意図的に絶縁性に劣る部分を作るように機能する。この部分が異常高電圧によって破壊されることにより、電流をバイパスさせて、回路部分が保護されるようにしている。そして、異常高電圧の印加が終息した後は、直ちに元の絶縁性を回復する機能を備える。
【0060】
アレスタ401としては、ESD保護のために使用されるEPCOS社製のサージアレスタ(Surge Arrester)(商品名:G31−A75X)を用いることができる。この場合、アレスタ401の絶縁抵抗値は1GΩ以上となるが、過渡的な異常高電圧が印加されると導通するように機能する。
【0061】
以上の構成によって、液晶表示装置400では、外部ITO電極107と、基板101b上のセグメント電極104との間に蓄積された電荷をコンデンサ121で分配することができる。また、外部ITO電極107と、基板101b上のセグメント電極104との間やコンデンサ121に異常な高電圧が印加されることになっても、電流をバイパスしてグラウンドに逃がすようにすることができるので、液晶層106中の内部分極を低減して、液晶表示素子400における異常点灯を最小限に抑えることができる。
【0062】
尚、
図5の構成を備えた液晶表示装置においては、
図4に示した液晶表示装置300と同様に、外部ITO電極を一対の基板の両外側に設けてもよい。この構成によれば、一対の基板の両外側にそれぞれ配置された外部ITO電極間は等電位となるので、液晶層で異常点灯が発生するのを防止できる。また、コンデンサと接続することにより、外部ITO電極と、基板上のコモン電極やセグメント電極との間に蓄積された電荷をコンデンサで分配することができる。さらに、外部ITO電極と、基板上のセグメント電極およびコモン電極との間や、外部に設けたコンデンサに非常に高い電圧が印加されることがあっても、アレスタによって電流をバイパスしグラウンドに逃がすことができる。
【0063】
図6は、本発明の第2実施形態の液晶表示装置の別の例である。
【0064】
上述した
図3に示す液晶表示装置100は、コンデンサ121を有し、外部ITO電極107がコンデンサ121を介してグラウンドと接続する構造であった。これに対して、
図6に示す液晶表示装置500は、ESD対策部品であるアレスタ(Arrester)501がコンデンサ121に代えて接続された構造である。以下、
図6において、
図3に示したものと同様の構成要素については、
図3と同一の符号を付し、説明を省略する。
【0065】
アレスタ501は、上述したように、回路中に意図的に絶縁の弱い部分を作るように機能する。この部分を異常高電圧によって破壊、電流をバイパスさせることにより、異常高電圧を抑制し、重要な回路部分が保護されるようにする。そして、異常高電圧の印加が終息した後は、直ちに元の絶縁を回復する機能を備える。
【0066】
外部ITO電極107とセグメント電極104との間で電荷が蓄積されないようにするには、外部ITO電極107を固定電位にせず電気的に浮遊状態にあるようにすればよい。つまり、
図5の液晶表示装置400に示すようなアレスタ501をコンデンサに並列に接続して設ける構造に限られず、
図6の液晶表示装置500のように、アレスタ501を単独で使用する構造も考えられる。
【0067】
液晶表示装置500の場合、アレスタ501としては、
図5の液晶表示装置400と同様に、EPCOS社製のサージアレスタ(Surge Arrester)(商品名:G31−A75X)を用いることができる。この場合、アレスタ501の絶縁抵抗値は1GΩ以上であり、静電容量は1pF以下である。液晶表示装置500の通常動作時においては、アレスタ501は、微小容量のコンデンサが外部ITO電極107に接続されているように機能する。一方、過渡的な異常高電圧が印加されると導通するように機能する。
【0068】
以上のような構成により、液晶表示装置500においては、外部ITO電極107とセグメント電極104との間で構成されるコンデンサに蓄積された電荷が非常に高電圧となった場合にのみ、アレスタ501が電流をバイパスして電荷をグラウンドに逃がすように働く。その結果、液晶層106中の内部分極が低減され、液晶表示素子500の異常点灯が最小限に抑えられる。
【0069】
尚、
図6の構成を備えた液晶表示装置においては、
図4に示した液晶表示装置300と同様に、外部ITO電極を一対の基板の両外側に設けてもよい。この構成によれば、一対の基板の両外側にそれぞれ配置された外部ITO電極間は等電位となるので、液晶層で異常点灯が発生するのを防止できる。また、外部ITO電極と、基板上のコモン電極やセグメント電極との間に電荷が蓄積され、非常に高い電圧が印加されることになっても、アレスタによって電流をバイパスしグラウンドに逃がすことができる。
【0070】
以上述べたように、本発明の第1および第2の実施形態によれば、外部接続する電位と、液晶の駆動波形の平均電位との間に相違がある構成であっても、グラウンドと接続するコンデンサやアレスタを配設することにより、液晶層付近に蓄積された電荷を分配することができ、それら蓄積された電荷の放電を容易にして表示不良の発生を抑制することができる。本発明の第1および第2の実施形態の構成は、特に、初期配向状態が基板と概ね垂直(垂直配向)な負の誘電率異方性(Δε)を有する液晶層が基板間に挟持された、パッシブマトリクス型VAモードの液晶表示装置に有効である。
【0071】
<実施の形態3>
図7は、本発明の第3実施形態の液晶表示装置の構造を説明する模式的な斜視図である。
図8は、本発明の第3実施形態の液晶表示装置の構造を説明する模式的な平面図である。
【0072】
図7および
図8に示す第3実施形態の液晶表示装置600は、後述するように、
図3を用いて説明した第1実施形態の液晶表示装置100と同様のVAモード液晶表示装置である。したがって、以下では、表示装置100と重複する説明は省略し、本実施形態の主要な構成を中心に説明する。液晶表示装置600を説明する
図7等においては、第1実施形態の液晶表示装置100と同様の構成要素について、
図3と同一の符号を付して説明する。
【0073】
本実施形態の液晶表示装置600は、上述した第一実施形態の液晶表示装置100と同様の構造を有するVAモードの液晶表示装置である。但し、本実施の形態においては、TN(Twisted Nematic)モードやSTN(Super−Twisted Nematic)モードなどであってもよく、特に限定されるものではない。
【0074】
図7に示すように、液晶表示装置100は、一対の透明なガラス製の基板101a、101bと、これらの基板に挟持されて複数の液晶からなる液晶層(図示されない)と、基板101aの、液晶層とは反対側の面に配置された一対の偏光板102aと、基板101bの、液晶層とは反対側の面に配置された偏光板(図示されない)とを有する。
【0075】
基板101aには、
図3に示した第1実施形態の液晶表示装置100と同様、コモン電極(図示されない)が設けられており、基板101bにはセグメント電極(図示されない)が設けられている。コモン電極とセグメント電極は、いずれもITO電極であり、所望の画像表示ができるようパターニングされている。また、コモン電極とセグメント電極は、いずれも外部の駆動回路(図示されない)と接続している。尚、基板101aにセグメント電極が設けられ、基板101bにコモン電極が設けられる構成であってもよい。
【0076】
また、基板101a、101bには、それぞれ他方の基板との対向面に配向膜(図示されない)が設けられている。これらの配向膜は、
図3に示した第1実施形態の液晶表示装置100において基板101a、101b上に設けられた配向膜105a、105bと同様のものであり、同様に形成され、垂直配向性を有する。液晶は、負の誘電率異方性を有しており、初期配向状態として基板101a、101bに対して垂直に配向する。液晶表示装置600においては、コモン電極とセグメント電極によって液晶層に電圧を印加し、液晶が基板101a、101bと平行になるように傾斜させると、液晶層の光学異方性が変化して画像が表示される。
【0077】
図7および
図8に示すように、基板101aの観察者側の面(
図7においては上方の面)には、外部ITO電極107が設けられている。外部ITO電極107は、基板101aの観察者側の面全体に設けることができる。
【0078】
本実施形態の液晶表示装置600の基板101b端部の観察者側の面(
図7においては上方の面)には、外部の駆動回路から電源(Vcc)配線を引き出すための電極パッドおよびグラウンド(GND)配線を引き出すための電極パッドなど、複数の電極パッド601が設けられている。そして、電極パッド601を用いて、外部ITO電極107とグラウンドとの間に回路部602を配設する。
【0079】
図9は、第3実施形態の液晶表示装置に配設された回路部の構成を説明する回路図である。
【0080】
図9に示すように、回路部602は、コンデンサ603と第1のツェナーダイオード604および第2のツェナーダイオード605の2つのツェナーダイオードから構成されている。2個配設された第1および第2のツェナーダイオード604、605の降伏電圧は、それぞれ、液晶の駆動波形の平均電位の値に設定されている。
【0081】
そして、第1のツェナーダイオード604においては、グラウンドに対しアノードが接続され、外部ITO電極107に対してカソードが接続される。第2のツェナーダイオード605においては、電源(Vcc)に対しカソードが接続され、外部ITO電極107に対してはアノードが接続される。
【0082】
図9に示す構造の回路部602を有することにより、液晶表示装置600は、外部からの静電気の印加に対して、コンデンサ603により電荷を分配し、また、グラウンドに対して放電させることができる。それとともに外部ITO電極107に残留するDC電位は、おおよそ液晶の駆動波形の平均電位の値に固定することができる。
【0083】
こうして、外部からの静電気の極性が正であっても、負であっても、安定的に外部ITO電極107上の電荷を除去するとともに、その電位を固定することができる。そして、液晶表示装置600において、静電気の印加されない通常使用時においては、外部ITO電極107を電気的に浮遊状態にすることができる。
【0084】
図10は、第3実施形態の液晶表示装置に回路部を配設する方法を説明する模式的な断面図である。
【0085】
回路部602は、フレキシブルプリント基板(FPC:Flexible printed circuits)610に搭載され、基板101a上の外部ITO電極107と基板101b上の電極パッド(
図10中は図示されない)との間に取り付けられる。FPCは、ポリイミド等からなる絶縁性の層と、銅などからなる導電性の層とが積層されて構成されている。導電性の層を裏面側(下面側)とし、回路部602を電極パッドなどの有る、
図10における下面側に搭載することが好ましい。そして、FPC610の、回路部602が搭載されていない面が表の面となるようにして、回路部602を搭載したFPC610を、外部ITO電極107と電極パッドとの間に取り付け、それらの接続を行うことが好ましい。
【0086】
回路部602を搭載したFPC610と外部ITO電極107との電気的な接続は、導電テープ接続やピン接続により行うことができ、また、異方性導電フィルム(AFC)等を用いて行うことも可能である。
【0087】
尚、本発明の第3実施形態の液晶表示装置600の別の例として、
図4に示す液晶表示装置300のように、電極パッド601の設けられた基板101bの観察者側と反対側の面、すなわち、
図7の液晶表示装置600の下方の面に、さらに外部ITO電極を設けることも可能である。この外部ITO電極は、基板101a上の外部ITO電極107と同様の構造を有することができる。そして、外部ITO電極107と接続されて、回路部602の作用により、静電気の印加により蓄積された電荷の放電を容易にして表示不良の発生を抑制することができる。
【0088】
また、液晶表示装置600に含まれる液晶表示素子の有するコンデンサ603の容量については、上述した外部ITO電極107とセグメント電極との間で構成されるコンデンサと等しい容量か、または、それ以上の大きさの容量であることが好ましい。そしてさらに、コンデンサ603の容量は、外部ITO電極107とセグメント電極との間で構成されるコンデンサの容量の10倍以上であることがより好ましい。
【0089】
そして、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、種々変形して実施することができる。例えば、外部電極として基板上に配置したITO電極を例示したが、偏光板の上に外部電極を配置してもよい。