特許第5690235号(P5690235)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5690235
(24)【登録日】2015年2月6日
(45)【発行日】2015年3月25日
(54)【発明の名称】殺微生物コーティング
(51)【国際特許分類】
   C09D 133/26 20060101AFI20150305BHJP
   C09D 5/14 20060101ALI20150305BHJP
   B05D 5/00 20060101ALI20150305BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20150305BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20150305BHJP
【FI】
   C09D133/26
   C09D5/14
   B05D5/00 Z
   B05D7/24 302P
   B32B27/30 A
【請求項の数】9
【外国語出願】
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2011-149772(P2011-149772)
(22)【出願日】2011年7月6日
(65)【公開番号】特開2012-21154(P2012-21154A)
(43)【公開日】2012年2月2日
【審査請求日】2011年7月6日
(31)【優先権主張番号】201010234638.3
(32)【優先日】2010年7月13日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(73)【特許権者】
【識別番号】590002035
【氏名又は名称】ローム アンド ハース カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】特許業務法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘンリー・チェン
(72)【発明者】
【氏名】ヨンニー・ドン・ユン
(72)【発明者】
【氏名】ジェニファー・ライシュ・コリン
(72)【発明者】
【氏名】リン・キャロル・ムンツ
(72)【発明者】
【氏名】ジャネット・ナダイア・ユーネイサン
(72)【発明者】
【氏名】ファンウェン・ゼン
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・ジョン・タッカー
【審査官】 安藤 達也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−131286(JP,A)
【文献】 特開平02−288815(JP,A)
【文献】 特開2010−059419(JP,A)
【文献】 特開2010−013616(JP,A)
【文献】 特開2000−328038(JP,A)
【文献】 特公平01−019429(JP,B2)
【文献】 特表2009−517488(JP,A)
【文献】 特表2005−532304(JP,A)
【文献】 特表2005−523981(JP,A)
【文献】 特表2009−518145(JP,A)
【文献】 特表2002−541310(JP,A)
【文献】 特表2010−503737(JP,A)
【文献】 特開平03−286774(JP,A)
【文献】 特開昭58−083851(JP,A)
【文献】 英国特許第00901709(GB,B)
【文献】 ベルギー国特許発明第622672(BE,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D1/00〜C09D201/10
A01N1/00〜あ01ん65/48
B05D1/00〜B05D7/26
B32B1/00〜B32B43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)1種以上の殺微生物剤
(b)アクリルアミドを重合単位として含み、非アニオン性である1種以上の可溶性ポリマー、並びに
(c)溶媒
を含み、前記ポリマーが前記溶媒に溶解しており、
前記ポリマーが、N−tert−ブチルアクリルアミド/アクリルアミド及びN−イソプロピルアクリルアミド/アクリルアミドからなる群から選択されるコポリマーであ
N−tert−ブチルアクリルアミドまたはN−イソプロピルアクリルアミドの総量が、前記ポリマーの重量を基準にして10重量%〜25重量%である、透明なコーティング組成物。
【請求項2】
前記殺生物剤が1種以上の第四級アンモニウム殺生物剤、1種以上のフェノール系殺生物剤、1種以上のビグアナイド殺生物剤、およびこれらの混合物からなる群から選択される1種以上の殺生物剤を含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項3】
前記組成物が1種以上の湿潤剤をさらに含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項4】
前記組成物が1種以上のアニオン性界面活性剤をさらに含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項5】
前記殺生物剤が1種以上の第四級アンモニウム殺生物剤を含む請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項6】
前記殺生物剤が1種以上の第四級アンモニウム殺生物剤を含み、かつ前記組成物が1種以上のアニオン性界面活性剤をさらに含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項7】
前記第四級アンモニウム殺生物剤:前記アニオン性界面活性剤の重量比が5:1〜30:1である、請求項6に記載のコーティング組成物。
【請求項8】
請求項1に記載の組成物の層を適用し、かつ前記層を乾燥させるかまたは前記層が乾燥するのを可能にすることを含む、基体をコーティングする方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法により製造されたコーティングされた基体。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
その多くが潜在的に有害である微生物の生長が抑制される表面を提供することが多くの場合望まれる。多くの有用な材料は通常は微生物の成長を抑制しない表面を有する。表面の微生物抑制を向上させる1つの有用な方法は、微生物抑制効果を提供するコーティングでその表面をコーティングすることである。
【0002】
表面をコーティングする一般的な方法の1つはその表面に液体コーティング組成物の層を適用し、次いでその層を乾燥させるかまたは乾燥可能にすることである。このような液体コーティング組成物が透明であり貯蔵中に安定なままであることが望ましい。このような液体コーティング組成物が硬い平坦な面に適用される場合に均一に広がることも望まれる。
【0003】
このようなコーティングが、乾燥時に、次の所望の特性の1以上を有することも望ましい:透明性、非粘着性;耐久性;除去可能性;および表面への適用後に長期間(例えば、24時間以上)にわたる通常の使用の下で微生物抑制を維持する能力。
【0004】
微生物抑制性コーティングを提供する1つのアプローチは米国特許出願第12/584,324号(米国特許出願公開第2010/0081729A1号)に開示されており、これは殺微生物剤、溶媒およびポリマーを含むコーティング組成物を記載する。米国特許出願第12/584,324号に記載されるポリマーは、重合単位として、ペンダント複素環式基を有する1種以上のモノマーを含む。このようなモノマーは製造および購入するには高価である場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0081729A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特性の1以上を有し、かつアクリルアミドを含むモノマーから製造される殺微生物コーティングを提供することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(a)1種以上の殺微生物剤
(b)アクリルアミドを重合単位として含み、非アニオン性ポリマーである1種以上の可溶性ポリマー、並びに
(c)溶媒
を含み、前記ポリマーが前記溶媒に溶解しているコーティング組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書において使用される場合、文脈が他のことを明確に示さない限りは、以下の用語は指定の定義を有する。用語「殺微生物剤」、「殺生物剤」、「防腐剤」もしくは「抗微生物化合物」は微生物を殺し、微生物の成長を抑制し、または微生物の成長を制御することができる化合物をいい、殺微生物剤には殺バクテリア剤、殺真菌剤、殺ウイルス剤および殺藻剤が挙げられる。用語「微生物」には、例えば、真菌(酵母およびカビなど)、バクテリア、ウイルスおよび藻類が挙げられる。
【0009】
殺微生物剤によって影響を受ける微生物には、これに限定されないが、オーレオバシディウム・プルランス(Aureobasidium pullulans)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)、ケトミウム・グロボスム(Chaetomium globosum)、エンテロバクター・エアロゲネス(Enterobacter aerogines)、大腸菌(Escherichia coli)、グリオクラドタム・ビレンス(Gliocladtum virens)、クレブシエラ・ニューモニアエ(Klebsiella pneumoniae)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumpophila)、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、マイコバクテリウム・ツベルクローシス(Mycobacterium tuberculosis)、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)、プロテウス・ブルガリス(Proteus vulgaris)、シュードモナス・エルジノーサ(Pseudomonas aeruginosa)、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)、サルモネラ・ガリナラム(Salmonella gallinarum)、サルモネラ・ティフィムリウム(Salmonella typhimurium)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、スタフィロコッカス・エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis)、ストレプトコッカス・アガラクチアエ(Streptococcus agalactiae)、ストレプトコッカス・フェーカリス(Streptococcus faecalis)、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)、トリコフィトン・マルムステン(Trycophyton malmsten)、ビブリオ・パラヘモリティカス(Vibrio parahaemolyticus)、スタキボトリス(Stachybotrys)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、ペニシリウム・フニクロサム(Penicillium funiculosum)、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)およびバンコマイシン耐性エンテロコッカス(VRE)が挙げられる。
【0010】
他に特定されない限りは、本明細書において論じられる温度は摂氏度(℃)であり、パーセンテージに関する言及は重量基準である。
【0011】
本明細書においては、ポリマーの「酸価」はそのポリマーの酸基を中和するのに必要とされる水酸化カリウムのミリグラム数である。「酸価」(他の場合に使用される場合がある)の別の定義はそのポリマーの酸基を中和するのに必要とされる水酸化カリウムのミリ当量である。「別の」酸価が測定される場合には、その「別の」酸価に56.1をかけることによって本明細書において定義される「酸価」に変換される。
【0012】
本明細書において使用され、Textbook of Polymer Science第2版、1971においてFW Billmeyer,JRによって定義されるように、「ポリマー」は、より小さな化学繰り返し単位の反応生成物からなる相対的に大きな分子である。ポリマーは線状、分岐、星形、ループ、超分岐、架橋またはこれらの組み合わせである構造を有しうる;ポリマーは単一種の繰り返し単位を有することができ(ホモポリマー)、またはポリマーは2種以上の繰り返し単位を有することができる(コポリマー)。コポリマーはランダム、シークエンス、ブロック、他の配列で、またはこれらの混合もしくは組み合わせで配列された様々な種類の繰り返し単位を有することができる。
【0013】
本明細書において使用される場合、「ポリマーの重量」とはポリマーの乾燥重量を意味する。
【0014】
互いに反応してポリマーの繰り返し単位を形成することができる分子は本明細書においては「モノマー」と称される。
【0015】
本発明において有用なモノマーの種類の一例は、例えば、エチレン性不飽和モノマー(すなわち、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有するモノマー)である。このようなモノマーには、例えば、ビニルモノマーがあり、これは、少なくとも1つのビニル基を有する分子である(すなわち
【化1】
式中、R、R、RおよびRのそれぞれは独立して、水素、ハロゲン、脂肪族基(例えば、アルキル基など)、置換脂肪族基、アリール基、置換アリール基、他の置換もしくは非置換の有機機、またはこれらの任意の組み合わせである)。
【0016】
好適なビニルモノマーには、例えば、スチレン、置換スチレン、ジエン、エチレン、エチレン誘導体およびこれらの混合物が挙げられる。エチレン誘導体には、例えば、次のものの非置換体もしくは置換体が挙げられる:置換もしくは非置換のアルカン酸のエテニルエステル(例えば、酢酸ビニルおよびネオデカン酸ビニルなど)、アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド、塩化ビニル、ハロゲン化アルケン、およびこれらの混合物が挙げられる。本明細書において使用される場合、「(メタ)アクリル」とはアクリルまたはメタクリルを意味し;「(メタ)アクリル酸エステル((meth)acrylate)」はアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルを意味し;「(メタ)アクリルアミド」はアクリルアミドまたはメタクリルアミドを意味する。「置換」は少なくとも1つの結合した化学基、例えば、アルキル基、アルケニル基、ビニル基、ヒドロキシル基、カルボン酸基、他の官能基およびこれらの組み合わせなどを有することを意味する。好適な置換モノマーには、例えば、1より多い炭素−炭素二重結合を有するモノマー、ヒドロキシル基を有するモノマー、2以上の単位のアルキレンオキシド鎖を有するモノマー、他の官能基を有するモノマー、および官能基の組み合わせを有するモノマーが挙げられる。
【0017】
あるモノマーを単独で、もしくは他のモノマーと共に重合することにより製造されるポリマーは、本明細書においては、モノマーを重合単位として含むと称する。
【0018】
ポリマーの部分である化学基は、それがポリマーに共有結合しているが、ポリマー鎖の骨格の部分ではない場合には、本明細書においては、「ペンダント」であると称される。
【0019】
本明細書において使用される場合、「溶媒」は25℃で液体である物質であって;これは1気圧で25℃を超える沸点を有し;かつ本発明のポリマーを溶解できる。個々のポリマー鎖が溶媒と緊密に接触する場合には、本明細書において、ポリマーは溶媒中に溶解されるみなされる。個々の溶解されたポリマー鎖は線状または分岐であり得る。典型的な溶液においては、それぞれのポリマー鎖はランダムコイル構造またはそれに近い近似である。ポリマー溶液は、23℃で少なくとも5日間の静置で分離相を沈降または形成しないであろう。
【0020】
溶媒は純粋な物質であることができるか、または溶媒は互いに溶解した複数の物質を含むことができる。例えば、溶媒は2以上の混和可能な液体を含むことができる。25℃で固体の物質は、それが液体に溶解するかまたはしないかにかかわらず、溶媒の部分であるとは見なされない。本明細書において使用される場合、溶媒が溶媒の重量基準で50重量%以上の水を含む場合には、溶媒は「水性」である。他の全ての溶媒は本明細書において非水性であると見なされる。
【0021】
本明細書において使用される場合、比率が「X以上(または以下):1」と称される場合には、その比率はY:1の値(ここで、YがXに等しいかもしくはより高い(または等しいかもしくはより低い)を有することを意味する。
【0022】
本明細書において使用される場合、複素環式基(heterocycle)は、環の少なくとも1つのメンバーが窒素原子、酸素原子または硫黄原子である環状有機基である。
【0023】
好ましくは、殺微生物剤の全重量を基準にして、殺微生物剤の50重量%以上はどのポリマーとも共有結合されていない。どのポリマーとも共有結合されていない殺微生物剤の量は、殺微生物剤の全重量を基準にしてより好ましくは75重量%以上;より好ましくは90重量%以上;より好ましくは99重量%以上;より好ましくは100重量%である。
【0024】
好ましくは、本発明の殺微生物剤の分子量は10,000以下;より好ましくは5000以下;より好ましくは1,500以下;より好ましくは750以下である。
【0025】
10,000を超える分子量を有する殺微生物剤が存在しないコーティング組成物が好ましい。1,500を超える分子量を有する殺微生物剤が存在しないコーティング組成物がより好ましい。
【0026】
あらゆる殺微生物剤が本発明における使用に適する。好適な殺微生物剤には、例えば、第四級アンモニウム殺微生物剤、フェノール系殺微生物剤、塩素および臭素酸化殺微生物剤、有機硫黄殺微生物剤、複素環式殺微生物剤、非第四級窒素−含有殺微生物剤、他の殺微生物剤およびこれらの混合が挙げられる。
【0027】
好適な第四級アンモニウム殺微生物剤には、例えば、アルキルピリジニウム化合物、および1以上のトリアルコキシシラン置換アルキル基が第四級窒素に結合されている化合物が挙げられる。
【0028】
好適な第四級アンモニウム殺微生物剤には、第四級窒素原子に結合された基の1以上が8以上の炭素原子を有するアルキル基であるものがある。好適な第四級アンモニウム殺微生物剤は任意の対イオンを有することができる。好ましい対イオンはハロゲン化物イオンであり;より好ましいのは臭化物イオンまたは塩化物イオンである。最も好ましい第4級アンモニウム殺微生物剤は塩化物対イオンを有する。
【0029】
また、好適な第四級アンモニウム殺微生物剤には、第四級窒素原子が2以上の短鎖アルキル基、1以上の長鎖アルキル基、および場合によっては1つのベンジル基に結合されている化合物がある。短鎖アルキル基は3以下の炭素原子;好ましくは2以下の炭素原子;好ましくは1つの炭素原子を有する。長鎖アルキル基は8以上の炭素原子を有する。ベンジル基は、存在する場合には、置換されていなくても置換されていてもよい。好ましい置換ベンジル基には、例えば、ベンゼン環に結合された1、2または3つのハロゲン原子を有するベンジル基;およびベンゼン環に結合された1以上のアルキル基(例えば、エチル基など)を有するベンジル基が挙げられる。
【0030】
好適な第四級アンモニウム化合物は、アルキルジメチルベンジルアンモニウム化合物、ジアルキルジメチルアンモニウム化合物、アルキルトリメチル化合物、およびこれらの混合物である。
【0031】
アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリドは第四級窒素が1つのベンジル基(これは置換されていても置換されていなくてもよい)、2つのメチル基および1つの長鎖アルキル基に結合されている化合物である。ある好適なアルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリドはアルキルジメチルエチルベンジルアンモニウムクロリドである。ジアルキルジメチルアンモニウム化合物は、第四級窒素が2つの長鎖アルキル基および2つのメチル基に結合されている化合物である。アルキルトリメチルアンモニウム化合物は、第四級窒素が1つの長鎖アルキル基および3つのメチル基に結合されている化合物である。
【0032】
アンモニウム化合物が本明細書において、第四級窒素に結合されている「1つ(もしくは2つの)長鎖アルキル基」を有するとして説明される場合、このように説明される化合物は様々な長鎖アルキル基を有する化合物の混合物として存在しうることが意図される。好ましいアルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド化合物は、長鎖アルキル基が12〜18の偶数個の炭素原子を有するアルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリドを含む混合物である。好ましいジアルキルジメチルアンモニウムクロリド化合物は、2つの長鎖アルキル基の少なくとも一方が8個の炭素原子または10個の炭素原子を有するジアルキルジメチルアンモニウムクロリドを含む混合物である。
【0033】
フェノール系殺微生物剤には、フェノール分子の環水素が1以上のハロゲン原子、1以上のフェニル基、1以上のベンジル基、1以上のフェノキシ基、1以上のクロロフェノキシ基、1以上のジクロロフェノキシ基、1以上のアルキル基またはこれらの組み合わせで置換されているものが好ましい。好適なフェノール系殺微生物剤には、2−フェニル−4−クロロフェノール、o−フェニルフェノール、ペンタクロロフェノール、2(2’,4’−ジクロロフェノキシ)−5−クロロフェノール、4−クロロ−3−メチルフェノールおよびこれらの混合物が挙げられる。フェノール系殺微生物剤のなかでは、最も好ましいのはo−フェニルフェノールである。
【0034】
ビグアナイド基は、構造
【化2】
を有する基である。
本明細書において使用される場合、ポリマー系ビグアナイドは2以上のビグアナイド基を含む化合物である。ポリマー系ビグアナイドにおいては、ビグアナイド基は、例えば、架橋基を介して互いに結合されうる。化合物「ビグアナイド」は2つの水素でキャップされたビグアナイド基である。
【0035】
好ましくは、本発明の組成物は1種以上の第四級アンモニウム殺微生物剤、1種以上のフェノール系殺微生物剤、またはこれらの混合物を含む。好ましくは、本発明の組成物中に存在するあらゆる殺微生物剤は、フェノール系殺微生物剤または第四級アンモニウム殺微生物剤である。本発明の好ましい組成物は1種以上の第四級アンモニウム殺微生物剤を含む。好ましくは、本発明の組成物中に存在するあらゆる殺微生物剤は第四級アンモニウム殺微生物剤である。
【0036】
本発明の組成物中の殺微生物剤の好ましい最小量は、組成物の全重量を基準にして、0.01重量%;より好ましくは0.02重量%;より好ましくは0.05重量%;より好ましくは0.1重量%;より好ましくは0.2重量%である。独立して、本発明の組成物中の殺微生物剤の好ましい最大量は、組成物の全重量を基準にして、15重量%;より好ましくは10重量%;より好ましくは8重量%である。
【0037】
本発明は非アニオン性ポリマーである1種以上の可溶性ポリマーの使用を伴う。本発明の非アニオン性ポリマーは10未満の酸価を有する。好ましいポリマーは5未満の酸価を有し;より好ましいのは1未満の酸価を有し;より好ましいのは0.5未満の酸価を有する。本発明の非アニオン性ポリマーはアニオン性基を有しないか、またはポリマーの酸価が上記基準を満たすように充分少ないアニオン性基しか有さない。10以上の酸価を有するあらゆるポリマーは、本明細書において「アニオン性」ポリマーと称される。
【0038】
非アニオン性ポリマーにおいてアニオン性基が少量存在する実施形態では、アニオン性基はあらゆる由来のものであることができる。例えば、非アニオン性ポリマーを生じさせた重合プロセスは、カルボキシル基を含む少量の連鎖移動剤を伴うことができ、このカルボキシル基はポリマー鎖に結合されうることとなる。このような連鎖移動剤が通常の量で使用される場合には、得られるポリマーは10未満の酸価を有するであろう。別の例については、アクリルアミドの重合単位を含むポリマーが過酷な強制条件(高温および/または高pHで長時間など)にかけられたならば、アミド基の幾分かはおそらくは加水分解によってカルボキシル基に変換され得たであろう。このようなポリマーは長期間過酷な強制条件にかけられなければ、10未満の酸価を有するであろう。
【0039】
非アニオン性ポリマーがアニオン性基を有しないという言及は、本明細書においては、本発明の組成物が7以上のpHを有する場合に、本発明の組成物においてポリマーがアニオン性状態である基を有しないことを意味する。好ましくは、本発明の組成物が6以上、より好ましくは5以上、より好ましくは3以上、より好ましくは2以上のpHを有する場合には、ポリマーはアニオン性状態である基を有しない。独立して、本発明の好ましいポリマーはペンダントカルボン酸基を有しない。より好ましくは、本発明のポリマーはペンダントカルボン酸基を有さず、かつペンダントスルホン酸基を有しない。本発明の好ましいポリマーはあらゆる種類のペンダント酸基を有しない。好ましくは、本発明の組成物中のあらゆるポリマーは非アニオン性ポリマーである。より好ましくは、本発明の組成物中のあらゆるポリマーはあらゆる種類のペンダント酸基を有しない。
【0040】
好ましくは、本発明は1種以上の非イオン性可溶性ポリマーの使用を伴う。ポリマーが非イオン性であることの言及は、本明細書においては、本発明の組成物においてポリマーがイオン性の官能基を有しないか、またはイオン性基が存在する場合にはポリマーが上記酸価に関する基準を満たすことを意味する。好ましくは、本発明の組成物が7以上;より好ましくは6以上;より好ましくは5以上;より好ましくは3以上のpHを有する場合に、ポリマーがイオン状態の基を有しないことを意味する。独立して、本発明の組成物が9以下;より好ましくは10以下;より好ましくは12以下のpHを有する場合に、ポリマーがイオン状態の基を有しないのが好ましい。
【0041】
好ましくは、本発明のポリマーはビニルポリマーである。本明細書において使用される場合、ビニルポリマーは、ポリマー骨格を形成するための炭素−炭素二重結合間の重合反応によってビニルモノマーから形成されるポリマーである。好ましいビニルポリマーはフリーラジカル重合によって製造される。好ましくは、本発明のポリマーは(炭素−酸素結合がペンダント基のいずれかに存在するかどうかにかかわらず)ポリマー鎖中に炭素−酸素結合を含まない。好ましくは、本発明の組成物中のあらゆるポリマーはビニルポリマーである。
【0042】
本発明のポリマーはアクリルアミドの重合単位を有する。アクリルアミドは構造I:
【化3】
を有する。
ポリマー中でのアクリルアミドの重合単位の好ましい最小量はポリマーの重量を基準にして5重量%、より好ましくは15重量%、より好ましくは50重量%以上、より好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上である。
【0043】
好ましくは、1種以上の「追加のモノマー」(すなわち、アクリルアミドの他のモノマー)の重合単位を含むポリマーが使用される。使用される追加のモノマーは、本発明のポリマーが可溶性であり非アニオン性であるように選択されるであろうことが意図される。
【0044】
好適な追加のモノマーには、例えば、置換および非置換アルカン酸のエテニルエステル、(メタ)アクリル酸の置換および非置換アルキルエステル、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0045】
好ましい追加のモノマーには、アクリルアミドバリアントモノマー、アクリルアミドバリアントでなく複素環式基を含むモノマー、(メタ)アクリル酸の水可溶性置換アルキルエステル、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0046】
モノマーが、水の重量を基準にして0.1重量%以上のモノマー量で水に可溶である場合には、モノマーは水可溶性であると本明細書において見なされる。好ましくは、水可溶性モノマーが使用される場合には、その水可溶性モノマーは水の重量を基準にして0.3重量%以上;より好ましくは1重量%以上;より好ましくは3重量%以上のモノマー量で水に可溶である。
【0047】
アクリルアミドバリアントモノマーは構造II:
【化4】
を有し、式中、R、RおよびRの1以上は水素ではない。Rは水素もしくはメチルである。RおよびRは、互いに独立して、水素、非置換アルキルもしくは置換アルキルである。好ましいアルキル基は1〜12個の炭素原子を有する。好適なアルキル基は線状、分岐、環式、またはこの組み合わせであり得る。アルキル基上の好適な置換基は、存在する場合には、例えば、アミン基、アルキルアミン基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子またはこの組み合わせであり得る。
【0048】
好ましいアクリルアミドバリアントモノマーはグループAのものおよびグループBのものである。グループAモノマーはRが水素であり、Rが水素であり、かつRが非置換アルキル基である構造IIを有する。グループAモノマーの中では、好ましくは、Rは2〜6個の炭素原子を有する非置換アルキル基であり;より好ましくは、Rはイソプロピルもしくはtert−ブチルである。グループBモノマーはRが水素であり、Rが非置換アルキル基であり、およびRがRと同じ非置換アルキル基である構造IIを有する。グループBモノマーの中では、好ましくはRはメチルである。グループAモノマーが好ましい。
【0049】
1種以上のアクリルアミドバリアントモノマーの重合単位を含むポリマーでは、アクリルアミドバリアントモノマーの好ましい最小総量はそのポリマーの重量を基準にして1重量%;より好ましくは2重量%;より好ましくは5重量%;より好ましくは8重量%;より好ましくは10重量%以上である。独立して、アクリルアミドバリアントモノマーの好ましい最大総量はそのポリマーの重量を基準にして50重量%;より好ましくは35重量%;より好ましくは25重量%である。
【0050】
追加のモノマーの別の好適な種類(本明細書において「複素環式モノマー」と称される)はアクリルアミドバリアントモノマーではなく、1以上のペンダント複素環式基を有するモノマーである。本明細書において使用される場合、複素環式基が重合反応に関与しないであろうようにモノマーに共有結合されている場合には、その複素環式基はペンダントである。それぞれの好適な複素環式基は、1以上の窒素、もしくは1以上の酸素、もしくは1以上の硫黄、もしくはそれらの組み合わせである複素環の1以上のメンバーを有する。
【0051】
複素環式モノマーの重合単位を含まないか、または複素環式モノマーの重合単位をポリマーの重量を基準にして5重量%未満の量しか含まないポリマーが好ましい。複素環式モノマーの重合単位を含まないポリマーがより好ましい。
【0052】
好ましいポリマーは1種以上の追加のモノマーの重合単位を含む。1種以上のグループAモノマー、または1種以上の複素環式モノマー、またはこれらの混合の重合単位を含むポリマーがより好ましい。1種以上のグループAモノマーの重合単位を含むポリマーがより好ましい。1種以上のグループAモノマーの重合単位を含み、1種以上のペンダント複素環式基を有する何らかのモノマーの重合単位を有しないポリマーがより好ましい。1種以上のグループAモノマーおよびアクリルアミドの重合単位を含むポリマーがより好ましい。
【0053】
ある実施形態においては、1種以上の多官能性モノマーの重合単位を有するポリマーが使用される。ビニルポリマーにおいては、多官能性モノマーはビニル重合に関与することができる炭素−炭素二重結合を2つ以上有するものである。多官能性モノマーの重合単位を有しないポリマーが好ましい。
【0054】
あらゆる使用されるポリマーが1以上のペンダント複素環式基を有する何らかのモノマーの重合単位を有しないポリマーである本発明の組成物が好ましい。使用されるあらゆるポリマーが、あらゆる重合単位がアクリルアミド、1種以上のグループAモノマーおよびこれらの混合物から選択されるポリマーである本発明の組成物が好ましい。
【0055】
あらゆる重合単位が非イオン性モノマーであるポリマーが好ましい。
【0056】
アニオン性ポリマーを含まないか、何らかのアニオン性ポリマーが存在する場合には、全てのアニオン性ポリマー:全ての非アニオン性ポリマーの重量比0.1以下:1、より好ましくは0.01以下:1を有するコーティング組成物が好ましい。アニオン性ポリマーを含まないコーティング組成物がより好ましい。アニオン性基を有するポリマーを含まないコーティング組成物がより好ましい。
【0057】
1種以上の非イオン性ポリマーを含むコーティング組成物であって、イオン性基を有するポリマーを含まないか、またはイオン性基を有する何らかのポリマーが存在する場合には、イオン性基を含む全てのポリマー:イオン性基を有しない全てのポリマーの重量比0.1以下:0、より好ましくは0.01以下:1を有するコーティング組成物が好ましい。1種以上の非イオン性ポリマーを含むが、イオン性基を有するポリマーを含まないコーティング組成物がより好ましい。
【0058】
好ましくは、本発明のコーティング組成物においては、ポリマーの量は組成物の全重量を基準にして、0.01重量%以上;より好ましくは0.02重量%以上;より好ましくは0.05重量%以上;より好ましくは0.2重量%以上;より好ましくは0.5重量%以上である。独立して、好ましくは、ポリマーの量は組成物の全重量を基準にして、10重量%以下;より好ましくは5重量%以下;より好ましくは2.5重量%以下である。
【0059】
本発明のコーティング組成物中で使用されるポリマーの量とは無関係に、殺微生物剤:ポリマーの好ましい重量比は0.01以上:1、より好ましくは0.02以上:1、より好ましくは0.05以上:1、より好ましくは0.1以上:1である。独立して、好ましくは、殺微生物剤:ポリマーの重量比は8以下:1、より好ましくは5以下:1、より好ましくは2以下:1、より好ましくは1以下:1、より好ましくは0.5以下:1である。
【0060】
本明細書における上記コーティング組成物に加えて、濃縮組成物も意図される。濃縮組成物はコーティング組成物と同じ材料を有する。濃縮組成物においては、非溶媒材料の互いに対する比率はコーティング組成物におけるのと同じであるが、濃縮組成物中のポリマーの濃度はコーティング組成物中よりも10〜20倍高い。非溶媒材料は溶媒以外のあらゆる材料である。
【0061】
本発明の実施は溶媒の使用を伴う。任意の溶媒が好適である。好ましくは、溶媒は水性である。好ましくは溶媒中の水の量は、溶媒の重量を基準にして75重量%以上、より好ましくは85重量%以上、より好ましくは95重量%以上、より好ましくは99重量%以上である。好ましくは、溶媒は1種以上のアルキルアルコールを含む。好ましいアルキルアルコールは10個以下の炭素原子、より好ましくは6個以下の炭素原子、より好ましくは4個以下の炭素原子、より好ましくは3個以下の炭素原子を有するものである。独立して、好ましいアルキルアルコールは2個以上の炭素原子を有するものである。好ましくは、エタノールが単独で、もしくは水との混合で使用される。
【0062】
1種以上の追加のアルコールが本発明のコーティング組成物中に少量で存在することができることが意図される。このような追加のアルコールは原料中に存在していた不純物として、および/または重合プロセスからのキャリーオーバー溶媒としておそらくは導入されている可能性がある。好ましい実施形態においては、本発明のコーティング組成物において、エタノール以外のアルキルアルコールの量は可溶性ポリマーの重量を基準にして1重量%以下、より好ましくは0.3重量%以下、より好ましくは0.1重量%以下である。
【0063】
本発明の好ましい組成物は1種以上の湿潤剤を含む。好適な湿潤剤には、例えば、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、フルオロ界面活性剤、およびシリコーン界面活性剤が挙げられる。好ましい湿潤剤はアニオン性界面活性剤、フルオロ界面活性剤およびシリコーン界面活性剤である。より好ましいのはアニオン性界面活性剤である。好適なアニオン性界面活性剤には、例えば、スルホスクシナート、スルファートもしくはスルホナート化合物のアルカリ金属塩であり、1以上の脂肪鎖を含む化合物が挙げられる。本明細書において使用される場合、脂肪鎖は6個以上の炭素原子を含む炭化水素鎖である。好ましいアニオン性界面活性剤は、1以上の脂肪鎖を含むスルホナート化合物のアルカリ金属塩である。
【0064】
本発明のある好適な組成物は1種以上のキレート化剤を含む。本明細書において使用される場合、「キレート化剤」は、金属原子と配位結合を形成することができる2以上の電子供与原子を含み、かつ1分子のキレート化剤が1つの金属原子と2以上の配位結合を形成することができる化合物である。ある好適なキレート化剤は、例えば、アミノカルボン酸およびその塩;ヒドロキシカルボン酸およびその塩;アミノ酸キレート化剤(chelants);複素環式キレート化剤;アミンキレート化剤;有機ホスホナートキレート化剤;ベータジケトンキレート化剤;およびこれらの混合物である。好適なアミノ酸キレート化剤には、アミノアルコール、アミノフェノール、グルタミン酸およびその塩、N,N−二酢酸およびその塩、並びにこれらの混合物が挙げられる。好適なアミンキレート化剤には、ポリアミン、シッフベースおよびこれらの混合物が挙げられる。好ましいキレート化剤には、1種以上のアミノカルボン酸、1種以上のヒドロキシカルボン酸、1種以上の複素環式キレート化剤、またはこれらの混合物が挙げられる。好ましいアミノカルボン酸およびその塩には、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、N−ジヒドロキシエチルグリシン(2−HxG)、エチレンビス(ヒドロキシフェニルグリシン)(EHPG)およびこれらの混合物の酸並びに塩形態が挙げられる。好ましいヒドロキシカルボン酸およびその塩には、酸および塩形態の酒石酸、クエン酸、グルコン酸、5−スルホサリチル酸、ナトリウムグルコヘプトナート;ナトリウムジエタノールグリシン(DEG);二ナトリウムエタノールジグリシン(HEIDA)、イミノジコハク酸(ICS)、およびこれらの混合物が挙げられる。好ましい複素環式キレート化剤には、芳香族複素環式塩基、オキシム、およびこれらの混合物が挙げられる。好ましいオキシムには、ジメチルグリオキシム、サリチルアルドキシム、およびこれらの混合物が挙げられる。アミノカルボン酸が好ましい。より好ましいのはEDTAである。
【0065】
アニオン性界面活性剤が使用される場合には、好ましくはポリマー:アニオン性界面活性剤の重量比は40以上:1、より好ましくは55以上:1、より好ましくは70以上:1である。アニオン性界面活性剤が使用される場合には、好ましくはポリマー:アニオン性界面活性剤の重量比は500以下:1、より好ましくは250以下:1である。
【0066】
アニオン性界面活性剤および第四級アンモニウム殺生物剤が両方とも使用される場合には、好ましくは第四級アンモニウム殺生物剤:アニオン性界面活性剤の重量比は5以上:1、より好ましくは9以上:1、より好ましくは12以上:1である。アニオン性界面活性剤および第四級アンモニウム殺生物剤が両方とも使用される場合には、好ましくは第四級アンモニウム殺生物剤:アニオン性界面活性剤の重量比は200以下:1、より好ましくは100以下:1である。
【0067】
本発明の組成物は液体コーティング組成物である。本発明の組成物を使用する好ましい1方法は、この組成物の層を基体に適用し、組成物を乾燥させるかまたは組成物を乾燥可能にすることであることが考えられる。組成物の層を基体に適用し、それを乾燥させるかまたはそれを乾燥可能にする操作は、本明細書においては、基体を「コーティングする」と称される。溶媒が蒸発するにつれて、組成物が基体上に膜を形成するであろうことが考えられる。組成物の乾燥層は、本明細書においては、「コーティング」と称される。乾燥は18℃以上で好適になされる。
【0068】
組成物は、手作業によって行われる方法および機械によって行われる方法、およびこの組み合わせをはじめとする何らかの方法によって基体に適用されうる。例えば、組成物は噴霧(ポンプ、エアロゾル、圧力など)、注ぎ込み、スプレッディング、メータリング(例えば、ロッドもしくはバーを用いて)、モップがけ、ワイピング、ブラシがけ、浸漬、機械的適用、他の適用方法、またはこれらの組み合わせによって適用されうる。コーティング組成物が基体への適用の選択された方法に適切な特性を有するであろうように組成物が(例えば、固形分レベルを調節すること、1種以上のアジュバントを添加することなどにより)変えられうることが意図される。
【0069】
好適なアジュバントには、例えば、レオロジー改変剤、香料、ストラクチュラント(structurant)、反応性樹脂、着色剤、酸もしくは塩基、緩衝剤、界面活性剤、溶媒、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0070】
いくつかの可能なアジュバントには架橋剤が挙げられる。架橋剤は、本発明に好適なポリマーもしくは殺微生物剤ではなく、ポリマーに結合した反応性基と反応可能な2以上の反応性基を有する化合物である。一般的な架橋剤には、イソシアナート、アジリジン、カルボジイミドおよびメラミンが挙げられる。好ましいのはイソシアナートを含まず、アジリジンを含まず、カルボジイミドを含まず、かつメラミンを含まない組成物である。より好ましいのは架橋剤を含まない組成物である。
【0071】
いくつかの好適な反応性樹脂には、例えば、エポキシ樹脂が挙げられる。エポキシ樹脂は、例えば、本発明のポリマーがペンダント複素環式基の重合単位を含む場合、その複素環式基がエポキシ樹脂のエポキシ基と反応できる場合に使用されうる。好ましいのは、エポキシ樹脂が存在しない本発明の組成物である。
【0072】
好ましくは、本発明の組成物の層が基体に適用され乾燥された後で、生じるコーティングは粘着性ではない。粘着性を評価する1つの方法はプローブタックテスト、ASTM D2979−01(米国、ペンシルベニア州、ウェストコンショホッケンの米国材料試験協会により刊行)である。プローブを取り除くのに1N以下の力しか必要としない乾燥コーティングは、本明細書においては粘着性でないとみなされる。
【0073】
粘着性を測定する別の方法は、手袋をした指で乾燥コーティングの表面に触れることである。コーティングの表面からグローブを取り外すのに顕著な力が必要とされる場合には、コーティングは粘着性とみなされる。
【0074】
上記基準の1以上のいずれかによって粘着性でないコーティングの乾燥層は本明細書においては粘着性でないとみなされる。
【0075】
本発明のコーティングは殺微生物活性を有することが期待される。本発明のコーティングは通常の使用で、または例えば、EPAプロトコル#01−1A「硬質非多孔質表面上での乾燥化学残留物の残留自己殺菌活性のためのプロトコル」のような摩耗操作にかけられた後でその殺微生物活性を維持しているであろうことがさらに期待される。
【0076】
好ましくは、本発明のコーティング組成物はほとんどもしくは全くポリウレタンを含まない。より好ましくは、本発明のコーティング組成物中のポリウレタンの量はゼロであるか、またはゼロでない場合には、コーティング組成物の重量を基準にして、0.01重量%以下、より好ましくは0.001重量%以下の乾燥ポリウレタンである。より好ましくは、本発明のコーティング組成物中にポリウレタンは存在しない。
【0077】
本発明のコーティング組成物は何らかの形態に包装されうる。例えば、本発明のコーティング組成物はエアロゾルスプレー;ポンプスプレー;またはアプリケーター、例えば、ブラシ、ローラーもしくはモップなどを用いて基体に適用するのに好適な液体;または希釈される場合に、アプリケーター、例えば、ブラシ、ローラーもしくはモップなどを用いて基体に適用するのに好適になるであろう濃縮液体でありうる。別の例については、本発明のコーティング組成物はウェットワイプ(すなわち、濡れた形態で本発明のコーティング組成物の幾分かを運ぶ一片の紙、織布もしくは不織布)中に吸収されうる。
【0078】
本発明のコーティング組成物は何らかの基体をコーティングすることにより使用されうる。いくつかの好適な基体には、例えば、カウンタートップ、鏡、シンク、トイレ、光のスイッチ、ドアノブ、壁、床、天井、パーティション、手すり、コンピュータスクリーン、キーボード、器具などが挙げられる。好適な基体は、様々なセッティング、例えば、食品製造領域、居住場所、産業用セッティング、建築用セッティング、医療セッティング、シンク、トイレなどに見いだされうる。基体は任意の材料からなることができ、いくつかの好適な基体組成物には、例えば、プラスチック(例えば、積層物および壁被覆物など)、フォーマイカ、金属、ガラス、セラミックタイル、紙(例えば、壁紙など)、織物、仕上げ木材もしくは非仕上げ木材などが挙げられる。
【0079】
本明細書および特許請求の範囲の目的のために、ここで開示されるそれぞれの操作は他に特定されない限りは25℃で行われると理解される。
【0080】
本発明の好ましい液体コーティング組成物は「透明」として本明細書において記載される。このような組成物は1種以上の着色剤(すなわち、顔料、例えば、白色顔料、または染料、または色および/または不透明性を提供することが意図される他の材料)が添加されない限りは透明であろう。同様に、このような組成物から製造された乾燥コーティングは1種以上の着色剤が添加されない限りは透明であろう。1種以上の着色剤が添加された本発明の組成物は本発明の実施形態であるとみなされ、このようなコーティング組成物もしくはこれから製造されたコーティングは、組成物の着色剤でない部分の透明性のせいで、向上した外観を有するであろう。
【0081】
本発明のコーティング組成物から製造されたコーティングは好ましくは水ベースのクリーナーを用いて除去可能である。すなわち、このようなコーティングは好ましくは、摩耗サイクルを含む、本明細書において以下に記載される試験に合格するが、同じコーティングが水ベースのクリーナーおよび中程度の機械的力を用いて除去されうることが望ましい。水ベースのクリーナーは、液体製品の重量を基準にして25重量%以上の水を含む液体製品である。水ベースのクリーナーは水を含み、かつアンモニアを含む液体を含み、1種以上の界面活性剤を含み、またはこれらの組み合わせを含む。中程度の機械的力は、表面にクリーナーを適用するための布、スポンジ、洗浄用パッドもしくは他の携帯型装置を使用して手作業によって行使されうる力である。
【実施例】
【0082】
コーティング組成物:それぞれのポリマーは重合溶媒中での溶液重合によって製造された。このように製造されたポリマー溶液は、次いで、コーティング溶媒に添加され、以下に示されるそれぞれのコーティング組成物を製造した。
【0083】
コーティング組成物の殺微生物活性は、2つの試験方法によって評価された:(1)米国、メリーランド州、ガイサースバーグのAOACインターナショナルにより刊行された「殺菌性スプレー製品(Germicidal Spray Products)」AOAC方法961.01、および(2)米国、ワシントンDC20460、1200ペンシルバニアアベニュー,N.W.の米国環境保護庁によって刊行された「プロトコル#01−1A:硬質非多孔質表面上での乾燥化学残留物の残留自己殺菌活性のためのプロトコル」(EPAプロトコルとも称される)(http://www.epa.gov/oppad001/cloroxpcol_final.pdf.で入手可能)。
【0084】
殺菌性スプレイ製品試験においては、滅菌スライドガラスに試験生物が接種され空気乾燥された。殺菌剤製品が適用された。接触時間は5分であった。サンプルは中和され、48時間37℃でインキュベートされ、試験された。「合格」は生長がないことを意味し、「不合格」は生長を意味する。5%の有機汚れ(ウシ胎児血清)付加が接種において含まれた。サンプルおよび微生物の組み合わせのそれぞれについて、2枚のスライドガラスについて試験が行われた。5%の有機汚れ(ウシ胎児血清)付加が各接種において含まれた。この試験は配合物自体の殺生物特性を評価する。
【0085】
ここで報告されるEPAプロトコルは次のように行われた。サイズ2.5cm×2.5cm(1インチ×1インチ)のサンプル面が滅菌され、次いで、微生物が接種され、接種物を乾燥させ;50マイクロリットルの対象のコーティング組成物がその面に適用され、;このコーティング組成物が乾燥させられた。ポリウレタン発泡体および乾燥木綿布で覆われたガードナーウォッシャビリティーおよび摩耗試験機ボートを用いてこの面は1摩耗サイクル(往復)にかけられた。次いで、この面に試験微生物を再度接種し、乾燥させ;その面は、次いで、しめった布で覆われた上述のガードナー摩耗試験ボートを用いて1摩耗サイクルにかけられ;その面に試験微生物を再び接種し、乾燥させた。この一連の乾燥および湿潤摩耗試験(再接種を含む)は5回行われ、次いで、摩耗工程はバリエーションIもしくはバリエーションIIのいずれかを用いて完了させられた。この試験はこの配合物から形成される膜の殺生物特性を評価する。
【0086】
バリエーションIにおいては、さらなる再接種は行われなかった。次いで、この面は合計で12回の摩耗サイクルが全体の試験手順において行われるまで、湿った布で開始され、湿った布での摩耗サイクルと乾いた布での摩耗サイクルとを交互にして、さらなる摩耗サイクルにかけられた。
【0087】
バリエーションIIにおいては、摩耗工程はバリエーションIにおけるように行われたが、全体の試験手順において全部で11回の再接種のために、その面に各摩耗工程の後で試験微生物を再接種した。
【0088】
対象のコーティング組成物を適用して少なくとも24時間後に、殺微生物剤が中和され、残存する微生物が集められ、寒天プレート上で培養され、これは48時間インキュベートされ、生存している微生物の数が観察された。試験されたコーティング組成物のそれぞれについておよび対照の処理について複数のプレートが試験された。結果は「低減%」として報告され、これは対照サンプルにおいて生存している生物の数の幾何平均と試験サンプルにおいて生存している生物の幾何平均との差に100をかけて、対照サンプルにおいて生存している生物の数の幾何平均で割ったものである。99.9%より大きい低減パーセントは合格とみなされる。
【0089】
使用された微生物は黄色ブドウ球菌(ATCC#6538)またはクレブシエラ・ニューモニアエ(ATCC#4352)または大腸菌(ATCC#8739)またはシュードモナス・エルジノーサ(ATCC#15442)またはアシネトバクター・バウマニ(Acinetobacter baumannii;ATCC#19606)またはサルモネラ・コレラエシス(Salmonella choleraesuis;ATCC#10708)であった。
【0090】
以下に使用される略語は以下の通りである:
tBAM=N−tert−ブチルアクリルアミド
AmCl=塩化アンモニウム
NVP=1−ビニル−2−ピロリジノン
B1=BTC商標885殺生物剤(ステパンカンパニー;Stepan Co.)n−アルキルジメチルベンジルAmCl(CAS#68424−85−1)とジアルキルジメチルAmCl(CAS#68424−95−3)とのブレンド。
組成:
20%n−アルキル(50%C14、40%C12、10%C16)ジメチルベンジルAmCl
15%n−オクチルデシルジメチルAmCl
7.5%ジ−n−オクチルジメチルAmCl
7.5%ジ−n−デシルジメチルAmCl。
B2=BTC商標2125M殺生物剤(ステパンカンパニー)n−アルキルジメチルベンジルAmCl(CAS#6839−01−5)とn−アルキルジメチルエチルベンジルAmCl(CAS#68956−79−6)とのブレンド。
組成:
25%n−アルキル(60%C14、30%C16、5%C12、5%C18)ジメチルベンジルAmCl
25%n−アルキル(68%C12、32%C14)ジメチルエチルベンジルAmCl
PHMB=ポリヘキサメチレンビグアナイド(アーク(Arch)ケミカルズインコーポレーテッド)
RH=相対湿度
S1=トライトン(Triton商標)GR−5Mスルホスクシナート界面活性剤(ダウケミカルカンパニー)
S2=ケムガード(Chemguard商標)S−559ペルフルオロアルキル置換ポリエーテル界面活性剤(ケムガード)
S3=ドデシル硫酸ナトリウム(シノファルマケミカルリージェントカンパニー;Sino Pharm Chemical Reagent Co.)
S4=ケムガード(ChemGuard商標)S550ペルフルオロアルキル置換ポリエーテル界面活性剤(ケムガード)
EDTA=エチレンジアミン四酢酸(シノファルマケミカルリージェントカンパニー)
【0091】
実施例1:試験されたポリマー組成:
【表1】
注1:モノマーの全重量を基準にした各モノマーの重量パーセント
注2:比較例
【0092】
実施例2:配合物の製造:
「すぐ使用できる配合物」が以下のように製造された。水溶液の形態のポリマー(約30%固形分)が混合容器に入れられた。脱イオン水が添加され攪拌された。NaOH水溶液(1重量%)でpHが約8に調節された。添加剤(もしあれば)が添加され攪拌された。殺生物剤(水溶液の形態)が添加され攪拌された。各材料の量は以下の実施例において示される濃度を生じさせるように選択された。
【0093】
実施例3:膜の物理的評価
すぐ使用できる配合物が実施例2におけるように製造された。100マイクロリットルの配合物を25.4mm(1インチ)×50.8mm(2インチ)のスライドガラスに移すことにより膜が製造された。この表面にわたってこの液体が広げられ、周囲温度(20℃〜25℃)および周囲湿度(10%〜50%RH)の条件下で乾燥させられた。乾燥後、それぞれの膜は膜の透明性および曇りについて目視で評価された。膜の粘着性またはべとつき(greasiness)は手袋を嵌めた指で触れることにより評価された。所望の殺生物剤含有膜は乾燥時に透明で、粘着性およびべたつく残留物がない。
【0094】
【表2】
注1:配合物の全重量を基準にしたポリマー固形分の重量パーセント
注2:配合物の全重量を基準にした活性殺生物剤の重量部
注3:比較例
【0095】
ポリマーを含まない膜および比較ポリマーを含む膜はべとつきがあったか、および/または粘着性であった。本発明のポリマーを含む膜は粘着性もなくべとつきもなかった。10%以上のアルキルアクリルアミドを有するポリマーを含む膜は透明であり、一方ほかのものは曇っていた。
【0096】
実施例4:配合物の殺生物活性:AOAC殺菌スプレー製品方法
以下のサンプルにおいては、殺生物剤はB1であり、ポリマーの重量%は2.0%であった。この方法は摩耗を伴っていない。すぐ使用できる配合物が実施例2におけるように製造された。
【0097】
【表3】
【0098】
実施例5:膜残留殺生物活性の評価:EPAプロトコル
すぐ使用できる配合物が実施例2におけるように製造され、EPAプロトコルにおけるように膜が製造された。
【0099】
5−1.ポリマーP7+殺生物剤B1−ポリマー用量の変動:
試験条件:バリエーションI、22.8℃、71%RH試験中(スライドは50%RHで乾燥)、殺生物剤濃度は3000ppmであった。
【表4】
注4:このサンプルは12回の摩耗および11回の再接種で(標準5回の再接種に対して)、バリエーションIIを用いて試験された。
【0100】
5−2.ポリマーP6およびポリマーP4および殺生物剤B1
試験条件:バリエーションI、22℃、35−54%RH
【表5】
注4:これらのサンプルは12回の摩耗および11回の再接種で(標準5回の再接種に対して)、バリエーションIIを用いて試験された。
注5:微生物は多すぎてカウントできなかった。
【0101】
5−3.アクリルアミド/ビニルピロリドンポリマー+3000ppmの殺生物剤B1
バリエーションI、試験条件:21℃、50%RH;ポリマー重量%は2.0%であった。
【表6】
【0102】
5−44.ポリマーP4+殺生物剤B1プラス添加剤
試験条件:バリエーションII、22℃、20%RH、鏡面ステンレス鋼スライド;ポリマーの重量%は1.5%であり;殺生物剤の量は3000ppmであった。
【表7】
【0103】
実施例6:表面の濡れ
以下の配合物が製造された。各配合物は配合物の重量を基準にして0.3重量%のB1を含んでいた。示された材料に加えて、各配合物の残部は水であった。配合物6−1Cは比較例である。各配合物の長方形の層は硬質平面上にドローダウンされた。この層を造った直後に、この層は長方形であり、それぞれは平均幅(W0)を有していた。各層は5分後に観察された。この層が長方形であった場合には、その幅(W5)はパーセンテージ(100×W5/W0)として報告される。
【0104】
【表8】
注1:外周が中心に向かって引きつけられており、不規則な形状を形成している。
注2:長方形の側部が幾分か波打っていた;W5はコーティング組成物の層の推定平均幅であった。
【0105】
この特定の表面上で、界面活性剤を含む配合物はデウェッティング(de−wetting)現象を示さない。アニオン性界面活性剤を含むサンプル(6−3および6−4)は非イオン性界面活性剤(6−5および6−6)を含むサンプルよりも良好に機能する。
【0106】
実施例7:液体コーティング組成物および濃縮物の貯蔵安定性
濃縮物は配合物6−3におけるのと互いに同じ比率でB1、P4およびS3を用いて製造された。濃縮物中の水の量は配合物6−3におけるよりも少なく、濃縮物中の水以外の各成分の濃度は配合物6−3における成分の濃度よりも15倍高かった。密閉バイアル中の濃縮物および配合物6−3が屋内周囲温度(約20℃)で貯蔵された。全てのサンプルは開始時に透明であり、2週間後に依然として透明であった。
【0107】
実施例8:ポリマーの効果
第四級アンモニウム殺生物剤化合物が、本発明に好適な本明細書に上述される濃度でアニオン性界面活性剤と混合された。結果は曇った溶液であって、容器の底に物質の堆積があった。6−3および6−4のような配合物は、ポリマーが除かれた場合には、このような曇ったおよび/または堆積を示すであろうと考えられる。