特許第5690260号(P5690260)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5690260インクジェットプリンタにおける演色用の第1色および第2色に色値を割り当てるための方法およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5690260
(24)【登録日】2015年2月6日
(45)【発行日】2015年3月25日
(54)【発明の名称】インクジェットプリンタにおける演色用の第1色および第2色に色値を割り当てるための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/46 20060101AFI20150305BHJP
   H04N 1/60 20060101ALI20150305BHJP
【FI】
   H04N1/46 Z
   H04N1/40 D
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2011-270560(P2011-270560)
(22)【出願日】2011年12月9日
(65)【公開番号】特開2012-134966(P2012-134966A)
(43)【公開日】2012年7月12日
【審査請求日】2014年11月25日
(31)【優先権主張番号】12/975,740
(32)【優先日】2010年12月22日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】ディヴィッド・エー・マンテル
【審査官】 豊田 好一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−246467(JP,A)
【文献】 特開2003−234911(JP,A)
【文献】 特開2001−245173(JP,A)
【文献】 特表2008−542084(JP,A)
【文献】 特開平10−13697(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/46−62
H04N 1/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素用の第1色値を前記画素用の第1色値および第2色値に変換するための方法であって、
複数の画素用に印刷される各第1色の色値をメモリから前記メモリに動作可能に接続されたプリントエンジンで受信するステップと、
各画素用の第1色の総量を閾値と比較しかつ前記第1色の総量が前記閾値以上の各画素のための第3色の量及び第4色の量を識別することによって、組み合わされた色が各画素用に印刷されるか否かを各画素用の前記第1色の色値から判断するステップと、
前記閾値より小さい第1色の前記総量を有する前記画素用の各第1色用に前記メモリから受信された前記色値に関連して、前記閾値より小さい第1色の総量を有する前記画素用の黒色に基づいて黒ではない色の量を前記プリントエンジンで識別するステップと、
前記閾値より小さい第1色の前記総量を有する前記画素に関連付けられた第2色のための黒ではない色の総量を前記プリントエンジンで識別するステップであって、第2色のための黒ではない色の前記総量の前記識別は、黒色に基づいた黒ではない色の前記量、および、前記閾値より小さい第1色の前記総量を有する前記画素用の各第1色用に受信された前記色値に関連してなされる、前記識別するステップと、
第1色の前記総量が前記閾値より小さい前記画素に関連付けられた第2色のための黒色ではない色の前記総量に関連して第1色の前記総量が前記閾値より小さい前記画素用に印刷される色を前記プリントエンジンで割り当てて、前記割り当てられた色で第1色の前記総量が前記閾値より小さい前記画素を印刷するようにインクジェットイジェクタを動作させるための制御信号を生成することができるようにする、前記割り当てのステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記閾値は、単一の第1色のデータ空間の最大値の3倍である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記閾値より小さい第1色の前記総量を有する前記画素用の第1色の総量を第2閾値と比較するステップと、
前記閾値より小さい第1色の前記総量を有する前記画素用の第1色の前記総量が前記第2閾値以上の場合に応じて、黒色に基づいた黒ではない色の前記量、および、前記閾値より小さい第1色の前記総量を有する前記画素用の第2色のための黒ではない色の前記総量を識別するステップと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第2閾値は、単一の第1色のデータ空間の最大値である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
画素用の第1色値を前記画素用の第1色値および第2色値に変換するための方法であって、
複数の画素用に印刷される各第1色の色値をメモリから前記メモリに動作可能に接続されたプリントエンジンで受信するステップと、
各画素用の第1色の総量を閾値と比較しかつ黒色に基づいた黒ではない色の前記量と
前記閾値より小さい第1色の前記総量を有する前記画素用の第2色のための黒ではない色の前記総量とを識別することによって、組み合わされた色が各画素用に印刷されるか否かを各画素用の前記第1色の前記色値から判断するステップと、
前記閾値より小さい第1色の前記総量を有する前記画素用の各第1色用に前記メモリから受信された前記色値に関連して、前記閾値より小さい第1色の総量を有する前記画素用の黒色に基づいて黒ではない色の量を前記プリントエンジンで識別するステップと、
前記閾値より小さい第1色の前記総量を有する前記画素に関連付けられた第2色のための黒ではない色の総量を前記プリントエンジンで識別するステップであって、第2色のための黒ではない色の前記総量の前記識別は、黒色に基づいた黒ではない色の前記量、および、前記閾値より小さい第1色の前記総量を有する前記画素用の各第1色用に受信された前記色値に関連してなされる、前記識別するステップと、
第1色の前記総量が前記閾値より小さい前記画素に関連付けられた第2色のための黒色ではない色の前記総量に関連して第1色の前記総量が前記閾値より小さい前記画素用に印刷される色を前記プリントエンジンで割り当てて、前記割り当てられた色で第1色の前記総量が前記閾値より小さい前記画素を印刷するようにインクジェットイジェクタを動作させるための制御信号を生成することができるようにする、前記割り当てのステップと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、インクジェットプリンタにおける演色に関し、より詳細には、このようなプリンタにおける演色に用いられる色値に関する。
【背景技術】
【0002】
ベクトルハーフトーン方法は、通常、インクジェットプリンタにおいて画像を印刷するための色分解をレンダリングするために用いられる。このような方法では、単一の確率的スクリーンを用いて、全ての色をレンダリングする。各画素用に、第1色の入力色値を用いて、1つの画素用の第1色および第2色を計算する。次に、これらの色を、何らかの所定の順番によって加え、それぞれを加えた後で、合計を閾値と比較する。上記合計が1つの画素用の閾値より大きい場合、上記画素をその色に割り当てる。
【0003】
第1色入力を1つの画素用の第1色値、第2色値、第3色値、第4色値に変換することは、様々な方法でなされてもよい。あるプロセスでは、上記変換は、黒に基づいて色を除去し、1つの画素用の第2色、赤、緑、および、青のうちの1つに第2色出力を制限することによって、インクを最小化するように行われる。本明細書においては、文字R、G、Bが、第2色である赤、緑、青をそれぞれ意味するために用いられる。他のプロセスは、上記の手法を用い、画像の光学密度を高めるために黒に基づいて配置される色を加えてもよい。もう1つの方法は、任意の第3色を除去するために必要とされている色のみを除去し、次に、第2色は、最小量の青が必要となるように分配され、第3色に割り当てられずに第2色である緑が必要とされる第2色の残量によって赤以上に最大化されることを補償する。
【0004】
ベクトルハーフトーン方法は、インク滴配置エラーの影響を受けてしまう。インク滴配置エラーは、インクジェットが印字ヘッドの面に対して垂直にインク滴を排出しないゆえに生じる。これらの角度のずれたインク滴は、着地すると予想される位置ではない位置に着地する。印字ヘッドによっては、受像部材の幅に対する角度で方向を合わせられるものもある。この角度は、技術的に印字ヘッドロールとして知られている場合もあり、印字ヘッドロールは、インク滴配置エラーの一因となる可能性もある。従って、プリンタによって印刷される画像に対するインク滴配置の影響を低減することは、インクジェット印刷システムにおける有益な目標である。
【発明の概要】
【0005】
インク滴配置エラーに対してより頑強性のあるハーフトーン画像を生成するために、入力色値を、演色方法を可能にする色値に変換する新たな方法が、開発された。上記方法は、1つの画素用に印刷される各第1色の色値をメモリから受信することと、上記画素用の各第1色用に受信された上記色値に関連して、上記画素用の黒色に基づいて黒ではない色の量を識別することと、上記画素に用いられる第2色の黒ではない色の総量を識別することを含む。上記第2色の黒ではない色の上記総量の上記識別は、上記画素用の黒色に基づいた黒ではない色の上記量、および、上記画素用の各第1色用に受信された上記色値、に関連してなされる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】プリンタにおける演色に用いられる画素用の色値を変換するためのプロセスのブロック図である。
図2】媒体がシステムの印字ヘッドを通過するとき、上記媒体の連続ウェブにインクを排出する、改善されたインクジェット画像処理システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図2を参照しながら、インクジェット画像処理システム5を示す。本開示のために、この画像処理装置は、1つまたは複数のインクジェット印字ヘッドとその固体インク供給部とを用いたインクジェットプリンタの形式をしている。以下に詳述する制御装置は、画像の画素用の色値を処理するために以下に記載するプロセスを実施するように構成されていてもよい。本明細書に記載した画像データおよび上記方法は、媒体または複数の媒体に対して1つまたは複数の着色剤を排出するためのインクジェットを使用する様々な他の画像処理装置のうちのどれにでも適用可能である。
【0008】
画像処理装置5は、インクジェット排出器用の制御信号を発生させる前に画像データを処理する、印刷エンジンを含む。上記印刷エンジンによって行われるカラー画像データを処理する1つの方法については、以下に詳述する。印刷エンジンは、制御装置50におけるプロセッサおよびメモリのうちの1つまたは複数によって実施されてもよく、あるいは、上記印刷エンジンは、システム5外のコンピュータによって実施されてもよい。着色剤は、インクであってもよいし、あるいは、1つまたは複数の染料または顔料を含み、選択された媒体に適用される、任意の適切な物質であってもよい。上記着色剤は、黒であってもよいし、あるいは、任意の他の所望の色であってもよく、所定の画像処理装置は、媒体に対して複数の異なる着色剤を適用できるものであってもよい。上記媒体は、普通紙、コート紙、光沢紙、または、透明シートなどを含む様々な基板のうちのいずれかを含んでいてもよく、シート、ロール、または、他の物理フォーマットにおいて利用できてもよい。
【0009】
シートに直送する連続媒体相変化インクジェット画像処理システム5は、媒体供給操作システムを含み、上記操作システムは、例えばウェブローラ8に取り付けられたひと巻きの媒体10などの媒体源から、「基板」(紙、プラスチック、または、他の印刷可能な材料)の媒体Wの長い(すなわち、ほぼ連続的な)ウェブを供給するように構成されている。片面印刷に関して、プリンタは、給紙ローラ8、媒体調整器16、印刷部20、印刷ウェブ調整器80、被覆部95、および、巻き戻しユニット90からなる。両面印刷については、巻き戻しユニット90によって取り上げられる前に、印刷部20、印刷ウェブ調整器80、および、被覆部95に対して媒体の第2側面を示すためにウェブを反転させる、ウェブインバータ84が用いられる。上記片面印刷については、媒体源10の幅は、媒体がプリンタを介して移動するローラの幅にほぼ相当する。両面印刷では、上記媒体源の幅は、ローラ幅のほぼ半分であり、ウェブが印刷部20、印刷ウェブ調整器80、および、被覆部95において上記ローラの半分を移動した後、上記ウェブが、インバータ84によって反転し、必要ならば上記ウェブの裏面を印刷、調整、および被覆するための印刷部20、印刷ウェブ調整器80、および、被覆部95の反対側の上記ローラの残りの半分を移動できる距離だけ横方向に配置される。巻き戻しユニット90は、プリンタから除去するためのローラにウェブを巻き、続いて処理するように構成されている。
【0010】
上記媒体は、必要とされ、1つまたは複数のローラを回転させる様々なモータ(図示せず)によって促されるとき、源10から解けていてもよい。上記媒体調整器は、ローラ12および予熱器18を含む。ローラ12は、媒体がプリンタを介して経路に沿って移動するとき、解けている媒体の張力を制御する。他の実施形態では、媒体は、カットシートの形状で経路に沿って運搬されてもよい。上記形状において、媒体供給操作システムが画像処理装置を介して所望の経路に沿ってカット媒体シートを運搬できる任意の適切な装置または構造を含んでいてもよい。予熱器18は、ウェブを、用いられるインクのタイプ、色、および、数、また、印刷される媒体のタイプに応じた、所望の画像特性のために選択された初期の所定の温度にする。予熱器18は、媒体を実用的な一実施形態では約30℃から約70℃の範囲の目標予熱温度にするために、接触熱、放射熱、伝導熱、または、対流熱を用いてもよい。
【0011】
上記媒体は、一続きの色ユニット21A、21B、21C、21Dを含む印刷部20を介して運搬され、各色ユニットは、媒体の幅にわたって効果的に伸び、動いている媒体に直接(すなわち、中間部材またはオフセット部材を用いずに)インクを配置することができるものである。概してよく知られているように、印字ヘッドのそれぞれは、単一の色インクを排出してもよく、上記単一の色インクとは、色刷りに通常用いられる色、すなわち、シアン、マゼンタ、イエロー、および、黒(CMYK)のそれぞれに対して1つのことである。プリンタの制御装置50は、印字ヘッドを通過するときにウェブの線形速度および位置を計算するために、4つの色ユニットの反対側の経路の一部分の両側に位置付けられたローラに近接して取り付けられた符号器から、速度データを受信する。制御装置50は、これらのデータを用いて、印字ヘッドのインクジェット排出器を作動させるためのタイミング信号を発生させる。上記排出器は、媒体に4つの第1カラー画像を形成するために、異なる色のついたパターンを位置合わせするための信頼できる精度で4つの色を排出できるものである。発射信号によって作動する上記インクジェット排出器は、制御装置50によって処理される画像データに対応する。上記画像データは、プリンタに送信されてもよく、上記データは、プリンタの部品であるスキャナ(図示せず)によって発生するか、あるいは、他の方法で発生してプリンタに搬送される。様々な可能な実施形態では、各第1色用の色ユニットは、1つまたは複数の印字ヘッドを含んでいてもよく、色ユニットの複数の印字ヘッドは、単一の行、または、複数の行配列に形成されていてもよく、あるいは、複数の行配列の複数の印字ヘッドは互い違いに配置されてもよく、あるいは、1つの印字ヘッドは、1つより多くの色を印刷してもよく、あるいは、色ユニットの複数の印字ヘッドまたは一部分は、例えばスポットカラーの使用などのためにプロセス方向Pに対して横向きの方向に移動できるように取り付けられていてもよい。
【0012】
色ユニット21A‐21Dのそれぞれは、少なくとも1つの作動装置を含み、上記作動装置は、媒体ウェブにわたってプロセスを横断する方向に印字ヘッドモジュールのそれぞれにおいて、印字ヘッドを調整するように構成されている。典型的な一実施形態では、各モータは、例えばステッパモータまたは同様のものといった電気機械装置である。実用的な一実施形態では、印刷バー作動装置は、2つ以上の印字ヘッドを含む印刷バーに接続されている。上記印刷バー作動装置は、媒体ウェブのプロセスを横断する軸に沿って印刷バーを滑らせることによって、印刷バーの位置を変えるように構成されている。印字ヘッド作動装置はまた、各色ユニット21A‐21D内の個々の印字ヘッドに接続されていてもよい。これらの印字ヘッド作動装置は、媒体ウェブのプロセスを横断する軸に沿って印字ヘッドを滑らせることによって、個々の印字ヘッドの位置を変えるように構成されている。この特定の実施形態では、印字ヘッド作動装置は、プロセスを横断する方向に印字ヘッドを物理的に移動する装置である。他の実施形態では、作動装置システムが用いられてもよく、上記システムは、印字ヘッドを物理的に移動しないが、ヘッド位置を変えるために各ヘッドにおいて画像データの出力先を様々な排出器に変更する。しかし、このような作動装置システムは、少なくともプロセスを横断する方向の排出器間の間隔ごとに、印字ヘッドの位置を変えることのみができる。本明細書において用いられる「印字ヘッドの位置を変える」ということは、印字ヘッドの物理的な移動の他、プロセスを横断する方向の排出器ごとに印字ヘッドによって印刷された画像の位置を変えるために、印字ヘッドにおいて画像データの出力先を様々な排出器に変更することを含んでいる。
【0013】
上記プリンタは相変化インクを用いてもよく、上記「相変化インク」とは、インクが室温でほぼ固形化しており、画像処理受像面に噴射するための相変化インクの融解温度に加熱されるとほぼ液化する、ということを意味する。上記相変化インクの融解温度は、固体相変化インクを液状または融解された状態に融解できる任意の温度であってもよい。一実施形態では、上記相変化インクの融解温度は、ほぼ70℃から140℃である。他の実施形態では、画像処理装置に用いられるインクは、UV硬化性ゲルインクを含んでいてもよい。ゲルインクはまた、印字ヘッドのインクジェット排出器によって排出される前に、加熱されていてもよい。本明細書において用いられる液体インクは、溶けた固体インク、加熱されたゲルインク、または、水性インク、インクエマルジョン、インク懸濁液、インク溶液、または同様のものといった他の知られている形状のインクのことである。
【0014】
各色ユニットに用いられるのは、通常バーまたはロールの形状をした支持部材24A‐24Dであり、上記支持部材は、媒体の裏面に位置する色ユニットのほぼ反対側に配置されている。各支持部材は、その反対側にある印字ヘッドから所定の距離に媒体を位置付けるために用いられる。各支持部材は、実用的な一実施形態では約40℃から約60℃の範囲の所定の温度まで媒体を加熱するために、熱エネルギーを放射するように構成されていてもよい。様々な支持部材が、個々にまたは集合的に制御されていてもよい。予熱器18、印字ヘッド、支持部材24(加熱された場合)、および、周囲空気は組み合わされて、所定の温度範囲である約40℃から70℃で、印刷部20の反対側にある経路の一部に沿って媒体を維持する。
【0015】
部分的に像が描かれた上記媒体が、色ユニットの印字ヘッドから様々な色インクを受け取るために移動すると、媒体の温度は所定の範囲内に維持される。インクが、受け取る媒体の温度よりも著しく高い温度で印字ヘッドから排出される。結果として、インクは媒体を加熱する。従って、媒体の温度を所定の範囲内に維持するために、他の温度調整装置が用いられてもよい。例えば、媒体の前後の空気温度および空気流量は、媒体の温度に影響を与えてしまう。従って、媒体の温度を制御しやすくするために、送風機または扇風機が用いられてもよい。それゆえに、色ユニットの印字ヘッドから全てのインクを噴射する間、媒体の温度はほぼ一定を保つ。媒体の温度を調整できるようにするために、温度センサ(図示せず)が媒体経路のこの部分に沿って位置付けられていてもよい。これらの温度データはまた、印字ヘッドからの所定の第1色のインクが所定の時間でどのくらい媒体に供給されるかということを(例えば画像データから)測定または推測するためのシステムによって用いられてもよい。
【0016】
媒体経路に沿った印刷域20に続いて、1つまたは複数の「中間加熱器」30がある。中間加熱器30は、媒体の温度を制御するために、接触熱、放射熱、伝導熱、および/または、対流熱を用いてもよい。中間加熱器30は、媒体上のインクが拡散器40を介して送られるとき、媒体上に配置されたインクを所望の特性に適した温度にする。一実施形態では、中間加熱器の目標温度の有益な範囲は、約35℃から約80℃である。中間加熱器30は、インクの温度と基板の温度とを互いに約15℃以内に均一にするという効果を有している。インク温度が低ければ線広がりが少なくなり、他方、インク温度が高ければ、透けて見える(印刷の他方の面から画像が見える)。中間加熱器30は、基板温度およびインク温度を、拡散器の温度よりも10℃から20℃高くなるように調整する。
【0017】
中間加熱器30に続いて、固定アセンブリ40が、画像を媒体に固定するために、媒体に熱および/または圧力を加えるように構成されている。上記固定アセンブリは、加熱されたまたは加熱されていない圧力ローラ、放射加熱器、加熱ランプなどを含む、媒体に画像を固定するための任意の適切なデバイス、または、装置を含んでいてもよい。図2の実施形態では、上記固定アセンブリは、所定の圧力、および、ある形態では熱を媒体に加える「拡散器」40を含む。拡散器40の機能は、基本的に、ウェブW上にインクの液滴、一連のインクの液滴、または、インクの線、を取り込み、それらを圧力によって、いくつかのシステムでは熱によって、塗り広げ、これによって、隣接している滴同士の空間が充填され、画像が均一に固形化される。インクの拡散に加えて、拡散器40は、インク層の凝集力を上げ、および/または、インクとウェブとの接着力を上げることによって、画像の耐久性を改善してもよい。拡散器40は、熱および圧力を媒体に加えるための画像側面ローラ42および圧力ローラ44といったローラを含む。どちらか一方のローラが、ウェブWを約35℃から約80℃の範囲の温度にするために、発熱体46といった発熱抵抗体を含有できる。他の実施形態では、上記固定アセンブリは、印刷域後に媒体の(圧力を用いない)非接触加熱を用いてインクを拡散するように構成されていてもよい。このような非接触固定アセンブリは、放射加熱器、UV加熱ランプなどといった、媒体を所望の温度に加熱するための任意の適切なタイプの加熱器を用いてもよい。
【0018】
実用的な一実施形態では、拡散器40におけるローラの温度は、55℃といったインクの特性に応じた最適の温度で維持され、概して、ローラの温度が低ければ線広がりが少なくなり、他方、温度がより高ければ光沢に欠陥が生じる。ローラの温度が高すぎると、インクがローラに相殺されてしまう。実用的な一実施形態では、ニップの圧力が、約500psiから約2000psiの範囲に設定される。ニップの圧力が低ければ線広がりが少なくなり、他方、圧力がより高ければ、圧力ローラの寿命が短くなる。
【0019】
拡散器40はまた、画像側面ローラ42に用いられる洗浄部/潤滑部48を含んでいてもよい。上記部48は、ある離型剤または他の材料からなる層を清潔にし、および/または、上記層をローラの表面に塗布する。上記離型剤材料は、粘度が約10‐200センチポアズであるアミノシリコン油であってもよい。ほんの少量の油が必要であり、媒体によって運搬された油は、A4サイズのページにつき、たったの約1‐10mgである。1つの可能な実施形態では、中間加熱器30と拡散器40とを、単一のユニットに組み合わせてもよい。上記加熱器および拡散器のそれぞれの機能は、媒体の同じ部分に対して同時に生じる。もう1つの実施形態では、媒体は、印刷されている間、高温で維持され、インクの拡散を可能にする。
【0020】
被覆部95は、印刷された媒体にクリアインクを塗布する。このクリアインクを用いて、上記印刷された媒体を、プリンタからの除去に続いて、汚れまたは他の環境悪化から保護する。クリアインクのオーバーレイは、インクの犠牲層として機能し、上記犠牲層は、底面の画像の外観に影響を及ぼすことなく処理される間に汚れてもよく、および/または、相殺されてもよい。被覆部95は、ローラ、または、クリアインクを1つのパターンに排出する印字ヘッド98のいずれかでクリアインクを塗布してもよい。本開示のクリアインクは、機能上、インクが全ての着色剤を有していないのかどうかに関わらず、最終的に印刷された色に最小限の影響しか与えないほぼクリアなオーバーレイインクまたはニスとして規定される。一実施形態では、被覆インク用であるクリアインクは、着色剤を用いない相変化インク製剤を含む。あるいは、クリアインクによる被覆は、ポリエチレンワックスまたはポリワックスといった、典型的な固体インク部品の縮小した一組または単一の固体インク部品を用いてなされていてもよい。本明細書において用いられるポリワックスは、比較的少ない分子量直鎖ポリエチレンワックスまたは、ポリメチレンワックスの一群である。色のついた相変化インクと同様に、クリア相変化インクは、室温においてほぼ固体であり、初めに媒体に噴射されたときはほぼ液状であるか、あるいは融解している。上記クリア相変化インクは、媒体に噴射するための固体インクを融解するために、約100℃から140℃に加熱されてもよい。
【0021】
拡散器40の通過に続いて、印刷された媒体は、上記システム(片面印刷)から除去するためのローラに巻きつけられてもよく、あるいは、ウェブインバータ84へと方向づけられてもよい。上記ウェブインバータは、印字ヘッド、中間加熱器、拡散器、および、被覆部によって第2通路用のローラのもう1つの部分に反転および置換するためのものである。両面印刷物は次に、巻き戻しユニット90によって上記システムから除去するためのローラに巻きつけられてもよい。あるいは、上記媒体は、上記媒体または同様のものを切断し、縛り、照合し、および/または、綴じるといったタスクを実行する他の処理部に方向づけられていてもよい。
【0022】
装置5の様々なサブシステム、部品、および、機能の動作および制御は、制御装置50を用いて実行される。制御装置50は、プログラム命令を実行する一般的なまたは特殊化したプログラマブルプロセッサによって実施されてもよい。プログラムされた機能の実行に必要な上記命令、および、データは、プロセッサまたは制御装置に用いられるメモリに格納されてもよい。上記プロセッサ、それらのメモリ、および、インターフェース回路は、制御装置および/または印刷エンジンを構成し、印字ヘッド位置および上記の補正の要因を識別するためのプロセスといった機能を実行する。これらの部品は、プリント回路カード上に備えられてもよいし、あるいは、特定用途向けIC(ASIC)における回路として提供されてもよい。上記回路のそれぞれは、個々のプロセッサによって実施されてもよく、あるいは、複数の回路が、同じプロセッサにおいて実施されてもよい。あるいは、上記回路は、VLSI回路において供給されるディスクリート部品またはディスクリート回路によって実施されてもよい。さらに、上記回路は、プロセッサ、ASIC、ディスクリート部品、または、VLSI回路の組み合わせによって実施されてもよい。制御装置50は、媒体ウェブのプロセスを横断する軸に沿って印刷バーおよび印字ヘッドの位置を調整するために、色ユニット21A‐21Dの、印刷バー作動装置および印字ヘッド作動装置に効果的に結合されていてもよい。
【0023】
画像処理システム5はまた、印刷されたウェブの画像を処理するために上記したものと同様の方法で構成された光学画像処理システム54を含んでいてもよい。上記光学画像処理システムは、例えば、印字ヘッドアセンブリのインクジェットによって受像部材に噴射されるインク滴の存在、強度、および/または、位置を検出するように構成されている。上記画像処理システムの光源は、単一の発光ダイオード(LED)であってもよく、上記ダイオードは、光導体に結合され、上記光導体は、LEDによって発光する光を、画像基板の方へ光を方向づける光導体の1つまたは複数の開口部に、搬送するものである。一実施形態では、光導体を介して光を方向づけ、画像基板の方へ方向づけられる時に単一の光が輝くように、3つのLED、すなわち、緑の光を発生させるものと、赤い光を発生させるものと、青い光を発生させるものとが、選択的に活性化される。もう1つの実施形態では、光源は、線状配列に配置された複数のLEDである。本実施形態のLEDは、画像基板の方へ光を方向づける。本実施形態の光源は、赤、緑、および青という色のそれぞれに対して1つの3つの線状配列を含んでいてもよい。あるいは、全てのLEDは、3つの色の繰り返し順序で単一の線状配列に配置されていてもよい。光源のLEDは、画像を照射するためのLEDを活性化するために、制御装置50または他の制御回路に結合されていてもよい。
【0024】
光学センサ54の光検出器によって、反射光が測定される。上記光センサは、一実施形態では、電荷結合素子(CCD)といった感光装置の線状配列である。上記感光装置は、それによって受け取られた光の強度または量に応じた電気信号を発生させる。線状配列は、ほぼ受像部材の幅全体に伸びている。あるいは、より短い線状配列が、画像基板を横断して移動するように構成されていてもよい。例えば、上記線状配列は、受像部材を横断して移動する可動台車に取り付けられてもよい。光センサを移動させるための他の装置が用いられてもよい。
【0025】
図1に関して、1つの画素用の第1色値を上記画素用の第1色値、第2色値、第3色値、および、第4色値に変換するためのプロセス100を図1に示す。このプロセスは、これらの色値を発生させるために実行され、これらの色値は、1つの画素に対する色と、割り当てられた色を生成するための様々な色のついたインクの量を割り当てる、もう1つの知られているプロセスによって用いられる。この割り当てプロセス用の色値を発生させるためのプロセスが、もう1つのコンピュータによってプリンタからオフラインで実行されてもよいが、プリンタ内のメモリに格納されたプログラム命令を実行する1つまたは複数のプロセッサによって実施されてもよい。本明細書において用いられる「第1色」とは、印刷された画像において1つの画素を形成するために用いられる個々の色のことである。以下に示す実施形態では、画素用の第1色は、シアン、マゼンタ、イエロー、および、黒である。これらの色は、通常、各文字が第1色のうちの1つをそれぞれ表す文字CMYKによって識別されている。さらに、本明細書において用いられる「黒ではないインク」または「黒ではない色」は、第2色を発生させるために用いられる、インクまたはCMYデータ値のことである。さらに、本明細書において用いられる「黒に基づいて」は、インク受け取り面において黒インクと組み合わされる、黒ではないインクのことである。
【0026】
プロセス100は、1つの画素用に印刷される各第1色の色値をメモリから受信することによって始まる(ブロック104)。上記メモリは、プリンタの制御装置に効果的に接続された上記したメモリのうちの1つであってもよい。あるいは、1つの画素用の第1色の色値は、印刷される画像用の色分解を発生させたスキャナまたはアプリケーションプログラム、から受信されていてもよい。上記プロセスは、続いて、上記画素用に排出されるインクの総量を識別する(ブロック108)。上記インクの総量は、上記画素用の各色のデータ値の合計に相当する。この全ての値は、単一の第1色の最も大きい可能なデータ値に相当する閾値と比較される(ブロック112)。4つの色を有し、その中の1つが黒である一実施形態では、上記閾値は、第1色の最も大きい可能なデータ空間の3倍の値である。一実施形態では、各第1色の最も大きい可能なデータ空間は、8ビット値であり、上記最も大きい可能なデータ空間は255である。従って、本実施形態における画素用のインクの総量は、3×255=765と比較される。色データ値の合計がこの閾値と同じまたは上記閾値よりも大きい場合、上記画素用の出力は、第4色および第3色のみから成る。第4色である、第3色と黒色との量が計算され(ブロック116)、上記量は、上記の実施形態では765である閾値を越える合計の量である。次に、残りの第1色と閾値の空間における残りの空間とを用いて、第3色を識別する。上記残りの空間は、上記の実施形態では255である単一の色の最も大きい可能なデータ値から、第4色の量を引いた差であり、残りの第1色は、元の各第1色値と第4色の量との差である。各色は、上記残りの空間から引かれ、上記色分解を含んでいない第3色を決定する。上記プロセスは、続いて、もう1つの画素を処理できるかどうかを決定する(ブロック120)。もう1つの画素を処理できる場合、上記プロセスは、次の画素の間続く(ブロック104)。そうでなければ、上記プロセスは終了する(ブロック122)。
【0027】
全ての色データの量が閾値よりも大きくない場合、上記色データの量は、単一の色値の最も大きい可能なデータ空間と比較される(ブロック124)。上記実施形態では、この閾値は255である。上記画素用の色の総量がこの閾値未満である場合、上記画素用の各色のデータ値は、単に残され、第2色、第3色、または、第4色は発生しない(ブロック128)。上記プロセスは、続いて、もう1つの画素を処理できるかどうかを決定する(ブロック120)。もう1つの画素を処理できる場合、上記プロセスは次の画素の間続く(ブロック104)。そうでなければ、上記プロセスは、終了する(ブロック122)。
【0028】
上記色データの量が、単一の色値の最も大きい可能なデータ空間と同じまたはそれよりも大きい場合、次に、組み合わせた色が必要である。組み合わせた色の識別を開始するために、第1色と黒との重複が計算される(ブロック132)。上記第1色の重複は、黒に割り当てられない単一の色の最も大きい可能なデータ空間の量によって計算される。上記の実施形態では、この値は、255から黒色値を引いたものである。次に、上記の得られる値を各黒ではない色値から引き、第1色と黒との間の無理な重複の量を識別する。各黒ではない色の無理な重複の量は、他の黒ではない色の無理な重複の量と合計され、黒に基づいて配置される黒ではない色の量を識別する。上記黒ではない色の無理な重複の量は、黒ではない色の元のデータ値から引かれ、第2色および第3色に用いられる黒ではない色の量を識別する(ブロック136)。この黒ではない色の量は、黒に基づいて配置される黒ではないインクの量をさらに識別するために、可変閾値と比較されてもよい(ブロック140)。第2色および第3色に用いられる上記黒ではない色の量が、上記可変閾値よりも大きい場合、次に、各黒ではない色値はさらに調整される。上記の実施形態では、黒ではない色値は、第2色および第3色に用いられる黒ではない色の量から、可変閾値よりも大きい第2色および第3色に用いられる黒ではない色の量を引くことによって、調整される(ブロック142)。上記可変閾値は、発生する画像用の画質モードに関連して設定されてもよい。場合によっては、画質モードが高いと、黒に基づく色の量は低く、第3色は黒に基づいて印刷されない。画質モードが低い場合、より多くの黒に基づいた他の色が出力画像を十分に暗くするために必要であり、従って、より多くの他の黒ではない色が黒に基づいて配置される。
【0029】
黒に基づいて配置される黒ではない色の量、および、第2色および第3色に用いられる黒ではない色の量が識別された後、上記プロセスは、第2色および第3色に用いられる黒ではない色値がどの程度第2色に用いられてもよいかを決定する(ブロック144)。第2色値が識別されると、上記プロセスは、黒に基づいた黒ではない色の量を合計し、それらを黒色の総量と比較する(ブロック148)。黒に基づいた黒ではない色の量が黒色の総量未満であれば、黒ではない色の識別された量が設定され、上記プロセスは、続いて、以下に記載する黒ではない第2色の量を決定し、続いて、もう1つの画素を処理できるかどうかを決定する(ブロック120)。もう1つの画素を処理できる場合、上記プロセスは、次の画素の間続く(ブロック104)。そうでなければ、上記プロセスは終了する(ブロック122)。黒に基づいた黒ではない色の量が、黒色の総量と同じまたはそれよりも大きい場合、上記プロセスは、黒に基づいて配置される第2色の量を識別する(ブロック156)。黒に基づいて配置された第2色の量を決定するための方法は、以下に記載する、黒に基づいて配置されない第2色を決定するための方法と同じである。上記プロセスは、続いてもう1つの画素を処理できるかどうかを決定する(ブロック120)。もう1つの画素を処理できる場合、上記プロセスは、次の画素の間続く(ブロック104)。そうでなければ、上記プロセスは終了する(ブロック122)。
【0030】
上記第2色の量は、残りの黒ではない色値から決定される。各黒ではない色の残りの値は、黒に基づいた上記黒ではない色の量および第3色の量によって元の黒ではない色値を下げることによって決定される。上記残りの空間は、第3色の量を差し引いた黒ではない空間である。すでに算出したように、任意の一対の黒ではない色値の残りの値の合計が残りの空間よりも大きい量は、一対の色の組み合わせから形成された第2色に変換される。この変換は、各一対の黒ではない色に関してなされる。上記残りの空間は、これらの第2色の量によって低減され、各黒ではない色の残りの値は、この黒ではない色によって形成された各第2色に与えられたこの黒ではない色の量によって低減される。黒ではない色の任意の残りの値は、以下のように割り当てられる。他の第2色の量は、第1色の残りの値が残りの空間より大きい量である。これらの値を、黒ではない色から決定された値に比例して、1つの方法において割り当てることができる。第2の方法では、これらの値は、第2色の優先順位、または、第2色の2つの黒ではない色の組み合わせに関連して割り当てられる。第1の方法の一例は、第2色を形成する黒ではない色の最小値と、残りの空間とこの第2色を形成しない黒ではない色との差との積から、各第2色の割合を作り出す。各第2色は、この積に比例して割り当てられる。上記第2方法は、第2色を順位付けし、できるだけ多くの最も高く順位付けする第2色を割り当てる。割り当てられた第2色の量は、第2色を形成する黒ではない色のより小さい値、または、必要とされる他の第2色の量によって決定される。上記最も高く順位付けする第2色の値は、各第1色および必要とされる他の第2色から引かれ、次に、次の順位付けする第2色の値は、同様に識別される。このプロセスは、必要とされる第2色の全てが発生し、または、第1色値が残存しなくなるまで続く。一実施形態は、例えば、第1方法によって半分、および、第2方法によって第2色の残りといった割合を割り当てることにより、これらの2つの方法を組み合わせてもよい。
【0031】
上記したように、図1のプロセスによって発生した色値は、色分解をレンダリングするもう1つのプロセスによって用いられる。レンダリングは、印刷される各画素に対する色と、割り当てられた色を生成するための異なる色のついた各インクの量とを、割り当てることを含む。レンダリングは、よく知られているような確率的ハーフトーンスクリーンを用いて実施されてもよい。レンダリングの知られている1つの方法は、最も暗い色値を閾値と比較する閾値プロセスを用いる。上記色値が閾値と同じまたはそれよりも大きい場合、上記画素に最も暗い色値の色が割り当てられる。上記値が閾値よりも大きくなければ、次の最も暗い色が最も暗い色値に加えられ、再び閾値との比較がなされる。上記合計が閾値と同じまたはそれよりも大きい場合、画素に最後に加えられた色値の色が割り当てられる。上記合計が閾値よりも大きくない場合、次の最も暗い色が合計に加えられ、新しい合計が閾値と比較される。このプロセスは、上記合計が閾値より大きいときに、合計に加えられる色値に相当する色が画素に割り当てられるまで続く。上記合計が閾値よりも大きくない場合、画素が印刷されないことを意味する白色が画素に割り当てられる。
【0032】
図1のプロセスによって発生した色値を用いて色分解をレンダリングする間、演色を行う前に他の調整がなされてもよい。このような1つの調整は、上記した個々の黒ではない色の無理な重複値を算出する前の重複範囲の変更である。この調整は、2つの第1色が重複せず使用可能な空間を完全に充填する状況を回避することによって、色と色との調整エラーの存在下で色の安定性を改善する。選択された重複パラメータは、2つの選択された第1色のうちの1つが、選択された重複パラメータ未満であるか、あるいは、単一の色のデータ空間と2つの選択された第1色値のうちの1つとの差が、選択された重複パラメータ未満であるということに応じて、変更される。これらの値の重複パラメータとの比較によって、どこで色重複が始まり、上記の無理な重複の算出に用いられる色重複を越える量がどこで始まるのかが決定される。重複パラメータに相当する開始位置の各側面のデータ空間およびデータ空間の長さにおいて色重複開始位置によって規定されたこの範囲が、重複変更範囲である。任意の算出における重複パラメータ値は、以下の、重複パラメータと、選択された第1色値のうちのいずれかと、単一の色値のデータ空間から選択された第1色値のうちの1つまたは複数を引いたものとの最小値に低減されてもよい。2つの選択された第1色の合計が重複変更範囲内にある場合、変更された重複パラメータを、2つの選択された第1色の合計から単一の色値のデータ空間を引いたものに加えることによって、重複値が算出される。次に、2つの選択された第1色が黒および黒ではない色のうちの1つである場合、その算出された重複値の半分が、黒ではない色重複として用いられる。選択された第1色値の両方が黒ではない場合、その算出された重複値の半分が、2つの選択された第1色によって形成された第2色の第2色重複として用いられる。算出された重複値の半分以外の重複値が用いられてもよいが、算出された重複の値の半分は算出を簡略化する。
図1
図2