【実施例】
【0037】
以下、実施例、比較例に基づいて説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
<実施例1>
50mlのガラス製丸底フラスコに所定量のDBNをとり攪拌しながら、これに弱酸として所定量の2−エチルヘキサン酸(pKa
1=4.8)を徐々に滴下した後、混合攪拌した。続いて、強酸として所定量のマレイン酸(pKa
1=1.9)を少しずつ加え、完全に溶解するまで混合攪拌を行い、本発明の触媒DBNと2−エチルヘキサン酸及びマレイン酸の塩(1)を得た。
【0038】
<実施例2>
DBNと反応させる2−エチルヘキサン酸とマレイン酸の比率を変えた他は実施例1と同様にして、本発明の触媒DBNと2−エチルヘキサン酸及びマレイン酸の塩(2)を得た。
【0039】
<実施例3>
DBNと反応させる2−エチルヘキサン酸とマレイン酸の比率を変えた他は実施例1と同様にして、本発明の触媒DBNと2−エチルヘキサン酸及びマレイン酸の塩(3)を得た。
【0040】
<実施例4>
DBNと反応させる2−エチルヘキサン酸とマレイン酸の比率を変えた他は実施例1と同様にして、本発明の触媒DBNと2−エチルヘキサン酸及びマレイン酸の塩(4)を得た。
【0041】
<実施例5>
DBNと反応させる2−エチルヘキサン酸とマレイン酸の比率を変えた他は実施例1と同様にして、本発明の触媒DBNと2−エチルヘキサン酸及びマレイン酸の塩(5)を得た。
【0042】
<実施例6>
強酸としてマレイン酸の代わりに所定量のp-トルエンスルホン酸(pKa
1=−2.8)を加えた他は実施例1と同様にして、本発明の触媒DBNと2−エチルヘキサン酸及びp-トルエンスルホン酸の塩(6)を得た。
【0043】
<実施例7>
強酸としてマレイン酸の代わりに所定量のメタンスルホン酸(pKa
1=−1.2)を加えた他は実施例1と同様にして、本発明の触媒DBNと2−エチルヘキサン酸及びメタンスルホン酸の塩(7)を得た。
【0044】
<実施例8>
50mlのガラス製丸底フラスコに所定量のDBNをとり攪拌しながら、これに弱酸として所定量のフェノール(pKa
1=9.8)を徐々に滴下した後、混合攪拌した。続いて、強酸として所定量のメタンスルホン酸を少しずつ加え、完全に溶解するまで混合攪拌を行い、本発明の触媒DBNとフェノール及びメタンスルホン酸の塩(8)を得た。
【0045】
<実施例9>
弱酸としてフェノールの代わりにo-クレゾール(pKa
1=10.2)を加えた他は実施例5と同様にして、本発明の触媒DBNとo-クレゾール及びメタンスルホン酸の塩(9)を得た。
【0046】
<実施例10>
弱酸としてフェノールの代わりに2−メトキシフェノール(pKa
1=10.0)を加えた他は実施例5と同様にして、本発明の触媒DBNと2−メトキシフェノール及びメタンスルホン酸の塩(10)を得た。
【0047】
<比較例1>
50mlのガラス製丸底フラスコに所定量のDBNをとり攪拌しながら、これに弱酸として所定量の2−エチルヘキサン酸を徐々に滴下した後、完全に溶解するまで混合攪拌を行い、比較用の触媒DBNと2−エチルヘキサン酸の塩(H1)を得た。
【0048】
<比較例2>
DBNと反応させる2−エチルヘキサン酸の比率を変えた他は比較例1と同様にして、本発明の触媒DBNと2−エチルヘキサン酸の塩(H2)を得た。
【0049】
<比較例3>
DBNと反応させる2−エチルヘキサン酸の比率を変えた他は比較例1と同様にして、本発明の触媒DBNと2−エチルヘキサン酸の塩(H3)を得た。
【0050】
<比較例4>
50mlのガラス製丸底フラスコに所定量のDBNをとり攪拌しながら、これに強酸として所定量のマレイン酸を少しずつ加えた後、完全に溶解するまで混合攪拌を行い、比較用の触媒DBNとマレイン酸の塩(H4)を得た。
【0051】
<比較例5>
強酸としてマレイン酸の代わりにメタンスルホン酸を加えた他は比較例1と同様にして、比較用の触媒DBNとメタンスルホン酸の塩(H5)を得た。
【0052】
<比較例6>
DBNと反応させる2−エチルヘキサン酸とマレイン酸の比率を変えた他は実施例1と同様にして、比較用の触媒DBNと2−エチルヘキサン酸及びマレイン酸の塩(H6)を得た。
【0053】
実施例1〜10及び比較例1〜6で得た触媒を用いて、表1に示す処方にて、ポリウレタン樹脂のポットライフ及び硬化性を評価し、これらの結果を表2に示した。
【0054】
【表1】
【0055】
<ポットライフ>
液温60℃に調節したポリオールに、触媒を所定量加え、均一に混合攪拌した。次いで、イソシアネートを加えて混合攪拌し、油温を60℃に保ちながら粘度計(ビスコエリートL型)で粘度を測定した(ロータ No.3)。粘度が30,000mPa・sを超えた時点をポットライフとした。
【0056】
<硬化性>
ポリオールに、触媒を所定量加え、均一に混合攪拌した。次いで、ポリイソシアネートを加えて混合攪拌し、表面温度を145℃に調節したゲル化試験器の熱板上に配合物を0.7g載せた。表面の糸引きが無くなり、脱型できるまでの時間を硬化時間とした。
【0057】
【表2】
【0058】
<実施例11>
50mlのガラス製丸底フラスコに所定量のDBUをとり攪拌しながら、これに弱酸として所定量の2−エチルヘキサン酸を徐々に滴下した後、混合攪拌した。続いて、強酸として所定量のマレイン酸を少しずつ加え、完全に溶解するまで混合攪拌を行い、本発明の触媒DBUと2−エチルヘキサン酸及びマレイン酸の塩(11)を得た。
【0059】
<実施例12>
DBUと反応させる2−エチルヘキサン酸とマレイン酸の比率を変えた他は実施例11と同様にして、本発明の触媒DBUと2−エチルヘキサン酸及びマレイン酸の塩(12)を得た。
【0060】
<実施例13>
DBUと反応させる2−エチルヘキサン酸とマレイン酸の比率を変えた他は実施例11と同様にして、本発明の触媒DBUと2−エチルヘキサン酸及びマレイン酸の塩(13)を得た。
【0061】
<比較例7>
50mlのガラス製丸底フラスコに所定量のDBUをとり攪拌しながら、これに弱酸として所定量の2−エチルヘキサン酸を徐々に滴下した後、混合攪拌して、比較用の触媒DBUと2−エチルヘキサン酸の塩(H7)を得た。
【0062】
<比較例8>
DBUと反応させる2−エチルヘキサン酸の比率を変えた他は比較例7と同様にして、本発明の触媒DBUと2−エチルヘキサン酸及びマレイン酸の塩(H8)を得た。
【0063】
<比較例9>
50mlのガラス製丸底フラスコに所定量のDBUをとり攪拌しながら、これに強酸として所定量のマレイン酸を少しずつ加えた後、混合攪拌して、比較用の触媒DBUとマレイン酸の塩(H9)を得た。
【0064】
実施例11〜13及び比較例7〜9の触媒を用いて、表1に示す処方にて、ポットライフの測定条件を30℃に変えて、ポリウレタン樹脂のポットライフを評価した。硬化性の測定条件は変更なし。これらの結果を表3に示した。
【0065】
【表3】
【0066】
<実施例14>
50mlのガラス製丸底フラスコに所定量のDBUをとり攪拌しながら、これに弱酸として所定量の2−エチルヘキサン酸を徐々に滴下した後、混合攪拌した。続いて、強酸として所定量のマレイン酸を少しずつ加え、完全に溶解するまで混合攪拌を行い、本発明の触媒DBUと2−エチルヘキサン酸及びマレイン酸の塩(14)を得た。
【0067】
<実施例15>
DBUと反応させる2−エチルヘキサン酸とマレイン酸の比率を変えた他は実施例14と同様にして、本発明の触媒DBUと2−エチルヘキサン酸及びマレイン酸の塩(15)を得た。
【0068】
<実施例16>
50mlのガラス製丸底フラスコに所定量のDBUをとり攪拌しながら、これに弱酸として所定量の2−エチルヘキサン酸を徐々に滴下した後、混合攪拌した。続いて、強酸として所定量のメタンスルホン酸を少しずつ加え、完全に溶解するまで混合攪拌を行い、本発明の触媒DBUと2−エチルヘキサン酸及びメタンスルホン酸の塩(16)を得た。
【0069】
<実施例17>
50mlのガラス製丸底フラスコに所定量のDBUをとり攪拌しながら、これに弱酸として所定量のフェノールを徐々に滴下した後、混合攪拌した。続いて、強酸として所定量のマレイン酸を少しずつ加え、完全に溶解するまで混合攪拌を行い、本発明の触媒DBUとフェノール及びマレイン酸の塩(17)を得た。
【0070】
<実施例18>
50mlのガラス製丸底フラスコに所定量のDBNをとり攪拌しながら、これに弱酸として所定量の2−エチルヘキサン酸を徐々に滴下した後、混合攪拌した。続いて、強酸として所定量のマレイン酸を少しずつ加え、完全に溶解するまで混合攪拌を行い、本発明の触媒DBNと2−エチルヘキサン酸及びマレイン酸の塩(18)を得た。
【0071】
<比較例10>
50mlのガラス製丸底フラスコに所定量のDBUをとり攪拌しながら、これに弱酸として所定量のフェノールを徐々に滴下した後、混合攪拌して、比較用の触媒DBUとフェノールの塩(H10)を得た。
【0072】
<比較例11>
50mlのガラス製丸底フラスコに所定量のDBUをとり攪拌しながら、これに強酸として所定量のメタンスルホン酸を少しずつ加えた後、混合攪拌して、比較用の触媒DBUとメタンスルホン酸の塩(H11)を得た。
【0073】
実施例7、12、14〜18及び比較例7、10〜11で得た触媒を用いて、次のようにして、ポリウレタンフォームを調製し、充填性及び硬化性を評価し、これらの結果を表5に示した。
【0074】
<ポリウレタンフォームの調製>
表4に示した原料を用いて、25℃で、ポリオール、水、整泡剤、難燃剤、評価試料(触媒)及びその他の触媒の順に混合した後、イソシアネート(25℃)を加え、ホモディスパー(プライミクス株式会社)で5000rpm、5秒間攪拌混合して混合物を得た。この混合物のうち100gを直ちに、モールド(温度45℃、内寸;幅10cm×奥行き100cm×高さ5cm、上部に10cm×100cmの開口部を持つ。)の上部開口部から、内寸10cmの側壁に沿うようにして充填し、発泡させてポリウレタンフォームを得た。
なお、評価試料(触媒)を使用しないこと以外、上記と同様にして、ブランク用のポリウレタンフォームを得た。
【0075】
【表4】
【0076】
注)
ポリオール:ショ糖にプロピレンオキシドを付加反応させて得た水酸基価338のポリオール
整泡剤:SH 193(ポリエーテルシロキサン重合体、東レ・ダウコーニング株式会社)
難燃剤:TMCPP(トリス(β−クロロプロピル)ホスフェート、大八化学工業株式会社)
その他の触媒:U−CAT 420A(アミン系触媒、サンアプロ株式会社)
イソシアネート:ミリオネート MR−200(粗製MDI、NCOインデックス110、日本ポリウレタン工業株式会社)
【0077】
<硬化性>
モールドに混合物を注入し始めてから、270秒後に、E型硬度計で、フォーム硬度を計測し、3ヶ所の平均値を硬化性とした。この値は大きいほど、硬化性が高いことを意味する。
【0078】
<充填性>
モールドに混合物100gを注入した後、内寸10cmの側壁から流れた最小距離を計測し、これを充填性とした。
【0079】
【表5】
【0080】
表2、表3の結果から明らかなように、本発明の触媒は従来のシクロアミジン(塩)に比べ、溶剤による減粘効果が無い無溶剤系の場合でも、可使時間(ポットライフ)を十分長く保ちながら、硬化を促進させることができた。
また、本発明の触媒は従来のシクロアミジン(塩)に比べ、高粘度の高機能原料を使用したエラストマー・シーラントの場合でも、可使時間(ポットライフ)を十分長く保ちながら、硬化を促進させることができることは、表2、表3の結果から明らかである。
また、表5の結果から明らかなように、本発明の触媒は従来のシクロアミジン(塩)に比べ、水を発泡剤として使用した場合でも、モールド内の充填性を良好に保ちながら硬化を促進させることできた。