(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5690275
(24)【登録日】2015年2月6日
(45)【発行日】2015年3月25日
(54)【発明の名称】クランプ装置
(51)【国際特許分類】
B23Q 3/00 20060101AFI20150305BHJP
B23Q 3/06 20060101ALN20150305BHJP
【FI】
B23Q3/00 A
!B23Q3/06 304F
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2011-536101(P2011-536101)
(86)(22)【出願日】2010年10月5日
(86)【国際出願番号】JP2010067406
(87)【国際公開番号】WO2011046039
(87)【国際公開日】20110421
【審査請求日】2013年7月5日
(31)【優先権主張番号】特願2009-252393(P2009-252393)
(32)【優先日】2009年10月13日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】391003989
【氏名又は名称】株式会社コスメック
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】春名 陽介
【審査官】
足立 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−096012(JP,A)
【文献】
国際公開第2009/101764(WO,A1)
【文献】
特開2005−007504(JP,A)
【文献】
特開2003−200326(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 3/00
B23Q 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準ブロック(1)に可動ブロック(2)を心合わせして固定するように構成した、クランプ装置であって、
上記の基準ブロック(1)内に上下方向へ移動可能で保密状に挿入されたピストン(15)と、
上記ピストン(15)の上側に形成されて圧力流体が供給および排出されるロック室(16)と、
上記ピストン(15)の下側に形成されて圧力流体が供給および排出されるリリース室(17)と、
上記の可動ブロック(2)内に挿入されるように上記の基準ブロック(1)から上方へ突出された環状のプラグ部分(26)と、
上記プラグ部分(26)の外周に上下方向へ移動可能に支持されるストレート内周面(29)と、上記の可動ブロック(2)に設けたテーパ孔(11)に係合するテーパ外周面(30)とを有するスリーブ(28)であって、直径方向へ拡大および縮小可能なスリーブ(28)と、
上記プラグ部分(26)の筒孔(26a)に上下方向へ移動可能に挿入されると共に上記ピストン(15)に連結されて上記の可動ブロック(2)を下方へ移動させる出力ロッド(35)と、
上記ロック室(16)の上壁(16a)に凹状に形成されたバネ装着穴(48)と、
上記ピストン(15)を下方へ付勢するように上記バネ装着穴(48)に挿入したロックバネ(49)と、
上記スリーブ(28)の下方で上記の基準ブロック(1)の外面と上記バネ装着穴(48)とを連通させる貫通孔(55)と、
上記スリーブ(28)に対面するように上記の貫通孔(55)に保密状に挿入された押部材(56)と、
上記の押部材(56)を介して上記スリーブ(28)を所定の力で上方へ付勢するように当該押部材(56)の下側に配置された圧縮コイルバネからなる進出バネ(A)と、
を備える、ことを特徴とするクランプ装置。
【請求項2】
請求項1のクランプ装置において、
前記バネ装着穴(48)を周方向へほぼ等間隔に複数設けた、ことを特徴とするクランプ装置。
【請求項3】
請求項1のクランプ装置において、
前記バネ装着穴(48)を環状に一つだけ形成した、ことを特徴とするクランプ装置。
【請求項4】
請求項2のクランプ装置において、
前記の複数のバネ装着穴(48)のうちの少なくとも一つのバネ装着穴(48)と前記の基準ブロック(1)の外面とを前記の貫通孔(55)によって連通させた、ことを特徴とするクランプ装置。
【請求項5】
請求項4のクランプ装置において、
前記ロックバネ(49)を圧縮コイルバネによって構成し、前記の貫通孔(55)が連通しているバネ装着穴(48)に挿入されたロックバネ(49)が前記の進出バネ(A)を兼用する、ことを特徴とするクランプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、クランプ装置に関し、より詳しくいえば、マシニングセンタのテーブル等の基準ブロックにワークパレット等の可動ブロックを心合わせした状態で固定する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のクランプ装置には、従来では、特許文献1(日本国・特開2000−38564号公報)に記載されたものがある。その従来技術は、次のように構成されている。
基準ブロックのハウジング内にピストンを上下方向へ移動可能に挿入し、そのピストンの上側にロック用のバネ室を形成し、そのバネ室に、上下方向へ積層させた多数の皿バネを装着する。また、上記ピストンの下側に、圧油が供給および排出されるリリース室を形成する。上記ハウジングから環状のプラグ部分を上方へ突出させる。その環状のプラグ部分の外周面と可動ブロックのテーパ孔との間に、直径方向へ拡大および縮小可能なテーパ形スリーブを介在させる。そのスリーブを所定の力で上方へ付勢する皿バネを、当該スリーブの下面と上記ハウジングの外面との間に装着する。上記プラグ部分の筒孔に出力ロッドを上下方向へ移動可能に挿入し、その出力ロッドを上記ピストンに連結する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−38564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の従来技術は、クランプ駆動時に、上記の出力ロッドが係合ボールを介して可動ブロックを下降させることにより、その可動ブロックに設けた前記テーパ孔が、前記の皿バネの付勢力によって上昇位置に保持された上記スリーブを縮径させて当該スリーブを前記プラグ部分に密着させ、引き続いて、上記の皿バネの付勢力に抗して上記スリーブを所定のストロークを下降させて、可動ブロックの被支持面を上記ハウジングの支持面に接当させる。これにより、上記の従来技術は、基準ブロックのハウジングに可動ブロックを水平方向に拘束すると共に上下方向に拘束できる点で優れるが、次の点で改善の余地が残されていた。
【0005】
上記の従来技術の皿バネは、バネ定数が大きいので、クランプ時における上記の下降ストロークが小さくならざるを得ない。この場合、可動ブロックの被支持面をハウジングの支持面に確実に接当させためには、クランプ装置の構成部品の寸法公差を厳密に管理する必要があり、上記の構成部品の加工コストが高くなる。
【0006】
この問題を解消するため、本発明者は、本発明に先立って、上記スリーブの下面とハウジングの外面との間に、上記の皿バネに代えて圧縮コイルバネを装着することを考えた。その圧縮コイルバネは、皿バネと比べてバネ定数が小さいので上記の下降ストロークを大きくできる反面、バネ全長が大きくてクランプ装置の背丈が高くなるうえ、そのバネ内に切り粉等の異物が侵入しやすいという弊害が新たに発生する。
本発明の目的は、上記の各種の弊害を解消することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明は、例えば、
図1に示すように、基準ブロック1に可動ブロック2を心合わせして固定するように構成したクランプ装置を、次のように構成した。
上記の基準ブロック1内にピストン15を上下方向へ移動可能で保密状に挿入する。上記ピストン15の上側に、圧力流体が供給および排出されるロック室16を形成し、上記ピストン15の下側に、圧力流体が供給および排出されるリリース室17を形成する。上記の基準ブロック1から環状のプラグ部分26を上方へ突出させ、そのプラグ部分26が上記の可動ブロック2内に挿入されるように構成する。直径方向へ拡大および縮小可能なスリーブ28を設け、そのスリーブ28のストレート内周面29を、上記プラグ部分26の外周に上下方向へ移動可能に支持し、上記スリーブ28のテーパ外周面30を、上記の可動ブロック2に設けたテーパ孔11に係合可能に構成する。上記プラグ部分26の筒孔26aに、上記の可動ブロック2を下方へ移動させる出力ロッド35を上下方向へ移動可能に挿入し、その出力ロッド35を上記ピストン15に連結する。上記ロック室16の上壁16aにバネ装着穴48を凹状に形成する。上記バネ装着穴48に、上記ピストン15を下方へ付勢するロックバネ49を挿入する。上記スリーブ28の下方で上記の基準ブロック1の外面と上記バネ装着穴48とを貫通孔55によって連通させる。上記の貫通孔55に、上記スリーブ28に対面するように押部材56を保密状に挿入する。当該押部材56の下側に、圧縮コイルバネからなる進出バネAを配置し、その進出バネAが上記の押部材56を介して上記スリーブ28を所定の力で上方へ付勢する。
【0008】
本発明は、次の作用効果を奏する。
本発明によれば、スリーブを所定の力で付勢する進出バネの装着箇所が、当該スリーブの下面とハウジングの外面との間に制約されないので、皿バネよりもバネ定数が小さい圧縮コイルバネを採用することが可能となり、これにより、クランプ時におけるスリーブの下降ストロークを皿バネよりも大きな値を設定できる。
また、上記スリーブの下面とハウジングの外面との間から上記皿バネの装着スペースを無くせるので、その分だけ前記プラグ部分の背丈を小さくなる。このため、ワークの機械加工時の加工力等によって上記プラグ部分の基部に作用する曲げモーメントが小さくなり、クランプ装置の剛性が高まる。
しかも、本発明の進出バネは、ハウジング内に装着されるので、クランプ装置の背丈が高くなることを防止でき、そのうえ、切り粉等の異物が侵入することを防止できる。
【0009】
本発明においては、前記バネ装着穴48を周方向へほぼ等間隔に複数設けることが好ましい。この場合、ロックバネは、所定の付勢力を確保することと全高を小さくすることとを両立できる。
【0010】
また、本発明においては、前記バネ装着穴48を環状に一つだけ形成してもよい。
【0011】
本発明においては、前記の複数のバネ装着穴48のうちの少なくとも一つのバネ装着穴48と前記の基準ブロック1の外面とを前記の貫通孔55によって連通させることが好ましい。
【0012】
また、本発明においては、前記ロックバネ49を圧縮コイルバネによって構成し、前記の貫通孔55が連通しているバネ装着穴48に挿入されたロックバネ49が前記の進出バネを兼用することが、さらに好ましい。これにより、前記スリーブを上方へ付勢する力は、一つ又は複数のロックバネを利用できるので、その付勢力の選択の自由度が大きくなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態を示し、クランプ装置のリリース状態の立面視断面図である。
【符号の説明】
【0014】
1:基準ブロック(クランプパレット),2:可動ブロック(ワークパレット),11:テーパ孔,15:ピストン,16:ロック室,16a:上壁,17:リリース室,26:プラグ部分,26a:筒孔,28:スリーブ,29:ストレート内周面,30:テーパ外周面,35:出力ロッド,48:バネ装着穴,49:ロックバネ,55:貫通孔,56:押部材,A:進出バネ.
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を
図1によって説明する。
基準ブロックとしてのクランプパレット1の上側には、可動ブロックとしてのワークパレット2が配置される。上記ワークパレット2の上面には複数のワークピースが別のクランプ装置によって着脱可能になっている(いずれも図示せず)。そして、
図1は、上記クランプパレット1に上記ワークパレット2を装着した状態を示している。
上記クランプパレット1は、ベースプレート3と、そのベースプレート3に複数のボルト4(ここでは1本だけ示している)によって固定されたハウジング5とを備える。
【0016】
上記ワークパレット2の凹所7の大径部にシム部材8及びリング部材9が挿入され、これらシム部材8及びリング部材9が複数のボルト10(ここでは1本だけ示している)によってワークパレット2に固定される。上記リング部材9には、位置決め用のテーパ孔11とクランプ用の被係止部12とが下側から順に形成される。上記リング部材9の内周部が下向きに突出され、その環状突出部の下面によって被支持面Tが構成されている。
【0017】
上記ハウジング5の下部内にピストン15が上下方向へ移動可能で保密状に挿入される。そのピストン15の上側にロック16室が形成され、上記ピストンの下側にリリース17室が形成される。上記ロック室16は、後述する第1バネ装着穴51と通路19を介して第1ポート21に連通される。また、リリース室17は、第2ポート22に連通される。上記の第1ポート21と第2ポート22には、それぞれ、圧縮空気が供給および排出される。
【0018】
上記ハウジング5から環状のプラグ部分26が上方へ一体に突出され、そのプラグ部分26が上記ワークパレット2の前記リング部材9内に挿入されるようになっている。
上記プラグ部分26の下部の外周側でハウジング5の外面が上向きに突出され、その環状突出部の上面によって環状の支持面Sが構成されている。
【0019】
上記プラグ部分26の下寄り部の外周に、直径方向へ拡大および縮小可能なスリーブ28が配置される。上記スリーブ28のストレート内周面29がプラグ部分26の外周面に上下方向へ移動可能に支持される。また、上記スリーブ28のテーパ外周面30が上記ワークパレット2の前記テーパ孔11に係合可能とされる。ここでは、上記スリーブ28の周壁の一部にスリット31を形成することにより、上記ストレート内周面29及びテーパ外周面30が直径方向へ拡大および縮小可能になっている。なお、この実施形態では、上記スリーブ28は、テーパ外周面30に作用する外力によって縮径し、その外力を解除したときに自己の弾性復元力によって拡径する。
上記スリーブ28の下部が、前記の支持面Sの半径方向の内側に形成された環状凹溝33に挿入される。
【0020】
上記プラグ部分26の筒孔26aに出力ロッド35が上下方向へ移動可能に挿入される。その出力ロッド35がボルト36によって前記ピストン15に連結される。上記プラグ部分26の周壁の途中高さ部に周方向へ所定間隔をあけて複数の貫通孔38が形成され、各貫通孔38に係合ボール39が半径方向の外方の係合位置(図示せず)と半径方向の内方の係合解除位置とに移動可能に支持される。上記の出力ロッド35の外周面の上部には、上記の各係合ボール39に対応させて、押圧面41と退避溝42とが上下に連ねて形成される。
【0021】
また、前記ロック室16に供給した圧縮空気による下降力に加えて前記ピストン15を下方へ付勢するために、複数のバネ装着穴48と複数のロックバネ49とが設けられる。
上記バネ装着穴48は、ロック室16の上壁16aに周方向へほぼ等間隔で凹状に設けた6つの第1装着穴51と、上記ピストン15に周方向へほぼ等間隔で凹状に設けた6つの第2装着穴52とからなる。上記の第1装着穴51の底壁と第2装着穴52の底壁との間に、圧縮コイルバネからなる上記ロックバネ49が挿入される。
【0022】
上記6つの第1装着穴51のうちの3つの第1装着穴51に、前記スリーブ28を所定の力で上方へ押すための進出手段が配置される。
即ち、上記スリーブ28の下方で上記ハウジング5の外面と上記の第1装着穴51とを上下方向へ連通する貫通孔55が形成される。その貫通孔55に押部材56が封止具57を介して保密状に挿入され、その押部材56の上端が上記スリーブ28に下側から対面される。上記の押部材56の下部に設けたバネ受け59に前記ロックバネ49の上端が接当される。これにより、当該ロックバネ49が上記の押部材56を介して上記スリーブ28を所定の力で上方へ付勢する。即ち、当該ロックバネ49が上記スリーブ28を所定の力で付勢する進出バネAを兼用している。
なお、上記スリーブ28が所定量以上に上方へ移動することは、前記プラグ部分26に設けた止め輪61によって阻止されている。
【0023】
さらに、上記クランプ装置の嵌合面同士をクリーニングする手段が設けられる。即ち、前記ハウジング5にクリーニング用の圧縮空気の供給口65が設けられると共に前記の出力ロッド35の上端部分に噴出口66が斜め上向きに設けられる。上記の供給口65と上記の噴出口66とが、上記出力ロッド35内の横路67と縦路68によって連通されている。また、上記ハウジング5の支持面Sには、着座検出用のノズル70が開口される。
【0024】
上記クランプ装置は、次のように作動する。
図1の状態では、ロック16室から圧縮空気を排出すると共にリリース17室へ圧縮空気を供給している。これにより、そのリリース室の圧力によって上記ピストン15がロックバネ49に抗して出力ロッド35を上昇させ、前記の各係合ボール39が退避溝42に対面して図示の係合解除位置へ移動可能になっている。また、進出バネAを兼用しているロックバネ49の付勢力が、押部材56を介して前記スリーブ28を上昇位置に保持している。そして、上記の
図1に示すように、前記クランプパレット1に対して前記ワークパレット2が下降したときには、前記の凹所7の頂壁7aが前記の出力ロッド35の上面に接当して、その出力ロッド35が上記ワークパレット2を受け止めている。
【0025】
上記の
図1の状態で、リリース17室から圧縮空気を排出すると共にロック室16へ圧縮空気を供給すると、そのロック室16の空圧力とロックバネ49の付勢力が、ピストン15を介して出力ロッド35を強力に下降させていく。すると、まず、その出力ロッド35の下降に追従して前記ワークパレット2が自重で下降していき、前記リング部材9の前記テーパ孔11がスリーブ28のテーパ外周面30に接当する。これにより、上記ワークパレット2が、上記スリーブ28と押部材56とを介して、進出バネAとしてのロックバネ49を僅かに圧縮すると共に、上記テーパ孔11が水平方向へ調心移動されて、その軸心が前記プラグ部分26の軸心に合致する。
【0026】
これとほぼ同時に、上記の出力ロッド35の前記の各押圧面41が前記の各ボール39を半径方向の外方の係合位置へ押圧し、その半径方向の押圧力が前記の被係止部12を介して下向きの力へ変換され、その下向き力によって上記ワークパレット2を強力に下降させる。すると、前記リング部材9のテーパ孔11が前記スリーブ28のテーパ外周面30に強力にテーパ係合して当該スリーブ28を縮径させ、上記テーパ孔11の軸心が前記プラグ部分26の軸心に精密に合致すると共に、進出バネとしての前記ロックバネ49の付勢力に抗して上記スリーブ28がさらに下降され、前記の被支持面Tが前記の支持面Sによって受け止められる。これにより、上記ワークパレット2は、上記スリーブ28のテーパ外周面30を介してプラグ部分26によって水平方向へ拘束されると共に上記の支持面Sによって上下方向へ拘束されることになり、その結果、上記のワークパレット2を上記クランプパレット1に精密かつ強力に位置決め固定できる。
【0027】
なお、クランプ装置は、上記クランプ状態から
図1のアンクランプ状態へ上記の逆の手順で切換えられる。
【0028】
上記の実施形態は次の長所を奏する。
前記スリーブ28の下面とハウジング5の外面との間から従来技術の皿バネの装着スペースを無くせるので、その分だけ前記プラグ部分26の背丈を小さくできる。このため、ワークの機械加工時の加工力等によって上記プラグ部分26の基部に作用する曲げモーメントが小さくなり、クランプ装置の剛性が高まる。
【0029】
また、上記の実施形態は次のように変更可能である。
前記の複数のバネ装着穴48は、例示した6つに代えて、2つから5つ又は7つ以上であってもよい。また、進出バネを兼用させるロックバネ49は、少なくとも一つであればよい。なお、前記ピストン15に設けた前記の第2装着穴52は省略可能である。
上記バネ装着穴48は、周方向へ複数配置することに代えて、次のように構成することが可能である。即ち、バネ装着穴は、ロック室16の上壁16aに形成した一つの環状の第1装着穴と、ピストン15に形成した一つの環状の第2装着穴とによって構成する。上記の第1装着穴と第2装着穴とに、大径の圧縮コイルバネからなるロックバネを少なくとも一つ挿入する。上記の第1装着穴の底壁(図中の上面)の一部とハウジング5の外面とを前記の貫通孔55によって連通させる。上記の貫通孔55に保密状に挿入した押部材56を、別の圧縮コイルバネからなる進出バネによって上方へ付勢する。
【0030】
前記スリーブ28は、例示した環状体に限定されるものではなく、複数の分割体を環状に並べたものであってもよい。また、上記クランプ装置の係合具は、例示したテーパ孔からなる被係止部12に対して係合するボール39に代えて、ストレート係止孔に対して摩擦力や塑性変形力によって係合するコレットであってもよい。
ロック及びリリース用の圧力流体は、圧縮空気に代えて、窒素ガス等であってもよく、圧油等の液体であってもよい。
【0031】
前記の基準ブロックは、例示したクランプパレット1に代えてマシニングセンタや各種機械のテーブルであってもよい。また、前記の可動ブロックは、例示したワークパレット2に代えてワークピースであってもよい。上記の基準ブロックと可動ブロックとは、上下逆に配置したものであってもよく、例示した上下方向へ連結することに代えて、水平方向または斜め方向へ連結するものであってもよい。
【0032】
また、本発明のクランプ装置は、ワークパレットやワークピースのクランピングの用途に限定されるものではなく、金型やアタッチメント等のクランピングにも利用できることは勿論である。
また、本発明は、当業者が想定できる範囲でその他の変更を行えることは勿論である。