特許第5690284号(P5690284)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5690284透析装置、透析装置のためのマニホールドおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5690284
(24)【登録日】2015年2月6日
(45)【発行日】2015年3月25日
(54)【発明の名称】透析装置、透析装置のためのマニホールドおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/14 20060101AFI20150305BHJP
【FI】
   A61M1/14 530
【請求項の数】16
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2011-552395(P2011-552395)
(86)(22)【出願日】2010年2月25日
(65)【公表番号】特表2012-519043(P2012-519043A)
(43)【公表日】2012年8月23日
(86)【国際出願番号】EP2010052420
(87)【国際公開番号】WO2010100074
(87)【国際公開日】20100910
【審査請求日】2012年1月20日
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2009/052430
(32)【優先日】2009年3月2日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】509203050
【氏名又は名称】ヴィフォール (インターナショナル) アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Vifor (International) AG
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】230105223
【弁護士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】バイベル・ルードビツヒ,ダニエル
【審査官】 寺澤 忠司
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05015226(US,A)
【文献】 国際公開第2008/128664(WO,A2)
【文献】 特開平04−218164(JP,A)
【文献】 特開平04−218165(JP,A)
【文献】 米国特許第05431185(US,A)
【文献】 国際公開第2008/145256(WO,A2)
【文献】 特開平06−218046(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0062861(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0173395(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイアライザ(6)と接続されたチューブ(1、5、8)、前記チューブ内に医薬品を送達するための手段および前記チューブおよび前記ダイアライザに通した血液輸送のためのポンプ(11)を含む透析装置であって、前記透析装置は、前記ポンプの吸引作用によって、少なくとも1つの医薬品を投与するための手段(4)を含むことを特徴とし、前記透析装置が、前記少なくとも1つの医薬品の総量を投与するために、少なくとも5分間が必要とされるように、前記少なくとも1つの医薬品のために前記チューブの1つ内への入口通路の小さな断面積を含み、該手段(4)が、メインライン(20)および医薬品容器(22)を通した前記メインラインからの流れを提供するためのバイパスライン(21、21a、21b、21c、23a、23b、23c)を含むマニホールドであり、該医薬品容器(22)は該バイパスラインと接続可能であり、該イパラインが、医薬品を含有する容器の入口および出口と接続されている手段を含む透析装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの医薬品の総量を投与するために、少なくとも10分間が必要とされるように、前記少なくとも1つの医薬品のために前記チューブの1つ内への入口通路の小さな断面積を含む、請求項1に記載の透析装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの医薬品は、EPO、鉄製剤および/または活性型のビタミンDである、請求項1または2に記載の透析装置。
【請求項4】
透析を実施するための医薬品を含有する全容器(22、50)は、前記透析装置と同時に接続される、請求項1ないし3項のいずれか一項に記載の透析装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの医薬品の送達の始動を制御するための制御装置を含む、請求項1ないし4項のいずれか一項に記載の透析装置。
【請求項6】
医薬品の送達を制御するための少なくとも1つの膜バルブ(30、31、32a、33a)を含む、請求項1ないし5項のいずれか一項に記載の透析装置。
【請求項7】
少なくとも2つの膜弁および前記少なくとも2つの膜弁のハウジング(30)を越えて伸長する1枚だけの膜(31)を含む、請求項6に記載の透析装置。
【請求項8】
医薬品の送達を制御するための膜バルブを含み、当該膜バルブは、ハウジング(30)、膜(31)、可動ボルト(32a、32b、32c)および前記ボルトを動かすための電気式、空気圧式、油圧式または磁気手段を含む、請求項1ないし7のいずれか一項に記載の透析装置。
【請求項9】
ポンプの入口側(1a)のチューブと接続された気体を含まない折り畳み式容器(70)(当該容器は医薬品を含む)、またはポンプの入口側(1a)のチューブと接続された非柔軟性および非折り畳み式容器(当該容器は医薬品および気体を含む)を含む、請求項1ないし8のいずれか一項に記載の透析装置。
【請求項10】
前記非柔軟性および非折り畳み式容器は、穿刺可能なゴム栓(52)を備えるバイアル(50)またはシリンジである、請求項9に記載の透析装置。
【請求項11】
前記シリンジのピストンと気体を含有する容器との接続を含む、請求項10に記載の透析装置。
【請求項12】
該マニホールドが、少なくとも2つのバイパスライン(21a、21b、21c、23a、23b、23c)を含み、各バイスラインが、各バイパスラインの第1および第2区間を医薬品を含有する容器の入口および出口に接続するための手段を含むことを特徴とする請求項1ないし11のいずれか一項に記載の透析装置。
【請求項13】
医薬品を含有する容器(22)の出口と接続可能な前記バイパスラインの前記第2区間(23a、23b、23c)は、前記メインラインに通じる共通出口ラインを含んでいない、請求項記載の透析装置。
【請求項14】
前記マニホールドが、医薬品を含有する穿刺可能なゴム栓を備えるバイアル(50)またはシリンジ(22)を含む、請求項1ないし13のいずれか一項に記載の透析装置。
【請求項15】
前記バイパスラインは、医薬品の投与を始動させるための少なくとも1つの弁(24a、24b、24c、24d、24e、24f)を含む、請求項1ないし14のいずれか一項に記載の透析装置。
【請求項16】
前記マニホールドが、メインライン、マニホールド内に異なった医薬品容器を挿入するための手段にそれぞれ接続している異なったアダプターおよび各アダプターとメインラインの間の流体接続を含む、請求項1ないし15のいずれか一項に記載の透析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液を精製するための透析装置、透析装置のためのマニホールドならびに透析槽を再生するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
透析は、半透膜を横断する溶質の拡散および流体の限外濾過を原理として機能する。血液は半透膜の一方の側を流れ、透析液もしくは流体は反対側を流れる。相対的に小さな溶質および流体は、この膜を通り抜ける。血液は一方向に流れ、透析液はその反対方向に流れる。血液と透析液の向流は血液と透析液との間の溶質の濃度勾配を最大化し、血液からより多くの尿素およびクレアチニンを除去するために役立つ。溶質(例えば、カリウム、リン、および尿素)の濃度は血液中では望ましくないことに高いが、透析液中では低いか非存在であり、透析液の恒常的交換は、望ましくない溶質の濃度が膜のこちら側で低く維持されることを保証する。透析液は、健康な血液中のカリウムおよびカルシウムのようなミネラル類の自然濃度に類似する濃度を有する。また別の溶質である重炭酸塩については、これらの患者において多く認められる代謝性アシドーシスを中和するためのpHバッファとして機能させるため、透析液の濃度を正常血液よりわずかに高いレベルで設定し、重炭酸塩の血液中への拡散を促進させる。透析液の成分の濃度は、典型的には個々の患者の必要にしたがって腎臓専門医によって規定される。
【0003】
透析装置は、米国特許出願公開第2006/0173395(A1)号明細書、米国特許第4213859号明細書および米国特許第4137168号明細書から公知である。
【0004】
米国特許出願公開第2006/0173395(A1)号明細書は、患者と血液処理装置との間の血液輸送のための結合動脈静脈血チューブセットについて開示している。このセットは、1つの端部で動脈患者コネクタおよび他方の端部で動脈ユニットコネクタを有する動脈チュービングを含む動脈セットコンポーネントを含んでいる。静脈セットコンポーネントは、1つの端部で静脈患者コネクタおよび他方の端部で静脈ユニットコネクタを備える静脈チュービングを有する。動脈および静脈患者コネクタ、ならびに動脈および静脈ユニットコネクタは、各々、実質的および取り外し可能に相互に直接的に接続される。この結果として、動脈および静脈セットコンポーネントは、協働してループを形成する。
【0005】
薬剤および薬物、特にヘパリンを体外血液回路の部分静脈領域内に輸注するための装置は、米国特許第5015226号明細書に記載されており、この装置は、ヘパリンポンプに置換され、シリンジの形態にある供給容器、供給導管内に配置されたクランプであってよい遮断部材、体外回路内の低下した圧力もしくは部分静脈を測定するための手段および制御手段を含んでいる。前記制御手段は圧測定手段および遮断部材と接続されており、測定される部分真空および所望量の薬剤に依存して遮断部材を規則的に開閉するように構成されている。この装置は、透析装置の体外血液回路内で使用できる。
【0006】
第1入口および出口ならびに第1入口および出口の中間にある複数の入口を有するハウジングを含む流体マニホールドは、米国特許第5431185号明細書から公知である。欧州特許出願公開第0443324(A1)号明細書は、医療使用を企図する流体を調製するためのシステムを開示している。
【0007】
透析装置は、腎臓が損傷している、機能不全である、または欠損している場合に過剰の水および老廃物を除去するために患者の血液を濾過する装置である。血液は、動静脈(AV)瘻と呼ばれる前腕に特別に作製された静脈を通して抜去される。血液は、AV瘻から柔軟性チューブを通して透析装置へ取り出される。透析装置自体は、人工腎臓であると考えることができる。透析装置は、その内部では、移送された血液をダイアライザへ運ぶより柔軟なチューブ、不純物を取り除くための半透膜を形成する中空糸の束からなる。ダイアライザ内では、血液は透析液と呼ばれる食塩液溶液で拡散され、同様に透析液は血液で拡散される。濾過工程が完了すると、浄化された血液は患者の対応する静脈に返血される。腎臓の障害もしくは不全のために透析を使用する大多数の患者は、透析専門診療所において透析装置を使用する。ほとんどのセッションは約4時間を要し、典型的には、患者は診療所に週3回通院する。
【0008】
透析手技の経過における凝血を防止するためには、ヘパリンのような薬剤をチューブの1本に、したがって血液循環内に、継続的に送達することが必要である。透析手技が終了する頃には、ヘパリンに加えて、例えば、Venofer(登録商標)のような鉄スクロース、エリスロポエチン(EPO)および活性形ビタミンDなどの薬剤を投与することが必要であるか、または少なくとも有益である。透析セッションの終了時には、瘻の出口を洗浄するために薬剤を送達することが有益である。少なくとも一部の薬剤は、短期間中には投与できない。その代わりに、数分間、例えば10分間で透析装置のチューブ内へ段階的または継続的にそのような薬剤を注入することが必要である。
【0009】
透析中に医薬品を送達するために、透析装置のチューブは、米国特許第6090066号明細書から公知であるような1つ以上の注射部位を含んでいる。注射部位は、弾性の針穿刺膜および/またはシリンジもしくはバイアル用アダプタのような投与器具を注射部位と接続するための雌ルアーロックコネクタであってよい。
【0010】
診療所のスタッフメンバーは、数人の患者の面倒を同時に看なければならない。最初に、スタッフメンバーは、各患者を透析装置に接続しなければならない。数時間後のこれらの手技の終了時には、スタッフメンバーは、薬剤を透析装置の対応するチューブへ注入しなければならない。時間的制約があるために、何の間違いも犯さずに全患者に全薬剤を毎日投与することは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許出願公開第2006/0173395(A1)号明細書
【特許文献2】米国特許第4213859号明細書
【特許文献3】米国特許第4137168号明細書
【特許文献4】米国特許第5015226号明細書
【特許文献5】米国特許第5431185号明細書
【特許文献6】欧州特許出願公開第0443324(A1)号明細書
【特許文献7】米国特許第6090066号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
このため本発明の課題は、透析装置、透析装置のためのマニホールド、ならびに透析手技中の医薬製剤の投与を容易にする方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の課題を解決するために、透析装置は、ダイアライザと接続されたチューブ、該チューブ内へ医薬品を送達するための手段、および該チューブと該ダイアライザとを通した血液輸送のための血液ポンプを含んでいる。さらに、本透析装置は、少なくとも1つの医薬品をポンプの吸引作用またはポンプの加圧作用または気体もしくは液体の過剰圧によって送達するための手段を含んでいる。
【0014】
少なくとも1つの医薬品の送達はポンプまたは容器内の過剰圧によって生成される流れによって行われるので、送達は自動的である。さらに、医薬品を自動的に投与するために別のポンプもしくはモータは必要とされず、したがって簡単な態様で投与される。
【0015】
本発明の1つの実施形態では、少なくとも1つの薬剤のためのチューブ内への入口通路の断面は小さいので、この医薬品の総量を投与するためには少なくとも5分間、好ましくは少なくとも10分間を要する。透析装置のマニホールドは、医薬品のための入口を含むことができる。典型的な医薬品は、Venofer(登録商標)のような鉄製剤、EPO、活性型ビタミンD、瘻を洗浄するための薬剤および/または凝血を防止するためのヘパリンのような薬剤である。この実施形態は、スイスの会社であるVifor(International)AG製のVenofer(登録商標)のような医薬品において、短時間内、例えば1分間以内の急速様式で当該医薬品の総量を投与することが許容されていない場合に、特に有用である。本発明のこの実施形態では、手動またはモータ駆動ピストンなどによりVenofer(登録商標)のような医薬品を段階的に投与することは必要とされない。この実施形態では、モータ駆動ピストンを必要とせずにヘパリンのような医薬品を継続的に投与することもまた可能である。この場合には、チューブ内への入口通路は、総ヘパリン量の送達が数時間を必要とするような小さな断面積を含むことができる。
【0016】
少なくとも1つの医薬品の流量を制御するために、チューブ内への医薬品用入口は、柔軟性チューブを含むことができる。そこで、流路の断面積を減少させるために該柔軟性チューブを締め付けることができる。
【0017】
例えば、透析手技の終了時には、スタッフメンバーは、少なくとも1つの医薬品の送達を開始または始動しさえすればよい。例えば、同時に、好ましくは透析手技の開始時に、上述の医薬品を含有する全容器もしくはシリンジを該透析装置と接続することができる。1つの医薬品の送達の始動は、対応する弁の開放によって発生させることができる。
【0018】
もはや、医薬品を手動で、追加のモータまたは追加のポンプによって投与する必要はない。医薬品を含有する全容器もしくはシリンジを処置開始時に透析装置と接続すれば、スタッフメンバーは、全透析工程中にこの状況を制御することができる。これは、医薬品の投与を忘れない、または1つの医薬品を2回適用しないために役立つ。これらの理由から、本発明は、費用を節約し、少なくとも1つの医薬品の投与を促進する。
【0019】
透析を実施するための医薬品を含有する全容器もしくはシリンジが処置開始時に透析装置と接続されると、送達の始動を制御装置によって自動的に管理することができる。この実施形態は、さらに透析装置の取り扱いも容易にする。
【0020】
本発明の1つの実施形態では、透析装置は、医薬品の送達を制御するための少なくとも1つの膜バルブを含んでいる。膜バルブは、極めて衛生的および漏れ防止型である。膜バルブは、自動的に開閉させることが容易である。
【0021】
膜バルブは、その全域で伸縮する膜を有するハウジングを含んでいる。膜は、中間分離リッジもしくはシートを有する流れ開口部に向かって偏向することができる。膜が各々シートである分離リッジに対して偏向すると、流れ開口部を通る流れ連絡(flow communication)は中断される。この偏向は、膜の反対側への圧媒体の適用後、または手動で膜の反対側に向けてボルトを移動させることによるいずれかで実行できる。ボルトは、例えばハウジング内にネジ入れしたモータ駆動スピンドルによって、またはより好ましくは磁力によって移動させられる。好ましくは、スピンドルもしくはボルトは透明材料から製造されるので、膜の位置は、スピンドル内のボルトの位置をチェックすることによって視認できる。ハウジング内の流体は、弁の可動パーツと接触することはあり得ない。この理由から、弁は極めて衛生的である。さらに、膜は、シートもしくは分離リッジの方向への膜の移動が流路の断面積を減少させるので、弁を通る流量の制御を許容する。そこで本発明のこの実施形態は、医薬品の送達期間を管理すること、特に増加させることを許容する。
【0022】
本発明の1つの実施形態では、透析装置もしくは該透析装置のマニホールドは、複数の膜バルブのための1つ以上のハウジングを含んでいるが、複数のハウジングを被覆するのは1枚の膜だけである。この実施形態は、複数の液体医薬品の投与を制御するためにスペースを取らず、費用を節約する複数の膜バルブの構造を可能にする。
【0023】
本発明の1つの実施形態では、少なくとも1つの医薬品は、該少なくとも1つの医薬品の容器が血液ポンプの入口側のチューブと接続されており、該容器が折り畳み可能であるので、血液ポンプの吸引作用によって投与される。この場合、容器は追加の気体を含有していてはならず、該医薬品の投与中にまた別の開口部を含んでいてはならない。血液ポンプは、入口部位のチューブ内で吸引力を生成する。この吸引力のために、折り畳み可能な容器の液体含量は例えば対応する弁が開放された後にチューブ内へ流入する。投与の経過において容器と環境との間にはまた別の流体接続が存在しないので、投与は自動的に停止する。気体は、医薬品容器が液体医薬品しか含有していないので、チューブに到達することができない。
【0024】
容器が各々折り畳み可能ではあるが柔軟性ではない場合は、容器が液体医薬品ならびに既定気体量を含有していれば十分な可能性がある。さらに、容器は、少なくとも医薬品の投与中にはまた別の開口部を含んでいてはならない。この場合、液体医薬品は、該液体医薬品の投与を始動する前に容器の出口に接していなければならない。この結果を達成するために、容器の出口は、容器がチューブと接続されている場合は、好ましくは底部にある。投与の経過において、容器内では沈降が発生し、時期が来ると投与が停止される。容器が十分な液体医薬品を含有している場合は、容器内の沈降力が前記吸引力と対応すると該医薬品の投与が停止されるので、空気のような気体はチューブには到達しない。
【0025】
そのような容器は、医薬品を含有する第1容器を気体を含有する第2容器と接続することによって提供することができる。第1医薬品容器は、ポンプの入口側のチューブと接続されている。この実施形態は、シリンジまたはバイアルのような所望の医薬品を含有する従来型医薬品容器の使用を許容する。
【0026】
従来型容器がシリンジである場合は、シリンジのニードルは、例えば対応する注射部位を備えるポンプの入口側のチューブと接続されなければならない。気体を含有する第2容器は、シリンジの反対側と接続されなければならない。第2気体容器とシリンジとの接続を提供するために、第2容器は、シリンジのピストンを貫通するニードルの形態にある出口を含むことができる。
【0027】
従来型容器は、国際公開第2007/082325号から公知であるような穿刺可能なゴム栓を備えるアンプルまたはバイアルであってよい。入口通路および出口通路を備えるニードルを含むそのようなアンプルまたはそのようなバイアルのためには周知の従来型アダプタが存在する。気体を含有する第2容器は、ニードルの入口通路と接続されなければならない。ニードルの出口通路は、ポンプの入口側のチューブと接続されなければならない。アダプタのニードルは、前記接続を提供するためにゴム栓に貫通する。
【0028】
そのような方法では、第1従来型容器、つまりポンプの入口側のチューブと接続された液体医薬品を含有しているシリンジまたはバイアルが存在する。さらに、気体を含む第2容器ならびに第1および第2容器の間の接続が存在する。液体量と気体量との関係は、該医薬品の投与の時期が来ると自動的に停止するような様式で調整されるが、これは気体ではなく医薬品の所望量がチューブ内に流入することを意味する。医薬品の投与は、第2容器内の沈降力が前記吸引力と同等になると、または対応すると停止する。
【0029】
本発明の1つの実施形態では、前記第1および前記第2容器との間の接続は、投与および/または対応する流量を制御するために減圧弁を含んでいる。追加して、または代わりに、医薬品容器の出口と透析装置のチューブ内への入口との間の接続は、投与および/または対応する流量を制御するための減圧弁を含むことができる。
【0030】
穿刺可能なゴム栓を備える従来型アンプル(バイアル)のための従来型アダプタは、典型的には雌ルアーロックを含んでいる。他方の側では、透析装置は、さらにまた典型的には雌ルアーロックを備える注射部位も含んでいる。この理由から、本透析装置は、2つの雌ルアーロック間を接続させる少なくとも1つの接続ピースを含むことができる。
【0031】
本発明のまた別の実施形態では、注射部位は、前記接続ピースを回避するために雄ルアーロックを含んでいる。または、バイアル用のアダプタは、前記接続ピースを回避するために雄ルアーロックを含んでいる。
【0032】
従来型容器がシリンジの場合は、気体容器へ接続するためにニードルを用いた穿刺中のシリンジのピストンの移動を回避することが必要である。この理由から、穿刺用ニードルはスレッドを含むことができる。そこで、ニードルをピストン内へ下向きに回転させることができるので、それによりピストンのあらゆる位置ずれが回避される。代替法として、ニードルは、逆打ちプライヤを含むことができる。医薬品を含有する従来型シリンジのピストンは、隙間を含んでいる。逆打ちプライヤは、ピストンを固定するために隙間の内壁を掴むことができる。そこで、ピストンを動かさずにニードルにピストンを貫通させることができる。
【0033】
本発明の1つの実施形態では、ポンプの圧作用によって少なくとも1つの医薬品を送達するための手段は、メインラインおよび該メインラインのためのバイパスラインを含んでいる。メインラインはポンプの出口側のチューブの1区間と置き換えられてよく、または前記チューブの1区間であってよい。バイパスラインの第1区間の1つの端部はメインラインと接続されており、バイパスラインの第1区間の他方の端部は、医薬品容器内への入口と、好ましくは容器の上部にある入口と接続されている。バイパスラインの第2区間は、好ましくは容器の底部にある医薬品容器の出口とメインラインとの間で流体接続している。各々第2区間との前記流体接続はメインライン内へ下流へ排出されるので、血液はバイパスの第1区間内へ流入し、その後に容器を通って、およびその後に前記また別の流体接続を通ってメインライン内へ戻される。バイパスラインのために、医薬品は容器から加圧側でメインライン内へ流入する。好ましくは、容器は、医薬品だけを含有していて気体を含有していない。この場合には、気体はメインライン内へ流入しない。全透析ラインは、血液が再び患者の体内に入る前に各々エアートラップである気泡トラップを含有しているので、偶発的に血流に流入した気体は容器から捕捉される。
【0034】
概して、バイパスラインの第1および/または第2区間の断面積は、メインライン内への医薬品の流量を決定する。バイパスラインが弁を含む場合は、弁の断面積は追加して医薬品の流量を決定でき、または影響を及ぼすことができる。医薬品の流量を決定する関連断面積は、好ましくは、所望の期間内に対応する医薬品の投与が行われるような様式で設計される。例えば、Venofer(登録商標)が医薬品である場合は、関連断面積は、投与が好ましくは少なくとも5分間、好ましくは10〜20分間、または30分間まで持続するように設計される。
【0035】
容器は、上述した理由のためのゴム栓を備えるシリンジまたはバイアルのような従来型容器であってよい。
【0036】
本発明の1つの実施形態では、マニホールドは、前記メインラインおよび前記バイパスラインを含んでいる。本発明の1つの実施形態では、メインラインの1つの端部にはこの端部を各々ダイアライザの雌コネクタである雌ロッキングアダプタと接続するためのダイアライザコネクタが用意されている。メインラインの他方の端部にはダイアライザコネクタのためのそのような雌ロッキングアダプタが用意されている。ダイアライザコネクタは、透析装置のチューブを各々ダイアライザのコネクタである雌ロッキングアダプタと接続するための標準的雄ロッキングアダプタである。メインラインはダイアライザで使用するためのそのような標準的コネクタシステムを含んでいるので、マニホールドを、標準的雄ロッキングシステムを含むあらゆる公知の透析装置と接続することが可能である。公知の透析装置を再設計する必要はない。
【0037】
本発明の1つの実施形態では、マニホールドは、少なくとも2本のバイパスラインを含んでいるが、このとき各バイパスラインはバイパスラインの2つの区間を上述したように医薬品容器の入口および出口と接続するための手段を含んでいる。この場合には、複数の医薬品容器をマニホールド内に同時に挿入することが可能であり、これにより上述した理由のための取り扱いが促進される。バイパスラインの第1区間は、好ましくはスペースおよび費用を節約するためにメインラインと接続された共通入口ラインを含んでいる。バイパスラインの第2区間の共通出口ラインが存在することは可能であるが、望ましくはない。共通出口ラインが存在する場合は、第1医薬品が第2医薬品と直接接触することが考えられ、これは望ましくない化学反応を誘発することがある。このため、望ましくない作用を排除するために共通出口ラインが存在しないことが有益である。
【0038】
本発明の1つの実施形態では、バイパスラインは、医薬品の投与を始動させるための少なくとも1つの弁を含んでいる。弁は、好ましくは膜バルブである。弁があるために、医薬品の投与を手動によって、または制御器具によって自動的に制御することができる。弁の各ハウジングは、製造コストが低くなるように射出成形部品であってよい。対応する膜の製造コストもまた低い。この理由から、少なくともハウジングおよび膜は、使い捨て部品であってよい。膜バルブのボルトは血液と直接接触しないので、コストを節約するためにボルトは再使用することが可能である。この理由から、本発明の1つの実施形態におけるマニホールドは、膜によって被覆されている膜バルブのハウジングしか含んでおらず、弁のボルトを含んでいない。この場合には、ボルトは、対応する弁を閉鎖および/または開放するためにボルトを制御する、および動かす手段を含むまた別の機器の部品であってよい。例えば、また別の機器は、米国特許第3942759号明細書から公知の様式でボルトまたは膜を動かすための磁気手段を含んでいる。また別の機器は、膜バルブを閉鎖するための圧縮応力バネおよび弁を開放するためのコイルを含むことができる。
【0039】
マニホールドは、プラスチックから製造されている1つまたは2つの射出成形部品から構成することができ、または含んでいてよい。この場合には、製造コストは低い。この理由から、マニホールドは、有益には衛生上の理由から有益である使い捨て部品であってよい。
【0040】
本発明の1つの実施形態では、マニホールドのラインは、メインラインおよびバイパスラインを通る血流をチェックするために透明である。
【0041】
マニホールドをダイアライザと直接的に接続することは必要ではない。さらにメインラインの両端をチューブの適切な端部と接続することも可能である。しかし、次にダイアライザ装置のためのチューブの共通設計を修飾することが必要である。この場合には、マニホールドのメインラインにダイアライザコネクタおよび対応するロッキングアダプタが用意されることは余り好都合ではない。チューブの修飾が必要である場合は、各々コネクタシステムである他のロッキング手段の使用は、何の問題も伴わずに可能である。
【0042】
マニホールドがポンプの入口側のチューブと接続されている場合は、マニホールドは、気体が充填された1つ以上の容器および各気体容器を医薬品容器の入口と接続するための手段を含むことができる。各気体容器を医薬品容器の入口と接続するための手段は、シリンジのピストンを貫通するためのバイアルまたはニードルのためのアダプタであってよい。さらに、マニホールドは、医薬品を含有する容器の出口をチューブの注射部位と接続するための手段を含むことができる。
【0043】
本発明の1つの実施形態では、ポンプの入口側に据え付けられたマニホールドは、調節可能な量を備える少なくとも1つの気体容器を含んでいる。調節可能な量を含む容器は、例えば米国特許出願公開第2008/0200886(A1)号明細書から公知である。気体容器は、医薬品容器の容量に依存して所望の量を調節するための可動ピストンを含むことができる。漏れを回避するために、気体容器は、柔軟性膜を含むことができる。ピストンのような手段は、膜の位置を、したがって気体容器の容量を変化させることができる。気体容器は、気体容器の所望の容量の調節を支援できるためにピストンのような手段のための1つ以上のラッチ位置を含むことができる。
【0044】
最新技術から、透析セッションの経過においてヘパリンの流量を変化させることが有益であることは公知である。本発明は、例えば適切な弁を制御することによって、ヘパリンまたは対応する医薬品の流量を所望の流量に適応させることを可能にする。追加して、または代わりに、ヘパリンを含有する複数の医薬品容器は透析装置と接続される。ヘパリンを含有する医薬品容器は、本発明によるマニホールド内に挿入することができる。次に追加の医薬品容器のヘパリンの投与を始動するために対応する弁を開放する工程によってヘパリン流量を増加させることができる。
【0045】
本発明の1つの実施形態では、医薬品容器の出口は、透析装置のチューブと接続される。医薬品容器の入口は、輸液を含有する柔軟性バッグと接続される。輸液は、重力に起因して医薬品容器を通って流れることができる。この方法で、医薬品は透析機器のチューブに到達する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】透析装置を示す図である。
図2】透析装置のためのマニホールドの断面図である。
図3a】膜バルブの断面図である。
図3b】膜バルブの断面図である。
図3c】膜バルブの斜視図である。
図4a】ダイアライザコネクタを示す図である。
図4b】ダイアライザコネクタのための雌コネクタを示す図である。
図5】アダプタを備えるバイアルを示す図である。
図6】透析装置の注射部位に接続された図5のバイアルおよびアダプタを示す図である。
図7】注射部位と接続された折り畳み式医薬品容器を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1の透析装置は、一方の側では患者3のAV瘻2とおよび他方の側ではダイアライザ6の入口と接続されている第1プラスチック製チューブ1を含んでいる。第2プラスチック製チューブ5は、一方の側ではマニホールド4の出口および他方の側ではエアートラップ7の上部にある入口と接続されている。第3プラスチック製チューブ8は、一方の側ではエアートラップ7の底部にある出口および他方の側では患者3の前腕の静脈9内への入口と接続されている。マニホールド4の入口は、ダイアライザ6の上部にある出口と接続されている。さらにダイアライザの入口とチューブ1との間にマニホールドを配列することもまた可能である。しかしこの場合に、ダイアライザ6を通過することが許容されない医薬品を含有するマニホールド内へ容器を挿入することはできない。
【0048】
透析装置は、AV瘻2と蠕動式ポンプ11との間に配列されたスナバ13を含むことができる。血液凝固を防ぐために、ヘパリンポンプ10は、プラスチック製チューブの1本と、好ましくは最新技術から公知であるスナバ13と接続することができる。患者3の血液をチューブ、エアートラップおよびダイアライザに通して送血するために、透析装置は、第1チューブ1に作用する蠕動式ポンプ11(血液ポンプ)を含んでいる。結果として、チューブ1は、吸引側1aと加圧側1bとに分割される。吸引側1aは、瘻2と血液ポンプ11の入口側との間である。加圧側1bは、血液ポンプ11の出口側とダイアライザ6との間である。チューブは、最新技術から公知であるように薬剤を投与するために複数の注射部位12を含むことができる。第1注射部位は、AV瘻2と蠕動式ポンプ11との間に配列できる(吸引側1a)。第2注射部位は、蠕動式ポンプ11とダイアライザ6との間に配列できる(加圧側1b)。第3注射部位は、ダイアライザ6とエアートラップ7との間に配列されてよい。典型的には、注射部位12は、雌ルアーロックおよびダイアフラムを備えるT字接合部を含んでいる。エアートラップ7は、圧力を、したがってエアートラップ7内の空気含量を制御するための圧力計14と接続されている。入口15は、エアートラップ6内に純水を供給するためにエアートラップ7の上端と接続されている。エアートラップ7の上部にある開口ポート16はさらにまた、医薬品を投与するため、またはエアートラップから手動により脱気するためにも使用できる。
【0049】
図2は、マニホールド4の拡大断面図を示している。マニホールド4は、メインライン20、バイパスラインの第1区間21および第2区間を含んでいる。バイパスラインの第1区間21は、その各々がシリンジ22またはバイアルのような医薬品容器の入口と接続可能である2つ以上の分岐部21bおよび21cを含んでいる。この理由から、第1区間の図示した端部21aは、図示したシリンジ22のピストンに貫通するニードルを含んでいる。そこで第1区間21の端部21aは、さらに医薬品容器と接続可能である。シリンジ22のニードルまたはルアーコーンは、バイパスラインの第2区間23aと接続されている。バイパスラインの第2区間23aは、メインライン20に通じている。その各々が医薬品容器の出口と接続可能である第1区間21の分岐部21bおよび端部21cと対応する2つのまた別の第2区間23bおよび23cが存在する。概して、バイパスラインの断面積は、メインライン20の断面積より小さい。バイパスラインは、マニホールド内に挿入された医薬品容器22を通る流量を制御するために6つの膜バルブ24a、24b、24c、24d、24eおよび24fを含んでいる。メインライン20の入口コネクタ25はダイアライザ6の出口コネクタと対応しており、ダイアライザコネクタ25である。メインライン20の出口コネクタ26は、同様に図1に示されているダイアライザの出口コネクタと対応している。透析セッション中、血液はメインライン20を通って入口25から出口26へ流れる。例えば弁24aおよび24bが開口している場合は、マニホールド4を通って流れる血液の一部はバイパスラインを、そこで図示したシリンジ22を通って流れる。その結果として、シリンジの医薬品含量はメインライン内に流入する。
【0050】
マニホールドの出口がダイアライザの入口と接続されている場合は、マニホールドの出口は、マニホールド出口をダイアライザに接続するためにダイアライザコネクタ25を含んでいる。
【0051】
図3aは、1つのハウジング30、1枚の膜31ならびに3つの可動ボルト32a、32bおよび32cから構成される3つの膜バルブの断面図を示している。ハウジング30は、第1弁の第1流路33a、第2弁の第2流路33bおよび第3弁の第3流路33cを含んでいる。膜31は、全流路33a、33bおよび33cを被覆しており、ボルト32a、32bおよび32cによって各流路に向けて偏向可能である。図3aに示した設計は、スペースを節約する。製造コストは低い。図3bは、第2弁が例えば圧縮応力バネ(図示していない)または磁気手段(図示していない)によって閉鎖される状況に関する。
【0052】
図3cは、膜バルブの1つの実施形態の斜視図である。膜バルブのハウジングは、図3cに示したようにチューブおよび分岐部を備えて一体成形で製造することができる。例えば、チューブは、図2による分岐部21bと接続されたバイパスラインの区間21であってよい。圧力が膜31に印加されると、区間21bを通る通路が閉鎖される。図3cは、極めてスペースを節約する構造が可能であることを示している。ただ1つの膜バルブの代わりに、各弁が図3aおよび3bによる分岐部を含む多数の膜バルブを提供することが可能である。
【0053】
図4aはダイアライザコネクタ25を示し、図4bはダイアライザの対応する雌コネクタ26を示している。ダイアライザコネクタ25の1つの端部は雄スレッド40を含んでおり、雌コネクタの1つの端部は対応する雌スレッド41を含んでいる。ダイアライザコネクタは、ダイアライザコネクタの取り扱いを容易にするためのグリップ42を含んでいる。ダイアライザコネクタの他方の端部43は、透析装置のチューブに適応している。雌コネクタ26の他方の端部は、さらにまたチューブ端部をコネクタに固定することが可能であるように透析装置のチューブに適応させることができる。
【0054】
図5は、リッド51を備える各々バイアル50であるアンプルを示している。リッド51は、穿刺可能なゴム栓52を含んでいる。バイアル用のアダプタは、入口(通気)通路54および出口通路55(バイアルアダプタ、通気)を備える中空ニードル53を含んでいる。ニードル53は、ゴム栓52を貫通する。さらに、アダプタは、該アダプタをリッド51に固定するためのクランプ56を含んでいる。
【0055】
最新技術によると、図5に示したバイアル用のアダプタは、雌ルアーロックを含んでいる。本発明の1つの実施形態では、アダプタの出口は、透析装置の注射部位は通常は雌ルアーロックを含んでいるが、アダプタの出口と透析装置の注射部位との間の接続を容易にするための雄ルアーロックを含んでいる。
【0056】
図5のバイアル50は、図2または1によるとマニホールド内に挿入することができる。その場合は、バイパスラインの第1区間をアダプタの入口通路および第2区間をアダプタの出口通路と接続することが必要である。
【0057】
図6は、図5のバイアル50およびアダプタを示している。アダプタの出口通路55は、チューブ1の注射部位12と、したがってポンプの入口側のチューブに接続されている。アダプタの入口通路54は、折り畳み可能、または剛性のいずれかである気体容器60と接続される。
【0058】
投与を開始するために、弁61を開放することが必要である。ポンプによって生成される吸引力のために、医薬品は出口通路55を通ってチューブ1内に流入する。結果として、気体が気体容器60から入口通路54を通って医薬品容器50内へ流入する。これは、気体容器60内で低圧を生成する。低圧力が吸引力と対応すると直ちに、医薬品の流れは停止する。投与の開始時から終了時までの期間は、入口通路、出口通路の断面積および気体容器60の容量に依存する。
【0059】
気体容器と医薬品容器との接続は、医薬品の流量を調整するために減圧弁62を含むことができる。さらに、気体容器と医薬品容器との接続は、医薬品の汚染を回避するために使い捨ての微生物用フィルタ63を含むことができる。
【0060】
出口通路55がチューブ1bまたは5の注射部位12と接続されている場合は、気体容器60内の気体は加圧下にある。気体容器は、費用を節約するバルーンであってよい。
【0061】
図7の実施形態では、折り畳み式医薬品容器70は、第1チューブ1の注射部位12と接続されている。医薬品の投与は、柔軟性容器70が空になるとすぐに停止する。
【0062】
図5、6または7に示した医薬品容器の出口を注射部位と接続する代わりに、出口はマニホールドのメインラインと接続することができる。その場合は、チューブの1区間をマニホールドのメインラインと置換することが必要である。好ましくは、マニホールドは、メインラインと接続された少なくとも2つの医薬品容器を含有することができる。マニホールドは、医薬品容器と接続可能な1つ以上の気体容器を含むことができる。医薬品容器がシリンジである場合は、気体容器は、接続のためのニードルを含むことができる。医薬品容器がバイアルである場合は、気体容器は、接続のための対応するアダプタを含むことができる。
【0063】
1つの実施形態では、マニホールドは、様々な医薬品容器をマニホールドへ挿入するための各々接続手段である様々なアダプタを含んでいる。これを言い換えると、次に例えばVenofer(登録商標)を含有する第1医薬品容器を適切な第1アダプタもしくはコネクタと接続することが可能であるが、マニホールドのまた別のアダプタもしくはコネクタと接続することはできない。例えばEPOを含有する第2医薬品容器は、第2アダプタもしくはコネクタと接続することができるが、マニホールドのまた別のアダプタもしくはコネクタと接続することはできない。例えばビタミンDの活性形を含有する第3医薬品容器は、第3アダプタもしくはコネクタと接続することができるが、マニホールドのまた別のアダプタもしくはコネクタと接続することはできない。本発明のこの実施形態は、人的ミスに起因する誤りを回避するのに役立つ。例えば医薬品容器を間違った量を有する気体容器と接続することは可能ではない。
【0064】
本発明の1つの実施形態では、マニホールドは、上述した理由のためにシリンジ用の第1アダプタおよびバイアル用の第2アダプタを含んでいる。この場合には、シリンジは常に第1医薬品、例えば鉄製剤を含有し、バイアルは例えばEPOである第2医薬品を含有する。この方法で、第1および第2医薬品を含有する医薬品容器を2回挿入する、または間違った方法で挿入することはできない。
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図4a
図4b
図5
図6
図7