特許第5690304号(P5690304)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5690304
(24)【登録日】2015年2月6日
(45)【発行日】2015年3月25日
(54)【発明の名称】足下注意体感・体験装置
(51)【国際特許分類】
   G09B 9/00 20060101AFI20150305BHJP
【FI】
   G09B9/00 Z
【請求項の数】6
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2012-125689(P2012-125689)
(22)【出願日】2012年6月1日
(65)【公開番号】特開2013-250465(P2013-250465A)
(43)【公開日】2013年12月12日
【審査請求日】2013年12月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】311014417
【氏名又は名称】アジアクリエイト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104514
【弁理士】
【氏名又は名称】森 泰比古
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 ▲邦▼男
【審査官】 有家 秀郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−109956(JP,A)
【文献】 特開2002−251128(JP,A)
【文献】 実開平06−047402(JP,U)
【文献】 特開平10−183951(JP,A)
【文献】 特開2005−023645(JP,A)
【文献】 特開平10−257939(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3045256(JP,U)
【文献】 実開平05−017669(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 9/00, 25/04
A61H 1/00− 3/06
A63B 23/035−23/10
E04F 15/00− 15/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歩行路を構成する路面部と、該路面部に設置される路面再現部材とを備え、さらに、以下の構成を備えていることを特徴とする足下注意体感・体験装置。
(1)前記路面部は、本体を構成する天面部と、該天面部に対してその長手方向に沿って形成された一定幅の開口部とを備えていること。
(2)前記開口部には、前記天面部の上面に飛び出さない様に一定距離毎に前記路面部の幅方向に渡される様に仕切板が渡され、前記開口部の始端、終端及び前記仕切板で囲まれた縁枠によって仕切られた複数個の升目状開口が前記歩行路に沿って形成されていること。
(3)前記縁枠の隅から開口内にせり出す様に受け部材が設置されていること。
(4)前記路面再現部材は、四角形の枠体を備えると共に前記升目状開口内に収まる外形形状を有し、底部の四隅に備えた高さ調整ボルトを介して前記受け部材によって下から支持される様に設置されていること。
【請求項2】
さらに、以下の構成をも備えていることを特徴とする請求項1記載の足下注意体感・体験装置。
(5)前記升目状開口及び前記路面再現部材は、共に外形形状がほぼ正方形であって、前記受け部材は、少なくとも正方形の四隅に設置されていること。
【請求項3】
さらに、以下の(6A)〜(6C)の構成の内の少なくとも一つを備えていることを特徴とする請求項2記載の足下注意体感・体験装置。
(6A)前記路面再現部材は、前記枠体の上面に取り付けられるほぼ正方形の天板を備え、該枠体は、前記受け部材に四隅を受け止められる大きさとされていること。
(6B)前記路面再現部材は、前記枠体の底面側に取り付けられるほぼ正方形の底板を備え、前記底板は、前記受け部材に四隅を受け止められる大きさとされていること。
(6C)前記路面再現部材は、前記枠体がほぼ正方形であって、該枠体内に並べて設置された円筒ローラを備え、前記枠体は、前記受け部材に四隅を受け止められる大きさとされていること。
【請求項4】
さらに、以下の構成をも備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の足下注意体感・体験装置。
(7)前記路面部は、前記天面部の長手方向の両端下面にベース枠を備え、該ベース枠の四隅には、螺合深さによって高さ調整可能な接地部材が備えられていること。
【請求項5】
さらに、以下の構成をも備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の足下注意体感・体験装置。
(8)前記路面部の少なくとも一方の側縁に沿って手摺りが設置されていること。
【請求項6】
さらに、以下の構成をも備えていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載の足下注意体感・体験装置。
(9)前記路面部には、長手方向に他の路面部を連結する連結手段が備えられていること。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、日常生活や労働の場において、歩行する場所の状況により、どの様な注意が必要であるかを体感・体験するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
日常生活や労働の場において、歩行する場所の床の材質や状況によって、つまづいたり、滑ったりして転倒するとった事故が問題となっている。
【0003】
例えば、特許文献1は、「一定面積の異種床材を平面的にモザイク状に敷き詰めた異種床材面(図10(A)参照)」の上を歩行することで、デザイン性だけで床材を選択することの問題を考えさせる提案をしている。
【0004】
また、特許文献2は、図10(B)に示す様な「シリンダによって上下動可能な複数のローラで模擬路面」を構成し、沼地を歩行するときのように使用者の足が沈み込むような路面状態の危険性を体感させる提案をしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第2512288号(図1
【特許文献2】特許第3581321号(図1図2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の装置は、住宅展示場などに常設しておくことで、新築や改築を使用とするユーザーが床材を適切に選択するのに役立つという点で優れているが、新たな種類の床材が提供される様な場合には、体験コーナーを作り替える必用がある。
【0007】
特許文献2の装置は、歩行する場所の状況をシリンダの上下位置で種々に変化させることができるものの、機械設備や動力が必用なため、種々の状況を体感・体験させようとすると大がかりなものとなる。
【0008】
そこで、本発明は、日常生活や労働の場において歩行する可能性のある種々の状況を再現することができ、しかも路面状況を簡単に変更したり組み合わせたりすることができ、常日頃から足下の様々な危険を体感・体験できる様な装置を提供することを目的としてなされた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するためになされた本発明の足下注意体感・体験装置は、歩行路を構成する路面部と、該路面部に設置される路面再現部材とを備え、さらに、以下の構成を備えていることを特徴とする。
(1)前記路面部は、本体を構成する天面部と、該天面部に対してその長手方向に沿って形成された一定幅の開口部とを備えていること。
(2)前記開口部には、前記天面部の上面に飛び出さない様に一定距離毎に前記路面部の幅方向に渡される様に仕切板が渡され、前記開口部の始端、終端及び前記仕切板で囲まれた縁枠によって仕切られた複数個の升目状開口が前記歩行路に沿って形成されていること。
(3)前記縁枠の隅から開口内にせり出す様に受け部材が設置されていること。
(4)前記路面再現部材は、四角形の枠体を備えると共に前記升目状開口内に収まる外形形状を有し、底部の四隅に備えた高さ調整ボルトを介して前記受け部材によって下から支持される様に設置されていること。
【0010】
本発明の足下注意体感・体験装置によれば、路面再現部材を、升目状開口に上から嵌り込ませることによって体感・体験させるべき路面の状況を備えさせることができる。そして、升目状開口が複数個備わっているので、それぞれに異なる路面状況を再現する様にした異なる路面再現部材を設置すれば、一度に種々の路面状況を体感・体験させることができる。また、取り替えたり並べ替えたりすることでより多くの路面状況を体感・体験させることができる。また、複数個の升目が連続して備わっているので、升目毎に設置する路面再現部材の上面高さを変えることで、同じタイプの路面再現部材であっても段差によるつまづきを体感・体験させるといった使い方もできる。ここで、四隅の高さ調整ボルトをねじ込み量を大きくして天面部に対して下がる方向の段差を備えさせたり、逆に四隅の高さ調整ボルトのねじ込み量を少な目にして天面部に対して飛び出す方向の段差を備えさせることもできる。また、四隅の高さ調整ボルトの内の一つ又は二つを受け部材に当接しない状態に調整しておくことで、床面が不安定な状況を再現することもできる。
【0011】
ここで、本発明の足下注意体感・体験装置は、さらに、以下の構成をも備える様にするとよい。
(5)前記升目状開口及び前記路面再現部材は、共に外形形状がほぼ正方形であって、前記受け部材は、少なくとも正方形の四隅に設置されていること。
【0012】
升目状開口をほぼ正方形とすることにより、路面再現部材の縦横を入れ替えることにより、さらに多くの路面バリエーションを形成することができる。
【0013】
また、本発明の足下注意体感・体験装置は、さらに、以下の(6A)〜(6C)の構成の内の少なくとも一つを備える様にすることができる。
(6A)前記路面再現部材は、前記枠体の上面に取り付けられるほぼ正方形の天板を備え、該枠体は、前記受け部材に四隅を受け止められる大きさとされていること。
(6B)前記路面再現部材は、前記枠体の底面側に取り付けられるほぼ正方形の底板を備え、前記底板は、前記受け部材に四隅を受け止められる大きさとされていること。
(6C)前記路面再現部材は、前記枠体がほぼ正方形であって、該枠体内に並べて設置された円筒ローラを備え、前記枠体は、前記受け部材に四隅を受け止められる大きさとされていること。
【0014】
(6A)の構成からなる路面再現部材は、天板を縞鋼板で形成したり、孔明き鋼板で形成することによって、工場などの現場の床面状況を再現することができる。このとき、枠体の高さが升目状開口の深さの途中までとされた天板にフリーローラー球を備えさせ、その上に天板よりも小さい寸法の合板を置き、フリーローラ上の合板の上を歩こうとするときの危険な状態を体感・体験させることもできる。一方、(6B)の様に上が開放された路面再現部材なら、ウレタン板を嵌め込んで足が沈み込む可能性のある路面を歩くときの危険を体感・体験させることができる。また、(6C)の場合はローラコンベアの上を歩くことがいかに危険であるかを体感・体験させることができる。升目状開口を3個以上備える様にすれば、これら(6A)〜(6C)の全てを備える様にすることもできる。
【0017】
また、これら本発明の足下注意体感・体験装置は、さらに、以下の構成をも備える様にすることができる。
(7)前記路面部は、前記天面部の長手方向の両端下面にベース枠を備え、該ベース枠の四隅には、螺合深さによって高さ調整可能な接地部材が備えられていること。
【0018】
かかる構成をも備えることにより、路面が傾斜している状況を再現することもできる。この傾斜状態は、単純に歩行する方向に下っている、あるいは上っているという傾斜だけでなく、ねじれ面となる様な傾斜状況も再現することが可能である。
【0019】
加えて、これら本発明の足下注意体感・体験装置は、さらに、以下の構成をも備える様にするとよい。
(8)前記路面部の少なくとも一方の側縁に沿って手摺りが設置されていること。
【0020】
様々な危険な状況の路面の歩行を体感・体験させるにおいて、実際に転倒してケガなどをしない様にすることができるからである。また、手摺りに掴まって上体を支えることで、あえて一体どれくらい滑るものかといったことを安全に試すことができるからである。
【0021】
これら本発明の足下注意体感・体験装置は、さらに、以下の構成をも備える様にするとよい。
(9)前記路面部には、長手方向に他の路面部を連結する連結手段が備えられていること。
【0022】
路面部を長手方向に連結することにより、より多くの路面状況を再現することができるからである。また、一つ一つの路面部を長くしないことにより、運搬・組立・解体等の作業を容易にし、設置スペースに応じた種々の路面状況を再現することができるからである。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、カセット式路面再現部材を採用したので、日常生活や労働の場において歩行する可能性のある種々の状況を容易に再現することができ、こうした路面状況を簡単に変更したり組み合わせたりすることができ、人々に、常日頃から足下の様々な危険を体感・体験させておくことにより、生活労災などといわれる様な些細な不注意を原因とする歩行時の事故防止に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】実施例1の足下注意体感・体験装置を示し、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は右側面図である。
図2】実施例1の足下注意体感・体験装置の路面部の分解斜視図である。
図3】実施例1の足下注意体感・体験装置の路面部を示し、(A)は平面図、(B)は左側面図、(C)は正面図、(D)はa−a矢視図、(E)はb−b矢視図である。
図4】実施例1の足下注意体感・体験装置において用いる様々な路面再現部材31〜36の分解斜視図である。
図5】実施例1の足下注意体感・体験装置において用いる路面再現部材31〜34用の枠体を示し、(A)は平面図、(B)は右側面図、(C)は正面図、(D)は底面図である。
図6】実施例1の足下注意体感・体験装置において用いる路面再現部材35用の枠体を示し、(A)は平面図、(B)は右側面図、(C)は正面図、(D)は底面図である。
図7】実施例1の足下注意体感・体験装置において用いる路面再現部材36用の枠体を示し、(A)は平面図、(B)は右側面図、(C)は正面図、(D)は底面図である。
図8】実施例2の足下注意体感・体験装置を示し、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は右側面図である。
図9】実施例3の足下注意体感・体験装置の要部を拡大して示した斜視図である。
図10】従来技術の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための形態を実施例で説明する。
【実施例1】
【0026】
実施例1の足下注意体感・体験装置1は、図1に示す様に、歩行路を構成する路面部10と、路面部10に設置される路面再現部材30と、路面部10の両側に設置される手摺り50とを備えている。
【0027】
路面部10は、図2に示す様に、長方形ベース枠11と、長方形ベース枠11の上面に取り付けられる天面部12と、長方形ベース枠11の四隅の下面に取り付けられる脚13とを備え、天面部12には長手方向に沿って一定幅の開口部20が形成されたものとなっている。なお、開口部20は天面部12と中心を一致させて開口されている。
【0028】
本実施例では、長方形ベース枠11及び脚13には鋼製角パイプを使用し、天面部12には縞鋼板を使用している。また、脚13の底面は鋼板13aで塞がれていて、この鋼板にネジ孔13bが貫通形成されている。そして、各ネジ孔13bには、中心にネジ棒14aを立設した接地部材14が螺合される。
【0029】
また、天面部12の裏面には、長方形ベース枠11の内側に嵌り込む寸法の縁枠15が取り付けられる。縁枠15の内側を長手方向に三等分する位置には、路面部10の幅方向に渡される仕切板16,16が取り付けられている。この仕切板16,16により、天面部12に形成された開口部20は長手方向に三等分され、3個の升目状開口21,22,23に分割される。なお、縁枠15には、仕切板16,16と一致する取付位置の外側に、長方形ベース枠11の内面及び下面に接する様に接合するためのL型リブ17も取り付けられている。
【0030】
縁枠15の四隅底面に、鋼板製受け部材24が取り付けられる。また、縁枠15のL型リブ17の底面に鋼製の長方形パイプ18が、横長断面となる様に取り付けられる。このとき、長方形パイプ18は、仕切板16及びL型リブ17を中心線上に位置させた上体で取り付けられる。また、長方形パイプ18は、外側端を長方形リブ17の外側端と一致させて取り付けられ、その長さは、内側端が縁枠15の内側に鋼板製受け部材24の突出量とほぼ同じ量だけ突出する長さのものを用いる。この結果、図3に示す様に、3個の升目状開口21,22,23において、長方形パイプ18の上面が、鋼板製受け部材24の取り付けられていない角部に位置する受け部材25となる。
【0031】
なお、図3に示す様に、脚13は、長方形ベース枠11に対して三角形状ブラケット19で倒れ止めされた状態となる様に、しっかりと取り付けられる。
【0032】
次に、路面再現部材30について説明する。本実施例では、図4に示す様に、種々の路面状況に対応した路面再現部材31〜36を採用している。路面再現部材31は、孔明き鋼板製の正方形の天板31aと、この孔明き鋼板製天板31aを上面に取り付けられる四角形の枠体31bとから構成される。路面再現部材32は、縞鋼板製の正方形の天板32aと、この縞鋼板製天板32aを上面に取り付けられる四角形の枠体32bとから構成される。路面再現部材33は、上面平滑な塗装鋼板製の正方形の天板33aと、この塗装鋼板製天板33aを上面に取り付けられる四角形の枠体33bとから構成される。路面再現部材34は、フリーローラ球が取り付けられた正方形の天板34aと、このフリーローラ付き天板34aを上面に取り付けられる四角形の枠体34bとから構成される。路面再現部材35は、正方形の枠体35bと、枠体35b内に並べて設置された円筒ローラ35cとを備えている。もう一つの路面再現部材36は、正方形のウレタンボード36aと、このウレタンボード36aを嵌り込ませることのできる枠体36bと、この枠体36bの底面に取り付けられる底板36cとを備えている。
【0033】
これら路面再現部材31〜36は、枠体31b〜36bは、升目状開口21,22,23内に嵌り込ませることができると同時に四隅が受け部材24,25によって受け止められ得る大きさとされている。
【0034】
路面再現部材31〜34に用いる枠体31b〜34bは、図5に示す様に、断面コ字状の2本の型鋼41,41の間に2本の帯状鋼板42,42を取り付けて組まれ、型鋼41,41の両端底面にアンカーナット43が固定されていて、このアンカーナット43に対するねじ込み量で高さを調整する高さ調整ボルト44が螺合されている。
【0035】
路面再現部材35に用いる枠体35bは、図6に示す様に、断面コ字状の2本の型鋼41,41の間に2本の型鋼45,45を取り付けて組まれ、型鋼41,41の両端底面にアンカーナット43が固定されていて、このアンカーナット43に対するねじ込み量で高さを調整する高さ調整ボルト44が螺合されている。
【0036】
路面再現部材36に用いる枠体36bは、図7に示す様に、断面コ字状の2本の型鋼41,41の間に2本の型鋼45,45を取り付けて組まれ、底面に鋼板製の正方形の底板46が取り付けられ、この底板46の四隅にアンカーナット43が固定されていて、このアンカーナット43に対するねじ込み量で高さを調整する高さ調整ボルト44が螺合されている。なお、調整ボルト44の螺合位置は、型鋼41,41の両端である点は、他の路面再現部材31等の枠体と同様である。
【0037】
本実施例によれば、路面再現部材31〜36の内の3つを選択して、升目状開口21,22,23に上から嵌り込ませることにより、体感・体験させるべき路面の状況を種々に設定することができる。また、比較的スリップ事故等の起こり難い縞鋼板の路面再現部材32を用いる場合に、1本の高さ調整ボルト44のねじ込み量を大きくして3つの隅だけ受け部材24,25によって支持された状態にすれば、路面ががたつく状態も再現できる。さらに、4本の高さ調整ボルト44をねじ込み量を大きくして天面部12に対して下がる方向の段差を備えさせたり、逆に4本の高さ調整ボルト44のねじ込み量を少な目にして天面部12に対して飛び出す方向の段差を備えさせ、段差の存在による危険を体感・体験させることもできる。
【0038】
また、本実施例では、升目状開口21,22,23を正方形としたので、路面再現部材の縦横を入れ替えて設置することもできる。これによりローラに対して横方向から載った場合、縦方向から載った場合などを体験させることができる。
【0039】
なお、路面再現部材34において、フリーローラ球の上面が升目状開口21,22,23の深さの途中までとなる様に高さ調整ボルト44をねじ込み、フリーローラーの上に升目状開口21,22,23よりも小さい寸法の合板を置き、フリーローラ上の合板の上を歩こうとするときの危険な状態を体感・体験させることもできる。また、路面再現部材36では、足が沈み込む可能性のある路面を歩くときの危険を体感・体験させることができる。さらに、平滑な鋼板で路面を再現した路面再現部材33において、その上にペットボトルの蓋などを置き、異物の上を歩く場合に思わぬスリップ事故が発生し得ることを体験・体感させることもできる。
【0040】
また、接地部材14により、設置場所の傾斜を相殺させたり、逆に傾斜を付けたり、ねじれ面を形成したりすることもできる。
【0041】
本実施例では、路面部10の左右に手摺り50,50を備えたので、様々な危険な状況の路面の歩行を体感・体験させるにおいて、実際に転倒してケガなどをしない様にすることができる。また、手摺りに掴まって上体を支えることで、あえて一体どれくらい滑るものかといったことを安全に試すことができる。
【実施例2】
【0042】
次に、実施例2を説明する。実施例2の足下注意体感・体験装置2は、図8に示す様に、実施例1の足下注意体感・体験装置1をガゼットプレート60を用いて長手方向に2台連結したものである。この実施例2によれば、路面部を長手方向に連結することにより、より多くの路面状況を再現することができる。例えば、ベース枠11の下にH型鋼71,72を噛ませて大きく傾斜した路面を再現することができる。また、2台を連結して一つ一つの路面部を長くしないことにより、運搬・組立・解体等の作業を容易にし、設置スペースに応じた種々の路面状況を再現することができる。
【実施例3】
【0043】
図9は、実施例2に準じて設置した足下注意体感・体験装置3において、平滑な鋼板の上に異物81,82を置いたり、フリーローラの上に合板83を置いた例である。手摺り50が備わっていることにより、この様な危険な路面を体験する場合にケガ等のおそれがない。
【0044】
この様に、各実施例は、カセット式路面再現部材を採用したので、日常生活や労働の場において歩行する可能性のある種々の状況を容易に再現することができ、こうした路面状況を簡単に変更したり組み合わせたりすることができ、人々に、常日頃から足下の様々な危険を体感・体験させておくことにより、生活労災などといわれる様な些細な不注意を原因とする歩行時の事故防止に貢献することができる。
【0045】
以上、本発明のいくつかの実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内においてさらに種々の形態を採用することができることはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0046】
体験学習により安全教育を行う装置として利用することができる。
【符号の説明】
【0047】
1・・・足下注意体感・体験装置(実施例1)
2・・・足下注意体感・体験装置(実施例2)
3・・・足下注意体感・体験装置(実施例3)
10・・・路面部
11・・・長方形ベース枠
12・・・天面部
13・・・脚
13a・・・鋼板
13b・・・ネジ孔
14a・・・ネジ棒
14・・・接地部材
15・・・縁枠
16・・・仕切板
17・・・L型リブ
18・・・長方形パイプ
19・・・三角形状ブラケット
20・・・開口部
21,22,23・・・升目状開口
24・・・鋼板製受け部材
25・・・受け部材
30・・・路面再現部材
31〜36・・・路面再現部材
31a・・・孔明き鋼板製天板
31b〜36b・・・枠体
32a・・・縞鋼板製天板
33a・・・塗装鋼板製天板
34a・・・フリーローラ付き天板
35c・・・円筒ローラ
36a・・・ウレタンボード
36c・・・底板
41・・・型鋼
42・・・帯状鋼板
43・・・アンカーナット
44・・・高さ調整ボルト
45・・・型鋼
46・・・底板
50・・・手摺り
60・・・ガゼットプレート
71,72・・・H型鋼
81,82・・・異物
83・・・合板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10