特許第5690315号(P5690315)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5690315突極型リニアモータ及び突極型リニアモータを有する往復式ダブルピストン圧縮機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5690315
(24)【登録日】2015年2月6日
(45)【発行日】2015年3月25日
(54)【発明の名称】突極型リニアモータ及び突極型リニアモータを有する往復式ダブルピストン圧縮機
(51)【国際特許分類】
   H02K 41/03 20060101AFI20150305BHJP
   F04B 27/02 20060101ALI20150305BHJP
   F04B 35/04 20060101ALI20150305BHJP
【FI】
   H02K41/03 A
   F04B27/02 E
   F04B35/04
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-228677(P2012-228677)
(22)【出願日】2012年10月16日
(65)【公開番号】特開2014-36569(P2014-36569A)
(43)【公開日】2014年2月24日
【審査請求日】2013年1月25日
(31)【優先権主張番号】101128744
(32)【優先日】2012年8月9日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】512267438
【氏名又は名称】王 俊超
(73)【特許権者】
【識別番号】512266523
【氏名又は名称】張 美玲
(74)【代理人】
【識別番号】100129643
【弁理士】
【氏名又は名称】皆川 祐一
(74)【代理人】
【識別番号】100138760
【弁理士】
【氏名又は名称】森 智香子
(72)【発明者】
【氏名】王 俊超
(72)【発明者】
【氏名】張 美玲
【審査官】 高橋 祐介
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭54−098522(JP,U)
【文献】 特開2004−282957(JP,A)
【文献】 特開2007−318896(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 41/03
F04B 27/02
F04B 35/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、前記筐体内に設置される固定子と、複数のコイルユニットと、可動子と、を備える突極型リニアモータであって、
前記固定子は、中間の固定子鉄心及び両側の固定子鉄心から構成され、かつ前記固定子の中心軸向きに沿って連結されるものであり、前記中間の固定子鉄心及び前記両側の固定子鉄心には、さらに内向きに突出するペアになる複数の磁極を有し、
前記中間の固定子鉄心の前記複数の磁極の位置は、前記両側の固定子鉄心の前記複数の磁極の位置にそれぞれ対応することにより、前記両側の固定子鉄心の前記複数の磁極が前記中心軸向きに沿って千鳥状に取り付けられ、
前記複数のコイルユニットは、前記複数の磁極の上に巻き付けられ、
前記可動子は、軸杆及び複数の突極を有し、前記軸杆は、前記中心軸向きに沿って前記固定子内を移動可能に貫通することによって、前記複数のコイルユニットに電流を順次印加する時に、前記複数の磁極の上に巻き付けられた前記複数のコイルユニットから生じる磁界により、前記複数の磁極を駆動して前記可動子が前記固定子の前記中心軸向きに沿って往復直線運動するように引き付けられることを特徴とする、突極型リニアモータ。
【請求項2】
筐体と、前記筐体内に設置される固定子と、複数のコイルユニットと、可動子と、ピストンを有する複数の圧縮機シリンダと、を備える突極型リニアモータを有する往復式ダブルピストン圧縮機であって、
前記固定子は、中間の固定子鉄心及び両側の固定子鉄心から構成され、かつ前記固定子の中心軸向きに沿って連結されるものであり、前記中間の固定子鉄心及び前記両側の固定子鉄心には、さらに内向きに突出するペアになる複数の磁極を有し、
前記中間の固定子鉄心の前記複数の磁極の位置は、前記両側の固定子鉄心の前記複数の磁極の位置にそれぞれ対応することにより、前記両側の固定子鉄心の前記複数の磁極が前記中心軸向きに沿って千鳥状に取り付けられ、
前記複数のコイルユニットは、前記複数の磁極の上に巻き付けられ、
前記可動子は、軸杆及び複数の突極を有し、その内、前記軸杆は、前記中心軸向きに沿って前記固定子内を移動可能に貫通することによって、前記複数のコイルユニットに電流を順次印加する時に、前記複数の磁極の上に巻き付けられた前記複数のコイルユニットから生じる磁界により、前記複数の磁極を駆動して前記可動子が前記固定子の前記中心軸向きに沿って往復直線運動するように引き付けられ、
前記複数の圧縮機シリンダの当該ピストンは、前記可動子の前記軸杆の両端にそれぞれ連結されることを特徴とする、突極型リニアモータを有する往復式ダブルピストン圧縮機。
【請求項3】
前記複数の圧縮機シリンダは、さらに複数の給気逆止弁及び複数の排気逆止弁を備えることを特徴とする、請求項に記載の突極型リニアモータを有する往復式ダブルピストン圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、突極型リニアモータ及び突極型リニアモータを有する往復式ダブルピストン圧縮機に関する。特に、固定子鉄心の磁極を固定子のうちの前後に配列することにより、前後の磁極上のコイルから生じる磁界を駆動して磁極を介して可動子が固定子の中心軸向きに沿って往復直線運動するように引き付けられるように構成するモータに関するものである。また、係る突極型リニアモータの両端には、さらにダブルピストンを有する圧縮機が連結され、圧縮機シリンダ内の気体圧縮や、流体連動等により、リニアモータと連動する往復式ダブルピストン圧縮機が構成されるものである。
【背景技術】
【0002】
従来の回転型スイッチトリラクタンスモータ(switched reluctance motor,SRM)は、閉磁力線が最小磁気抵抗の経路に追従する特性を用いて、磁力回路中の両導磁材料を最小磁気抵抗の方向に移動するようにさせることから、移動可能な導磁材料を固定な導磁材料に向って移動するように推進すると、生じる互いに吸引する磁気吸引力をモータの駆動モーメントの元としているために、この種のねじりモーメントの原理によってモータの回転子及び固定子を突極状態になるようにさせ、回転子上には励磁磁界巻線がないものや、永久磁石等であり、導磁性に優れた鉄心のみを必要とすればよいことから、構造コストを大幅に引き下げることができるため、トリラクタンスモータは、構造が簡単で、小型、また高回転速度等優れた特徴を生かし、多くの分野での使用が期待されている。
【0003】
従来の往復式圧縮機による気体の圧縮循環や液体の連動を達成するには、より大きいモータ推進力が必要である。しかしながら、一般的な筒状型リニアモータは、圧縮機全体の体積制限に限定され、上記のような高駆動力の要求を満たすことができず、従来の往復式圧縮機でなければ、十分な駆動力が得られない。そして、従来の往復式圧縮機は、主に回転式モータによりクランク(Crank)を連動し、クランクリンク機構を介してピストンを推進させることによって、シリンダ内の気体が圧縮や、流体が連動するようにし、必要な圧力が得られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この種の従来の回転式モータにより連動された往復式圧縮機は、低コストや、広い作動範囲等の利点を有するが、ピストンで圧縮する過程において、回転式モータにより連動された直線運動するピストンが側方力を生じ、シリンダの壁面が摩耗してしまい、間接的にノイズ、振動及び高機械損失が発生する等の問題が引き起こされ、システム全体の効率が影響を受けてしまうことになる。潤滑剤を使用すれば、上述した問題を軽減することもできるが、かえって、潤滑油によって圧縮された気体や流体が汚染される問題が発生する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述した従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、その目的としては、固定子の磁極の前後配列方式を用いて、磁極上のコイルを駆動することと合わせることで、突極型可動子が往復直線運動するように駆動されて両端の圧縮機のピストンが連動する突極型リニアモータ及び突極型リニアモータを有する往復式ダブルピストン圧縮機を提供することにある。
本発明のリニアモータにより、圧縮機を連動させることで、固定子の磁極上に形成されたコイルの磁束密度が高く、生じる磁気駆動力が強いのみならず、そのほかに突極可動子構造としては、導磁性に優れた材料や、永久磁石等を使用することができるので、構造部品が簡単な構成で製造コストを大幅に低減することができ、かつ可動子の運動方向が直線に沿って往復運動するため、ピストン運動時に発生する側方力を低減させることができ、摩擦損耗も減らすことができることから、高機械強度、低機械損失、低ノイズ及び高効率が達成できる。
【0006】
また、本発明の別の目的に従って、本発明は、一種の突極型リニアモータを提供し、この突極型リニアモータは、少なくとも筐体と、固定子と、可動子と、複数のコイルユニットと、を備えるように構成される。
【0007】
その内、固定子は、筐体内に設置される。この固定子は、中間の固定子鉄心及び両側の固定子鉄心から構成され、かつ固定子の中心軸向きに沿って連結されるものである。その内、中間の固定子鉄心及び両側の固定子鉄心には、さらに内向きに突出するペアになる複数の磁極を有する。また、中間の固定子鉄心の磁極の位置は、両側の固定子鉄心の磁極の位置にそれぞれ対応することにより、両側の固定子鉄心の磁極が中心軸向きに沿って千鳥状に取り付けられるようにしている。そして、複数のコイルユニットは、前後の磁極の上に巻き付けられるようにする。また、中間の固定子鉄心は、選択的に両側の固定子鉄心と一体成形されるか、または、中間の固定子鉄心は、両側の固定子鉄心のうちの1つと一体成形される。
【0008】
続いて、この突極型リニアモータの可動子は、軸杆及び複数の突極を有する。その内、軸杆は、中心軸向きに沿って固定子内を移動可能に貫通する。これらの突極は、中間の固定子鉄心の磁極の数量と同一の数量設けられるとともに、突極の位置は、中間の固定子鉄心の磁極の位置にそれぞれ対応する。これにより、前後のコイルユニットに電流を順次印加する時に、前後に磁極の上に巻き付けられた前後のコイルユニットから生じる磁界により、磁極を駆動して可動子が固定子の中心軸向きに沿って往復直線運動するように引き付けられるようにする。
【0009】
また、この突極型リニアモータは、中間の固定子鉄心及び/或いは両側の固定子鉄心を単位にして固定子の長さを延長するとともに、可動子の突極の長さと合わせて増やすことで、可動子の運動行程を増大する。さらに、可動子の突極及び固定子鉄心の磁極の数量を増加することで、磁極に対する可動子の磁気吸引力を増強することによって、モータの駆動力を効率的に高めることができる。
【0010】
本発明のさらにもう一つの目的に従って、一種の突極型リニアモータを有する往復式ダブルピストン圧縮機を提供する。この突極型リニアモータを有する往復式ダブルピストン圧縮機は、少なくとも筐体と、固定子と、可動子と、複数のコイルユニットと、複数の圧縮機シリンダと、を備えるように構成される。
【0011】
この突極型リニアモータは、さらにピストンを有する複数の圧縮機シリンダと連結される。その内、圧縮機シリンダのピストンは、可動子の軸杆の両端にそれぞれ連結され、圧縮機シリンダ内の気体が圧縮や、流体が連動するようになされている。この突極型リニアモータの固定子鉄心の前後の磁極上の駆動コイルを用いて、コイル内に電気エネルギーを通過することで磁気エネルギーの変化により、直接に直線運動するための機械エネルギーに変換されて出力されるので、変換伝動機構或いは機具を付設する必要がなく、直接に可動子を往復直線運動するように駆動されるので、ピストン運動時に発生する側方力を低減させることができるだけでなく、摩擦損耗も減らすことができることから、高機械強度、低機械損耗、低ノイズ及び高効率が達成される。
【発明の効果】
【0012】
以上に述べたように、本発明の突極型リニアモータ及びそれを有する往復式ダブルピストン圧縮機によれば、少なくとも下記の1つの利点を有する。
(1)本発明の突極型リニアモータは、中間の固定子鉄心及び両側の固定子鉄心を単位とすることにより、固定子の長さを延長するとともに、可動子の突極の長さと合わせて増やすことで、可動子の運動行程が増大することができる。
【0013】
(2)本発明の突極型リニアモータは、可動子の突極の数量及び固定子鉄心の磁極の数量を増加することで、磁極に対する可動子の磁気吸引力を増強することによって、モータの駆動力を効率的に高めることができる。
【0014】
(3)本発明の突極型リニアモータは、さらにピストンを有する複数の圧縮機シリンダと連結され、この突極型リニアモータの可動子の往復直線運動により、ピストン運動時に発生する側方力を低減させることができるだけでなく、摩擦損耗も減らすことができることから、高機械強度、低機械損耗、低ノイズ及び高効率が達成される。
【0015】
(4)本発明の突極型リニアモータにより、固定子の磁極上に形成されたコイルの磁束密度が高く、生じる磁気駆動力が強いのみならず、そのほかに突極可動子構造としては、導磁性に優れた材料や、永久磁石等を使用することができるので、構造部品が簡単な構成で製造コストを大幅に低減することができる。
【0016】
(5)本発明の突極型リニアモータは、両側の圧縮機から離れるように設計されており、両側の圧縮機に圧縮された気体や、流体等は、モータ本体中を流せず、モータの磁気力は、圧縮された気体や、流体による高温に影響されて駆動力を低減させることなく、そのため、各種のサイズ及び各種の圧縮力の要求に応じて設計することができるとともに、危険かつ特殊な化学気体または流体を伝送するために使用されることが可能となる。
【0017】
(6)本発明の突極型リニアモータの構造部品が簡単で、かつ固定子のコイルが突極可動子を駆動して運動させ、即ち、直接に往復直線運動するので直線性が極めて高く、圧縮機がオイルレスに設計できるため、とても省エネルギー仕様及び高効率的な設計である。
【0018】
本発明をより完全に理解するために、その技術特徴及び達成できる作用効果については、好適な実施例を照らして詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の突極型リニアモータを示す分解透視図である。
図2】本発明の突極型リニアモータを示す正面図である。
図3A】本発明の突極型リニアモータにおいて第1のコイルユニットに電流が印加される状態を示す概略透視図である。
図3B】本発明の突極型リニアモータにおいて第2のコイルユニットに電流が印加される状態を示す概略透視図である。
図4A】本発明の突極型リニアモータにおいて固定子の長さを延長するとともに、第3のコイルユニットに電流が印加される状態を示す概略透視図である。
図4B】本発明の突極型リニアモータにおいて固定子の長さを延長するとともに、第1のコイルユニットに電流が印加される状態を示す概略透視図である。
図4C】本発明の突極型リニアモータにおいて固定子の長さを延長するとともに、第2のコイルユニットに電流が印加される状態を示す概略透視図である。
図5】本発明の突極型リニアモータの両端に圧縮機シリンダが連結される状態を示す断面図である。
図6A】本発明の突極型リニアモータを有するダブルピストン圧縮機セットの二組みが直列に接続されており、ピストンを両側に向けて相対的に運動する状態を示す断面図である。
図6B】本発明の突極型リニアモータを有するダブルピストン圧縮機セットの二組みが直列に接続されており、ピストンを中間に向けて相対的に移動する状態を示す断面図である。
図7】本発明の突極型リニアモータにおいて末端の磁気力を増強する状態を示す概略透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の突極型リニアモータ及び突極型リニアモータを有する往復式ダブルピストン圧縮機の実施例について説明する。なお、下記実施例において、同一の部品は同一の符号を付して説明する。
【0021】
本発明の突極型リニアモータは、固定子に前後の固定子鉄心の磁極を配置するとともに、磁極上にコイルを配置形成する。前後のコイルから生じる磁界により、閉磁力線が最小磁気抵抗の経路に追従する特性を利用し、可動子が最小磁気抵抗の方向に移動するようにさせることから、直線運動する突極型リニアモータが構成される。さらに、従来技術において説明した伝統的な回転モータは、リンク機構と合わせてピストンが連動するような駆動方法に代えて、この突極型リニアモータを用いて、ダブルピストン双経路に流体が出入りしたり、気体が圧縮したりするように設計された圧縮機を駆動することができる。
【0022】
図1は、本発明の突極型リニアモータの分解透視図を示す。図1を参照すると、この突極型リニアモータは、少なくとも筐体400と、固定子と、可動子300と、複数のコイルユニットと、を備えるように構成される。
【0023】
その内、固定子は、筐体400内に設置され、この筐体400上には、さらに複数の放熱体410が設置され、この放熱体410は、例えばヒートシンクや他の筐体400からの放熱を補助するような部品を使用してもよい。さらに、複数のねじ430及び蓋体420を用いて、筐体400の両端を覆うようにする。固定子は、中間の固定子鉄心100と、前固定子鉄心110及び後固定子鉄心120から構成され、かつ固定子の中心軸向きに沿って連結されるものである。これらの中間の固定子鉄心100と、前固定子鉄心110及び後固定子鉄心120の材質としては、例えば鉄、珪素鋼板または他の導磁性材料が挙げられる。また、中間の固定子鉄心100は、選択的に前固定子鉄心110及び後固定子鉄心120と一体成形されるか、または、中間の固定子鉄心100は、前固定子鉄心110及び後固定子鉄心120のいずれかの一方と一体成形される。言い換えれば、本発明の極型リニアモータは、中間の固定子鉄心100が配置されなくてもよく、直接に前固定子鉄心110及び後固定子鉄心120の磁極を中心軸向きに沿って千鳥状に配列するように設計されてもよい。
【0024】
続いて、中間の固定子鉄心100には、さらに内向きに突出するペアになる第1の磁極ユニット101及び第2の磁極ユニット102を有し、これらの第1の磁極ユニット101及び第2の磁極ユニット102の数量は、例えばそれぞれが2個、3個或いは4個であってもよく、但し、この限りでない。前固定子鉄心110及び後固定子鉄心120には、それぞれ内向きに突出するペアになる第3の磁極ユニット111及び第4の磁極ユニット121を有し、これらの第3の磁極ユニット111及び第4の磁極ユニット121の数量は、例えばそれぞれが2個、3個或いは4個であってもよく、但し、この限りでない。また、中間の固定子鉄心100の磁極は、例えばそれぞれ前固定子鉄心110及び後固定子鉄心120の磁極の数量合計と同一の数量であってもよい。言い換えれば、第1の磁極ユニット101及び第2の磁極ユニット102の数量合計は、第3の磁極ユニット111及び第4の磁極ユニット121の数量合計と同様である。
【0025】
引き続き、第1の磁極ユニット101の位置は、例えば第4の磁極ユニット121の位置に対応してもよく、第2の磁極ユニット102の位置は、例えば第3の磁極ユニット111の位置に対応してもよい。これにより、第3の磁極ユニット111及び第4の磁極ユニット121を固定子の中心軸向きに沿って千鳥状配列されるようにさせる。また、第1のコイルユニット130は、第2の磁極ユニット102及び第3の磁極ユニット111の上に巻き付けられ、第2のコイルユニット140は、第1の磁極ユニット101及び第4の磁極ユニット121の上に巻き付けられる。
【0026】
続いて、この突極型リニアモータの可動子300は、軸杆320及び複数の突極310を有する。その内、可動子300の材質としては、例えば鉄、珪素鋼板、永久磁石または他の導磁性材料が挙げられる。これらの突極310は、中間の固定子鉄心100の磁極の数量と同一の数量設けられる。言い換えれば、第1の磁極ユニット101及び第2の磁極ユニット102の数量合計が4個であれば、突極310の数量が4個となる。その内、軸杆320は、中心軸向きに沿って固定子内を移動可能に貫通し、かつこの軸杆320は蓋体420から突出している。なお、突極310の位置は、第1の磁極ユニット101及び第2の磁極ユニット102の位置に対応する。
【0027】
そのため、第1のコイルユニット130に電流を印加する時に、第2の磁極ユニット102及び第3の磁極ユニット111の上に巻き付けられた第1のコイルユニット130から生じる磁界により、可動子300が固定子の中心軸向きに沿って第2の磁極ユニット102及び第3の磁極ユニット111の位置に向けて移動するように引き付けられる。一方、第2のコイルユニット140に電流を印加する時に、第1の磁極ユニット101及び第4の磁極ユニット121の上に巻き付けられた第2のコイルユニット140から生じる磁界により、可動子300が固定子の中心軸向きに沿って第1の磁極ユニット101及び第4の磁極ユニット121の位置に向けて移動するように引き付けられる。これにより、第1のコイルユニット130及び第2のコイルユニット140に電流を順次印加する時には、磁極を駆動して可動子300が固定子の中心軸向きに沿って往復直線運動するように引き付けられることが可能となる。
【0028】
また、この突極型リニアモータは、中間の固定子鉄心100、前固定子鉄心110及び/或いは後固定子鉄心120を単位にして固定子の長さを延長するとともに、可動子300の突極310の長さと合わせて増やすことで、可動子300の運動行程を増大する。さらに、この突極型リニアモータは、可動子300の突極310の数量及び固定子鉄心の磁極の数量を増加することで、磁極に対する可動子300の磁気吸引力を増強することによって、モータの駆動力を効率的に高めることができる。
【0029】
図2は本発明の突極型リニアモータの正面図を示す。図面簡略化のために、筐体400、放熱体410、蓋体420及びねじ430は図示されていない。
【0030】
続いて、図1及び図2を参照すると、この突極型リニアモータの第1のコイルユニット130は、第2の磁極ユニット102及び第3の磁極ユニット111の上に巻き付けられ、第2のコイルユニット140は、第1の磁極ユニット101及び第4の磁極ユニット121の上に巻き付けられる。これにより、第1のコイルユニット130及び第2のコイルユニット140に電流を順次印加する時には、磁気力により磁極を駆動して可動子300が固定子の中心軸向きに沿って往復直線運動するように引き付けられることが可能となる。
【0031】
図3A図3Bは、本発明の突極型リニアモータを示す概略透視図である。図3A図3Bを参照すると、この突極型リニアモータが組み立てられた後に、第2の磁極ユニット102及び第3の磁極ユニット111を共に組み合わせて第1の磁極210として構成され、第1の磁極ユニット101及び第4の磁極ユニット121を共に組み合わせて第2の磁極220として構成される。
【0032】
そのため、図3Aに示すように、第1のコイルユニット130に電流を印加する時に、第1の磁極210の上に巻き付けられた第1のコイルユニット130から生じる磁界により、可動子300が固定子の中心軸向きに沿って第1の磁極210の位置に向けて移動するように引き付けられる。図3Bに示すように、第2のコイルユニット140に電流を印加する時に、第2の磁極220の上に巻き付けられた第2のコイルユニット140から生じる磁界により、可動子300が固定子の中心軸向きに沿って第2の磁極220の位置に向けて移動するように引き付けられる。これにより、第1のコイルユニット130及び第2のコイルユニット140に電流を順次印加する時には、磁束は、磁極を介して可動子300が固定子の中心軸向きに沿って往復直線運動するように引き付けられることが可能となる。
【0033】
図4A〜4Cは、本発明の突極型リニアモータにおいて固定子の長さを延長することを示す概略透視図である。図面簡略化のために、筐体400、放熱体410、蓋体420及びねじ430は図示されていない。
【0034】
引き続き、図3A図3B及び図4A〜4Cを参照すると、この突極型リニアモータは、さらに第3の磁極200を第1の磁極210の前に連結させ、第3のコイルユニット150は、第3の磁極200の上に巻き付けられる。図4Aに示すように、第3のコイルユニット150に電流を印加する時に、第3の磁極200の上に巻き付けられた第3のコイルユニット150から生じる磁界により、可動子300が固定子の中心軸向きに沿って第3の磁極200の位置に向けて移動するように引き付けられる。
【0035】
続いて、図4Bに示すように、第1のコイルユニット130に電流を印加する時に、第1の磁極210の上に巻き付けられた第1のコイルユニット130から生じる磁界により、可動子300が固定子の中心軸向きに沿って第1の磁極210の位置に向けて移動するように引き付けられる。
【0036】
引き続き、図4Cに示すように、第2のコイルユニット140に電流を印加する時に、第2の磁極220の上に巻き付けられた第2のコイルユニット140から生じる磁界により、可動子300が固定子の中心軸向きに沿って第2の磁極220の位置に向けて移動するように引き付けられる。
【0037】
そのため、第1のコイルユニット130、第2のコイルユニット140及び第3のコイルユニット150に電流を順次印加する時には、磁極を駆動して可動子300が固定子の中心軸向きに沿って往復直線運動するように引き付けられることによって、可動子300の運動行程が増大される。
【0038】
図5は、本発明の突極型リニアモータの両端に圧縮機シリンダが連結される状態の断面図を示す。図5を参照すると、8個の突極310の可動子300を例として、この突極型リニアモータは、さらにピストン510を有する圧縮機シリンダ500と連結され、この圧縮機シリンダ500の上には、さらに複数の放熱体410が設置され、この放熱体410は、例えばヒートシンクや他の筐体400からの放熱を補助するような部品を使用してもよい。圧縮機シリンダ500のピストン510は、例えば可動子300の軸杆320の両端にそれぞれ連結され、圧縮機シリンダ500内の気体が圧縮や、流体が連動するようになされている。
【0039】
続いて、この圧縮機シリンダ500は、例えば、4個の給気逆止弁520及び4個の排気逆止弁530をさらに備えるように構成される。第1のコイルユニット130に電流を印加する時に、第1の磁極210により、可動子300が両側のピストン510を左向きに圧縮させて連動させるように引き付けられることによって、両側の圧縮機シリンダ500の左下の排気逆止弁530が開放され、圧縮された気体や、流体等を圧縮機シリンダ500の左下の排気逆止弁530から排出させる。同時に、両側の圧縮機シリンダ500の右上の給気逆止弁520が圧縮機シリンダ500の内部に負圧が形成されるため、圧縮機シリンダ500の右上の給気逆止弁520が開放され、気体や、流体等が圧縮機シリンダ500の右上の給気逆止弁520を介して圧縮機シリンダ500内に供給されるようになる。
【0040】
引き続き、第2のコイルユニット140に電流を印加する時に、第2の磁極220により、可動子300が両側のピストン510を右向きに圧縮させて連動させるように引き付けられることによって、両側の圧縮機シリンダ500の右下の排気逆止弁530が開放され、圧縮された気体や、流体等を圧縮機シリンダ500の右下の排気逆止弁530から排出させる。同時に、両側の圧縮機シリンダ500の左上の給気逆止弁520が圧縮機シリンダ500の内部に負圧が形成されるため、圧縮機シリンダ500の左上の給気逆止弁520が開放され、気体や、流体等が圧縮機シリンダ500の左上の給気逆止弁520を介して圧縮機シリンダ500内に供給されるようになる。
【0041】
そのため、この突極型リニアモータの可動子300の往復直線運動により、ピストン510運動時に発生する側方力を低減させることができるだけでなく、摩擦損耗も減らすことができることから、高機械強度、低機械損耗、低ノイズ及び高効率が達成される。本発明のリニアモータ往復式ダブルピストン圧縮機を連動するように設計してもよく、高低圧圧縮機の様式に設計しもよい。また、電気自動車の冷房、除湿機、清涼飲料機、氷水機械、各種の電気冷蔵庫、家庭用冷房、各種の冷凍圧縮機、各種の家庭電気製品、空気圧縮機、各種の空気調和圧縮機、工業用圧縮機や往復運動する圧縮システムを必要とする駆動源等に応用される。
【0042】
また、図6A図6Bを参照すると、一組の両端に圧縮機シリンダ500が連結される突極型リニアモータによる振動を防止するために、両組の両端に圧縮機シリンダ500が連結される突極型リニアモータを互いにシリアル接続し、両組のピストン510を相対的に運動するように配置することにより、ピストン510による往復運動から生じる振動を相殺することから、力平衡になって制振機能が達成される。
【0043】
図7は、本発明の突極型リニアモータにおいて末端の磁気力を増強する状態の概略透視図を示す。図7を参照すると、8個の突極310の可動子300を例として、第2の磁極220の前端には、さらに第4の磁極230が設置されるとともに、第4のコイルユニット160は、第4の磁極230の上に巻き付けられる。また、第1の磁極210の末端には、さらに第5の磁極240が設置されるとともに、第5のコイルユニット170は、第5の磁極240の上に巻き付けられる。
【0044】
続いて、第1のコイルユニット130及び第4のコイルユニット160に電流を同時に印加する時に、第1の磁極210及び第4の磁極230により、可動子300が固定子の中心軸向きに沿って第1の磁極210及び第4の磁極230の位置に向けて移動するように引き付けられる。逆に、第2のコイルユニット140及び第5のコイルユニット170に電流を同時に印加する時に、第2の磁極220及び第5の磁極240により、可動子300が固定子の中心軸向きに沿って第2の磁極220及び第5の磁極240の位置に向けて移動するように引き付けられる。
【0045】
そのため、第4の磁極230及び第5の磁極240を突極型リニアモータの前端及び末端にそれぞれ設置することで、前端及び末端の磁気力を増強することにより、モータの両端の固定位置の駆動力を高めることができる。
【符号の説明】
【0046】
100 中間の固定子鉄心
101 第1の磁極ユニット
102 第2の磁極ユニット
110 前固定子鉄心
111 第3の磁極ユニット
120 後固定子鉄心
121 第4の磁極ユニット
130 第1のコイルユニット
140 第2のコイルユニット
150 第3のコイルユニット
160 第4のコイルユニット
170 第5のコイルユニット
200 第3の磁極
210 第1の磁極
220 第2の磁極
230 第4の磁極
240 第5の磁極
300 可動子
310 突極
320 軸杆
400 筐体
410 放熱体
420 蓋体
430 ねじ
500 圧縮機シリンダ
510 ピストン
520 給気逆止弁
530 排気逆止弁
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5
図6A
図6B
図7