(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
油圧アクチュエータと、前記油圧アクチュエータを動作させるための操作部材と、前記操作部材の操作に応じたパイロット圧を出力するパイロット弁と、前記パイロット弁から出力される前記パイロット圧に応じて前記油圧アクチュエータを制御するアクチュエータ制御弁と、ロック位置と解除位置とに切換可能なロック部材と、前記操作部材と前記ロック部材とを支持しており、前記ロック部材と共に移動可能に設けられる操作台と、前記アクチュエータ制御弁への前記パイロット圧の供給を許容する解除状態と、前記アクチュエータ制御弁への前記パイロット圧の供給を遮断するロック状態とに切り換えられるロック弁と、を備える作業車両の制御方法であって、
前記ロック部材が前記ロック位置から前記解除位置に切り換えられると、前記ロック弁を前記ロック状態から前記解除状態に切り換えるステップと、
前記ロック部材が前記ロック位置から前記解除位置に切り換えられた時点から、前記パイロット圧が所定圧力まで立ち上がるまでの経過時間を検知するステップと、
前記経過時間が、0.2秒以上、2秒以下である第1所定時間以上であるか否かを判定するステップと、
前記パイロット圧が前記所定圧力以上となっている継続時間が、0.2秒より小さい第2所定時間以下であるか否かを判定するステップと、
前記経過時間が前記第1所定時間以上であるときに、前記ロック弁を前記解除状態に維持するステップと、
前記経過時間が前記第1所定時間未満であり且つ前記継続時間が前記第2所定時間より大きいときに、前記ロック弁を前記ロック状態に切り換えるステップと、
前記経過時間が前記第1所定時間未満であり且つ前記継続時間が前記第2所定時間以下であるときに、前記ロック弁を前記解除状態に維持するステップと、
を備える作業車両の制御方法。
ロック部材が、油圧アクチュエータを動作させるための操作部材と前記ロック部材とを支持する操作台と共に、ロック位置から解除位置に切り換えられると、油圧アクチュエータの動作を禁止するロック状態から、前記油圧アクチュエータの動作を許容する解除状態に、ロック弁が切り換えられ、
前記操作部材の操作に応じたパイロット圧が、前記ロック部材が前記ロック位置から前記解除位置に切り換えられた時点から、0.2秒以上、2秒以下である第1所定時間内に所定圧力まで立ち上がり、且つ、前記パイロット圧が、、0.2秒より小さい第2所定時間より長い時間、前記所定圧力以上に維持されている場合には、前記ロック弁が前記ロック状態に切り換えられ、
前記パイロット圧が、前記ロック部材が前記ロック位置から前記解除位置に切り換えられた時点から前記第1所定時間内に所定圧力まで立ち上がり、且つ、前記パイロット圧が前記所定圧力以上に維持されている継続時間が前記第2所定時間以下である場合には、前記ロック弁は解除状態に維持される、
作業車両の制御方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記のような圧力スイッチを用いた判定では、十分な判定精度を得ることは容易ではない。本発明の課題は、ロック部材が解除位置に切り換えられたときに操作部材が動作位置に操作されているか否かを精度よく判定することができる作業車両及び作業車両の制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に係る作業車両は、油圧アクチュエータと、操作部材と、パイロット弁と、アクチュエータ制御弁と、ロック部材と、操作台と、ロック弁と、ロック弁切換部と、経過時間検知部と、第1時間判定部と、パイロット圧判定部と、第2時間判定部と、誤操作監視部と、を備える。操作部材は、油圧アクチュエータを動作させるための部材である。パイロット弁は、操作部材の操作に応じたパイロット圧を出力する。アクチュエータ制御弁は、入力されるパイロット圧に応じて油圧アクチュエータを制御する。ロック部材は、ロック位置と解除位置とに切換可能である。操作台は、操作部材とロック部材とを支持している。操作台は、ロック部材と共に移動可能に設けられる。ロック弁は、解除状態とロック状態とに切り換えられる。ロック弁は、解除状態において、アクチュエータ制御弁へのパイロット圧の供給を許容する。ロック弁は、ロック状態において、アクチュエータ制御弁へのパイロット圧の供給を遮断する。ロック弁切換部は、ロック部材がロック位置から解除位置に切り換えられると、ロック弁をロック状態から解除状態に切り換える。経過時間検知部は、ロック部材がロック位置から解除位置に切り換えられた時点からの経過時間を検知する。第1時間判定部は、経過時間が第1所定時間以上であるか否かを判定する。パイロット圧判定部は、パイロット圧が所定圧力以上であるか否かを判定する。第2時間判定部は、パイロット圧が所定圧力以上となっている継続時間が第2所定時間以下であるか否かを判定する。誤操作監視部は、経過時間が第1所定時間以上であるときにパイロット圧が所定圧力以上となった場合には、ロック弁切換部によるロック弁の切り換えを許容する。誤操作監視部は、経過時間が第1所定時間未満であるときにパイロット圧が所定圧力以上となり且つ継続時間が第2所定時間より大きい場合には、ロック弁をロック状態に切り換える。誤操作監視部は、経過時間が第1所定時間未満であるときにパイロット圧が所定圧力以上となり且つ継続時間が第2所定時間以下である場合には、ロック弁切換部によるロック弁の切換を許容する。
【0008】
本発明の第1の態様に係る作業車両では、ロック部材がロック位置から解除位置に切り換えられると、誤操作監視部がロック弁をロック状態から解除状態に切り換える。しかし、経過時間が第1所定時間未満であるときにパイロット圧が所定圧力以上となり且つ継続時間が第2所定時間より大きい場合には、誤操作監視部は、ロック弁をロック状態に切り換える。このようにパイロット圧が急速に立ち上がることは、操作部材が動作位置に設定されている状態でロック部材が解除位置に切り換えられたことを意味する。これにより、ロック部材が解除位置に切り換えられたときに、操作部材が動作位置に設定されているか否かを精度よく判定することができる。
【0009】
一方、オペレータが、ロック部材を操作するときには、ロック部材と共に操作台も移動する。操作台は操作部材を支持しているため、操作台の移動による衝撃によって操作部材が動くことがあり得る。この場合、操作部材が動作位置に設定されていなくても、パイロット圧が瞬間的に増大する。すなわち、操作部材が誤操作されていなくても、パイロット圧が急速に立ち上がることになる。
【0010】
そこで、本態様に係る作業車両では、経過時間が第1所定時間未満であるときにパイロット圧が所定圧力以上となっても、継続時間が第2所定時間以下である場合には、誤操作監視部は、ロック弁を解除状態に維持する。従って、パイロット圧の増大が瞬間的なものに過ぎない場合には、誤操作とは見なさずに、ロック弁が解除状態に維持される。これにより、ロック部材が解除位置に切り換えられたときに、操作部材が動作位置に設定されていないことを精度よく判定することができる。
【0011】
また、経過時間が第1所定時間以上であるときにパイロット圧が所定圧力以上となった場合には、誤操作監視部は、ロック弁を解除状態に維持する。このようにパイロット圧がゆっくりと立ち上がることは、操作部材が動作位置に設定されていない状態でロック部材が解除位置に切り換えられたことを意味する。これにより、ロック部材が解除位置に切り換えられたときに、操作部材が、動作位置に設定されていないことを精度よく判定することができ
る。
【0012】
好ましくは、第1所定時間は、0.2秒以上、2秒以下である。この場合、ロック部材が解除位置に切り換えられたときに操作部材が動作位置に操作されているか否かを精度よく判定することができる。
【0013】
好ましくは、第2所定時間は、第1所定時間より小さい。この場合、パイロット圧の増大が操作台の衝撃による瞬間的なものであることを精度よく判定することができる。
【0014】
好ましくは、第2所定時間は、0.2秒より小さい。この場合、パイロット圧の増大が操作台の衝撃による瞬間的なものであることを精度よく判定することができる。
【0015】
好ましくは、パイロット弁に作動油を供給する油圧ポンプをさらに備える。ロック弁は、油圧ポンプとパイロット弁とを接続する油路に配置される。この場合、ロック弁は、パイロット弁に複数のパイロット油路が接続される場合であっても、1つのロック弁で、複数の油路に出力されるパイロット圧を遮断することができる。
【0016】
好ましくは、コントローラと、パイロット圧検出部と、ロック弁切換部と、第1の信号ラインと、第2の信号ラインと、第3の信号ラインと、リレーと、第4の信号ラインとをさらに備える。コントローラは、経過時間検知部と第1時間判定部と第2時間判定部と誤操作監視部とを含む。パイロット圧検出部は、パイロット圧を検出する。ロック弁切換部は、ロック部材の動作に連動する。第1の信号ラインは、ロック弁切換部からの信号をロック弁に伝達する。第2の信号ラインは、ロック弁切換部からの信号をコントローラに伝達する。第3の信号ラインは、パイロット圧検出部からの信号をコントローラに伝達する。リレーは、第1の信号ラインに配置される。第4の信号ラインは、コントローラからの信号をリレーに伝達する。
【0017】
この場合、第1の信号ラインを介して伝達される信号により、ロック弁が、ロック部材の動作に応じて、解除状態とロック状態とに切り換えられる。コントローラは、第2の信号ラインを介して伝達される信号により、ロック部材がロック位置と解除位置との何れに位置しているかを検出することができる。コントローラは、第3の信号ラインを介して伝達される信号により、パイロット圧を検出することができる。コントローラは、第4の信号ラインを介してリレーに信号を送ることにより、ロック部材の動作に関わらず、ロック弁をロック状態に切り換えることができる。
【0018】
好ましくは、パイロット圧を第1のパイロット圧として、パイロット弁は、第1のパイロット圧と、第1パイロット圧と異なる油路から出力される第2のパイロット圧とを含む複数のパイロット圧を出力する。経過時間が第1所定時間未満であるときに複数のパイロット圧のうち少なくとも1つのパイロット圧が所定圧力以上となり且つ継続時間が第2所定時間より大きい場合には、誤操作監視部は、ロック弁をロック状態に切り換える。この場合、ロック部材が解除位置に切り換えられたときに、さらに確実に油圧アクチュエータの予期せぬ動作を抑えることができる。
【0019】
好ましくは、報知部をさらに備える。報知部は、誤操作監視部が、ロック弁をロック状態に切り換えると、オペレータに対する報知を出力する。この場合、ロック部材が解除位置に切り換えられたときに操作部材が誤って操作されていることを、オペレータは報知部からの報知によって認識することができる。
【0020】
好ましくは、作動油の温度を検出する温度検出部をさらに備える。第1時間判定部は、作動油の温度が低いほど、第1所定時間を増大させる。この場合、ロック部材が解除位置に切り換えられたときに、操作部材が、動作位置に設定されているか否かをさらに精度よく判定することができる。
【0021】
好ましくは、操作台は、上下に揺動可能に配置される。ロック部材がロック位置から解除位置に切り換えられると共に、操作台は、上方から下方に向かって揺動する。この場合、ロック部材が解除位置に到達したときに、操作台に衝撃が生じ易い。このような場合でも、誤操作とは見なさずに、ロック弁を解除状態に維持することができる。
【0022】
好ましくは、作業車両は、旋回体を有する油圧ショベルである。油圧アクチュエータは、旋回体を旋回させる旋回モータ、走行用の油圧モータ、ブームシリンダ、アームシリンダ、バケットシリンダのいずれかである。この場合、旋回モータ、走行用の油圧モータ、ブームシリンダ、アームシリンダ、バケットシリンダのいずれかのパイロット圧を用いて上記の判定を行うことができる。
【0023】
本発明の第2の態様に係る制御方法は、作業車両の制御方法である。作業車両は、油圧アクチュエータと、操作部材と、パイロット弁と、アクチュエータ制御弁と、ロック部材と、操作台と、ロック弁とを備える。操作部材は、油圧アクチュエータを動作させるための部材である。パイロット弁は、操作部材の操作に応じたパイロット圧を出力する。アクチュエータ制御弁は、入力されるパイロット圧に応じて油圧アクチュエータを制御する。ロック部材は、ロック位置と解除位置とに切換可能である。操作台は、操作部材とロック部材とを支持しており、ロック部材と共に移動可能に設けられる。ロック弁は、解除状態とロック状態とに切り換えられる。ロック弁は、解除状態において、アクチュエータ制御弁へのパイロット圧の供給を許容する。ロック弁は、ロック状態において、アクチュエータ制御弁へのパイロット圧の供給を遮断する。制御方法は、以下のステップを備える。第1ステップでは、ロック部材がロック位置から解除位置に切り換えられると、ロック弁をロック状態から解除状態に切り換える。第2ステップでは、ロック部材がロック位置から解除位置に切り換えられた時点から、パイロット圧が所定圧力まで立ち上がるまでの経過時間を検知する。第3ステップでは、経過時間が第1所定時間以上であるか否かを判定する。第4ステップでは、パイロット圧が所定圧力以上となっている継続時間が第2所定時間以下であるか否かを判定する。第5ステップでは、経過時間が第1所定時間以上であるときに、ロック弁を解除状態に維持する。第6ステップでは、経過時間が第1所定時間未満であり且つ継続時間が第2所定時間より大きいときに、ロック弁をロック状態に切り換える。第7ステップでは、経過時間が第1所定時間未満であり且つ継続時間が第2所定時間以下であるときに、ロック弁を解除状態に維持する。
【0024】
本発明の第2の態様に係る制御方法では、ロック部材がロック位置から解除位置に切り換えられると、ロック弁がロック状態から解除状態に切り換えられる。しかし、経過時間が第1所定時間未満であり且つ継続時間が第2所定時間より大きいときには、ロック弁は、ロック状態に切り換えられる。経過時間が第1所定時間未満であることは、ロック部材が解除位置に切り換えられてから、パイロット圧が急速に立ち上がったことを意味している。これにより、ロック部材が解除位置に切り換えられたときに、操作部材が動作位置に設定されているか否かを精度よく判定することができる。
【0025】
ただし、経過時間が第1所定時間未満であっても、継続時間が第2所定時間以下である場合には、ロック弁は解除状態に維持される。従って、パイロット圧の増大が瞬間的なものに過ぎない場合には、誤操作とは見なさずに、ロック弁が解除状態に維持される。これにより、ロック部材が解除位置に切り換えられたときに、操作部材が動作位置に設定されていないことを精度よく判定することができる。
【0026】
また、経過時間が第1所定時間以上であるときには、ロック弁は解除状態に維持される。経過時間が第1所定時間以上であることは、ロック部材が解除位置に切り換えられてから、パイロット圧がゆっくりと立ち上がったことを意味している。これにより、ロック部材が解除位置に切り換えられたときに、操作部材が、動作位置に設定されていないことを精度よく判定することができる。
【0027】
本発明の第3の態様に係る制御方法では、ロック部材が、油圧アクチュエータを動作させるための操作部材とロック部材とを支持する操作台と共に、ロック位置から解除位置に切り換えられると、油圧アクチュエータの動作を禁止するロック状態から、油圧アクチュエータの動作を許容する解除状態に、ロック弁が切り換えられる。そして、操作部材の操作に応じたパイロット圧が、ロック部材がロック位置から解除位置に切り換えられた時点から第1所定時間内に所定圧力まで立ち上がり、且つ、パイロット圧が、第2所定時間より長い時間、所定圧力以上に維持されている場合には、ロック弁がロック状態に切り換えられる。ただし、パイロット圧が、ロック部材がロック位置から解除位置に切り換えられた時点から第1所定時間内に所定圧力まで立ち上がっても、パイロット圧が所定圧力以上に維持されている継続時間が第2所定時間以下である場合には、ロック弁は解除状態に維持される。
【0028】
本発明の第3の態様に係る制御方法では、ロック部材がロック位置から解除位置に切り換えられると、ロック弁がロック状態から解除状態に切り換えられる。しかし、ロック部材がロック位置から解除位置に切り換えられた後、パイロット圧が、第1所定時間内に所定圧力まで立ち上がり且つ第2所定時間より長い時間、所定圧力以上に維持されている場合には、ロック弁がロック状態に切り換えられる。すなわち、ロック部材が解除位置に切り換えられてから、パイロット圧が急速に立ち上がった場合には、ロック弁がロック状態に切り換えられる。従って、ロック部材が解除位置に切り換えられたときに操作部材が動作位置に操作されているか否かを精度よく判定することができる。
【0029】
ただし、パイロット圧が、第1所定時間内に所定圧力まで立ち上がっても、継続時間が第2所定時間以下である場合には、ロック弁は解除状態に維持される。従って、パイロット圧の増大が瞬間的なものに過ぎない場合には、誤操作とは見なさずに、ロック弁が解除状態に維持される。これにより、ロック部材が解除位置に切り換えられたときに、操作部材が動作位置に設定されていないことを精度よく判定することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、作業車両において、ロック部材が解除位置に切り換えられたときに操作部材が動作位置に操作されているか否かを精度よく判定することができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る作業車両について説明する。
図1は、作業車両100の斜視図である。作業車両100は、油圧ショベルである。作業車両100は、車両本体1と作業機2とを有する。車両本体1は、旋回体3と運転室4と走行装置5とを有する。運転室4は旋回体3の前部に載置されている。運転室4内には、後述する操作装置25が配置される(
図2参照)。走行装置5は履帯5a,5bを有しており、履帯5a,5bが回転することにより作業車両100が走行する。
【0033】
作業機2は、車両本体1の前部に取り付けられており、ブーム6とアーム7とバケット8とブームシリンダ10とアームシリンダ11とバケットシリンダ12とを有する。ブーム6の基端部は、ブームピン13を介して車両本体1の前部に揺動可能に取り付けられている。アーム7の基端部は、アームピン14を介してブーム6の先端部に揺動可能に取り付けられている。アーム7の先端部には、バケットピン15を介してバケット8が揺動可能に取り付けられている。ブームシリンダ10とアームシリンダ11とバケットシリンダ12とは、後述する油圧ポンプ22から吐出される作動油によって駆動される。
【0034】
図2は、作業車両100に搭載された駆動系と操作系との構成を示す模式図である。
図2に示すように、作業車両100は、エンジン21と、油圧ポンプ22と、油圧アクチュエータ23とを備える。油圧ポンプ22は、エンジン21によって駆動されることによって、作動油を吐出する。油圧アクチュエータ23は、油圧ポンプ22から吐出された作動油によって駆動される。油圧アクチュエータ23は、例えば、旋回体3を旋回させる油圧モータである。
【0035】
作業車両100は、アクチュエータ制御弁24と操作装置25とロック弁26とを備えている。アクチュエータ制御弁24は、入力されるパイロット圧に応じて油圧アクチュエータ23を制御する。具体的には、アクチュエータ制御弁24は、油圧アクチュエータ23への作動油の供給方向を切り換える方向切換弁である。アクチュエータ制御弁24は、第1位置状態P1と第2位置状態P2と中立位置状態Pnとに切り換えられる。アクチュエータ制御弁24は、第1位置状態P1において、油圧アクチュエータ23が第1方向に駆動するように、油圧アクチュエータ23に作動油を供給する。アクチュエータ制御弁24は、第2位置状態P2において、油圧アクチュエータ23が第2方向に駆動するように、油圧アクチュエータ23に作動油を供給する。第2方向は、第1方向と反対の方向である。アクチュエータ制御弁24は、中立位置状態Pnにおいて、油圧アクチュエータ23への作動油の供給を遮断する。これにより、油圧アクチュエータ23が停止される。アクチュエータ制御弁24は、第1パイロットポートPp1と第2パイロットポートPp2とを有する。パイロット圧が第1パイロットポートPp1に印加されることによって、アクチュエータ制御弁24が第1位置状態P1に設定される。パイロット圧が第2パイロットポートPp2に印加されることによって、アクチュエータ制御弁24が第2位置状態P2に設定される。パイロット圧が第1パイロットポートPp1と第2パイロットポートPp2のいずれにも印加されないときには、アクチュエータ制御弁24が中立位置状態Pnに設定される。
【0036】
操作装置25は、油圧アクチュエータ23を動作させるための装置である。操作装置25は、操作部材27とパイロット弁28とを有する。操作部材27は、例えば、操作レバーである。パイロット弁28は、油圧ポンプ22から作動油を供給される。パイロット弁28は、操作部材27の操作に応じたパイロット圧を出力する。すなわち、パイロット弁28は、油圧ポンプ22からの作動油を操作部材27の操作に応じたパイロット圧に減圧する。パイロット弁28は、第1のパイロット弁28aと第2のパイロット弁28bとを有する。第1のパイロット弁28aから出力されるパイロット圧(以下、「第1のパイロット圧」と呼ぶ。)は、アクチュエータ制御弁24の第1パイロットポートPp1に印加される。第2のパイロット弁28bから出力されるパイロット圧(以下、「第2のパイロット圧」と呼ぶ。)は、アクチュエータ制御弁24の第2パイロットポートPp2に印加される。これにより、操作部材27の操作に応じて、アクチュエータ制御弁24が第1位置状態P1と第2位置状態P2と中立位置状態Pnとのいずれかに設定される。
【0037】
ロック弁26は、油圧ポンプ22とパイロット弁28とを接続する油路に配置されている。ロック弁26は、電磁弁である。ロック弁26は、解除信号の入力の有無に応じて、解除状態PR1とロック状態PL1とに切り換えられる。具体的には、ロック弁26は、解除信号の入力が無いときには、ロック状態PL1に保持される。ロック弁26は、解除信号が入力されると、ロック状態PL1から解除状態PR1に切り換えられる。ロック弁26は、解除状態PR1では、油圧ポンプ22側の油路101とパイロット弁28側の油路102とを接続する。これにより、油圧ポンプ22からの作動油がパイロット弁28に供給される。すなわち、ロック弁26は、解除状態PR1では、アクチュエータ制御弁24へのパイロット圧の供給を許容する。これにより、油圧アクチュエータの動作が許容される。ロック弁26は、ロック状態PL1では、油圧ポンプ22側の油路101とパイロット弁28側の油路102とを遮断する。ロック弁26は、ロック状態PL1では、パイロット弁28側の油路102を作動油タンクに接続する。これにより、油圧ポンプ22からの作動油はパイロット弁28に供給されない。すなわち、ロック弁26は、ロック状態PL1では、アクチュエータ制御弁24へのパイロット圧の供給を遮断する。ロック弁26がロック状態PL1では、操作部材27の操作に関わらず、アクチュエータ制御弁24は中立位置状態Pnに保持される。従って、ロック弁26がロック状態PL1では、オペレータが操作部材27を操作しても、油圧アクチュエータ23は動作しない。すなわち、油圧アクチュエータの動作が禁止される。
【0038】
図2に示すように、作業車両100は、ロック部材31と、ロックスイッチ32と、第1の信号ライン33と、第2の信号ライン34と、コントローラ35と、報知部36とを備える。
【0039】
ロック部材31は、運転室4内に配置される。ロック部材31は、ロック位置と解除位置とに切換可能である。例えば、ロック部材31は、解除位置では、運転室4内へ突出するように配置される。ロック部材31は、ロック位置では、運転室4内へ突出しない、或いは、運転室4内への突出量が小さくなるように配置される。ロックスイッチ32は、ロック部材31の動作に連動して、ロック位置PL2と解除位置PR2とに切り換えられる。ロック部材31がロック位置に位置しているときには、ロックスイッチ32は、ロック位置PL2に位置する。ロック部材31が解除位置に位置しているときには、ロックスイッチ32は、解除位置PR2に位置する。
【0040】
第1の信号ライン33は、ロックスイッチ32からの解除信号をロック弁26に伝達する。ロックスイッチ32が解除位置PR2に設定されると、ロックスイッチ32からの解除信号が、第1の信号ライン33を介して、ロック弁26に入力される。これにより、ロック弁26が解除状態PR1に設定される。第2の信号ライン34は、ロックスイッチ32からのロックスイッチ信号をコントローラ35に伝達する。ロックスイッチ32がロック位置PL2に設定されると、ロックスイッチ32からのロックスイッチ信号が、第2の信号ライン34を介して、コントローラ35に入力される。このとき、ロック弁26には、ロックスイッチ32からの解除信号が入力されないため、ロック弁26は、ロック状態PL1に設定される。
【0041】
コントローラ35は、RAMやROMなどのメモリと、CPUなどの演算装置とを含む。報知部36は、例えばモニタである。コントローラ35は、第2の信号ライン34を介してロックスイッチ信号を受信すると、オペレータに対する報知を報知部36から出力させる。オペレータに対する報知は、例えば、モニタにメッセージやアイコンを表示することによって行われる。
【0042】
また、作業車両100は、パイロット圧検出部37と、第3の信号ライン38とを備える。パイロット圧検出部37は、パイロット圧を検出する。パイロット圧検出部37は、複数の圧力センサを有する。具体的には、パイロット圧検出部37は、第1圧力センサ37aと第2圧力センサ37bとを有する。第1圧力センサ37aは、第1のパイロット圧を検出する。第2圧力センサ37bは、第2のパイロット圧を検出する。第3の信号ライン38は、パイロット圧検出部37からの信号をコントローラ35に伝達する。後述するように、コントローラ35は、パイロット圧検出部37によって検出されたパイロット圧に基づいて、ロック部材31の操作時の誤操作の判定を行う。
【0043】
また、作業車両100は、リレー39と、第4の信号ライン41と、第5の信号ライン42と、第6の信号ライン43とを備える。リレー39は、第1の信号ライン33に配置されている。第4の信号ライン41は、コントローラ35からの信号をリレー39に伝達する。リレー39は、コントローラ35からの信号の有無に応じて、オン状態Ponとオフ状態Poffとに切り換えられる。リレー39は、オン状態Ponにおいて、ロックスイッチ32とロック弁26とを接続する。これにより、ロックスイッチ32からの解除信号がロック弁26に伝達可能となる。リレー39は、オフ状態Poffにおいて、ロックスイッチ32とロック弁26との間を遮断する。これにより、ロックスイッチ32からの解除信号がロック弁26に伝達不能となる。リレー39は、コントローラ35から信号が入力されているときには、オン状態Ponに設定される。リレー39は、コントローラ35から信号が入力されていないときには、オフ状態Poffに設定される。
【0044】
第5の信号ライン42は、第1の信号ライン33においてロックスイッチ32とリレー39との間に接続されている。従って、ロックスイッチ32からの解除信号が、第5の信号ライン42を介して、コントローラ35に伝達される。コントローラ35は、第5の信号ライン42を介して受信する解除信号の有無によって、ロック部材31が解除位置に設定されているか否かを検出する。第6の信号ライン43は、第1の信号ライン33においてリレー39とロック弁26との間に接続されている。従って、コントローラ35は、第6の信号ライン43を介して受信する解除信号の有無によって、リレー39がオン状態Ponとオフ状態Poffとのいずれの状態であるのか、及び、ロック弁26がロック状態PL1と解除状態PR1とのいずれの状態であるのかを検出する。
【0045】
また、作業車両100は、キースイッチ40と、第7の信号ライン44とを備える。キースイッチ40は、作業車両100を始動させるためのキーによってオン状態とオフ状態とに切り換えられる。キースイッチ40は、オン状態で信号を出力する。第7の信号ライン44は、キースイッチ40からの信号をコントローラ35に伝達する。
【0046】
運転室4内には、
図3に示すように、シート17と操作台18とが配置されている。操作台18は、シート17の側方に配置されている。操作台18は、シート17と運転室4のドア40(
図1参照)との間に配置されている。操作台18は、操作部材27とロック部材31とを支持している。操作部材27は、操作台18の上面に取り付けられている。詳細には、操作部材27は、操作台18の上面の前部に取り付けられている。
【0047】
ロック部材31は、操作台18の側面に取り付けられている。詳細には、ロック部材31は、操作台18の側面の前部に取り付けられている。ロック部材31は、操作台18に対して回転可能に取り付けられている。
図4は、操作台18の側面図である。
図4に示すように、ロック部材31は、操作台18に対して回転軸310周りに回転することにより、解除位置(
図4の31参照)とロック位置(
図4の31’参照)とに切り換えられる。解除位置(31)は、ロック位置(31’)よりも下方に位置する。
【0048】
操作台18は、跳ね上げ式の機構を有しており、運転室4の床面19に対して上下に揺動可能に配置される。操作台18は、揺動軸180周りに揺動する。操作台18は、ロック部材31と共に移動する。ロック部材31が解除位置(31)に位置する場合、操作台18は第1位置(
図4の18参照)に位置する。第1位置(18)では、操作台18が床面19に降ろされた状態となる。すなわち、操作台18の底部の前部が、床面19に接地している。また、操作台18が第1位置(18)では、ロック部材31の一部が操作台18の前面よりも前方に突き出ている。
【0049】
ロック部材31がロック位置(31’)に位置する場合、操作台18は第2位置(
図4の18’参照)に位置する。第2位置(18’)では、操作台18が床面19から跳ね上げられた状態となる。すなわち、第2位置(18’)での操作台18の前部は、第1位置(18)での操作台18の前部よりも上方に位置している。操作台18が第2位置(18’)での操作部材27の位置(
図4の27’参照)は、操作台18が第1位置(18)での操作部材27の位置(
図4の27参照)よりも上方に位置している。第2位置(18’)では、操作台18の底部の前部が、床面19から上方に離れている。また、操作台18が第2位置(18’)では、ロック部材31が操作台18の前面よりも後方に位置している。
【0050】
オペレータがロック部材31を解除位置(31)からロック位置(31’)に引き上げると、操作台18はロック部材31と共に上方に向かって揺動することで、第1位置(18)から第2位置(18’)に移動する。逆に、オペレータがロック部材31をロック位置(31’)から解除位置(31)に押し下げると、操作台18はロック部材31と共に下方に向かって揺動することで、第2位置(18’)から第1位置(18)に移動する。
【0051】
次に、コントローラ35によって実行される誤操作の判定処理について説明する。
図2に示すように、コントローラ35は、ロック解除判定部45と、経過時間検知部46と、第1時間判定部47と、第2時間判定部51と、パイロット圧判定部48と、誤操作監視部49とを含む。
図5は、誤操作の判定処理を示すフローチャートである。
図6及び
図7は、誤操作の判定時のパイロット圧と、ロックスイッチ信号と、コントローラ出力信号と、キースイッチ信号との変化を示すタイミングチャートである。ロックスイッチ信号は、コントローラ35が検出したロックスイッチ32からの信号である。具体的には、ロックスイッチ信号は、第2の信号ライン34を介して伝達されるロックスイッチ信号と、第5の信号ライン42を介して伝達される解除信号とのいずれかである。コントローラ出力信号は、コントローラ35からリレー39に出力される信号である。コントローラ出力信号がオンであるとは、コントローラ35からリレー39に信号が出力されていることを意味する。コントローラ出力信号がオフであるとは、コントローラ35からリレー39に信号が出力されていないことを意味する。キースイッチ信号は、キースイッチ40からコントローラ35に出力される信号である。キースイッチ信号がオンであるとは、キースイッチ40からコントローラ35に信号が出力されていることを意味する。キースイッチ信号がオフであるとは、キースイッチ40からコントローラ35に信号が出力されていないことを意味する。なお、
図6及び
図7に示すパイロット圧は、パイロット圧検出部37によって検出される複数のパイロット圧の1つを例示している。
【0052】
図5に示すように、キースイッチ40がオン状態になると、ステップS1において、誤操作監視部49は、コントローラ出力信号をオンにする(
図6の時間T1)。これにより、リレー39はオン状態Ponに設定される。この場合、ロックスイッチ32の位置に応じてロック弁26の状態が切り換え可能となる。すなわち、ロック部材31の操作に応じて、油圧アクチュエータ23のロックと解除とが切り換え可能となる。
【0053】
ステップS2において、ロック解除判定部45が、解除信号がオンであるか否かを判定する。第5の信号ライン42を介して解除信号がコントローラ35に伝達されているときには、ロック解除判定部45は、解除信号がオンであると判定する。すなわち、ロック解除判定部45は、ロック部材31が解除位置に切り換えられたか否かを判定する。解除信号がオンであるときには(
図6の時間T2)、ステップS3に進む。解除信号がオンであり、且つ、リレー39がオン状態Ponであるときには、解除信号が第1の信号ライン33を介してロック弁26に伝達される。従って、ロック弁26は、解除状態PR1に設定される。これにより、操作部材27の操作に応じてパイロット圧が上昇を開始する。
【0054】
ステップS3において、経過時間検知部46が、経過時間tのカウントを開始する。経過時間tは、ロックが解除された時点から、すなわち、ロック部材31がロック位置から解除位置に切り換えられた時点(
図6の時間T2)からの経過時間(
図6の経過時間Ta)である。
【0055】
ステップS4において、第1時間判定部47は、経過時間tが第1所定時間Tth1以上であるか否かを判定する。第1所定時間Tth1は、油圧アクチュエータ23を動作させるための位置に操作部材27が設定された状態で、ロック部材31がロック位置から解除位置に切り換えられたときにパイロット圧が所定圧力Pthまで立ち上がるまでの時間である。第1所定時間Tth1は、予め実験或いはシミュレーションによって求められ、コントローラ35に記憶されている。第1所定時間は、0.2秒以上、2秒以下であることが好ましい。経過時間tが第1所定時間Tth1以上ではないときには、ステップS5に進む。すなわち、
図6において、時間Taが第1所定時間Tth1より小さいときには、ステップS5に進む。
【0056】
ステップS5において、パイロット圧判定部48が、複数のパイロット圧の少なくとも1つが所定圧力Pth以上であるか否かを判定する。少なくとも1つのパイロット圧が所定圧力Pth以上ではないときには、ステップS4に戻る。少なくとも1つのパイロット圧が所定圧力Pth以上であるときには(
図6の時間T3)、ステップS6に進む。
【0057】
ステップS6では、第2時間判定部51は、パイロット圧が所定圧力Pth以上となっている継続時間dtが第2所定時間Tth2以下であるか否かを判定する。継続時間dtが第2所定時間Tth2以下ではないときにはステップS7に進む。すなわち、継続時間dtが第2所定時間Tth2より大きいときにはステップS7に進む(
図6のT4)。なお、第2所定時間Tth2は、予め実験或いはシミュレーションによって求められ、コントローラ35に記憶されている。第2所定時間th2は、第1所定時間th1より小さい。好ましくは、第2所定時間th2は、0.2秒より小さい。より好ましくは、第2所定時間th2は、0.05秒以上、0.1秒以下である。
【0058】
ステップS7において、コントローラ出力信号がオフにされる(
図6の時間T4)。また、経過時間検知部46が、経過時間tと継続時間dtとを0にリセットする。コントローラ出力信号がオフにされると、リレー39はオフ状態Poffに設定される。すなわち、経過時間tが第1所定時間Tth1未満であり且つ継続時間dtが第2所定時間Tth2より大きいときには、ロックスイッチ32が解除位置PR2であっても、誤操作監視部49は、ロック弁26をロック状態PL1に切り換える。このため、操作部材27の操作に関わらず、アクチュエータ制御弁24へのパイロット圧は上昇せず、コントローラ出力信号がオフにされた後に低下する。このため、ロック部材31が解除位置であっても、油圧アクチュエータ23の動作はロックされる。
【0059】
ステップS8において、ロック解除判定部45が、ロックスイッチ信号がオンであるか否かを判定する。ロックスイッチ信号がオンであるとは、第2の信号ライン34を介してロックスイッチ信号がコントローラ35に伝達されていることを意味する。ロックスイッチ信号がオンではないときには、コントローラ出力信号がオフに維持される。すなわち、経過時間tが第1所定時間Tth1未満であるときにパイロット圧の少なくとも1つが所定圧力Pth以上になり且つ継続時間dtが第2所定時間Tth2より大きくなると、その後、ロック部材31が解除位置からロック位置に戻されない限り、誤操作監視部49は、ロック弁26をロック状態PL1に維持する。これにより、アクチュエータ制御弁24へのパイロット圧の遮断が維持される。ロックスイッチ信号がオンであるときには(
図6の時間T5)、ステップS1に戻る。すなわち、ロック部材31が解除位置からロック位置に戻されたときには、ステップS1に戻る。
【0060】
上述したように、ステップS1では、コントローラ出力信号がオンにされる(
図6の時間T5)。これにより、ロック部材31の操作に応じて、油圧アクチュエータ23のロックと解除とが切り換え可能となる。また、ステップS2において、ロック解除判定部45が、解除信号がオンであるか否かを判定する。解除信号がオンであるときには(
図6の時間T6)、ステップS3に進む。ステップS3において、経過時間検知部46が、経過時間tのカウントを開始する。経過時間tは、ロック部材31がロック位置から解除位置に切り換えられた時点(
図6の時間T6)からの経過時間(
図6の経過時間Tb)である。
【0061】
ステップS4において、経過時間tが第1所定時間Tth1以上であるときには、ステップS9に進む。すなわち、経過時間tが第1所定時間Tth1に達するまで、いずれのパイロット圧も所定圧力Pth以上とならなかったときには、ステップS9に進む。
【0062】
ステップS9では、誤操作監視部49がコントローラ出力信号をオンに維持する(
図6の時間T7以降)。すなわち、誤操作監視部49は、リレー39をオン状態Ponに維持する。これにより、ロック部材31が解除位置に設定されている間は、ロック弁26が解除状態PR1に維持される。このため、パイロット圧は、操作部材27の操作に応じて増大する。また、経過時間検知部46が、経過時間tを0にリセットする。
【0063】
ステップS10では、ロック解除判定部45が、解除信号がオフであるか否かを判定する。解除信号がオフであるとは、第5の信号ライン42を介して解除信号がコントローラ35に伝達されないことを意味する。解除信号がオフであるときには、ステップS1に戻る。すなわち、ロック部材31が解除位置からロック位置に切り換えられたときには、ステップS1に戻る。
【0064】
一方、上述したステップS6において継続時間dtが第2所定時間Tth2以下であるときにはステップS9に進む(
図7のT4’)。ステップS9では、誤操作監視部49がコントローラ出力信号をオンに維持する。すなわち、誤操作監視部49は、リレー39をオン状態Ponに維持する。これにより、ロック部材31が解除位置に設定されている間は、ロック弁26が解除状態PR1に維持される。また、経過時間検知部46が、経過時間t及び継続時間dtを0にリセットする。
【0065】
本発明の実施形態に係る作業車両100では、ロック部材31がロック位置から解除位置に切り換えられると、ロックスイッチ32からの解除信号によって、ロック弁26がロック状態PL1から解除状態PR1に切り換えられる。しかし、経過時間tが第1所定時間Tth1未満であるときにパイロット圧が所定圧力Pth以上となり且つ継続時間dtが第2所定時間th2より大きい場合には、誤操作監視部49は、ロック部材31が解除位置に設定されていても、ロック弁26をロック状態PL1に戻す。このようにパイロット圧が急速に立ち上がることは、操作部材27が動作位置に設定されている状態でロック部材31が解除位置に切り換えられたことを意味する。これにより、ロック部材31が解除位置に切り換えられたときに、操作部材27が動作位置に設定されているか否かを精度よく判定することができる。
【0066】
ただし、経過時間tが第1所定時間th1未満であるときにパイロット圧が所定圧力以上となっても、継続時間dtが第2所定時間th2以下である場合には、誤操作監視部49は、ロック弁を解除状態に維持する。従って、パイロット圧の増大が瞬間的なものに過ぎない場合には、誤操作とは見なさずに、ロック弁が解除状態に維持される。このため、操作台18が押し下げられたときの衝撃によって操作部材27が一時的に動き、それによりパイロット圧が上昇しても、操作部材27が動作位置に設定されていると誤って検知することが防止される。これにより、ロック部材31が解除位置に切り換えられたときに、操作部材27が動作位置に設定されていないことを精度よく判定することができる。
【0067】
また、経過時間tが第1所定時間Tth1以上であるときにパイロット圧が所定圧力Pth以上となった場合には、誤操作監視部49は、ロック弁26を解除状態PR1に維持する。このようにパイロット圧がゆっくりと立ち上がることは、操作部材27が動作位置に設定されていない状態でロック部材31が解除位置に切り換えられたことを意味する。これにより、ロック部材31が解除位置に切り換えられたときに、操作部材27が、動作位置に設定されていないことを精度よく判定することができる。
【0068】
ロック弁26は、油圧ポンプ22とパイロット弁28とを接続する油路に配置される。このため、1つのロック弁26で、複数の油路に出力されるパイロット圧を遮断することができる。
【0069】
誤操作監視部49は、複数のパイロット圧のうち少なくとも1つのパイロット圧に対応する経過時間tが第1所定時間Tth1未満であり且つ継続時間dtが第2所定時間th2より大きいときには、アクチュエータ制御弁24へのパイロット圧の供給を遮断する。このため、ロック部材31が解除位置に切り換えられたときに、より確実に油圧アクチュエータ23の誤操作を抑えることができる。
【0070】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0071】
上記の実施形態では、作業車両として油圧ショベルが例示されているが、ホイールローダやブルドーザなど他の種類の作業車両に本発明が適用されてもよい。
【0072】
上記の実施形態では、油圧アクチュエータとして、旋回体の旋回用の油圧モータが例示されているが、他の油圧アクチュエータが用いられてもよい。例えば、走行用の油圧モータ(図示せず)、ブームシリンダ10、アームシリンダ11、又は、バケットシリンダ12が用いられてもよい。或いは、これらの一部の組み合わせ、又は、全ての組み合わせが用いられてもよい。すなわち、上述したステップS5において用いられる複数のパイロット圧は、旋回用の油圧モータに限らず、走行用の油圧モータ(図示せず)、ブームシリンダ10、アームシリンダ11、又は、バケットシリンダ12などを制御するためのアクチュエータ制御弁へのパイロット圧であってもよい。
【0073】
報知部36は、誤操作監視部49が、アクチュエータ制御弁24へのパイロット圧の供給を遮断しているときに、オペレータに対する報知を出力してもよい。これにより、ロック部材31が解除位置に切り換えられたときに操作部材27が誤って操作されていることを、オペレータは報知部36からの報知によって認識することができる。上記の実施形態では、報知部36としてモニタが例示されているが、ランプ或いはブザーなどの他の装置であってもよい。
【0074】
ロック部材31及び操作部材27は、レバーに限らず、スイッチ、ボタン、或いはペダルなど他の形態の部材であってもよい。操作台18の動作は上下方向への揺動に限らない。例えば、操作台18は前後に移動してもよい。操作台18とロック部材31と操作部材27との構造は上述した構造に限られない。例えば、操作台18に対するロック部材31と操作部材27との取付位置が変更されてもよい。
【0075】
図8に示すように、作業車両100は、作動油の温度を検出する温度検出部50をさらに備えてもよい。この場合、第1時間判定部47は、作動油の温度が低いほど、第1所定時間Tth1を増大させる。これにより、ロック部材31が解除位置に切り換えられたときに、操作部材27が、動作位置に設定されているか否かをさらに精度よく判定することができる。
ロック弁切換部は、ロック部材がロック位置から解除位置に切り換えられると、ロック弁をロック状態から解除状態に切り換える。誤操作監視部は、ロック部材がロック位置から解除位置に切り換えられた時点からの経過時間が第1所定時間以上であるときにパイロット圧が所定圧力以上となった場合には、ロック弁を解除状態に維持する。誤操作監視部は、経過時間が第1所定時間未満であるときにパイロット圧が所定圧力以上となり且つ前記継続時間が前記第2所定時間より大きい場合には、ロック弁をロック状態に切り換える。誤操作監視部は、経過時間が第1所定時間未満であるときにパイロット圧が所定圧力以上となり且つ継続時間が第2所定時間以下である場合には、ロック弁切換部によるロック弁の切換を許容する。