(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1に示すように、この発明のドラム式洗濯機Aは、少なくとも洗剤投入部4を備えた洗濯機であれば適応可能であり、不図示の電熱ヒータや電動送風機等の乾燥機構を備えたドラム式洗濯乾燥機であってもよい。以下、ドラム式洗濯機A(以下、適宜に「洗濯機A」ともいう)を例に挙げて説明する。
【0010】
[第1実施形態]
まず、本発明の第1実施形態を、
図1〜
図6を参照して説明する。
≪洗濯機の構成≫
図1に示すように、洗濯機A(ドラム式洗濯機)は、この洗濯機Aの筐体1の上面部に洗剤投入部4が設けられ、筐体1の前面部に衣類等の洗濯物を出し入れする衣類投入口1bが設けられて、略ドラム形の回転ドラム3の回転軸がやや斜めになっており、その回転軸回りに回転ドラム3が回転することによって、衣類投入口1bから投入された衣類を洗濯する装置である。洗濯機Aは、それぞれ後記する筐体1、外槽2、回転ドラム3、洗剤投入部4、給水ユニット5、操作パネル6、ダンパ7、扉8等を備えている。
【0011】
≪筐体の構成≫
図1に示すように、筐体1は、ドラム式洗濯機Aの外観形状を形成すると共に、その洗濯機Aの構成部品を包み込んで保持するハウジングである。この筐体1は、外郭が鋼板と樹脂成型品とを組み合わせて略箱形形状に形成されている。筐体1には、前面に設けられた前面カバー1cに前記衣類投入口1bが形成され、前面カバー1cの内側にベローズ(図示省略)、外槽2、回転ドラム3、モータ(図示省略)等が配置されている。筐体1において、前面カバー1cの上部と、上面に設けられた上面カバー1dの前端部との間には、前記洗剤投入部4が設けられる洗剤投入部設置口1aと、操作パネル6が設けられる操作パネル設置口1eと、が形成されている。上面カバー1dの下には、前記給水ユニット5、給水管P1,P2、洗剤送出管P3(
図2参照)等が内設されている。筐体1内の下部には、ダンパ7、排水ホース(図示省略)、ベース9等が設置されている。
【0012】
洗剤投入部設置口1aには、この洗剤投入部設置口1aの周縁部下面に洗剤ボックス41のフランジ部41a(
図2参照)が固定されると共に、洗剤投入部設置口1aの開口端内側に、洗剤蓋44の上面が、上面カバー1dと面一の状態に閉塞するように上下方向に開閉自在に軸支されている。洗剤投入部設置口1aは、上面カバー1dの前端部左側に横長に形成されている。
【0013】
洗剤投入部4の後側の上面カバー1d内には、
図2に示すように、給水ユニット5、洗剤給水電磁弁11、給水ホース接続口12、吸湯ホース接続口13、給水管P1,P2、洗剤送出管P3等の給水に関連する部品が設けられている。
【0014】
図1に示すように、操作パネル設置口1eには、操作パネル6が内嵌される部位であり、上面カバー1dの前端部の洗剤投入部設置口1aの隣に横長に形成されている。その操作パネル6は、筐体1の上部前端部右側に配置され、電源スイッチ、各種操作ボタン、表示器等が設けられている。
前記筐体1において、洗剤投入部設置口1a及び操作パネル設置口1eの周縁部下面には、不図示の補強部材が設置されている。
【0015】
≪外槽の構成≫
外槽2は、洗い及びすすぎの際に、使用する水が注がれて一時的に貯留されるドラム形の水槽であり、衣類投入口1b側が開口された有底円筒体からなる。外槽2の後部底面には、一端側内に回転ドラム3が回転自在に軸支され、他端側にモータ(図示省略)の回転軸が軸支されている。外槽2の内側には、前記回転軸を後部底面に固定した回転ドラム3が、その回転軸を軸支することで、回転可能な状態に収納されている。その外槽2は、前面部が、ベローズ(図示省略)によって筐体1の前側内壁に弾性的に支持され、下面部が、ダンパ7により弾性的に支持され、さらに、上面部が、補助ばね(図示省略)で筐体1の天井面に弾性的に吊り下げられている。
【0016】
≪回転ドラムの構成≫
図1に示すように、前記回転ドラム3は、洗濯する衣類が収容される内槽であり、前端が開口された有底円筒状(ドラム形状)に形成された洗濯槽(洗濯槽兼乾燥槽)である。回転ドラム3には、この内部及び外部に水が流通する多数の孔が穿設されている。回転ドラム3は、底面中心に不図示の回転軸を介在してモータ(図示省略)に連結されて、そのモータによって回転されるようになっている。
なお、回転ドラム3の高さ位置について、後記するように、洗剤投入部4が上面給水ではなく、側面(背面)給水であるので、上面から給水するものよりも、洗剤投入部4の厚さを薄くすることができる。その分、回転ドラム3を高い位置に配置している。
【0017】
≪洗剤投入部の構成≫
図1に示すように、前記洗剤投入部4は、粉末洗剤、液体洗剤(あるいは漂白剤)、ソフト仕上剤(柔軟剤)等の洗剤が投入される部位であり、例えば、筐体1の上面左側前端部に配置されている。洗剤投入部4は、上面部に配置された洗剤蓋44を上下方向に回動させて開口部4aを開放すれば、洗剤や柔軟剤をそれぞれ投入可能な洗剤投入室40が現れて、それぞれの洗剤を投入することができるようになっている。
【0018】
この洗剤投入部4は、筐体1に装着される洗剤ボックス41と、この洗剤ボックス41内に着脱可能に装着され洗剤ケース42と、洗剤ボックス41に着脱自在及び開閉自在に軸支される洗剤蓋44と、サイホン(図示省略)と、水を洗剤投入部4内に供給する給水管P1,P2(
図2参照)と、洗剤投入部4内の洗剤及び水を外槽2内に供給する洗剤送出管P3(
図2参照)と、給水ユニット5等を有している。洗剤投入部4は、この洗剤投入部4の後側側面に連結される給水管P1,P2(
図2参照)によって水が側方(後側側壁)から洗剤投入室40内(洗剤ケース42内)に供給される所謂側方方式の供給部である。
なお、洗剤投入室40(粉末洗剤投入室40A、液体洗剤投入室40B、ソフト仕上剤投入室40C)は、空間(場所)の名称であり、洗剤ケース42により区画される。
【0019】
図1に示すように、開口部4aは、前記筐体1の洗剤投入部設置口1a内に内嵌するように開閉可能に軸支された洗剤蓋44によって開閉される略容器形状の洗剤ケース42(洗剤ボックス41)の開口部位である。開口部4aは、原則として、洗剤を投入する際に洗剤蓋44を開放して、それ以外ときは洗剤蓋44で閉塞されている。
【0020】
≪洗剤ボックスの構成≫
図1に示すように、前記洗剤ボックス41は、筐体1の上面前側左端部に形成された洗剤投入部設置口1aに挿着される外ケース体であり、合成樹脂によって形成されている。洗剤ボックス41は、平面視して左右方向に長い長方形をしている。
図3に示すように、洗剤ボックス41には、それぞれ後記するフランジ部41a、係止孔41b、係止部41c、ねじ挿入孔41d、段差部41e、軸支片41f、洗剤ケース収納部41g、後側側壁41h、給水管挿着部41i,41j、洗剤送出管挿着部41k、ロック爪41m,41n,41o(
図5参照)、傾斜底面部41p、リブ41q等が一体形成されている。
【0021】
フランジ部41aは、洗剤ボックス41の外周部に形成された四角形の鍔状部位(枠状部位)であり、
図1に示す洗剤投入部設置口1aの周縁の前面カバー1c、上面カバー1d及び操作パネル6の下側に隠れた状態に配置されている。フランジ部41aには、係止孔41b、係止部41c及びねじ挿入孔41dが形成されている。
【0022】
図3に示す係止孔41bは、洗剤投入部設置口1aの周縁部に配置された補強部材(図示省略)、及び、筐体1に突出形成された弾性係止片(図示省略)が係合する矩形の孔であり、フランジ部41aに複数形成されている。
【0023】
係止部41cは、洗剤投入部設置口1aの周縁部、補強部材(図示省略)及び操作パネル6に形成された係止部位(図示省略)に係止する弾性係止片であり、フランジ部41aに複数形成されている。
ねじ挿入孔41dは、補給部材(図示省略)にフランジ部41aをねじ止めするねじ(図示省略)が挿入される孔であり、フランジ部41aに複数形成されている。
【0024】
つまり、前記洗剤ボックス41は、フランジ部41aの係止孔41b及び係止部41cを、洗剤投入部設置口1a(
図1参照)の周縁部の補強部材(図示省略)、筐体1及び操作パネル6(
図1参照)に設けられた不図示の弾性係止片または係合部に弾性支持することで保持されると共に、さらに、フランジ部41aのねじ挿入孔41dを補強部材にねじ止めすることによってしっかりと固定されている。
【0025】
図3に示すように、段差部41eは、前記フランジ部41aの内縁側に、洗剤蓋44の厚さ分だけ一段下がった状態に形成された環状部位であり、側面視して洗剤ケース収納部41gの開口端に前下がりの平らな斜面状に形成されている(
図1参照)。この段差部41eには、左右の後側両端部に、洗剤蓋44の軸部44a,44bが回動自在に軸合される軸支片41f,41fが上方向に向けて突設されている。段差部41eの斜めの平らな表面には、洗剤蓋44を閉じた際に、洗剤蓋44の内側面の周縁部に設けられたパッキン部材44dの先端面が密着する。段差部41eの洗剤ケース収納部41gの開口端内には、洗剤ケース42の開口縁部42aが略面一に内嵌されている。
【0026】
図3に示すように、ノブ係止部41uは、洗剤蓋44を閉じた際に、開閉ロックノブ44eが係止して閉塞状態を保持する部位であり、フランジ部41aの前端部中央に形成されている。ノブ係止部41uは、例えば、フランジ部41aから洗剤ケース収納部41gの方向(後方向)に向かって突出した凸部からなる。
このように環状の段差部41eには、洗剤蓋44が洗剤投入室40を開閉するように回動自在に配置されて、洗剤蓋44を閉めた際に、環状のパッキン部材44dの先端全体が弾接し、洗剤ケース42を内嵌した洗剤ケース収納部41g内が密閉状態に保持される。
【0027】
図3に示すように、軸支片41f,41fは、洗剤蓋44の軸部44a,44bを着脱可能な状態に軸支する軸孔を有する左右一対の弾性舌片からなり、段差部41eの後側の左右端部から上方向に向かって突設されている。
【0028】
洗剤ケース収納部41gは、洗剤ケース42の洗剤投入室40が挿入されると共に、洗剤ケース42内から流出して落下した洗剤や水を受ける窪みであり、平面視して略長方形に形成されている。洗剤ケース収納部41gは、段差部41eの中心側(内側)に、背面視して底面が左下がりに斜めに形成された四角の容器状からなる。
【0029】
後側側壁41hは、洗剤ケース収納部41gの後側側面を形成する側壁であり、給水管P1,P2及び洗剤送出管P3の先端部が接続される給水管挿着部41i,41j及び洗剤送出管挿着部41kが設けられている部位である。洗剤ケース収納部41gの内側の後側側壁41hには、洗剤ケース42の給水口42c,42dに合致する位置(延長線上の位置)に給水管挿着部41i,41jが形成され、左側下端部に洗剤送出管挿着部41kが形成されている。後方から見た
図5に示すように、後側側壁41hの外壁面には、円筒状の給水管挿着部41i,41j及び洗剤送出管挿着部41kがそれぞれ後方に向けて突出形成されている。
【0030】
図5に示すように、給水管挿着部41i,41j及び洗剤送出管挿着部41kは、給水管P1,P2及び洗剤送出管P3の先端部を接続するジョイント部であり、円筒状の突出部位の外周にそれぞれ給水管P1,P2及び洗剤送出管P3の端部に形成された係止部(図示省略)が係止するロック爪41m,41n,41oが形成されている。
給水管挿着部41iは、背面視及び側面視して、後側側壁41hの略中央部位に設置されて、後記する給水口42cに連通している(
図4参照)。
給水管挿着部41jは、背面視して後側側壁41hの右寄りの位置に前方向に向けて形成されて、後記する給水口42dに連通している(
図4参照)。
洗剤送出管挿着部41kは、背面視して後側側壁41hの左下端部の位置に前後方向に向けて設置されて、後記する傾斜底面部41pの最も低い位置に形成されている。
【0031】
図3に示すように、傾斜底面部41pは、洗剤ケース収納部41gの内側底面であり、右側から左側方向の洗剤送出管挿着部41kに向かって斜めに下降するように形成されている。
リブ41qは、洗剤ケース収納部41g内に洗剤ケース42を内嵌させた際に、粉末洗剤投入室40Aの下面が当接して支持される支柱である。このリブ41qは、平面視してJ字状(略半円筒状)に形成され、洗剤送出管挿着部41kの洗剤ケース収納部41g側の前側周辺を適宜な間隔を介して囲むように配置されている。
【0032】
≪洗剤ケースの構成≫
図3に示すように、洗剤ケース42は、洗剤ボックス41内に着脱可能に装着される内ケース体であり、前記のように洗剤投入室40が粉末洗剤投入室40Aと、液体洗剤投入室40Bと、ソフト仕上剤投入室40Cとに区画されている。また、洗剤ケース42は、洗剤蓋44を開放して開口部4aから洗剤が投入されると共に、その洗剤を溶かして流す水が給水口42c,42dから給水される。洗剤ケース42には、それぞれ後記する開口縁部42a、壁部42b、給水口42c,42d、内底42e,42f,42g、流出口42h,42i,42j、内筒部42k,42m、切欠部42n、仕切板42o,42p、側口42q、後側切欠部42r、前側切欠部42s等が一体形成されている。
また、前記のとおり、サイホンは省略してある。すなわち、内筒部42k,42mに被せてサイホンを形成して、液体洗剤投入室40B、ソフト仕上剤投入室40Cに溜まった水を流出口42i,42jから排出させるキャップは省略してある。
【0033】
<開口縁部及び壁部の構成>
図4に示すように、開口縁部42aは、洗剤ケース42の上部周縁部に形成された枠状部位であり、洗剤ケース収納部41g内に着脱自在に内嵌されている。つまり、洗剤ケース42は、洗剤ボックス41に対して着脱自在に係合され、洗剤ケース42が汚れた場合に、洗剤ボックス41から取り外して洗浄できるようになっている。
壁部42bは、洗剤投入室40の側壁であり、洗剤投入室40の内壁側が洗剤ケース42によって形成されている。
【0034】
<給水口の構成>
図4に示すように、給水口42c,42dは、洗剤投入部4内にそれぞれ水を噴射して給水する部位であり、壁部42bの後方側から洗剤投入部4内に水がそれぞれ流入するように形成された左右2つの吐出口からなる。給水口42c,42dは、いずれも、洗剤投入部4の高さ寸法H(
図5参照)以内の壁部42bの位置(高さHよりも低い位置)に設けられている。
【0035】
換言すると、
図5に示すように、給水口42c,42d及び給水管挿着部41i,41jは、側面視して洗剤ボックス41の開口縁最下端部41t(
図12及び
図13参照)よりも下方の位置に形成されて、後記する第2実施形態の遮蔽板43が取り付けられてない場合でも、給水口42c,42dから前方に向けて噴射された水が、洗剤投入部4から外部に流出したり、飛散したりし難いように配置されている。
また、
図1に示すように、給水口42c,42dは、洗剤ケース42の壁部42bに配置されていることにより、給水ユニット5を洗剤ボックス41の後方に配置できるため、給水ユニット5の高さ分だけ、洗剤投入部4の高さを低く設定して、回転ドラム3と、洗濯物を出し入れする扉8との位置を高い位置に設定することに寄与することができる。
【0036】
図4に示すように、左側の給水口42cは、三つに区分けされた洗剤投入室40のうちの左側の粉末洗剤投入室40Aと、中央側の液体洗剤投入室40Bとに跨るそれらの中間位置の壁部42bに形成されて、粉末洗剤投入室40A及び液体洗剤投入室40Bに同時に同量の水を給水する口である。給水口42cから噴射された水は、その給水口42cの前方に配置された仕切板42oの左右側面に沿って流出した後、粉末洗剤投入室40A及び液体洗剤投入室40B内を、平面視して内壁に沿って渦を描くように流れて洗剤を溶かす。
【0037】
図5に示すように、左側の給水口42cの後側には、洗剤ボックス41に形成された給水管挿着部41i内に挿着された給水管P1の先端部が内嵌されている。
右側の給水口42dの後側には、前記左側の給水口42cと同様に、洗剤ボックス41に形成された給水管挿着部41j内に挿着された給水管P2の先端部が係合されている。
【0038】
<係合突起の構成>
また、
図4に示すように、給水口42c,42dの後面部には、給水管P1,P2の先端部上側半体部位が係合する半円状の係合突起42t,42uがそれぞれ形成されている。この係合突起42t,42uは、給水管P1,P2の先端部上側半体部位が係合することにより、洗剤ケース42を洗剤ケース収納部41g内に安定した状態で支持する役目も果たす(
図6(a)、(b)参照)。
【0039】
<内底の構成>
内底42e,42f,42gは、粉末洗剤投入室40Aと液体洗剤投入室40Bとソフト仕上剤投入室40Cとにそれぞれ区画された各洗剤投入室40に形成されている。
流出口42h,42i,42jは、各粉末洗剤投入室40A、液体洗剤投入室40B及びソフト仕上剤投入室40C内にある洗剤及び水を、洗剤ケース42の下側の洗剤ボックス41の傾斜底面部41p上に排出するための管路であり、各洗剤投入室40内の内底42e,42f,42gに形成されている。
【0040】
<流出口及び側口の構成>
図3に示すように、流出口42h(
図6(b)参照)の下方部位は、円筒状に形成され、洗剤ケース42を洗剤ボックス41に内嵌した際に、その円筒状の流出口42hが略半円状のリブ41q内に係合されて支持されるように組み付けられる。流出口42h内には、異物が通過するのを防止する十字状の通過防止部が形成されている。
また、洗剤ケース42のソフト仕上剤投入室40Cの下面には、洗剤ボックス41の傾斜底面部41pの上面に当接する支柱42vが下方に向けて突設されている。
側口42qは、粉末洗剤投入室40Aの左側側壁に形成された横孔であり、流出口42h,42i,42jに連通している。
【0041】
<整流板の構成>
図4に示すように、仕切板42oは、粉末洗剤投入室40Aと液体洗剤投入室40Bを仕切る隔壁であり、この仕切板42oの前後端部には、粉末洗剤投入室40Aと液体洗剤投入室40Bとに連通する後側切欠部42r及び前側切欠部42sが形成されている。粉末洗剤投入室40Aと液体洗剤投入室40B内の水は、後側切欠部42r及び前側切欠部42sを通って自由に粉末洗剤投入室40Aと液体洗剤投入室40Bとの間を往来可能になっている。
【0042】
<後側切欠部の構成>
図4に示すように、後側切欠部42rは、給水口42cに前方にある仕切板42oの上側後端部を切欠形成されて、粉末洗剤投入室40Aと液体洗剤投入室40Bとを連通させた流路である。このため、仕切板42oの上側後端部は、側面視して溝状(凹部状)に形成されている。
【0043】
<前側切欠部及び仕切板の構成>
前側切欠部42sは、仕切板42oの上側前端部を前下りに傾斜するように切欠形成されて、粉末洗剤投入室40Aと液体洗剤投入室40Bとを連通させた流路となる部位である。このため、仕切板42oの上側後端部は、側面視して三角溝状に形成されている。
仕切板42pは、液体洗剤投入室40Bとソフト仕上剤投入室40Cとを仕切る隔壁である。
【0044】
<洗剤投入室の構成>
図6(a)に示すように、洗剤投入室40は、洗剤が投入される窪みであり、仕切板42oと仕切板42pとによって三つに区画形成されている。その洗剤投入室40は、粉末洗剤が投入される粉末洗剤投入室40Aと、液体洗剤が投入される液体洗剤投入室40Bと、ソフト仕上剤が投入されるソフト仕上剤投入室40Cとが、筐体1(
図1参照)の間口方向に並べて配置されてなる。
【0045】
<粉末洗剤投入室の構成>
図4に示すように、粉末洗剤投入室40Aには、内底42eに流出口42hが形成され、壁部42bに側口42qが形成されている。給水口42cから粉末洗剤投入室40A内に供給された水は、時計回り方向に渦を捲くように流れて粉末洗剤を溶かして流出口42h、側口42qから洗剤ボックス41内に流れ込む。
【0046】
<液体洗剤投入室の構成>
液体洗剤投入室40Bには、内底42fに流出口42iを有する内筒部42kが形成されている。給水口42cから液体洗剤投入室40B内に供給された水は、反時計回り方向(矢印j方向)に渦を捲くように流れて液体洗剤を薄めてサイホン(図示省略)内の流出口42iから洗剤ボックス41内に流れ込む。給水口42cの中央部前方には、仕切板42oが配置されて、給水口42cから噴射された水が、粉末洗剤投入室40Aと液体洗剤投入室40Bとに均等に二分されるようになっている。仕切板42oは、後側切欠部42r及び前側切欠部42sがあるので、粉末洗剤投入室40Aと液体洗剤投入室40Bとに大きな水位の差が出ないようになっている。
【0047】
ソフト仕上剤投入室40Cには、内底42gに流出口42jを有する内筒部42mが形成されている。給水口42dからソフト仕上剤投入室40C内に供給された水は、時計回り方向(矢印k方向)に渦を捲くように流れてソフト仕上剤を薄めてサイホン(図示省略)内の流出口42jから洗剤ボックス41内に流れ込む。
【0048】
≪サイホンの構成≫
図3において、サイホンを構成する外筒部(キャップ)は、省略してあるが、液体洗剤投入室40B内に存在する水を外筒部(図示省略)と内筒部42kとの隙間内に吸い上げて、内筒部42kの流出口42hから流出させるものとする。この点は、ソフト仕上剤投入室40Cにおいても同じであるので説明を省略する。
【0049】
図3に示すように、内筒部42kは、液体洗剤投入室40Bの内底42fから上方向に向けて突出形成された円筒状の流出路であり、洗剤ケース42に一体形成されている。この点は、内筒部42mも同じである。
なお、内筒部42k,42mの外周部の下端部には、六つの補強リブが60度の等間隔で放射方向に向けて形成されて補給されている。
【0050】
≪洗剤蓋の構成≫
図3に示すように、洗剤蓋44は、洗剤ボックス41に回動自在に軸支され、開口部4aを開閉する蓋部材であり、洗剤蓋44の基端部の左右に設けられた軸部44a,44bを回動自在かつ着脱自在に軸支片41f,41fに軸合して配置されている。
洗剤蓋44には、後記する軸部44a,44b、軸部操作ノブ44c、パッキン部材44d、開閉ロックノブ44e、投入洗剤表示部44f,44g,44hが形成されている。
【0051】
<軸部の構成>
軸部44a,44bは、洗剤蓋44の基端部(後端部)の左右に設けられた円柱形状の突起からなる。左側の軸部44aは、軸部操作ノブ44cと一体に左右方向に移動可能に設けられて、外方向に向かって突出するようにばね部材(図示省略)によって常時押圧された状態に設けられている。
そして、軸部操作ノブ44cを右方向にスライドさせてばね部材(図示省略)を圧縮させれば、軸部44aが洗剤蓋44の左端面から没入して洗剤蓋44を軸支片41f,41fから離脱できるようになっている。
他方の軸部44bは、洗剤蓋44の右端面に一体形成した凸部状からなる。
【0052】
<パッキン部材の構成>
図3に示すように、パッキン部材44dは、洗剤蓋44を閉じた際に、洗剤ケース42の周囲の段差部41eに密着状態に弾接して、洗剤投入室40の洗剤及び水が外部に漏れるのを防止するパッキンである。このパッキン部材44dは、矩形リング形状のゴム製部材からなり、洗剤蓋44の下面に固着されている。
【0053】
<開閉ロックノブの構成>
開閉ロックノブ44eは、洗剤蓋44の先端部中央に回動自在に弾性支持され、洗剤蓋44を閉めたときに自動的にノブ係止部41uに係止して、洗剤蓋44をロック・アンロック状態に係止・離脱できるようになっている。開閉ロックノブ44eは、使用者が指でノブを押しながら引き上げることで、開放できるようになっている。
【0054】
<投入洗剤表示部の構成>
投入洗剤表示部44f,44g,44hは、前記パッキン部材44dの基端側の内側側縁部に設けられ、各粉末洗剤投入室40A、液体洗剤投入室40B、ソフト仕上剤投入室40Cに投入する洗剤名を表示する部位である。投入洗剤表示部44f,44g,44hは、パッキン部材44dの外側にあるので、洗剤などが固着して、表示文字が見え難くなることを防止することができる。
投入洗剤表示部44fは、洗剤蓋44において粉末洗剤投入室40Aの近傍の基端部に配置され、例えば「粉末洗剤」の文字がシールまたは刻印によって表示されている。
投入洗剤表示部44gは、洗剤蓋44において液体洗剤投入室40Bの近傍の基端部に配置され、例えば「液体洗剤」、「漂白剤」の文字がシールまたは刻印によって表示されている。
投入洗剤表示部44hは、洗剤蓋44においてソフト仕上剤投入室40Cの近傍の基端部に配置され、例えば「ソフト仕上剤」の文字がシールまたは刻印によって表示されている。
【0055】
≪第1実施形態の作用≫
次に、
図1〜
図6を参照しながら本発明に係るドラム式洗濯機Aにおける洗剤投入部4等の動きと水の流れについての一例を工程順に説明する。
【0056】
図1に示す洗濯機Aで洗濯する際には、まず、使用者は、扉8を開けて回転ドラム3内に洗濯する衣類等の洗濯物を投入する。
図3に示すように、給水口42c,42dは、洗剤ケース42の壁部42bに配置されている。このため、給水口42c,42dに水を供給するための給水ユニット5は、
図2に示すように、洗剤ボックス41の後方に配置できるので、給水ユニット5の高さ分だけ、洗剤投入部4の高さを低く設定して、回転ドラム3と、洗濯物を出し入れする扉8との位置を高い位置に設定することができる。その結果、洗濯物を回転ドラム3内に出し入れする作業が行い易くなる。
【0057】
次に、操作パネル6にある電源スイッチをオンして、標準コース等を選択した後、スタートボタンを操作すると、まず洗濯物の布量検出が行われる。そして、洗剤投入部4に投入する洗剤の量等が操作パネル6の表示部に表示される。
【0058】
使用者は、洗剤蓋44の開閉ロックノブ44eのロックを解除して洗剤蓋44を上方向に引き上げる。すると、洗剤投入部4が開放されて、粉末洗剤投入室40A、液体洗剤投入室40B及びソフト仕上剤投入室40Cへの洗剤の投入が可能となる。
【0059】
その場合、本発明のドラム式洗濯機Aは、洗剤投入部4の洗剤蓋44が、後端部の軸部44a,44bを中心として上方向に回動して開くため、従来の洗剤トレイを前後方向に引出して使用する引出タイプの洗剤投入部と比較して、洗剤トレイを引出さない分だけ、洗剤蓋44開放時の洗濯機A全体の前後方向の寸法を小さくすることができる。
【0060】
次に、使用者は、操作パネル6の表示部に表示された規定量の粉末洗剤を粉末洗剤投入室40Aに入れ、適宜に漂白剤を液体洗剤投入室40Bに入れ、柔軟仕上剤をソフト仕上剤投入室40Cに入れて洗剤蓋44を閉塞する。すると、
図2に示すように、洗濯機Aは、洗い工程を開始し、洗剤給水電磁弁11が開き、水道水が給水管P1から粉末洗剤投入室40A,液体洗剤投入室40B内に流入される。
【0061】
なお、
図5に示すように、洗剤を洗剤投入部4に投入する場合、洗剤蓋44を開放したときに、粉末洗剤投入室40A、液体洗剤投入室40B及びソフト仕上剤投入室40Cの上部近傍の洗剤蓋44の投入洗剤表示部44f,44g,44hにシール等によって洗剤名が表示されているため、投入する洗剤を間違えるのを防止することができる。
【0062】
この場合、投入洗剤表示部44f,44g,44hは、洗剤ケース42の開口縁部42aよりも高い位置にあるので、洗剤によって見え難くなるのを防止することできる。特に、投入洗剤表示部44f,44g,44hは、シールによって形成されてあるので、洗剤が付着し難いため、表示文字が見え難くなるのを解消することができる。たとえ、洗剤蓋44が汚れたとしても、軸部操作ノブ44cを操作すれば、洗剤蓋44を取り外して洗浄することができるので、汚れを容易に落すことができる。
また、洗剤ケース42も洗剤ボックス41に対して着脱自在なため、容易に洗浄することができる。
【0063】
図4に示すように、給水管P1から噴射される水は、給水口42cから前方向(矢印b,c方向)に噴射される。その際、給水管P1は、一般に使用されるφ10の配管よりも口径が、その二倍のφ20の断面積の大きな配管を使用しているので、給水管P1から噴射される勢いが、従来よりも低く抑えられている。これにより、水が噴射の勢いで上部の開口部4a方向に噴き上がって、洗剤投入部4外に飛散するのを抑制することができる。
【0064】
その結果、万が一、洗剤ケース42がなかったとしても、上方の洗剤蓋44のパッキン部材44dが段差部41eに弾接して洗剤投入部4内が密閉されているため、その外部に水滴が飛散するのを防止することができる。
【0065】
図4に示すように、そのとき、給水口42cから噴射された水は、平面視して、仕切板42oによって左右方向(矢印b,c方向)に二分されて、粉末洗剤投入室40Aと液体洗剤投入室40Bとを仕切板42oの左右側面に沿って内底42e,42fを流れる。
そして、粉末洗剤投入室40A内の水は、時計回り方向に渦を捲くように流れながら、流出口42hと側口42qから洗剤ボックス41内に落下して洗剤送出管P3から外槽2(
図1参照)内に送られる。
【0066】
また、液体洗剤投入室40B内の水は、反時計回り方向に渦を捲くように流れながら、サイホン(図示省略)内に流れ込んで、内筒部42k内の流出口42iから洗剤ボックス41内に落下して洗剤送出管P3から外槽2(
図1参照)内に送られる。
【0067】
そして、規定の水位まで給水されると、モータ(図示省略)が回転し、回転ドラム3を回転させて洗いを開始する。洗いが終了すると、排水し脱水を行い、洗剤給水電磁弁11を開き外槽2内へ給水し、すすぎ工程を開始する。
【0068】
すすぎ工程は、通常2〜3回行う。最後のすすぎ給水時に、制御装置(図示省略)が洗剤給水電磁弁11を作動させて給水管P2からソフト仕上剤投入室40Cに給水する。
また、手動的にすすぎ給水時に、洗剤蓋44を開放してソフト仕上剤をソフト仕上剤投入室40Cに投入し、洗剤蓋44を閉めて、ソフト仕上剤投入室40Cに給水してもよい。
つまり、本発明は、口径の大きい給水管P1,P2を給水口42c,42dに取り付けていることによって、給水口42c,42dから噴射される水の勢いが適度に弱く規制され、また、洗剤投入室40が洗剤蓋44を閉じることで、パッキン部材44dによって密閉状態になるため、粉末洗剤投入室40A、液体洗剤投入室40B、ソフト仕上剤投入室40Cに給水された水が外部に飛散したり、漏れ出すことがない。
このため、ソフト仕上剤は、洗濯する際に、始めに洗剤投入部4内に投入しても、洗濯の最中のすすぎ工程時に投入してもどちらでもよい。
【0069】
図4に示すように構成されたソフト仕上剤投入室40Cの内底42eに流れた水は、ソフト仕上剤投入室40Cを平面視して時計方向に回転するように渦を捲いて、ソフト仕上剤投入室40C内のソフト仕上剤を水で希釈しながらサイホン(図示省略)内を通って洗剤ボックス41内へ流れて洗剤送出管P3内を通って外槽2内に供給される。
【0070】
すすぎ工程を終了すると、脱水を行い、洗濯を終了する。なお、洗濯機Aが乾燥機能を有する場合は、ここで乾燥運転が行われて衣類の乾燥工程を行ってから終了する。
【0071】
また、
図3に示すように、洗剤蓋44、洗剤ケース42を洗浄する場合は、まず、軸部操作ノブ44cを右方向にスライド操作する。すると、洗剤蓋44の左側の軸部44aが洗剤蓋44内に没入するので、洗剤蓋44を引き上げれば、容易に取り外して洗浄することができる。
洗剤ケース42を洗浄する場合は、洗剤蓋44を開けて、そのまま手で掴んで引き上げれば洗剤ケース42を洗剤ボックス41から取り外して容易に洗浄することができる。このため、洗剤投入部4内を容易に清潔にすることができる。
【0072】
以上のように、本発明の第1実施形態に係るドラム式洗濯機Aは、
図1に示すように、洗剤を投入する洗剤投入部4内に給水する給水口42c,42dが、洗剤投入部4の高さ寸法H内の壁部42bに横設したことによって、給水ユニット5を洗剤投入部4の後方に配置して洗剤投入部4上から避けた位置に配置することができるので、換言すると、上面給水ではなく側面(背面)給水としたことで、その分だけ、洗剤投入部4の高さH(
図5参照)を低くできる。
このため、本発明の第1実施形態は、洗剤投入部4の高さH(
図5参照)を低くした分だけ、洗濯機Aの回転ドラム3や、洗濯物を回転ドラム3に出し入れする扉8との位置を高い位置に配置して、洗濯物の出し入れを楽な姿勢で行えるようにすることができる。
【0073】
なお、特許文献1のような給水ユニットを洗剤ボックス41の上部に設けて上面給水方式にすると、その高さ分高くなり、回転ドラム3を上方に位置させることができにくくなる。また、洗剤蓋44に特許文献1のような給水ユニットを設けるとすると、高さが必要になるとともに、洗剤蓋44は回動する部材であるので、回動を繰り返すうちの劣化による漏水などが懸念されるが、本実施形態の洗濯機Aではそのようなことはない。
【0074】
[第2実施形態]
次に、
図7〜
図13を参照して本発明に係るドラム式洗濯機Bの第2実施形態を説明する。なお、既に説明した構成は同じ符号を付してその説明を省略する。
図7は、本発明の第2実施形態に係るドラム式洗濯機を示す外観斜視図である。
図8は、本発明の第2実施形態に係るドラム式洗濯機における洗剤投入部への給水経路を示す要部概略斜視図である。
図9は、本発明の第2実施形態に係るドラム式洗濯機における洗剤投入部の分解斜視図である。
図10は、本発明の第2実施形態に係るドラム式洗濯機における洗剤投入部を示す要部斜視図である。
図11は、本発明の第2実施形態に係るドラム式洗濯機における遮蔽板を示す図であり、(a)は背面図、(b)は右側面図である。
図12は、洗剤投入部の洗剤蓋を閉塞した状態のときの
図10のX−X線断面図である。
図13は、洗剤投入部の洗剤蓋を閉塞した状態のときの
図10のY−Y線断面図である。
【0075】
図7に示すように、第2実施形態は、特に、前記第1実施形態の洗濯機Aの洗剤投入部4に洗剤ケース42の開口縁部42aに掛止され、サイホン45のサイホンキャップとしての外筒部43b,43c(
図9参照)を一体成形した遮蔽板43を設けて、水滴が洗剤投入部4外に飛散するのを防止した洗濯機Bであり、以下、詳細に説明する。
【0076】
≪洗剤ケースの構成≫
図9に示すように、洗剤ケース42には、開口縁部42aの後側縁部には、後記する遮蔽板43の掛止部43a(
図12及び
図13参照)が係合配置される切欠部42nが形成されている。
切欠部42nは、遮蔽板43(
図10参照)の長手方向に長さに略一致する長さに形成されて、遮蔽板43の上端部が係合すると共に、前記掛止部43aが掛止されるように形成されている。
壁部42bには、この後方側の壁部42bに遮蔽板43が配置され、遮蔽板43で隠れるようにして二つの給水口42c(
図12参照)、給水口42d(
図13参照)が形成されている。
【0077】
<給水口の構成>
図12に示すように、左側の給水口42cの前側には、給水口42cの開口端から隙間L1を介して遮蔽板43の飛散防止板部43dが斜め下方に向けて配置されている。このため、給水口42cから前方向に噴射された水は、内底42eに向かって下方に流れるようになっている。
図13に示すように、右側の給水口42dの前側には、給水口42dの開口端から隙間L2を介して前記遮蔽板43が配置されている。このため、給水口42dから前方向に噴射された水は、内底42eに向かって斜め下方に向かって流れるようになっている。
図10に示すように、洗剤ケース42に形成された給水口42c,42d(
図9参照)の洗剤投入部4の内側には、給水口42c,42d(
図9参照)から前方に向けて噴射された水の流れを内底42e,42f,42g方向に規制して指向させる遮蔽板43が設置されている。
【0078】
≪サイホンの構成≫
図10に示すように、サイホン45は、粉末洗剤投入室40A及び液体洗剤投入室40B内の内底42f,42gに存在する水を外筒部43b,43c内に吸い上げて、その外筒部43b,43c内にある内筒部42k,42mの流出口42h,42iから流出させるサイホン機構を構成するものである。このサイホン45は、流出口42h,42iを有する内筒部42k,42mと、この内筒部42k,42mに隙間を介して被せた外筒部43b,43cと、を備えてなる。
【0079】
<内筒部及び外筒部の構成>
図10に示すように、内筒部42kは、液体洗剤投入室40Bの内底42fから上方向に向けて突出形成された円筒状の流出路であり、洗剤ケース42に一体形成されている。
内筒部42mは、ソフト仕上剤投入室40Cの内底42gから上方向に向けて突出形成された円筒状の流出路であり、洗剤ケース42に一体形成されている。
内筒部42k,42mの外周部の下端部には、六つの補強リブが等間隔で放射方向に向けて形成されて補給されている。
外筒部43bは、内筒部42kに隙間(流路を形成する空間)を介して被せたサイホンキャップであり、遮蔽板43の下端部前側に一体形成されている。
外筒部43cは、内筒部42mに隙間(流路を形成する空間)を介して被せたサイホンキャップであり、遮蔽板43の下端部前側に一体形成されている。このように形成された外筒部43b,43cは、内筒部42k,42mから抜け難く、かつ、この部材を設けても部品点数が増加することがない。
【0080】
≪遮蔽板の構成≫
前記遮蔽板43は、洗剤ケース42の開口縁部42aに掛止され、給水口42c,42dから噴射される水の流れを粉末洗剤投入室40A、液体洗剤投入室40B及びソフト仕上剤投入室40Cの各内底42e,42f,42g方向に向けて流れるように規制して、水が洗剤投入室40外に飛散するのを抑制する樹脂製板部材である。また、遮蔽板43は、前記したサイホン45のサイホンキャップの役目を果たす二つの外筒部43b,43cが一体形成され、サイホン機構の一部も兼ねている。
【0081】
このため、遮蔽板43は、サイホンキャップが一体形成されていることによって、サイホンキャップが水の水圧によって内筒部42k,42mから抜け落ちるのを防止することができると共に、部品点数及び組付工数を削減してコストダウンを図ることができる。
【0082】
図11(a)、(b)に示すように、遮蔽板43には、それぞれ後記する掛止部43a、外筒部43b,43c、飛散防止板部43d、庇状突起43e,43f、係合溝43g,43h、円弧状溝43i、補強部43j等が一体形成されている。
【0083】
図9に示すように、掛止部43aは、前記洗剤ケース42の切欠部42nに掛止される部位であり、側面視して略逆U字状に形成されている。遮蔽板43は、この掛止部43aを切欠部42nに掛止することによって、洗剤ケース42に取り付けられる。
飛散防止板部43dは、遮蔽板43の上端部から斜め下方に向けて形成された平板状部位であり、この飛散防止板部43dの下端部に前記サイホン45の外側半体を構成する外筒部43b,43c(サイホンキャップ)が一体形成されている。
【0084】
図11(a)、(b)に示すように、庇状突起43e,43fは、飛散防止板部43dの前面部位から前方向に突出形成された側面視して逆三角形、縦断面視して略U字形状の突起である。
庇状突起43eには、この庇状突起43e内に前記仕切板42o(
図10参照)の後端部が挿入した状態に配置される係合溝43gが形成されている。
庇状突起43fには、この庇状突起43f内に前記仕切板42p(
図10参照)の後端部が挿入した状態に配置される係合溝43hが形成されている。
庇状突起43fの後側上部には、前記係合突起42t(
図9参照)の外側上面に係合する円弧状溝43iが切欠形成されている。
補強部43jは、洗剤ケース42の各洗剤投入室40の内壁面に当接して支持する突片であり、遮蔽板43の各所を補強するための補強用リブとしての機能も果たす。
【0085】
≪第2実施形態の作用≫
次に、遮蔽板43を備えた洗剤投入部4内に水を吸水した場合について説明する。
図12に示すように、給水管P1から噴射される水は、給水口42cから前方向(矢印a方向)に噴射される。その給水口42cの前側に遮蔽板43が配置されていることよって、水は、遮蔽板43の後側面に当たって噴射の勢いを低下された後、遮蔽板43にガイドされながら斜め下方向(矢印d方向)の内底42eに向かって流れる。その水が、粉末洗剤投入室40Aの開口部4a方向(上方向)に向けて噴射されて、洗剤投入部4外に流れ出るのを抑制することができる。
【0086】
このため、たとえ、洗剤蓋44を開放した状態のままであっても、給水口42cから噴射された水が、洗剤投入部4外に流れ出るのを抑制することができる。
また、給水管P1は、一般に使用されるφ10の配管よりも口径が、その二倍のφ20の断面積の大きな配管を使用しているので、給水管P1から噴射される勢いが、従来よりも低く抑えられている。これにより、水が噴射の勢いで上部の開口部4a方向に噴き上がって、洗剤投入部4外に飛散するのを抑制することができる。
【0087】
本発明の第2実施形態の洗濯機Bは、洗剤投入部4内に遮蔽板43を有することによって、粉末洗剤投入室40A、液体洗剤投入室40B及びソフト仕上剤投入室40Cに給水された水が飛散することがなく、また、サイホンキャップの機能を果たす外筒部43b,43cがその遮蔽板43に一体形成されていることにより、水圧等により外筒部43b,43cが離脱することもないので、洗濯の最中であっても、適宜な時間に洗剤蓋44の開放と洗剤及び柔軟剤の投入とを可能にした。
このため、ソフト仕上剤は、洗濯する際に、始めに洗剤投入部4に投入しても、洗濯の最中のすすぎ工程時に投入してもどちらでもよい。
また、サイホンキャップ単体は、小さいもので、紛失し易いが、遮蔽板43と一体となっているので、その可能性が低くなる。
【0088】
図13に示すように、給水管P2から供給された水は、前記同様に、給水口42dから前方方向に(矢印e方向)に向けて噴射される。給水口42dから出た水は、遮蔽板43に当たり、その遮蔽板43の飛散防止板部43dに沿って斜め下方向(矢印f方向)の内底42eに向かって流れる。このため、給水管P2から噴射された水も、ソフト仕上剤投入室40C外に飛散したり溢れ出たりするのを抑制することができる。
【0089】
ソフト仕上剤投入室40Cの内底42eに流れた水は、
図10に示すように、ソフト仕上剤投入室40Cを平面視して時計方向に回転するように渦を捲いて、ソフト仕上剤投入室40C内のソフト仕上剤を水で希釈しながらソフト仕上剤投入室40Cが水で満たされる。そして、内筒部42mの頂上の流出口42jから溢れ出すことでサイホン45としての機能を始める。そして、その水は、洗剤ボックス41内に落下した後、洗剤送出管P3内を通って外槽2内に供給される。
【0090】
また、
図9に示すように、洗剤蓋44、遮蔽板43及び洗剤ケース42を洗浄する場合は、まず、軸部操作ノブ44cを右方向にスライド操作する。すると、洗剤蓋44の左側の軸部44aが洗剤蓋44内に没入するので、洗剤蓋44を引き上げれば、容易に取り外して洗浄することができる。
遮蔽板43及び洗剤ケース42を洗浄する場合は、洗剤蓋44を開けて、そのまま手で掴んで引き上げれば洗剤ボックス41から取り外して容易に洗浄することができる。このため、洗剤投入部4を容易に清潔にすることができる。
【0091】
[変形例]
なお、前記第1及び第2実施形態では、洗濯機A,Bの一例として乾燥機能を備えていないドラム式洗濯機を例に挙げて説明したが、洗剤投入部4を有する洗濯機A,Bであれば適用可能であり、縦型洗濯機や、洗濯乾燥を行う洗濯機や、ドラム式洗濯乾燥機であっても構わない。