(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
各々の前記マイクロチューブの底面に当接する部分を各々の支持領域として分け、前記支持領域同士の間に一つの前記支持領域における弾性変形の影響が他の前記支持領域へ干渉することを防止する干渉防止帯を備えた請求項1に記載のシーラーマット。
前記干渉防止帯が、隣接し合う前記支持領域の間に設けられた所定幅以上の体積を有するものであり、前記支持領域が前記マット部表面における突起物として形成されていることを特徴とする請求項2に記載のシーラーマット。
全体が前記ラックの外周をなすフレーム底部内に収まるサイズであり、前記マイクロチューブを底面方向から支持する際、前記ラックのフレーム内に収まった状態で設置できることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のシーラーマット。
全体が前記ラックのフレーム底部内に収まらないサイズであり、前記マイクロチューブの底面に当接するマイクロチューブ領域と、前記ラックのフレームに当接するラック領域に分けられ、前記ラック領域における弾性変形の影響が前記マイクロチューブ領域へ干渉することを防止するラック干渉防止帯を設けたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のシーラーマット。
前記支持領域の高さが、少なくとも、想定される前記マイクロチューブの高さ方向のばらつきよりも高いものとしたことを特徴とする請求項3に記載のマイクロチューブアレイ用のシーラー装置に用いられるシーラーマット。
前記干渉防止帯が、隣接し合う前記支持領域の間に設けられた所定幅以上の隙間であり、前記支持領域が前記マット部表面における突起物として形成されていることを特徴とする請求項7に記載のシーラー装置。
前記マット部が前記ラックのフレーム底部内に収まるサイズであり、前記マイクロチューブを底面方向から支持する際、前記マット部が前記ラックのフレーム内に収まった状態で設置できることを特徴とする請求項7または8に記載のシーラー装置。
前記マット部が前記ラックのフレーム底部内に収まらないサイズであり、前記マイクロチューブを底面方向から支持する際、前記マイクロチューブの底面に当接するマイクロチューブ領域と、前記ラックのフレームに当接するラック領域が独立し、前記ラック領域における前記マット部の弾性変形の影響が前記マイクロチューブ領域へ干渉することを防止するラック干渉防止帯を設けたことを特徴とする請求項7または8に記載のシーラー装置。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ここで、従来の試料収納システムには、使い勝手と、蓋の取り付けのいずれかにおいて問題があった。
上記従来技術に述べたウェルプレート型の試料収納管ブロックでは、使い勝手が悪いという問題があった。
ウェルプレート型の試料収納管ブロックは形状が比較的単純で製造しやすいため、その上面の高さは均一に平滑化されており、シート状の蓋シート体をブロック上面に融着しても各部位に高低差がなく隙間などが生じる不具合は生じにくく、上面全面にわたってフィルム状の蓋シートの取り付けは比較的容易であった。
しかし、ウェルプレート型の試料収納管ブロックは一つ一つのウェルが独立しておらず、試料の一部のみを取り出したりする場合でもウェルプレートの蓋シート全体を開閉せざるを得なかったり、試料の一部を封止した状態のまま取り出すことができないという問題があった。そのため、試料収納システムとしては、ウェルプレート型の試料収納管ブロックよりも、マイクロチューブアレイが主流となりつつある。
【0012】
上記従来技術に述べたマイクロチューブアレイは、使い勝手が良いものの、蓋の取り付けにおいて問題があった。
マイクロチューブアレイは、一つ一つ独立しており、それらを収納ラックにアレイ状に並べて収納・保管するものであり、同時に多数の試料を収納・保管することもでき、かつ、単独でも試料収納体として使用することもできるため、同時に多数の試料を同じ環境で保存したり、マイクロチューブ単位で取り出したりすることができる。近年はこのマイクロチューブ型の試料収納管を多数配置したマイクロチューブアレイセットが主流となっている。
【0013】
しかし、蓋の取り付けにおいて以下に示すような問題があった。
図13に示すように、マイクロチューブをまとめて蓋体を一斉に取り付けると効率が良いが、ラック2に並べられた複数のマイクロチューブ1において、実際には各々のマイクロチューブの上面開口の高さの違いが存在し、この高さの“ばらつき”からシーラー処理が難しくなる。
この高さの“ばらつき”が生じる理由としては以下のものがある。
【0014】
第1にはマイクロチューブの金型の寸法誤差である。
マイクロチューブを射出成形機械で製造する場合、複数のマイクロチューブが一度の射出成形でできるよう、金型には複数のマイクロチューブの型が作り込まれ、一度の射出成形において樹脂(例えばポリプロピレン)が流し込まれて製造するようになっている。例えば、4個から32個程度のマイクロチューブが一度の射出成形で製造される。まず、金型に作り込んだ複数のマイクロチューブの型には製作時の寸法誤差がある。
【0015】
第2には樹脂の収縮誤差がある。
マイクロチューブを射出成形機械で射出成形する際に用いられる樹脂は溶融状態から固化(結晶化)する過程で樹脂収縮が起こる。例えば、PP(ポリプロピレン)で15/1000mm〜20/1000mm、他の非結晶樹脂でも5/1000mm〜8/1000mmで熱収縮が発生すると言われている。この熱収縮によっても誤差が生じる。
【0016】
第3は、製造過程による諸条件に依存する誤差がある。
マイクロチューブを射出成形機械で製造する場合、複数のマイクロチューブを一度の射出成形で製作するが、実際には、樹脂を注入する注入口から各々の金型の位置の違いがあり、溶融樹脂の注入の順番、金型内の冷却水の流れる位置や冷却水の流れる順路による樹脂成形物に対する冷却効率の違いなど、多くの製造過程における成形条件の細かな違いにより、微妙な誤差が生じる。
【0017】
上記した金型の寸法誤差、樹脂の収縮誤差、成形条件誤差などにより、出来上がりのマイクロチューブ成型品には微妙な“ばらつき”が生じるが、特に長さ方向である高さにおいて“ばらつき”が生じやすい。この高さ方向における誤差はマイクロチューブの使用上問題とならない程度であるが、収納ラックに多数のマイクロチューブをアレイ状に並べた状態で蓋体を一気に取り付けるシーラー作業において問題となる場合がある。
【0018】
図15は、マイクロチューブの高さ方向の誤差が与え得るシーラー処理の不具合を説明する図である。この例ではラック2が有底であり、マイクロチューブ自体の高さの違いが上面開口の高さの違いとして現れてしまう例である。
図15に示すように、ラック2に並べられた複数のマイクロチューブ1に対して各々のマイクロチューブ1の上面開口の高さの違いが存在すると、
図13や
図14に示したシーラー作業で不具合が生じる可能性がある。いま、
図15(a)の状態において、マイクロチューブ1の仕様上の高さh0に対して、マイクロチューブ1aの高さがh1、マイクロチューブ1bの高さがh2、マイクロチューブ1cの高さがh3、マイクロチューブ1dの高さがh4とした場合、高さh1、h2、h3、h4が同じではなく誤差が生じる。例えば、h2<h1<h4<h3であったとする。上記したように、材料がポリプロピレンだとすると熱収縮だけでも15/1000mm〜20/1000mmの誤差が生じる可能性があるため、h0を40mmとすると、高さh3でもっとも高いマイクロチューブ1cと、高さh2でもっとも低いマイクロチューブ1bには0.6mmから0.8mm程度の高さの違いd1が生じ得る。
このマイクロチューブにおける高さの違いは、ラックに並べられた状態で各々のマイクロチューブの上面開口の高さの違いとして現れる。ラック2の底面とシーラー5のヒート版(熱板)は金属製で平滑であるため高さ方向が均一に揃っており、マイクロチューブの上面開口に高さの違いがあると、各々のマイクロチューブ上面開口に対するシーラーの押下力に違いが生じることとなってしまう。
【0019】
例えば、
図15(b)に示す状態では、もっとも高いマイクロチューブ1cの上面に圧力が集中しやすく押下力が大きくなる。特に、高さがもっとも高いマイクロチューブ1cと、高さが最も低いマイクロチューブ1bが隣接し合って配設されている場合、マイクロチューブ1bの押下力は低くなり、シーラーの仕様上求められる押下力が得られない場合があり得る。例えば、マイクロチューブの配列のピッチが9mm間隔程度で、マイクロチューブの径が8.5φ〜8.8φであれば、シーラーの金属製のヒート版(熱板)のわずかな弾性変形による調整も期待できないため、影響が大きく現れるおそれがある。
各々のマイクロチューブの上面開口に対するシーラーの押下力にバラツキがあると、シーラーによりアルミシートの蓋体を各々のマイクロチューブの上面開口に対して融着しても密封精度に対する信頼性が保てないおそれがある。
【0020】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、マイクロチューブアレイの蓋の取り付け作業において、各々のマイクロチューブの高さの“ばらつき”があっても、シーラーによる各々のマイクロチューブの上面に対する押下力を均一化し、良好な状態でのシーラーによる蓋体の取り付けを可能とし、各々のマイクロチューブの上面開口に対する密封精度に対する信頼性を高めることを可能とする、マイクロチューブアレイ用のシーラー装置および当該シーラー装置に用いるシーラーマットを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を達成するため、本発明のマイクロチューブアレイ用のシーラー装置は、ラックに並べられた複数のマイクロチューブの開口に対して蓋体を融着して前記開口を閉鎖するマイクロチューブアレイ用のシーラー装置であって、無底または開放底で、複数の前記マイクロチューブを立設して並べることができるラックと、前記ラックに並べられた複数の前記マイクロチューブを底面方向から支持し、前記マイクロチューブの底面から受ける圧力に応じて変形可能な弾性素材からなるマット部と、前記マット部を各々の前記マイクロチューブの底面に当接する各々の支持領域に分け、前記支持領域同士の間に、ある前記支持領域における弾性変形の影響が他の前記支持領域へ干渉することを防止する干渉防止帯を備えたシーラーマットと、前記ラックに立設された複数の前記マイクロチューブの開口に対して前記蓋体を押圧するシーラー機構を備えたものである。
【0022】
上記構成により、ラックはマイクロチューブをアレイ状に整列するが、ラックの底部が無底またはマイクロチューブの底端が通過できる孔の開いた開放底であれば、ラック内に立設された各々のマイクロチューブはラック内で上下方向には固定されておらず上下動が可能な状態にあるところ、下方からシーラーマットで支持されている。このマットの上面部分には弾性部があり、マイクロチューブの底面から受ける圧力に応じて変形可能となっているため、シーラー機構によりアルミシートなどの蓋体がマイクロチューブの開口に対して押圧された場合、マイクロチューブの高さの誤差に基づく強弱が生じたとしても弾性部の弾性力により、高さが高いものはその分沈むため、すべてのマイクロチューブの上面に対して均一化された力が掛かることとなる。シーラー機構による各々のマイクロチューブの上面に対する押下力が均一化されることにより、良好な状態での蓋体の取り付けを可能とし、各々のマイクロチューブの上面開口に対する密封精度に対する信頼性を高めることを達成できる。
【0023】
ここで、シーラーマットにおいて、マイクロチューブの高さの違いに応じて各部位が弾性変形しやすいように工夫しておくことがこのましい。例えば、前記マット部を各々の前記マイクロチューブの底面に当接する各々の支持領域に分け、前記支持領域同士の間に、ある前記支持領域における弾性変形の影響が他の前記支持領域へ干渉することを防止する干渉防止帯を備えたものとする。例えば、干渉防止帯が隣接し合う前記支持領域の間に設けられた所定幅以上の隙間であり、支持領域が前記マット部表面における突起物として形成されているものとする。
【0024】
なお、隣接し合う弾性体同士の間に溝状の切れ目があって独立したものであっても、その切れ目の間に十分な隙間がない場合、両者の間には摩擦力が生じやすく弾性変形を妨げる場合もある。そこで、隣接し合う弾性部の間に隙間が設けられた形としておけば隣接し合う弾性部同士の間に摩擦力が生じることがなくなり、マイクロチューブの高さの違いに応じて各部位が弾性変形しやすいようになる。
【0025】
次に、シーラーマットにおいて、マイクロチューブの高さの違いに応じて各部位が弾性変形しやすいようにするためには、隣接し合う弾性部同士の間だけでなく、シーラーマットにおいてマイクロチューブに当接する弾性部の領域と、ラックのフレームに当接する弾性部の領域との関係も問題となることがある。
【0026】
第1の方策は、シーラーマットをラックのフレーム底部内に収まるサイズにし、シーラーマットがラックのフレーム内に収まった状態で設置可能とする方策である。
マイクロチューブの上面開口のシールに際してラック自体が揺れ動くことないよう、ある程度ラックも押圧して固定しておく必要があるが、シーラーマットがラックの底面までに及んでいる場合もあり得る。その場合、ラックによる押圧で弾性体が変形すると、ラックに近い位置にあるマイクロチューブ、つまり、マイクロチューブアレイの配列において端に位置するマイクロチューブは、中央にあるマイクロチューブに比べてシーラーマットの変形においてラックの影響を受ける可能性がある。そこで、シーラーマットの大きさを調整し、シーラーマットをラックのフレーム底部内に収まるサイズとし、マイクロチューブを底面方向から支持する状態において、シーラーマットがラックのフレーム内に収まった状態で設置できるものとする方策がある。
このように、シーラーマットをラックのフレーム底部内に収まるサイズとし、シーラーマットがラックのフレーム内に収まった状態で設置しておけば、ラックが押圧されてもシーラーマットには影響が少なく、マイクロチューブアレイの配列において端に位置するマイクロチューブも、中央にあるマイクロチューブも同じ条件でシーラー機構による押圧とシーラーマットによる弾性変形の調整が可能となる。
【0027】
第2の方策は、シーラーマットをラックのフレーム底部内に収まらないサイズとするが、マイクロチューブの底面に当接する領域と、ラックのフレームに当接する領域を独立させ、両者の間に隙間を設けた形とする方策である。
つまり、マット部がラックのフレーム底部内に収まらないサイズであり、前記マイクロチューブを底面方向から支持する際、前記マイクロチューブの底面に当接するマイクロチューブ領域と、前記ラックのフレームに当接するラック領域が独立し、前記ラック領域における前記マット部の弾性変形の影響が前記マイクロチューブ領域へ干渉することを防止するラック干渉防止帯を設けたものとしておけば、ラックの押圧によりラックの下面に当接するシーラーマットの弾性体領域が変形してもその変形の影響がマイクロチューブの底面に当接する弾性体領域には及ばないため、マイクロチューブアレイの配列において端に位置するマイクロチューブも、中央にあるマイクロチューブも同じ条件でシーラー機構による押圧とマット部による弾性変形の調整が可能となる。
【0028】
なお、上記構成において、弾性部の高さであるが、少なくとも、想定されるマイクロチューブの高さ方向のばらつきよりも高いものとすることが好ましい。
想定されるマイクロチューブの高さ方向の“ばらつき”を、シーラーマットの弾性部の沈み込みで調整するため、弾性部の高さは少なくとも想定されるマイクロチューブの高さ方向の“ばらつき”よりも高いものとする必要がある。なお、弾性部の下のベースとなるマット部そのものも弾性素材で形成しておくことは可能である。
【0029】
次に、蓋体の融着または螺
着による取り付け作業においてシーラーマットにより支持された状態におけるマイクロチューブの外形形状とラックの形状が垂直方向には互いに当接しない形状とすることが好ましい。特に、螺子式で螺
着することにより蓋を取り付けるものである場合、蓋体取り付け作業に回転運動が加わることとなるが、螺合の回転角制御を確実にするため、マイクロチューブの回転動がないよう固定する必要がある。そこで、ラックにおいてマイクロチューブの回転を防止するよう回転防止体のような構造物と当接させる場合が多い。ここで、ラックの回転防止体とマイクロチューブの外形が当接し合って回転を防止することとなるが、このラックの回転防止体とマイクロチューブの外形の当接が回転方向(水平方向)のみの力が生じるもので、マイクロチューブの外形形状とラックの形状が垂直方向には互いに当接しない形状とすることが好ましい。マイクロチューブの外形形状とラックの形状が垂直方向に互いに当接して垂直方向の力を生じてしまうものであれば、蓋体の取り付け作業においてラックに対する垂直方向への力が生じてしまい、シーラーマットの弾性部を用いたマイクロチューブの上面開口への押圧力の均一化に影響を与える可能性があるからである。
上記のシーラー装置からシーラーマットのみをユーザーに提供することも可能である。
【発明の効果】
【0030】
本発明にかかるマイクロチューブアレイ用のシーラー装置によれば、無底または開放底のラックにおいて立設されたマイクロチューブに対するシーラー機構による押圧力をシーラーマットで支持することにより、マイクロチューブの底面から受ける圧力に応じて弾性部が変形可能となっているため、すべてのマイクロチューブの上面に対して均一化された力が掛かることとなる。シーラー機構による各々のマイクロチューブの上面に対する押下力が均一化されることにより、良好な状態での蓋体の取り付けを可能とし、各々のマイクロチューブの上面開口に対する密封精度に対する信頼性を高めることを達成できる。
【実施例1】
【0032】
本発明の実施例1に係るマイクロチューブアレイ用のシーラー装置およびシーラーマットについて説明する。
【0033】
以下、まず、マイクロチューブアレイ用のシーラー装置400に用いるシーラーマット100について説明する。
図1は、本発明のマイクロチューブアレイ用のシーラー装置のうち、シーラーマット100を取り出して構造を簡単に示した図である。
図1(a)は平面図、
図1(b)は正面図、
図1(c)は斜視図となっている。
【0034】
シーラーマット100は、ラックの底部に配設され、ラック内に並べられた複数のマイクロチューブを底面方向から支持するマット状の部材である。弾性素材であるためマイクロチューブの底面から受ける圧力に応じて変形可能であり、当該弾性素材からなるシーラーマット100をラックの底面内に挟み込むことにより、マイクロチューブの上面開口に対するシーラー機構からの押圧力を均一化するものである。
弾性素材としては、例えばゴム素材がある。ゴム素材としては適切な弾性力が得られれば良く、例えば、天然ゴム、EPDM(エチレンプロピレンゴム)、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、SBR(スチレン−ブタジエンゴム)、CR(クロロプレンゴム)、NBR(ニトリルゴム)、シリコーンゴム、ウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、SBS(スチレン・ブタジエン・スチレンゴム)、熱可塑性エラストマ、ノルボーネンゴム、フロロシリコーンゴム、エチレンオキシドゴム等、多様なものが用いられ得る。
【0035】
なお、シーラーマット100の弾性素材には適度な硬度と適度な弾性力が必要である。
まず、シーラーマット100として柔らかすぎるものは不適切である。シーラー機構による押圧前、マイクロチューブを載せ置いた状態で既にマイクロチューブが傾くように柔らかいものは不適切である。
次に、シーラーマット100として硬過ぎるもの(弾性力が大き過ぎるもの)も不適切である。シーラーマット100の機能は、ラックに立設して並べた際の各々のマイクロチューブの高さ方向の“ばらつき”を吸収することであり、もっとも背の高いマイクロチューブ300がシーラーマット100の弾性変化によってもっとも背の低いマイクロチューブ300の高さまで沈み込む必要があるところ、シーラーマット100が硬過ぎるもの(弾性力が大き過ぎるもの)は、シーラー機構による押圧力をマイクロチューブの上面開口に印加した場合に、各々のマイクロチューブの上面開口の高さが揃う前に、背の高いマイクロチューブの上面開口に対して仕様上必要とされるシーラー機構による押圧力が生じてしまうおそれがあり、もっとも背の低いマイクロチューブ300に対してシーラー機構410による所定の押圧力を与える始める時点において、もっとも背の高いマイクロチューブ300の上面開口には仕様を超える大きな押圧力が印加されるおそれがあるからである。
【0036】
次に、シーラーマット100の各構成を見る。
シーラーマット100は、
図1に示すように、ベースとなるマット部110と、マット部110の上面部分に作り込まれた支持領域120と、干渉防止帯130を備えた構成となっている。
マット部110と支持領域120は、一つの素材から一体的に成形したものでも良く、また、マット部110の上面に支持領域120を貼り合わせる構成でも良い。
【0037】
マット部110は、ベースとなる部材であり、この構成例では厚みのあるプレート状のものとなっている。
【0038】
支持領域120は、ラック内に立設された各々のマイクロチューブを底面方向から支持する際に、各々のマイクロチューブの底面に当接するものである。後述するように、シーラー機構によりマイクロチューブの上面開口に押圧力が印加されると、各々の支持領域120がマイクロチューブの底面を受け止めて弾性変形して沈み込み、マイクロチューブの上面開口の高さを揃える機能を発揮するものである。
支持領域120は、マット部110の上面部分に作り込まれたものであり、
図1の構成例ではマット部110の表面に設けられた円筒のボタン形状のものとなっている。
支持領域120の配列は、ラックに配列されている各々のマイクロチューブに対応しており、各々の支持領域120と各々のマイクロチューブが1対1に対応し合うものとなる。
図1に示すように、1つの支持領域120の周囲は干渉防止帯130で囲まれており、1つの支持領域120の形状は独立した円筒のボタン状のものとなっており、マット部110表面における突起物として形成されている。
【0039】
干渉防止帯130は、支持領域120同士の間に設けられたもので、ある支持領域120における弾性変形の影響が他の支持領域120へ干渉することを防止するものである。
図1の構成例では、干渉防止帯130は支持領域120同士の間に設けられた隙間となっている。
図2はシーラーマットに干渉防止帯がある場合とない場合の比較を簡単に示した例である。
図2(a)は、シーラーマットに干渉防止帯がない場合の例である。シーラーマットはシンプルな板状の形をしている。もし、上方から圧力がかかった場合、シーラーマットは弾性変形して圧力印加箇所が下方に変形するがその歪みが周辺に及ぶことが分かる。
一方、
図2(b)は、シーラーマットに干渉防止帯がある場合の例である。シーラーマット100の表面には支持領域120が設けられており、各々の支持領域120が干渉防止帯130により隔てられて、突起体となっている。もし、上方から圧力がかかった場合でも、シーラーマットのうち直下の支持領域120のみが弾性変形してその歪みが隣接する支持領域120には及ぶことが分かる。
このように干渉防止帯130となる隙間を設けることにより、1つの支持領域120における弾性変形がその支持領域120の上下方向の弾性変化だけにとどまり、支持領域120の歪みが隣接する支持領域120に及ぶことがなくなる。
【0040】
干渉防止帯130としての隙間の幅について述べる。
干渉防止帯130はラック200内に立設されるマイクロチューブの配列間隔に相当する幅でも良いが、多少のマージンを見る必要があるため、ラック内に立設されるマイクロチューブの配列間隔に相当する幅より小さくする必要がある。また、隙間の幅が狭すぎると、干渉防止帯130としての機能が小さくなってしまい、かつ、単なる切れ目のような細い溝であれば、支持領域120と支持領域120とのエッジ同士が直接に擦れ合って摩擦が起こってしまい、支持領域120の弾性変形を妨げる場合もあり得るからである。
この構成例では干渉防止帯130は支持領域120同士の間に設けられた空間のみであったが、空間を設けるとともに空間の間に仕切りを立て入れるなどの構成も除外するものではない。
【0041】
次に、ラック200について説明し、さらに、シーラーマット100とラック200の設置関係について説明する。
図3は、本発明のマイクロチューブアレイ用のシーラー装置に用いるラック200を取り出して構造を簡単に示した図である。
図2(a)は平面図、
図2(b)は正面図、
図2(c)はA−A線断面図となっている。
ラック200はマイクロチューブをアレイ状に並べて立設する部材であるが、本発明に用いるラック200は、無底または開放底で、複数のマイクロチューブを立設して並べることができるラックとなっている。なお、無底または開放底であるので、後述するようにシーラーマット100の支持領域120を底面に入れ込むことでマイクロチューブを底面から支持する構造となっている。
【0042】
ラック200の素材は限定されないが、耐薬品性の高いプラスチック(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート等)、天然ゴム、合成ゴム、シリコーンなどで良い。また、それらのうちから複数の素材を選んでブレンドしたものを原料としても良い。
【0043】
次に、ラック200の各構成を見る。
ラック200は、
図3に示すように、ベースとなるフレーム210と、格子枠220、収納部230を備えた構成となっている。なお、
図3(c)に見るように、収納部230の底面は、無底または孔の開いた開放底となっている。
【0044】
フレーム210は、ラック200全体の外形をなす部分である。形状は特に限定されないが、通常は矩形で角が丸められたものが多い。
格子枠220は、フレーム210の間に渡された板上の仕切りであり、マイクロチューブの外壁面と当接してマイクロチューブを立設した姿勢で維持する役割を果たす。この格子枠220同士の隙間で形成される空間が収納部230となる。
図3に示した構成例では、フレーム210とすべての格子枠220の上面は同じ高さに揃えられている。
【0045】
収納部230は、マイクロチューブを受け入れる空間であり、マイクロチューブの外径サイズに対応した内径を備えている。マイクロチューブを収納部230へスムーズに挿入するためには、両者の間に多少のマージンを設ける必要があるが、このマージンが大きすぎるとマイクロチューブが傾いたりするおそれがあり、マージンの存在により、特にシーラー動作時に上方から押圧されるとマイクロチューブの傾きが出やすくなるため、マージンはマイクロチューブが収納部230に対して機械的に挿入が可能となる程度の小さなものであって良い。
【0046】
ここで、収納部230の底部が収納部230の底面は、
図3(c)に見るように、無底またはマイクロチューブの底端が通過できるサイズの孔が開いた開放底となっている。本発明のシーラー装置では、マイクロチューブの高さ方向の“ばらつき”をラック200の底面に入れ込むシーラーマット100の支持領域120の弾性変化で吸収するものであるため、ラック200の底面においてマイクロチューブが上下できる仕組みが必要ある。そのため、ラック200の底部、つまり、マイクロチューブを収納している収納部230の底部が、無底またはマイクロチューブの底端が通過できるサイズの孔が開いた開放底となっている。
【0047】
次に、シーラーマット100のラック200への適用について説明する。
シーラーマット100は、ラック200に並べられた複数のマイクロチューブを底面方向から支持するため、ラック200の底部に設置するが、シーラーマット100の大きさとラック200の底面の大きさとの関係については下記の2通りある。
【0048】
第1のパターンは、シーラーマット100がラック200のフレーム底部内に収まるサイズとなっている場合である。
図4は、パターン1にかかるシーラーマット100をラック200のフレーム210の内側に対して取り付けた様子を示す図である。
図4(b)および
図4(c)は横断面においてパターン1にかかるシーラーマット100をラック200のフレーム210の内側に対して取り付けた様子を示している。
図4(c)に示すように、シーラーマット100がラック200のフレーム210内に収まった状態で設置できる。マイクロチューブ300を底面方向から支持する際、シーラーマット100がラック200のフレーム210内に収まった状態のまま下方から支えることができる。
このパターン1では、シーラーマット100の大きさが調整されており、
図4(c)に示すように、シーラーマット100がラック200のフレーム210内に収まった状態で設置されるので、たとえラック200が上方から押圧されてラックの固定がされたとしてもシーラーマット100には影響が少なく、
マイクロチューブアレイの配列において端に位置するマイクロチューブ300も、中央にあるマイクロチューブ300も同じ条件で蓋体の取り付けが可能となる。
【0049】
次に、第2のパターンは、シーラーマット100がラック200のフレーム底部内に収まらないサイズとなっている場合である。
この第2のパターンでは、シーラーマット100がラック200のフレーム底部内に収まらない大きなサイズとなっている。
図5は、パターン2にかかるシーラーマット100をラック200の下面に対して取り付けた様子を示す図である。第2のパターンのシーラーマット100にはマイクロチューブ300の底面に当接するマイクロチューブ領域160と、ラック200のフレーム210に当接するラック領域150を設け、ラック領域150における弾性変形の影響がマイクロチューブ領域160へ干渉することを防止するラック干渉防止帯170を設けた構成となっている。
マイクロチューブの上面開口のシールに際してラック自体が揺れ動くことないよう、ある程度ラックも押圧して固定しておく必要があるが、シーラーマット100がラック200のサイズよりも大きく、ラック200全体がシーラーマット100の上に載っている場合であれば、ラック200に対する押圧でシーラーマット100が変形するとその影響が周囲に及んでしまい、シーラーマット100の変形による影響を受ける可能性がある。
しかし、この第2のパターンではラック領域150とマイクロチューブ領域160の間にラック干渉防止帯170が設けられており、
図5(c)に示すように、ラック200を固定する押圧力でシーラーマット100のラック領域150が弾性変形してもその影響がマイクロチューブ領域160には及ばないため、各々のマイクロチューブ300への押圧が均一化しやすくなる。
【0050】
次に、マイクロチューブ300を説明する。
マイクロチューブ300は試料等を収める容器であり、蓋体310と、内部にチューブ体320と、外装体330を備えた構成となっている。
ここで、押圧により接着する融着タイプの蓋体310aのマイクロチューブ300aと、螺合により接合する螺着タイプの蓋体310bのマイクロチューブ300bがある。
【0051】
図6は、融着タイプの蓋体310aのマイクロチューブ300aを簡単に示した図である。
蓋体310aは、後述するチューブ体320の上面開口321を開閉する構造物であり、蓋体310aは、丈夫でチューブ体320の上面開口を密封しやすいアルミシートなどの金属フィルムなどが良い。
【0052】
図6(b)に示すように融着タイプの蓋体310aを上方からチューブ体320の上面開口321に対して押圧することにより、
図6(c)に示すようにチューブ体320の上面開口321に対して蓋体310aが融着される。
シート状の蓋体310aがチューブ体320の上面開口321に取り付けられる原理としては、例えば、熱融着、接着剤による接着などがある。なお、試料への影響を考えれば接着剤を用いるよりも熱融着による融着の方が好ましい場合もある。
蓋体を取り付けた状態は、
図6(e)に示すように、チューブ体320の上面開口321全面を覆うように取り付けられている。なお、蓋体310aのB−B線断面図は
図6(f)のようになっている。
なお、この融着タイプの蓋体310aは一枚のシート内に多数の蓋体310aを設けた蓋体アレイシートとして提供することができ、後述するように、シーラー装置は蓋体アレイシートを保持し、マイクロチューブ300aを多数並べたマイクロチューブアレイに対して上方から融着することで一斉に取り付けることができるものとなっている。
【0053】
次に、
図7は、螺着タイプの蓋体310bのマイクロチューブ300bを簡単に示している。
蓋体310bは、螺
着するためのネジ312が設けられており、この例では雄ネジとなっている。一方、チューブ体320の上面の内側には雌ネジが設けられており、蓋体310bの雄ネジ312と対応し合うようになっている。
図7(b)から
図7(c)に示すように、蓋体310bを上方からチューブ体320の上面開口321から下方にねじ込むことにより、チューブ体320の上面開口を密封することができる。
【0054】
蓋体310の外周部311には掴みやすいように刻みが設けられている。また、シーラー装置のロボットアームの突起体での脱着が行いやすいよう、
図7(f)に示すように蓋体310の内側には凹み313が設けられており、その凹み313の内側にも雌ネジが設けられている。螺着タイプの蓋体310bの上面の凹みに対してシーラー装置の突起体を装着することで蓋体310bを保持することができる。シーラー装置が蓋体310bを保持した突起物を下降させつつ回転させれば
図7(c)に示すようにマイクロチューブ300bの上面を蓋体310bにより螺着することができる。
この構成例では螺
着方式にて取り付ける例となっており、蓋体下部312には雄ネジが刻みつけられている。
【0055】
なお、蓋体310bの素材としては、耐薬品性の高いプラスチック(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート等)、天然ゴム、合成ゴム、シリコーンなどで良い。また、それらのうちから複数の素材を選んでブレンドしたものを原料としても良い。また、2種以上の樹脂からなるポリマーアロイであってもよい。この実施例では、素材はポリプロピレンとする。
【0056】
チューブ体320は、上面に上面開口を持ち、試料を収める試験管状の容器である。なお、この構成例では、チューブ体320は試験管状の円筒形をしている例であるが、用途などに合わせて他の形状であっても良い。
チューブ体320は、いわゆる試験管のような形状をしており、上端の
上面開口部321と、寸胴の胴部と、紡錘形になっている底部の構造を備えている。この構成例では上端の
上面開口部321近くの内周壁面には蓋体310bを取り付けるための雌ネジが刻まれている。
チューブ体320の高さであるが、
ラック200の格子枠220の高さよりも高いものとする。後述するように、
ラック200の格子枠220の中にシーラーマット100を立設して収納した状態において、格子枠220の上端からチューブ体320が突出した状態にて保持されるものとする。
【0057】
外装体330は、チューブ体320の外面に装着する部材である。
外装体330は、
図6に示すように、全体の概形は中空の筒体となっており、その内周径は、チューブ体320の胴部の外周径に合致するものとなっており、外装体330はチューブ体320の外周壁面にジャケットのように着せて装着する。
【0058】
外装体330の役割としては、少なくとも2つある。外装体330の第1の役割は、識別情報等の諸情報の書き込みである。マイクロチューブ300に識別情報を付与することは広く行われている。外装体
330の第2の役割は、チューブ体
320の中に保存する試料に対する外界の影響を低減させるものであり、試料の保存状態を良好に維持するものである。そのため、外界からの光を遮断するため外光を遮断する機能を発揮できるよう、プラスチック素材に対して光を透過しにくい濃色の黒系色の添加材料を添加して製作する。
【0059】
次に、以上の構成のシーラーマット100、ラック200、マイクロチューブ300を用いてシーラー装置400により行うシーラー処理について述べる。
図8は、ラック200とシーラーマット100を組み合わせたものに融着タイプの蓋体310aによりシール処理を行う様子を簡単に示した図である。
なお、シーラー装置400は実際には自動機として複雑な機構が組み合わされている場合も多いが、ここでは単純に蓋体を保持する部分のみを簡単に示しており、駆動系などは一切描いていない。
【0060】
まず、シーラー処理の基本的流れを示す。
図8(a)に示すように、蓋体310aはシート状になっており、シーラー装置400によりラック200の上方に保持されている。ラック200は無底または開放底となっており、下方からシーラーマット100により保持されており、ラック200の収納
部230の底面はシーラーマット100の支持領域120が入り込んでいる。
次に、
図8(b)に示すように、シーラー処理が開始すると、シーラー装置400が下降し、シーラー装置400により保持されている蓋体310aがマイクロチューブ300の上面開口321に向かって下降してゆく。
蓋体310aがマイクロチューブ300の上面開口321にしっかりと融着されると、蓋体310aが蓋体アレイシートからマイクロチューブ300の上面開口321に移動する。最後に
図8(c)に示すようにシーラー装置400が上昇する。
【0061】
ここで、マイクロチューブ300には高さ方向の"ばらつき"が存在することがある。
図9および
図10は、マイクロチューブ300に高さ方向の"ばらつき"が存在する場合のシーラーマット100による誤差吸収の効果を示す図である。
図9および
図10は説明の便宜上、一部を拡大しており、マイクロチューブ300A〜300Dの4本とラック200のフレームが描かれている。
図9(a)の例では、マイクロチューブ300A〜300Dには製造誤差等に基づく"ばらつき"があり、マイクロチューブ300Bとマイクロチューブ300Cとの間には高さ"d1"の差異がある。
ここで、
図9(b)に示すように、シーラー装置400により上方から圧力の印加を開始すると、まず、最も高いマイクロチューブ300Cに圧力が集中して掛かり、その分シーラーマット100の対応する
支持領域120Cが弾性変形して押下される。
【0062】
シーラー装置400の下降が続くと、背の高いマイクロチューブから順にシーラー装置400の押圧を受け始め、いずれ
図10(a)に示すように、すべてのマイクロチューブ300A〜300Dが一様にシーラー装置400から押圧を受けるようになる。
引き続き、シーラー装置400の下降が続くと、
図10(b)に示すように、各々のマイクロチューブ300A〜300Dの受ける押圧力が増えてゆく。
【0063】
ここで、シーラーマット100の弾性変形は、もっとも高いマイクロチューブ300Cの直下の支持領域120Cの弾性変形がもっとも大きいので抗力もその分大きいと言えるが、従来技術の
図15で説明したようにシーラーマットがない状態ではシーラー装置からの押圧力がもっとも高いマイクロチューブ300Cに集中してしまうような不具合が発生するが、シーラーマット100を伴う本発明の構成では
図10に示したように、最も低いマイクロチューブ300Bにも最も高いマイクロチューブ300Cにもシーラー装置からの押圧力が掛かり、その差異がシーラー処理に要する蓋体
310に与えるべき押圧力の範囲内に収まる程度の差異となるようシーラーマット100の弾性係数を選択しておけば良い。
【0064】
以上の説明はマイクロチューブの蓋体が融着タイプの場合であったが、一応、マイクロチューブの蓋体が螺着タイプの場合についても説明しておく。
図11および
図12は、蓋体が螺着タイプのマイクロチューブ300に高さ方向の“ばらつき”が存在する場合のシーラーマット100による誤差吸収の効果を示す図である。
図10および
図11においても説明の便宜上、一部を拡大しており、マイクロチューブ300A〜300Dの4本とラック200のフレームが描かれている。
図9(a)同様、マイクロチューブ300A〜300Dには製造誤差等に基づく“ばらつき”があり、マイクロチューブ300Bとマイクロチューブ300Cとの間には高さ“d1”の差異がある。
【0065】
ここで、
図11(b)に示すように、シーラー装置400により上方から蓋体310bの下降と回転が開始すると、まず、最も高いマイクロチューブ300Cに圧力が集中して掛かり、その分シーラーマット100の対応する
支持領域120Cが弾性変形して押下される。
シーラー装置400の下降と回転が続くと、背の高いマイクロチューブから順にシーラー装置400の押圧を受け始め、いずれ
図12(a)に示すように、すべてのマイクロチューブ300A〜300Dが一様にシーラー装置400から押圧を受けるようになる。
引き続き、シーラー装置400の下降が続くと、
図12(b)に示すように、各々のマイクロチューブ300A〜300Dの受ける押圧力が増えてゆく。
【0066】
シーラーマット100の弾性係数の選択は、上記同様、最も低いマイクロチューブ300Bに掛かる押圧力と最も高いマイクロチューブ300Cに掛かる押圧力の差異がシーラー処理に要する蓋体
310に与えるべき押圧力の範囲内に収まる程度の差異となるようシーラーマット100の弾性係数を選択しておけば良い。
【0067】
以上、本発明のマイクロチューブアレイセットの構成例における好ましい実施例を図示して説明してきたが、本発明の技術的範囲を逸脱することなく種々の変更が可能であることは理解されるであろう。
【解決手段】 無底または開放底のラック200に並べられた複数のマイクロチューブの開口に対して蓋体を融着または螺合して開口を閉鎖するマイクロチューブアレイ用のシーラー装置に使用するシーラーマット100である。無底または開放底のラック200の底面にシーラーマット100を取り付け、ラック200に並べられた複数のマイクロチューブを底面方向から支持する。シーラーマット100はマイクロチューブの底面から受ける圧力に応じて変形可能な弾性素材で出来ている。シーラーマット100はマイクロチューブの底面に当接する各々の支持領域120に分けられており、支持領域120同士の間に弾性変形の影響が他の支持領域へ干渉することを防止する干渉防止帯130が設けられている。