(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
おもて面側に備えた基板と、該基板に装着される半導体チップと、前記基板とは反対の裏面側に位置して前記半導体チップに接続される外部電極とを一体化してパッケージした半導体チップパッケージの製造方法において、
第1の支持板の表面に第1の配線パターンを形成して、該第1の配線パターン上に半導体チップを配置して、該半導体チップの電極端子と該第1の配線パターンの必要個所とを電気接続し、
第2の支持板により一体に連結されている配線付ポスト電極部品の第2の配線パターンと接続されたポスト電極を、第1の支持板に形成した第1の配線パターンの所定の位置に、一括して固定しかつ電気的に接続し、
樹脂封止後、第1及び第2の支持板を剥離し、おもて面側においては前記基板を貼り付け、かつ、裏面側においては第2の配線パターンに接続される前記外部電極を形成した、ことから成る半導体チップパッケージの製造方法。
おもて面側に備えた基板と、該基板に装着される半導体チップと、前記基板とは反対の裏面側に位置して前記半導体チップに接続される外部電極とを一体化してパッケージした半導体チップパッケージの製造方法において、
第1の支持板の表面に第1の配線パターンを形成して、該第1の配線パターン上に半導体チップを配置して、該半導体チップの電極端子と該第1の配線パターンの必要個所とを電気接続し、
第2の支持板の全面に貼り付けた絶縁基材テープにより一体に連結されている配線付ポスト電極部品の第2の配線パターンと接続されたポスト電極を、第1の支持板に形成した第1の配線パターンの所定の位置に、一括して固定しかつ電気的に接続し、
樹脂封止後、第1及び第2の支持板を剥離し、おもて面側においては前記基板を貼り付け、かつ、裏面側においては前記絶縁基材テープに穴を空け、開口により露出した第2の配線パターンと接続される前記外部電極を形成した、
ことから成る半導体チップパッケージの製造方法。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、例示に基づき、本発明を説明する。最初に、本発明をイメージセンサチップパッケージに具体化した第1の実施形態を、
図1〜
図8を参照して説明する。
図1(A)は、配線を有する下支持板を示す斜視図であり、(B)は、この下支持板上に、イメージセンサ(LSIチップ)のような電子部品が搭載されて接続された状態で示す図である。イメージセンサは、受光面を下側に向けて配置する。後の工程で配線層から剥離されることになる下支持板は、詳細は後述する電鋳法により、配線パターンを形成して、配線パターン造り込みがなされている。
【0015】
この配線パターン(配線層)上にイメージセンサを配置して、該イメージセンサの電極端子と該配線パターンの必要個所とを電気接続する。即ち、配線パターンを有する下支持板上に、イメージセンサを含む電子部品をダイボンド材により接着して、配線パターンとはボンディングワイヤにより接続するか(ワイヤボンド接続方式)、或いは、フリップチップ方式で搭載する。
【0016】
図2は、板状の支持板により一体に連結されている配線付ポスト電極部品の詳細を示す図であり、
図2(A)は1個の半導体パッケージのための単体パターンの斜視図を示し、また
図2(B)は複数個(16個)の半導体パッケージのための複数個を連結した連結パターンの斜視図を示している。これら単体パターン或いは連結パターンは、複数個の配線付ポスト電極を支持板により一体に連結して構成される。ポスト電極は、例示したような円柱形状に限らず、矩形、多角形状等を含む柱状(棒状)形状であれば良い。パターン中央部は、例示したようにベタ板にすることに限らず、中抜きでも可能である。配線付ポスト電極パターンの製造は電鋳法によって行われる。
【0017】
電鋳法自体は、周知の加工法である。電鋳法とは「電気めっき法による金属製品の製造・補修又は複製法」であって、基本的には電気めっきと同様であるが、めっき厚、めっき皮膜の分離操作を行う点が、電気めっきとは異なる。また、母型よりめっき皮膜を剥離して使用する場合、めっき皮膜の物性の制御・管理が重要ポイントとなる。電鋳法により成長させる導電性材料のめっき金属としては、ニッケルまたは銅とか、ニッケル合金、或いは銅合金を含む材料を用いることができる。母型材質としては、一般的な導電性材料であるステンレスを用いることができるが、それ以外に、樹脂封止のために用いる樹脂材料と熱膨張係数が大きく異ならない材質、例えばベースに銅材料を用いて表面はめっきパターンが剥離し易いようにめっき用の電気を通す程度の薄い酸化膜等の材料で覆ったものを用いることができる。内部応力の生じないようなめっき浴の組成やめっき条件を選定する必要があり、ニッケルめっきの場合、めっき浴として、スルファミン酸ニッケル浴が利用されている。
【0018】
図25は、フォトレジストを用いた電鋳部品の製造方法を示す工程図である。
図25(a)に示すように、ステンレス等の母型の上面に、フォトレジスト(不導体被膜)を塗布する。次いで、パターンフィルムを通して露光するパターン焼き付け及びその後の現像により、非めっき部分をフォトレジストパターンで覆った電鋳用原版を形成する(
図25(b))。例えば、ポスト電極を形成する場合は、樹脂封止された半導体単体チップあるいは複数チップの積層のトータル厚さ以上、例えば100μm〜300μ前後の厚さとする。続いて、フォトレジストパターンの開口部にめっき金属が形成される(
図25(c))。これは、めっき装置を用いて行う。適性温度に維持されためっき浴(例えば、スルファミン酸ニッケル液)中に、陽極側に電鋳させようとする電鋳金属を入れ、陰極側にステンレス等の電鋳母型を配置する。陰極側の電鋳母型の表面上には、
図25(b)に示すように、フォトレジストパターンが予め形成されている。電流を流すと、陽極側の電鋳金属が溶け出して、電鋳母型上のフォトレジストパターン開口部にめっきされる。
【0019】
次に、
図25(d)に示すように、平坦化加工が行われる。
図2に示すような配線付ポスト電極を形成する場合、最初の工程(
図25(a)〜(d))で、配線パターンを形成した後、さらに、この工程を繰り返す2回目の工程で、配線パターンに接続されるポスト電極を形成する。
【0020】
次に、レジストを除去すると(
図25(e))、レジスト部分以外がそのままポスト電極や配線パターンとなる。そして、めっき金属により形成されたポスト電極を電鋳母型から剥離する(
図25(f))。本発明は、後述するように、この剥離工程を、樹脂封止工程後に行う(
図6参照)。形成されためっき電極と支持板の剥がしが、熱や圧力で容易に行うことができるのが、電鋳法の特徴である。このように、配線付ポスト電極部品は、支持板である導電性材料(電鋳母型)にリソグラフィーとメッキを用いて、配線層とポスト電極を成長させることにより、支持板と一体になった配線付ポスト電極パターンを形成する。
【0021】
図3(A)はイメージセンサを搭載した下支持板の斜視図を示し(
図1参照)、かつ(B)はこの下支持板上に、
図2に示すような配線付ポスト電極部品を配置した状態で示す断面図である。下支持板に形成した配線層をボンディングパッド領域として、イメージセンサのような電子部品を固定しかつ電気的に接続する。
【0022】
図4は、下支持板上に配線付ポスト電極部品を接続、固定した状態で示す図である。下支持板の配線パターンの所定の位置には、上支持板により一体に連結された配線付ポスト電極部品が、一括して固定されかつ電気的に接続される。ポスト電極を固定及び接続する手法としては、(1)超音波による接合、(2)銀ペースト等の導電性ペーストによる接続、(3)半田接続、(4)有機基板側に設けた接続電極用金属パッド部に凹部を設ける一方、ポスト電極部品側は凸部を設けて挿入圧着あるいは挿入しカシメる方法、により行うことができる。ポスト電極が配線パターン上の所定の位置に固定された段階では、全てのポスト電極が、板状の上下の両支持板により一体に連結されている。
【0023】
図5は、固定後、樹脂封止した状態で示す図である。図は1個のみの部品を示しているが、実際には多数個連結されている状態で、金型に入れて樹脂を充填する。これによって、上下の両支持板の間の空間を満たすようにトランスファーモールドされ、或いは液状樹脂(材質は、例えばエポキシ系)を用いて樹脂封止される。
【0024】
図6は、上下の両支持板(電鋳母型)を剥離した後の状態で示す図である。支持板を剥離することにより、上下両側に配線層が露出する。次に、
図7に示すように、天地(上下)逆転させる。
【0025】
次に、
図8に示すように、おもて面側においては、イメージセンサ受光面側にガラス基板を貼り付ける。下支持板を剥離した位置に、ガラス基板又は光透過性の良い透明樹脂(アクリル、シクロオレフィンポリマーなど)板などの透明板を貼り付ける。透明板の貼り付けは、例えば、熱硬化型樹脂のような接着剤を用いて行う。なお、透明板の貼り付けは、以下の個片化を行った後でも良い。裏面側においては、配線層に接続される外部接続用のバンプ電極を形成する。この際、必要に応じて、裏面配線層には、保護膜を塗布する。裏面の再配線を利用して、ポスト電極の配置から、任意にイメージセンサチップの外部電極の位置に持っていくことができる。このため容易に3次元に、イメージセンサチップパッケージを接続することができる。
【0026】
実際の製造においては、この後、個々のチップに切断して切り分ける個片化を経た後に、製品として完成する。これによって、従来技術のような貫通電極の必要なく、透明ガラス基板の反対側に配線層及び外部電極としてバンプ電極を形成したイメージセンサチップパッケージが完成する。このようして完成したイメージセンサチップパッケージは、個片化前に、信号処理用LSIチップパッケージのような別のパッケージと容易に接続することができる。
【0027】
次に、本発明をイメージセンサチップパッケージに具体化した第2の実施形態を、
図9〜
図15を参照して説明する。
図9(A)は、配線をしたガラス基板(又は光透過性の良い透明樹脂基板)を示す斜視図であり、(B)は、ガラス基板上に、イメージセンサのような電子部品が搭載されて接続された状態で示す図である。イメージセンサは、受光面を下側に向けて配置する。
【0028】
図9の例では、支持部として透明ガラス基板を用いる。透明ガラス基板の全面に、配線パターンとなるべき金属のシード層を形成する(例えばスパッタ層あるいはナノ金属材料を塗膜)。このシード層としては、例えば、銅メッキを可能とする金、銀、銅、パラジューム箔を用いることができる。配線層のパターンはシード層の上にレジストを塗布し、パターンを露光、現像してさらにエッチングを行い、レジストを除去して完成させる。このシード層の上にメッキにより配線層を成長させる。或いは、ナノ金属粒子で直接シード層をパターンニングにしてリソグラフィ工程を省略することもできる。この直接パターンニングは、有機溶媒中に銅等のナノ金属粒子を含有させて、それをプリンターで実用されているインクジェット法で所望のパターンを描く方法である。
【0029】
図10(A)は、ガラス基板上にイメージセンサを接続した状態を示す斜視図であり、(B)は、このガラス基板上に、
図2に示すような配線付ポスト電極部品を配置した状態で例示する断面図である。ガラス基板に形成した配線層をボンディングパッド領域として、イメージセンサ(半導体LSIチップ)のような電子部品を固定しかつ電気的に接続する。
【0030】
図11は、ガラス基板上に配線付ポスト電極部品を接続、固定した状態で示す図である。この接続は、
図4を参照して前述したように行う。また、
図12は、固定後、樹脂封止した状態で示す図である。
図5を参照して前述したようにして、ガラス基板と上支持板の間の空間を満たすようにトランスファーモールドされ、或いは液状樹脂(材質は、例えばエポキシ系)を用いて樹脂封止される。
【0031】
図13は、上支持板を剥離した後の状態で示す図である。上支持板を剥離することにより、上側に配線層が露出する。次に、
図14に示すように、天地(上下)逆転させる。
【0032】
次に、
図15に示すように、裏面側においては、配線層に接続される外部接続用のバンプ電極を形成する。この際、必要に応じて、裏面配線層には、保護膜を塗布する。この後、個々のチップに切断して切り分ける個片化を経た後に、製品として完成する。
【0033】
次に、本発明をイメージセンサチップパッケージに具体化した第3の実施形態を、
図16〜
図23を参照して説明する。
図16(A)は、配線をした下支持板を示す斜視図であり、(B)は、下支持板上にイメージセンサのような電子部品が搭載されて接続された状態で示す断面図である。
図16は、
図1と同一のものであり、配線パターンを有する下支持板上に、イメージセンサを搭載して接続している。
【0034】
図17は、
図2とは異なる別の配線付ポスト電極部品を示す図であり、(A)は、多数個一体に連結された状態で示す配線付ポスト電極部品を示す斜視図であり、図中のY−Y’ラインで切断した断面図を(B)に示している。
【0035】
図17において、支持部として、下支持板(例えば、シリコン基板又はガラス)の一方の全面に、ポリイミドテープなどに代表される薄膜フィルムの絶縁基材により作成したテープを貼り付けたものを用いる。この絶縁機材テープは、完成製品において配線層を覆う保護膜として機能する。下支持板は、後の工程で絶縁機材テープから剥離される。このため、例えばリフロー温度より高温(モールド温度以上)を加えると、シリコン基板(又はガラス)とテープが剥離し易い処理を予め行っておく。例えば熱カプセル入り接着剤、または支持部として光を透過する材料(耐熱低熱膨張ガラスなど)にして、紫外線剥離型接着剤を用いる。または熱可塑性の接着剤でも良い。
【0036】
さらに、このテープ上に、配線パターンとなるべき金属のシード層を形成して、メタル付きテープを形成する。このシード層としては、例えば、銅メッキを可能とする金、銀、銅、パラジューム箔を用いることができる。配線層のパターンはシード層の上にレジストを塗布し、パターンを露光、現像してさらにエッチングを行い、レジストを除去して完成させる。このシード層の上にメッキにより配線層を成長させる。さらにその上に、ポスト電極部形成のためレジスト塗布と現像を行い、ポスト部をメッキ成長させる。或いは、配線部はナノ金属粒子で直接シード層をパターンニングにしてリソグラフィ工程を省略することもできる。前記と同じようにさらにその上に、ポスト電極部形成のためレジスト塗布と現像を行い、ポスト部をメッキ成長させる。これによって、配線付ポスト電極部品が完成する。
【0037】
図17に示した配線付ポスト電極部品は、
図16に示したイメージセンサを装着した下支持板上に接続、固定されることになるが、
図18は、接続前の状態で例示している。配線層上のボンディングパッド領域には、配線付ポスト電極部品のポスト電極が固定されかつ電気的に接続される。
【0038】
図19は、配線付ポスト電極部品を下支持板上に接続、固定した状態で示す図である。
図20は、固定後、樹脂封止した状態で示す図である。一体に連結されている配線付ポスト電極部品が下支持板に固定された後、この状態で、イメージセンサの上面は、絶縁基材テープの下面までトランスファーモールドされ、或いは液状樹脂(材質は、例えばエポキシ系)を用いて樹脂封止される。
【0039】
図21は、上下の両支持板を剥離した後の状態で示す図である。例えば、所定の高温を加えることにより、下支持板を剥離する。これにより
図21の上側に露出した絶縁基材テープは、完成製品の保護膜として機能する。
【0040】
図22は、天地(上下)逆転した状態で示す図である。次に、
図23に示すように、おもて面側においては、イメージセンサの受光面側にガラス基板を貼り付ける。裏面側においては、絶縁基材テープに穴を空け、開口により露出した配線と接続される外部接続用のバンプ電極を形成する。これによって、第3の実施形態の半導体パッケージが完成する。
【0041】
次に、本発明の第4の実施形態として、高放熱型チップパッケージに具体化した例(図示省略)を説明する。以上に説明した第1〜第3の実施形態において例示した透明ガラス基板に代えて、第4の実施形態は、ヒートシンク、ヒートスプレッダー等として機能する高放熱基板を用いた点でのみ上述の構成とは相違している。
【0042】
これによって、ヒートシンクとして機能する高放熱基板の裏面側に、高放熱型のLSIチップが実装されて、従来技術のような貫通電極の必要なく、ヒートシンクとして機能する高放熱基板の反対側に外部電極を形成した高放熱型チップパッケージが完成する。