特許第5690469号(P5690469)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5690469差動増幅器、基準電圧発生回路、差動増幅方法及び基準電圧発生方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5690469
(24)【登録日】2015年2月6日
(45)【発行日】2015年3月25日
(54)【発明の名称】差動増幅器、基準電圧発生回路、差動増幅方法及び基準電圧発生方法
(51)【国際特許分類】
   H03F 3/45 20060101AFI20150305BHJP
   H03F 3/34 20060101ALI20150305BHJP
   H03K 19/0185 20060101ALI20150305BHJP
【FI】
   H03F3/45 B
   H03F3/34 A
   H03K19/00 101B
【請求項の数】8
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2008-219745(P2008-219745)
(22)【出願日】2008年8月28日
(65)【公開番号】特開2010-56889(P2010-56889A)
(43)【公開日】2010年3月11日
【審査請求日】2011年6月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】513192281
【氏名又は名称】ピーエスフォー ルクスコ エスエイアールエル
【氏名又は名称原語表記】PS4 Luxco S.a.r.l.
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(72)【発明者】
【氏名】井出 昭
【審査官】 柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−108311(JP,A)
【文献】 特開平02−260915(JP,A)
【文献】 H.Banba, H.Shiga, A.Umezawa, T.Miyaba, T.Tanzawa, S.Atsumi, K.Sakui,"A CMOS Bandgap Reference Circuit with Sub-1-V Operation",IEEE Journal of Solid-State Circuits,米国,IEEE,1999年 5月,VOL.34, NO.5,page(s)670-674
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03F 3/45
H03F 3/34
H03K 19/0185
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の入力信号を受ける第1および第2の入力端子、ならびに、前記一対の入力信号の間の差分に基づいて一対の出力信号を出力する第1および第2の出力端子を備えたメイン差動増幅回路と、
前記一対の出力信号を受け前記一対の出力信号に含まれるオフセット電圧を低減するバイアス制御差動増幅回路と、を備え
前記メイン差動増幅回路は、
共通節点と前記第1の出力端子との間に接続されるとともにその制御端子が前記第1の入力端子と接続された第1のトランジスタと、
前記共通節点と前記第2の出力端子との間に接続されるとともにその制御端子が前記第2の入力端子と接続された第2のトランジスタと、
前記共通節点と第1の電源ラインとの間に接続されるとともにその制御端子が前記バイアス制御差動増幅回路の出力を受ける電流制限用トランジスタと、
を備え、
前記バイアス制御差動増幅回路は、
第2の電源ラインと第1の節点との間に接続されるとともにその制御端子が前記第1の出力端子と接続された第3のトランジスタと、
前記第1の節点と前記第1の電源ラインとの間に接続されるとともにその制御端子が前記第1の節点と接続された第4のトランジスタと、
前記第2の電源ラインと前記電流制限用トランジスタの制御端子との間に接続されるとともにその制御端子が前記第2の出力端子と接続された第5のトランジスタと、
前記電流制限用トランジスタの制御端子と前記第1の電源ラインとの間に接続されるとともにその制御端子が前記第1の節点と接続された第6のトランジスタと、
を備え、
前記バイアス制御差動増幅回路は、前記一対の出力信号に含まれる前記オフセット電圧に基づいて前記電流制限用トランジスタの制御端子を制御することを特徴とする差動増幅器。
【請求項2】
一対の入力信号を受け、前記一対の入力信号の間の差分に基づいて一対の出力信号を出力するメイン差動増幅回路と、
前記一対の出力信号を受け、前記一対の出力信号に含まれるオフセット電圧を低減するバイアス制御差動増幅回路と、
制御端子を備えたオープンドレイン出力回路と、を備え、
前記メイン差動増幅回路は、
制御端子を備えた電流制限用トランジスタと、
前記一対の入力信号を受ける第1および第2の入力端子と、
前記バイアス制御差動増幅回路からの出力を、前記メイン差動増幅回路を流れるバイアス電流を定める前記電流制限用トランジスタの制御端子へ供給する制御端子と、
前記一対の出力信号を出力する第1および第2の出力端子と、
を備え、
前記バイアス制御差動増幅回路は、
前記一対の出力信号を受ける第3および第4の入力端子と、
前記メイン差動増幅回路の制御端子に接続された出力端子と、
を備え、
前記バイアス制御差動増幅回路は、前記一対の出力信号に含まれる前記オフセット電圧に基づいて前記電流制限用トランジスタの制御端子を制御し、
前記オープンドレイン出力回路の制御端子は、前記第2の出力端子と接続されていることを特徴とする差動増幅器。
【請求項3】
一対の入力信号を受ける第1および第2の入力端子、ならびに、前記一対の入力信号の間の差分に基づいて一対の出力信号を出力する第1および第2の出力端子を備えたメイン差動増幅回路と、
前記一対の出力信号を受け前記一対の出力信号に含まれるオフセット電圧を低減するバイアス制御差動増幅回路と、を備え、
前記メイン差動増幅回路は、
制御端子を備えた電流制限用トランジスタと、
一対の差動増幅回路と、
当該差動増幅回路と接続された電流制御回路と、
を備え、
前記バイアス制御差動増幅回路は、前記一対の出力信号に含まれる前記オフセット電圧に基づいて前記電流制限用トランジスタの制御端子を制御し、
該差動増幅回路は、少なくとも一つのカレントミラー回路を備え、1段または多段で構成される増幅部による信号増幅を行う、ことを特徴とする差動増幅器。
【請求項4】
一対の入力信号を受けて前記一対の入力信号の間の差分に基づいて一対の出力信号を出力するメイン差動増幅回路であって、前記一対の入力信号を受けて前記一対の出力信号を供する差動増幅部を備える、前記メイン差動増幅回路と、
前記メイン差動増幅回路から供された前記一対の出力信号に応じて信号を増幅するオープンドレイン出力回路と、を備え、
前記差動増幅部の差動出力信号に含まれるオフセット電圧を検出した場合には、該オフセット電圧に基づいて前記差動増幅部の動作点を制御して前記オフセット電圧を低減する、ことを特徴とする差動増幅器。
【請求項5】
さらに、正入力端子および負入力端子を備える一対の相補の入力端子と、
バイアス電流を定める制御信号が入力される制御端子と、
相補の対となる出力端子を備えるメイン差動増幅回路と、
ゲートならびに第1および第2の端子を備えたMOSトランジスタを備えたオープンドレイン出力回路であって、前記MOSトランジスタのゲートが、前記メイン差動増幅回路の相補の対となる出力端子の一方に接続され、前記MOSトランジスタの第1の端子が、前記オープンドレイン出力回路の出力端子と接続されている、前記オープンドレイン出力回路と、
一対の相補の入力端子と出力を備えたバイアス制御差動増幅回路であって、該一対の相補の入力端子が、前記メイン差動増幅回路の総補の出力端子と接続され、該出力が、前記メイン差動増幅回路の制御端子と接続されている、前記バイアス制御差動増幅回路と、を備えることを特徴とする請求項4に記載の差動増幅器。
【請求項6】
前記差動増幅部は、
一対の差動増幅回路と、
該差動増幅回路と接続された電流制御回路と、
少なくとも1つのカレントミラー回路と、
を備え、
前記メイン差動増幅回路の一段または多段で構成される増幅部が信号増幅を行うことを特徴とする請求項4に記載の差動増幅器。
【請求項7】
入力信号を、メイン差動増幅回路の一対の相補の入力端子へ受け入れるステップと、
前記入力信号を、前記メイン差動増幅回路の制御端子へ供給されてバイアス電流を定める制御信号に基づいて増幅することにより、相補の対となる信号を取得するステップと、
前記相補の対となる信号を、前記メイン差動増幅回路の相補の対となる出力端子から出力するステップと、
前記相補の対となる信号の一方のみを、MOSトランジスタへ供給するステップと、
MOSトランジスタのドレインから信号を出力するステップと、
前記相補の対となる信号を差動増幅することにより、前記制御信号を取得するステップと、
前記制御信号を、前記制御端子へ供給するステップと、を有する差動増幅方法。
【請求項8】
バンドギャップ電源と、差動増幅部と、を備え、前記差動増幅部が、全差動増幅を行うメイン差動増幅回路と該メイン差動増幅回路から供給される差動出力信号を増幅するオープンドレイン出力回路とを備え、前記差動増幅部が、増幅された信号を前記オープンドレイン回路へ出力する、基準電圧発生回路による、基準電圧発生方法であって、
前記バンドギャップ電源から出力される信号を、前記メイン差動増幅回路へ供給するステップと、
前記差動増幅部から出力される差動出力信号に含まれるオフセット電圧を検出するステップと、
前記オフセット電圧に基づいて前記差動増幅部の動作点を制御することにより、前記差動出力信号に含まれる前記オフセット電圧を低減するステップと、を有することを特徴とする基準電圧発生方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、差動増幅器、それを用いた基準電圧発生回路、差動増幅方法及びそれを用いた基準電圧発生方法に関し、特に入力オフセットを低減する回路を備えた差動増幅器、それを用いた基準電圧発生回路、入力オフセットを低減する差動増幅方法及びそれを用いた基準電圧発生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、アナログ回路で用いられる電源電圧は、消費電力低減、高速化などを目的として低下する傾向がある。このようなアナログ回路に適用することを目的とした差動増幅器に関する技術が開示されている(例えば、特許文献1から特許文献3参照)。
また、差動増幅器を用いた基準電圧発生回路に関する技術が、非特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特開2006−023920号公報
【特許文献2】特開2007−300623号公報
【特許文献3】特開平05−075431号公報
【非特許文献1】H. Banba et al.,“A CMOS Bandgap Reference Circuit with Sub-1-V Operation” in IEEE Journal of Solid-State Circuits, Vol.34, No.5, May 1999, p.670-673
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した非特許文献1に記載の基準電圧発生回路において、電源電圧を低下していくと、出力される基準電圧の精度が低くなり、その精度は用いられる差動増幅器の特性が影響していることを本願発明者は明らかにした。
図9は、非特許文献1で示される基準電圧発生回路に基づいて本願発明者が追記した回路を示し、その問題について説明する。この図に示される基準電圧発生回路を低電圧で動作させると、バンドギャップ回路を用いた基準電圧発生回路における基準電圧出力Vrefは、電源電圧を低下していくと、電源電圧依存性が大きくなるという問題がある。これは、出力段の定電流源MOS(Metal Oxide Semiconductor)の出力抵抗が十分高くないことも要因の一つであるが、この回路に用いられている差動増幅器の有限のゲインによって入力オフセット電圧が生じることの方が主要因となっている。
すなわち、このような基準電圧発生回路から出力される基準電圧の精度の低下の要因となる差動増幅器の入力オフセット電圧について、図18を用いて説明する。図18はNMOS(N型MOS)トランジスタの差動対に、PMOS(P型MOS)トランジスタのカレントミラー型負荷回路で構成した差動増幅器を示す。そして、その差動増幅器の出力を負入力端子に接続したボルテージフォロワ回路が、構成されている。差動増幅器の増幅率が十分高ければ、正入力端子と出力端子の電位が等しくなるように動作する。しかしながら、差動増幅器の増幅率が有限であるために、正入力電圧と出力電圧の間には幾らかの差電位が残ってしまう。これが入力オフセット電圧である。
差動対をなすNMOSトランジスタの相互コンダクタンスをgmとし、負荷となるPMOSトランジスタのカレントミラー型負荷回路のドレイン抵抗をrdsとする。PMOSトランジスタのカレントミラー型負荷回路における共通接続されたゲートの電位をVOUTb、その出力の電位をVOUTとする。一方のダイオード接続されたPMOSトランジスタのドレイン・ソース間電圧は(VDD -VOUTb)であるが、他方の出力側のPMOSトランジスタのドレイン・ソース間電圧は(VDD -VOUT)である。したがって、両者のPMOSトランジスタのドレイン電圧の差ΔVDSpは、次式(1)に示される。
【0004】
ΔVDSp=( VDD - VOUTb) - (VDD - VOUT) = VOUT -VOUTb ・・・(1)
【0005】
これによる、カレントミラー負荷回路の電流誤差ΔIpは、次式(2)に示される。
【0006】
ΔIp = ΔVDSp / rds = (VOUT - VOUTb) / rsd ・・・(2)
【0007】
一方、入力オフセット電圧ΔVINは、次式(3)に示される。
【0008】
ΔVIN = VIN - VOUT ・・・(3)
【0009】
これによるNMOSトランジスタの差動対での電流差ΔInは、次式(4)に示される。
【0010】
ΔIn = gm・ΔVIN = gm・(VIN - VOUT) ・・・(4)
【0011】
式(3)と式(4)において、ΔIpとΔInは等しいので、入力オフセット電圧ΔVINは、次式(5)のように示すことができる。
【0012】
ΔVIN = (VOUT - VOUTb) / (gm・rsd) ・・・(5)
【0013】
式(5)に示されるように、入力オフセット電圧ΔVINを低減するための方法は、次の2通りの手段があることがわかる。
【0014】
1) 差動増幅回路の電圧増幅率Av=gm・rds を大きくする。
【0015】
2)PMOSトランジスタのカレントミラー型負荷回路における共通接続されたゲートの電位VOUTbと、その出力の電位VOUTとを等しくする(VOUT=VOUTb)。
【0016】
上記の1番目の方法では、カレントミラー型負荷回路をカスコード型負荷回路にすることなどによってドレイン抵抗rdsを大きくすることが可能である。しかし、電源電圧の動作範囲がカスコード型負荷回路に必要とされる電圧分だけ悪化するという問題があり、特に低電圧用回路には適さないものとなる。
2番目の方法では、PMOSトランジスタのカレントミラー型負荷回路における共通接続されたゲートの電位VOUTbは、そのPMOSトランジスタのスレッショルド電圧でほぼ決定される。一方、PMOSトランジスタのカレントミラー型負荷回路の出力の電位VOUTは回路の構成によって決まるものであり、どのような状態でもこれを等しくすることは一般的には困難である。
また、特許文献1から特許文献3の技術を参照しても、低電圧で動作させる基準電圧発生回路に関するものであっても、入力オフセット電圧が出力電圧精度に影響を与えることについて示唆されていない。
したがって、開示されている技術を参照しても、入力オフセット電圧に影響されることなく低電圧で利用できる差動増幅器並びに基準電圧発生回路について示唆されるものがないという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記問題を解決するために、本発明は、一対の入力信号を受けこれら入力信号の差分に基づいて一対の出力信号を出力するメイン差動増幅回路と、前記一対の出力信号を受けこれら出力信号に含まれるオフセット電圧に基づいて前記メイン差動増幅回路を構成する電流制限用トランジスタの制御端子を制御し、前記オフセット電圧を低減するバイアス制御差動増幅回路と、を備えることを特徴とする差動増幅器である。
これにより、差動増幅器におけるメイン差動増幅回路の有限のゲインによって生じる入力オフセット電圧を、メイン差動増幅回路の一対の出力信号間に生じる電位差をバイアス制御差動増幅回路によって検出可能となる。バイアス制御差動増幅回路は、検出した出力信号間に生じる電位差に基づいて、メイン差動増幅回路のバイアス電流を制御する制御信号をメイン差動増幅回路に入力する。メイン差動増幅回路は、入力された制御信号によりバイアス電流が制御され、メイン差動増幅回路の一対の出力信号間に生じる電位差を低減することが可能となる。
また、本発明は、差動増幅部からなるメイン差動増幅回路と、該メイン差動増幅回路が出力する信号を増幅しオープンドレイン出力回路で増幅された出力信号を出力する差動増幅器であって、前記差動増幅部の差動出力信号に含まれるオフセット電圧を検出し、該オフセット電圧に基づいて前記差動増幅部の動作点を制御して該出力信号に含まれるオフセット電圧を低減することを特徴とする差動増幅器である。
これにより、差動増幅器におけるメイン差動増幅回路の有限のゲインによって生じる入力オフセット電圧を、メイン差動増幅回路の相補の対となる出力端子間の電位差をバイアス制御差動増幅回路によって検出可能となる。バイアス制御差動増幅回路は、検出した出力端子間の電位差に基づいて、メイン差動増幅回路のバイアス電流を制御する制御信号をメイン差動増幅回路に入力する。メイン差動増幅回路は、入力された制御信号によりバイアス電流が制御され、メイン差動増幅回路の相補の出力端子間に生じる電位差を低減することが可能となる。
また、本発明は、差動増幅器を備えるバンドギャップ回路による基準電圧発生回路であって、前記差動増幅器は、上記に記載の差動増幅器であることを特徴とする基準電圧発生回路である。
これにより、2つの電流経路に設けられた半導体素子の順方向電圧の電位差を検出する差動増幅器において、検出する電位差に対して誤差となるオフセット電圧を低減することができ、出力精度の高い基準電圧発生回路を提供することができる。
【0018】
また、より具体的に例示すると本発明は、上記に記載の差動増幅器において、前記メイン差動増幅回路は、ゲートが前記負入力端子に接続された第1の第1導電型トランジスタと、ゲートが前記正入力端子に接続され、ソースが前記第1の第1導電型トランジスタのソースに接続された第2の第1導電型トランジスタと、ソースが第1の電源に、ドレインが前記第1の第1導電型トランジスタのソースに接続された第3の第1導電型トランジスタと、ソースが前記第1の電源と異なる第2の電源に、ドレインが前記第1の第1導電型トランジスタのドレインに、ゲートが自身のドレインに接続された第1の前記第1導電型と異なる第2導電型トランジスタと、ソースが第2の電源に、ドレインが前記第2の第1導電型トランジスタのドレインに、ゲートが前記第1の第2導電型トランジスタのゲートに接続された第2の第2導電型トランジスタと、を備え、前記オープンドレイン出力回路は、ソースが第2の電源、ゲートが前記第2の第2導電型トランジスタのドレインに、ドレインが出力端子に接続された第3の第2導電型トランジスタを備え、前記バイアス制御差動増幅回路は、ソースが第2の電源に、ゲートが前記第1の第2導電型トランジスタのドレインに接続された第4の第2導電型トランジスタと、ソースが第2の電源に、ゲートが前記第2の第2導電型トランジスタのドレインに、ドレインが前記第3の第1導電型トランジスタのゲートに接続された第5の第2導電型トランジスタと、ソースが第1の電源、ドレインが前記第4の第2導電型トランジスタのドレインに、ゲートが自身のドレインに接続された第4の第1導電型トランジスタと、ソースが第1の電源、ドレインが前記第5の第2導電型トランジスタのドレインに、ゲートが前記第4の第1導電型トランジスタのゲートに接続された第5の第1導電型トランジスタと、を備えることとする。
上記の第1導電型トランジスタ、第2導電型トランジスタ、第1の電源、第2の電源は、N型MOSトランジスタ(NMOS)、P型MOSトランジスタ(PMOS)、接地電位VSS及び電源VDD、又は、P型MOSトランジスタ(PMOS)、N型MOSトランジスタ(NMOS)、電源VDD及び接地電位VSSのいずれかである。
【0019】
また、本発明は、上記に記載の差動増幅器において、前記メイン差動増幅回路は、ゲートが前記負入力端子に接続された第1の第1導電型トランジスタと、ゲートが前記正入力端子に接続され、ソースが前記第1の第1導電型トランジスタのソースに接続された第2の第1導電型トランジスタと、ソースが第1の電源に、ドレインが前記第1の第1導電型トランジスタのソースに接続された第3の第1導電型トランジスタと、ソースが第2の電源に、ドレインが前記第1の第1導電型トランジスタのドレインに、ゲートが自身のドレインに接続された第1の第2導電型トランジスタと、ソースが第2の電源に、ゲートが前記第1の第2導電型トランジスタのゲートに接続された第6の第2導電型トランジスタと、ソースが第1の電源に、ドレインが前記第6の第2導電型トランジスタのドレインに、ゲートが自身のドレインに接続された第6の第1導電型トランジスタと、ソースが第1の電源に、ゲートが前記第6の第1導電型トランジスタのゲートに接続された第8の第1導電型トランジスタと、ソースが第2の電源に、ドレインが前記第2の第1導電型トランジスタのドレインに、ゲートが自身のドレインに接続された第2の第2導電型トランジスタと、ソースが第2の電源に、ゲートが前記第2の第2導電型トランジスタのゲートに接続された第7の第2導電型トランジスタと、ソースが第1の電源に、ドレインが前記第7の第2導電型トランジスタのドレインに、ゲートが自身のドレインに接続された第7の第1導電型トランジスタと、ソースが第1の電源に、ゲートが前記第7の第1導電型トランジスタのゲートに接続された第9の第1導電型トランジスタと、ソースが第2の電源に、ドレインが前記第8の第1導電型トランジスタのドレインに、ゲートが自身のドレインに接続された第8の第2導電型トランジスタと、ソースが第2の電源に、ドレインが前記第9の第1導電型トランジスタのドレインに、ゲートが前記第8の第2導電型トランジスタのゲートに接続された第9の第2導電型トランジスタと、を備え、前記オープンドレイン出力回路は、ソースが第2の電源、ゲートが前記第9の第2導電型トランジスタのドレインに、ドレインが出力端子に接続された第3の第2導電型トランジスタを備え、前記バイアス制御差動増幅回路は、ソースが第2の電源に、ゲートが前記第8の第2導電型トランジスタのドレインに接続された第4の第2導電型トランジスタと、ソースが第2の電源に、ゲートが前記第9の第2導電型トランジスタのドレインに、ドレインが前記第3の第1導電型トランジスタのゲートに接続された第5の第2導電型トランジスタと、ソースが第1の電源、ドレインが前記第4の第2導電型トランジスタのドレインに、ゲートが自身のドレインに接続された第4の第1導電型トランジスタと、ソースが第1の電源、ドレインが前記第5の第2導電型トランジスタのドレインに、ゲートが前記第4の第1導電型トランジスタのゲートに接続された第5の第1導電型トランジスタと、を備えることとする。
【0020】
また、本発明は、上記に記載の差動増幅器において、前記メイン差動増幅回路は、ゲートが前記負入力端子に接続された第1の第1導電型トランジスタと、ゲートが前記正入力端子に接続され、ソースが前記第1の第1導電型トランジスタのソースに接続された第2の第1導電型トランジスタと、ソースが第1の電源に、ドレインが前記第1の第1導電型トランジスタのソースに接続された第3の第1導電型トランジスタと、ソースが第2の電源に、ドレインが前記第1の第1導電型トランジスタのドレインに、ゲートが自身のドレインに接続された第1の第2導電型トランジスタと、ソースが第2の電源に、ゲートが前記第1の第2導電型トランジスタのゲートに接続された第6の第2導電型トランジスタと、ソースが第1の電源に、ドレインが前記第6の第2導電型トランジスタのドレインに、ゲートが自身のドレインに接続された第6の第1導電型トランジスタと、ソースが第1の電源に、ゲートが前記第6の第1導電型トランジスタのゲートに接続された第8の第1導電型トランジスタと、ソースが第2の電源に、ドレインが前記第2の第1導電型トランジスタのドレインに、ゲートが自身のドレインに接続された第2の第2導電型トランジスタと、ソースが第2の電源に、ゲートが前記第2の第2導電型トランジスタのゲートに接続された第7の第2導電型トランジスタと、ソースが第1の電源に、ドレインが前記第7の第2導電型トランジスタのドレインに、ゲートが自身のドレインに接続された第7の第1導電型トランジスタと、ソースが第1の電源に、ゲートが前記第7の第1導電型トランジスタのゲートに接続された第9の第1導電型トランジスタと、ソースが第2の電源に、ドレインが前記第8の第1導電型トランジスタのドレインに、ゲートが自身のドレインに接続された第8の第2導電型トランジスタと、ソースが第2の電源に、ドレインが前記第9の第1導電型トランジスタのドレインに、ゲートが前記第8の第2導電型トランジスタのゲートに接続された第9の第2導電型トランジスタと、を備え、前記オープンドレイン出力回路は、ソースが第2の電源、ゲートが前記第9の第2導電型トランジスタのドレインに、ドレインが出力端子に接続された第3の第2導電型トランジスタを備え、前記バイアス制御差動増幅回路は、ソースが第2の電源に、ゲートが前記第9の第2導電型トランジスタのドレインに、ドレインが前記第3の第1導電型トランジスタのゲートに接続された第5の第2導電型トランジスタと、ソースが第1の電源、ドレインが前記第5の第2導電型トランジスタのドレインに、ゲートが前記第6の第1導電型トランジスタのゲートに接続された第5の第1導電型トランジスタと、を備えることとする。
【0021】
また、本発明は、上記に記載の差動増幅器において、前記メイン差動増幅回路は、ゲートが前記負入力端子に接続された第1の第1導電型トランジスタと、ゲートが前記正入力端子に接続され、ソースが前記第1の第1導電型トランジスタのソースに接続された第2の第1導電型トランジスタと、ソースが第1の電源に、ドレインが前記第1の第1導電型トランジスタのソースに接続された第3の第1導電型トランジスタと、ソースが第2の電源に、ドレインが前記第1の第1導電型トランジスタのドレインに、ゲートが自身のドレインに接続された第1の第2導電型トランジスタと、ソースが第2の電源に、ゲートが前記第1の第2導電型トランジスタのゲートに接続された第6の第2導電型トランジスタと、ソースが第1の電源に、ドレインが前記第6の第2導電型トランジスタのドレインに、ゲートが自身のドレインに接続された第6の第1導電型トランジスタと、ソースが第1の電源に、ゲートが前記第6の第1導電型トランジスタのゲートに接続された第8の第1導電型トランジスタと、ソースが第2の電源に、ドレインが前記第2の第1導電型トランジスタのドレインに、ゲートが自身のドレインに接続された第2の第2導電型トランジスタと、ソースが第2の電源に、ゲートが前記第2の第2導電型トランジスタのゲートに接続された第7の第2導電型トランジスタと、ソースが第1の電源に、ドレインが前記第7の第2導電型トランジスタのドレインに、ゲートが自身のドレインに接続された第7の第1導電型トランジスタと、ソースが第1の電源に、ゲートが前記第7の第1導電型トランジスタのゲートに接続された第9の第1導電型トランジスタと、ソースが第2の電源に、ドレインが前記第8の第1導電型トランジスタのドレインに、ゲートが自身のドレインに接続された第8の第2導電型トランジスタと、ソースが第2の電源に、ドレインが前記第9の第1導電型トランジスタのドレインに、ゲートが前記第8の第2導電型トランジスタのゲートに接続された第9の第2導電型トランジスタと、を備え、前記オープンドレイン出力回路は、ソースが第2の電源、ゲートが前記第9の第2導電型トランジスタのドレインに、ドレインが出力端子に接続された第3の第2導電型トランジスタを備え、前記バイアス制御差動増幅回路は、ソースが第2の電源に、ゲートが前記第9の第2導電型トランジスタのドレインに、ドレインが前記第3の第1導電型トランジスタのゲートに接続された第5の第2導電型トランジスタと、ソースが第1の電源、ドレインが前記第5の第2導電型トランジスタのドレインに、ゲートが前記第7の第1導電型トランジスタのゲートに接続された第5の第1導電型トランジスタと、を備えることとする。
【0022】
また、本発明は、上記に記載の差動増幅器において、前記メイン差動増幅回路は、ゲートが前記負入力端子に接続された第1の第1導電型トランジスタと、ゲートが前記正入力端子に接続され、ソースが前記第1の第1導電型トランジスタのソースに接続された第2の第1導電型トランジスタと、ソースが第1の電源に、ドレインが前記第1の第1導電型トランジスタのソースに接続された第3の第1導電型トランジスタと、ソースが第2の電源に、ドレインが前記第1の第1導電型トランジスタのドレインに、ゲートが自身のドレインに接続された第1の第2導電型トランジスタと、ソースが第2の電源に、ゲートが前記第1の第2導電型トランジスタのゲートに接続された第6の第2導電型トランジスタと、ソースが第1の電源に、ドレインが前記第6の第2導電型トランジスタのドレインに、ゲートが自身のドレインに接続された第6の第1導電型トランジスタと、ソースが第2の電源に、ドレインが前記第2の第1導電型トランジスタのドレインに、ゲートが自身のドレインに接続された第2の第2導電型トランジスタと、ソースが第2の電源に、ゲートが前記第2の第2導電型トランジスタのゲートに接続された第7の第2導電型トランジスタと、ソースが第1の電源に、ドレインが前記第7の第2導電型トランジスタのドレインに、ゲートが前記第6の第1導電型トランジスタのゲートに接続された第7の第1導電型トランジスタと、前記オープンドレイン出力回路は、ソースが第1の電源、ゲートが前記第7の第1導電型トランジスタのドレインに、ドレインが出力端子に接続された第14の第1導電型トランジスタを備え、前記バイアス制御差動増幅回路は、ソースが第1の電源に、ゲートが前記第6の第1導電型トランジスタのゲートに接続された第4の第1導電型トランジスタと、ソースが第1の電源に、ゲートが前記第7の第1導電型トランジスタのドレインに接続された第5の第1導電型トランジスタと、を備え、ソースが第2の電源に、ドレインが前記第4の第1導電型トランジスタのドレインに、ゲートが自身のドレインに接続された第4の第2導電型トランジスタと、ソースが第2の電源に、ドレインが前記第5の第1導電型トランジスタのドレインに、ゲートが前記第4の第2導電型トランジスタのゲートに接続された第5の第2導電型トランジスタと、を備えることとする。
【0023】
また、本発明は、差動増幅器を備えるバンドギャップ回路による基準電圧発生回路であって、前記差動増幅器は、上記に記載の差動増幅器とすることとする基準電圧発生回路である。
【0024】
また、本発明は、正入力端子及び負入力端子からなる1対の相補の入力端子に入力される入力信号を、制御端子に入力されるバイアス電流を定める制御信号に基づいて増幅し、相補の対となる出力端子に出力するメイン差動増幅過程と、前記メイン差動増幅回路の相補の対となる出力端子の一方に出力される信号が入力されるMOSトランジスタのドレインに接続される出力端子から出力するオープンドレイン出力過程と、前記メイン差動増幅回路の相補の対となる出力端子に出力される出力信号を増幅し、増幅された信号を前記メイン差動増幅回路の制御端子に入力するバイアス制御差動増幅過程とを備えた差動増幅方法である。
【0025】
また、本発明は、温度と電流に依存した順方向電圧を有する複数の半導体素子と受動素子からなるバンドギャップ電源のコア部と差動増幅器からなる基準電圧発生回路での基準電圧発生方法であって、前記差動増幅部が正入力端子及び負入力端子からなる1対の相補の入力端子に入力される入力信号を、制御端子に入力されるバイアス電流を定める制御信号に基づいて増幅し、相補の対となる出力端子に出力するメイン差動増幅過程と、前記差動増幅部が前記メイン差動増幅回路の相補の対となる出力端子の一方に出力される信号が入力されるMOSトランジスタのドレインに接続される出力端子から出力するオープンドレイン出力過程と、前記差動増幅部が前記メイン差動増幅回路の相補の対となる出力端子に出力される出力信号を増幅し、増幅された信号を前記メイン差動増幅回路の制御端子に入力するバイアス制御差動増幅過程と、前記バンドギャップ電源のコア部が前記MOSトランジスタとカレントミラー接続される第11と第12のMOSトランジスタが定電流を出力する定電流出力過程と、前記バンドギャップ電源のコア部が前記第11のMOSトランジスタの負荷として順方向接続される第1の半導体素子によって第1の順方向電圧を出力し、前記正入力端子に入力する第1の順方向電圧出力過程と、前記バンドギャップ電源のコア部が前記第12のMOSトランジスタの負荷として抵抗と直列に順方向接続される第2の半導体素子によって第2の順方向電圧を出力し、前記負入力端子に入力する第2の順方向電圧出力過程と、を有することを特徴とする基準電圧発生方法である。
【発明の効果】
【0026】
本発明により、メイン差動増幅回路の相補の出力端子に接続されるオープンドレイン出力回路から出力される出力信号電圧における電源電圧変動の影響を低減可能とすることにより、電源電圧変動に対する安定性の高い差動増幅器とすることができる。また、この差動増幅器を、基準電圧発生回路に用いることで、安定性の高い基準電圧発生回路とすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の一実施形態による差動増幅器及び基準電圧発生回路について図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態による差動増幅器100を示す概略ブロック図である。
差動増幅器100は、本発明の実施形態で示される差動増幅器の概略構成を代表的な回路の単位にまとめて示したものである。
差動増幅器100は、メイン差動増幅回路10(Main Diff Amp)、バイアス制御差動増幅回路20及び(Bias Ctrl Amp)オープンドレイン出力回路30(Open Drain Buff)を備える。
【0028】
差動増幅器100におけるメイン差動増幅回路10は、正入力端子IN(+)と負入力端子IN(-)の対となる差動入力端子(1対の相補入力端子)、及び正出力端子DOPと負出力端子DONの対となる差動出力端子(相補の対となる出力端子)を有する全差動増幅回路(全差動増幅部)である。メイン差動増幅回路10は、正入力端子IN(+)と負入力端子IN(-)の対となる差動入力端子において、正入力端子IN(+)の電圧が高い場合に正出力端子DOPには高い電圧を出力し、負出力端子DONには低い電圧を出力する。メイン差動増幅回路10は、バイアス電流を定める制御信号が入力される制御端子BCONTが設けられる。メイン差動増幅回路10は、その制御端子BCONTに入力されるバイアス電流制御信号によって定められる動作点における動作特性によって、差動入力端子に入力される入力信号を増幅して、差動出力端子に出力する。
バイアス制御差動増幅回路20は、正入力端子DIPと負入力端子DINの対となる差動入力端子(1対の相補の入力端子)とシングルエンドの出力端子SOを有する差動増幅回路である。オープンドレイン出力回路30は、少なくとも1つのMOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタからなるオープンドレイン出力回路である。
【0029】
メイン差動増幅回路10の差動出力端子(DOP、DON)には、バイアス制御差動増幅回路20の差動入力端子(DIP、DIN)が接続される。メイン差動増幅回路10の対となる差動出力端子の正出力端子DOPと負出力端子DONは、バイアス制御差動増幅回路20の対となる正入力端子DIPと負入力端子DINの差動入力端子それぞれに接続される、バイアス制御差動増幅回路20の出力SOには、メイン差動増幅回路10の制御端子BCONTが接続される。
メイン差動増幅回路10の差動出力端子の一方の出力端子(DON)には、オープンドレイン出力回路30のMOSトランジスタ31のゲートが接続され、MOSトランジスタ31のドレインが出力端子に接続される。
【0030】
差動増幅器100は、メイン差動増幅回路10が、正入力端子IN(+)と負入力端子IN(-)の対となる差動入力端子に入力される信号を増幅し、増幅された信号を差動出力端子(DOP、DON)に出力する。メイン差動増幅回路10は、その一方の出力端子である出力端子DONに接続されているオープンドレイン出力回路30に、出力した信号を入力する。オープンドレイン出力回路30は、入力された信号を増幅して、増幅された信号を出力端子に出力する。バイアス制御差動増幅回路20は、メイン差動増幅回路10の差動出力端子の正出力端子DOPと負出力端子DON間の電位差を検出し、検出した電位差に応じてメイン差動増幅回路10の動作点を制御するために、メイン差動増幅回路10のバイアス電流を制御する信号をメイン差動増幅回路10に入力する。
すなわち、本実施形態による差動増幅回路100は、入力される入力信号を定められる動作点における特性で増幅するメイン差動増幅回路10と、メイン差動増幅回路10の差動出力端子間の電位差を増幅しメイン差動増幅回路10の動作点を制御するバイアス制御差動増幅回路20と、メイン差動増幅回路10の出力信号を増幅して出力するオープンドレイン出力回路30とを有して構成される。
【0031】
図を参照して差動増幅器100の具体的な構成例を差動増幅器110として示し、その構成について説明する。
図2は、差動増幅器110を示すブロック図である。
差動増幅器110は、メイン差動増幅回路11、バイアス制御差動増幅回路21及びオープンドレイン出力回路31を備える。
差動増幅器110におけるメイン差動増幅回路11は、N型MOS電界効果トランジスタ(以下、「NMOS」と示す。)NMOS MN1、NMOS MN2、NMOS MN3、P型MOS電界効果トランジスタ(以下、「PMOS」と示す。)PMOS MP1、PMOS MP2を備える。
メイン差動増幅回路11においてNMOS MN1は、ゲートが負入力端子IN(-)に接続される。NMOS MN2は、ゲートが正入力端子IN(+)に接続され、ソースがNMOS MN1のソースに接続される。NMOS MN3は、ソースが接地電位VSSに、ドレインがNMOS MN1のソースに接続され、ゲートを回路点BCONT1とする。PMOS MP1は、ソースが電源VDDに、回路点DOP1を示すドレインがNMOS MN1のドレインに、ゲートが自身のドレインに接続される。PMOS MP2は、ソースが電源VDDに、回路点DON1を示すドレインがNMOS MN2のドレインに、ゲートがPMOS MP1のゲートに接続される。
【0032】
バイアス制御差動増幅回路21は、NMOS MN4、NMOS MN5、PMOS MP4、PMOS MP5を備える。
バイアス制御差動増幅回路21においてPMOS MP4は、ソースが電源VDDに、回路点DIP1を示すゲートがPMOS MP1のドレイン(回路点DOP1)に接続される。PMOS MP5は、ソースが電源VDDに、回路点DIN1を示すゲートがPMOS MP2のドレイン(回路点DON1)に、回路点SO1を示すドレインがNMOS MN3のゲートに接続される。NMOS MN4は、ソースが接地電位VSSに、ドレインがPMOS MP4のドレインに、ゲートが自身のドレインに接続される。NMOS NM5は、ソースが接地電位VSSに、ドレインがPMOS MP5のドレインに、ゲートがNMOS MN4のゲートに接続される。
【0033】
オープンドレイン出力回路31は、PMOS MP3を備える。
オープンドレイン出力回路31においてPMOS MP3は、ソースが電源VDDに、ゲートがPMOS MP2のドレイン(回路点DON1)に、ドレインが出力端子OUTに接続される。
各構成間の接続を整理すると、メイン差動増幅回路11の差動出力端子(DOP1、DON1)には、バイアス制御差動増幅回路21の差動入力端子(DIP1、DIN1)が接続される。メイン差動増幅回路11の対となる差動出力端子の正出力端子DOP1と負出力端子DON1は、バイアス制御差動増幅回路21の対となる正入力端子DIP1と負入力端子DIN1の差動入力端子それぞれに接続される、バイアス制御差動増幅回路21の出力SO1には、メイン差動増幅回路11の制御端子BCONT1が接続される。
メイン差動増幅回路11の差動出力端子の一方の出力端子(DON1)には、オープンドレイン出力回路30のMOSトランジスタ31のゲートが接続され、MOSトランジスタ31のドレインが出力端子に接続される。
【0034】
図を参照し前述の図2に示した差動増幅器110における動作について説明する。
図3は、差動増幅器110の構成を簡略化して示したブロック図である。
図に示される差動増幅器110において、図2に示された構成と同じ構成とするものには同じ符号を付し、異なる点について説明する。
差動増幅器110におけるメインの差動増幅回路11は、NMOS MN1とNMOS MN2とからなる差動回路11aと、差動回路11aの負荷となりPMOS MP1とPMOS MP2からなるカレントミラー回路11bと、差動回路11aの動作点を設定するNMOS MN3を有する定電流回路11cによって構成される。
なお、バイアス制御差動増幅回路21は、1つの増幅器としてまとめて示す。
【0035】
メインの差動増幅回路11において、入力オフセット電圧ΔVinが0とする制御での動作について説明する。メインの差動増幅回路11のPMOS MP1とPMOS MP2のドレイン、すなわち回路点DOP1と回路点DON1の電位をVa とVb とする。この時、この差動増幅回路11 の入力オフセット電圧ΔVin は、次式(6)のように表すことができる。
【0036】
ΔVin = (Va - Vb) / (gm・rds) ・・・(6)
【0037】
式(6)において、gmはNMOS MN1とNMOS MN2の相互コンダクタンス、rdsはPMOS MP1とPMOS MP2のドレイン抵抗である。
バイアス制御差動増幅回路21は、回路点DOP1と回路点DON1の電位Va とVbが等しくなるように、回路点BCONT1に与えるバイアス電圧を制御してNMOS MN3に流れるテール電流I0を制御する。バイアス制御差動増幅回路21によって制御された結果、回路点DOP1と回路点DON1の電位Va とVbは、ほぼ等しくなる(Va≒Vb)。すなわち、メインの差動増幅回路11におけるゲインが有限のゲイン(Av=gm・rds)であっても、式(6)に示されるように入力オフセット電圧ΔVinは、ほぼ0V(ボルト)となる(ΔVin≒0)。
【0038】
(第2実施形態)
図を参照して差動増幅器100の第2実施形態による構成例を差動増幅器120として示し、その構成について説明する。
図4は、差動増幅器120を示すブロック図である。
差動増幅器120は、メイン差動増幅回路12、バイアス制御差動増幅回路21及びオープンドレイン出力回路31を備える。この図に示される構成で、図2に示した構成と同じ構成には、同じ符号を付し、異なる構成のメイン差動増幅回路12について説明する。
差動増幅器120におけるメイン差動増幅回路12は、NMOS MN1、NMOS MN2、NMOS MN3、NMOS MN6、NMOS MN7、NMOS MN8、NMOS MN9、PMOS MP1、PMOS MP2、PMOS MP6、PMOS MP7、PMOS MP8、PMOS MP9を備える。
【0039】
メイン差動増幅回路12におけるNMOS MN1は、ゲートが負入力端子IN(-)に接続される。NMOS MN2は、ゲートが正入力端子IN(+)に接続され、ソースがNMOS MN1のソースに接続される。NMOS MN3は、ゲートが回路点BCONT2を示し、ソースが接地電位VSSに、ドレインがNMOS MN1のソースに接続される。PMOS MP1は、ソースが電源VDDに、ドレインがNMOS MN1のドレインに、ゲートが自身のドレインに接続される。PMOS MP6は、ソースが電源VDDに、ゲートがPMOS MP1のゲートに接続される。NMOS MN6は、ソースが接地電位VSSに、ドレインがPMOS MP6 のドレインに、ゲートが自身のドレインに接続される。NMOS MN8は、ソースが接地電位VSSに、ゲートがNMOS MN6のゲートに接続される。
【0040】
PMOS MP2は、ソースが電源VDDに、ドレインがNMOS MN2のドレインに、ゲートが自身のドレインに接続される。PMOS MP7は、ソースが電源VDDに、ゲートがPMOS MP2のゲートに接続される。NMOS MN7は、ソースが接地電位VSSに、ドレインがPMOS MP7のドレインに、ゲートが自身のドレインに接続される。NMOS MN9は、ソースが接地電位VSSに、ゲートがNMOS MN7 のゲートに接続される。PMOS MP8は、ソースが電源VDDに、回路点DOP2を示すドレインがNMOS MN8のドレインに、ゲートが自身のドレインに接続される。PMOS MP9は、ソースが電源VDDに、回路点DON2を示すドレインがNMOS MN9のドレインに、ゲートがPMOS MP8のゲートに接続される。
【0041】
また、メイン差動増幅回路12と、バイアス制御差動増幅回路21及びオープンドレイン出力回路31との接続を示す。バイアス制御差動増幅回路21における回路点DIP1は、回路点DOP2を示すPMOS MP8のドレインに接続される。バイアス制御差動増幅回路21における回路点DIN1は、回路点DON2を示すPMOS MP9のドレインに接続される。バイアス制御差動増幅回路21における回路点SO1は、回路点BCONT2を示すNMOS MN3のゲートに接続される。オープンドレイン出力回路31の入力を示すゲートは、回路点DON2を示すPMOS MP9のドレインに接続する。
【0042】
差動増幅器120は、接続される負荷が重い場合や、メイン差動増幅回路12の出力振幅範囲(ダイナミックレンジ)をほぼ電源電圧範囲に広げたい場合などに適した回路である。
前述のメイン差動増幅回路11に対して、メイン差動増幅回路12ではPMOS MP6、MP7、MP8及びMP9とNMOS MN6、MN7、MN8及びMN9から構成されたカレントミラー構成の増幅回路を追加したことで、PMOS MP9のドレインとNMOS MN9 のドレイン(回路点DON2)でのメイン差動増幅回路の出力振幅範囲(ダイナミックレンジ)をほぼ電源電圧範囲に広げることができる。
【0043】
例えば、出力端子OUTに接続される負荷電流値が大きく、PMOS MP3のゲート・ソース間電圧VGS(MP3)が大きくなる場合には、前述のメイン差動増幅回路11では、出力端子間のオフセット電圧がゼロになるまでPMOS MP1、MP2のゲート・ソース間電圧VGSを大きくできない場合がある。これはNMOS MN1とMN2の共通接続されたソースの電位の変動範囲によって、ダイナミックレンジが制限されるためである。
一方、メイン差動増幅回路12では、NMOS MN1とMN2の共通接続されたソースの電位の変動範囲に影響されることなくPMOS MP3のゲート・ソース間電圧VGS(MP3)を大きくすることができる。そして、ダイナミックレンジをほぼ電源電圧範囲とすることができるため、大きな出力負荷電流に対しても、出力端子間のオフセット電圧をゼロとすることができる。
【0044】
ところで、図4に追加されているPMOS MP6、MP7、MP8及びMP9とNMOS MN6、MN7、MN8及びMN9から構成されたカレントミラー構成の増幅回路の構成は、単にダイナミックレンジを広げるという意味では冗長な構成になっている。これは次の理由に依る。
PMOS MP8及びMP9、NMOS MN8及びMN9の各トランジスタを削除して、NMOS MN6のゲート・ドレインをNMOS MN7のゲートに接続したカレントミラー構成の増幅回路として、バイアス制御作動増幅回路の入力を、PMOS MP6とPMOS MP7のドレインからそれぞれ取り出すという構成にした場合について考えてみる。この場合、出力端子間のオフセット電圧がゼロになる条件は、PMOS MP6とPMOS MP7のドレイン電位が等しくなることである。ところが、PMOS MP6のドレインは、PMOS MP6のゲート・ソース間電圧VGSによって電位が決まるので、バイアス制御作動増幅回路によってNMOS MN3に流れる電流を変化させても出力端子間のオフセット電圧がゼロとなる条件を満足できない場合がある。このような問題を回避するために、PMOS MP8及びMP9、NMOS MN8及びMN9を含む一見冗長な構成の増幅回路となっている。
【0045】
上記で示したように図4の回路においてNMOS MN5に流れる電流I5を考えてみると、NMOS MN1に流れる電流I1とカレントミラーの関係にある。即ち、PMOS MP1とPMOS MP6のカレントミラー接続、NMOS MN6とNMOS MN8のカレントミラー接続、PMOS MP8とPMOS MP4のカレントミラー接続を経由して、NMOS MN4とNMOS MN5のカレントミラー接続にNMOS MN1に流れる電流と同じ値の電流が流れる。つまり、PMOS MP6とNMOS MN6に流れる電流I6、NMOS MN8とPMOS MP8に流れる電流I8、PMOS MP4とNMOS MN4に流れる電流I4及び電流I5は、電流I1と同じ値の電流が流れることになる。
また、図4の回路では、メイン差動増幅回路12が多段構成となり、その電圧増幅率自体が高くなる。電圧増幅率が高いということは、式(5)の分母(gm・rds) が大きくなるということと同じ意味をもつので、図3の第1実施形態よりも更にオフセット低減の効果が期待できる。
【0046】
(第3実施形態)
図を参照して差動増幅器100の第3実施形態による構成例を差動増幅器130として示し、その構成について説明する。
図5は、差動増幅器130を示すブロック図である。
差動増幅器130は、メイン差動増幅回路13、バイアス制御差動増幅回路22及びオープンドレイン出力回路31を備える。この図に示される構成で、図2に示した構成と同じ構成には、同じ符号を付し、異なる構成のメイン差動増幅回路13とバイアス制御差動増幅回路22について説明する。
差動増幅器130におけるメイン差動増幅回路13は、NMOS MN1、NMOS MN2、NMOS MN3、NMOS MN6、NMOS MN7、NMOS MN8、NMOS MN9、PMOS MP1、PMOS MP2、PMOS MP6、PMOS MP7、PMOS MP8、PMOS MP9を備える。
【0047】
メイン差動増幅回路13におけるNMOS MN1は、ゲートが負入力端子IN(-)に接続される。
NMOS MN2は、ゲートが正入力端子IN(+)に接続され、ソースがNMOS MN1のソースに接続される。NMOS MN3は、ゲートが回路点BCONT3を示し、ソースが接地電位VSSに、ドレインがNMOS MN1のソースに接続される。PMOS MP1は、ソースが電源VDDに、ドレインがNMOS MN1のドレインに、ゲートが自身のドレインに接続される。PMOS MP6は、ソースが電源VDDに、ゲートがPMOS MP1のゲートに接続される。NMOS MN6は、ソースが接地電位VSSに、ドレインがPMOS MP6のドレインに、回路点DOP3を示すゲートが自身のドレインに接続される。NMOS MN8は、ソースが接地電位VSSに、ゲートがNMOS MN6のゲートに接続される。
【0048】
PMOS MP2は、ソースが電源VDDに、ドレインがNMOS MN2のドレインに、ゲートが自身のドレインに接続される。PMOS MP7は、ソースが電源VDDに、ゲートがPMOS MP2のゲートに接続される。NMOS MN7は、ソースが接地電位VSSに、ドレインがPMOS MP7のドレインに、ゲートが自身のドレインに接続される。NMOS MN9は、ソースが接地電位VSSに、ゲートがNMOS MN7のゲートに接続される。PMOS MP8は、ソースが電源VDDに、ドレインがNMOS MN8のドレインに、ゲートが自身のドレインに接続される。PMOS MP9は、ソースが電源VDDに、回路点DON3を示すドレインがNMOS MN9のドレインに、ゲートがPMOS MP8のゲートに接続される。
【0049】
差動増幅器130におけるバイアス制御差動増幅回路22は、NMOS MN5、PMOS MP5を備える。
バイアス制御差動増幅回路22においてPMOS MP5は、ソースが電源VDDに、回路点DIN2を示すゲートがPMOS MP9のドレイン(回路点DON3)に、回路点SO2を示すドレインがNMOS MN3のゲートに接続される。NMOS NM5は、ソースが接地電位VSSに、ドレインがPMOS MP5のドレインに、回路点DIP2を示すゲートがNMOS MN6のゲート(回路点DOP3)に接続される。
また、オープンドレイン出力回路31の入力を示すゲートは、回路点DON3を示すPMOS MP9のドレインに接続する。
【0050】
バイアス制御差動増幅回路22は、前述のバイアス制御差動増幅回路21の構成を簡略化した例である。
バイアス制御差動増幅回路22は、対となるPMOS MP5とNMOS MN5からなる。そのNMOS MN5のゲートがNMOS MN6のゲートに接続されている。前述のバイアス制御差動増幅回路21と比べると、バイアス制御差動増幅回路21は、PMOS MP4及びMP5とNMOS MN4及びNMOS MN5で構成されているが、バイアス制御差動増幅回路22は、PMOS MP4とNMOS MN4が省略されている。これは、差動増幅回路13の出力端子間のオフセット電圧がゼロの平衡状態になった時には、NMOS MN1とNMOS MN2に流れる電流I1とI2は等しく、結果としてNMOS MN5に流れる電流I5は、前述の図4の場合と等しくなるので、このような構成も可能となる。
【0051】
すなわち、図4に示した差動増幅器120においてMN5に流れる電流I5を考えてみると、MN1に流れた電流I1とカレントミラーの関係にある。具体的には、PMOS MP1とPMOS MP6のカレントミラー接続、NMOS MN6とNMOS MN8のカレントミラー接続、PMOS MP8とPMOS MP4のカレントミラー接続を経由して、NMOS MN4とNMOS MN5のカレントミラー接続に、NMOS MN1に流れる電流値と同じ電流がそれぞれ流れる。したがって、NMOS MN5のゲートをNMOS MN6のゲートに接続すると、PMOS MP4とNMOS MN4は省略可能である。
本実施形態で示したメイン差動増幅回路13は、前述のメイン差動増幅回路12と基本的な動作が同じであり、バイアス制御差動増幅回路22との接続が異なる。
【0052】
(第4実施形態)
図を参照して差動増幅器100の第4実施形態による構成例を差動増幅器140を示し、その構成について説明する。
図6は、差動増幅器140を示すブロック図である。
差動増幅器140は、メイン差動増幅回路14、バイアス制御差動増幅回路22及びオープンドレイン出力回路31を備える。この図に示される構成で、図2及び図5に示した構成と同じ構成には、同じ符号を付し、異なる構成のメイン差動増幅回路14について説明する。
差動増幅器120におけるメイン差動増幅回路14は、NMOS MN1、NMOS MN2、NMOS MN3、NMOS MN6、NMOS MN7、NMOS MN8、NMOS MN9、PMOS MP1、PMOS MP2、PMOS MP6、PMOS MP7、PMOS MP8、PMOS MP9を備える。
【0053】
メイン差動増幅回路14におけるNMOS MN1は、ゲートが負入力端子IN(-)に接続される。NMOS MN2は、ゲートが正入力端子IN(+)に接続され、ソースがNMOS MN1のソースに接続される。NMOS MN3は、ゲートが回路点BCONT4を示し、ソースが接地電位VSSに、ドレインがNMOS MN1のソースに接続される。PMOS MP1は、ソースが電源VDDに、ドレインがNMOS MN1のドレインに、ゲートが自身のドレインに接続される。PMOS MP6は、ソースが電源VDDに、ゲートがPMOS MP1のゲートに接続される。NMOS MN6は、ソースが接地電位VSSに、ドレインがPMOS MP6のドレインに、ゲートが自身のドレインに接続される。NMOS MN8は、ソースが接地電位VSSに、ゲートがNMOS MN6のゲートに接続される。
【0054】
PMOS MP2は、ソースが電源VDDに、ドレインがNMOS MN2のドレインに、ゲートが自身のドレインに接続される。PMOS MP7は、ソースが電源VDDに、ゲートがPMOS MP2のゲートに接続される。NMOS MN7は、ソースが接地電位VSSに、ドレインがPMOS MP7のドレインに、ゲートが自身のドレインに接続される。NMOS MN9は、ソースが接地電位VSSに、回路点DOP4を示すゲートがNMOS MN7のゲートに接続される。PMOS MP8は、ソースが電源VDDに、ドレインがNMOS MN8のドレインに、ゲートが自身のドレインに接続される。PMOS MP9は、ソースが電源VDDに、回路点DON4を示すドレインがNMOS MN9のドレインに、ゲートがPMOS MP8のゲートに接続される。
【0055】
また、バイアス制御差動増幅回路22及びオープンドレイン出力回路31との接続を示す。バイアス制御差動増幅回路22における回路点DIN1は、回路点DON4を示すPMOS MP9のドレインに接続される。バイアス制御差動増幅回路22における回路点DIP1は、回路点DOP4を示すNMOS MN9のゲートに接続される。バイアス制御差動増幅回路22における回路点SO1は、回路点BCONT4を示すNMOS MN3のゲートに接続される。
オープンドレイン出力回路31の入力を示すゲートは、回路点DON4を示すPMOS MP9のドレインに接続する。
【0056】
バイアス制御差動増幅回路22は、対となるPMOS MP5とNMOS MN5からなる。そのNMOS MN5のゲートがNMOS MN9のゲートに接続されている。前述のバイアス制御差動増幅回路21と比べると、バイアス制御差動増幅回路21は、PMOS MP4及びMP5とNMOS MN4及びNMOS MN5で構成されているが、バイアス制御差動増幅回路22は、PMOS MP4とNMOS MN4が省略されている。これは、差動増幅回路13の出力端子間のオフセット電圧がゼロの平衡状態になった時には、NMOS MN1とNMOS MN2に流れる電流I1とI2は等しく、結果としてNMOS MN5に流れる電流I5は、前述の図4の場合と等しくなるので、このような構成も可能となる。
【0057】
すなわち、図4に示した差動増幅器120においてMN5に流れる電流I5を考えてみると、MN1に流れた電流I1とカレントミラーの関係にある。具体的には、PMOS MP1とPMOS MP6のカレントミラー接続、NMOS MN6とNMOS MN8のカレントミラー接続、PMOS MP8とPMOS MP4のカレントミラー接続を経由して、NMOS MN4とNMOS MN5のカレントミラー接続に、NMOS MN1に流れる電流値と同じ電流がそれぞれ流れる。したがって、NMOS MN5のゲートをNMOS MN6のゲートに接続すると、PMOS MP4とNMOS MN4は省略可能である。
本実施形態で示したメイン差動増幅回路14は、前述のメイン差動増幅回路12及びメイン差動増幅回路13と基本的な動作が同じであり、バイアス制御差動増幅回路22との接続点が異なる。
【0058】
(第5実施形態)
図を参照して差動増幅器100の第5実施形態による構成例を差動増幅器150として示し、その構成について説明する。
図7は、差動増幅器150を示すブロック図である。
差動増幅器150は、メイン差動増幅回路15、バイアス制御差動増幅回路23及びオープンドレイン出力回路32を備える。
差動増幅器150におけるメイン差動増幅回路15は、NMOS MN1、NMOS MN2、NMOS MN3、NMOS MN6、NMOS MN7、PMOS MP1、PMOS MP2、PMOS MP6、PMOS MP7を備える。
【0059】
メイン差動増幅回路15におけるNMOS MN1は、ゲートが正入力端子IN(+)に接続される。NMOS MN2は、ゲートが負入力端子IN(-)に接続され、ソースがNMOS MN1のソースに接続される。NMOS MN3は、ゲートが回路点BCONT5を示し、ソースが接地電位VSSに、ドレインがNMOS MN1のソースに接続される。PMOS MP1は、ソースが電源VDDに、ドレインがNMOS MN1のドレインに、ゲートが自身のドレインに接続される。PMOS MP6は、ソースが電源VDDに、ゲートがPMOS MP1のゲートに接続される。NMOS MN6は、ソースが接地電位VSSに、ドレインがPMOS MP6のドレインに、回路点DOP5を示すゲートが自身のドレインに接続される。
【0060】
PMOS MP2は、ソースが電源VDDに、ドレインがNMOS MN2のドレインに、ゲートが自身のドレインに接続される。PMOS MP7は、ソースが電源VDDに、ゲートがPMOS MP2のゲートに接続される。NMOS MN7は、ソースが接地電位VSSに、回路点DON5を示すドレインがPMOS MP7のドレインに、ゲートがNMOS MN6のゲートに接続される。
【0061】
オープンドレイン出力回路32は、NMOS MN14を備える。
オープンドレイン出力回路32におけるNMOS MN14は、ソースが接地電位VSS、ゲートがNMOS MN7のドレインに、ドレインが出力端子OUTに接続される。
【0062】
バイアス制御差動増幅回路23は、NMOS MN4、NMOS MN5、PMOS MP4、PMOS MP5を備える。
バイアス制御差動増幅回路23におけるNMOS MN4は、ソースが接地電位VSSに、回路点DIP3を示すゲートがNMOS MN6のゲートに接続される。NMOS MN5は、ソースが接地電位VSSに、回路点DIN3を示すゲートがNMOS MN7のドレインに接続される。
PMOS MP4は、ソースが電源VDDに、ドレインがNMOS MN4のドレインに、ゲートが自身のドレインに接続される。PMOS MP5は、ソースが電源VDDに、回路点SO3を示すドレインがNMON MN3のゲートおよびNMOS MN5のドレインに、ゲートがPMOS MP4のゲートに接続される。
【0063】
負荷回路の種類によっては、PMOSオープンドレイン出力よりもNMOSオープンドレイン出力のほうが適している場合がある。そのような場合に、この実施形態は適している。メイン差動増幅回路15におけるNMOS MN6とNMOS MN7のドレイン電位が等しくなるように、バイアス制御差動増幅回路23におけるPMOS MP4、MP5、NMOS MN4、NMOS MN5が、メイン差動増幅回路15のバイアスを制御する動作を行う。
【0064】
(第6実施形態)
図を参照して差動増幅器100を用いた基準電圧発生回路200について説明する。
図8は、基準電圧発生回路200を示すブロック図である。
基準電圧発生回路200は、メイン差動増幅回路10、バイアス制御差動増幅回路20及びオープンドレイン出力回路31からなる差動増幅器100と、基準電源回路41とを備える。
この図に示される構成で、図1に示した構成と同じ構成には、同じ符号を付し、異なる構成の基準電源回路41について説明する。
【0065】
基準電圧発生回路210における基準電源回路41は、「非特許文献1」に報告されている低電圧バンドギャップ電源回路である。
その構成を説明する。
PNOS MP11とPNOS MP12は、ソースが電源VDDに接続され、ゲートが差動増幅器のオープンドレイン出力回路31のMOSトランジスタのゲートにカレントミラー接続される。ダイオードD1は、抵抗R1と並列接続され、アノードがPMOS MP11のドレインに、カソードが接地電位VSSに接続される。ダイオードD2は、アノードが抵抗R3を介してPMOS MP12のドレインに、カソードが接地電位VSSに接続される。抵抗R2は、PMOS MP12のドレインと、接地電位VSSに接続される。NMOS MN13は、ゲートが入力端子PwrUPに、ドレインがオープンドレイン出力回路31のMOSトランジスタのゲートに、ソースが接地電位VSSに接続される。また、PNOS MP11のドレインは、回路点BGX1を示し、差動増幅器の正入力端子IN(+)に接続される。PNOS MP12のドレインは、回路点BGXNを示し、差動増幅器の正入力端子IN(−)に接続される。
【0066】
差動増幅器100は、前述の本実施形態に示した各差動増幅器が適用できる。差動増幅器の具体的な構成を適用した基準電圧発生回路の例を示す。
図10は、基準電圧発生回路210を示すブロック図である。
基準電圧発生回路210は、メイン差動増幅回路11、バイアス制御差動増幅回路21及びオープンドレイン出力回路31からなる差動増幅器110と、基準電源回路41とを備える。差動増幅器110の負入力端子IN(-)、正入力端子IN(+)及び回路点DON1には、基準電源回路41の回路点BGXN、BGX1及びBGBがそれぞれ接続される。
【0067】
また、図11は、基準電圧発生回路220を示すブロック図である。
基準電圧発生回路220は、メイン差動増幅回路12、バイアス制御差動増幅回路21及びオープンドレイン出力回路31からなる差動増幅器120と、基準電源回路41とを備える。差動増幅器120の負入力端子IN(-)、正入力端子IN(+)及び回路点DON2には、基準電源回路41の回路点BGXN、BGX1及びBGBがそれぞれ接続される。
【0068】
また、図12は、基準電圧発生回路230を示すブロック図である。
基準電圧発生回路230は、メイン差動増幅回路14、バイアス制御差動増幅回路22及びオープンドレイン出力回路31からなる差動増幅器140と、基準電源回路41とを備える。差動増幅器140の負入力端子IN(-)、正入力端子IN(+)及び回路点DON4には、基準電源回路41の回路点BGXN、BGX1及びBGBがそれぞれ接続される。
【0069】
これらの図に示される構成で、前述の各図に示した構成と同じ構成には、同じ符号を付し、異なる構成の基準電源回路41について説明する。
【0070】
図9を参照して、低電圧バンドギャップ電源の動作について簡単に説明する。
ダイオードD1とダイオードD2の接合面積の比は1:Nとする。また、簡単のために抵抗R1と抵抗R2は等しい値で、PMOS MP11、MP12及びMP3のP型チャネルのゲート幅とゲート長は等しいと仮定する。
NMOS MN1、MN2及びMN3並びにPMOS MP1及びMP2から構成される差動増幅器によって、差動増幅回路の相補入力電圧Vx1 とVxNの電位が等しくなるように、電流I11,I12,及びI3が制御される。すなわち、次式(7)が成り立つと仮定する。
【0071】
I11 = I12 = I3 ・・・(7)
【0072】
Vx1 = Vf1、Vx1 = Vx2、かつR1 = R2 であるから、抵抗R1とR2に流れる電流I11b, I12b は次式(8)の通りである。
【0073】
I11b = I12b = Vf1 / R1 ・・・(8)
【0074】
ダイオードD1に流れる電流I11aとダイオードD2に流れる電流I12aは次のように表すことができる。
【0075】
I11a = Is・A・exp{Vf1 / (kT/q)} ・・・(9)
【0076】
I12a = Is・NA・exp{Vf2 / (kT/q)} ・・・(10)
【0077】
式(9)と式(10)において、Isは単位面積あたりの接合の逆方向飽和電流、AとNAはダイオードD1とダイオードD2の接合面積である。
PMOS MP11とMP12は、チャネルサイズの等しいPMOSトランジスタによるカレントミラー回路なので、ダイオードD1とD2に流れる電流は等しく(I11a=I12a)なることから、式(9)と式(10)の比を取り、Vf1とVf2の差を求めると次式(11)のようになる。
【0078】
Vf1 - Vf2 = (kT/q)・ln(N) ・・・(11)
【0079】
差動増幅回路の相補入力電圧は仮想ショートされて等しい(Vx1=VxN)ので、式(11)は、抵抗R3に掛かる電圧dVf と等しいから、次の通りである。
【0080】
dVf = Vf1 - Vf2 = (kT/q)・ln(N) ・・・(12)
【0081】
式(7)と式(8)より、I11a=I12a であり、式(12)から抵抗R3に流れる電流I12a が次式(13)として示される。
【0082】
I11a=I12a = dVf / R3 = (1 / R3)・(kT/q)・ln(N) ・・・(13)
【0083】
以上より、PMOS MP3の電流I3 が次式(14)として示される。
【0084】
I3 = I12 = I12a + I12b = (1 / R3)・(kT/q)・ln(N) + Vf1 / R1 ・・・(14)
【0085】
これより、出力される基準電圧Vref が次式(15)として示される。
【0086】
Vref = R4・I3 = (R4 / R1)・{Vf1 + (R1 / R3)・(kT/q)・ln(N)} ・・・(15)
【0087】
式(15)の{ }内は、通常のバンドギャップ電源と同じ形である。{ }内第1項のVf1 が負の温度係数を持ち、{ }内第2項の((kT/q)・ln(N))は正の温度係数を持つので、R1/R3の値を適切に調整すると温度係数を相殺することができる。詳細は省略するが、{ }内で示される電圧が1.2V(ボルト)程度で温度係数がゼロになることが知られている。式に示すと式(16)となる。
【0088】
Vf1 + (R1 / R3)・(kT/q)・ln(N) = 1.2(V) ・・・(16)
【0089】
したがって、抵抗R1に対する抵抗R4の比を0.5〜0.6程度(R4/R1=0.5〜0.6) に設定すると、基準電圧として0.6〜0.72V(ボルト)(Vref = 0.6〜0.72V)の電圧を得ることができる。このようにして、電源電圧が1.2V(ボルト)程度の低電圧半導体装置向けのバンドギャップ電源として適切な基準電圧を得ることができる。
以上の動作の説明の中では、差動増幅回路の入力オフセット電圧の影響はゼロであることを仮定していた。
【0090】
実際の回路では、入力オフセット電圧の影響をゼロにすることは、図9の差動増幅回路の構成では困難であることを以下に説明する。
説明を簡単にするために、PMOS MP1、MP2、MP11、MP12及びMP3のゲート長とゲート幅は等しいと仮定する。
【0091】
まず、差動増幅回路のテール電流I0が、ダイオードD1とD2に流れる電流I11、I12の2倍よりも小さい場合を考えてみる。式で示すと式(17)で示される。
【0092】
I0 < 2・I11 又は I0 < 2・I12 ・・・(17)
【0093】
仮に、入力オフセット電圧が生じていない場合では、Vx1=VxN であれば、I1=I2となり、Va=Vb となるはずである。ところが、Va=Vb であるということは、PMOS MP11とPMOS MP12は、カレントミラーと同じなので、I11=I12=I1=I2でなければならないこととなる。
これは上記の式(17)で示した仮定と矛盾してしまう。したがって、少なくともVb>Va となって、PMOS MP11とMP12に式(14)に示す電流が流せるように、差動増幅回路のI1とI2はI1>I2となる。この電流の差(I1 - I2)は、NMOS MN1とMN2の入力オフセット電圧の発生原因そのものである。すなわち、入力オフセット電圧ΔVos = Vx1 - VxN とすると、NMOS MN1とMN2の相互コンダクタンスgm として、次式(18)のように表すことができる。
【0094】
ΔVos = (I1 - I2) / gm ・・・(18)
【0095】
さらに、テール電流I0をダイオードD1とD2に流れる電流I11、I12の2倍よりも大きくする場合(I0 > 2・I11 又は I0 > 2・I12)も同様である。
すなわち、ΔVos をゼロにするには、テール電流I0は、ダイオードD1とD2に流れる電流I11、I12の2倍(I0=2・I11 又はI0=2・I12)を満足させる必要がある。図9の場合、PMOS MP11のゲート幅をPMOS MP11、MP12の2倍程度にして、I0=2・I11 又はI0=2・I12 を満足させようとする場合には、NMOS MN3とMN10のミラー比が一定にならないとそのような設計はできない。ところが、NMOS MN3のドレイン電圧となるコモンソースのノード電位Vcs は、次式(19)のようになる。
【0096】
Vcs = Vf1 - VGS(MN2) ・・・(19)
【0097】
これは、NMOS MN10のドレイン電圧であるVGS(MN10)よりは相当に低く、NMOS MN3が飽和領域で動作することは非常に難しいことは容易に想像できる。例えば、
【0098】
Vf1=600mV、VGS(MN2)=500mV、VGS(MN10)=600mV
【0099】
とすれば、Vcs=100mV しかなく、NMOS MN3は明らかに線形領域で動作することになる。つまり、NMOS MN3に流れる電流値I0をある特定の条件でI0=2・I11 又はI0=2・I12 となるように設計したとしても、温度や電源電圧の変動でいくらでも変化してしまうことになる。これを軽減するために、NMOS MN1とMN2のスレッショルド電圧VT をディプレッション側に低くすることも対策手段の一つであるが、スレッショルド電圧VTの異なる複数のトランジスタを用意する必要が生じる。
そこで、上記の問題を解決するために、本発明の第1実施形態である図2の差動増幅回路を適用した図10の回路では、特別なトランジスタを用いること無く、かつ温度や電源電圧が変動しても、ΔVos=0 にすることができる。
図10の回路では、NMOS MN3に流れる電流を、PMOS MP1とMP2のドレイン電圧が等しくなるように制御するので、図9のI1〜I3、I11、I12に相当する電流は全て等しくなり、式(13)の右辺は常にゼロに保たれることになる。
【0100】
図を参照し、本実施形態による基準電圧発生回路の特性について説明する。
図13は、基準電圧発生回路の基準電圧出力特性を示すグラフである。このグラフの横軸は電源電圧VDD(V(ボルト))を示し、縦軸は基準電圧出力の電圧Vref(V(ボルト))を示す。
この図に示されるグラフ11は、基準電圧発生回路210が出力する基準電圧出力の電源電圧変化に対する依存性を示す。グラフ12は、基準電圧発生回路220が出力する基準電圧出力の電源電圧変化に対する依存性を示す。グラフ13は、基準電圧発生回路230が出力する基準電圧出力の電源電圧変化に対する依存性を示す。また、グラフ14は、図9に示した従来方式における基準電圧発生回路290が出力する基準電圧出力の電源電圧変化に対する依存性を比較のためにあわせて示す。この図に示されたグラフから、従来方式によるグラフ14に比べ、グラフ11、12及び13の傾きが平坦となっていることが示されている。すなわち、グラフ11、12及び13では、電源電圧変化があっても出力される電圧の変化量が少なくなり、安定に動作していることが示されている。
【0101】
図14は、基準電圧発生回路の入力オフセット電圧特性を示すグラフである。このグラフの横軸は電源電圧VDD(V(ボルト))を示し、縦軸は入力オフセット電圧ΔVos(V(ボルト))を示す。
この図に示されるグラフ21は、基準電圧発生回路210における入力オフセット電圧の電源電圧変化に対する依存性を示す。グラフ22は、基準電圧発生回路220における入力オフセット電圧の電源電圧変化に対する依存性を示す。グラフ23は、基準電圧発生回路230における入力オフセット電圧の電源電圧変化に対する依存性を示す。また、グラフ24は、図9に示した従来方式における基準電圧発生回路290における入力オフセット電圧の電源電圧変化に対する依存性を比較のためにあわせて示す。この図に示されたグラフから、従来方式によるグラフ24に比べ、グラフ21、22及び23の値が小さくなっていることが示されている。また、グラフ21、22及び23では、電源電圧変化があっても入力オフセット電圧の変化も少なくなり、安定に動作していることが示されている。
【0102】
(第7実施形態)
図を参照し、本発明の差動増幅器を適用するのに好適な他の実施形態について説明する。その実施形態の例として、定倍回路について示す。
図15は、定倍回路310を示すブロック図である。
図に示される定倍回路310は、差動増幅器110と、抵抗R5、抵抗R6を備える。
抵抗6は、一端が差動増幅器110の出力端子に接続され、他端が抵抗R5を介して接地電位VSSに接続され、また差動増幅器110の負入力端子IN(−)(反転入力端子)に接続される。抵抗R5と抵抗R6は、差動増幅器110の出力電圧VOUTを分圧し、分圧された電圧をフィードバック量とする負帰還回路を構成している定倍回路である。
定倍回路310の出力電圧VOUTは、次式(20)で表される。
【0103】
VOUT = ( 1 + R6 / R5)・Vin ・・・(20)
【0104】
図16は、比較のために示した従来技術の定倍回路390を示す。
定倍回路390に用いられる差動増幅器190では、差動入力のテール電流を制御するNMOS MN3は、NMOS MN12とカレントミラー接続されている。そのため、抵抗R7とNMOS MN12とで定められる電流に応じた電流が、NMOS MN3に流れるテール電流となる。
【0105】
図を参照し、定倍回路310の出力電圧特性について説明する。
図17は、定倍回路の出力電圧を負荷電流がゼロの時に1V(ボルト)になるように設定したときの、出力電圧と負荷電流の関係を示すグラフである。このグラフの横軸は、負荷電流Iout(μA(マイクロ アンペア))を示し、縦軸は入力オフセット電圧ΔVos(V(ボルト))を示す。
この図に示されるグラフ31は、定倍回路310の出力電圧特性を示すグラフである。
グラフ32は、従来回路の差動増幅器190を用いた定倍回路390の出力電圧特性を示すグラフである。
本発明の差動増幅回路によるグラフ31では、負荷電流Ioutが増加すると、出力電圧が低下する傾向を示しているが、その電圧の変化は大きな変化ではない。それに対し、従来回路によるグラフ32では、負荷電流の増加に伴い出力電圧が大きく変動してしまう。
それぞれのグラフを比較を行うと、本発明を適用することで改善されていることが示されている。
【0106】
このような特性を得ることができる定倍回路の動作について説明する。
説明を簡単にするため、図15に示される差動増幅器110及び図16に示される差動増幅器190のPMOS MP1、MP2及びMP3のサイズは等しく、同じ特性を有しているものと仮定する。
この仮定に基づき図16に示される定倍回路390において、負荷電流Ioutがゼロの時に所定の出力電圧が得られるような回路定数の最適化について説明する。前述の入力オフセット電圧について示したことからも明らかなように、図16のNMOS MN3に流れるテール電流I0を、フィードバック路をなす抵抗R5とR6に流れる帰還電流の2倍に設定したときに、誤差の無い出力が得られることになる。
【0107】
このような定倍回路390では、消費電流を抑えるために、抵抗R5とR6の抵抗値が十分高い抵抗値に設定され、NMOS MN3に流すテール電流I0も少なく設定されることが多い。そのような場合、抵抗R5とR6に流れる帰還電流が少なくなる。さらに、負荷電流Ioutが無い場合において、このテール電流I0を多く流すとオフセット誤差を発生してしまうことになる。
【0108】
また、負荷電流Ioutを増加させていくと、入力オフセット電圧が極端に悪化する。その原因は、負荷電流Ioutの増加に応じてPMOS MP3のゲート電位を下げることが必要になり、テール電流I0を少なく設定しているために、NMOS MN1とMN2に流れる電流I1とI2のバランスを崩して、それぞれの電流の比を大きくすることが必要となるためである。そのため、入力オフセットは極端に悪化してしまう。
【0109】
一方、図15に示す回路では、NMOS MN3に流れる電流I0は、負荷電流Ioutと抵抗R5,R6に流れる帰還電流の和(すなわちMP3に流れる電流)の2倍になるようにバイアス制御差動増幅回路21によって制御されることになる。そのため、負荷電流Ioutが増加しても入力オフセット電圧を最小となる条件となるようにバイアス制御差動増幅回路21が制御するので、出力電圧の変動幅を小さくすることができる。
【0110】
差動増幅器を適用する回路において、入力信号の電圧レベルが小さい場合、或いは出力電流が変動する場合などの要因によって、その差動増幅器のバイアス設定を最適化させることが困難となることがある。そのような条件の場合に、本発明の差動増幅器を適用することによって、入力オフセット電圧を抑制することができ、誤差の少ない基準電圧を提供することが可能となる。
【0111】
なお、本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。本発明の差動増幅器並びに基準電圧発生回路における、構成要素には、類似の機能を有する素子を適用することができ、構成数や接続形態についても特に限定されるものではない。
また、本実施形態で示した回路構成について、電源の極性と回路素子の極性をそろえて代えることにより、極性の異なる導電型の回路素子を適用することができる。
また、オープンドレイン出力回路30、オープンドレイン出力回路31及びオープンドレイン出力回路32は、1つのMOSトランジスタを備えることとして説明したが、複数のMOSトランジスタを用いた回路とすることもできる。
【0112】
本発明の差動増幅器は、差動増幅器100、差動増幅器110、差動増幅器120、差動増幅器130、差動増幅器140、差動増幅器150である。また、本発明のメイン差動増幅回路は、メイン差動増幅回路10、メイン差動増幅回路11、メイン差動増幅回路12、メイン差動増幅回路13、メイン差動増幅回路14、メイン差動増幅回路15である。また、本発明のバイアス制御差動増幅回路は、バイアス制御差動増幅回路20、バイアス制御差動増幅回路21、バイアス制御差動増幅回路22、バイアス制御差動増幅回路23である。また、本発明のオープンドレイン出力回路は、オープンドレイン出力回路30、オープンドレイン出力回路31、オープンドレイン出力回路32である。また、本発明の第1のオープンドレイン出力回路は、オープンドレイン出力回路31である。また、本発明の第2のオープンドレイン出力回路は、オープンドレイン出力回路32である。
また、本発明の基準電圧発生回路は、基準電圧発生回路200、基準電圧発生回路210、基準電圧発生回路220、基準電圧発生回路230である。
【0113】
また、本発明の1対の差動増幅回路は、N型MOSトランジスタ(NMOS) NM1とP型MOSトランジスタ(PMOS)とで構成される差動回路11aである。また、本発明の電流制御回路は、定電流回路11c(N型MOSトランジスタ(NMOS) MN3)である。また、本発明のカレントミラー回路は、例えばカレントミラー回路11bである。また、本発明の差動増幅部は、メイン差動増幅回路10、メイン差動増幅回路11、メイン差動増幅回路12、メイン差動増幅回路13、メイン差動増幅回路14、メイン差動増幅回路15である。
【図面の簡単な説明】
【0114】
図1】本発明の第1実施形態による差動増幅器を示す概略ブロック図である。
図2】第1実施形態による差動増幅器を示すブロック図(その1)である。
図3】第1実施形態による差動増幅器を示すブロック図(その2)である。
図4】第2実施形態による差動増幅器を示すブロック図である。
図5】第3実施形態による差動増幅器を示すブロック図である。
図6】第4実施形態による差動増幅器を示すブロック図である。
図7】第5実施形態による差動増幅器を示すブロック図である。
図8】第6実施形態による基準電圧発生回路を示す概略ブロック図である。
図9】従来技術による基準電圧発生回路を示すブロック図である。
図10】第6実施形態による基準電圧発生回路を示すブロック図(その1)である。
図11】第6実施形態による基準電圧発生回路を示すブロック図(その2)である。
図12】第6実施形態による基準電圧発生回路を示すブロック図(その3)である。
図13】第6実施形態による基準電圧発生回路の特性を示すグラフ(その1)である。
図14】第6実施形態による基準電圧発生回路の特性を示すグラフ(その2)である。
図15】第7実施形態による定倍回路を示すブロック図である。
図16】従来技術による定倍回路を示すブロック図である。
図17】第7実施形態による低倍回路の特性を示すグラフである。
図18】従来技術によるボルテージフォロア回路を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0115】
100 差動増幅器
11 メイン差動増幅回路
21 バイアス制御差動増幅回路
31 オープンドレイン出力回路
MN1、MN2、MN3、MN4、MN5 N型MOSトランジスタ(NMOS)
MP1、MP2、MP3、MP4、MP5 P型MOSトランジスタ(PMOS)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18