【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成19年度、東北経済産業局、地域新生コンソーシアム「高速非球面ガラスレンズ成形システムによる光学素子の低コスト化」委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記予熱ユニット、前記搬送ユニット、前記プレスユニット及び前記冷却ユニットを外部から隔離して収容するとともに、その内部が減圧状態または不活性ガス状態に保持可能に構成された隔離チャンバをさらに備えたことを特徴とする請求項1記載の成形装置。
前記搬送ユニットは、前記プレスユニット、前記予熱ユニット、及び前記冷却ユニットの間で、前記被成形材または前記成形品を搬送することを特徴とする請求項1記載の成形装置。
前記予熱ユニット及び前記冷却ユニットの少なくともいずれかは、複数の前記被成形材または前記成形後の成形品を保持可能であり、複数の前記被成形材または成形品に対して同時に処理をすることが可能であることを特徴とする請求項1記載の成形装置。
前記被成形材に対して前記プレス処理、前記予熱処理、前記搬送処理、及び前記冷却処理の少なくともいずれかの処理をしている間に、他の前記被成形材に対して、前記プレス処理、前記予熱処理、前記搬送処理、及び前記冷却処理のうちの別の処理がなされるよう動作することを特徴とする請求項1乃至6記載の成形装置。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
[第1実施形態]
以下に本発明の第1実施形態について、
図1乃至
図11を参照して説明する。なお、各図において適宜構成を拡大、縮小、省略して示している。
【0021】
図1及び
図2に示す成形装置10は、例えばガラス素材11a等の被成形材を、加熱処理により軟化させ、プレス処理により成形することにより、デジタルカメラ等に代表される非球面ガラスレンズ等の高精度光学ガラス素子等のガラス成形品11b(成形品)を成形するための成形装置である。
【0022】
成形装置10は、ガラス素材11aを熱処理しながら加圧することにより成形処理するプレスユニット12と、成形処理の前にガラス素材11aを加熱処理する予熱ユニット13と、プレスユニット12にて成形処理された後のガラス成形品11b(成形品)を冷却処理する冷却ユニット14と、成形前のガラス素材11a又は成形後のガラス成形品11bを搬送する搬送ユニット16と、これらのユニット12,13,14、16を外部の大気から隔離して収容する隔離チャンバとしての、予熱冷却チャンバ15a、搬送チャンバ15b、及び成形チャンバ15cと、各ユニット12〜16及びチャンバ15a、15b、15cの動作を制御する制御部17と、を備えている。
【0023】
隔離チャンバ15としての予熱冷却チャンバ15a、搬送チャンバ15b、成形チャンバ15cは、例えば略直方体などの箱型状に形成されている。成形チャンバ15cの上部には、図示しない搬入部及び搬出部が設けられている。チャンバ同士の間には、開閉可能なシャッタ21が設けられている。シャッタ21は制御部17の制御に応じて開閉可能に構成されている。
【0024】
この予熱冷却チャンバ15aの内部に予熱ユニット13、冷却ユニット14が配置されている。搬送チャンバ15bの内部に搬送ユニット16が配置されている。成形チャンバ15cの内部にプレスユニット12、が配置されている。
【0025】
すなわちプレスユニット12が配された成形ゾーン22と、予熱ユニット13が配された予熱ゾーン23と、冷却ユニット14が配された冷却ゾーン24の間でガラス素材11aまたは成形後のガラス成形品11bが搬送ユニット16によって搬送される。
【0026】
予熱ゾーン23及び冷却ゾーン24は予熱冷却チャンバ15a内で、X方向における一方側(
図1中右側)においてY方向に沿って並列し、これらの間に搬送ユニット16の一部を成すバケットヒータ47が配置されている。
【0027】
各チャンバ15a〜15c及びプレスチャンバ71に、窒素ガスボンベ15d窒素ガスボンベ15dと真空ポンプ15eが接続されている。窒素ガスボンベ15dは隔離チャンバ15内、及び後述するプレスチャンバ71内に接続され、内部に窒素ガスを供給可能である。真空ポンプ15eはチャンバ15a〜15c内、及びプレスチャンバ71内に接続され、内部の気体を排出可能である。これらの動作によりチャンバ15a〜15c、及びプレスチャンバ71の内部は、高温にされる金型部67が酸化することを防止するように、大気に対して隔離された状態の真空雰囲気か、または不活性ガス雰囲気に置換される。
【0028】
なお、チャンバ15a〜15c、71内を常に真空雰囲気にしておく必要はない。例えば成形装置10を立ち上げたときにチャンバ15a〜15c、71を不活性ガスに置換する前に、一度真空に引き、その後、単純にチャンバ15a〜15c、71内に不活性ガスを噴出して酸素などを含む空気(気体)を追い出す方式より効果的に不活性ガスに置換することが可能である。すなわちパージで真空状態を不活性ガス(N
2ガス)雰囲気にしたり、酸素を追い出すように不活性ガス(N
2ガス)のみをチャンバ15a〜15c、71内に吹き付けるようにしても良く、酸素をチャンバ15a〜15c、71内から追い出すことができれば良い。
【0029】
予熱ユニット13は、
図1及び
図3に示されるように、予熱冷却チャンバ15aに固定された支持台31と、ガラス素材11aを保持する保持トレイ32と、支持台31と保持トレイ32の間に設けられた複数の断熱スペーサ33と、保持トレイ32を加熱するヒータ34とを備えている。
【0030】
保持トレイ32は、平板状に形成され、その上面に複数のガラス素材11aを複数列及び複数行に格子状に並列して例えば120個程度保持することが可能である。さらに、保持トレイ32には、ガラス素材11aを1つずつ保持バケット37の収容部に供給する供給機構が設けられている。
【0031】
断熱スペーサ33は、保持トレイ32の下方に延びる柱状に形成され、保持容器を支持台31に対して断熱して支持する。
【0032】
ヒータ34は、例えば保持トレイ32内に内蔵されたシースヒータ等で構成され、保持トレイを所定の高温に加熱する機能を有する。このため、保持トレイ32上に載置され保持された複数個のガラス素材11aが同時に加熱される。
【0033】
搬送ユニット16は、
図1、
図2、及び
図4に示すように、ガラス素材11aを保持する保持バケット37(保持容器)と、保持バケット37を加熱するバケット加熱部38(加熱機構部)と、保持バケット37を移動させる移動機構部39(移動部)と、を備える。
【0034】
図7及び
図8に示すように、保持バケット37は、例えばアルミ青銅からなり、互いに接離することにより開閉可能な半円柱形状の第1及び第2の開閉部材41,42で構成されている。第1及び第2の開閉部材41,42には、それぞれガラス素材11aが配置される半円柱形状の凹部41a,42aが形成されている。第1及び第2の開閉部材41,42は互いに近接した閉状態において、円柱状を成し、それぞれの凹部41a,42aが対向することによりその中央部に保持バケット37の上端から下方に延びる円柱形状の収容凹部43が構成される。開閉部材41,42における収容凹部43よりも外周側には、後述する移動機構部39の爪(係合部)55a,55bがそれぞれ挿入される被係合部としての挿入孔部41b、42bが形成されている。挿入孔部41b,42bは、それぞれ開閉部材41,42を貫通している。
【0035】
図6に示すバケット加熱部38は、予熱冷却チャンバ15aに固定された支持台44と、保持バケット37を保持するバケットトレイ45と、支持台44とバケットトレイ45との間に設けられた複数の断熱スペーサ46と、バケットトレイ45を加熱するバケットヒータ47とを備えている。
【0036】
バケットトレイ45の上面には保持バケット37が配置可能な凹部45aが形成されている。この凹部45aは保持バケット37の下方部分に対応する円柱状に形成されている。この凹部45aに保持バケット37が配置され、待機している間に、保持バケット37を、保持トレイ32よりもさらに高い温度、例えば600℃程度に加熱する。
【0037】
予熱ユニット13で加熱されたガラス素材11aは、加熱された保持バケット37の収容凹部43に保持されながら搬送されることにより、搬送中に、さらに高温に加熱される。このため、ガラス素材11aの移動中に原料の温度が下がることが防止される。
【0038】
図1及び
図2に示すように、移動機構部39は、移動アーム51と、移動アーム51を駆動する駆動部52と、移動アーム51の先端に設けられた保持機構53と、を備えている。
【0039】
移動アーム51は、駆動部52により、Z方向に延びる回転軸51aを中心に水平面内において回動可能、軸方向において伸縮可能、かつ、Z方向に昇降可能に構成されている。駆動部52及び保持機構53は、制御部17に電気的に接続され、制御部17によりその動作が制御される。
【0040】
搬送ユニット16は、移動機構部39の移動アーム51の回転動作及び直線移動に伴って先端部の保持機構53を移動範囲内の所望の位置へ移動することにより、この移動範囲内に位置する各ユニット12,13,14の間においてガラス素材11aまたはガラス成形品11bを搬送する。
【0041】
保持機構53は、ガラス成形品11bを吸着して保持する吸着機構部54と、保持バケット37に係合して把持する開閉可能な係合機構55と、を備えている。
【0042】
係合機構55は、接離(開閉)可能な複数の爪55a、55bを有し、保持トレイ32からプレスユニット12へガラス素材11aを搬送する際に用いられる。まず、移動アーム51により爪55a、55bを挿入孔部41b,42bに挿入し、保持バケット37を閉状態にして把持する。把持した状態でさらに移動アーム51を移動させることにより収容凹部43に配されたガラス素材11aを搬送する。ついで上下の金型間の所定位置に保持バケット37が配置された状態で爪55a、55bを開閉することにより保持バケット37の2つの開閉部材41,42を開き、収容凹部43に配置されていたガラス素材11aを落下させ、下金型67b上に供給する。
【0043】
吸着機構部54は、上向きの吸着ノズル54a及び下向きの吸着ノズル54bを備えている。吸着機構部54は例えば、ガラス素材11aを予熱ユニット13から保持バケット37に搬送する際、プレス工程の後にガラス素材11aを冷却ユニット14に搬送する際、及び冷却後に外部に搬送する際等に用いられ、吸着ノズル54a,54bのいずれかによってガラス成形品11bを吸着することにより保持し、移動アーム51の移動に応じて保持したガラス素材11a又は成形品11bを搬送する。
【0044】
なお、通常は下向きの吸着ノズル54bを用い、成形後にガラス成形品11bが上金型についている場合に上向き吸着ノズル54aを用いる。例えば下向き吸着ノズル54bを用いて吸着しようとしたときに圧力が上がらない場合には上金型にガラス成形品11bが付着していると判断し、上向きの吸着ノズル54aを用いて搬送する。
【0045】
すなわち搬送ユニット16は、ガラス素材11aを予熱ユニット13から保持バケット37へ、保持バケット37に保持されたガラス素材11aをプレスユニット12の金型部67の間へ、プレスユニット12にあるガラス成形品11bを冷却ユニット14へ、それぞれ搬送する機能を有する。
【0046】
成形ゾーン22に配されたプレスユニット12は、
図9に示すように、上軸61、下軸62、支持プレート63、金型受台64、上下の断熱軸65a,65b、上下のダイプレート66a,66b、上下の金型67a,67bからなる金型部67、金型部67を収容するプレスチャンバ71、プレスチャンバ71の外周に配置されたヒータユニット72を備えている。
【0047】
上軸61は、図示しないC形状のフレームに保持され、下方に向かって延びる円柱状に構成されている。支持プレート63は、昇降可能に構成されている。支持プレート63には開口部63bが形成されている。この開口部63bは上軸61に保持されている。この上軸61と支持プレート63との間をシールするOリング73が配設されている。上軸61の先端(下端)には断熱軸65aを介してダイプレート66aが取り付けられている。
【0048】
金型受台64は、成形チャンバ15cの下フレームに支持されている。この金型受台64の中央に形成された開口部64aに下軸62が上下方向に移動可能に保持されている。下軸62は成形チャンバ15cの下方に固定されたフレーム部材を気密に貫通している。
【0049】
下軸62の上端には例えば窒化珪素などで形成された筒状の断熱軸65bが配置されている。この下側の断熱軸65bは、金型受台64に対して立設されている。上端部のフランジ部上には金型部67を載置するダイプレート66bが設置されている。
【0050】
上下の断熱軸65a,65bはそれぞれ例えば窒化珪素などで筒状に形成され、上下端部にフランジ部が形成されている。この断熱軸65a,65bのフランジ部にダイプレート66a,66bがそれぞれ設置されている。ダイプレート66a,66bは、例えばセラミックス材(例えばSiCやTiCなど)で構成されている。
【0051】
下軸62は、サーボモータ68より駆動されるスクリュージャッキ等の減速機69により昇降する。サーボモータ68は制御部17に電気的に接続されている。
【0052】
金型受台64の上方には、赤外線から紫外線等の広範囲の電磁波透過性を有しかつ耐熱性を有する筒状のプレスチャンバ71と、その周囲を囲むヒータユニット72とが設けられている。ヒータユニット72は赤外線ランプヒータ等で構成され、制御部17に電気的に接続されて制御される。なお、金型受台64および支持プレート63には、プレスチャンバ71の内外の連通を防止するOリング74がそれぞれ配設されている。
【0053】
このプレスチャンバ71及びヒータユニット72は支持プレート63に支持されている。したがって、この支持プレート63の昇降に伴ってプレスチャンバ71とヒータユニット72とが昇降可能に構成されている。
【0054】
プレスチャンバ71は、下降位置にあるとき、金型部67の周囲に成形チャンバ15c内から隔離された加熱空間71aを形成する。プレスチャンバ71は、ガラス素材11aの搬送時には上方へ退避し、加熱空間71aは成形チャンバ15c内で開放される。
【0055】
プレスチャンバ71は窒素ガスボンベ15d及び真空ポンプ15eに接続されており、プレス成形の工程中に、成形チャンバ15cとは別の雰囲気(真空雰囲気または不活性ガス雰囲気)に置換可能である。例えば、プレス成形時は真空状態として、加熱及び冷却工程中は不活性ガスとする。この窒素ガスボンベ15dは徐冷装置として機能する。すなわち、徐冷の際は不活性ガスをプレスチャンバ71内に注入することにより、金型部67およびガラス成形品11bが空冷される。不活性ガスとしては、例えば窒素ガスを使用する。酸素濃度としては約10ppm程度とする。なお、不活性ガス雰囲気の方が真空雰囲気よりもチャンバの要求強度を低く設定できる。
【0056】
冷却ユニット14は、
図3に示されるように、支持台31と、保持トレイ32と、複数の断熱スペーサ33と、ヒータ34とを備え、予熱ユニット13と同様に構成されている。
【0057】
保持トレイ32は、板状を成し、上面に複数のガラス成形品11bを複数列及び複数行に格子状に保持する。断熱スペーサ33は、保持トレイ32の下方に延び柱状に形成され、保持トレイ32を支持台31上に断熱して支持する機能を有する。ヒータ34は保持トレイ内に内蔵されたシースヒータ等で構成され、保持トレイ32を所定の温度に加熱及び冷却の熱処理する機能を有する。ヒータ34の温度は例えば400℃程度から50℃程度まで、時間に応じて下降するように設定され、保持トレイ32上に載置された複数個のガラス成形品11bが同時に冷却される。すなわち、冷却ユニット14は予熱ユニット13の保持トレイ32の温度の設定のみを変更したものである。
【0058】
以下、本実施の形態に係る成形装置10を用いてガラス成形品11bを製造する手順について
図10を参照して説明する。
【0059】
本実施形態にかかる成形品の製造手順は、搬入工程、第1の加熱工程(予熱工程)、第1の搬送工程、第2の加熱工程、第2の搬送工程、第3の加熱工程、プレス工程、徐冷工程、第3の搬送工程、冷却工程、及び搬出工程、を有する。成形ゾーン22で行われる第3の加熱工程、プレス工程、及び徐冷工程を、成形工程とする。
【0060】
まず、成形チャンバ15c及び搬送チャンバ15bを非酸化雰囲気にしておく。すなわち、成形チャンバ15c内及び搬送チャンバ15b内を真空引きした後、不活性ガス(N
2ガス)に置換する。
【0061】
この状態で、予熱冷却チャンバ15aを開き、ガラス素材11aを複数個並べ、搬入し、(搬入工程)予熱冷却チャンバ15aを閉じる。この後、予熱冷却チャンバ15aを非酸化雰囲気とし、チャンバ間のシャッタ21を開け、予熱冷却チャンバ15a、搬送チャンバ15b、及び成形チャンバ15cを一体化する。
【0062】
同時に、予熱ユニット13において、ガラス素材11aを、実際にプレス成形されるガラス成形温度またはこれより0℃〜100℃程度高い温度まで加熱する。保持トレイ32上には複数のガラス素材11aが縦横それぞれ複数列に並べられ、ヒータ34により加熱される。本実施形態ではガラス成形温度は500℃とする。複数個のガラス素材11aを一度に加熱しており、予め設定された温度に保持する(第1の加熱工程)。
【0063】
一方、この第1の加熱工程と並行して、第2の加熱工程である保持バケット37の加熱処理が行われる。この時のバケット加熱部38の温度は、実際にプレス成形されるガラス成形温度より少し高め、本実施形態では例えば600℃程度の状態となっている。
【0064】
予熱ユニット13のガラス素材11aを、吸着機構部54によって吸着し、予熱ユニット13から保持バケット37に搬送する(第1の搬送工程)。
【0065】
ついで、加熱されたガラス素材11aを搬送ユニット16により成形ゾーン22に搬送
する(第2の搬送工程)。この時のガラス素材11aの温度は、実際にプレス成形されるガラス成形温度より少し低め、本実施形態では例えば350〜400℃程度の状態となっている。
【0066】
なお成形ゾーン22にガラス素材11aが搬送されるときは、搬送の際にはプレスユニット12のプレスチャンバ71およびヒータユニット72が上方に退避するとともにプレスユニット12の下軸62が下方に退避している。このため、金型部67は隔離チャンバ15内と同じ雰囲気(不活性ガス雰囲気又は真空雰囲気)内にある。
【0067】
この第1の搬送工程において、駆動部52を駆動させ、移動アーム51を移動することにより爪55a,55bを、第2の加熱工程により加熱された保持バケットの挿入孔部41b、42bにX方向に向かって夫々挿通して係合させて保持バケット37を把持する。
【0068】
ついで、移動アーム51の先端に設けられた保持バケット37を、持ち上げ、保持トレイ32に向かって移動させる。保持トレイ32の端部で、かつ、保持トレイ32の上面よりも低い位置に保持容器の収容凹部43の入口が配置されるように位置合わせする。この状態で、供給機構により、ガラス素材11aを1つ保持バケット37の収容部に落下させ、供給する。以上により、加熱された保持バケット37にガラス素材11aが1つ保持される。
【0069】
さらに、駆動部52の駆動により移動アームを移動し、保持バケット37を上下の金型67a,67bの間に配置する。さらに駆動部52により爪55a,55bを互いに離間させることにより開閉部材41,42を開き、収容凹部43に保持されていたガラス素材11aを落下させて下金型67b上に載置する。以上により第1の搬送工程が完了する。
【0070】
ついで、移動機構をプレスチャンバ71の外側に退避させた状態で、エアシリンダを駆動させる等により、プレスチャンバ71およびヒータユニット72を下方に下げ、金型部67及びガラス素材11aをプレスチャンバ71内に収納する。このとき、プレスチャンバ71はOリング74などでシールされるので、成形チャンバ15c内においてプレスチャンバ71内が隔離される。
【0071】
なお、プレスチャンバ71内、成形チャンバ15c内の雰囲気とは別の雰囲気に保持可能に制御される。例えば成形ゾーン22における加熱及びソークタイム工程は窒素ガス雰囲気とし、プレス工程中は真空雰囲気とし、徐冷工程中は窒素ガス雰囲気とする。
【0072】
さらに、ヒータユニット72をONにして所定の加熱温度まで金型部67の温度を上昇させる。成形ゾーン22の赤外線ランプにより、金型部67をガラス成形温度(ここでは500℃程度)まで加熱し(第3の加熱工程)、金型部67の温度とガラス素材11aの温度を均一化する。
【0073】
金型部67が所定の温度に到達したら、成形ゾーン22において、所定の温度に加熱した後、一定時間経過させ、下軸を動作させることによりプレス成形を行う。
【0074】
例えば、サーボモータ68を駆動させて減速機(スクリュージャッキ)69によって下軸62を上昇させる。そして、断熱軸65bおよびダイプレート66bを介して上金型67aに対して下金型67bを押圧することにより金型部67内のガラス素材11aをプレス成形する(プレス工程)。
【0075】
ここでは、プレス成形はプレス力をフィードバックして制御している。例えば、サーボモータ68で駆動させ、かつロードセルにてプレス力をモニタしながらプレス力をフィードバック制御する。ここでは、プログラムされた任意のプレス力プロファイルの通りにプレス成形を行う。このため、正確にプレス位置およびプレス力を制御可能である。
【0076】
なお、プレス量やプレス力は、金型部67ごとに制御部17にセットすることが可能である。すなわち、プレス量やプレス力は、所望のガラス成形品11bごとにプログラム設定される。このため、プレス位置やプレス力を高精度に制御することができ、かつ、任意なプレス工程をプログラミングすることが出来る。
【0077】
プレス工程によりある程度の形状に成形が完了した時点で、金型部67の温度を所定の勾配でゆっくりと降温させる。この金型温度を高温させる工程を徐冷工程とする。徐冷工程は、例えば金型に不活性ガスを流すことにより行う。他に、ヒータユニット72の出力を下げることにより金型部67の温度を徐冷させてもよい。このとき、温度低下に伴うガラス成形品11bのヒケを抑制するためにプレス駆動部としてのサーボモータ68にてプレス力を負荷させながら温度を下げる。本実施形態では例えば500℃から400℃まで下げる際に1min程度をかけて徐冷する。徐冷終了温度は、例えばガラス転移点付近とする。
【0078】
金型部67の温度が所定の温度まで降温したら、エアシリンダを駆動させてプレスユニット12のヒータユニット72およびプレスチャンバ71を上方に上げ、金型部67からガラス素材11aを取り出し、冷却ゾーン24へ搬送する(第3の搬送工程)。
【0079】
この第3の搬送工程では、吸着機構部54の吸着ノズル54aまたは54bによってガラス成形品11bを吸着した状態で、駆動部52の動作により移動アーム51を金型部67から冷却ユニット14の保持トレイ32へ移動させることにより搬送を行う。
【0080】
冷却ゾーン24に搬送されるガラス成形品11bは冷却ユニット14の保持トレイ32上に配置され、保持トレイ32上において冷却される。
【0081】
以上の第1の搬送工程から第3の搬送工程までの工程を、複数回繰り返し行う。ガラス成形品11bが冷却ユニット14に一杯に並び、あるいは予熱ユニット13のガラス素材11aが全てなくなった場合に、成形を停止して、予熱冷却チャンバ15aのシャッタ21を閉めてから、他の搬送チャンバ15b、成形チャンバ15cと隔離する。隔離後、十分に温度が下がっていることを確認し、予熱冷却チャンバ15aを開いてガラス成形品11bを取り出す(搬出工程)。
【0082】
続いて、別のガラス素材11aを予熱ユニット13に配置し、再び予熱冷却チャンバ15aを開いて非酸化雰囲気にするが、予熱冷却チャンバ15aの容積は他の部分に比べて少ないため、非酸化雰囲気にする時間は短くてすむ。
【0083】
予熱ユニット13へのガラス素材11aの供給(搬入工程)及び冷却ユニット14からのガラス成形品11bの回収(搬出工程)は、手動で行なっても良く、図示しないロボット(自給装置)を使ってもよい。あるいは、保持トレイ32として、上部が着脱できるようなパレットで構成し、このパレットごと交換するような方法を用いることも可能である。
【0084】
以上搬入から搬出までの処理工程を順に説明したが、本実施形態においては、別々のユニットで行われるそれぞれの処理工程は並行して行われる。
【0085】
すなわち、上記説明した搬入工程、第1乃至第3の加熱工程、第1及び第2の搬送工程、搬出工程、の最中に、別のガラス素材11aまたはガラス成形品11bに対して別の工程を並行して進める。あるガラス素材11aに対していずれかの処理をしている間に、他のガラス素材11aに対して別の処理がなされるよう動作する。例えば、金型部67からガラス成形品11bを移送した後すぐに別のガラス素材11aを金型部67に供給し、次の成形処理をすぐに行うことが出来る。
【0086】
さらに、予熱工程と冷却工程とは複数のガラス素材11a又はガラス成形品11bに対して同時に処理可能である。このため、搬入工程及び搬出工程においては複数個のガラス素材11aまたはガラス成形品11bをまとめて搬入または搬出することが可能である。
【0087】
以上の処理工程でガラス素材11aを所望の形状に成形した場合の成形温度プロファイルと成形プレス力プロファイルとを表したグラフを
図11に示す。縦軸に、成形温度プロファイルと成形プレス力プロファイルとを表し、横軸に時間を示す。温度、プレス位置、プレス力等のプロファイルは、制御部17の設定により任意に変更することが可能である。また、ガラス素材11a毎に、温度、プレス位置、プレス力を個別に設定することも可能である。この場合、それぞれ異なるガラス成形品11bが形成される。
【0088】
このときの工程別成形時間としては、プレス工程(徐冷工程も含む)が各工程の中で最長である。したがって、成形タクトとして決める要素は、プレスユニット12での成形時間に依存する。
【0089】
本実施形態にかかる成形装置10は以下に掲げる効果を奏する。すなわち、複数の工程を異なるユニットに別々に構成し、この間でガラス素材11aまたはガラス成形品11bを搬送することとしたため、1つの成形装置10で複数のガラス素材11a及びガラス成形品11bに対して同時に処理を行うことができる。このため、成形サイクルを短縮し生産効率を上げることが出来る。
【0090】
例えば、原料のガラス素材11aを加熱してプレスチャンバ71に搬送し、光学部品を成形し、十分に冷却させないままガラス成形品11bをプレスチャンバ71から冷却ゾーン24へ搬送できるので、固定金型式の成形装置に比べ、成形サイクルを短縮し清算効率を上げることが出来る。比較対象として、金型上にガラスを積載した状態で加熱、成形、及び冷却を行う固定金型式の技術の成形プロファイルを
図17に示す。
【0091】
予め別のゾーンで加熱された高温のガラス素材11aを金型に搬送するため、ガラス材料と金型が接触している時間を短くすることができるので、金型の受ける熱力も小さくなり、金型の劣化を防ぐことができる。このため、金型の寿命を長くできる。
【0092】
固定金型式の装置の場合には金型が大気(酸素)に触れても酸化されない温度まで冷却する必要があり、成形サイクルが遅くなる要因となっていたが、上記本実施形態によれば、隔離チャンバ15内を窒素ガスで置換しているため、早いタイミングでプレスチャンバ71を開くことが可能となる。あり、特に温度が低い400〜200℃程度の降温は非常に遅いので、本実施形態の構成が有効となる。
【0093】
一般的に、ガラスモールドレンズの成形では、金型の温度とガラスの温度を可能な限り同一にしてプレス成形及び冷却を行うが、ヒータにより金型自体及び周辺不活性ガスを加熱することによりガラス素材11aが加熱される構成では、金型自体が加熱されてからガラス素材11aが加熱されるまでには一定の時間(ソークタイム(ST))が必要であり、成形サイクルが長くなる要因となっていた(IR加熱やRF加熱ではガラス素材11aを直接加熱することは不可能であるため)のに対し、本実施形態では、予め成形温度付近にガラス素材11aを加熱することにより、上記のソークタイムの時間を短縮することが可能となる。
【0094】
また、移動金型式の場合、成形ゾーン22から徐冷ゾーンに金型を移動する必要があり、一度プレス力を抜かなければならないが、本実施形態では金型を移動する必要がないためこの不都合を解消できる。
【0095】
移動金型式の装置では、各工程の間での時間的制約や真空成形が出来ない等の問題があったが、本発明によれば、真空成形及び柔軟なプログラミング性を確保しつつ、成形サイクルを高速化できる。
【0096】
予熱ユニット13及び冷却ユニット14の保持トレイ32は、複数のガラス素材11aを同時に加熱する構成であるため、成形サイクルにおける時間的バッファがあり、ヒータ34の要求性能を緩和することができる。
【0097】
さらに、成形ゾーン22にて徐冷を行うことによりガラスのヒケによる精度不良を防止することができるとともに、アニーリング効果も得られる。
【0098】
[第2実施形態]
次に本発明の第2実施形態に係る成形装置について
図12及び
図13を参照して説明する。
図12は、本実施形態の予熱ユニット13の保持トレイ132を概略的に示す平面図であり、
図13は同断面図である。
【0099】
なお、保持トレイ132が傾斜している点及び保持トレイ132の位置以外の構成は上記第1実施形態の成形装置10と同様であるため説明を省略する。
【0100】
本実施形態の冷却ユニット14の保持トレイ132は予熱冷却チャンバ15aの搬入部のシャッタ21から連続し、下方に配置されている。すなわち、予熱冷却チャンバ15aを開く動作に伴って、下方に球体状のガラス素材11aが転がることにより、ガラス素材11aが保持トレイ132に供給される。
【0101】
ガラス素材11aが載置される保持トレイ132は、所定の角度を有して傾斜する傾斜面132aを備えている。なお、この傾斜面132aは、予熱冷却チャンバ15aの外部においてガラス素材11aが保持される傾斜面と連続している。本実施形態の保持トレイ132はその傾斜面132aにおいて一列に複数のガラス素材11aを保持する場合を示すが、多列の構成であってもよい。
【0102】
保持トレイ132は、第1乃至第3のゾーン141〜143を有し、これらのゾーン同士の間には断熱材144が夫々配置されている。
【0103】
第1乃至第3のゾーン141〜143には、ヒータ34が内蔵されている。すなわち、第1ゾーン乃至第3ゾーン141〜143はそれぞれ異なる温度に設定可能である。例えば第1ゾーンを低温に、第2ゾーンを第1ゾーンよりも高く第3ゾーンよりも低い中温に、第3ゾーンを第2ゾーンよりも高い高温に、それぞれ設定する。このような設定により、高温に加熱するのを短時間にすることができる。このため、品質の低下を防止できる。
【0104】
保持トレイ132の傾斜の上方側の端部であって外部からガラス素材11aを取り込む部分には、ロードロック機構が設けられている。第1ゾーン141及び第2ゾーン142のガラス素材11aがなくなった場合に、シャッタ21が開き、第1ゾーン141及び第2ゾーン142が一杯になるくらいの複数個のガラス素材11aを保持トレイ132に取り込む。
【0105】
保持トレイ132上であって、傾斜の下方側の端部には、供給機構として、2つの開閉可能なシャッタ部135a、135bが並列して設けられている。この2つのシャッタ部135a、135bの間に1つのガラス素材11aが設けられ、シャッタ部135bよりも他方側に複数のガラス素材11aが並列配置されている。
【0106】
保持トレイ32の上面における下方側の端部よりもさらに下方に保持バケット37が配置される。この状態でシャッタ部135aを図中破線で示すように上昇させて開くことにより、傾斜を利用して球体状のガラス素材11aが下方へ転がり、保持バケット37の収容凹部43に供給される。なお、1つのガラス素材11aが供給されたらシャッタ部135bを開放して次のガラス素材11aを、シャッタ部135a、135bの間に供給する。
【0107】
本実施形態によれば上記第1実施形態と同様の効果に加え、ガラス素材11aを単純な構成で自動的に供給することが可能となる。
【0108】
[第3実施形態]
次に本発明の第3実施形態に係る成形装置について
図14及び
図15を参照して説明する。なお、保持トレイ232以外の構成は上記第1実施形態の成形装置10と同様であるため説明を省略する。
【0109】
保持トレイ232は、第1ないし第3のゾーン241〜243を有し、これらのゾーン同士の間には断熱材244が夫々配置されている。
【0110】
第1ゾーン241及び第2ゾーン242には、ヒータが内蔵されている。あるいは、冷却装置を内蔵してもよい。第1ゾーン乃至第3ゾーン241〜243はそれぞれ異なる温度に設定される。
【0111】
例えば、ある時間において、第3ゾーン243は第2ゾーン242よりも低い低温に、第2ゾーン242は第1ゾーン241よりも低くかつ第3ゾーン243よりも高い中温に、第1ゾーンは第2ゾーン242よりも高い高温に、それぞれ温度設定されている。
【0112】
図16に示すように、第1ゾーン乃至第3ゾーン241〜243の設定温度は、変更パターンはすべて同じであって、変更する時間がシフトしている。
【0113】
以上にように構成された保持トレイ232において、第1乃至第3ゾーンに分けて加熱する。成形を開始しガラス成形品11bが冷却ユニット14に置かれる直前までに第1ゾーン241を高温状態にしておく。この第1ゾーン241にガラス成形品11bを並べる。この第1ゾーン241がガラス成形品11bで一杯になる直前までに第2ゾーンを高温状態にしておく。第1ゾーン241のスペースがなくなったら、第2ゾーン242にガラス成形品11bを並べていく。これと同時に第1ゾーン241は徐々に設定温度を下げていく。第2ゾーン242がガラス成形品11bで一杯になる直前までに第3ゾーン243を高温状態にしておく。第2ゾーン242のスペースがなくなったら、第3ゾーン243にガラス成形品11bを並べていく。これと同時に第2ゾーン242は徐々に設定温度を下げていく。第3ゾーン243がガラス成形品11bで一杯になったら第3ゾーン243も徐々に設定温度を下げていき、ある程度の温度まで下がったら、ガラス成形品11bを予熱冷却チャンバ15aの外に搬出する。
【0114】
本実施形態によれば上記第1実施形態と同様の効果が得られる。さらに、保持トレイ232を異なる温度設定の複数ゾーンに分けたことにより、徐冷が長すぎてガラス成形品11bの品質が低下するのを防止するとともに、急冷により破損するのを防止することができる。このため、成形ゾーンから、比較的温度の高いままガラス成形品11bを取り出して成形サイクルを短縮することを可能としている。また、冷却ユニット14にガラス成形品11bを置くときの温度を一定にしておき成形品の品質を安定する効果も得られる。
【0115】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではない。例えば成形ゾーン22の加熱方式は、赤外線ランプ加熱によるものを例示したが、これに限らず、例えば高周波誘導加熱等の他の加熱方式を用いることも可能である。
【0116】
さらに、各ユニットの配置は上記実施形態に限られるものではない。たとえば、搬入部及び搬出部にロードロック室を設けることも可能である。
【0117】
また、被成形材や成形品も、上記実施形態に限られるものではなく、温度設定も適宜変更可能である。例えば徐冷終了温度は、ガラス転移点付近を例示したが、材料等に応じて適宜変更可能である。
【0118】
なお、本実施の形態では、金型部67の加熱手段としてヒータユニット72を用いたが、高周波誘導加熱(RF)を使用してもよい。また、金型部67のプレス駆動手段として、本実施の形態ではサーボモータ68を駆動源として説明したが、油圧シリンダや空気圧シリンダを用いても良い。
【0119】
また、冷却ユニット14において、ヒータ34の温度設定で冷却する場合について説明したが、自然放冷により冷却されてもよいし、冷却と冷内部に冷却水を循環させて間接的に水冷を行っても良い。
【0120】
さらに第2及び第3実施形態においては傾斜面132aを例示したが、上下の段差を適用することも可能である。さらに、これらの傾斜面または段差部を螺旋状としてもよい。
【0121】
さらに、係合機構55として細長い爪55a,55bを設け、被係合部としての挿入孔部2a,42bに挿通させて保持する場合について説明したが、爪の挿入によって弾性的に開閉可能な部材を被係合部として保持バケット37に設けてもよい。
【0122】
また複数の実施形態の特徴を組み合わせて実施することも可能である。
【0123】
この他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能であるのは勿論である。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]被成形材を加圧して成形処理するプレスユニットと、
前記成形処理の前に前記被成形材を加熱処理する予熱ユニットと、
前記予熱ユニットにて加熱された被成形材を加熱処理しながら前記プレスユニットに搬送する搬送ユニットと、
前記成形処理された前記被成形材を冷却処理する冷却ユニットと、
を備えたことを特徴とする成形装置。
[2]前記予熱ユニット、前記搬送ユニット、前記プレスユニット及び前記冷却ユニットを外部から隔離して収容するとともに、その内部が減圧状態または不活性ガス状態に保持可能に構成された隔離チャンバをさらに備えたことを特徴とする[1]記載の成形装置。
[3]
前記搬送ユニットは、前記プレスユニット、前記予熱ユニット、及び前記冷却ユニットの間で、前記被成形材または前記成形品を搬送することを特徴とする[1]記載の成形装置。
[4]前記搬送ユニットは、被成形材を収容して保持する保持容器と、前記保持容器を加熱する加熱機構部と、加熱された前記保持容器を移動させる移動機構部と、を備えることを特徴とする[1]乃至[3]のいずれか記載の成形装置。
[5]前記搬送ユニットは、さらに、前記移動機構部によって移動されるとともに前記成形処理後の成形品を吸着する吸着機構部を備えたことを特徴とする[4]記載の成形装置。
[6]前記プレスユニットは、前記被成形材を挟持及び開放可能な金型部と、
前記金型部の外周に設けられ、前記隔離チャンバ内の空間に対して開閉可能であって閉状態において少なくとも前記金型部を前記隔離チャンバ内において隔離して収容するとともにその内部が減圧状態または不活性ガス状態に保持可能に構成されたプレスチャンバと、
前記プレスチャンバの外周に設けられ、前記金型部を加熱するヒータユニットと、
を備えたことを特徴とする[2]記載の成形装置。
[7]前記予熱ユニット及び前記冷却ユニットの少なくともいずれかは、複数の前記被成形材または前記成形後の成形品を保持可能であり、複数の前記被成形材または成形品に対して同時に処理をすることが可能であることを特徴とする[1]記載の成形装置。
[8]前記被成形材に対して前記プレス処理、前記予熱処理、前記搬送処理、及び前記冷却処理の少なくともいずれかの処理をしている間に、他の前記被成形材に対して、前記プレス処理、前記予熱処理、前記搬送処理、及び前記冷却処理のうちの別の処理がなされるよう動作することを特徴とする[1]乃至[7]記載の成形装置。
[9]前記予熱ユニット及び前記冷却ユニットは、複数の前記成形後の成形品を保持する保持トレイを備え、
前記保持トレイは位置によって異なる温度設定が可能な複数のゾーンを有したことを特徴とする[1]記載の成形装置。
[10]前記予熱ユニットの保持トレイにおける前記被成形材を保持する面は段差または傾斜を有することを特徴とする[9]記載の成形装置。
[11]前記段差または前記傾斜は螺旋状に構成されたことを特徴とする[10]記載の成形装置。
[12]前記被成形材を加圧して成形処理するプレス工程と、前記プレス工程の前に被成形材を加熱処理する予熱工程と、前記予熱ユニットにて加熱された被成形材を加熱処理しながら搬送する搬送工程と、前記成形処理された前記被成形材を冷却処理する冷却工程と、を備え、
前記複数の工程のいずれか2つ以上の処理が並行して行われることを特徴とする成形品の製造方法。